[第1実施形態]
図1を参照して、参考例の変速機の制御装置の第1実施形態を説明する。尚、図1は、変速機の制御装置の一部を模式的に示した油圧回路図である。
第1実施形態の変速機の制御装置は、第1摩擦係合要素たる第1クラッチC1と、供給された油圧を調整して出力するリニアソレノイド弁から成る第1油圧調整弁81aと、第1クラッチC1に併設された第1アキュムレータAcc1とを備える。第1アキュムレータAcc1は、油圧が高圧領域の際に適した特性を有する小容量タイプで構成される。
第1油圧調整弁81aは、トランスミッション・コントロール・ユニットから成るコントローラTCUからの指示信号により通電オンと通電オフが切り換えられる。第1油圧調整弁81aは、通電オンでコントローラTCUの指示信号に基づいた開度で開弁することにより、入力されるライン油圧PLを調圧して出力し、通電オフで閉弁する。
第1油圧調整弁81aから出力される油圧は、油路L11を介して第1クラッチC1に供給されると共に、油路L11から分岐する油路L11aを介して第1アキュムレータAcc1にも供給される。油路L11には、分岐路L11bを介してシフト弁90が接続されている。シフト弁90には、油路L12を介して第2アキュムレータAcc2が接続されている。第2アキュムレータAcc2は、油圧が高圧領域の際に適した特性を有する小容量タイプで構成される。
シフト弁90には、環状溝を有するスプール90aが図における左右方向に摺動自在に内挿されている。スプール90aは、スプリング90bで右側に付勢され、シフト弁90の右側に位置した状態となっている。この状態では、シフト弁90は、油路L11bと油路L12との連通を阻止した状態となっている。
又、シフト弁90の右端部には油圧室90cが設けられている。この油圧室90cには油路L60を介して開閉式ソレノイド弁82aが接続されている。開閉式ソレノイド弁82aは、コントローラTCUからの指示信号により通電オンと通電オフが切り換えられる。開閉式ソレノイド弁82aは、通電オンで開弁してライン油圧PLをシフト弁90の油圧室90cに供給し、通電オフで閉弁してライン油圧PLが油圧室90cに供給されることを阻止する。
開閉式ソレノイド弁82aの通電オンによりライン油圧PLが油路L60を介して油圧室90cに供給されると、スプール90がスプリング90bの付勢力に抗して左側に移動する。この状態では、シフト弁90は、油路L11bと油路L12とを連通させた状態となる。尚、図1では、シフト弁90の上半分にスプール90aが右側に位置した状態を示し、下半分にスプール90aが左側に移動した状態を示している。
コントローラTCUは、インギヤ時には、ライン油圧PLを低圧領域に設定する。又、コントローラTCUは、開閉式ソレノイド弁82aを通電オンで開弁させて、シフト弁90を油路L11bと油路L12とが連通される状態にする。
又、コントローラTCUは、変速時に第1クラッチC1を係合させる際には、ライン油圧PLを高圧領域に設定する。又、コントローラTCUは、開閉式ソレノイド弁82aを通電オフで閉弁させて、シフト弁90を油路L11bと油路L12との連通を阻止した状態にする。
第1実施形態のものによれば、インギヤ時において、第1クラッチC1に油圧を供給する際には、シフト弁90により油路L11bと油路L12とが連通される状態となるため、第1と第2の2つのアキュムレータAcc1,Acc2にも油圧が供給される。従って、アキュムレータ全体としての容量が2倍となり、インギヤ時のアキュムレータの容量不足に起因するショックの発生を防止することができ、且つ、低圧領域の油圧の長周期脈動を適切に抑制させることができる。
又、変速時に第1クラッチC1を係合させる際には、シフト弁90を油路L11bと油路L12との連通を阻止した状態にするため、第2アキュムレータAcc2には、油圧が供給されない。これにより、小容量タイプの第1アキュムレータAcc1のみに油圧が供給されることとなり、高圧領域における油圧の短周期脈動を抑制し第1クラッチC1に作動油を迅速に供給することができる。
尚、第1実施形態では、第2アキュムレータAcc2を小容量タイプとしたが、これに限らず、サイズが大きくなるものの第2アキュムレータAcc2を大容量タイプとしてもよい。又、シフト弁90は、スプール90aが右側に位置した状態で油路L11bと油路L12とを連通させる状態とし、スプール90aが左側に移動した状態で油路L11bと油路L12との連通を阻止した状態となるように構成してもよい。
[第2実施形態]
図2を参照して、参考例の変速機の制御装置の第2実施形態を説明する。尚、図2も、変速機の制御装置の一部を模式的に示した油圧回路である。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
第2実施形態の変速機の制御装置は、第1実施形態の構成に加えて、第2摩擦係合要素たる第2ブレーキB2と、リニアソレノイド弁から成る第2油圧調整弁81bとを備える。第2油圧調整弁81bは、コントローラTCUからの指示信号により通電オンと通電オフが切り換えられる。第2油圧調整弁81bは、通電オンでコントローラTCUの指示信号に基づいた開度で開弁することにより、入力されるライン油圧PLを調圧して出力し、通電オフで閉弁する。
第2油圧調整弁81bから出力される油圧は、油路L13を介して第2ブレーキB2に供給されると共に、油路L13から分岐する油路L13aを介してシフト弁90aにも供給される。
第2実施形態のシフト弁90は、スプール90aがスプリング90bの付勢力により右側に付勢されて右側に位置した状態では、油路L13aと油路L12とが連通した状態となっている。又、開閉式ソレノイド弁82aの通電オンでライン油圧PLが油路L60を介して油圧室90cに供給され、スプール90aが左側に移動した状態では、油路L11bと油路L12とを連通させた状態となる。
コントローラTCUは、変速時に第2ブレーキB2を係合させる際には、ライン油圧PLを高圧領域に設定する。又、コントローラTCUは、開閉式ソレノイド弁82aを通電オフで閉弁させて、シフト弁90を油路L13aと油路L12とが連通された状態にする。即ち、第2実施形態においては、第2アキュムレータAcc2は、第2ブレーキB2用のものとなる。他の構成及び作動は、第1実施形態と同一である。
第2実施形態のものによれば、第1実施形態の効果に加えて、インギヤ時において第1クラッチC1を係合させる際に、第2ブレーキB2用の第2アキュムレータAcc2を用いて、インギヤ時の第1クラッチC1のアキュムレータ全体としての容量を増やすことができる。このため、新たなアキュムレータを追加することなく、従来のアキュムレータと同数で構成することができ、変速機の制御装置のコンパクト化を図ることができる。
尚、シフト弁90は、スプール90aが右側に位置した状態で油路L11bと油路L12とを連通させる状態とし、スプール90aが左側に移動した状態で油路L13aと油路L12とを連通させる状態となるように構成してもよい。
[第3実施形態]
図3を参照して、本発明の変速機の制御装置の第3実施形態を説明する。尚、図3は、変速機の制御装置の一部を模式的に示した油圧回路図である。
第3実施形態の変速機の制御装置は、第2実施形態と同様に、第1摩擦係合要素たる第1クラッチC1と、第2摩擦係合要素たる第2ブレーキB2と、第1と第2の2つのアキュムレータAcc1,Acc2と、リニアソレノイド弁から成る第1と第2の2つの油圧調整弁81a,81bと、開閉式ソレノイド弁82aと、シフト弁90とを備えるが、各構成を接続する油路が第2実施形態と異なる。
第3実施形態の第1油圧調整弁81aから出力される油圧は、油路L14を介してシフト弁90に供給されると共に、油路L14から分岐する油路L14aを介して第2アキュムレータAcc2にも供給される。第2油圧調整弁81bから出力される油圧は、油路L15を介してシフト弁90に供給される。
第1クラッチC1は油路L16を介してシフト弁90に接続され、油路L16から分岐する油路L16aを介して第1アキュムレータAcc1が接続されている。第2ブレーキB2は油路L17を介してシフト弁90に接続されている。
第3実施形態のシフト弁90は、スプール90aが右側に位置しているときでは、油路L15と油路L16が連通されると共に油路L14と油路L17が連通される状態となり、スプール90aが左側に移動しているときでは、油路L14と油路L16とが連通される状態となる。
コントローラTCUは、インギヤ時であって第1クラッチC1を係合させる場合においては、開閉式ソレノイド弁82aを通電オンとして、シフト弁90を油路L14と油路L16とを連通させた状態とし、第1油圧調整弁81aを通電オンとして、調圧した油圧を出力させる。第1油圧調整弁81aから出力された油圧は、第2アキュムレータAcc2、第1アキュムレータAcc1及び第1クラッチC1に供給される。
これにより、アキュムレータ全体としての容量が2倍となり、インギヤ時のアキュムレータの容量不足に起因するショックの発生を防止することができ、且つ、低圧領域の油圧の長周期脈動を適切に抑制させることができる。
又、コントローラTCUは、変速時であって第1クラッチC1を係合させる場合においては、開閉式ソレノイド弁82aを通電オフとして、シフト弁90を油路L15と油路L16とを連通させた状態とし、第2油圧調整弁81bを通電オンとして、調圧した油圧を出力させる。第2油圧調整弁81bから出力された油圧は、第1アキュムレータAcc1及び第1クラッチC1に供給される。
これにより、小容量タイプの第1アキュムレータAcc1のみに油圧が供給されることとなり、高圧領域における油圧の短周期脈動を抑制し第1クラッチC1に作動油を迅速に供給することができる。
又、コントローラTCUは、変速時であって第2ブレーキB2を係合させる場合においては、開閉式ソレノイド弁82aを通電オフとして、シフト弁90を油路L14と油路L17とを連通させた状態とし、第1油圧調整弁81aを通電オンとして、調圧した油圧を出力させる。第1油圧調整弁81aから出力された油圧は、第2アキュムレータAcc2及び第2クラッチB2に供給される。
これにより、第2アキュムレータAcc2は、インギヤ時の第1クラッチC1を係合させる場合と、変速時の第2ブレーキB2を係合させる場合の2つで利用されることとなる。従って、アキュムレータの数を増加させることなく、アキュムレータを新たに追加したものと比較して、小型化を図ることができる。
[第4実施形態]
本発明の変速機の制御装置の第4実施形態を、図4〜図7を参照して説明する。尚、第4実施形態の変速機の制御装置は、第3実施形態のものをより具体的にしたものである。
図4(a)は、第4実施形態の自動変速機を示している。第4実施形態の自動変速機は、変速機ケース1内に回転自在に軸支した、図外のエンジン等の動力源に連結される入力軸2と、入力軸2と同心に配置された出力部材たる出力ギヤ3とを備えている。出力ギヤ3の回転は、図外のデファレンシャルギヤを介して車両の左右の駆動輪に伝達される。尚、図4(a)では、自動変速機の上半分のみを図示している。
又、変速機ケース1内には、入力軸2の周りに位置させて、入力用の単式プラネタリギヤ4と、変速用の複式プラネタリギヤ5とが配置されている。
入力用の単式プラネタリギヤ4は、サンギヤSaと、リングギヤRaと、サンギヤSa及びリングギヤRaに噛合するピニオンPaを自転及び公転自在に軸支するキャリアCaとから成るシングルピニオン型のプラネタリギヤで構成される。単式プラネタリギヤ4のキャリアCaは入力軸2に連結され、サンギヤSaは変速機ケース1に固定されている。従って、単式プラネタリギヤ4の入力要素はキャリアCa、固定要素はサンギヤSa、出力要素はリングギヤRaとなる。
単式プラネタリギヤ4のギヤ比(リングギヤの歯数/サンギヤの歯数)をiとした場合、キャリアCaの回転速度が入力軸2の回転速度と等速度である「1」、サンギヤSaの回転速度が「0」となり、出力要素たるリングギヤRaの回転速度N1は、(i+1)/iに増速される。
複式プラネタリギヤ5は、第1要素たる第1サンギヤSb1と、第2要素たる第2サンギヤSb2と、リングギヤRbと、互いに噛合すると共に、一方が第1サンギヤSb1、他方が第2サンギヤSb2及びリングギヤRbに噛合する一対のピニオンPb,Pb’を自転及び公転自在に軸支するキャリアCbとから成るラビニヨ型のプラネタリギヤで構成されている。第1サンギヤSb1は、入力軸2に回転自在に軸支される第1中空軸6に連結されている。第2サンギヤSb2は、第1中空軸6に回転自在に軸支される第2中空軸7に連結されている。
複式プラネタリギヤ5は、図5の速度線図に示すように、縦線で表される4つの回転要素を備える。図5に表される各回転要素を左から順に第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素、第4回転要素とすると、第1回転要素は第2サンギヤSb2、第2回転要素はキャリアCb、第3回転要素はリングギヤRb、第4回転要素は第1サンギヤSb1で構成される。尚、複式プラネタリギヤ5の速度線図において、下方の横線は回転速度が「0」であることを示し、上方の横線は回転速度が入力軸の回転速度を「1」としてこれと同一である「1」であることを示している。
リングギヤRbと第1サンギヤSb1のギヤ比(リングギヤRbの歯数/第1サンギヤの歯数)をj、リングギヤRbと第2サンギヤSb2のギヤ比(リングギヤRbの歯数/第1サンギヤの歯数)をkとすると、第1〜第4の各回転要素間の間隔は、k:1:j−1の割り合いとなっている。
又、第4実施形態の自動変速機では、係合要素として、第4回転要素たる第1サンギヤSb1と入力軸2とを第1中空軸6を介して解除自在に連結する第1クラッチC1と、第2回転要素たるキャリアCbと単式プラネタリギヤ4の出力要素たるリングギヤRaとを解除自在に連結する第2クラッチC2と、第1回転要素たる第2サンギヤSb2と入力軸2とを第2中空軸7を介して解除自在に連結する第3クラッチC3と、第1回転要素たる第2サンギヤSb2を変速機ケース1に解除自在に固定する第1ブレーキB1と、第2回転要素たるキャリアCbを変速機ケース1に解除自在に固定する第2ブレーキB2とを備えている。
第2クラッチC2は単式プラネタリギヤ4と複式プラネタリギヤ5との間に配置され、第2クラッチC2の第3クラッチドラムC3aが入力軸2に回転自在に軸支されている。
第4実施形態の自動変速機では、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とを係合させると、第4回転要素たる第1サンギヤSb1(第1要素)の回転速度が「1」、第2回転要素たるキャリアCbの回転速度が「0」になり、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbが「1st」で回転して、1速段が確立される。
第1クラッチC1と第1ブレーキB1とを係合させると、第4回転要素たる第1サンギヤSb1(第1要素)の回転速度が「1」、第1回転要素たる第2サンギヤSb2(第2要素)の回転速度が「0」になり、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbが「2nd」で回転して、2速段が確立される。
第1クラッチC1と第3クラッチC3とを係合させると、第4回転要素たる第1サンギヤSb1(第1要素)及び第1回転要素たる第2サンギヤSb2(第2要素)の回転速度が共に「1」となり、複式プラネタリギヤ5の各要素が相対回転不能なロック状態となって、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbも「1」である「3rd」で回転し、3速段が確立される。
第1クラッチC1と第2クラッチC2とを係合させると、第4回転要素たる第1サンギヤSb1(第1要素)の回転速度が「1」、第2回転要素たるキャリアCbの回転速度が単式プラネタリギヤ4の出力要素たるリングギヤRaの回転速度と等速度であるN1となり、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbが「4th」で回転して、4速段が確立される。
第2クラッチC2と第3クラッチC3とを係合させると、第1回転要素たる第2サンギヤSb2(第2要素)の回転速度が「1」、第2回転要素たるキャリアCbの回転速度がN1となり、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbが「5th」で回転して、5速段が確立される。
第2クラッチC2と第1ブレーキB1とを係合させると、第2回転要素たるキャリアCbの回転速度がN1、第1回転要素たる第2サンギヤ(第2要素)の回転速度が「0」となり、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbが「6th」で回転して、6速段が確立される。
第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを係合させると、第1回転要素たる第2サンギヤSb2(第2要素)の回転速度が「1」、第2回転要素たるキャリアCbの回転速度が「0」となり、出力ギヤ3と連結する第3回転要素たるリングギヤRbが前進方向とは逆の後進方向である「Rev」で回転して、後進段が確立される。
図4(b)は、上述した各変速段と各クラッチC1〜C3、ブレーキB1,B2の係合状態との関係を纏めて示したものであり、「○」は係合を表している。
上述した構成を有する自動変速機において、各クラッチC1〜C3及び各ブレーキB1,B2は、図6に示す油圧回路Lにより制御される。
この油圧回路Lは、図外のエンジンにより駆動されると共にオイルタンクTの作動油を油路L21に吐出するポンプPと、油圧回路のライン油圧PLを調圧するレギュレータ弁6と、図外のセレクトレバーに連動するマニュアル弁7と、リニアソレノイド弁から成る第1から第5の5つの油圧調整弁81a,81b,81c,81d,81eと、第1から第3の3つの開閉式ソレノイド弁82a,82b,82cと、第1から第3の3つのシフト弁91,92,93と、ロックアップシフト弁94と、ロックアップ制御弁95とを備える。
レギュレータ弁6と油路L21とは油路L21aを介して接続されている。マニュアル弁7と油路L21とは油路L21bを介して接続されている。3つのソレノイド弁82a,82b,82c、第2シフト弁92、ロックアップ制御弁95、第3油圧調整弁81c、及び第5油圧調整弁81eは、油路L31を介してマニュアル弁7に接続されている。
又、第1油圧調整弁81a、第2油圧調整弁81b、第4油圧調整弁81d、第1〜第3の3つのシフト弁91,92,93は、油路L32を介してマニュアル弁7に接続されている。マニュアル弁7は、図外のセレクトレバーにより1速段から6速段の自動変速位置である「D」に切換操作されると、油路L21bを油路L31及び油路L32に連通させ、油路L21bから供給されるライン油圧PLを、油路L31,L32に供給する。
第1油圧調整弁81aは、通電オンの場合には、油路L32から供給されるライン油圧PLをコントローラTCUにより指示された所定の油圧に調整して、油路L41を介しロックアップシフト弁94に供給する。第1油圧調整弁81aは、通電オフの場合には、油路L41を介したロックアップシフト弁94への油圧の供給を遮断する。
第2油圧調整弁81bは、通電オンの場合には、油路L32から供給されるライン油圧PLをコントローラTCUにより指示された所定の油圧に調整して、油路L42を介し第1シフト弁91及び第2シフト弁92に供給する。第2油圧調整弁81bは、通電オフの場合には、油路L42を介した第1シフト弁91及び第2シフト弁92への油圧の供給を遮断する。
第3油圧調整弁81cは、通電オンの場合には、油路L31から供給されるライン油圧PLをコントローラTCUにより指示された所定の油圧に調整して、油路L43を介し第3シフト弁93に供給する。第3油圧調整弁81cは、通電オフの場合には、油路L43を介した第3シフト弁93への油圧の供給を遮断する。
第4油圧調整弁81dは、通電オンの場合には、油路L32から供給されるライン油圧PLをコントローラTCUにより指示された所定の油圧に調整して、油路L44を介し第1ブレーキB1に供給する。第4油圧調整弁81dは、通電オフの場合には、油路L44を介した第1ブレーキB1への油圧の供給を遮断する。又、油路L44には、第1ブレーキB1と並列に、油圧の脈動を抑制させる第5アキュムレータAcc5と、油圧が供給されているか否かを検出する第1ブレーキ用スイッチSW5とが設けられている。
第5油圧調整弁81eは、通電オンの場合には、油路L31から供給されるライン油圧PLをコントローラTCUにより指示された予定の油圧に調整して、油路L45を介しレギュレータ弁6に供給する。第5油圧調整弁81eは、通電オフの場合には、油路L45を介したレギュレータ弁6への油圧の供給を遮断する。
又、コントローラTCUは、インギヤ時では、第5油圧調整弁81eを通電オフで並弁させ、ライン油圧PLを、レギュレータ弁6のスプリング6bの付勢力のみに起因する低圧領域に設定する。又、コントローラTCUは、変速時には、第5油圧調整弁81eを通電オンで調圧自在に開弁させ、ライン油圧PLを高圧領域に設定する。
第1シフト弁91は、油路L51及び油路L52の2つの油路で第2シフト弁と接続している。又、第1シフト弁91は、油路L53を介してロックアップシフト弁94と接続している。油路L53には、分岐する油路L53aを介して第2アキュムレータAcc2が接続されている。又、第1シフト弁91は、油路L71を介して第2ブレーキB2と接続している。油路L71には、第2ブレーキB2と並列に、油圧が供給されているか否かを検出する第2ブレーキ用スイッチSW2が設けられている。
又、第1シフト弁91は、複数の環状溝を有し、図6における左右方向に摺動自在に内挿されたスプール91aを備える。スプール91aは、スプリング91bにより右側に付勢されている。
この状態では、第2油圧調整弁81bから油路L42を介して供給される油圧は、スプール91aの環状溝、及び油路L51を介して第2シフト弁92に供給されるように、油路L42と油路L51とが連通される。又、油路L32から供給されるライン油圧PLがスプール91aの環状溝及び油路L52を介して第2シフト弁92に供給されるように、油路L32と油路L52とが連通される。又、油路L53と油路L71とが連通される。
第1開閉式ソレノイド弁82aは、通電オンで開弁し、油路L31から供給されるライン油圧PLを油路L61を介して、第1シフト弁91の右端部に供給する。これにより、第1シフト弁91のスプール91aがスプリング91bの付勢力に抗して左側に移動する。この状態のときには、油路L52と油路L53とが連通される。
第2シフト弁92は、油路L72を介して第1クラッチC1と接続すると共に、油路L73を介して第2クラッチC2と接続している。油路L72には、第1クラッチC1と並列に、油圧の脈動を抑制させる第1アキュムレータAcc1と、油圧が供給されているか否かを検出する第1クラッチ用スイッチSW1とが設けられている。油路L73には、第2クラッチC2と並列に、油圧の脈動を抑制させる第3アキュムレータAcc3と、油圧が供給されているか否かを検出する第2クラッチ用スイッチSW3とが設けられている。
又、第2シフト弁92は、複数の環状溝を有し左右方向に摺動自在に内挿されたスプール92aを備える。スプール92aは、スプリング92bにより右側に付勢されている。この状態では、油路L51と油路L73とが連通すると共に、油路L52と油路L72とが連通する。
第2開閉式ソレノイド弁82bは、通電オンで開弁し、油路L31から供給されるライン油圧PLを油路L62を介して、第2シフト弁92の右端部に供給する。これにより、第2シフト弁92のスプール92aがスプリング92bの付勢力に抗して左側に移動する。この状態では、油路L52と油路L73とが連通すると共に、油路L42を介して供給される第2油圧調整弁81bの出力油圧が油路L72を介して第1クラッチC1に供給されるように、油路L42と油路L72とが連通する。
第3シフト弁93は、複数の環状溝を有し左右方向に摺動自在に内挿されたスプール93aを備える。スプール93aは、スプリング93bにより右側に付勢されている。この状態では、油路L43を介して供給される第3油圧調整弁の出力油圧が、油路L74を介して第3クラッチC3に供給されるように、油路L43と油路L74とが連通する。油路74には、第3クラッチC3と並列に、油圧の脈動を抑制させる第4アキュムレータAcc4と、油圧が供給されているか否かを検出する第3クラッチ用スイッチSW4とが設けられている。
又、第3シフト弁93は、第2開閉式ソレノイド弁82bが通電オンで開弁すると、油路L62を介してライン油圧PLが第3シフト弁93の右端部に供給され、スプール93aがスプリング93bの付勢力に抗して左側に移動する。
ロックアップシフト弁94は、複数の環状溝を有し左右方向に摺動自在に内挿されたスプール94aを備える。スプール94aは、スプリング94bにより右側に付勢されている。この状態では、油路L41と油路L53とが連通し、第1油圧調整弁81aで調圧された油圧が、油路L41、スプール94aの環状溝、油路L53を介して第1シフト弁91に供給され、又、油路L53から分岐する油路L53aを介して第2アキュムレータAcc2に供給される。
第3開閉式ソレノイド弁82cが通電オンにより開弁されると、ライン油圧PLが油路L63を介して、ロックアップシフト弁94の右端部に供給される。これにより、ロックアップシフト弁94のスプール94aがスプリング94bの付勢力に抗して左側に移動する。この状態のときには、油路L41がロックアップシフト弁94とロックアップ制御弁95とを接続する油路L54と連通され、第1油圧調整弁81aから出力される油圧は、ロックアップ制御弁95の右端部に供給される。
ロックアップ制御弁95は、複数の環状溝を有し左右方向に摺動自在に内挿されたスプール95aを備える。スプール95aは、スプリング95bにより右側に付勢されている。ロックアップ制御弁95のスプール95aは、油路L41、ロックアップシフト弁94、油路L54を介して供給される第1油圧調整弁81aの油圧により、スプリング95aの付勢力に抗して左側に移動する。
この状態では、マニュアル弁7から油路L31を介して供給されるライン油圧PLが油路L75を介してロックアップクラッチLCに供給される。ロックアップ制御弁95のスプール95aの左側への移動量は、第1油圧調整弁81aが供給する油圧を調整することにより制御される。これにより、油路L75からロックアップクラッチLCに供給する油圧を調整して、流体トルクコンバータTCの内圧よりも高い油圧を供給することにより、ロックアップクラッチLCが係合される。逆に、流体トルクコンバータTCの内圧よりも低い油圧を油路L75から供給すれば、ロックアップクラッチLCは係合しない。
次に、図7を参照して、各変速段における各油圧調整弁81a〜81e、各開閉式ソレノイド弁82a〜82c、各シフト弁91〜93、及びロックアップシフト弁94の作動について説明する。
尚、図7では、油圧調整弁における「○」は、通電オンで供給されたライン油圧PLをそのまま出力するか又は調圧して出力する状態を示し、「×」は、通電オフで供給されたライン油圧PLを遮断する状態を示す。尚、「−」は、油圧調整弁にライン油圧PLが供給されていない状態を示す。又、開閉式ソレノイド弁における「○」は通電オンによる開弁を示し、「×」は通電オフによる閉弁を示す。シフト弁における「○」はスプールが左側に移動した状態を示し、「×」はスプールが右側に位置した状態を示している。
又、第1油圧調整弁81aにおける「LC/×」は、ロックアップクラッチLCを係合させるか否かで上記油圧調整弁の状態における「○」と「×」とが切り替わることを示している。即ち、ロックアップクラッチLCを係合させる場合は「○」、ロックアップクラッチLCを係合させない場合は「×」となる。
第3開閉式ソレノイド弁82cにおける「○/×」は、ロックアップクラッチLCを係合させるか否かで「○」と「×」とが切り替わることを示し、ロックアップシフト弁94における「○/×」は、ロックアップクラッチLCを係合させる場合は「○」、ロックアップクラッチLCを係合させない場合は「×」となり、第3開閉式ソレノイド弁82cと同調することを示している。
即ち、第1油圧調整弁81a、第3開閉式ソレノイド弁82c及びロックアップシフト弁94は、何れもロックアップクラッチLCを係合させる場合には「○」、ロックアップクラッチLCを係合させない場合には「×」となる。
又、第1油圧調整弁81aは、第3開閉式ソレノイド弁82c及びロックアップシフト弁94が「×」の場合は、第1クラッチC1又は第2ブレーキB2への油圧の制御を行なう。
尚、本実施形態のロックアップクラッチLCの係合の詳細については従来技術と同様であるため説明を省略する。又、ロックアップ制御弁95も、ロックアップクラッチLCの係合状態によりスプールの95aが移動するため、説明を省略する。
セレクトレバーによりマニュアル弁7のスプール7aがニュートラル位置である「N」から1速から6速の自動変速位置である「D」に切換操作されたインギヤ時においては、マニュアル弁7がポンプPから油路L21,L21bを介して供給されるライン油圧PLを油路L31及び油路L32に供給する状態となる。又、第1開閉式ソレノイド弁82aが通電オンで開弁し、第1シフト弁91のスプール91aがスプリング91bの付勢力に抗して左側に移動する。
又、第1油圧調整弁81aが通電オンで油路L32から供給される油圧を調整して油路L41に出力する。第1油圧調整弁81aから出力された油圧は、油路L41、ロックアップシフト弁94、油路L53、第1シフト弁91、油路L52、第2シフト弁92、油路L72を経由して、第1クラッチC1及び第1アキュムレータAcc1に供給される。又、油路L53から分岐する油路L53aを介して第2アキュムレータAcc2にも供給される。
インギヤ時には、ライン油圧PLが低圧領域に設定されるが、本実施形態では、第1アキュムレータAcc1及び第2アキュムレータAcc2の2つのアキュムレータを用いて、油圧の長周期の脈動を適切に抑制させることができる。又、第2アキュムレータAcc2は、第2ブレーキB2用のアキュムレータであるため、新たなアキュムレータを設ける必要がなく、インギヤ用のアキュムレータを新たに設けたものと比較して、小型化を図ることができる。
1速段を確立する際には、第1開閉式ソレノイド弁82aを通電オフで閉弁させ、第1シフト弁91をスプール91aが右側に位置した状態とする。このとき、第1シフト弁91は、油路L32と油路L52とを連通させると共に、油路L53と油路L71とを連通させる状態となる。
そして、油路L32から供給されるライン油圧PLが、第1シフト弁91、油路L52、第2シフト弁92、油路L72を介して、第1クラッチC1及び第1アキュムレータAcc1に供給される。このとき、ライン油圧PLは、第5油圧調整弁81eの出力油圧がレギュレータ弁6の左端部に供給されることにより調整される。
又、第1油圧調整弁81aは通電オンとされ、出力される油圧は、油路L41、ロックアップシフト弁94、油路L53、第1シフト弁91、油路L71を介して第2ブレーキB2に供給される。又、油路L53から分岐する油路L53aを介して第2アキュムレータAcc2にも供給される。
このようにして、第1油圧クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合され、1速段が確立される。
尚、第2ブレーキB2と並列に一方向クラッチを設けた場合には、第1油圧調整弁81aにより第2ブレーキB2を必ずしも係合させる必要はなく、エンジンブレーキを利かせる場合のみ第1油圧調整弁81aにより第2ブレーキB2を係合させればよい。
第2ブレーキB2を係合させない場合には、第3開閉式ソレノイド弁82cを通電オンで開弁させてロックアップシフト弁94のスプール94aを左側に移動させ、第1油圧調整弁81aから出力される油圧を、油路L41、ロックアップシフト弁94、油路L54を介して、ロックアップ制御弁95の右端部に供給させることができる。これにより、第1油圧調整弁81aでロックアップ制御弁95を制御し、ロックアップクラッチLCの係合を制御することができる。即ち、第4実施形態の第1油圧調整弁81aは、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とロックアップクラッチLCの3つの摩擦係合要素の係合を制御する。
2速段を確立する際には、第4油圧調整弁81dを通電オンで調圧自在に開弁させて、第4油圧調整弁81dから出力される油圧を、油路L44を介して第1ブレーキB1に供給することにより、第1ブレーキB1を係合させる。又、1速段を確立するときと同様にして、第1クラッチC1にライン油圧PLを供給する。このようにして、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合されて、2速段が確立される。
3速段を確立する際には、第3油圧調整弁81cを通電オンで調圧自在に開弁させて、第3油圧調整弁81cから出力される油圧を、油路L43、第3シフト弁93、油路L74を介して第3クラッチC3に供給し、第3油圧調整弁81cにより第3クラッチC3の係合圧を制御する。又、1速段及び2速段と同様にして、第1クラッチC1にライン油圧PLを供給する。このようにして、第1クラッチC1と第3クラッチC3とが係合されて、3速段が確立される。
4速段を確立する場合には、2つのパターンがある。第1のパターンは、3速段からのアップシフトで4速段を確立する場合や4速段で走行中に車両の走行状態から3速段へのシフトダウンが予測されるとコントローラTCUが判断した場合であり、この第1のパターンを4速段Lowと定義して説明する。又、第2のパターンは、5速段からのダウンシフトで4速段を確立する場合や4速段で走行中に車両の走行状態から5速段へのシフトアップが予測されるとコントローラTCUが判断した場合であり、この第2のパターンを4速段Highと定義して説明する。
4速段Lowの場合には、第2油圧調整弁81bを通電オンで調圧自在に開弁させて、第2油圧調整弁81bから出力される油圧を、油路L42、第1シフト弁91、油路L51、第2シフト弁92、油路L73を介して、第2クラッチC2に供給することにより、第2クラッチC2を係合させる。又、1〜3速段と同様にして、第1クラッチC1にライン油圧PLを供給する。このようにして、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合されて、4速段(Low)が確立される。
4速段Highの場合には、第2開閉式ソレノイド弁82bを通電オンで開弁させ、第2シフト弁92をスプール92aが左側に移動した状態とする。このとき、油路L32から供給されるライン油圧PLがスプール92aに設けられたロック用環状溝92cに供給され、第2開閉式ソレノイド弁82bを通電オフで閉弁させてもスプール92aが左側に移動した状態を維持するセルフロック機能が働く。
第2油圧調整弁81bは通電オンで調圧自在に開弁されて、第2油圧調整弁81bから出力される油圧は、油路L42、第2シフト弁92、油路L72を介して、第1クラッチC1に供給される。又、油路L32から供給されるライン油圧PLが、第1シフト弁91、油路L52、第2シフト弁92、油路L73を介して第2クラッチC2に供給される。このようにして、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合されて、4速段(High)が確立される。
尚、4速段Highの状態から4速段Lowの状態へ移行するためには、第2シフト弁92のセルフロック機能を解除する必要がある。この場合、第1開閉式ソレノイド弁82aを通電オンで開弁させて、油路L61を介してライン油圧PLを第2シフト弁92の左端部に供給し、第2シフト弁92のセルフロック機能を解除する。又、第1開閉式ソレノイド弁82aを開弁させることにより、油路L61を介してライン油圧PLが第1シフト弁91の右端部に供給されるが、第3開閉式ソレノイド弁82cを通電オンで開弁させて、油路L63を介しライン油圧PLを第1シフト弁91の左端部に供給することにより、第1シフト弁91のスプール91aが左側へ移動することを阻止し、右側に位置した状態を維持させている。
5速段を確立する際には、第3油圧調整弁81cを通電オンで調圧自在に開弁させて、第3油圧調整弁81cから出力される油圧を、油路L43、第3シフト弁93、油路L74を介して第3クラッチC3に供給し、第3油圧調整弁81cにより第3クラッチC3の係合圧を制御する。又、4速段Highと同様にして、第2クラッチC2にライン油圧PLを供給する。このようにして、第2クラッチC2と第3クラッチC3とが係合されて、5速段が確立される。
6速段を確立する際には、第4油圧調整弁81dを通電オンで調圧自在に開弁させて、第4油圧調整弁81dから出力される油圧を、油路L44を介して第1ブレーキB1に供給することにより、第4油圧調整弁81dで第1ブレーキB1の係合圧を制御する。又、4速段High及び5速段と同様にして、第2クラッチC2にライン油圧PLを供給する。このようにして、第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合されて、6速段が確立される。
マニュアル弁7が後進段位置である「R」に切換操作された後進インギヤ時においては、マニュアル弁7は、スプール7aの移動により、油路L21bと油路L32との連通を遮断し、油路L21bから供給されるライン油圧PLを油路L31及び油路L33に供給する状態となる。油路L33は、第1シフト弁91、第3シフト弁93及びロックアップシフト弁94に接続されている。
又、第1開閉式ソレノイド弁82aが通電オンで開弁され、油路L61を介してライン油圧PLが第1シフト弁91の右端部に供給されることにより、第1シフト弁91は、スプール91aが左側に移動した状態となり、油路L33と油路L71とが連通する。これにより、油路L33を介して第1シフト弁91に供給されるライン油圧PLが油路L71を介して第2ブレーキB2に供給される。
又、第3油圧調整弁81cが通電オンで調圧自在に開弁され、第3油圧調整弁81cの出力油圧が油路L43、第3シフト弁93及び油路L74を介して第3クラッチC3及び第4アキュムレータAcc4に供給される。
後進段を確立する際には、後進インギヤの状態から第2開閉式ソレノイド弁82bを通電オンで開弁させて、ライン油圧PLを第3シフト弁93の右端部に供給し、第3シフト弁93をスプール93aが左側に移動した状態にする。これにより、油路L33と油路L74とが連通した状態となり、ライン油圧PLが、油路L33、第3シフト弁93及び油路L74を介して、第3クラッチC3と第4アキュムレータAcc4に供給される。又、第2ブレーキB2は後進インギヤと同様に係合される。
このようにして、第3クラッチC3と第2ブレーキB2とが係合され、後進段が確立される。
第4実施形態の変速機の制御装置によれば、ライン油圧PLが低圧領域であるインギヤ時においては、第1クラッチC1に供給される第1油圧調整弁81aの出力油圧の脈動を第1と第2の2つのアキュムレータAcc1,Acc2で抑制する。従って、1つの小容量タイプのアキュムレータで油圧の脈動を抑制させる場合と比較して、低圧領域で発生する油圧の長周期脈動を適切に抑制することができ、又、アキュムレータ全体として容量が2倍となるため、ショックの発生を防止することができる。
又、4速段Highを確立する際には、ライン油圧PLが高圧領域に設定されており、第1クラッチC1に供給される第2油圧調整弁81bの出力油圧の脈動は、小容量タイプの第1アキュムレータAcc1で抑制する。これにより、高圧領域で発生する油圧の短周期脈動を適切に抑制すると共に、第1クラッチC1を迅速に係合させることができる。
従って、ライン油圧PLが高圧領域と低圧領域の何れの状態であっても、アキュムレータ全体として、その状態に適した特性を得ることができる。
又、第4実施形態の第2アキュムレータAcc2は、1速段を確立させる際に、第2ブレーキB2用のアキュムレータとして機能する。換言すれば、インギヤ時においては、第2ブレーキB2用の第2アキュムレータAcc2を用いて、第1クラッチC1を係合させる際のアキュムレータ全体の容量を増加させている。従って、インギヤ時用の第2アキュムレータを別途設ける必要がなく、小型化を図ることができる。