以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両1の概略構成図である。車両1は、エンジン2と、前後進切替機構3と、バリエータ4と、終減速機構5と、駆動輪6と、油圧回路100と、を備える。
エンジン2は、車両1の駆動源を構成する。エンジン2の出力は、前後進切替機構3、バリエータ4、終減速機構5を介して駆動輪6へと伝達される。したがって、バリエータ4は、前後進切替機構3や終減速機構5とともに、エンジン2から駆動輪6に動力を伝達する動力伝達経路に設けられる。
前後進切替機構3は、上述の動力伝達経路においてエンジン2とバリエータ4との間に設けられる。前後進切替機構3は、前進走行に対応する正転方向と後退走行に対応する逆転方向との間で、入力される回転の回転方向を切り替える。
前後進切替機構3は具体的には、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32と、を備える。前進クラッチ31は、回転方向を正転方向とする場合に連結される。後退ブレーキ32は、回転方向を逆転方向とする場合に連結される。前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の一方は、エンジン2とバリエータ4と間の回転を断続するクラッチとして構成することができる。
バリエータ4は、プライマリプーリ41と、セカンダリプーリ42と、プライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42に巻き掛けられたベルト43と、を有する。以下では、プライマリをPRIとも称し、セカンダリをSECとも称す。バリエータ4は、PRIプーリ41とSECプーリ42との溝幅をそれぞれ変更することでベルト43の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式無段変速機構を構成している。
PRIプーリ41は、固定プーリ41aと、可動プーリ41bと、を備える。PRI油圧室41cに供給されるプーリ圧であるPRI圧を制御することにより、可動プーリ41bが作動し、PRIプーリ41の溝幅が変更される。
SECプーリ42は、固定プーリ42aと、可動プーリ42bと、を備える。SEC油圧室42cに供給されるプーリ圧であるSEC圧を制御することにより、可動プーリ42bが作動し、SECプーリ42の溝幅が変更される。
ベルト43は、PRIプーリ41の固定プーリ41aと可動プーリ41bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ42の固定プーリ42aと可動プーリ42bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
終減速機構5は、バリエータ4からの出力回転を駆動輪6に伝達する。終減速機構5は、複数の歯車列やディファレンシャルギアを有して構成される。終減速機構5は、車軸を介して駆動輪6を回転する。
油圧回路100は、バリエータ4、具体的にはPRIプーリ41及びSECプーリ42に油圧を供給する。油圧回路100は、前後進切替機構3にも油圧を供給する。油圧回路100は具体的には、次のように構成される。
図2は、油圧回路100の概略構成図である。油圧回路100は、油圧ポンプ101と、ライン圧調整弁102と、減圧弁103と、ライン圧ソレノイドバルブ104と、前後進切替機構用ソレノイドバルブ105と、PRI圧ソレノイドバルブ106と、SEC圧ソレノイドバルブ107と、マニュアルバルブ108と、ライン圧油路109と、蓄圧回路部110と、低圧系制御弁130と、を備える。以下では、ソレノイドバルブをSOLと称す。
油圧ポンプ101は、エンジン2の動力によって駆動する。油圧ポンプ101は、ライン圧油路109を介して、ライン圧調整弁102、減圧弁103、PRI圧SOL106、SEC圧SOL107及び蓄圧回路部110と接続される。ライン圧油路109はライン圧の油路を構成する。ライン圧は、PRI圧やSEC圧の元圧となる油圧である。
ライン圧調整弁102は、油圧ポンプ101が発生させる油圧を調整してライン圧を生成する。油圧ポンプ101がライン圧を発生させることは、このようなライン圧調整弁102の作用のもと、ライン圧を発生させることを含む。ライン圧調整弁102が調圧時にリリーフするオイルは、低圧系制御弁130を介して潤滑系に供給される。
減圧弁103は、ライン圧を減圧する。減圧弁103によって減圧された油圧は、ライン圧SOL104や前後進切替機構用SOL105に供給される。
ライン圧SOL104は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた制御油圧を生成する。ライン圧SOL104が生成した制御油圧は、ライン圧調整弁102に供給され、ライン圧調整弁102は、ライン圧SOL104が生成した制御油圧に応じて作動することで調圧を行う。このため、ライン圧SOL104への制御電流によってライン圧PLの指令値を設定することができる。
前後進切替機構用SOL105は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じた油圧を生成する。前後進切替機構用SOL105が生成した油圧は、運転者の操作に応じて作動するマニュアルバルブ108を介して前進クラッチ31や後退ブレーキ32に供給される。
PRI圧SOL106は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じてPRI圧を生成する。このため、PRI圧SOL106への制御電流によってPRI圧の指令値を設定することができる。PRI圧SOL106が生成したPRI圧は、PRI油圧室41cに供給される。PRI圧は例えば、制御電流に応じた制御油圧を生成するSOLと、当該SOLが生成した制御油圧に応じてライン圧PLからPRI圧を生成する調圧弁とによって生成されてもよい。
SEC圧SOL107は、リニアソレノイドバルブであり、制御電流に応じてSEC圧を生成する。このため、SEC圧SOL107への制御電流によってSEC圧の指令値を設定することができる。SEC圧SOL107が生成したSEC圧は、SEC油圧室42cに供給される。SEC圧は例えば、制御電流に応じた制御油圧を生成するSOLと、当該SOLが生成した制御油圧に応じてライン圧PLからSEC圧を生成する調圧弁とによって生成されてもよい。
蓄圧回路部110は、ライン圧油路109に設けられる。蓄圧回路部110は、第1アキュムレータ111、第1のSOL112、蓄圧SOL113及びチェック弁114と、第2アキュムレータ121、第2のSOL122及びリリーフ弁123と、を有して構成される。蓄圧回路部110は、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断と、第2アキュムレータ121とライン圧油路109との連通及び連通の遮断と、を行う。
第1アキュムレータ111は、油圧P1を蓄え、また、蓄えた油圧P1を放出する。第1アキュムレータ111は、第1のSOL112を介してライン圧油路109に接続されるとともに、蓄圧SOL113及びチェック弁114を介してライン圧油路109に接続される。
第1のSOL112は、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行う。第1のSOL112には、ノーマルクーロズタイプのバルブが適用されている。このため、第1のSOL112は、ONのときすなわち通電時に第1アキュムレータ111とライン圧油路109とを連通し、OFFのときすなわち非通電時に第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通を遮断する。
蓄圧SOL113は、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行う。蓄圧SOL113には、ノーマルオープンタイプのバルブが適用されている。このため、蓄圧SOL113は、ONのときに第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通を遮断し、OFFのときに第1アキュムレータ111とライン圧油路109とを連通する。
蓄圧SOL113は、第1アキュムレータ111の油圧P1をパイロット圧として導入するパイロットポート113aを有する。パイロットポート113aは、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通を遮断する方向に油圧を作用させる。
このように構成された蓄圧SOL113は、第1アキュムレータ111の油圧P1が第1設定値PS1になった場合に、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通を遮断する遮断機構としても機能する。蓄圧SOL113は具体的には、第1のSOL112がOFFのときにこのような遮断機構として機能する。蓄圧SOL113は、このような遮断機構として機能することで、第1アキュムレータ111の蓄圧設定値を第1設定値PS1に設定する。第1設定値PS1は例えば、1.5MPaである。
チェック弁114は、蓄圧SOL113とライン圧油路109との間に設けられ、ライン圧油路109側から第1アキュムレータ111側への流通を許容する一方で、第1アキュムレータ111側からライン圧油路109側への流通を阻止する。
このため、蓄圧SOL113がOFFのときに、蓄圧SOL113を介して第1アキュムレータ111の油圧P1がライン圧油路109に放出されることはない。蓄圧SOL113は、このようなチェック弁114が設けられることで、チェック弁114が開弁する圧力条件下で、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行う。
第2アキュムレータ121は、油圧P2を蓄え、また、蓄えた油圧P2を放出する。第2アキュムレータ121は、第2のSOL122を介してライン圧油路109に接続されるとともに、リリーフ弁123に接続される。
第2のSOL122は、第2アキュムレータ121とライン圧油路109との連通及び連通の遮断を行う。第2のSOL122には、ノーマルクーロズタイプのバルブが適用される。このため、第2のSOL122は、ONのときに第2アキュムレータ121とライン圧油路109とを連通し、OFFのときに第2アキュムレータ121とライン圧油路109との連通を遮断する。
リリーフ弁123は、オイルをリリーフする。リリーフ弁123は、パイロットポート123aを有する。パイロットポート123aは、第2アキュムレータ121の油圧P2をパイロット圧としてリリーフ弁123に導入する。パイロットポート123aは、第2アキュムレータ121とリリーフ先のオイルパンとを連通する方向に油圧P2を作用させる。
このように構成されたリリーフ弁123は、第2アキュムレータ121の油圧P2が第2設定値PS2になった場合に、油圧P2の上昇を抑制するオイルリリーフ機構として機能する。リリーフ弁123は、このようなリリーフ機構として機能することで、第2アキュムレータ121の蓄圧設定値を第2設定値PS2に設定する。第2設定値PS2は、第1設定値PS1よりも大きな値であり、例えば6MPaである。
次に、図3から図6を用いて蓄圧回路部110の動作について説明する。図3から図6において、太線で示す油路は、蓄圧や油圧の放出に関連する油路を示す。
図3に示すように、第1アキュムレータ111に蓄圧する場合、第1のSOL112は遮断状態とされ、蓄圧SOL113は連通状態とされる。これにより、ライン圧PLが第1アキュムレータ111の油圧P1よりも高い場合に、ライン圧油路109からチェック弁114及び蓄圧SOL113を介して第1アキュムレータ111に油圧を供給することが可能になる。またこの場合には、第2のSOL122は遮断状態とされる。このためこの場合には、第2アキュムレータ121への蓄圧や第2アキュムレータ121からの油圧P2の放出は行われない。
図4に示すように、第1アキュムレータ111から油圧P1を放出する場合、第1のSOL112と蓄圧SOL113とは連通状態とされる。これにより、ライン圧PLが第1アキュムレータ111の油圧P1よりも低い場合に、第1アキュムレータ111から第1のSOL112を介してライン圧油路109に油圧P1を放出することが可能になる。またこの場合には、第2のSOL112は、遮断状態とされる。このためこの場合には、第2アキュムレータ121への蓄圧や第2アキュムレータ121からの油圧P2の放出は行われない。蓄圧SOL113は遮断状態とされてもよい。
図5に示すように、第2アキュムレータ121に蓄圧する場合、第2のSOL122は連通状態とされる。これにより、ライン圧PLが第2アキュムレータ121の油圧P2よりも高い場合に、ライン圧油路109から第2のSOL122を介して第2アキュムレータ121に油圧を供給することが可能になる。またこの場合には、第1のSOL112と蓄圧SOL113とは遮断状態とされる。このためこの場合には、第1アキュムレータ111への蓄圧や第1アキュムレータ111からの油圧P1の放出は行われない。
図6に示すように、第2アキュムレータ121から油圧P2を放出する場合、第2のSOL122は連通状態とされる。これにより、ライン圧PLが第2アキュムレータ121の油圧P2よりも低い場合に、第2アキュムレータ121から第2のSOL122を介してライン圧油路109に油圧P2を放出することが可能になる。またこの場合には、第1のSOL112と蓄圧SOL113とは遮断状態とされる。このためこの場合には、第1アキュムレータ111への蓄圧や第1アキュムレータ111からの油圧P1の放出は行われない。
図1に戻り、車両1はコントローラ10をさらに備える。コントローラ10は電子制御装置であり、コントローラ10には、センサ・スイッチ群11からの信号が入力される。センサ・スイッチ群11は例えば、車両1のアクセル開度を検出するアクセル開度センサや、車両1のブレーキ踏力を検出するブレーキセンサや、車速Vspを検出する車速センサや、エンジン2の回転速度NEを検出するエンジン回転速度センサや、第1アキュムレータ111の油圧P1を検出する第1油圧センサや、第2アキュムレータ121の油圧P2を検出する第2油圧センサを含む。
センサ・スイッチ群11はさらに例えば、PRI圧を検出するPRI圧センサや、SEC圧を検出するSEC圧センサや、PRIプーリ41の入力側回転速度を検出するPRI回転速度センサや、SECプーリ42の出力側回転速度を検出するSEC回転速度センサを含む。センサ・スイッチ群11からの信号は例えば、他のコントローラを介してコントローラ10に入力されてもよい。センサ・スイッチ群11からの信号に基づき他のコントローラで生成された情報等の信号についても同様である。
コントローラ10は、センサ・スイッチ群11からの信号に基づき油圧回路100を制御する。具体的には、コントローラ10は、図2に示すライン圧SOL104や蓄圧回路部110を制御する。コントローラ10はさらに、前後進切替機構用SOL105やPRI圧SOL106やSEC圧SOL107を制御するように構成される。
ライン圧SOL104を制御するにあたり、コントローラ10は、ライン圧PLの指令値に応じた制御電流をライン圧SOL104に通電する。
蓄圧回路部110を制御するにあたり、コントローラ10は、図2に示す第1のSOL112、蓄圧SOL113及び第2のSOL122を制御する。コントローラ10は例えば、図3から図6に示す状態それぞれのうちいずれかの状態になるように蓄圧回路部110を制御する。図3及び図5に示すように、蓄圧回路部110は、コントローラ10の制御のもと、第1アキュムレータ111及び第2アキュムレータ121のうち一方への蓄圧を行う場合に他方への蓄圧を禁止する。
次に、コントローラ10が行う制御の一例を図7及び図8に示すフローチャートを用いて説明する。コントローラ10は、図7及び図8のフローチャートに示す処理を微小時間毎に繰り返し実行することができる。
ステップS1で、コントローラ10は、減速走行時であるか否かを判定する。減速走行時であるか否かは例えば、車速Vspがゼロよりも大きく且つアクセルペダルがOFFであるか否かを判定することで、判定することができる。減速走行時であるか否かを判定するにあたってはさらに、ブレーキペダルがONであるか否かを判定してもよい。ステップS1で否定判定であれば、本フローチャートの処理を一旦終了する。ステップS1で肯定判定であれば、処理はステップS2に進む。
ステップS2で、コントローラ10は、フラグFLGが「2」であるか否かを判定する。フラグFLGは、後述するステップS11で「2」に設定される。このため、初回のルーチンでは、ステップS2で否定判定され、処理はステップS3に進む。
ステップS3で、コントローラ10は、フラグFLGが「1」であるか否かを判定する。フラグFLGは、後述するステップS15又はステップS33で「1」に設定される。このため、初回のルーチンではステップS3で否定判定され、処理はステップS4に進む。
ステップS4で、コントローラ10は、車速Vspが所定値Vthよりも高いか否かを判定する。ステップS4で肯定判定であれば、処理はステップS5に進む。
ステップS5で、コントローラ10は、第2アキュムレータ121の油圧P2が第2設定値PS2であるか否かを判定する。ステップS5で否定判定であれば、処理はステップS6に進む。
ステップS6で、コントローラ10は、第1アキュムレータ111の油圧P1が第1設定値PS1であるか否かを判定する。ステップS6で肯定判定であれば、処理はステップS7に進み、ステップS6で否定判定であれば、処理はステップS8に進む。
ステップS7及びステップS8はともに、第2アキュムレータ121への蓄圧を行うにあたり、第1アキュムレータ111への蓄圧を禁止するための処理である。
ステップS8から先に説明すると、ステップS8で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をONにする。これにより、ライン圧PLが油圧P1よりも高い場合であっても、ライン圧油路109と第1アキュムレータ111との連通が遮断される。
ステップS7で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をOFFにする。すなわち、この場合には、油圧P1が第1設定値PS1であるので、蓄圧SOL113をOFFにしても、パイロット圧によってライン圧油路109と第1アキュムレータ111との連通が遮断される。ステップS7又はステップS8の後には、処理はステップS9に進む。
ステップS9で、コントローラ10は、ライン圧PLの指令値を最大値に設定する。これにより、コントローラ10は、減速走行時に第1アキュムレータ111又は第2アキュムレータ121への蓄圧を行わない場合よりも、ライン圧PLの指令値を高める。
ステップS10で、コントローラ10は、第2のSOL122をONにする。これにより、ライン圧油路109と第2アキュムレータ121とが連通するので、第2アキュムレータ121への蓄圧を行うことができる。
ステップS11で、コントローラ10は、フラグFLGを「2」に設定する。したがって、フラグFLGは、第2アキュムレータ121への蓄圧を行っている場合に「2」に設定される。ステップS11の後には、本フローチャートを一旦終了する。
その後のルーチンでは、フラグFLGが「1」なので、ステップS2で肯定判定される。そして、油圧P2が第2設定値PS2でなければ、ステップS5で否定判定され、ステップS6以降の処理が行われる。
その後のルーチンで油圧P2が第2設定値PS2になった場合、ステップS5で肯定判定され、処理はステップS12に進む。この場合、コントローラ10は、ライン圧PLの指令値を通常指令値に設定する。通常指令値は、第1アキュムレータ111又は第2アキュムレータ121への蓄圧を行わない場合の指令値であり、車速Vspやバリエータ4への入力トルクなど車両1の運転状態に応じてバリエータ4を制御するにあたり、確保すべき大きさに設定される。
ステップS13で、コントローラ10は、第2のSOL122をOFFにする。これにより、第2アキュムレータ121への蓄圧が禁止される。
ステップS14で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をOFFにする。これにより、第1アキュムレータ111への蓄圧の禁止が解除される。
ステップS15で、コントローラ10は、フラグFLGを「0」に設定する。したがって、フラグFLGは例えば、第2アキュムレータ121が第2設定値PS2まで蓄圧された場合に「0」に設定される。ステップS15の後には、本フローチャートを一旦終了する。
その後のルーチンでは、フラグFLGが「0」なので、ステップS2及びステップS3で否定判定される。そして、車速Vspが所定値Vthよりも高ければ、ステップS4で肯定判定され、ステップS5の肯定判定を経て、ステップS12以降の処理が行われる。
その後のルーチンで車速Vspが所定値Vth以下になった場合、ステップS4で否定判定され、処理は図8に示すステップS20に進む。この場合、コントローラ10は、車速Vspがコーストストップ車速Vcoastよりも高いか否かを判定する。ステップS20で肯定判定であれば、処理はステップS21に進む。
ステップS21で、コントローラ10は、第1アキュムレータ111の油圧P1が第1設定値PS1であるか否かを判定する。ステップS21で否定判定であれば、処理はステップS22に進む。
ステップS22で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をOFFにする。これにより、蓄圧SOL113を介したライン圧油路109と第1アキュムレータ111との連通が可能になる。
ステップS23で、コントローラ10は、ステップS9と同様、ライン圧PLの指令値を最大値に設定する。
ステップS24で、コントローラ10は、第1のSOL112をOFFにする。これにより、第1のSOL112を介したライン圧油路109と第1アキュムレータ111との連通が遮断されるので、蓄圧SOL113を介して第1アキュムレータ111に蓄圧することができる。
ステップS25で、コントローラ10は、フラグFLGを「1」に設定する。したがって、フラグFLGは例えば、第1アキュムレータ111への蓄圧を行っている場合に「1」に設定される。ステップS25の後には、本フローチャートを一旦終了する。
その後のルーチンでは、フラグFLGが「1」なので、ステップS3の肯定判定を経て、処理がステップS20に進む。そして、ステップS20で肯定判定であれば、処理がステップS21に進み、油圧P1が第1設定値PS1でなければ、ステップS22以降の処理が行われる。
その後のルーチンで油圧P1が第1設定値PS1になった場合、ステップS21で肯定判定されて、処理がステップS26に進む。この場合、コントローラ10は、ライン圧PLの指令値を通常指令値に設定する。
ステップS27で、コントローラ10は、第1のSOL112をOFFにする。これにより、第1アキュムレータ111からライン圧油路109への油圧の放出が禁止される。
ステップS28で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をOFFにする。すなわち、この場合には、油圧P1が第1設定値PS1であるので、蓄圧SOL113をOFFにしても、パイロット圧によってライン圧油路109と第1アキュムレータ111との連通が遮断される。このためこの場合には、蓄圧SOL113を制御しなくても、自動的に第1アキュムレータ111への蓄圧を禁止することができる。
ステップS29で、コントローラ10は、フラグFLGを「0」に設定する。したがって、フラグFLGは、油圧P1が第1設定値PS1になった場合にも「0」に設定される。ステップS29の後には、本フローチャートを一旦終了する。
その後のルーチンでは、フラグFLGが「0」なので、ステップS4の否定判定を経て、処理がステップS20に進む。そして、車速Vspがコーストストップ車速Vcoastよりも高ければ、ステップS20で肯定判定され、ステップS21の肯定判定を経て、ステップS26以降の処理が行われる。
その後のルーチンで車速Vspがコーストストップ車速Vcoast以下になった場合、ステップS20で否定判定され、処理はステップS30に進む。この場合、コントローラ10は、ライン圧PLの指令値を通常指令値に設定する。
ステップS31で、コントローラ10は、第1のSOL112をONにする。これにより、第1のSOL112を介してライン圧油路109と第1アキュムレータ111とが連通するので、第1アキュムレータ111からライン圧油路109に油圧P1を放出することができる。
ステップS32で、コントローラ10は、車速Vspがゼロであるか否かを判定する。ステップS32で否定判定であれば、処理はステップS33に進む。
ステップS33で、コントローラ10は、フラグFLGを「1」に設定する。したがって、フラグFLGは、第1アキュムレータ111からライン圧油路109に油圧P1を放出している場合にも「1」に設定される。ステップS33の後には、本フローチャートを一旦終了する。
その後のルーチンでは、フラグFLGが「1」なので、ステップS3で肯定判定され、ステップS20の否定判定を経て、処理がステップS32まで進む。そして、車速Vspがゼロでなければ、処理がステップS33に進む。
その後のルーチンで車速Vspがゼロになった場合、ステップS32で肯定判定され、処理はステップS34に進む。この場合、コントローラ10は、第1のSOL112をOFFにする。これにより、第1アキュムレータ111からライン圧油路109への油圧P1の放出が禁止される。
ステップS35で、コントローラ10は、フラグFLGを「0」に設定する。したがって、フラグFLGは、第1アキュムレータ111からライン圧油路109への油圧P1の放出を禁止した場合にも「0」に設定される。ステップS35の後には、本フローチャートを一旦終了する。
ところで、第1アキュムレータ111に蓄えた油圧P1は、次のように利用することもできる。
図9は、第1アキュムレータ111に蓄えた油圧P1の放出制御の一例を示す図である。
ステップS40で、コントローラ10は、アイドルストップ後のエンジン再始動指令があるか否かを判定する。エンジン再始動指令があるか否かは例えば、アイドルストップ時にアクセルペダルが踏み込まれたか否かで判定することができる。
ステップS40で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了する。ステップS40で肯定判定であれば、処理はステップS41に進む。
ステップS41で、コントローラ10は、回転速度NEが所定値Ntよりも高いか否かを判定する。エンジン再始動指令は、回転速度NEが所定値Ntよりも高くなるまでの間、継続される。ステップS41で否定判定であれば、処理はステップS42に進む。
ステップS42で、コントローラ10は、ライン圧PLを通常指令値に設定する。すなわち、この場合には、第1アキュムレータ111や第2アキュムレータ121に蓄圧を行わないので、ライン圧PLを通常指令値に設定する。
ステップS43で、コントローラ10は、第1のSOL112をONにする。これにより、第1のSOL112を介してライン圧油路109と第1アキュムレータ111とが連通するので、第1アキュムレータ111からライン圧油路109に油圧P1を放出することができる。ステップS43の後には、本フローチャートを一旦終了する。
その後のルーチンで、回転速度NEが所定値Ntよりも高くなった場合には、ステップS41で肯定判定され、処理はステップS44に進む。この場合も、コントローラ10は、ライン圧PLを通常指令値に設定する。
ステップS45で、コントローラ10は、第1のSOL112をOFFにする。これにより、第1アキュムレータ111からライン圧油路109への油圧P1の放出が禁止される。ステップS45の後には、本フローチャートを一旦終了する。
第2アキュムレータ121に蓄えた油圧P2は、次のように利用することができる。
図10は、第2アキュムレータ121に蓄えた油圧P2の放出制御の一例を示す図である。
ステップS50で、コントローラ10は、キックダウン指令があるか否かを判定する。キックダウン指令は、急加速に応じてバリエータ4の変速比を最Low変速比などLow側にシフトするための指令である。キックダウン指令があるか否かは例えば、アクセルペダルが瞬時に最大限踏み込まれたか否かで判定することができる。キックダウン指令があるか否かは、所定時間内に所定量以上のアクセルペダルの踏み込みがあったか否かなどで判定されてもよい。
ステップS50で否定判定であれば、本フローチャートの処理を一旦終了する。ステップS50で肯定判定であれば、処理はステップS51に進む。この場合、バリエータ4において素早い変速やベルト43の滑り防止を図るため、ライン圧PLとして比較的高い油圧の確保が必要になる。
このため、ステップS51で、コントローラ10は、ライン圧PLの指令値をキックダウン指令に応じた指令対応値に設定する。指令対応値は、実験等に基づき予め設定することができる。
ステップS52で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をONにする。これにより、第1アキュムレータ113への蓄圧が禁止される。さらにステップS53で、コントローラ10は、第2のSOL122をONにする。これにより、ライン圧油路109と第2アキュムレータ121とが連通するので、第2アキュムレータ121からライン圧油路109に油圧P2を放出することができる。
ステップS54で、コントローラ10は、キックダウンが完了したか否かを判定する。キックダウンが完了したか否かは例えば、バリエータ4の変速比が最Low変速比など所定の変速比になったか否かで判定することができる。ステップS54で否定判定であれば、本フローチャートの処理は一旦終了する。
その後、ステップS54で肯定判定であった場合には、処理はステップS55さらにはステップS56に進む。ステップS55で、コントローラ10は、第2のSOL122をOFFにする。ステップS56で、コントローラ10は、蓄圧SOL113をOFFにする。これにより、第2アキュムレータ121からライン圧油路109への油圧P2の放出が禁止される。
ステップS50で、コントローラ10は、バリエータ4に対する要求変速速度Vcが所定値αよりも高いか否かを判定しているといえる。換言すれば、ステップS50で、コントローラ50は、油圧ポンプ101に対するバリエータ4の要求仕事率が所定よりも高いか否かを判定しているといえる。
このため、コントローラ10は、ステップS50でキックダウン指令の代わりに例えば、以下で説明する急制動Low戻し指令があるか否かを判定したり、同じく以下で説明する急制動ベルト保護指令があるか否かを判定したりしてもよい。或いは、ステップS50で、コントローラ10は、これらの指令にキックダウン指令を加えた複数の指令のうちいずれかの指令があるか否かを判定してもよい。
これらの指令があった場合も、キックダウン指令があった場合と同様、バリエータ4において素早い変速やベルト43の滑り防止を図るため、ライン圧として比較的高い油圧の確保が必要になるためである。
急制動Low戻し指令は、低車速下での急制動に応じてバリエータ4の変速比を最Low変速比など所定変速比にダウンシフトするための指令である。急制動Low戻し指令があるか否かは例えば、車速Vspが所定値V1よりも低いときに、急制動があったか否かで判定することができる。急制動Low戻しが完了したか否かは例えば、バリエータ4の変速比が最Low変速比など所定変速比になったか否かで判定することができる。所定変速比や所定値V1は、実験等により予め設定することができる。
急制動ベルト保護指令は、急制動に応じてベルト43の滑りを防止するための指令である。急制動ベルト保護指令があるか否かは例えば、車速Vspが所定値V2よりも高いときに、急制動があったか否かで判定することができる。急制動ベルト保護が完了したか否かは例えば、PRI圧やSEC圧が所定圧になったか否かで判定することができる。所定値V2や所定圧は、実験等により予め設定することができる。
急制動Low戻し指令及び急制動ベルト保護指令につき、急制動があったか否かは例えば、ブレーキペダルが瞬時に最大限踏み込まれたか否かで判定することができる。急制動があったか否かは例えば、所定時間内に所定量以上のブレーキペダルの踏み込みがあったか否かなどで判定されてもよい。所定時間や所定量は、実験等により予め設定することができる。
図11は、減速走行時の各種パラメータの変化を示すタイミングチャートの第1の例を示す図である。図11では、減速走行時であって車速Vspが所定値Vthよりも低い低速減速走行時に蓄圧を行う場合、したがって、第1アキュムレータ111に蓄圧する場合について説明する。また、図11では、その後のコーストストップ時及びアイドルストップ後のエンジン2の再始動時に第1アキュムレータ111の油圧P1を放出する場合について説明する。
タイミングT11以前では、車速Vspが所定値Vthよりも低くなっている。車速Vspは、さらにコーストストップ車速Vcoastよりも大きくなっている。
タイミングT11では、アクセル開度がゼロになり、ブレーキ踏力がゼロよりも大きくなる。結果、タイミングT11からは、車速Vspや回転速度NEが減少し始める。また、タイミングT11からは、変速比のLow戻しが開始される結果、バリエータ4の変速比がLow側にシフトし始める。
タイミングT11では、第1アキュムレータ111の油圧P1は第1設定値PS1よりも低い。このため、蓄圧SOL113及び第1のSOL112はOFFのままとなっている。また、タイミングT11では、破線で示すライン圧PLの指令値が最大値に設定される。このため、タイミングT11からは、実線で示すライン圧PLの実圧及び油圧P1が増加し始める。
その後のタイミングT12では、ライン圧PLの実圧が最大値になる。また、油圧P1が第1設定値PS1になる。このため、タイミングT12からは、ライン圧PLの指令値が通常指令値に設定され、これに応じてライン圧PLの実圧も変化する。
タイミングT12からは、第1アキュムレータ111への蓄圧が行われなくなり、油圧P1が第1設定値PS1に維持される。蓄圧SOL113がパイロット圧によって作動し、ライン圧油路109と第1アキュムレータ111との連通を遮断するためである。
タイミングT12前後において、ライン圧PLの指令値は、ライン圧PLの指令値を最大値に設定しているタイミングT12前の場合のほうが、減速走行時に第1アキュムレータ111に蓄圧を行わないタイミングT12後の場合よりも高められている。
その後のタイミングT13では、バリエータ4の変速比が最Low変速比になる。また、車速Vspがコーストストップ車速Vcoastになる。このため、エンジン2の運転が停止され、回転速度NEがゼロになる。したがって、油圧ポンプ101が作動しなくなり、バリエータ4に必要とされるライン圧の確保に影響が及ぶ。
これに鑑み、この例では、タイミングT13でライン圧PLの指令値を通常指令値に設定するとともに、第1のSOL112をONにすることで、第1アキュムレータ111からライン圧油路109に油圧P1を放出する。これにより、コーストストップ時にバリエータ4におけるベルト43の挟持力を確保することができる。
タイミングT13からは、コーストストップ期間が開始する。したがって、低速減速走行時は具体的には、さらに車速Vspがコーストストップ車速Vcoastよりも大きい場合となっている。
タイミングT14では、車速Vspがゼロになる。このため、タイミングT14では、第1のSOL112がOFFにされ、油圧P1の放出が禁止される。タイミングT14からは、コーストストップ期間からアイドルストップ期間に移行する。
タイミングT15では、アクセル開度がゼロよりも大きくなり、ブレーキ踏力はゼロになる。このため、タイミングT15では、エンジン2の再始動が開始され、回転速度NEがゼロよりも大きくなる。タイミングT15では、ライン圧PLの指令値は通常指令値に設定される。
ライン圧PLの実圧は、エンジン2の再始動が開始されたタイミングT15では上昇せず、エンジン2の始動状況に応じてタイミングT15から遅れて上昇する。このようなライン圧PLの実圧の上昇遅れは、エンジン2の再始動時にバリエータ4に必要とされるライン圧の確保に影響を及ぼす。
これに鑑み、この例では、タイミングT15で第1のSOL112をONにすることで、第1アキュムレータ111からライン圧油路109に油圧P1を放出する。これにより、エンジン2の再始動時にバリエータ4でベルト43の挟持力を確保することができる。
タイミングT15では、蓄圧SOL113を併せてONにすることで、その後ライン圧PLの実圧が油圧P1より高くなった場合に、第1アキュムレータ111に蓄圧が行われないようにすることができる。第1のSOL112は、回転速度NEが所定値Ntよりも大きくなるタイミングT16でOFFにされる。
図12は、減速走行時の各種パラメータの変化を示すタイミングチャートの第2の例を示す図である。図12では、減速走行時であって車速Vspが所定値Vthよりも高い高速減速走行時に蓄圧を行う場合、したがって、第2アキュムレータ121に蓄圧する場合について説明する。また、図12では、その後の急制動Low戻し時に第2アキュムレータ121の油圧P2を放出する場合について説明する。
タイミングT21以前では、車速Vspが所定値Vthよりも大きくなっている。
タイミングT21では、アクセル開度がゼロになり、ブレーキ踏力がゼロよりも大きくなる。結果、タイミングT21からは、車速Vspや回転速度NEが減少し始める。また、タイミングT21からは、変速比のLow戻しが開始され、バリエータ4の変速比がLow側にシフトし始める。
タイミングT21では、第2アキュムレータ121の油圧P2は第2設定値PS2よりも低い。このため、タイミングT21からは、第2アキュムレータ121への蓄圧が開始される。
タイミングT21では、蓄圧SOL113はONにされる結果、ON状態が維持される。これは、この例では、タイミングT21で第1アキュムレータ111の油圧P1が第1設定値PS1よりも低いためである。なお、油圧P1が第1設定値PS1である場合、タイミングT21で蓄圧SOL113はOFFにされる。
タイミングT21ではさらに、破線で示すライン圧PLの指令値が最大値に設定される。また、第2のSOL122がONにされる。結果、タイミングT21から、ライン圧PLの実圧及び油圧P2が増加し始める。
その後のタイミングT22では、ライン圧PLの実圧が最大値になる。また、油圧P2が第2設定値PS2になる。このため、タイミングT22からは、ライン圧PLの指令値が通常指令値に設定され、これに応じてライン圧PLの実圧も変化する。タイミングT22では、蓄圧SOL113と第2のSOL122とがOFFにされる。したがって、タイミングT22からは、第2アキュムレータ121への蓄圧は行われなくなる。
タイミングT22前後において、ライン圧PLの指令値は、ライン圧PLの指令値を最大値に設定するタイミングT22前の場合のほうが、減速走行時に第2アキュムレータ121に蓄圧を行わないタイミングT22後の場合よりも高められている。
その後のタイミングT23では、車速Vspが所定値V1よりも低い状態でブレーキ踏力が瞬時に最大となり、急制動が行われる。結果、車速Vspと回転速度NEとは、タイミングT23前よりも大きく低下し始める。タイミングT23からは、急制動Low戻しが開始される。このため、バリエータ4の変速比は、タイミングT23前よりも大きな度合いでLow側にシフトし始める。
急制動Low戻し時には、急制動が行われたときの車速Vspが低い分、エンジン2が停止するまでの時間が短くなる。このためこの場合には、バリエータ4において素早い変速やベルト43の滑り防止を図るため、ライン圧PLを大きく確保する必要がある。
これに鑑み、この例では、タイミングT23でライン圧PLの指令値を急制動Low戻し指令に応じた指令対応値に設定するとともに、蓄圧SOL113と第2のSOL122とをONにする。
これにより、第2アキュムレータ121からライン圧油路109に油圧P2を放出することで、ライン圧を補助することができる。結果、ライン圧PLの実圧を素早く指令対応値まで上昇させることができる。
タイミングT24では、バリエータ4の変速比が最Low変速比になり、急制動Low戻しが完了する。このため、タイミングT24では、蓄圧SOL113と第2のSOL122とがOFFになる。
タイミングT25では、車速Vspがゼロになり、アイドルストップが開始される。このため、タイミングT25では、エンジン回転速度NEがゼロになる。急制動Low戻しの制御は、車速VspがゼロになるタイミングT25で完了するようにしてもよい。
次に、本実施形態の車両1の主な作用効果について説明する。車両1は、エンジン2と、バリエータ4と、油圧ポンプ101とライン圧油路109とを含む油圧回路100と、を備える。油圧回路100は、第1アキュムレータ111と、第2アキュムレータ121と、を有し、第1アキュムレータ111とライン圧油路109との連通及び連通の遮断と、第2アキュムレータ121とライン圧油路109との連通及び連通の遮断と、を行う蓄圧回路部110をさらに含む。
このような構成の車両1によれば、第1アキュムレータ111に蓄圧を行うことで、エンジン2のコーストストップ時やアイドルストップ後の再始動時に、第1アキュムレータ111に蓄えた油圧P1を放出してライン圧に利用することができる。結果、これらの場合にバリエータ4に必要とされる比較的低いライン圧を確保することができる。したがって、これらの場合のエンジン2の停止時にライン圧PLを発生させるための電動ポンプの不要化を図ることで、コスト低減を図ることができる。
また、このような構成の車両1によれば、第2アキュムレータ121に蓄圧を行うことで、キックダウン指令や急制動Low戻り指令や急制動ベルト保護指令があった場合に、第2アキュムレータ121に蓄えた油圧P2を放出してライン圧に利用することができる。結果、これらの場合にバリエータ4に必要とされる比較的高いライン圧を確保することができる。したがって、その分固有吐出量が少ない油圧ポンプを油圧ポンプ101に用いることで、油圧ポンプ101の仕事低減による燃費向上を図ることができる。
このため、このような構成の車両1によれば、燃費向上やコスト低減を図りつつ、バリエータ4に必要とされるライン圧を確保することができる(請求項1及び6に対応する効果)。
車両1において、蓄圧回路部110は、遮断機構として機能する蓄圧SOL113と、リリーフ機構として機能するリリーフ弁123と、を備える。
このような構成の車両1によれば、電子制御を必要とすることなく第1アキュムレータ111及び第2アキュムレータ121の油圧を蓄圧設定値に抑えることができる。このため、このような構成の車両1によれば、簡素化やコスト低減を図ることができる(請求項2に対応する効果)。
車両1において、蓄圧回路部110は、第1アキュムレータ111及び第2アキュムレータ121のうち一方への蓄圧を行う場合に他方への蓄圧を禁止する。
このような構成の車両1によれば、第1アキュムレータ111及び第2アキュムレータ121それぞれに対して、状況に応じて適切に蓄圧を行うことができる(請求項3に対応する効果)。
車両1において、蓄圧回路部110は、低速減速走行時には第1アキュムレータ111への蓄圧を行い、高速減速走行時には第2アキュムレータ121への蓄圧を行う。
このような構成の車両1によれば、減速エネルギを利用して蓄圧を行うので、更なる燃費向上を図ることができる。また、低速減速走行時には第1アキュムレータ111への蓄圧を行い、高速減速走行時には第2アキュムレータ121への蓄圧を行うので、蓄圧設定値に応じた適切な蓄圧を行うことができる(請求項4に対応する効果)。
車両1は、減速走行時に第1アキュムレータ111又は第2アキュムレータ121への蓄圧を行う場合に、減速走行時に蓄圧を行わない場合よりも、ライン圧PLの指令値を高める制御部として機能するコントローラ10をさらに備える。
このような構成の車両1によれば、第1アキュムレータ111や第2アキュムレータ121への蓄圧を促進することができる(請求項5に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。