JP6084154B2 - 車両用変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)を行う車両に適用される車両用変速機の制御装置に関する。
従来、コーストストップ制御が開始されることでエンジン回転数が低下し、エンジン駆動のメカオイルポンプからの吐出圧が低下すると、電動オイルポンプを駆動し、プーリやクラッチへの油圧を確保する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−77840号公報
しかしながら、従来装置において、電動オイルポンプを廃止すると、コーストストップ制御終了後、発進クラッチを締結して再発進するとき、油路にオイルが無くなる。このため、停止しているエンジンを再始動したとき、エンジン回転数が立ち上がってメカオイルポンプからの吐出圧によりクラッチ油圧制御が可能になるまで発進クラッチの油圧指示を待つことになる。この結果、コーストストップ制御終了から再発進までに長時間を要し、再発進タイムラグが発生してしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、エンジン停止制御終了から発進クラッチ締結までの再発進タイムラグを小さく抑えることができる車両用変速機の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両用変速機の制御装置は、エンジンと、変速機と、発進クラッチと、メカオイルポンプと、エンジン停止制御手段と、を備える。
この車両用変速機の制御装置において、前記メカオイルポンプから前記発進クラッチへの油路途中位置に設けられ、前記発進クラッチへの油圧を制御するソレノイドバルブと、前記ソレノイドバルブへのクラッチ油圧指示値を出力する変速機制御手段と、を設ける。
前記変速機制御手段は、前記エンジン停止制御が行われたとき、少なくとも前記エンジンの再始動によりエンジン回転数が立ち上がる前に、前記メカオイルポンプから前記発進クラッチへの油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値を前記ソレノイドバルブに出力する。
よって、エンジン停止制御が行われたとき、少なくとも再始動によりエンジン回転数が立ち上がる前に、メカオイルポンプから発進クラッチへの油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値がソレノイドバルブに出力される。
したがって、エンジンの再始動によりエンジン回転数が徐々に上昇してゆくと、ソレノイドバルブを介して開かれている発進クラッチへの油路にメカオイルポンプからのオイルが流れ込み、発進クラッチへの管路系がオイルで満たされる。
このように、発進クラッチにトルク伝達容量を持たせるように指示する前に、発進クラッチへの管路にオイルを供給できるので、その分、メカオイルポンプから供給されるオイルが少なくても発進クラッチの締結を早めることができる。
この結果、エンジン停止制御終了から発進クラッチ締結までの再発進タイムラグを小さく抑えることができる。
実施例1の制御装置が適用された副変速機付き無段変速機(車両用変速機の一例)が搭載された車両の概略構成を示す全体システム図である。 実施例1の変速機コントローラを中心とする制御系構成を示す制御ブロック図である。 実施例1の変速機コントローラの記憶装置に格納されている変速マップの一例を示す変速マップ図である。 油圧制御回路のうちコーストストップ制御の終了後に発進クラッチとして締結されるローブレーキへの油圧回路構成を示す図である。 実施例1の変速機コントローラで実行されるコーストストップ対応変速機制御処理の流れを示すフローチャート1である。 実施例1の変速機コントローラで実行されるコーストストップ対応変速機制御処理の流れを示すフローチャート2である。 実施例1の変速機コントローラで実行されるコーストストップ対応変速機制御処理の流れを示すフローチャート3である。 実施例1の車両においてコーストストップ制御入り→解除におけるコーストストップ制御中フラグCS/FLG・エンジン回転数Ne・車速VSP・ロックアップクラッチL/U・ライン圧PL・ハイクラッチ油圧PH/C・ローブレーキへのクラッチ油圧指示値PL/B*・プライマリ電流指示値PriSOL/I*の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両用変速機の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1の副変速機付き無段変速機(車両用変速機の一例)の制御装置を、「全体システム構成」、「変速マップによる変速制御構成」、「コーストストップ制御構成」、「コーストストップ対応変速機制御構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の制御装置が適用された副変速機付き無段変速機が搭載された車両の概略構成を示し、図2は、変速機コントローラの内部構成を示す。以下、図1及び図2に基づき、全体システム構成を説明する。
なお、以下の説明において、ある変速機構の「変速比」は、当該変速機構の入力回転速度を当該変速機構の出力回転速度で割って得られる値である。また、「最ロー変速比」は当該変速機構の最大変速比を意味し、「最ハイ変速比」は当該変速機構の最小変速比を意味する。
前記副変速機付き無段変速機が搭載された車両は、動力源として、エンジン始動用のスタータモータ15を有するエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ9を有するトルクコンバータ2、リダクションギア対3、無段変速機(以下、単に「変速機4」という。)、ファイナルギア対5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。ファイナルギア対5には、駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
また、車両には、エンジン1の動力により駆動されるメカオイルポンプ10と、メカオイルポンプ10からの吐出圧を調圧して変速機4の各部位に供給する油圧制御回路11と、油圧制御回路11を制御する変速機コントローラ12と、統合コントローラ13と、エンジンコントローラ14と、が設けられている。以下、各構成について説明する。
前記変速機4は、ベルト式無段変速機構(以下、「バリエータ20」という。)と、バリエータ20に対して直列に設けられる副変速機構30とを備える。ここで、「直列に設けられる」とは、動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機構30が直列に設けられるという意味である。副変速機構30は、この例のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギア列)を介して接続されていてもよい。
前記バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21,22の間に掛け回されるVベルト23とを備えるベルト式無段変速機構である。プーリ21,22は、それぞれ固定円錐板と、この固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され、固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、この可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させるプライマリ油圧シリンダ23aとセカンダリ油圧シリンダ23bを備える。プライマリ油圧シリンダ23aとセカンダリ油圧シリンダ23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してVベルト23と各プーリ21,22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比vRatioが無段階に変化する。
前記副変速機構30は、前進2段・後進1段の変速機構である。副変速機構30は、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニヨ型遊星歯車機構31と、ラビニヨ型遊星歯車機構31を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する複数の摩擦締結要素(ローブレーキ32、ハイクラッチ33、リバースブレーキ34)とを備える。各摩擦締結要素32〜34への供給油圧を調整し、各摩擦締結要素32〜34の締結・解放状態を変更すると、副変速機構30の変速段が変更される。例えば、ローブレーキ32を締結し、ハイクラッチ33とリバースブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速となる。ハイクラッチ33を締結し、ローブレーキ32とリバースブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さな2速となる。また、リバースブレーキ34を締結し、ローブレーキ32とハイクラッチ33を解放すれば副変速機構30の変速段は後進となる。なお、以下の説明では、副変速機構30の変速段が1速であるとき「変速機4が低速モードである」と表現し、2速であるとき「変速機4が高速モードである」と表現する。
前記変速機コントローラ12は、図2に示すように、CPU121と、RAM・ROMからなる記憶装置122と、入力インターフェース123と、出力インターフェース124と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。
前記入力インターフェース123には、アクセルペダルの踏み込み開度(以下、「アクセル開度APO」という。)を検出するアクセル開度センサ41の出力信号、変速機4の入力回転速度(=プライマリプーリ21の回転速度、以下、「プライマリ回転数Npri」という。)を検出する回転数センサ42の出力信号、車両の走行速度(以下、「車速VSP」という。)を検出する車速センサ43の出力信号、変速機4のライン圧(以下、「ライン圧PL」という。)を検出するライン圧センサ44の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ45の出力信号、などが入力される。
前記記憶装置122には、変速機4の変速制御プログラム、この変速制御プログラムで用いる変速マップ(図3)が格納されている。CPU121は、記憶装置122に格納されている変速制御プログラムを読み出して実行し、入力インターフェース123を介して入力される各種信号に対して各種演算処理を施して変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を、出力インターフェース124を介して油圧制御回路11に出力する。CPU121が演算処理で使用する各種値、その演算結果は記憶装置122に適宜格納される。
前記油圧制御回路11は、複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、変速機コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り換える。つまり、メカオイルポンプ10で発生した吐出圧からライン圧PLを調圧し、さらに、ライン圧PLを元圧として調圧されたプーリ圧やクラッチ圧を変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速比vRatio、副変速機構30の変速段が変更され、変速機4の変速が行われる。
前記統合コントローラ13は、変速機コントローラ12による変速機制御やエンジンコントローラ14によるエンジン制御などが適切に担保されるように、複数の車載コントローラの統合管理を行う。この統合コントローラ13は、変速機コントローラ12やエンジンコントローラ14などの車載コントローラとCAN通信線25を介して情報交換が可能に接続されている。
前記エンジンコントローラ14は、コースト減速時からエンジン1を停止するコーストストップ制御、停車時にエンジン1を停止するアイドルストップ制御、スタータモータ15を用いたエンジン始動制御、などを行う。このエンジンコントローラ14には、エンジン1の回転数(以下、「エンジン回転数Ne」という。)を検出するエンジン回転数センサ46の出力信号、などが入力される。
[変速マップによる変速制御構成]
図3は、変速機コントローラ12の記憶装置122に格納される変速マップの一例を示す。以下、図3に基づき、変速マップによる変速制御構成を説明する。
前記変速機4の動作点は、図3に示す変速マップ上で車速VSPとプライマリ回転速度Npriに基づき決定される。変速機4の動作点と変速マップ左下隅の零点を結ぶ線の傾きが変速機4の変速比(バリエータ20の変速比vRatioに、副変速機構30の変速比subRatioを掛けて得られる全体の変速比、以下、「スルー変速比Ratio」という。)を表している。この変速マップには、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセル開度APO毎に変速線が設定されており、変速機4の変速はアクセル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。なお、図3には簡単のため、全負荷線F/L(アクセル開度APO=8/8のときの変速線)、パーシャル線P/L(アクセル開度APO=4/8のときの変速線)、コースト線C/L(アクセル開度APO=0のときの変速線)のみが示されている。
前記変速機4が低速モードのときには、変速機4はバリエータ20の変速比vRatioを最大にして得られる低速モード最ロー線LL/Lと、バリエータ20の変速比vRatioを最小にして得られる低速モード最ハイ線LH/Lと、の間で変速することができる。このとき、変速機4の動作点はA領域とB領域内を移動する。一方、変速機4が高速モードのときには、変速機4はバリエータ20の変速比vRatioを最大にして得られる高速モード最ロー線HL/Lと、バリエータ20の変速比vRatioを最小にして得られる高速モード最ハイ線HH/Lと、の間で変速することができる。このとき、変速機4の動作点はB領域とC領域内を移動する。
前記副変速機構30の各変速段の変速比は、低速モード最ハイ線LH/Lに対応する変速比(低速モード最ハイ変速比)が高速モード最ロー線HL/Lに対応する変速比(高速モード最ロー変速比)よりも小さくなるように設定される。これにより、低速モードでとり得る変速機4のスルー変速比Ratioの範囲である低速モードレシオ範囲LREと、高速モードでとり得る変速機4のスルー変速比Ratioの範囲である高速モードレシオ範囲HREと、が部分的に重複する。変速機4の動作点が高速モード最ロー線HL/Lと低速モード最ハイ線LH/Lで挟まれるB領域(重複領域)にあるときは、変速機4は低速モード、高速モードのいずれのモードも選択可能になっている。
前記変速機コントローラ12は、この変速マップを参照して、車速VSP及びアクセル開度APO(車両の運転状態)に対応するスルー変速比Ratioを到達スルー変速比DRatioとして設定する。この到達スルー変速比DRatioは、当該運転状態でスルー変速比Ratioが最終的に到達すべき目標値である。そして、変速機コントローラ12は、スルー変速比Ratioを所望の応答特性で到達スルー変速比DRatioに追従させるための過渡的な目標値である目標スルー変速比tRatioを設定し、スルー変速比Ratioが目標スルー変速比tRatioに一致するようにバリエータ20及び副変速機構30を制御する。
前記変速マップ上には、副変速機構30のアップ変速を行うモード切換アップ変速線MU/L(副変速機構30の1→2アップ変速線)が、低速モード最ハイ線LH/L上に略重なるように設定されている。モード切換アップ変速線MU/Lに対応するスルー変速比Ratioは、低速モード最ハイ変速比LH/Lに略等しい。また、変速マップ上には、副変速機構30のダウン変速を行うモード切換ダウン変速線MD/L(副変速機構30の2→1ダウン変速線)が、高速モード最ロー線HL/L上に略重なるように設定されている。モード切換ダウン変速線MD/Lに対応するスルー変速比Ratioは、高速モード最ロー変速比HL/Lに略等しい。
そして、変速機4の動作点がモード切換アップ変速線MU/L又はモード切換ダウン変速線MD/Lを横切った場合、すなわち、変速機4の目標スルー変速比tRatioがモード切換変速比mRatioを跨いで変化した場合やモード切換変速比mRatioと一致した場合には、変速機コントローラ12はモード切換変速制御を行う。このモード切換変速制御では、変速機コントローラ12は、副変速機構30の変速を行うとともに、バリエータ20の変速比vRatioを副変速機構30の変速比subRatioが変化する方向と逆の方向に変化させるというように2つの変速を協調させる「協調制御」を行う。
前記「協調制御」では、変速機4の目標スルー変速比tRatioがモード切換アップ変速線MU/LをB領域側からC領域側に向かって横切ったときや、B領域側からモード切換アップ変速線MU/Lと一致した場合に、変速機コントローラ12は、1→2アップ変速判定を出し、副変速機構30の変速段を1速から2速に変更するとともに、バリエータ20の変速比vRatioを最ハイ変速比からロー変速比に変化させる。逆に、変速機4の目標スルー変速比tRatioがモード切換ダウン変速線MD/LをB領域側からA領域側に向かって横切ったときや、B領域側からモード切換ダウン変速線MD/Lと一致した場合、変速機コントローラ12は、2→1ダウン変速判定を出し、副変速機構30の変速段を2速から1速に変更するとともに、バリエータ20の変速比vRatioを最ロー変速比からハイ変速比側に変化させる。
前記モード切換アップ変速時又はモード切換ダウン変速時において、バリエータ20の変速比vRatioを変化させる「協調制御」を行う理由は、変速機4のスルー変速比Ratioの段差により生じる入力回転数の変化に伴う運転者の違和感を抑えることができるとともに、副変速機構30の変速ショックを緩和することができるからである。
[コーストストップ制御構成]
実施例1のエンジンコントローラ14は、燃料消費量をできる限り抑制するために、車両停止中にエンジン1を停止する「アイドルストップ制御」に加えて、車両のコースト走行中(惰性走行中)からエンジン1を停止する「コーストストップ制御」を行う。
前記「コーストストップ制御」は、低車速域で車両がコースト走行している間、エンジン1を自動的に停止させて燃料消費量を抑制する制御である。なお、「コーストストップ制御」とアクセルオフ時に実行される「燃料カット制御」は、エンジン1への燃料供給を停止する点で共通する。しかしながら、通常の「燃料カット制御」は、比較的高速走行時において実行され、かつ、エンジンブレーキを確保するためにトルクコンバータ2のロックアップクラッチ9が係合されている。これに対し、「コーストストップ制御」は、車両停止直前の比較的低速でのコースト走行時に実行され、ロックアップクラッチ9を解放状態としてエンジン1の回転を停止させる点において相違する。
前記「コーストストップ制御」を実行するにあたって、エンジンコントローラ14は、例えば、以下に示す条件(a)〜(e)を判断する。
(a):アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
(b):ブレーキペダルが踏み込まれている(図示しないブレーキセンサがON)
(c):車速VSPが所定の低車速(例えば、15km/h)以下
(d):ロックアップクラッチ9が解放(例えば、車速13km/h)されている
(e):ハイクラッチ33の締結による高速モード(2速)が選択されている
なお、これらの条件(a)〜(e)は、言い換えると運転者に停車意図があることを判断する条件である。
前記エンジンコントローラ14は、コーストストップ制御の開始条件(a)〜(e)の全てが成立すると、エンジン1への燃料の供給を停止して、エンジン1の回転を停止させるコーストストップ制御の実行を開始する。これと同時に、コーストストップ制御の実行をあらわすコーストストップ制御中フラグCS/FLGを立て(CS/FLG=1)、統合コントローラ13と変速機コントローラ12へ出力する。なお、コーストストップ制御中、アクセル踏み込操作やブレーキ解除操作があり、(a)又は(b)の条件が不成立になると、これを終了条件として、コーストストップ制御を終了し、コーストストップ制御中フラグCS/FLGを降ろす(CS/FLG=0)。
このコーストストップ制御が開始されると、エンジン1の駆動力によって油圧を発生させるメカオイルポンプ10もエンジン回転数の低下に伴って漸次停止し、メカオイルポンプ10からの吐出圧が油圧制御回路11に供給されなくなる。一方、エンジン1の停止中であっても、本来、バリエータ20の各プーリによるベルトの挟持力及び副変速機構30の摩擦締結要素の締結に油圧が必要である。このために、例えば、特開2013-204722号公報に記載されているように、オイルポンプとして、エンジン駆動のメカオイルポンプ以外に、エンジン停止中の油圧を補填する電動オイルポンプを搭載している。これに対し、実施例1では、主にシステムコスト低減を理由として電動オイルポンプを廃止し、メカオイルポンプ10のみを搭載したシステムとしているため、油圧が確保されないエンジン低回転〜停止領域において、コーストストップ対応変速機制御を行う必要が生じる。そこで、コーストストップ制御中フラグやエンジン回転数Neなどの入力情報に基づき、変速機コントローラ12側にてコーストストップ対応変速機制御を行うようにしている。
前記コーストストップ制御の開始条件には、上記のように、高速モード選択条件(e)が含まれるため、コーストストップ制御を開始するとき、締結されているハイクラッチ33が解放される。一方、車両停止状態にてコーストストップ制御を終了すると、低速モードでの最ロー変速比により発進するため、ローブレーキ32が発進クラッチとして締結される。なお、コーストストップ制御の開始条件には、高速モード選択条件(e)が含まれるため、走行中にローブレーキ32が締結されていると、コーストストップ制御は開始されない。このような状態で停車すると、アイドルストップ制御が実施される。アイドルストップ制御の場合、車両停止を条件として制御が開始されるため、停車後に、低速モードの選択により締結されているローブレーキ32が解放される。そして、アイドルストップ制御を終了すると、コーストストップ制御を終了するときと同様に、低速モードでの最ロー変速比により発進するため、ローブレーキ32が発進クラッチとして締結される。
次に、エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)の終了後、発進クラッチとして締結されるローブレーキ32への油圧回路構成を、図4に基づき説明する。
前記ローブレーキ32は、多板摩擦締結要素構成であり、ブレーキピストン32aにより画成されるピストン油室32bへの油圧は、エンジン1により駆動されるメカオイルポンプ10からの吐出圧に基づき油圧制御回路11により作り出される。この油圧制御回路11には、プレッシャレギュレータバルブ111と、パイロットバルブ112と、ローブレーキソレノイドバルブ113(ソレノイドバルブ)と、アキュムレータ114と、を有する。
前記プレッシャレギュレータバルブ111は、ポンプ吐出圧からライン圧PLを調圧するバルブで、ライン圧ポート111aと、閉鎖ポート111bと、ドレーンポート111cと、を有する。そして、バルブスプール111dの一端側にバネ力と図外のライン圧ソレノイドにて作り出される作動信号圧が作用し、他端側にフィードバック圧が作用する。ライン圧ポート111aには、ライン圧油路115が接続される。
前記パイロットバルブ112は、ライン圧PLの油圧上限が規制されたパイロット圧Ppを作り出すバルブで、ライン圧ポート112aと、パイロット圧ポート112bと、ドレーンポート112cと、を有する。そして、バルブスプール112dの一端側にバネ力が作用し、他端側にフィードバック圧が作用する。パイロット圧ポート112bには、パイロット圧油路116が接続される。なお、パイロット圧油路116には、オリフィス116aと一方向弁116bが並列に設けられる。
前記ローブレーキソレノイドバルブ113は、パイロット圧Ppを元圧とし、ローブレーキ油圧PL/Bを調圧するバルブで、パイロット圧ポート113aと、ローブレーキ圧ポート113bと、ドレーンポート113cと、を有する。そして、バルブスプール113dの一端側にバネ力とフィードバック圧が作用し、他端側にソレノイド力が作用する。ソレノイド力の作用が無いと、ローブレーキ圧ポート113bとドレーンポート113cが連通状態になる。一方、ソレノイド力を変速機コントローラ12からのクラッチ油圧指示値PL/B*により作用させると、パイロット圧ポート113aとローブレーキ圧ポート113bが連通状態になる。ローブレーキ圧ポート113bには、ローブレーキ圧油路117が接続される。なお、ローブレーキ圧油路117には、オリフィス117aが設けられる。
前記アキュムレータ114は、ローブレーキ圧油路117の途中位置に設けられ、ローブレーキ32のピストン油室32bへの油圧供給と油圧排出に遅れを持たせ、ローブレーキ32への油圧が急上昇するのを抑える。
[コーストストップ対応変速機制御構成]
図5〜図7は、実施例1の変速機コントローラ12にて実行されるコーストストップ対応変速機制御処理流れを示す(変速機制御手段)。以下、コーストストップ対応変速機制御処理構成をあらわす図5〜図7の各ステップについて説明する。なお、コーストストップ制御の略称を「CS」といい、アイドルストップ制御の略称を「IS」という。
ステップS1では、コーストストップ制御への入りが許可であるか否かを判断する。YES(CS入り許可)の場合はステップS2へ進み、NO(CS入り不許可)の場合はエンドへ進む。
ここで、CS入り許可の判断は、コーストストップ制御中フラグが、フラグ=0(CS非制御)からフラグ=1(CS制御中)に切り替わったことで行う。なお、エンジン制御側では、コーストストップ制御開始条件が成立すると、燃料噴射をカットし、エンジン1の回転数を低下させた後、エンジン停止状態とするコーストストップ制御の実行が開始される。
ステップS2では、ステップS1でのCS入り許可であるとの判断、或いは、ステップS3でのエンジン回転数>所定値であるとの判断に続き、コーストストップ制御からの抜け判定が有りか否かを判定する。YES(CS抜け判定有り)の場合はステップS9へ進み、NO(CS抜け判定無し)の場合はステップS3へ進む。
ここで、CS抜け判定有りの判断は、コーストストップ制御中フラグが、フラグ=1(CS制御中)からフラグ=0(CS非制御)に切り替わったことで行う。なお、エンジン制御側では、コーストストップ制御終了条件が成立した場合、エンジン回転数Neが所定回転数(例えば、1000rpm)以上であれば、スタータモータ15を用いることなく、燃料噴射と点火によりエンジン1を再始動(リカバ復帰)させる。エンジン回転数Neが所定回転数(例えば、1000rpm)より低くリカバ復帰できない場合、エンジン回転数Neが十分に低下してから、スタータモータ15を用いてエンジンクランキングを行い、燃料噴射を再開してエンジン1を始動させるスタータ始動が行われる。
ステップS3では、ステップS2でのCS抜け判定無しであるとの判断に続き、エンジン回転数Neが、所定値(例えば、800rpm)以下であるか否かを判断する。YES(Ne≦所定値)の場合はステップS4へ進み、NO(Ne>所定値)の場合はステップS2へ戻る。
ここで、エンジン回転数Neの所定値は、ハイクラッチ33を解放したときにショックの発生を抑えつつ、アクセル踏み込み操作介入による再始動に備えることができる回転数に設定される。また、このエンジン回転数Neの所定値(例えば、800rpm)は、エンジン1がリカバ復帰を開始するギリギリの回転数(例えば、1000rpm)でリカバ復帰して、リカバ復帰後に、エンジン回転数Neがアンダーシュートして、この回転数(1000rpm)を下回っても、エンジン1がリカバ復帰したにもかかわらず、ハイクラッチ33を解放しないようにする回転数(800rpm)でもある。
ステップS4では、ステップS3でのNe≦所定値であるとの判断に続き、締結されているハイクラッチ33の解放を開始し、ステップS5へ進む。
ステップS5では、ステップS4でのハイクラッチ解放、或いは、ステップS6でのハイクラッチ完全解放未完了であるとの判断に続き、ステップS2と同様に、コーストストップ制御からの抜け判定が有りか否かを判定する。YES(CS抜け判定有り)の場合はステップS9へ進み、NO(CS抜け判定無し)の場合はステップS6へ進む。
ステップS6では、ステップS5でのCS抜け判定無しであるとの判断に続き、ハイクラッチ33の完全解放が完了したか否かを判断する。YES(ハイクラッチ完全解放完了)の場合はステップS7へ進み、NO(ハイクラッチ完全解放未完了)の場合はステップS5へ戻る。
ステップS7では、ステップS6でのハイクラッチ完全解放完了であるとの判断に続き、CS/IS時変速制御を実行し、ステップS8へ進む。
ここで、CS/IS時変速制御では、
(a) 目標バリエータレシオ固定
(b) 目標スルーレシオ変化量制限無効化
(c) 副変速ギア位置2速→1速
(d) プライマリ電流指示値=CS/IS中指示電流値
による制御が行われる。
ステップS8では、ステップS7でのCS/IS時変速制御、或いは、ステップS8でのCS抜け判定無しであるとの判断に続き、ステップS2やステップS5と同様に、コーストストップ制御からの抜け判定が有りか否かを判定する。YES(CS抜け判定有り)の場合はステップS9へ進み、NO(CS抜け判定無し)の場合はステップS8の判断を繰り返す。
ステップS9では、ステップS2又はステップS5又はステップS8でのCS抜け判定有りであるとの判断に続き、スタータエンジン始動であるか否かを判断する。YES(スタータエンジン始動)の場合はステップS11へ進み、NO(リカバ復帰)の場合はステップS10へ進む。
ここで、スタータエンジン始動であるかリカバ復帰であるかは、CS抜け判定有りの判断タイミングでのエンジン回転数で決まる。例えば、CS抜け判定があった時に、所定回転数(1000rpm)以上のエンジン回転数Neが保たれている場合は、燃料噴射と点火によりリカバ復帰できるが、エンジン回転数Neが所定回転数(1000rpm)未満まで低下すると、スタータモータ15を用いたスタータ始動となる。
ステップS10では、ステップS9でのリカバ復帰であるとの判断に続き、ハイクラッチ33の締結中以外か否かが判断される。YES(クラッチ締結中以外)の場合はステップS11へ進み、NO(クラッチ締結中)の場合はステップS26へ進む。
ここで、クラッチ締結中以外とは、ハイクラッチ33の状態が完全締結状態(ハイクラッチ33が滑っていない状態)をいう。
ステップS11では、ステップS9でのスタータエンジン始動であるとの判断、或いは、ステップS10でのクラッチ締結中以外であるとの判断に続き、解放されるハイクラッチ33へのクラッチ油圧指示値が、クラッチ油圧指示値=0MPaであるか否かを判断する。YES(クラッチ油圧指示値=0MPa)の場合はステップS13へ進み、NO(クラッチ油圧指示値≠0MPa)の場合はステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS11でのクラッチ油圧指示値≠0MPaであるとの判断に続き、解放されるハイクラッチ33へのクラッチ油圧指示値PH/C*を、クラッチ油圧指示値=0MPaに切り替え、ステップS13へ進む。
ステップS13では、ステップS11でのクラッチ油圧指示値=0MPaであるとの判断、或いは、ステップS12でのクラッチ油圧指示値=0MPaへの切り替えに続き、プライマリ電流指示値PriSOL/I*を、1A(1アンペア)にするとともに、クラッチ油圧指示値PL/B*を、0MPaからストローク開始圧程度指示値に変更し、ステップS14へ進む。
ここで、1Aというプライマリ電流指示値PriSOL/I*は、プライマリソレノイドへ供給される基圧がない状態において、プライマリソレノイドのバネ付勢力に抗してプライマリ油圧シリンダ23aへの油圧回路を閉じることができる電流指示値である。
ステップS14では、ステップS13でのプライマリ電流指示値PriSOL/I*の設定とクラッチ油圧指示値PL/B*の変更に続き、エンジン回転数Neが所定値(例えば、500rpm)以上であるか否かを判断する。YES(Ne≧500rpm)の場合はステップS15へ進み、NO(Ne<500rpm)の場合はステップS14の判断を繰り返す。
ここで、エンジン回転数Neの所定値は、エンジン駆動のメカオイルポンプ10が、ローブレーキ32を締結する油圧制御が可能なライン圧PLを発生することができる回転数に設定される。
ステップS15では、ステップS14でのNe≧500rpmであるとの判断、或いは、ステップS16でのタイマ値<所定値であるとの判断に続き、ライン圧センサ44により検出される実ライン圧PLが所定値(例えば、0.5MPa)以上であるか否かを判断する。YES(PL≧所定値)の場合はステップS17へ進み、NO(PL<所定値)の場合はステップS16へ進む。
ステップS16では、ステップS15でのPL<所定値であるとの判断に続き、Ne≧500rpmと判断された時点から起動され、時間の経過とともに加算されるタイマ値が、所定値以上であるか否かを判断する。YES(タイマ値≧所定値)の場合はステップS17へ進み、NO(タイマ値<所定値)の場合はステップS15へ戻る。
ステップS17では、ステップS15でのPL≧所定値であるとの判断、或いは、ステップS16でのタイマ値≧所定値であるとの判断に続き、プライマリ電流指示値PriSOL/I*として出力していた1A(1アンペア)を解除するとともに、クラッチ油圧指示値PL/B*を、ストローク開始圧程度指示値から油圧充填指示値に変更し、ステップS18へ進む。このプライマリ電流指示値PriSOL/I*の1A(1アンペア)の解除により、プライマリプーリ21のプライマリ油圧シリンダ23aには、目標油圧に基づいた油圧が供給されるようになる。
ステップS18では、ステップS17でのプライマリ電流指示値PriSOL/I*の解除とクラッチ油圧指示値PL/B*の変更に続き、再発進時に締結されるローブレーキ32への油圧充填が完了したか否かを判断する。YES(油圧充填完了)の場合はステップS19へ進み、NO(油圧充填未完了)の場合はステップS18の判断を繰り返す。
ステップS19では、ステップS18での油圧充填完了であるとの判断に続き、ステップS7にて固定された目標バリエータレシオのレシオ固定をクリアし、ステップS20へ進む。
ステップS20では、ステップS19での目標バリエータレシオ固定クリアに続き、ライン圧センサ44により検出される実ライン圧PLに基づき、ローブレーキ32へのクラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxを演算し、ステップS21へ進む。
ここで、クラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxは、バリエータ20のベルト容量Tを、実ライン圧PLに基づき算出し、このベルト容量算出値T(PL)から所定のマージン分αを差し引いた、
PL/B*max=T(PL)−α
の式により演算される。
ステップS21では、ステップS20でのクラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxの演算に続き、発進クラッチであるローブレーキ32の後述するクラッチ締結指示油圧による締結を開始し、ステップS22へ進む。
ステップS22では、ステップS21でのクラッチ締結開始、或いは、ステップS25でのクラッチ締結未完了であるとの判断に続き、発進クラッチであるローブレーキ32へのクラッチ油圧指示値PL/B*が、クラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*max未満であるか否かを判断する。YES(クラッチ油圧指示値<クラッチ油圧指示値上限規制値)の場合はステップS23へ進み、NO(クラッチ油圧指示値≧クラッチ油圧指示値上限規制値)の場合はステップS24へ進む。
ステップS23では、ステップS22でのクラッチ油圧指示値<クラッチ油圧指示値上限規制値であるとの判断に続き、クラッチ油圧指示値PL/B*を、クラッチ締結指示油圧とし、ステップS25へ進む。
ここで、クラッチ締結指示油圧は、
クラッチ締結指示油圧=τNe2×t×ギア比+(回転低下に必要なトルク)
の式にて求められる。
なお、“τ”はトルク容量係数であり、“t”はトルク比であり、“τNe2×t”はタービントルクをあらわす。“ギア比”はリダクションギア比であり、“回転低下に必要なトルク”は、バリエータ20のイナーシャトルクに相当する。
ステップS24では、ステップS22でのクラッチ油圧指示値≧クラッチ油圧指示値上限規制値であるとの判断に続き、クラッチ油圧指示値PL/B*を、クラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxとし、ステップS25へ進む。
ステップS25では、ステップS23又はステップS24でのクラッチ油圧指示値PL/B*の設定に続き、発進クラッチであるローブレーキ32の締結が完了したか否かを判断する。YES(クラッチ締結完了)の場合はステップS26へ進み、NO(クラッチ締結未完了)の場合はステップS22へ戻る。
ステップS26では、ステップS25でのクラッチ締結完了であるとの判断、或いは、ステップS10でのクラッチ締結中であるとの判断に続き、クラッチ油圧指示値PL/B*を、クラッチ締結維持指示油圧とし、エンドへ進む。
次に、作用を説明する。
実施例1の副変速機付き無段変速機の制御装置における作用を、「コーストストップ対応変速機制御の全体作用」、「再発進時におけるローブレーキ締結制御作用」に分けて説明する。
[コーストストップ対応変速機制御の全体作用]
図8は、コーストストップ対応変速機制御によるタイムチャートを示す。以下、図5〜図8に基づき、コーストストップ対応変速機制御の全体作用を説明する。
コーストストップ制御条件の成立後、アクセル操作などの介入により車両停止前にCS抜けをすることなく、コーストストップ制御からアイドルストップへ移行し、その後、車両が発進する場合には、図5〜図7に示すフローチャートにおいて、下記のように進む。
コーストストップ制御への入り許可であり、かつ、コーストストップ制御からの抜け判定が無しのとき、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS3にてエンジン回転数Neが所定値を超えている間、ステップS2→ステップS3へと進む流れが繰り返される。そして、ステップS3にてエンジン回転数Neが所定値以下になったと判断されると、ステップS3からステップS4へと進み、ステップS4では、締結されているハイクラッチ33の解放が開始される。ハイクラッチ33の解放中、コーストストップ制御からの抜け判定が無いと、ステップS4からステップS5→ステップS6へと進み、ハイクラッチ33が完全解放を完了するまでの間、テップS5→ステップS6へと進む流れが繰り返される。
ステップS6にてハイクラッチ33の完全解放が完了したと判断されると、ステップS7へ進み、ステップS7では、
(a) 目標バリエータレシオ固定
(b) 目標スルーレシオ変化量制限無効化
(c) 副変速ギア位置2速→1速
(d) プライマリ電流指示値=CS/IS中指示電流値
によるCS/IS時変速制御が実行される。このCS/IS時変速制御は、ステップS8にてCS抜け判定有りと判断されるまで継続して実行される。
エンジン停止で停車している状況、つまり、リカバ復帰ではなくスタータ始動が行われる状況においてステップS8にてCS抜け判定有りと判断されると、ステップS9→ステップS11→ステップS13へと進む。ステップS13では、プライマリ電流指示値PriSOL/I*が、1A(1アンペア)にされるとともに、クラッチ油圧指示値PL/B*が、0MPaからストローク開始圧程度指示値に変更される。次のステップS14では、エンジン回転数Neが所定値以上であるか否かが判断される。そして、スタータ始動によりエンジン回転数Neが所定値以上になると、ステップS14からステップS15→ステップS17、或いは、ステップS14からステップS15→ステップS16→ステップS17へと進む。ステップS17では、プライマリ電流指示値PriSOL/I*として出力していた1A(1アンペア)が解除されるとともに、クラッチ油圧指示値PL/B*が、ストローク開始圧程度指示値から油圧充填指示値に変更される。次のステップS18では、再発進時に締結されるローブレーキ32への油圧充填が完了したか否かが判断され、ローブレーキ32への油圧充填が完了すると、ステップS19へ進み、ステップS19では、ステップS7にて目標バリエータレシオの固定がクリアされる。
ローブレーキ32への油圧充填が完了し、目標バリエータレシオの固定がクリアされると、ステップS20へ進み、ステップS20では、ライン圧センサ44により検出される実ライン圧PLに基づき、ローブレーキ32へのクラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxが演算される。そして、次のステップS21では、発進クラッチであるローブレーキ32の締結が開始される。ローブレーキ32の締結開始後、クラッチ油圧指示値<クラッチ油圧指示値上限規制値である間は、ステップS22→ステップS23→ステップS25へと進む流れが繰り返され、ステップS23では、クラッチ油圧指示値PL/B*が、クラッチ締結指示油圧とされる。一方、ローブレーキ32の締結開始後、クラッチ油圧指示値≧クラッチ油圧指示値上限規制値になると、ステップS22→ステップS24→ステップS25へと進む流れが繰り返され、ステップS24では、クラッチ油圧指示値PL/B*が、クラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxとされる。そして、ステップS25にて、発進クラッチであるローブレーキ32の締結が完了したと判断されると、ステップS25からステップS26へ進み、ステップS26では、クラッチ油圧指示値PL/B*が、クラッチ締結維持指示油圧とされ、エンドへ進んでコーストストップ対応変速機制御を終了する。
図8に示すタイムチャートにおいて、時刻t0はCS入り許可判定時刻、時刻t1はハイクラッチ解放開始時刻、時刻t2はクラッチ完全解放完了時刻、時刻t3は車両停止時刻、時刻t4はCS抜け判定時刻、時刻t5はストローク開始圧指示終了時刻、時刻t6は充填油圧指示終了時刻である。そして、時間T1はクラッチ解放時間、時間T2はクラッチ解放維持時間、時間T3はクラッチ元圧立ち上がり待ち時間、時間T4はクラッチ油圧充填時間、時刻T5はクラッチ締結時間である。
すなわち、時刻t0にてCS入り許可判定がなされると、エンジン回転数Neの低下を監視し、ハイクラッチ油圧PH/Cの特性に示すように、エンジン回転数Neが所定値以下となる時刻t1(矢印D点)からハイクラッチ33の解放を開始する。そして、時刻t2になるとハイクラッチ33の完全解放を完了する。このように、時刻t1から時刻t2までの時間がクラッチ解放時間T1となる。
クラッチ完全解放完了時刻t2になると、車両停止時刻t3を経過し、CS抜け判定時刻t4になるまでをクラッチ解放維持時間T2とし、CS/IS時変速制御が実行される。CS/IS時変速制御が実行されると、副変速ギア位置2速→1速に切り替えられ、クラッチ解放維持時間T2の間、プライマリ電流指示値PriSOL/I*が、IS/CS中油圧指示値(=0A)とされる。また、目標バリエータレシオが固定され、目標スルーレシオ変化量制限が無効化されることで最ロー変速比が維持される。この最ロー変速比維持時間T6は、クラッチ解放維持時間T2に、クラッチ元圧立ち上がり待ち時間T3とクラッチ油圧充填時間T4を加えた時間とされる。
CS抜け判定時刻t4になると、エンジン1のスタータ始動が開始されることで、時刻t4より少し遅れた時刻t4’にてエンジン回転数Neが上昇を開始し、さらに、エンジン1により駆動されるメカオイルポンプ10からの吐出圧に基づきライン圧PLが立ち上がる。そして、CS抜け判定時刻t4からストローク開始圧指示終了時刻t5までをクラッチ元圧立ち上がり待ち時間T3とし、クラッチ油圧指示値PL/B*が、ストローク開始圧程度指示値とされ、プライマリ電流指示値PriSOL/I*が、電流飛ばし指示値(1A)とされる。
ストローク開始圧指示終了時刻t5になると、エンジン回転数Neがさらに上昇し、ライン圧PLも目標圧まで立ち上がる。そして、ストローク開始圧指示終了時刻t5から充填油圧指示終了時刻t6までをクラッチ油圧充填時間T4とし、クラッチ油圧指示値PL/B*が、油圧充填指示値とされ、プライマリ電流指示値PriSOL/I*が、電流飛ばし指示値(1A)から目標プライマリ圧を得る指示値へと斜め下げされる。
充填油圧指示終了時刻t6になると、ローブレーキ32が実際に締結し始め、実ライン圧PLからクラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxが演算され、クラッチ油圧指示値上限規制値PL/B*maxを超えることがないクラッチ油圧指示値PL/B*を出力する。これにより、充填油圧指示終了時刻t6以降、ローブレーキ32の締結が進行し、ローブレーキ32の伝達トルク容量TL/Bが大きくなり、これに伴って車速VSPも立ち上がる。つまり、ほぼ充填油圧指示終了時刻t6になるタイミングから車両の再発進が開始される。
[再発進時におけるローブレーキ締結制御作用]
エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)を行う車両において、電動オイルポンプを廃止し、オイルポンプとして、エンジン駆動のメカオイルポンプのみを備えた車両を比較例とする。
この比較例の場合、電動オイルポンプの廃止により、エンジン停止制御終了後、発進クラッチを締結して再発進するとき、油路にオイルが無くなる。
このため、停止しているエンジンを再始動したとき、エンジン回転数が立ち上がってメカオイルポンプからの吐出圧によりクラッチ油圧制御が可能になるまで発進クラッチの油圧指示を待つことになる。この結果、コーストストップ制御終了から再発進までに長時間を要し、再発進タイムラグが発生してしまう。
また、予め発進クラッチにクラッチ油圧指示値を出力しておき、エンジンを再始動させると、異常な高圧となるサージ圧が発生し、発進クラッチが急締結してしまうことがある。
ここで、「サージ圧」とは、油圧回路で発生する異常な圧力変動現象における油圧最大値をいう。バルブの構造によっては、ライン圧などの元圧がほとんど無い状態で、調圧しようとすると、バルブが全開状態となってしまう場合がある。このような場合に、エンジンが再始動され、元圧が供給されると全開のバルブを介してオイルが供給されることになり、高圧のサージ圧が発生する。
上記のように、電動オイルポンプを廃止したシステムとした場合、サージ圧による発進クラッチ急締結防止性能と、再発進タイムラグの抑制性能が要求される。以下、これを反映する再発進時におけるローブレーキ締結制御作用を説明する。
実施例1では、コーストストップ制御が行われたとき、少なくともエンジン1の再始動によりエンジン回転数が立ち上がる前に、メカオイルポンプ10からローブレーキ32への油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値PL/B*を、ローブレーキソレノイドバルブ113に出力する構成とした。
したがって、エンジン1の再始動によりエンジン回転数Neが徐々に上昇してゆくと、ローブレーキソレノイドバルブ113を介して開かれているローブレーキ32への油路にメカオイルポンプ10からのオイルが流れ込み、ローブレーキ32への管路系がオイルで満たされる。
すなわち、エンジン回転数Neが徐々に上昇していくとき、プレッシャレギュレータバルブ111は、ポンプ吐出油の逃げ路が無い状態であり、パイロットバルブ112は、バネ力によりライン圧油路115とパイロット圧油路116を連通させた状態である。そして、ローブレーキソレノイドバルブ113は、変速機コントローラ12からのクラッチ油圧指示値PL/B*によりソレノイド力が作用し、パイロット圧ポート113aとローブレーキ圧ポート113bが連通状態になる。したがって、メカオイルポンプ10から吐出されるオイルは、図4の点線矢印に示すように、ライン圧油路115→パイロット圧油路116→ローブレーキ圧油路117を通って流れ込み、ローブレーキ32への管路系がオイルで満たされることになる。
ローブレーキ圧油路117にオイルが供給される前は、変速機コントローラ12からのクラッチ油圧指示値PL/B*によりソレノイド力が作用し、フィードバック圧が作用しないため、パイロット圧ポート113aとローブレーキ圧ポート113bが全開状態で連通している。このため、エンジンの再始動時には、オイルが急激にローブレーキ圧油路117にオイルが供給されることになるが、ローブレーキ32が締結容量を発生するまでには至らないブレーキピストン32aのロスストローク分(クラッチプレートのガタ詰め分)でオイルの供給量変化を吸収でき、サージ圧によりローブレーキ32が急激に締結することが防止される。また、クラッチ油圧充填時間T4が始まるストローク開始圧指示終了時刻t5になる前に、ローブレーキ32へのローブレーキ圧油路117にオイルを供給しているので、その分、メカオイルポンプ10から供給されるオイルが少なくても締結容量を発生するローブレーキ32の締結を開始することができ、再発進までのタイムラグが小さく抑えられる。ちなみに、実施例1の場合、図8の矢印Eの枠内に示すように、CS抜け判定時刻t4から充填油圧指示終了時刻t6までのタイムラグ(クラッチ元圧立ち上がり待ち時間T3+クラッチ油圧充填時間T4)で再発進することができる。
この結果、エンジン再始動時にサージ圧によるローブレーキ32の急締結を防止しながら、コーストストップ制御終了からローブレーキ32の締結を開始するまでの再発進タイムラグを小さく抑えることができる。
実施例1では、コーストストップ制御が行われたとき、コーストストップ制御終了時点からローブレーキ32への油圧充填完了時点まで、メカオイルポンプ10からローブレーキ32への油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値PL/B*を、ローブレーキソレノイドバルブ113に出力する構成とした。
例えば、ハイクラッチ33を解放してコーストストップ制御に入る場合は、メカオイルポンプ10からローブレーキ32への油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値PL/B*の出力は、ハイクラッチ33を完全解放状態とした時点からローブレーキ32への油圧充填完了時点まで継続しても良い。なぜなら、電動オイルポンプが廃止されていることで、コーストストップ制御中は油圧の発生が無く、エンジン再始動によりエンジン回転数が立ち上がる前に油路を開くことができるからである。また、ハイクラッチ33が完全解放状態となることで、回路内のオイルがドレインされ、ローブレーキ32のローブレーキ圧油路117内に、ハイクラッチ33を締結していたオイルが入り込むことがなくなる。このため、ストローク開始圧指示終了時刻t5後のクラッチ油圧充填時間T4におけるローブレーキ32の締結状態が不安定になるのを防止することができる。しかし、この場合、停車時間が長いと、ローブレーキソレノイドバルブ113へのクラッチ油圧指示値PL/B*の出力継続時間も長くなり、ローブレーキソレノイドバルブ113への出力損失が大きくなる。
これに対し、ローブレーキソレノイドバルブ113に対するクラッチ油圧指示値PL/B*の出力時間を、コーストストップ制御終了時点からローブレーキ32への油圧充填完了時点までの限られた出力時間とされる。
したがって、ローブレーキソレノイドバルブ113への電流消費量を最小限に抑えながら、ローブレーキ32の急締結防止と再発進タイムラグの抑制を図ることができる。
実施例1では、クラッチ油圧指示値PL/B*として、コーストストップ制御終了時点(時刻t4)からライン圧生成時点(時刻t5)まではストローク開始圧程度指示値を出力し、ライン圧生成時点(時刻t5)からローブレーキ32の油圧充填完了時点(時刻t6)までは油圧充填指示値を出力する構成とした。
例えば、ローブレーキソレノイドバルブ113へ出力されるクラッチ油圧指示値を、ローブレーキ32が締結される高い値とすると、コーストストップ制御終了時点(時刻t4)から開始されるスタータ始動によるライン圧PLの上昇により、ローブレーキ32への油圧充填が完了する前にローブレーキ32締結容量を持つことがある。
これに対し、コーストストップ制御終了時点(時刻t4)からライン圧生成時点(時刻t5)までは、クラッチ油圧指示値PL/B*としてストローク開始圧程度指示値を出力することで、ライン圧PLが発生しても、ローブレーキ32への油路にオイルを満たすレベルを超えないように制限される。また、ライン圧生成時点(時刻t5)からローブレーキ32への油圧充填完了時点(時刻t6)までは、クラッチ油圧指示値PL/B*として油圧充填指示値を出力することで、ライン圧PLが発生しても、ローブレーキ32へのオイルを締結開始直前の状態までの充填するレベルを超えないように制限される。
したがって、ローブレーキソレノイドバルブ113への出力制御により、ローブレーキ32が締結開始直前となる状態を常に確保することで、安定して再発進タイムラグを小さく抑えることができる。
実施例1では、油圧充填指示値PL/B*の出力によりローブレーキ32への油圧充填が完了したと判断されると、クラッチ油圧指示値PL/B*を、油圧充填指示値からクラッチ締結指示油圧に切り替えて出力する構成とした。
この構成により、油圧充填が完了すると、ローブレーキ32の締結容量が直ちに立ち上がり、ブレーキ締結容量相当の発進トルクが駆動輪7へ伝達されることにより車両が動き出し、再発進を開始する。
したがって、ローブレーキ32への油圧充填から再発進を開始するまでのタイムラグを最小限に抑えることができる。
実施例1では、変速機を、バリエータ20と副変速機構30を組み合わせた副変速機付き無段変速機とし、発進クラッチを、副変速機構30の変速段を変更する摩擦締結要素のうち、前進1速にて締結されるローブレーキ32とする構成とした。
この構成により、電動オイルポンプを廃止した副変速機付き無段変速機を搭載した車両において、エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)の終了後、応答遅れのない発進性能を確保することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の副変速機付き無段変速機の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) エンジン1と、
前記エンジン1と駆動輪7との間に介装された変速機(副変速機付き無段変速機)と、
前記変速機(副変速機付き無段変速機)が介装された駆動系に設けられた発進クラッチ(ローブレーキ32)と、
前記エンジン1により駆動され、前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油圧を供給するメカオイルポンプ10と、
所定の開始条件が成立すると前記エンジン1を停止し、所定の終了条件が成立するとエンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)を終了し、前記エンジン1を再始動するエンジン停止制御手段(エンジンコントローラ14)と、
を備えた車両用変速機(副変速機付き無段変速機)の制御装置において、
前記メカオイルポンプ10から前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油路途中位置に設けられ、前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油圧を制御するソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)と、
前記ソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)へのクラッチ油圧指示値PL/B*を出力する変速機制御手段(変速機コントローラ12)と、を設け、
前記変速機制御手段(変速機コントローラ12)は、前記エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)が行われたとき、少なくとも前記エンジン1の再始動によりエンジン回転数Neが立ち上がる前に、前記メカオイルポンプ10から前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値PL/B*を前記ソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)に出力する。
このため、エンジン停止制御終了(コーストストップ制御終了/アイドルストップ制御終了)から発進クラッチ(ローブレーキ32)を締結するまでの再発進タイムラグを小さく抑えることができる。併せて、エンジン再始動時、サージ圧による発進クラッチ(ローブレーキ32)の急締結を防止することができる。
(2) 前記変速機制御手段(変速機コントローラ12)は、前記エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)が行われたとき、エンジン停止制御終了時点(時刻t4)から前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油圧充填完了時点(時刻t6)まで、前記メカオイルポンプ10から前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値PL/B*を前記ソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)に出力する。
このため、(1)の効果に加え、ローブレーキソレノイドバルブ113への電流消費量を最小限に抑えながら、ローブレーキ32の急締結防止と再発進タイムラグの抑制を図ることができる。
(3) 前記変速機制御手段(変速機コントローラ12)は、エンジン停止制御終了後に前記エンジン1の再始動による回転数上昇により、所定値以上のライン圧PLが生成される時点をライン圧生成時点(時刻t5)というとき、前記クラッチ油圧指示値PL/B*として、エンジン停止制御終了時点(時刻t4)から前記ライン圧生成時点(時刻t5)まではストローク開始圧程度指示値を出力し、前記ライン圧生成時点(時刻t5)から前記発進クラッチ(ローブレーキ32)の油圧充填完了時点(時刻t6)までは油圧充填指示値を出力する。
このため、(2)の効果に加え、ソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)への出力制御により、ローブレーキ32が締結開始直前となる状態を常に確保することで、安定して再発進タイムラグを小さく抑えることができる。
(4) 前記変速機制御手段(変速機コントローラ12)は、前記油圧充填指示値PL/B*の出力により前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油圧充填が完了したと判断されると、前記クラッチ油圧指示値PL/B*を、前記油圧充填指示値からクラッチ締結指示油圧に切り替えて出力する。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、発進クラッチ(ローブレーキ32)への油圧充填から再発進を開始するまでのタイムラグを最小限に抑えることができる。
(5) 前記変速機は、無段変速比を実現するバリエータ20と副変速機構30を組み合わせた副変速機付き無段変速機であり、
前記発進クラッチは、前記副変速機構30の変速段を変更する摩擦締結要素のうち、前進1速にて締結される摩擦締結要素(ローブレーキ32)である。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、電動オイルポンプを廃止した副変速機付き無段変速機を搭載した車両において、エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)の終了後、応答遅れのない発進性能を確保することができる。
また、前記変速機制御手段(変速機コントローラ12)は、前記エンジン停止制御(コーストストップ制御/アイドルストップ制御)が行われたとき、少なくとも再始動によりエンジン回転数Neが立ち上がる前に、前記メカオイルポンプ10から前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値PL/B*を前記ソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)に出力する前に、前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油路を一旦閉めておくクラッチ油圧指示値PL/B*を前記ソレノイドバルブ(ローブレーキソレノイドバルブ113)に出力する。
これにより、前記発進クラッチ(ローブレーキ32)への油路内のオイルを無くすことができ、油路内の残存オイルによる前記発進クラッチ(ローブレーキ32)の不安定な締結を防止することができる。
以上、本発明の車両用変速機の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、発進クラッチとして、副変速機構30に有するローブレーキ32を用いる例を示した。しかし、発進クラッチとしては、同じシステムを用いる場合であっても、副変速機構30に有するハイクラッチ33を用いる例としても良い。また、有段変速機の場合、前進1速にて締結される摩擦要素とする例であっても良い。
実施例1では、エンジン停止制御として、コーストストップ制御とアイドルストップ制御の両方を行う例を示した。しかし、エンジン停止制御としては、コーストストップ制御のみを行う例、或いは、アイドルストップ制御のみを行う例であっても良い。
実施例1では、変速機として、副変速機付き無段変速機を用いる例を示した。しかし、変速機としては、副変速機無しの無段変速機を用いる例であっても良いし、複数の変速段を有する有段自動変速機を用いる例であっても良い。
実施例1では、本発明の制御装置を、副変速機付き無段変速機を搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の車両用変速機の制御装置は、ハイブリッド車両に対しても適用することができる。要するに、駆動源にエンジンを有する車両であれば適用できる。
1 エンジン
4 変速機(副変速機付き無段変速機)
7 駆動輪
10 メカオイルポンプ
20 バリエータ(無段変速機構)
30 副変速機構
32 ローブレーキ(発進クラッチ)
33 ハイクラッチ
34 リバースブレーキ
11 油圧制御回路
113 ローブレーキソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)
12 変速機コントローラ(変速機制御手段)
13 統合コントローラ
14 エンジンコントローラ(エンジン停止制御手段)

Claims (5)

  1. エンジンと、
    前記エンジンと駆動輪との間に介装された変速機と、
    前記変速機が介装された駆動系に設けられた発進クラッチと、
    前記エンジンにより駆動され、前記発進クラッチへの油圧を供給するメカオイルポンプと、
    所定の開始条件が成立すると前記エンジンを停止し、所定の終了条件が成立するとエンジン停止制御を終了し、前記エンジンを再始動するエンジン停止制御手段と、
    を備えた車両用変速機の制御装置において、
    前記メカオイルポンプから前記発進クラッチへの油路途中位置に設けられ、前記発進クラッチへの油圧を制御するソレノイドバルブと、
    前記ソレノイドバルブへのクラッチ油圧指示値を出力する変速機制御手段と、を設け、
    前記変速機制御手段は、前記エンジン停止制御が行われたとき、少なくとも前記エンジンの再始動によりエンジン回転数が立ち上がる前に、前記メカオイルポンプから前記発進クラッチへの油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値を前記ソレノイドバルブに出力する
    ことを特徴とする車両用変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両用変速機の制御装置において、
    前記変速機制御手段は、前記エンジン停止制御が行われたとき、エンジン停止制御終了時点から前記発進クラッチへの油圧充填完了時点まで、前記メカオイルポンプから前記発進クラッチへの油路を予め開いておくクラッチ油圧指示値を前記ソレノイドバルブに出力する
    ことを特徴とする車両用変速機の制御装置。
  3. 請求項2に記載された車両用変速機の制御装置において、
    前記変速機制御手段は、エンジン停止制御終了後に前記エンジンの再始動による回転数上昇により、所定値以上のライン圧が生成される時点をライン圧生成時点というとき、前記クラッチ油圧指示値として、エンジン停止制御終了時点から前記ライン圧生成時点まではストローク開始圧程度指示値を出力し、前記ライン圧生成時点から前記発進クラッチの油圧充填完了時点までは油圧充填指示値を出力する
    ことを特徴とする車両用変速機の制御装置。
  4. 請求項3に記載された車両用変速機の制御装置において、
    前記変速機制御手段は、前記油圧充填指示値の出力により前記発進クラッチへの油圧充填が完了したと判断されると、前記クラッチ油圧指示値を、前記油圧充填指示値からクラッチ締結指示油圧に切り替えて出力する
    ことを特徴とする車両用変速機の制御装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載された車両用変速機の制御装置において、
    前記変速機は、無段変速比を実現するバリエータと副変速機構を組み合わせた副変速機付き無段変速機であり、
    前記発進クラッチは、前記副変速機構の変速段を変更する摩擦締結要素のうち、前進1速にて締結される摩擦締結要素である
    ことを特徴とする車両用変速機の制御装置。
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