JP5207211B2 - 耐指紋性向上剤、活性エネルギー線硬化型樹脂およびこれらを用いた活性エネルギー線硬化型ハードコート剤 - Google Patents

耐指紋性向上剤、活性エネルギー線硬化型樹脂およびこれらを用いた活性エネルギー線硬化型ハードコート剤 Download PDF

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本発明は、ハードコート剤などのコーティング剤に配合することにより、形成される硬化膜に付着した指紋などの皮脂汚を目立ち難く、拭取りを容易にできる効果を与えることができる耐指紋性向上剤、耐指紋性を有する硬化膜を得ることができる活性エネルギー線硬化型樹脂、これらを用いたハードコート剤、ハードコート剤を用いて得られた硬化膜および硬化膜を有する物品に関する。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、各種物品の表面に塗工し、紫外線等の活性エネルギー線の照射により容易に硬化し、高硬度で耐擦傷性、透明性などに優れた硬化被膜(ハードコート被膜)を形成させることができることから、プラスチック材料等の表面を保護するハードコート剤等として広く用いられている。
しかし、近年、携帯電話やタッチパネルを用いた電子機器の普及により、ハードコート剤の適用分野が広がり、コーティング材料として従来の傷付き難さを付与するハードコート性に加えて、皮脂等の油汚れから保護する機能も求められている。また、指で操作する表示部材に用いられる場合には、指紋の付着汚れが目立たずに拭取りが容易であることが求められている。
かかる課題に対しては、例えば、ハードコート剤にフッ素系界面活性剤を配合し、得られる硬化膜を撥水化する技術(特許文献1)、ポリフルオロアルキル基を有する重合性モノマーと光硬化性官能基を有する重合性モノマーとの共重合体とするなど光硬化性官能基を有するフッ素系重合体を硬化成分として用いる技術(特許文献2)などフッ素に由来する高い撥水性を利用して、ハードコート剤に指紋汚れ防止性を付与する技術が提案されている。しかし、得られる硬化膜は脂成分である指紋汚れを弾き、一定の汚れ付着低減効果はあるものの、完全に付着が防止できるものではなく、表面に弾かれたまま残存した指紋は光による乱反射を受けて、かえって外観上汚れが目立ちやすくなり、実用上満足できるものではない。
これに対して、基材表面とシロキサン結合を介して親油性の被膜を形成させることで指紋と馴染みやすくし外観上の汚れを目立たなくする技術(特許文献3)も提案されている。しかし、得られる被膜はハードコート性を有しないものであり、また、付着した指紋汚れは堆積しやすく、その拭取りが困難になるという問題がある。
特開平10−1101118号公報 特開2002−241446号公報 特開2001−353808号公報
本発明は、ハードコート剤など物品表面に被膜を形成させるコーティング剤などに配合することにより、付着した指紋が外観上目立ちにくく(指紋汚れ目立ち防止性が良好)、しかも拭取りも容易(指紋拭取り性が良好)となる特性(耐指紋性)を付与することができる耐指紋性付与剤を提供すること、および耐指紋性が良好なハードコート膜が得られる活性エネルギー線硬化性樹脂(ハードコート剤)を提供することを目的とする。
本発明者は、特定のアルキル基または芳香族基を有するビニルモノマーと、特定のフッ素原子を有するビニルモノマーとを所定の比率で含有する重合成分を重合して得られた共重合体をコーティング剤に配合して用いること、および前記ビニルモノマーに更にエポキシ基含有ビニルモノマーをそれぞれ所定の比率で含有する重合成分を重合して得られた共重合体にα,β不飽和カルボン酸を付加反応させて得られる活性エネルギー線硬化型樹脂を用いることによりこれらの課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は、
炭素数6〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(a1)および芳香族系ビニルモノマー(a2)から選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー(A)と、分子中に5〜13個のフッ素原子を有するビニルモノマー(B)を、(A):(B)=90〜99.9:0.1〜10の重量比で含有する重合成分を重合して得られる共重合体(I)からなることを特徴とする耐指紋性向上剤;炭素数6〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(a1)および芳香族系ビニルモノマー(a2)から選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー(A)と、分子中に5〜13個のフッ素原子を有するビニルモノマー(B)、および分子中にエポキシ基を有するビニルモノマー(C)を(A):(B):(C)=20〜70:0.1〜10:20〜79.9の重量比で含有する重合成分を重合して得られる共重合体(II)に、α,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる活性エネルギー線硬化型樹脂;前記耐指紋性向上剤または前記活性エネルギー線硬化型樹脂、多官能性(メタ)アクリル化合物、および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート剤;前記活性エネルギー線硬化型ハードコート剤を硬化して得られる硬化膜および硬化膜が表面に形成された物品、に関する。
本発明の耐指紋性向上剤は、共重合体中に親油性部位と撥水性部位とを適度なバランスで共存させた共重合体からなるものであるため、各種コーティング剤に配合することにより、得られるコーティング膜に指紋の汚れ目立ち防止性および指紋拭取り性を付与することができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、高硬度で、優れた耐擦傷性などのハードコート性が良好なことに加え、良好な指紋汚れ目立ち防止性および指紋拭取り性を併せ持つ硬化膜(ハードコート膜)と形成させることができる。
本発明の防汚染性付与剤は、重合成分として、少なくとも、炭素数6以上のアルキル基を有するビニルモノマー(a1)(以下、成分(a1)という。)または芳香族系ビニルモノマー(a2)(以下、成分(a2)という。)から選ばれる少なくとも1種のビニルモノマー(以下、成分(A)という。)と、5から13個のフッ素原子を有するビニルモノマー(B)(以下、(B)成分という。)を含有する重合成分を重合して得られる共重合体(I)からなることを特徴とするものである。
成分(A)を構成する成分(a1)としては、分子中に炭素数6〜22のアルキル基と、1個の不飽和二重結合を有する化合物であれば特に限定することなく用いることができ、アルキル基は直鎖構造、分岐構造および環状構造(シクロアルキル構造)のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数が6未満の場合には、得られる共重合体(I)の親油性が不十分となり、付着した指紋との馴染み性が悪く、指紋汚れ目立ち防止効果が得られない。炭素数が22を超える場合には、液状で扱うことは困難となり取扱性が悪く、実質的に安定した性能のものを得ることが困難である。成分(a1)のうち、アルキル基が直鎖または分岐構造のものとしては、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、デシルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。シクロアルキル構造のものとしては、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販のものとしては、日油(株)製「ブレンマー」シリーズや、共栄社化学(株)製「ライトエステル」、「ライトアクリレート」シリーズの中から入手することができる。
共重合体(I)の成分(A)を構成する(a2)成分としては芳香環と、1個の不飽和二重結合を有する化合物であれば特に限定することなく用いることができる。具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。これらのうち、入手の容易性からスチレンが好ましい。
市販のものとしては、共栄社化学(株)社製「ライトエステル」シリーズおよび「ライトアクリレート」シリーズ、東ソー有機化学(株)社の製品の中から入手することができる。
また、成分(A)の構成モノマーとしては成分(a1)または成分(a2)のいずれかを含有していればよく、これらをそれぞれ単独で、または適宜併用してもよい。
共重合体(I)の成分(B)としては、5から13個のフッ素原子を有する撥油性を与える基と1個の不飽和二重結合を含有する化合物であれば特に限定することなく用いることができる。具体例としては、2,2,3,3,3,-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロロヘプチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートのアルキル鎖の水素原子の一部をフッ素原子に置換された、フッ素置換(メタ)アクリレート類やフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン等のフッ素系オレフィン類が挙げられる。これらのうち、成分(A)が有する親油性との関係から適度な撥油性を与え、より指紋拭取り性をより効果的に発現させることができるという観点から、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
共重合体(I)における成分(A)と成分(B)の構成比率(A):(B)は、成分(A)の親油性と成分(B)の撥油性のバランスから、(A):(B)=90〜99.9重量%:0.1〜10重量%の範囲とする必要がある。成分(B)が0.1重量%未満の場合には、指紋の拭取り性が悪く、成分(B)が10重量%を超えると付着した指紋が馴染むことなく弾きすぎて指紋目立ち防止効果が得られない。
なお、共重合体(I)の重合成分として、成分(A)および成分(B)のいずれにも属さない他の成分を塗工性の調整など種々の目的に応じて、かつ、本発明の効果を損ねない範囲で適宜使用してもよい。かかる成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸メチルなどの前記共重合成分と共重合し得る二重結合を1個有するビニルモノマーであれば特に限定することなく使用することができる。
成分(A)と成分(B)と重合方法としては、特に限定することなく公知の方法により行えばよい。例えば、これら各共重合成分を有機溶剤と混合して、全重合成分として20〜60重量%の均一な混合物溶液とし、これにラジカル重合開始剤を添加して反応液とし、80〜140℃の温度条件下で滴下重合を行うことで、各成分がランダムに共重合した共重合体を得ることができる。重合反応に使用する有機溶剤としては、各重合成分に対して共溶媒となるものであれば特に限定することなく公知のものを使用することができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、二塩化エチレン、四塩化炭素などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定することなく公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ラジカル重合開始剤の使用量は、全重合成分100重量部に対し、0.01〜8重量部程度とすることが好ましい。なお、必要に応じ、連鎖移動剤などを用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。連鎖移動剤の使用量は、使用する全重合成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度とすることが好ましい。
このようにして得られた共重合体(I)は、分子量(GPCによるポリスチレン換算値)5,000〜100,000程度のものであり、ハードコート剤やその他の各種物品の表面コーティング剤に配合する耐指紋性向上剤として用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂は、成分(A)と成分(B)および分子中にエポキシ基を有するビニルモノマー(C)(以下、成分(C)という。)を含有する重合成分を重合して得られた共重合体(II)に、α,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られることを特徴とする。共重合体(II)は、重合成分として共重合体(I)と共通する成分(A)と成分(B)を含み、更に成分(C)を含むものであり、成分(C)のエポキシ基と、α,β−不飽和カルボン酸との反応により重合性二重結合を有しているので、活性エネルギー線照射による硬化反応性を有するものである。
成分(C)としては、分子内に少なくとも1個のエポキシ基と1個の不飽和二重結合を有する化合物であれば特に限定することなく公知のものを使用することができる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3、4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド 1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。3、4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド 1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性と調達コストの面から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、共重合体(II)の重合成分として、成分(A)、成分(B)および成分(C)以外の成分を塗工性の調整など種々の目的に応じて、かつ、本発明の効果を損ねない範囲で適宜使用してもよい。前記成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの前記共重合成分と共重合し得る二重結合を1個有するビニルモノマーであって、かつ、成分(C)のエポキシ基と反応しないものであれば特に限定することなく使用することができる。
共重合体(II)における成分(A)、成分(B)および成分(C)の構成比率(A):(B):(C)は、(A)成分が有する親油性、(B)成分が有する撥油性および(C)成分が有する反応硬化性のバランスから、重量比で(A):(B):(C)=20〜70:0.1〜10:20〜79.9の範囲とすることが必要である。成分(A)の重量比が20を下回ると得られる硬化膜表面の親油性が不足し、付着した指紋が馴染まなくなり、指紋汚れ目立ち防止効果が得られなくなる。成分(A)の重量比が70を超える場合には、架橋重合成分である成分(C)の比率が減少することになり、耐擦傷性や高い表面硬度などのハードコート性が十分に確保できなくなる。また、成分(B)の重量比が0.1を下回ると指紋の拭取り性が悪くなり、10重量%を超えると、得られる硬化膜表面の撥水性が強すぎて指紋が馴染まずに弾きが顕著となり、指紋汚れ目立防止効果が得られない。以上の観点から、前記各成分の構成比率は重量比で、(A):(B):(C)=30〜50:0.5〜5:50〜69.5の範囲とすることがより好ましい。
成分(A)、成分(B)および成分(C)の重合方法としては、前述の共重合体(I)と同様の条件で行えばよい。
このようにして得られた共重合体(II)は、分子量(GPCによるポリスチレン換算値)5,000〜100,000程度、エポキシ当量180〜710(JIS−K−7236)のものであり、α,β−不飽和カルボン酸を反応させて活性エネルギー線硬化型樹脂とする。α,β−不飽和カルボン酸としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ダイマー等が挙げられる。これらのうち、得られる活性エネルギー線硬化型樹脂の光重合反応性と硬化物のハードコート性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
共重合体とα,β−不飽和カルボン酸の反応は、重合体(II)に存在するエポキシ基が開環して、α,β−不飽和カルボン酸が付加する反応である。反応方法については、特に限定されず公知の方法を採用することができる。通常は、共重合体(II)とα,β−不飽和カルボン酸とを混合し、必要により各種触媒の存在下80〜120℃の温度に加熱することにより行う。使用する触媒としては、例えば、塩基性触媒としては、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンやアンモニア等のアミン類、トリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類が挙げられ、酸触媒としては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリブトキシアルミニウム、テトラブトキシトリチタニウム等の金属アルコキシド化合物、塩化アルミニウム等のルイス酸、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物などが挙げられる。触媒の使用量は特に限定されないが、共重合体(II)とα,β−不飽和カルボン酸の合計重量100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部程度とすることが好ましい。
なお、必要に応じて、有機溶剤や重合禁止剤を用いてもよい。有機溶剤としては、
重合体(II)およびα,β−不飽和カルボン酸と反応せず、かつこれらを溶解するものであれば特に限定することなく公知のものを使用することができる。具体的には、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級ケトン類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸ブチル、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、反応温度(120℃)より高い沸点を有し、反応成分との相溶性の高いメチルイソブチルケトン、酢酸ブチルが好ましい。重合禁止剤としては、メトキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は特に限定されないが、得られる樹脂の反応硬化性に悪影響を与えることがないようにするため重合体(II)とα,β−不飽和カルボン酸成分の合計重量100重量部に対して、通常、1重量部程度以下とすることが好ましい。また、重合を防止するために、反応系中に空気を吹き込む等してもよい。
こうして得られた活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子量(GPCによるポリスチレン換算値)5,000〜100,000程度、(メタ)アクリル当量250〜800g/eq程度((メタ)アクリロイル基1モルあたりのグラム数)、酸価2.0〜10.0程度のものであり、必要に応じて適宜、他の硬化成分に配合し、また必要により有機溶剤等を混合してハードコート剤とすることができる。他の硬化成分としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)エステルアクリレート等に代表される多官能性(メタ)アクリレート成分が挙げられ、これらは東亜合成(株)のアロニックス製品群や大阪有機工業(株)のビスコート製品群より容易に入手することができる。なお、これらはそれぞれを単独で、または2種以上を併用して配合してもよい。他の硬化成分の使用割合は、特に制限されないが、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対して、80重量部以下で使用することが好ましく、より好ましくは60重量部以下である。80重量部を超えると、耐指紋性の効果を十分に発現しなくなる場合があるためである。
また、本発明のハードコート剤は、さらに、必要に応じてレベリング剤や消泡剤、スリップ剤、光増感剤等の各種添加剤(フッ素やシリコーン化合物を含む添加剤を除く。)を配合することもできる。フッ素やシリコーン化合物を含む添加剤を用いる場合には、設定した親油性と撥油性の適度なバランスが崩れ、硬化膜表面の特性がより撥水性の強いものに変化し、指紋目立防止効果などを低下させてしまうおそれがあるためである。
本発明のハードコート剤を紫外線で硬化させる場合には光重合開始剤を使用することができる。光重合開始剤としては、紫外線により分解してラジカルを発生して重合を開始させることができるものであれば、特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が挙げられチバ・ジャパン(株)などから容易に入手することができる。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。光重合開始剤の使用量は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部程度とすることが好ましい。
本発明のハードコート剤を用いて物品表面にハードコート層(硬化膜)を形成させる方法としては、物品表面にハードコート剤を公知の方法で塗布して乾燥させた後に、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより行う。ハードコート剤の塗布方法としては、例えばバーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。なお、塗布量は特に限定されないが、通常は、乾燥後の重量が0.1〜20g/m、好ましくは0.5〜10g/mになる範囲である。
本発明のハードコート剤(活性エネルギー線硬化型樹脂組成物)を使用してハードコート層が形成可能な物品(基材)としては、特に制限はなく、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等が挙げられる。
以下に、耐指紋性付与剤および活性エネルギー線硬化型樹脂として使用するポリマーを合成し、これらをもとに実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。なお、各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。
(ポリマーの合成)
以下に説明する合成例に従って、ポリマー1〜6を合成した。得られたポリマーの共重合体の組成を表1に示す。
(実施例1)
撹拌機、温度計、エアーバブリング装置および還流冷却器、滴下ロートを2基備えたフラスコに、イソステアリルメタクリレート(以下、iso−SMA)12.1重量部と、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート0.2重量部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBK)49.4重量部、及び、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)0.2重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら1時間かけて90℃に昇温させた後、90℃で1時間反応させた。1時間反応後、iso−SMA36.4重量部、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート0.7重量部、AIBN0.7重量部から成る混合液を2時間かけて滴下した後、100℃で3時間反応させた。その後、AIBNを0.2重量部入れ、100℃で2時間反応させ、iso−SMA(98%)/2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(2%)の耐指紋性剤であるポリマー1を得た。重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算値)は8,000であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZ2000」を2本直列に連結して測定した値を示す(以下の例において同じ)。
(実施例2)
撹拌機、温度計、エアーバブリング装置および還流冷却器、滴下ロートを備えたフラスコに、グリシジルメタクリレート(以下、GMA)4.1重量部と、iso−SMA6.3重量部、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート0.1重量部、MIBK41.7重量部、及び、AIBN0.2重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら1時間かけて90℃に昇温させた後、90℃で1時間反応させた。1時間反応後、GMA12.2重量部、iso−SMA18.8重量部、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート0.3重量部、AIBN0.6重量部から成る混合液を2時間掛けて滴下した後、100℃で3時間反応させた。その後、AIBNを0.2重量部入れ、100℃で2時間反応させた後、120℃付近まで昇温させ2時間反応させ、GMA(39%)/iso−SMA(60%)/2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(1%)の共重合体を得た。その後、60℃まで冷却し、窒素雰囲気下よりエアーバブリングに切り替え、アクリル酸を8.2重量部、トリフェニルフォスフィンを0.4重量部加えて、撹拌しながら110℃まで昇温した後、8時間保持して反応させた。その後80℃まで冷却後、p-メトキシフェノール0.1重量部を加え80℃で30分間保温後、室温まで冷却し活性エネルギー線硬化型樹脂であるポリマー2を得た。重量平均分子量は14,000、酸価4.0であった。
(比較例1)
撹拌機、温度計、エアーバブリング装置および還流冷却器、滴下ロートを2基備えたフラスコに、iso−SMA12.1重量部と、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート0.2重量部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBK)49.6重量部、及び、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)0.2重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら1時間かけて90℃に昇温させた後、90℃で1時間反応させた。1時間反応後、iso−SMA36.4重量部、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート0.7重量部、AIBN0.7重量部から成る混合液を2時間掛けて滴下した後、100℃で3時間反応させた。その後、AIBNを0.2重量部入れ、100℃で2時間反応させ、iso−SMA(98%)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(2%)のポリマー3を得た。重量平均分子量は8,000であった。
(比較例2)
撹拌機、温度計、エアーバブリング装置および還流冷却器、滴下ロートを2基備えたフラスコに、iso−SMA12.1重量部と、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート0.2重量部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBK)50重量部、及び、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)0.2重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら1時間かけて65℃に昇温させた後、65℃で1時間反応させた。1時間反応後、iso−SMA36.4重量部、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート0.7重量部、AIBN0.7重量部から成る混合液を2時間掛けて滴下した後、65℃で3時間反応させた。その後、AIBNを0.2重量部入れ、80℃で2時間反応させ、iso−SMA(98%)/2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(2%)のポリマー4を得た。重量平均分子量は8,000であった。
(比較例3)
撹拌機、温度計、エアーバブリング装置および還流冷却器、滴下ロートを2基備えたフラスコに、iso−SMA9.9重量部と、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート2.5重量部、MIBK49.4重量部、及び、AIBN0.2重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら1時間かけて90℃に昇温させた後、90℃で1時間反応させた。1時間反応後、iso−SMA29.6重量部、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート7.4重量部、AIBN0.7重量部から成る混合液を2時間掛けて滴下した後、100℃で3時間反応させた。その後、AIBNを0.2重量部入れ、100℃で2時間反応させ、iso−SMA(80%)/2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(20%)のポリマー5を得た。重量平均分子量は9,000であった。
(比較例4)
撹拌機、温度計、エアーバブリング装置および還流冷却器、滴下ロートを2基備えたフラスコに、iso−SMA12.3重量部と、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート0.006重量部、MIBK49.4重量部、及び、AIBN0.2重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら1時間かけて90℃に昇温させた後、90℃で1時間反応させた。1時間反応後、iso−SMA37.0重量部、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート0.018重量部、AIBN0.7重量部から成る混合液を2時間掛けて滴下した後、100℃で3時間反応させた。その後、AIBNを0.2重量部入れ、100℃で2時間反応させ、iso−SMA(99.95%)/2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(0.05%)のポリマー6を得た。重量平均分子量は7,000であった。
Figure 0005207211
表1中の略号は、以下のとおりである。
ISO-SMA:イソ−ステアリルメタクリレート
2-PFHEMA:2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
2-PFOEMA:2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート
2,2,2-TFEMA:2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
(ハードコート剤の調製)
上記実施例、比較例により合成されたポリマー(指紋付着防止剤または各活性エネルギー線硬化型樹脂)を使用して塗料化し、ハードコート剤を調製した。
(実施例3)
実施例1で得られたポリマー1を20重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(実施例4)
実施例2で得られたポリマー2を100重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(実施例5)
実施例2で得られたポリマー2を20重量部に、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例5)
比較例1で得られたポリマー3を20重量部、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例6)
比較例2で得られたポリマー4を20重量部、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例7)
比較例3で得られたポリマー5を20重量部、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例8)
比較例4で得られたポリマー6を20重量部、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例9)
ペンタエリスリトールトリアクリレート99重量部に、市販のUV硬化型防汚性添加剤としてダイキン化学社製フッ素添加剤「オプツールDAC」(登録商標)を固形換算で1重量部を配合、さらに光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3重量部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例10)
iso−SMAを20重量部に、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(比較例11)
2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート20重量部に、ペンタエリスリリトールトリアクリレート80重量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン(株))3部を配合し、不揮発分が40%になるようにメチルエチルケトンで希釈調製し、均一に混合した。
(硬化膜の作成)
各実施例および比較例で調製したコーティング剤を厚さ188μmの片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製「A4100」)の易接着面にバーコーターNo.8で塗布し、80℃1分間乾燥させた後、紫外線光を300mJ/cm照射し、膜厚4μmの硬化膜を得た。
(塗膜評価)
作成した塗膜について下記項目の試験を行い、ハードコート性(外観、硬度、耐擦傷性)と耐指紋性(指紋の目立ち難さ、指紋の拭取り性)について評価した。
得られた結果を表2および表3に示す。
<外観>
塗膜の外観をレベリング性(平滑性)、ゆず肌、ピンホールについての不具合の有無を目視にて評価した。
○=優秀 ×=不良
<鉛筆硬度>
JIS−K−5600の試験方法に則り、評価した。
<耐擦傷性>
グレード0000のスチールウールを1立方センチメートルあたり500g加重で、塗膜表面を50回摩擦し、塗膜表面の傷の有無を目視で観察した。
◎=傷無 ○=薄い傷が3-6本程度 ×=深い傷が多数
<耐指紋性>
(目立ち難さ)
塗膜表面に指を押し当てて付着する指紋の目立ち難さを下記の4段階で評価した。
1:塗膜面に付着した指紋がガラス板に付着した指紋よりも、白くハッキリ目視できた。
2:塗膜面に付着した指紋がガラス板に付着した指紋と同程度の目立ち易さであった。
3:塗膜面に付着した指紋がガラス板に付着した指紋よりも目立ち難かった。
4:塗膜面に付着した指紋がガラス板に付着した指紋よりも明らかに目立ち難かった。
(拭取り性)
各塗膜面に付着させた指紋に対し、キムタオル(日本製紙クレシア(株))で一方向に往復して指紋が目視できなくなるまで拭取り、指紋の拭き取り性を下記の3段階で評価した。
A:塗膜面に付着した指紋が確認できなくなるまで、2往復以内の拭き取りで容易に拭取れた。
B:塗膜面に付着した指紋が確認できなくなるまで、3から5往復で容易に拭取れた。
C:塗膜面に付着した指紋が確認できなくなるまで、6往復以上の拭き取り回数を要した。
Figure 0005207211
Figure 0005207211
表2および3中の略号は、以下のとおりである。
オプツール:ダイキン工業(株)社製 UV硬化型防汚性添加剤「オプツールDAC」(登録商標)
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
ISO-SMA:イソ−ステアリルメタクリレート
2-PFHEMA:2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
以上の結果より、本発明の指紋付着防止剤を配合して得られた硬化膜および本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂を用いて得られた硬化膜は、市販の撥水撥油性の防汚性付与剤を添加したもの、親油性の(A)成分と多官能モノマー成分を反応硬化させて得られた硬化膜や撥水性の(B)成分と多官能モノマーとを反応硬化させて得た硬化膜に比べ、同等のハードコート性を有し、かつ耐指紋性(目立ち難さ、拭取り性)において優れた効果を有していることが明らかである。

Claims (5)

  1. 炭素数6〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(a1)および芳香族系ビニルモノマー(a2)から選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー(A)と、分子中に5〜13個のフッ素原子を有するビニルモノマー(B)を、(A):(B)=90〜99.9:0.1〜10の重量比で含有する重合成分を重合して得られる共重合体(I)からなることを特徴とする耐指紋性向上剤。
  2. 炭素数6〜22のアルキル基を有するビニルモノマー(a1)および芳香族系ビニルモノマー(a2)から選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー(A)と、分子中に5〜13個のフッ素原子を有するビニルモノマー(B)、および分子中にエポキシ基を有するビニルモノマー(C)を、(A):(B):(C)=20〜70:0.1〜10:20〜79.9の重量比で含有する重合成分を重合して得られる共重合体(II)に、α,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる活性エネルギー線硬化型樹脂。
  3. 請求項1に記載の耐指紋性向上剤または請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂、多官能性(メタ)アクリル化合物、および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート剤。
  4. 請求項3記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート剤を硬化して得られる硬化膜。
  5. 請求項4に記載の硬化膜が表面に形成された物品。
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