JP5197862B2 - 自在固定装置 - Google Patents

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Description

この発明は、たとえば板材などのような被固定部を固定するための固定装置に関し、より詳しくは、被固定部から突出したボルトが被固定部の被締め付け面に対して傾いていたとしても被固定部の固定が所望通りに行えるような自在固定装置に関する。
アンカーボルトや各種の機器、看板、柵、束金物などの設置は、設置面に対して正しく行わなければならない。正しくとは、目的に応じて所望の状態になるようにすることであり、例えば前記例のアンカーボルトの場合には、アンカーボルトが所定位置に真っ直ぐに立つようにしなければならない。
このアンカーボルトの設置には、下記特許文献1に記載の装置が用いられている。この装置は、アングル材を組み合わせて構成された支持フレームで下端部が構成されたもので、この支持フレームの上方にアンカーボルトが立設される。
装置の設置に当たっては、設置面としての捨コンの上に支持フレームの下端面を面接触した状態で、打ち込みピンとナットとワッシャを有したセットアンカーを用いて固定するが、アンカーボルトを真っ直ぐに立てるには、支持フレーム自体が水平に正しく固定されなければならない。このため、支持フレームの下面と捨コンとの間に適宜厚の板状のスペーサを挟み込みながら、水平になるように調整する必要があった。
また、孔あけ時に孔が傾いてしまうこともあり、この結果、前記セットアンカーが傾いてしまうことがあって、安定した固定ができない場合がある。
この点、アンカーが真っ直ぐに挿入されなくても安定した固定状態を得ようとする固定用具が、下記特許文献2に開示されている。
この固定用具は、被連結部材に挿入されて抜け止めされる軸と、この軸側に設けられた軸側摺接部と、前記被連結部材に当接される当接部材と、この当接部材側に設けられた当接部材側摺接部とを有するものであって、前記軸側摺接部に凸球面が形成され、当接部材側摺接部にその凸球面を受ける凹球面が形成されて、相互間に隙間が開かない状態で摺接するように構成されたものである。この構成によって、軸部としてのアンカーが傾いていても、前記のように安定した固定状態が得られるとされている。
特許第3973293号公報 特開2004−340211号公報
しかし、特許文献2のような固定用具は、当接部材側摺接部に凹球面を有するので、この凹球面にゴミなどが入り易く、入念に作業をしないと、摺接すべき部分に隙間ができて、安定した固定状態が得られないことがある。
また、前記アンカーフレームの設置に際しては、水平位置も正しく設定されなければならないところ、特許文献2のような固定用具を用いたとしても、軸としてのアンカーが傾くことによって被連結部材に形成された孔の位置も水平にずれてしまうので、正しい設置ができないおそれがあった。
そこで、この発明は、安定した固定状態を確実に得られるとともに、必要に応じて水平位置の調整も、水平出しも容易に行えるようにすることを主たる目的とする。
そのための手段は、被固定部から突出した軸部に螺合されるナット部と、該ナット部で締め付けられる被締め付け面を有するとともに、前記軸部の直径よりも大径の貫通孔を有し、前記ナット部との間で相対移動する環状の介装部と、該介装部を当該凸球面に沿って摺動可能に受けるべく介装部側に突出する球面からなる半球状の凸球面、および前記被固定部の被締め付け面に当接する平らな当接面を有する座金部を備え、該座金部内には半球状の中空部を設け、前記凸球面の頂部には、前記介装部の貫通孔よりも小径で前記軸部を通す円形のルーズホールからなる貫通孔を有し、前記中空部の底を、前記凸球面の前記貫通孔の径よりも大きく形成した自在固定装置である。前記座金部の凸球面と当接面はそれぞれ別部材で構成したものであるもよい。
ナット部を軸部に螺合して介装部の被締め付け面を締め付けると、介装部は、座金部の凸球面上を適宜摺動し、安定した姿勢で座金部の凸球面を押さえつけ、座金部の当接面が、被固定部の被締め付け面を締め付ける。
別の手段は、アンカーボルトを立設するアンカーフレームにおける前記被固定部としてのベースプレートに固定孔が形成され、該固定孔に、設置面に固定した前記軸部が挿通されるとともに、前記固定孔が前記軸部の直径よりも大径に形成され、前記軸部に、前記座金部と介装部とナット部が挿通されて前記固定孔の周囲の前記被締め付け面が締め付けられる前記自在固定装置を備えたアンカーフレームである。
前記のように被固定部の被締め付け面を締め付けて固定するが、前記ナット部と介装部と座金部を、被固定部の一方側の面ではなく他方側の面にも用いれば、被固定部の水平出しも、設置面に対して傾けての固定も、また水平位置の調整も、必要に応じて容易に行える。
この発明によれば、座金部と介装部との間で三次元的な変位が可能であるので、軸部が被固定部の被締め付け面に対して垂直であるか否かにかかわりなく固定できる。
しかも、座金部の凸球面は介装部側に突出するものであり、介装部は環状であるので、凹球面を有する場合のようにゴミ等が入ることはなく、所望の固定状態が容易に得られる。
自在固定装置の斜視図。 自在固定装置を用いて固定したアンカーフレームの斜視図。 ナット部の作用状態を示す平面図。 介装部の他の例を示す断面図。 座金部の他の例を示す説明図。 自在固定装置を用いてアンカーフレームのプレート部材を固定する構造を示す分解斜視図。 自在固定装置を用いてアンカーフレームを固定する準備段階を示す斜視図。 自在固定装置を用いてアンカーフレームを固定する工程を示す斜視図。 自在固定装置を用いてアンカーフレームのプレート部材を固定した状態を示す斜視図。 自在固定装置で固定されたプレート部材にアンカーボルトを固定する状態を示す分解斜視図。 自在固定装置で固定されるプレート部材と位置決めボルトとアンカーボルトの斜視図。 自在固定装置の作用状態を示す断面図。 自在固定装置の作用状態を示す断面図。 自在固定装置で固定される他の形態に係るアンカーフレームの斜視図。 図14のアンカーフレームの下部プレートの斜視図。 図14のアンカーフレームの下部プレートの固定状態の斜視図。 図14のアンカーフレームのアンカーボルトの固定構造を示す分解斜視図。 図14のアンカーフレームの上部プレートの固定構造を示す分解斜視図。 自在固定装置で固定される他の形態に係るアンカーフレームの斜視図。 図19のアンカーフレームの下部プレートの斜視図。 自在固定装置で固定される他の形態に係るアンカーフレームの斜視図。 図21のアンカーフレームの下部プレートの斜視図。 他の例に係る位置決めボルトの斜視図。 自在固定装置の他の例に係る作用状態を示す断面図。
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は自在固定装置11の斜視図、図2はその使用状態の一例を示す斜視図である。
自在固定装置11は、固定に用いられる軸部としてのボルト21が被固定部31の被締め付け面32に対して垂直でなくても安定した固定ができるようにするもので、ナット部41と介装部51と座金部61を有する。
前記ナット部41は、前記ボルト21の雄ねじ22に螺合する雌ねじ42を有しており、板状に形成されている。すなわち、中央に前記雌ねじ42を有するねじ孔43を有し、全体として略円板状に形成されている。そして、ナット部41の外周縁の4箇所に、等間隔に突片44が形成されている。突片44は、回転しやすくするためのものである。
図3に示したように適宜の工具で回転できるように寸法や形状を設定することも可能である。たとえば図3(a)はスパナXで回転できるように寸法が設定された例を示し、図3(b)は、前記突片44の先端を三角形に形成して、レンチYで回転できるように寸法と形状が設定された例を示している。また、図示は省略するが、前記ねじ孔43を有する中央部分の厚さを他の部分よりも、例えば片面凸レンズ状または両面凸レンズ状に厚くして、ねじ孔43を長く形成することもできる。
前記介装部51は、図1に示したように平面視円形で断面方形をなす環状に形成され、貫通孔52を有している。貫通孔52の大きさは、前記ボルト21の直径よりも大きく設定され、上面又は下面のいずれか一方が、前記ナット部で締め付けられる被締め付け面53である。この介装部51の場合には、図4に示したように、断面形状を方形ではなく、前記被締め付け面53の反対側の内周角部を切欠いて、この内周角部に、前記座金部61に対して面接触する湾曲面54を形成することもできる。
前記座金部61は、前記介装部51側に突出する凸球面62と、前記被固定部31の被締め付け面32に当接する環状の平らな当接面63と、前記ボルト21を通す中央の貫通孔64を有している。前記凸球面62は、前記介装部51が乗って三次元的に摺動したときに、前記貫通孔64が介装部51の上面(被締め付け面53)より上に突出しないように、介装部51との間で寸法が設定されている。また、前記貫通孔64は、前記ボルト21が傾斜することを許容するくらいにボルト21の直径よりも若干大径に形成されている。
この座金部61は、図5(a)に示したように、バネ性を有する線状体65を前記座金部と同様の形状に渦巻状に巻回して形成することもできる。この場合には、前記貫通孔64部分の変形が許容されるので、ボルト21の径や傾きに対する対応の範囲が広がる。
また、図5(b)に示したように、座金部61は、凸球面62を有する凸球面部材66と、当接面63を有し通常のワッシャと同様にドーナツ型に形成されたワッシャ部材67とで構成することもできる。凸球面部材66に設けられる貫通孔64の径と、ワッシャ部材67に設けられる貫通孔67aの径を同程度の大きさに形成する。この場合には、凸球面部材66とワッシャ部材67が相対移動してボルト21の傾斜に対する追従性が向上する。
図5(c)に示したように、前記座金部61の当接面63に、菊座状の凹凸63aを形成することもできる。この場合には、座金部61の被締め付け面32に対する接触抵抗が増し、良好な固定状態を得ることができる。
図5(d)に示したように、前記座金部61の凸球面62は、円錐状の曲面68であるもよい。この場合には、前記介装部51が、径方向に変位可能な可撓性を有する材料で構成されると、介装部51の摺動性と安定性が阻害されないのでよい。
以上のようなナット部41と介在部51と座金部61を備えた自在固定装置11を用いて図2に示したようなアンカーフレーム71を固定する例を次に説明する。
図2に示したアンカーフレーム71は、1本のアンカーボルト72を建築の基礎(図示せず)の内部に設置するためのもので、設置面としての捨コン73の上に浮かせた状態で固定される前記被固定部31としてのプレート部材74と、このプレート部材74の中央に立設状態で固定される前記アンカーボルト72と、前記プレート部材74に貫通する軸部としてのボルト75(21)で構成される。このボルト75は、捨コン73に埋設されたナットアンカー76に螺合され、立設状態に固定される。
なお、ナットアンカー76ではなく、上側部分に雄ねじを有したボルトアンカー等の適宜の部材を用いて固定することもできる。
前記プレート部材74は、図6に示したように4辺の長手方向の中間部に半円形の切欠74aが形成された方形板状に形成され、中央に、前記アンカーボルト72を螺合して立設する垂直なアンカーボルト立設孔74bが形成され、四隅には、前記ボルト75を挿通する固定孔74cが形成されている。アンカーボルト立設孔74bには、図2に示したようにアンカーボルト72の下端部に形成された雄ねじ72aが螺合する雌ねじ74dが形成されている。また、前記固定孔74cは、挿通する前記ボルト75の直径よりも大きく形成されている。大きさは、ボルト75が傾いていても前記プレート部材74を捨コン73の上方の所定位置に設置できるように、また水平方向での移動を許容するように考慮されている。
なお、前記固定孔74cの周囲が前記被固定部31の被締め付け部32となる。また、プレート部材74の上面には、縦横方向を示す十字状の目印74eが刻設等の適宜の手段で設けられる。
前記アンカーボルト72は、異形鉄筋で構成され、前記下端部の雄ねじ72aのほかに、図2に示したように、上端部にも雄ねじ72bが形成されている。そして、アンカーボルト72の長さは、形成する基礎の高さに応じて適宜設定され、アンカーボルト72の上端面には、中心を示すための十字線からなる目印72cが設けられている。また、アンカーボルト72の下端の前記雄ねじ部72aには、前記プレート部材の固定のために2個の締め付けナット77を備える(図10、図12参照)。
前記ボルト75は、前記アンカーナット76に下端部が螺合されるもので、いわゆるイモネジで構成される。ボルト75の上端部には、回転操作の便宜のために平面部75aが形成されている。
このように構成されたアンカーフレーム71の設置は次のように行われる。
まず、捨コン73(設置面)の上の据付箇所に、図7に示したように墨出しをする。芯墨78は、据付箇所の中央のアンカーボルト72を立設する位置と、ナットアンカー76を固定する位置に直線の交点ができるように行う。そして、ナットアンカー76を固定すべき位置に下穴をあけてナットアンカー76を固定し、ナットアンカー76に前記ボルト75の下端部を螺合する(図8参照)。
続いて、図8に示したようにボルト75に対して、自在固定装置11を保持する。自在固定装置11は、1本のボルト75に対して、プレート部材74を上下に挟むように2組使用する。下の自在固定装置11では、先にナット部41を螺合し、次に介装部51を挿嵌し、最後に凸球面62を下にした座金部61を挿嵌する。ナット部41のボルト75の軸方向での位置は、プレート部材74を保持すべき所定の高さに保持できるように適宜設定しておく。所定の高さとは、形成する基礎のコンクリートが十分に入り込む隙間ができる高さである。
次に、図6に示した如く、前記プレート部材74の固定孔74cにボルト75を挿通するようにプレート部材74を降ろし、プレート部材74の上から別の自在固定装置11をボルトに保持する。このときの保持は、先の場合とは逆に、まず座金部61をボルト75に挿嵌し、次に介装部51を挿嵌し、最後にナット部41をボルト75に螺合して行う。このとき、水準器を用いてプレート部材74の水平を出すとともに、プレート部材74の上面の目印74eと芯墨78を用いて適正な位置にプレート部材74を保持する。プレート部材74の上下の自在固定装置11を締め付けることで、図9に示したようにプレート部材74が捨コン73の上に浮いた強固な固定状態が得られる。
この後、図10に示したようにアンカーボルト72の下端部の雄ねじ72aをプレート部材74のアンカーボルト立設孔74bにアンカーボルト72の下端部を螺合し、プレート部材74の上下両面において、前記締め付けナット77で締め付けてアンカーボルト72を立設し、アンカーボルト72の上端面の高さが所定高さになるように調整する。
そして、トランシット等を用いて、複数のアンカーフレーム71のアンカーボルト72の通りを見るとともに、アンカーボルト72の鉛直性を見る。そして、鉛直性が得られたことを確認し、必要ならば再度調整を行う。
このようにしてアンカーフレーム71を据え付けた後、コンクリートの打設を行い、基礎が形成される。
前記プレート部材74の保持後の作業が容易になるようにするためには、前記プレート部材74の固定が正しく、容易に行われる必要があるので、前記プレート部材74の固定に当たっては、図11に示したように位置決めボルト81を用いるとよい。
位置決めボルト81は、アンカーボルト立設孔74bに螺合可能な雄ねじ部82と、この雄ねじ部82の上端に回転力入力用の頭部83を有した構造で、前記雄ねじ部82の下端82aは、軸心部分が最も尖る先鋭な形状に形成されている。前記頭部83は、全体として円板状で、外周部に四方に突出する突片83aが形成された、前記自在固定装置11のナット部41と同様の形状である。前記アンカーボルト立設孔74bに螺合するので、このアンカーボルト立設孔74bが位置決めボルト81を螺合のための、この発明のねじ孔を兼ねる。
すなわち、前記プレート部材74の保持に先立って、プレート部材74のアンカーボルト立設孔74bに、位置決めボルト81を螺合する。螺合は、位置決めボルト81の下端82aからプレート部材74の下面までの高さが、プレート部材74を保持すべき高さになるように調整しておく。そして、位置決めボルト81の下端82aを、アンカーボルト72を立設する位置の芯隅78の交点Pに当てて、前記と同様に、プレート部材74の上下に配設される自在固定装置11によって、プレート部材74を水平で、且つ正しい水平位置に固定する。
位置決めボトル81がプレート部材74の高さを規制し、しかも、アンカーボルト72の立設位置を定めるものであるため、自在固定装置11による固定作業が簡易迅速に行える。また、アンカーボルト72の立設が正しい位置に正確に行える。
上下の自在固定装置11によってプレート部材74を固定した後は、位置決めボルト81をアンカーボルト立設孔74bから外して、図10に示したように、アンカーボルト72をアンカーボルト立設孔74bに立設状態で固定する。取り外した位置決めボルト81は、再度、自在固定装置11を用いての他の固定を行うときに使用される。
図12に示したように、プレート部材74が捨コン73の表面の状態にかかわらず水平に保持でき、しかも、正しい水平位置に固定される。この結果、プレート部材74に立設されるアンカーボルト72も所定位置に正しく固定される。
図12は、ナットアンカー76を本来あるべき真っ直ぐに固定した状態を示している。このようにアンカーナット76が捨コン73に対して真っ直ぐに固定されれば、ボルト75は鉛直上向きに真っ直ぐ立設されることになるので、アンカーボルト72も必然的に適切に設置されることになる。
また、図13に示したようにナットアンカー76が真っ直ぐに固定されない場合でも、前記自在固定装置11を用いた前記プレート部材74の固定では、プレート部材74は水平に、しかも正しい水平位置に固定できる。図13中、二点鎖線は鉛直方向を、一点鎖線はボルト75の芯方向を示している。
すなわち、プレート部材74の固定孔74cはボルト75の直径よりも大径で、ボルト75が傾いた状態で挿通されるのを許容する。また、自在固定装置11のナット部41をボルト75に螺合して介装部51の被締め付け面53を締め付けると、介装部51は、座金部61の凸球面62上を適宜摺動し、安定した姿勢で座金部61の凸球面62を押さえつけ、座金部61の当接面63が、被固定部31たるプレート部材74の被締め付け面32(固定孔74cの周囲)を締め付ける。前記凸球面62は球面であり、介装部51は環状であるので、摺動は自在に且つ円滑に行える。
したがって、座金部61と介装部51との間で三次元的な変位が可能であり、ナット部41はあくまでもボルト75に対して一定の姿勢のまま、その締め付け力を安定して座金部61の当接面63に作用させるので、ボルト75がプレート部材74の被締め付け面32に対して垂直であるか否かにかかわりなく固定できる。この結果、前記のようにプレート部材74を水平に保持することができ、しかも水平位置を正しく固定することができる。すなわち、捨コン73に不陸があるなどした場合であっても、アンカーボルト21を正確な位置に鉛直上向きに正しく立てることができる。
このような効果を有するので、ナットアンカー76等の固定のための下孔をあける作業が、これまでよりも容易に行えるという効果も有する。
また、ナット部41は板状に形成されているので、自在固定装置の高さを低くすることができきる。
しかも、座金部61の凸球面62は介装部51側に突出するものであり、その介装部51側の凸球面62にたとえゴミが接触しても溜まることはなく、また介装部51は環状であるので、凹球面で三次元的な変位を可能とする構造のように固定状態が阻害されるおそれはなく、所望の固定状態が容易に得られる。
また、前記位置決めボルト81を用いることで、プレート部材74の位置、ひいてはアンカーボルト72を立設する位置を正しく定めることができる。しかも、プレート部材74の高さも同時に正しく設定できるので、作業性は良好で、単純工でも容易に所望の固定ができる。
さらに、図示例のアンカーフレーム71では、垂直に延びるのはアンカーボル72のみであるので、横筋などの配筋作業に際して邪魔になるものがなく、作業がし易い。しかも、コンクリートの打設に必要なあきを確保することも確実にでき、強固な基礎を形成できる。
加えて、アンカーフレーム71のプレート部材74は、板状に形成され設置面から浮かして設置されるので、コンクリートがプレート部材74材の下方にも入り込み、他に定着座金のような部材を用いずとも、アンカーボルト72に異形鉄筋を用いたことと相俟って、引き抜き耐力の高いアンカーとすることができる。別の部材の取り付けが不要なぶん、作業も簡単である。
また、プレート部材74は板状であるので、製造は容易であり、嵩張らずに梱包することもできる。さらに前述のように現場での組立ても容易である。このため、製造から流通、施工におけるコストを低減できる。
以下、別の形態のアンカーフレームを固定する例を示す。この説明において、先の例と同一又は同等の部位については、同一の符号をしてその詳しい説明を省略する。
図14に示したアンカーフレーム71は、2本のアンカーボルト72を建築の基礎の内部に設置するためのもので、捨コン73の上に浮かせた状態で固定される略長円形状のプレート部材74と、このプレート部材74の中央を挟む2位置に立設状態で固定される前記アンカーボルト72と、アンカーボルト72の上端部に固定される上部プレート79と、前記プレート部材74に貫通するボルト75で構成される。
前記プレート部材74は、図15に示したように略長円形板状をなし、長手方向の中間部の両辺に、短手方向の中間位置を挟んで2個ずつの略円形の切欠74aが形成されている。これらの切欠74aの存在によって、短手方向の両端に突片74fを有するような形態となる。これらの突片74fと、長手方向の両端部に、前記固定孔74cが形成されている。これら4個の固定孔74cのうち長手方向の2個の固定孔74cと短手方向の2個の固定孔74cは、それぞれ中央から等距離にある。
また、プレート部材74の中央には、前記位置決めボルト81を螺合するねじ孔74gが形成され、さらに、このねじ孔74gを挟む長手方向における両側には、ねじ孔74gから等距離の位置に、前記アンカーボルト72を立設するためのアンカーボルト立設孔74bが形成されている。アンカーボルト立設孔74bは、複数種類の太さのアンカーボルト72を使用できるようにするため、必要な限度において最も大きい大きさに形成される。
さらに、プレート部材74の表面には、長手方向と短手方向を示す目印74eが刻設等により形成されるとともに、打ち出しにより補強リブ74hが形成されている。
前記上部プレート79は、基本的に前記プレート部材74と同様の形態に形成されるが、前記固定孔74cは有さず、アンカーボルト72の上端部を固定するための固定孔79aが形成される(図18参照)。固定孔79aの大きさは、プレート部材74のアンカーボルト立設孔74bと同一である。また、長手方向及び短手方向の長さは、下部プレートの場合よりも若干長く設定して、下げ振りZ(図14参照)を使用しやすいように考慮している。
図14、図18中、79bは切欠、79cは突片、79dは目印、79eは補強リブである。
このように構成されたアンカーフレーム71の設置は次のように行われる。
まず、捨コン73の上の据付箇所に、図15に示したように墨出しをする。芯墨78は、据付箇所の中央と、アンカーボルト72を立設する位置と、ナットアンカー76を固定する位置に直線の交点ができるように行う。そして、ナットアンカー76を固定すべき位置にナットアンカー76を固定し、ナットアンカー76に前記ボルト75の下端部を螺合する。その後、図15に示したように、プレート部材74の中央のねじ孔74gに位置決めボルト81を螺合して、この位置決めボルト81を利用して、図16に示したように、前記の如く自在固定装置11を用いてプレート部材74を、所定位置に、水平状態で固定する。
位置決めボルト81はプレート部材74の中央に保持され、4個の固定孔74cと2個のアンカーボルト立設孔74bは、位置決めボルトから所定の距離に位置することになるので、位置決めボルト81で位置を設定することで、すべての孔が所望の位置に、容易に位置決めされる。位置決めボルト81の位置がプレート部材74の中央であるので、位置決めボルト81の下端82aを合わせる作業も容易である。補強リブ74hの存在によってプレート部材74の変形を防止できることからも、この効果は確実なものとなる。
この後、プレート部材74から位置決めボルト75を外して、図17に示したように、プレート部材74のアンカーボルト立設孔74bにアンカーボルト72の下端部を固定する。固定に当たっては、アンカーボルト72の径がアンカーボルト立設孔74bの径よりも小さい場合には、外径d1が同一だが内径d2が異なる複数種類のアジャスタリング80をアンカーボルト立設孔74bの内部に嵌めてアンカーボルト72の固定を行う。
アジャスタリング80は、プレート部材74の厚さと同一で、外径d1はアンカーボルト立設孔74bに嵌合対応するように設定され、内径d2はアンカーボルト72の下端部に嵌合対応するように設定されている。使用するアンカーボルトの径に応じた種類のアジャスタリング80が備えられる。
アンカーボルト72の固定は、前記のように上下の締め付けナット77で挟み込むようにして行う。このため、前記締め付けナット77には、アンカーボルト立設孔74bの径よりも大きいものが使用される。
2本のアンカーボルト72を立設した後は、これらアンカーボルト72の上端部に、図18に示したように、前記上部プレート79を固定する。この場合も、所定の高さにおいて水平を出す。また、この上部プレート79の固定も、プレート部材74に対するアンカーボルト72の固定と同様に、アジャスタリング80と上下2個の締め付けナット77を用いて行う。上部プレート79を固定するときには、図14に仮想線で示したように、下げ振りZを用いて、アンカーボルト72の建ちを正しく調整する。
この上部プレート79は、コンクリートの打設の後、取り外して、前記位置決めボルト81と同様に、再度使用される。
前記と同様に、前記ボルト75と自在固定装置11によってプレート部材74が固定されるので、プレート部材74は捨コン73の表面の状態にかかわらず水平に保持でき、しかも、正しい水平位置に固定される。しかも、位置決めボルト81によって作業が簡単になる。この結果、プレート部材74に立設されるアンカーボルト72は、上部プレート79の作用もあって、所定位置に正しく固定される。しかも、作業は容易である。
図19に示したアンカーフレーム71は、4本のアンカーボルト72を建築の基礎の内部に設置するためのもので、捨コン73の上に浮かせた状態で固定される略正方形状のプレート部材74と、このプレート部材74の中央を挟む4位置に立設状態で固定される前記アンカーボルト72と、アンカーボルト72の上端部に固定される上部プレート79と、前記プレート部材74に貫通するボルト75で構成される。
前記プレート部材74は、図20に示したように略正方形板状をなし、4辺の長手方向の中間部の大きな円弧状の切欠74aが形成されている。そして四隅に、前記固定孔74cが形成されている。これら4個の固定孔74cは、それぞれ中央から等距離にある。
また、プレート部材74の中央には、前記位置決めボルト81を螺合するねじ孔74gが形成されている。さらに、このねじ孔74gを挟む対角線上のねじ孔74gから等距離の位置(具体的には前記固定孔74cの内側)に、前記アンカーボルト72を立設するためのアンカーボルト立設孔74bが形成されている。アンカーボルト立設孔74bも前記と同様、複数種類の太さのアンカーボルトを使用できるようにするため、必要な限度において最も大きい大きさに形成される。
図中74iは、略方形状をなす4個の窓部であり、この窓部74iは、コンクリートが十分に入り込む大きさに形成されている。
前記上部プレート79は、基本的に前記プレート部材74と同様の形態に形成されるが、図18に示した上部プレート79の場合と同様に、前記固定孔74cは有さず、アンカーボルト72の上端部を固定するための固定孔79aが形成される。また、4辺の長手方向の中間部を、外周側に若干突出させて、下げ振りを使用しやすいように考慮している。図18中、79fは窓部である。
このように構成されたアンカーフレーム71の設置は次のように行われる。
まず、捨コン73の上の据付箇所に、図20に示したように墨出しをする。芯墨78は、据付箇所の中央と、アンカーボルト72を立設する位置と、ナットアンカー76を固定する位置に直線の交点ができるように行う。そして、ナットアンカー76を固定すべき位置にナットアンカー76を固定し、ナットアンカー76に前記ボルト75の下端部を螺合する。その後、図20に示したように、プレート部材74の中央のねじ孔74gに位置決めボルト81を螺合して、この位置決めボルト81を利用して、前記のように自在固定装置11を用いてプレート部材74を、所定位置に、水平状態で固定する。
位置決めボルト81はプレート部材74の中央に保持され、4個の固定孔74cと4個のアンカーボルト立設孔74bは、位置決めボルト81から所定の距離に位置することになるので、位置決めボルト81で位置を設定することで、すべての孔が所望の位置に、容易に位置決めされる。位置決めボルト81の位置がプレート部材74の中央であるので、位置決めボルト81の下端82aを合わせる作業も容易である。
この後、プレート部材74から位置決めボルト81を外して、プレート部材74のアンカーボルト立設孔74bにアンカーボルト72の下端部を固定する。固定に当たっては、前記と同様に、アンカーボルトの径がアンカーボルト立設孔74bの径よりも小さい場合には、前記アジャスタリング80をアンカーボルト立設孔74bの内部に嵌めてアンカーボルト72の固定を行う。
4本のアンカーボルト72を立設した後は、これらアンカーボルト72の上端部に、図19に示した如く前記と同様に、前記上部プレート79を固定する。
このようなアンカーフレーム71を固定する場合も、自在固定装置11によってプレート部材74は捨コンの表面の状態にかかわらず水平に、しかも、正しい水平位置に固定されるので、プレート部材74に立設されるアンカーボルト72は、上部プレート79の作用もあって、所定位置に正しく固定される。しかも、作業は容易である。
図21に示したアンカーフレーム71は、8本のアンカーボルト72を建築の基礎の内部に設置するためのものである。プレート部材74に8個のアンカーボルト立設孔74bを有し、上部プレート79に8個の固定孔79aを有する以外は、図19に示したアンカーフレーム71と略同一の構成である。アンカーボルト立設孔74bと固定孔79aは、四隅のほか、4辺の中間位置に形成される。設置方法なども同様であるので、詳しい説明は省略する。
図23は、前記位置決めボルト81の他の例を示す。これらに示したように、位置決めボルト81は、適宜の形態に形成できる。図23(a)は、前記と同一の構成の位置決めボルトの頭部上面に、トランシット等を使用したときの側点となる十字状の目印84が形成された例である。このように目印84が形成されると、複数個のアンカーフレーム71の設置位置を、トランシットや光波測距儀により、正しく設定することができる。このほか、図23(b)の位置決めボルト81のように側面に軸方向に沿った線状の目印84を刻印や塗装で形成したり、図23(c),(d)の位置決めボルト81のように、軸方向に沿った線が現れる形態にして線状の目印84を形成したりしてもよい。前記塗装には、蛍光塗料によるものも含む。
なお、前記の例では、自在固定装置11の使用例として、アンカーフレーム71を固定する場合の例のみを示したが、例えば図24に示したように、その他の様々な固定に使用できる。図24(a)中、91は板状の被固定部で、92はボルトアンカーである。図24(b)中、93,94は木材等の被固定部で、95は軸部としてのボルトである。一方の被固定部93の表面(被締め付け面32)は傾斜しており、ボルト95の軸心方向と垂直ではないが、自在固定装置11の作用によって、強固に締め付けて固定することができる。
この発明の構成と、前記一形態の構成との対応において、
この発明の軸部は、前記ボルト21,75,95,ボルトアンカー92に対応し、
以下同様に、
被固定部は、被固定部31,91,93,94、プレート部材74に対応し、
ベースプレートは、プレート部材74に対応し
設置面は、捨コン73に対応するも、
この発明は、前記構成のみに限定されず、その他の形態を採用することもできる。
たとえば、ナット部に、一般的な六角ナットなどを用いてもよい。
11…自在固定装置
21…ボルト
31…被固定部
32…被締め付け面
41…ナット部
51…介装部
52…貫通孔
53…被締め付け面
61…座金部
62…凸球面
63…当接面
64…貫通孔
68…円錐状の曲面
71…アンカーフレーム
72…アンカーボルト
73…捨コン
74…プレート部材
74c…固定孔
74g…ねじ孔
75…ボルト
81…位置決めボルト
84…目印
91,93,94…被固定部
92…ボルトアンカー

Claims (6)

  1. 被固定部から突出した軸部に螺合されるナット部と、
    該ナット部で締め付けられる被締め付け面を有するとともに、前記軸部の直径よりも大径の貫通孔を有し、前記ナット部との間で相対移動する環状の介装部と、
    該介装部を当該凸球面に沿って摺動可能に受けるべく介装部側に突出する球面からなる半球状の凸球面、および前記被固定部の被締め付け面に当接する平らな当接面を有する座金部を備え、
    該座金部内には半球状の中空部を設け、
    前記凸球面の頂部には、前記介装部の貫通孔よりも小径で前記軸部を通す円形のルーズホールからなる貫通孔を有し
    前記中空部の底を、前記凸球面の前記貫通孔の径よりも大きく形成した
    自在固定装置。
  2. 前記座金部における当接面が、前記凸球面の下端よりも外周方向に張り出して環状に形成された
    請求項1に記載の自在固定装置。
  3. 前記ナット部が板状のナットで構成された
    請求項1または請求項2に記載の自在固定装置。
  4. 前記介装部における前記座金部に接する内周角部に、前記座金部に対して面接触する湾曲面が形成された
    請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の自在固定装置。
  5. アンカーボルトを立設するアンカーフレームにおける前記被固定部としてのベースプレートに固定孔が形成され、
    該固定孔に、設置面に固定した前記軸部が挿通されるとともに、前記固定孔が前記軸部の直径よりも大径に形成され、
    前記軸部に、前記座金部と介装部とナット部が挿通されて前記固定孔の周囲の前記被締め付け面が締め付けられる
    請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の自在固定装置を備えたアンカーフレーム。
  6. 前記座金部と介装部とナット部が、前記固定孔の下面側と上面側に備えられる
    請求項5に記載の自在固定装置を備えたアンカーフレーム。
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