JP5196665B2 - 有機elディスプレイの製造方法 - Google Patents

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本発明は、色変換フィルタ基板に係り、特に、性能が良く高精度なパターンを低コストで得ることができる色変換フィルタ基板および有機ELディスプレイの製造方法に関する。
有機EL素子を用いて多色発光、多色表示を実現する方法の一つとして色変換法がある。色変換法は有機EL素子からの発光を吸収し、吸収波長と異なる波長分布の発光を行う色変換層を、前記有機EL素子の出射面側の前面に近接配置して一体化することにより多色を表示可能にする構造を有する。そのような色変換層としては高分子樹脂からなる層へ蛍光色素を分散させたものが知られている。この色変換法による構造は有機EL素子を構成する有機EL層が単色でも多色表示とすることができるため製造が容易で、安価にできるので、大画面の多色表示用有機ELディスプレイパネルへの展開が積極的に検討されている。
また、前述した多色表示のためのパネル構成は、色変換層に、さらにカラーフィルタ層を組み合わせることによって良好な色再現性が得られる等の特徴を有している。しかし、発表されている色変換層で、多色での十分な変換効率を得るためには、色によって光変換効率に差があるので、色によって色変換層の膜厚を10μm程度まで厚くする必要がある。その結果、前記有機EL素子の前面に対向して色変換層を近接配置させるためには色変換層表面の凹凸を平滑にする技術や、色変換層から生じる水分を遮断する技術等、特殊な技術を要するので、有機ELディスプレイパネルのコストアップにつながる。
このような問題点を解決する方策として、水分を含まないドライプロセスにて色変換能を有する有機EL層を陽極、陰極間に配設して有機EL素子を形成する製造方法が挙げられる。この製造方法によれば、最適な色変換材料を選択できれば、水分発生の問題のない高効率且つ薄膜(1μm以下)の色変換素子が実現できる。
この製造方法を更に発展させた方法として、インクジェット法で基板上の画素周辺に形成された隔壁(バンク層ともいう)の間に選択的に蛍光体材料を吐出し塗布して色変換層のパターニングを形成する方法が知られている(特許文献1)。
特開平11−87063号公報
前述のインクジェット法の利点はインクの利用効率が非常に高く、色変換層の作製コストを抑えられる点にある。しかしながら、色変換層に含まれる蛍光色素を有機溶媒に溶解して吐出し塗布する必要があるため、色変換層を形成した基板と、TFT(薄膜トランジスタ)上に有機EL素子を搭載した有機EL素子基板とを接着剤樹脂で貼りあわせる際に、前記色変換層が硬化前の低分子量の接着剤樹脂に接触した時点で、色変換層が接着剤樹脂に溶出するという問題が生じる。この問題に対しては、溶出を防ぐために色変換層の表面を覆う透明な保護層を形成することが考えられるが、同系統の有機溶媒に溶解して用いる透明保護層では、塗布する段階で、やはり前述と同様の溶出問題が生じる。
本発明は以上述べた点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、色変換層表面を覆う透明保護層を形成する際と、色変換フィルタ基板と、有機EL素子を搭載した有機EL素子基板とを貼り合せる際にも、色変換層の特性に悪影響を受けることのない色変換層を、高精度なパターンで低コストで得ることができる色変換フィルタ基板の製造方法を提供することにある。
透明基板上に、所定の波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を形成後、該カラーフィルタ層上に画素ごとに区画するようにバンク層を形成し、該バンク層によって区画される領域上に、所定の波長の光を吸収し、吸収した光と異なる波長を含む蛍光を出力する色変換層材料を含むインクを塗布して色変換層を形成し、該色変換層上に可視光域で透明な高分子材料を含むインクを塗布して前記色変換層の保護層を形成する工程を有する色変換フィルタ基板の製造方法において、前記色変換層材料を含むインクの溶媒が非極性溶媒であり、前記可視光域で透明な高分子材料を含むインクの溶媒が極性溶媒である色変換フィルタ基板の製造方法とすることにより、前記本発明の目的が達成される。
また、前記色変換層材料を含むインクの溶媒の、前記色変換層材料に対する溶解度パラメータが10(cal/cm31/2未満であり、さらに前記可視光域で透明な高分子材料を含むインクの溶媒の、前記色変換層材料に対する溶解度パラメータが10(cal/cm31/2以上の溶媒である色変換フィルタ基板の製造方法とすることが好ましい。
また、前記色変換層材料を含むインクの溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、エチルベンゼン、メチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジメチルエチルベンゼン、メチルジエチルベンゼン、テトラリンから選ばれる少なくとも一種の溶媒を主成分とすることが好ましい。
さらに、前記透明高分子材料を含むインクの溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも一種の溶媒を主成分とすることも好適である。
また、前記色変換層材料を含むインクを塗布して色変換層を形成する方法がインクジェット法であることが望ましい。さらにまた、前記可視光域で透明な高分子材料を含むインクを塗布して前記色変換層の保護層を形成する方法がインクジェット法もしくはスピンコーティング法で形成することもできる。さらに、前述した色変換フィルタ基板の製造方法により製造される色変換フィルタ基板と、基板上にバリア層で保護される有機EL素子が搭載された有機EL素子基板とを対向して配置し、前記有機EL素子基板と前記色変換フィルタ基板とを接着剤で固着するとともに、前記両基板の間隙に充填剤を注入する工程を有する有機ELディスプレイの製造方法とすることもできる。
本発明によれば、色変換層表面を覆う透明保護層を形成する際と、色変換フィルタ基板と、有機EL素子を搭載した有機EL素子基板とを貼り合せる際にも、色変換層の特性に悪影響を受けることのない色変換層を、高精度なパターンで低コストで得ることができる色変換フィルタ基板の製造方法を提供することができる。
本発明にかかる色変換フィルタ基板の断面概略図である。 本発明にかかる色変換フィルタ基板を含む有機ELディスプレイの断面概略図である。
以下、本発明の色変換フィルタ基板の製造方法にかかる好適な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の単なる一例であって、本発明の要旨を超えない限り、以下に説明する実施例の記載に限定されるものではない。以下、本発明の色変換フィルタ基板の製造方法について説明する。
図1に示すように、支持体たる透明基板10上に、有機層としてブラックマトリクス40およびカラーフィルタ層30(R,G,B)を配設する。ここで、本発明にかかるディスプレイで用いる透明基板10は、光透過性に富み、且つ、ブラックマトリクス40、カラーフィルタ層30(R,G,B)、および、後述する色変換層20、有機EL素子(電極、有機発光層等)の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものを用いる。さらに寸法安定性に優れていることが好ましい。また、多色発光ディスプレイの性能低下を引き起こさないものであれば良く、例としては、ガラス、各種プラスチック、各種フィルム等が挙げられる。
また、各カラーフィルタ層のサブピクセル間を区画するように可視域を透過しないブラックマトリクス40を配設して、コントラストの向上を図ることができる。ブラックマトリクス40は、通常のフラットパネルディスプレイ用の材料を用いて形成することもできる。
また、本発明にかかる有機ELディスプレイで用いるカラーフィルタ層30(R,G,B)は、前記透明基板10上に作成される。液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに用いられる材料を用いて形成することができ、近年はフォトレジストに顔料を分散させた、顔料分散型材料がよく用いられる。フラットパネルディスプレイ用のカラーフィルタ層は、400nm〜550nmの波長を透過する青色カラーフィルタ層、500nm〜600nmの波長を透過する緑色カラーフィルタ層、600nm以上の波長を透過する赤色カラーフィルタ層のそれぞれを配列したものが一般的である。
続いて、バンク層5を形成する。バンク層5の材料としては平坦化層と同様の樹脂を用いることができ、形成方法は塗布法を用いることができ、特に、フォトプロセスを用いることが好ましい。
バンク層5に適用可能な材料としては、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を、光および/または熱処理して、ラジカル種、イオン種を発生させて重合または架橋させて不溶不融化させたものが一般的である。また、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、パターニングを行うために、硬化をする前は有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが好ましい。具体的に、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂としては、
(1)アクロイル基、メタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーまたはオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物膜を、光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの、
(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物を、光または熱処理により二量化させて架橋したもの、
(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物膜を、光または熱処理によりナイトレンを発生させて、オレフィンと架橋させたもの、ならびに
(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤からなる組成物膜とを、光または熱処理により酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどが挙げられる。
特に前記(1)の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を用いた場合には、フォトプロセスのため、パターニングが可能であり、耐溶剤性、耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
その他の、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂あるいは、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート等と3官能性もしくは4官能性のアルコキシシランとを含むポリマーハイブリッド等が挙げられる。
バンク層5の断面形状としては、ストレート型、順テーパ、逆テーパ構造等が適用できる。膜厚(バンク層5の高さ)は、後述する色変換材料をインクジェット塗布法で形成する際に、バンク層5の膜厚が薄いと液滴が画素外にあふれて混色が生じるので、混色を防ぐために好ましくは3μm以上がよい。
バンク層5の形成前に、カラーフィルタ層30(R,G,B)を保護する目的として平坦化層(不図示)を形成してもよい。平坦化層は、カラーフィルタ層30およびブラックマトリクス40により生じた段差が、これらの層40、30より上方に形成される各層の寸法精度に悪影響を与えないようにするために形成される層である。このため、平坦化層は、光透過性に富み、かつ、カラーフィルタ層30(R,G,B)を劣化させることのない材料およびプロセスを選択して形成する必要がある。形成材料はバンク層5で用いた材料が適用できる。膜厚は、前述の段差を平坦にすることを考慮し、2μm以上が好ましい。
本発明にかかる色変換層20は、前記基板10上に精密にインクを塗布できる湿式法、例えばインクジェット法、ノズルコート法等にて作製する。前記基板10には、バンク層5の形成後、色変換層の形成領域外の表面に無機化合物から成る撥インク調整層を配設してあるため、インクが必要部位以外には広がらずに色変換層20を形成することができる。
色変換層20は光源からの光を吸収し、異なる波長分布の蛍光を発する機能を有する。適用できる材料としては、溶解度パラメータ(略してSP値)が10(cal/cm31/2未満の溶媒に可溶で溶解度パラメータが10(cal/cm31/2以上の溶媒に不溶であるジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジオクチル−2、7−ジビニレン−フルオレニル)−アルト−コ−{2−メトキシ−5−(2−エチル−へキロキシ)−1、4−フェニレン}]、ジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジオクチルフルオレニル−2、7−ジイル)−コ−1、4−ベンゾ−{2−1'−3}−チアジアゾール]、 ジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジオクチルフルオレニル−2、7−ジイル)−コ−(1、4−フェニレンビニレン)]、などのフルオレンコポリマー色素等あるいは、ジメチルフェニルで終端したポリ[2−メトキシ−5−(3、7−ジメチル−オクチロキシ)−1、4−フェニレンビニレン]]、籠状オリゴシルセスキオキサンで終端したポリ[2−メトキシ−5−(3、7−ジメチル−オクチロキシ)−1、4−フェニレンビニレン]]、ジメチルフェニルで終端したポリ[2−5−ビス(3、7−ジメチル−オクチロキシ)−1、4−フェニレンビニレン]]、ジメチルフェニルで終端したポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルへキシル−オキシ)−1、4−フェニレンビニレン]]、籠状オリゴシルセスキオキサンで終端したポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルへキシル−オキシ)−1、4−フェニレンビニレン]]などのフェニレンビニレンコポリマー色素等の高分子蛍光材料が使用できる。適用できる材料としては、Alq3(トリス8−キノリノラトアルミニウム錯体)などのアルミキレート系色素、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素を含む。あるいはまた、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素、ジエチルキナクリドン(DEQ)などのキナクリドン誘導第;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1、(I))、DCM−2(II)、およびDCJTB(III)などのシアニン色素;4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ルモゲンFレッド、ナイルレッド(V)などを含む。あるいはまた、ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素、またはピリジン1などのピリジン系色素のような低分子系の有機蛍光色素等も溶解度パラメータが10(cal/cm31/2未満の溶媒に可溶で溶解度パラメータが10(cal/cm31/2以上の溶媒に不溶であれば用いることができる。また、必要に応じてこれらの色素を複数混合して使用することもできる。青色から緑色、赤色への変換時など、波長シフト巾が広い際には有効な手段である。
インクを形成する際の溶媒としては、前記色素を溶解し後述する高分子保護層の溶媒と異なる溶解度パラメータが10(cal/cm31/2未満の溶媒を用いることができ、単体もしくはインクジェット装置のノズルに対する濡れ性の制御や粘度調整、あるいは塗布後の乾燥時間調整等のために混合溶媒として使用してもよい。
具体的には、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、エチルベンゼン、メチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジメチルエチルベンゼン、メチルジエチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系、デカリン等の炭化水素系があげられる。あまり溶媒の沸点が低いと、インクジェットやノズルコートの吐出ヘッドのノズル孔が早く乾燥してしまい、吐出が不安定となってしまい飛行曲がりなどの問題が生じる。そのため、沸点は100℃以上が好ましい。
色変換層20の塗布環境については、特に制限はないが、水分・酸素の影響を排除の必要がある場合は不活性ガス中(例えば、窒素やアルゴンガス中)で形成することが好ましい。インクの乾燥は、溶媒が蒸発する温度で乾燥すればよく、水分・酸素の影響を排除の必要がある場合は前述不活性ガス中もしくは真空中で乾燥することが好ましい。本発明にかかる色変換層20の膜厚は、2000nm(2μm)以下、好ましくは100〜2000nm、より好ましくは200〜1000nmの膜厚を有する。
透明高分子保護層15は、有機EL素子を搭載した有機EL素子基板と色変換フィルタ基板を貼り合せる際に隙間を埋めるために用いる充填層100から色変換層20を保護するために配設される。透明高分子保護層15がない場合には、硬化前の充填層100に色変換層材料が溶出してしまうというという問題が生じ、隣接画素まで蛍光色素が拡散し、パネルの性能低下を引き起こす。
形成方法は、前記基板10上にインクを塗布できる湿式法、例えばインクジェット法、ノズルコート法等にて形成する。また、画素毎に塗り分ける必要はないためスピンコーティング法でも形成することができる。
透明高分子保護層15に適用できる材料は、可視光域で透明であり少なくとも70%以上、好ましくは90%以上の透過率を有していることが望ましい。また、充填層100に難溶であることが望ましいが、透明高分子保護層15が充填層100に多少溶解しても透明材料なため隣接画素まで蛍光色素は拡散せずパネルの性能低下は引き起こさない。具体的材料としては、ジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジ(3、3'−N、N'−トリメチル−アンモニウム)プロピルフルコレニル−2、7−ジイル)−アルト−コ−(9、9'−ジオクチルフルオレニル−2、7−ジイル)]ジヨード塩、ジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジ(3、3'−N、N'−トリメチル−アンモニウム)プロピルフルコレニル−2、7−ジイル)−アルト−コ−(1、4−フェニレン)]ジヨード塩、ポリ[2−(3−チエニル)エチルオキシ−4−ブチルスルフォネエト]ナトリウム塩、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸水溶液もしくは極性有機溶媒に可溶なポリエチレンジオキシチオフェン等の透明高分子材料、もしくは公知の極性溶媒に可溶な透明高分子材料が使用できる。また、必要に応じてこれらの透明高分子材料を複数混合して使用することもできる。
インクを形成する際の溶媒としては、前記高分子材料を溶解し色変換インクの溶媒と異なり色変換材料を溶解しない溶解度パラメータが10(cal/cm31/2以上の公知の溶媒を用いることができ、単体もしくは、インクジェット装置のノズルに対する濡れ性の制御や粘度調整のために混合溶媒として使用してもよい。色変換層の形成インクと同系統の有機溶媒に溶解した透明高分子保護層15では塗布する段階で充填層100と同様の問題が生じるため透明高分子保護層15の溶媒は色変換層のインクと異なる必要性がある。つまり、透明高分子保護層15を塗布する段階で色変換層20を溶解させてしまう。しかし、色変換層形成材料が溶解しない溶解度パラメータが10(cal/cm31/2以上の溶媒を用いることで前述の問題を解決できる。
具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、並びにベンジルアルコール等の1価アルコール類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール、メチルセロソルブ、並びにエチルセロソルブ等のアルコールエーテル類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのオキシド系溶媒などがあげられる。
あまり溶媒の沸点が低いと、インクジェットやノズルコート法を用いる場合は、吐出ヘッドのノズル孔が早く乾燥してしまい、吐出が不安定となってしまい飛行曲がりなどの問題が生じる。そのためインクジェットやノズルコート法を用いる場合は、沸点は100℃以上が好ましい。スピンコーティング法の場合には前記のような問題は起こらないため沸点が100℃以下でも問題ない。
透明高分子保護層15の塗布環境については、特に制限はないが、前記色変換層20の劣化を防ぐために水分・酸素の影響を排除する必要がある場合は不活性ガス中(例えば、窒素やアルゴンガス中)で形成することが好ましい。インクの乾燥は、溶媒が蒸発する温度で乾燥すればよく、水分・酸素の影響を排除の必要がある場合は前記不活性ガス中もしくは真空中で乾燥することが好ましい。本発明にかかる透明高分子保護層15の膜厚は、2000nm(2μm)以下、好ましくは100〜2000nm、より好ましくは200〜1000nmの膜厚を有する。
以下、トップエミッション型の有機ELディスプレイを図2を参照して説明する。基板110上に反射電極50、有機EL層60および透明電極70をこの順に積層して搭載する有機EL素子基板を形成する。基板110は、透明であっても不透明であってもよく、ガラス、シリコン、セラミック、各種プラスチック、各種フィルムなどを用いて形成することができる。基板110の表面と有機EL素子の間に、図示しない複数のスイッチング素子を設けてもよい。複数のスイッチング素子は、たとえばTFT(薄膜トランジスタ)、MIM(Metal Insulator Metalキャパシタ)など当該技術において知られている任意の素子であってもよい。この場合、基板110の表面上に、複数のスイッチング素子に接続するための配線、駆動回路などをさらに設ける必要がある。
反射電極50は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましく、複数のスイッチング素子に対応して絶縁膜(不図示)を介して有機EL層60とスイッチング素子との間に配設される複数の部分電極膜から構成される。高反射率の金属はAl、Ag、Mo、W、Ni、Crなどから選ばれるいずれかの金属を主成分とする。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどなどから選ばれるいずれかの合金を主成分とする。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを主成分とする。前述の説明では反射電極50を陽極として用いたが、逆にして陰極として用いてもよい。反射電極50を陰極として用いる場合には、反射電極50と有機EL層60との界面に、陰極バッファ層を設けて有機EL層60に対する電子注入の効率を向上させることが好ましい。あるいはまた、前述の高反射率金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。
一方、反射電極50を陽極として用いる場合には、反射電極50と有機EL層60との界面に、導電性透明金属酸化物の層を設けて有機EL層60に対する正孔注入の効率を向上させてもよい。反射電極50は、用いる材料に依存して、蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。全面に形成した電極膜を複数の部分電極膜へパターン化する方法は、フォトリソグラフィ法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて実施することができる。
反射電極50上面に有機EL層60を配設する。本発明にかかる色変換フィルタ基板を含む有機ELディスプレイパネルにおいて、有機EL層60は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、有機EL素子には下記のような層構造からなるものが採用される。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
有機EL層60を構成する各層は、当該技術において知られている任意の材料を使用して形成される。たとえば、青色から青緑色の発光を得るための有機発光層の材料としては、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。また、必要に応じて、有機発光層の発光色は白色であってもよい。その場合は公知の赤ドーパントが使用される。また、有機EL層60を構成する各層は、蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
有機EL層60上面に透明電極70を配設する。透明電極70は、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化スズ、酸化インジウム、IZO(酸化インジウム亜鉛)、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−ガリウム酸化物、またはこれらの酸化物に対してF(フッ素)、Sb(アンチモン)などのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を用いて形成することができる。透明電極70は、蒸着法、スパッタ法、対向スパッタ法または化学気相堆積(CVD)法を用いて形成される。好ましくは対向スパッタ法を用いて形成される。透明電極70は、陽極であっても陰極であってもよい。透明電極70を陰極として使用する場合には、透明電極70と有機EL層60との間に前記陰極バッファ層を設けて、電子注入効率を向上させてもよい。陰極バッファ層は、Li、Na、KまたはCsなどのアルカリ金属、BaまたはSrなどのアルカリ土類金属、希土類金属、それら金属を含む合金、あるいはそれら金属のフッ化物などから形成することができる。透明性を確保する観点から、陰極バッファ層の膜厚を10nm以下とすることが望ましい。透明電極70は、一体型の共通電極である。
有機EL素子を覆うバリア層80が形成される。バリア層80は、電気絶縁性を有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、かつ可視域における透明性に富む材料(400〜700nmの範囲で透過率50%以上、より好ましくは透過率70%以上)を使用して形成することができる。用いることができる材料は、たとえば、SiOx、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOxなどの無機酸化物、SiNxなどの無機窒化物、およびSiNxyなどの無機酸化窒化物を含む。バリア層80は、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の手法により形成することができる。望ましくは、良好なカバレッジを有するCVD法を用いて形成される。
有機EL素子およびバリア層80を形成した有機EL素子基板と色変換フィルタ基板とを、透明高分子保護層15とバリア層80とが対向する状態で組み合わせることによって、トップエミッション型の有機ELディスプレイが得られる。有機EL素子基板と色変換フィルタ基板との組み合わせは、たとえば、色変換フィルタ基板または有機EL素子基板の周縁部に設けられた接着層90を用いて、色変換フィルタ基板と有機EL素子基板とを接着することによって得られる。接着層90は、たとえばUV硬化性接着剤などの当該技術において知られている任意の材料を用いて作製することができる。
本工程においては、色変換フィルタ基板と有機EL素子基板、および接着層によって確定される内部空間に充填層100として充填剤を充填する。充填層100は、光取り出し効率を向上させるという観点からバリア層80と同等以上の屈折率を有する透明な樹脂材料であることが望ましい。バリア層80をSiNxなどの無機窒化物、無機酸化窒化物で形成する場合には、1.6〜1.7以上の屈折率を有する透明樹脂材料を用いることが望ましい。
以上の方法によって、アクティブマトリクス駆動のトップエミッション型の有機ELディスプレイを得ることができる。あるいは、また、有機EL素子基板に複数のスイッチング素子を設けず、透明電極(陰極)を一方向に延びるストライプ形状の複数の部分電極で構成し、陽極となる反射電極50を、前記第2の方向と交差する他の方向に延びるストライプ形状の複数の部分電極で構成することによって、パッシブマトリクス駆動のトップエミッション型の有機ELディスプレイも得ることができる。
(実施例1)
色変換フィルタ基板の具体的な材料、構成について説明する。
200mm×200mm×0.7mm厚の1737ガラス(コーニング社製)上に、ブラックマトリクス(CK−7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ製)、赤色カラーフィルタ30R(CR−7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ製)、緑色カラーフィルタ30G(CG−7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ製)、青色カラーフィルタ30B(CB−7001:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ製)を用い、フォトリソグラフィ法にてカラーフィルタ層30(R、G、B)を形成する。各層の膜厚はそれぞれ1μmである。作製したブラックマトリクス40に囲まれる矩形状開口部のそれぞれ(サブピクセルに相当する)は、長さ方向131μm×幅方向37μmを有し、隣接する矩形状開口部間の間隔は長さ方向および幅方向のいずれも10μmであった。カラーフィルタ層30(R、G、B)は長さ方向に延びる複数のストライプ形状部分になるように形成した。また、複数のストライプ形状部分のそれぞれは、47μmの幅を有し、84μmの間隔で配置された。
続いて、ブラックマトリクス40上に、感光性のアクリルポリマーを用いフォトリソグラフィ法でブラックマトリクスと同じストライプ状のパターンで逆テーパ形状のバンク層を形成した。膜厚は3μmとした。
続いて、テトラリン1000重量部、ジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジオクチル−2、7−ジビニレン−フルオレニル)−アルト−コ−{2−メトキシ−5−(2−エチル−へキロキシ)−1、4−フェニレン}]50重量部のインクを調整し、インクジェット装置(UniJet製UJ200)を用い、マルチノズルにより1画素につき3滴(1滴:約14pl)滴下し、窒素雰囲気中で膜厚500nmの緑色色変換層20Gを作成した。インクの乾燥は、窒素雰囲気を破ることなく、温度100℃で行った。
続いて、テトラリン1000重量部、ジメチルフェニルで終端したポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルへキシル−オキシ)−1、4−フェニレンビニレン]]50重量部のインクを調整し、インクジェット装置(UniJet製UJ200)を用い、マルチノズルにより1画素につき3滴(1滴:約14pl)滴下し、窒素雰囲気中で膜厚500nmの赤色色変換層20Rを作成した。インクの乾燥は、窒素雰囲気を破ることなく、温度100℃で行った。
続いて、N,N−ジメチルホルムアミド1000重量部、ジメチルフェニルで終端したポリ[(9、9−ジ(3、3'−N、N'−トリメチル−アンモニウム)プロピルフルコレニル−2、7−ジイル)−アルト−コ−(1、4−フェニレン)]ジヨード塩50重量部のインクを調整し、インクジェット装置(UniJet製UJ200)を用い、マルチノズルにより1画素につき3滴(1滴:約14pl)滴下し、R画素、G画素の各領域上に窒素雰囲気中で膜厚500nmの透明高分子保護層15を作成した。インクの乾燥は、窒素雰囲気を破ることなく、温度100℃で行った。
有機EL素子の具体的な材料、構成について図2を参照して説明する。
200mm×200mm×厚さ0.7mmの無アルカリガラス(イーグル2000:コーニング社)110上に、複数のパネル分のTFT(薄膜トランジスタ)と、TFTを覆う膜厚3μmの平坦化樹脂層とが形成されたTFT基板を準備した(図示せず)。このTFT基板の平坦化樹脂層上に、スパッタ法を用いて膜厚約300nmのSiO2からなるパッシベーション層(図示せず)を成膜した。次いで、ドライエッチングを用いて平坦化樹脂層およびパッシベーション層に、前記TFTの電極端子(図示せず)を、上に搭載される有機EL素子の陽極電極を構成するIZO(酸化インジウム亜鉛)膜(図示せず)および反射電極に接続するためのコンタクトホール(図示せず)を形成した。
次に、RF−プレーナマグネトロンスパッタ装置を用いて、膜厚約50nmのIZOを成膜した(図示せず)。スパッタガスとしてArを使用した。レジスト(OFRP−800:東京応化製)を用いたフォトリソグラフィ法によってIZO(酸化インジウム亜鉛)膜をパターニングし、サブピクセル毎に島状に分離したIZO下地層を形成した。IZO下地層の島状部のそれぞれを、コンタクトホールを介してTFTと1対1で接続した。次いで、スパッタ法を用いて膜厚100nmのAg膜を形成し、引き続いて同様のパターニングを実施して、複数の島状部分からなる反射電極(Ag膜)50を形成した。島状部分のそれぞれは、長さ方向約131μm×幅方向約37μmの寸法を有し、および、長さ方向約141μm、幅方向47μmのピッチで配置された。そして、反射電極上に、ノボラック系樹脂をスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターニングを実施して、発光部に相当する位置に開口部を有する膜厚1μmの有機絶縁膜(不図示)を形成した。
次いで、反射電極50を形成したガラス基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、反射電極50上に膜厚約1.5nmのLiを堆積させて、陰極バッファ層(図示せず)を得た。続いて、真空槽内圧力を1×10-4Paに減圧し、膜厚約20nmのAlq3からなる電子輸送層、膜厚約30nmのDPVBiからなる有機発光層、膜厚約10nmのα−NPDからなる正孔輸送層、および膜厚約100nmのCuPcからなる正孔注入層を順次成膜して、有機EL層60を得た。各層の成膜速度は0.1nm/sであった。さらに、有機EL層60上に、膜厚約5nmのMgAgからなるダメージ緩和層(図示せず)を成膜した。
引き続いて、ダメージ緩和層を形成したガラス基板を、真空を破ることなしに対向スパッタ装置に移動させ、表示部に対応する位置に開口部を設けたメタルマスクを介して、膜厚約100nmのIZO膜を堆積させ、透明電極(陰極)70を得た。さらに、透明電極70を形成したガラス基板を、真空を破ることなしにCVD装置に移動させ、膜厚約2μmのSiNxを堆積させ、バリア層80を形成し、有機EL素子基板を得た。
(有機ELディスプレイ)
前述のように得られた有機EL素子基板および色変換フィルタ基板を、酸素5ppm、水分5ppm以下の環境に保たれた貼り合せ装置内に移動させた。そして、色変換フィルタ基板のプロセス面(透明高分子保護層15を形成した面)を上に向けてセットし、ディスペンサを用いて、複数のパネル領域のそれぞれの外周にエポキシ系紫外線硬化接着剤を切れ目無く塗布して、接着層90を形成した。引き続いて、各画面中央付近に、充填剤として、所定量の熱硬化型エポキシ接着剤(屈折率1.58)をメカニカルバルブにて滴下した。
次に、有機EL素子基板のプロセス面(バリア層を形成した面)を色変換フィルタ基板のプロセス面に対向させた状態で、有機EL素子基板をセットした。貼り合わせ装置内を約10Paまで減圧し、有機EL素子基板および色変換フィルタ基板を約30μmまで接近させ、それらの画素位置をアライメントし、引き続いて貼り合わせ装置内を大気圧に戻しつつ僅かに荷重を印加した。このとき、有機EL素子基板および色変換フィルタ基板は互いに向かって接近し、色変換フィルタ基板上のフォトスペーサ先端が有機EL素子基板に接触する点で停止した。この際、各画面中央に滴下した熱硬化型エポキシ接着剤は充填層100として、フォトスペーサによって形成される有機EL素子基板および色変換フィルタ基板の間隙を、各画面の全面にわたって広がった。
次に、色変換フィルタ基板側から接着層90のみに紫外線を照射して仮硬化させ、通常の室内環境に取り出した。その後、自動ガラススクライバーとブレイク装置を使って個々のパネルに分割した。分割した個々のパネルを、1時間にわたって加熱炉にて80℃に加熱し、炉内で30分間自然冷却した。
最後に、ドライエッチングを用いて、前記パネルを構成する有機EL素子基板の外部接続のための端子領域に形成したバリア層を除去し、異方導電性接着剤を用いて制御ICを接着して、有機ELディスプレイを得た。
(比較例1)
前記透明高分子保護層15を形成しなかった以外は実施例1と同様に形成した。
(比較例2)
前記透明高分子保護層15のインク溶媒を、N,N−ジメチルホルムアミドに代えて、インクの溶媒と同じく、溶解度パラメータが10(cal/cm31/2未満であるテトラリンを用いた以外は実施例1と同様に形成した。
(評価)
前記実施例1と前記比較例1、2で得られた有機ELディスプレイを電流量一定にして駆動し、その際の各色の初期輝度(比較例1の輝度を100とした相対値)及び初期色度を表1に示す。
Figure 0005196665
表1より、透明高分子保護層15を用いない比較例1および透明高分子保護層15を用いた場合でも、溶解度パラメータが10(cal/cm31/2未満であり、インクの溶媒と同様の溶解性を有する比較例2の有機ELディスプレイは、色変換層の溶出による初期輝度および初期色度の低下(実施例1との比較から)が見られることが分かる。
以上説明したように、本発明の色変換フィルタ基板の製造方法によれば、色変換材料インクと透明高分子保護材料インクの溶媒を異なる極性溶媒にすることにより、色変換層上に透明高分子保護層を形成する際、及び有機EL素子を形成した有機EL素子基板と前記色変換フィルタ基板とを貼り合せる際に、色変換フィルタ基板の特性に悪影響を及ぼすことなく高精細な色変換フィルタ基板及び有機ELディスプレイを低コストで形成できる。
10 透明基板
40 ブラックマトリクス
30R 赤色カラーフィルタ
30G 緑色カラーフィルタ
30B 青色カラーフィルタ
20R 赤色色変換層
20G 緑色色変換層
5 バンク層
15 透明高分子保護層
110 基板
50 反射電極
60 有機EL層
70 透明電極
80 バリア層
90 接着層
100 充填層

Claims (6)

  1. 色変換フィルタ基板と、基板上にバリア層で保護される有機EL素子が搭載される有機EL素子基板とを対向して配置し、前記有機EL素子基板と前記色変換フィルタ基板とを接着剤で固着するとともに、前記両基板の間隙に充填剤を注入し充填層を形成する工程を有する有機ELディスプレイの製造方法において、
    前記色変換フィルタ基板は、透明基板上に、所定の波長域の光を透過する少なくとも2種類のカラーフィルタ層を形成後、該カラーフィルタ層上に画素ごとに区画するようにバンク層を形成し、該バンク層によって区画される領域上に、所定の波長の光を吸収し、吸収した光と異なる波長を含む蛍光を出力する色変換層材料を含むインクを塗布して色変換層を形成し、該色変換層上に可視光域で透明な高分子材料を含むインクを塗布して前記色変換層の保護層を形成することを含む工程で形成され、
    前記色変換層材料を含むインクの溶媒が非極性溶媒であり、前記可視光域で透明な高分子材料を含むインクの溶媒が極性溶媒であり、
    前記保護層を形成する前記可視光域で透明な高分子材料が、前記充填層に難溶であることを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法
  2. 前記色変換層材料を含むインクの溶媒の、前記色変換層材料に対する溶解度パラメータが10(cal/cm1/2未満であり、さらに前記可視光域で透明な高分子材料を含むインクの溶媒の、前記色変換層材料に対する溶解度パラメータが10(cal/cm1/2以上の溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイの製造方法
  3. 前記色変換層材料を含むインクの溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、エチルベンゼン、メチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジメチルエチルベンゼン、メチルジエチルベンゼン、テトラリンから選ばれる少なくとも一種の溶媒を主成分とすることを特徴とする請求項1または2記載の有機ELディスプレイの製造方法
  4. 前記透明高分子材料を含むインクの溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−ブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも一種の溶媒を主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の有機ELディスプレイの製造方法
  5. 前記色変換層材料を含むインクを塗布して色変換層を形成する方法がインクジェット法であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機ELディスプレイの製造方法
  6. 前記可視光域で透明な高分子材料を含むインクを塗布して前記色変換層の保護層を形成する方法がインクジェット法またはスピンコーティング法であることを特徴とする請求項5に記載の有機ELディスプレイの製造方法
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