JP5188096B2 - シール部材形成用ゴム組成物及びそれを用いてなるシール部材 - Google Patents

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本発明はシール部材形成用ゴム組成物及びそれを用いてなるシール部材に関し、詳細にはエアコンディショナや冷凍機のコンプレッサのシール部材の形成に好適に使用されるシール部材形成用ゴム組成物及びそれを用いてなるシール部材に関する。
ニトリルゴム(NBR)及びポリフッ化ビニリデンを含むゴム組成物は、ホース、ガスケット、O−リング、パッキンなどのシール部材の形成材料として広く使用できることが知られており、例えば、次のようなゴム組成物が知られている。
例えば、特許文献1には、NBR及び/又はその水素化物と、ポリフッ化ビニリデンとを重量比95/5〜40/60で含有するゴム組成物が記載されており、耐ガソリン性、耐ガソホール性、耐サワーガソリン性、耐圧縮永久歪特性などに優れるとされている。また、特許文献2には、メチルエチルケトンに不溶なゲル分30%を含むNBR90〜10重量%と、ポリフッ化ビニリデン10〜90重量%を含有する、成形加工時に加硫不要の熱可塑性エラストマー組成物が記載されており、リサイクル可能で耐圧縮永久歪特性や耐油性に優れるとされている。更に、特許文献3には、90〜30重量%のNBRと、10〜70重量%のポリフッ化ビニリデンとを含む組成物100重量部に対し、5〜50重量部のポリ塩化ビニル又はポリメタクリル酸メチルを含有するゴム組成物であって、NBRとポリフッ化ビニリデンとのブレンド時に剪断変形を与えながらポリフッ化ビニリデンを架橋させたゴム組成物が記載されており、耐ガソリン透過性、耐候性、耐寒性、耐圧縮永久歪特性などに優れるとされている。
更にまた、特許文献4には、95〜5重量%のNBRと、5〜95重量%の熱可塑性フッ素ポリマーとを含み、NBR中のアクリロニトリルの全重量の比率が30%以上である組成物が記載されており、機械特性、熱機械特性と同時に耐薬品性、特にガソリンなどの炭化水素に対する不透過性を有し、相溶化剤が不要であるとされている。また更に、特許文献5には、(A)アクリロニトリル含有量が20〜29%のNBRと、(B)ポリフッ化ビニリデンと、(C)アクリル樹脂系相溶化剤とを含み、(A)/(B)が95/5〜60/40である燃料用ホース用ゴム組成物が記載されており、柔軟性、耐オゾン性、耐油性、耐燃料油透過性及び低温性に優れるとされている。また、特許文献6には、(A)アクリル系ゴムと、(B)ポリフッ化ビニリデンと、(C)NBRとを含み、(A)/(B)/(C)が5/15/80〜55/40/5である燃料用ホース用ゴム組成物が記載されており、柔軟性、耐オゾン性、耐油性、耐燃料油透過性、低温性及び耐熱性に優れるとされている。
特開昭61−225227号公報 特開平01−245042号公報 特開平07−003077号公報 特開平10−204215号公報 特開2004−262997号公報 特開2004−278777号公報
しかしながら、特許文献1〜6のゴム組成物には次のような問題がある。すなわち、特許文献1に記載のゴム組成物は耐圧縮永久歪特性が不十分であり、特許文献2に記載のゴム組成物も加硫を行なわないために耐圧縮永久歪特性が不十分となる。また、特許文献3に記載のゴム組成物はNBRとポリフッ化ビニリデンのブレンド時にポリフッ化ビニリデンを架橋することでポリフッ化ビニリデンの凝集の問題を解決しているが、ポリフッ化ビニリデンを架橋すべき架橋剤の添加によりNBRの加硫を阻害するために耐圧縮永久歪特性に悪影響を及ぼす虞があるだけでなく、ポリ塩化ビニルやポリメタクリル酸メチルの添加も耐圧縮永久歪特性に悪影響を与える。更に、特許文献4に記載の組成物においては、架橋されたニトリルエラストマーの加硫を動的加硫で行なうことから、得られた組成物は熱可塑性エラストマーとなる。そのため、耐圧縮永久歪特性が不十分になると推察される。更にまた、特許文献5に記載のゴム組成物は、アクリル樹脂系相溶化剤を添加するため、耐圧縮永久歪特性に悪影響を与える。また、特許文献2〜4の実施例又は特許文献5及び6の請求項に記載のゴム組成物はいずれも、耐熱性に優れるとは言い難いNBRを含有するために、高温混練時において熱劣化によるポリフッ化ビニリデンの分散不足が懸念され、高温での耐圧縮永久歪特性が不十分となる。
エアコンディショナなどの空調装置や、冷凍機などの冷却装置のコンプレッサにおいても、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などの冷媒や冷凍機油を密封するために多くのシール部材が使用されているが、このようなシール部材においては耐熱性及び耐油性に優れ、圧縮永久歪が小さく、耐ガス透過性を有すること、更には冷媒と接触するとブリスタ(発泡)が生じやすくなるため、耐ブリスタ性を有することが要求される。自動車用エアコンディショナのコンプレッサに使用されるシール部材は、使用環境温度が140〜150℃以上にまで至ることもあるため、より高いレベルの性能、例えば、かかる高温環境下における耐圧縮永久歪特性や、かかる高温環境下でのHFCに対する耐発泡性(耐ブリスタ性)などが要求される。
近年、自動車用エアコンディショナや冷凍機のコンプレッサの軸に用いられるシール部材はその使用環境が益々過酷になってきており、中でも耐ガス透過性の改善要求が一段と厳しくなってきているが、特許文献1〜6に記載のゴム組成物は上記環境で十分対応し得るとは考え難く、また耐ブリスタ性について全く検討されていないことから改良の余地がある。
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は優れた耐ガス透過性、耐ブリスタ性及び耐圧縮永久歪特性を兼ね備えたシール部材、並びにそのためのゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、水素化ニトリルゴム(I)及びポリフッ化ビニリデン(II)を含むゴム組成物において、(I)と(II)とのブレンド比率が特定範囲でのみ、優れたHFCガスの透過抑制効果及び耐ブリスタ性改善効果が特異的に発現されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)水素化ニトリルゴム(I)と、ポリフッ化ビニリデン(II)と、架橋剤とを含み、(I)と(II)との含有割合が重量比(I/II)で95/5〜85/15である、シール部材形成用ゴム組成物。
(2)エアコンディショナ又は冷凍機のコンプレッサのシール部材の形成に使用されるものである、上記(1)記載のシール部材形成用ゴム組成物。
(3)上記(1)又は(2)記載のシール部材成形用ゴム組成物を加硫してなる、シール部材。
本発明によれば、相溶化剤などの添加なしに、ポリフッ化ビニリデンの凝集が起こり難く、微分散することが可能になる。これにより、高温に長時間曝されても圧縮永久歪が小さく、HFCに接触してもブリスタやクラックが発生し難く、ガスの透過が十分に抑制されることから、優れた耐ガス透過性、耐ブリスタ性及び耐圧縮永久歪特性を兼ね備えたシール部材、並びにそのためのゴム組成物が提供される。したがって、本発明のシール部材は、例えば、冷媒としてHFCを用いるエアコンディショナ又は冷凍機のコンプレッサにおける、冷媒漏れ防止用の密封体として好適に使用することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のシール部材形成用ゴム組成物は、水素化ニトリルゴム(I)と、ポリフッ化ビニリデン(II)と、架橋剤とを含み、(I)と(II)との含有割合が重量比(I/II)で95/5〜85/15であることを特徴とする。
水素化ニトリルゴム(以下、「HNBR」と称することがある)としては特に制限されるものではないが、例えば、不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴムの共役ジエン単位の全部又は一部を水素化したもの、及びα,β−不飽和ニトリル−共役ジエン−エチレン性不飽和モノマー共重合ゴムの共役ジエン単位の全部又は一部を水素化したもの、不飽和ニトリル−エチレン性不飽和モノマー共重合ゴムが例示される。
不飽和ニトリル及びα,β−不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が例示され、共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が例示される。エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のビニル芳香族化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸エステル;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートのような不飽和モノカルボン酸のアルコキシアルキルエステル;イタコン酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチルのような不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸モノエステルのような不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミドのようなN−置換(メタ)アクリルアミド等が例示される。中でもブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴムが好適である。これらの共重合ゴムは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
HNBRとしては、耐寒性の観点から、アクリロニトリル含有量(結合AN量)が好ましくは45重量%以下、より好ましくは38重量%以下のものが好適であり、また、耐熱性の観点から、ヨウ素価(中心値)が好ましくは28以下、より好ましくは20以下のものが好適である。なお、結合AN量及びヨウ素価は、公知の測定方法によって測定することが可能である。また、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、好ましくは50〜150のものが望ましい。ムーニー粘度が上記範囲外であると、加工性が低下する傾向にある。このようなHNBRは、従来公知の手法により製造することが可能であるが、例えば、ゼットポール(日本ゼオン社製)等として商業的に入手してもよい。
ポリフッ化ビニリデンとしては、ホモポリマータイプ(以下、「PVDF」と称することがある)と、フッ化ビニリデンと少量の他成分を共重合したコポリマータイプ(例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフロオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフロオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体など)とが存在するが、コポリマータイプを使用すると耐圧縮永久歪特性が低下する傾向にあるため、ホモポリマータイプを使用することが望ましい。
ポリフッ化ビニリデンの融点は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは160〜180℃である。120℃未満であると、耐圧縮永久歪特性が低下する傾向にあり、他方、200℃を超えると、混練時にHNBRが劣化する傾向にある。
ポリフッ化ビニリデンのメルトマスフローレイト(MFR)は、好ましくは0.03〜150g/10min、より好ましくは0.1〜100g/10minである。0.03g/10min未満であると、加工性が低下する傾向にあり、他方、150g/10minを超えると、圧縮永久歪が大きくなる傾向にある。なお、MFRとは、ASTMD1238に準拠して、温度230℃に加熱した樹脂に、荷重5kgを掛けて、細孔から10分間に流れ出る樹脂の量を測定した値をいう。
このようなポリフッ化ビニリデンは、従来公知の手法により製造することが可能であるが、例えば、KYNAR(アルケマ社製)、KFポリマー(クレハ社製)等として商業的に入手してもよい。
HNBR(I)と、ポリフッ化ビニリデン(II)との含有割合は重量比で(I/II)95/5〜85/15である。
ポリフッ化ビニリデンをHNBRに混合すると、ポリフッ化ビニリデンが凝集しやすく、凝集した場合には耐ガス透過性及び耐ブリスタ性の改善効果は小さくなるものと考えられる。しかしながら、本願発明者らの知見によれば、HNBRと、ポリフッ化ビニリデンとの含有割合(I/II)を95/5〜85/15にすれば、相溶化剤などの添加なしに凝集が起こり難く、微分散することが可能になる。これにより、耐圧縮永久歪特性を低下させることなく、極めて優れたガス透過抑制が実現でき、更には耐ブリスタ性も向上させることが可能になる。(I/II)の含有割合は、これより小さくても大きくてもガス透過抑制効果は小さくなり、耐ブリスタ性の改善効果も小さくなる。なお、ポリフッ化ビニリデンの代わりに、耐ガス透過性に優れる樹脂(例えば、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂)を用いても、耐圧縮永久歪特性の低下を招き、ガス透過性の抑制効果も小さくなることを本発明者らは確認している。
架橋剤としては公知のものを使用することができるが、中でも有機過酸化物が好適に使用される。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ジ第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)へキシン−3、1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)へキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が例示される。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤の含有量は、HNBR及びポリフッ化ビニリデンの合計100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1.5〜5重量部である。1重量部未満であると、シール部材に耐圧縮永久歪特性や機械的特性を付与し難くなる傾向にあり、他方、10重量部を超えると、ゴム組成物が硬くなり過ぎる傾向にある。
また、本発明のシール部材形成用ゴム組成物には、例えば、老化防止剤(例えば、アミン系、フェノール系、イミダゾール系)、充填剤(例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、グラファイト、珪酸カルシウム)、可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチル等のフタル酸系可塑剤、ジオクチルアジペート等のアジピン酸系可塑剤、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸系可塑剤、トリ−(2−エチルへキシル)トリメリテート等のトリメリット酸系可塑剤、ポリエーテル若しくはポリエステルなどの重合型可塑剤)、架橋助剤(例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルトリメリテート、1,2−ポリブタジエンなどの多官能性化合物)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム)、加工助剤(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス)などのゴム工業で一般的に使用されている配合剤を必要に応じて適宜添加することができる。なお、各配合剤の添加量は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設定することが可能である。
本発明のシール部材は、上記したシール部材形成用ゴム組成物を混練した後、加硫成形してゴム成形物として得られる。具体的には、シール部材用ゴム組成物をオープンロール、インターミックス、ニーダー、バンバリーミキサなどの混練機あるいは二軸混練押出機などを用いて混練した後、射出成形機、圧縮成形機、加熱プレス機などを用いて所望の形状に加硫成形してシール部材を得ることができる。なお、シール部材形成用ゴム組成物の混練は、HNBRとポリフッ化ビニリデンとを混練した後、架橋剤を添加するのが好ましい。その場合、HNBRとポリフッ化ビニリデンとの混練温度は少なくともポリフッ化ビニリデンの融点(例えば、170℃程度)以上の温度とするのが好ましく、また架橋剤を添加し混練する際の温度はスコーチを防止するために100℃以下とすることが好ましい。また、加硫成形は、例えば、約150〜200℃で約3〜60分間程度加熱するのが好ましく、必要に応じて二次加硫を100〜200℃で1〜24時間行なってもよい。
得られたシール部材は、JIS K 6262に準拠して測定した圧縮永久歪(150℃×72時間)が小さく、HFC134a液中に室温で1日間浸漬した後、150℃に加熱してもゴム成形物にブリスタ(発泡)が生ずることがなく、しかもASTM D 1434 M法に準拠したガス透過性試験においてHFC134aのガス透過性を十分に抑制することが可能である。
このように、本発明のシール部材は、高温に長時間曝されても圧縮永久歪が小さく、HFCに接触してもブリスタやクラックが発生し難く、ガスの透過が十分に抑制されることから、優れた耐圧縮永久歪特性、耐ブリスタ性及び耐ガス透過性を兼ね備えることができる。したがって、HFCを密封するためのシール部材、例えば、冷媒としてHFCを用いるエアコンディショナ又は冷凍機のコンプレッサにおける、冷媒漏れ防止用の密封体として好適に使用することができる。また、冷媒としてCOを用いるエアコンディショナ又は冷凍機のコンプレッサ用シール部材としても同様の効果が期待できる。なお、「HFC」とは、例えば、HFC134a(ハイドロフルオロカーボン、CH2FCF3)、HFC32(CH22)、HFC125(CHF2CF3)、HFC143a(C233)等のハイドロフルオロカーボンやこれらの混合物(例えば、R407C、R410A、R404A)、CFC12(CCl22)等の各種フロン系物質を意味する。
シール部材の形状は特に限定されず、O−リング、パッキン、ガスケット、リップシール(軸シール)など使用目的に応じて適宜選択される。また、シール部材の大きさも特に限定されず、使用目的に応じて適宜設定される。
以下、本発明の実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例等で使用した材料は以下のとおりである。
・HNBR:水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(結合AN量36重量%)ヨウ素価4、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)85
・PVDF(A):ポリフッ化ビニリデン(MFR0.6〜0.9g/10min(230℃、5kg))
・PVDF(B):ポリフッ化ビニリデン(MFR18〜26g/10min(230℃、5kg))
・エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(MFR6.4g/10min(190℃、2160g)、エチレン含有量47mol%)
・ポリアクリロニトリル樹脂(MFR3g/10min(200℃、122.5N)
・老化防止剤:4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン
・カーボンブラック:FEFカーボンブラック
・可塑剤:セバシン酸ジオクチル(DOS)
・架橋剤:1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン
・架橋助剤:N,N’−m−フェニレンビスマレイミド
・金属酸化物:酸化亜鉛
・相溶化剤:ポリメチルメタクリレート グラフト エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体
(実施例1〜4及び比較例2)
下記表1に示す割合のHNBR及びPVDFをオープンロールにてロール表面温度約180℃で約5分間混練した後、室温〜60℃で上記以外の配合成分を順次添加し混練してゴム組成物を調製した。次いで、ゴム組成物をプレス成形装置にて165℃で10分間プレス加硫した後、更に150℃で4時間二次加硫してゴム成形物を得た。なお、表1に記載の各成分の配合量は、重量部である。
(比較例1)
下記表1に示す割合の配合成分を全て、ロール表面温度が室温〜60℃のオープンロールにて順次添加し、混練したこと以外は、実施例1〜4及び比較例2と同様にしてゴム成形物を得た。
(比較例3)
下記表1に示す割合のHNBR及びエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂をオープンロールにてロール表面温度約170℃で約5分間混練したこと以外は、実施例1〜4及び比較例2と同様にしてゴム成形物を得た。
(比較例4)
下記表1に示す割合のHNBR及びポリアクリロニトリル樹脂をオープンロールにてロール表面温度約200℃で約5分間混練したこと以外は、実施例1〜4及び比較例2と同様にしてゴム成形物を得た。
(比較例5)
下記表1に示す割合のHNBR、PVDF及び相溶化剤をオープンロールにてロール表面温度約180℃で約5分間混練したこと以外は、実施例1〜4及び比較例2と同様にしてゴム成形物を得た。




Figure 0005188096
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたゴム成形物をサンプルとして、下記の(1)〜(3)の評価試験を行い、それらの試験結果に基づいて総合評価した。その結果を表3に示す。
(1)圧縮永久歪
JIS K 6262に準拠して、150℃で72時間の条件にて圧縮永久歪を測定した。
(2)耐ブリスタ性
HFC134a液中に室温で1日間浸漬した後、150℃に加熱しサンプルに発生したブリスタ(発泡)の有無を目視で観察し、下記の基準にて評価した。
○:ブリスタなし
×:ブリスタあり
(3)ガス透過性
ASTM D 1434 M法に準拠してHFC134aガスの透過係数を測定し、比較例1のガス透過係数を100として、それぞれのガス透過係数を換算して表示した。
(4)総合評価
下記の基準にて評価した。
(i)ブリスタなしの場合
下記表2に基づいて、◎:好適、○:適、×:不適を判定した。
(ii)ブリスタありの場合
×:不適と判定した。
Figure 0005188096
Figure 0005188096
表3の結果から明らかなように、実施例のゴム組成物を用いたゴム成形物は、高温での圧縮永久歪が小さく、HFCに接触してもブリスタやクラックが発生し難く、HFCの透過が十分に抑制されていることから、優れた耐ガス透過性、耐ブリスタ性及び耐圧縮永久歪特性を兼ね備えていることが確認された。

Claims (2)

  1. 水素化ニトリルゴム(I)と、融点が120〜200℃であるポリフッ化ビニリデン(II)と、架橋剤とを含み、(I)と(II)との含有割合が重量比(I/II)で95/5〜85/15である、エアコンディショナ又は冷凍機のコンプレッサのシール部材形成用ゴム組成物。
  2. 請求項1記載のシール部材形成用ゴム組成物を加硫してなる、エアコンディショナ又は冷凍機のコンプレッサのシール部材。
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