JP4914557B2 - フッ素系エラストマー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超寒冷下においても使用可能なフッ素系エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素ゴムは、一般に高価ではあるが、他のエラストマー材に比べ、耐油性や耐熱性の点で非常に優れているため、幅広い用途において汎用されている。例えば、自動車等の燃焼系統で使用される部材(例えば、フューエルホース、ダイヤフラム、O−リング等)のように、エンジン周りの高熱に耐え得るだけの耐熱性(例えば、150℃以上の温度に耐え得るだけの耐熱性)とともに、ATF・ギヤ油・ガソリンなどに対する耐油性をも要する、といった使用条件の厳しい用途において使用されている。
【0003】
しかしながら、フッ素ゴムは、一般に他のエラストマー材に比べてガラス転移点が高く、ガラス転移点以下の温度になると完全にガラス状になってしまいゴム材としての機能を果たすことができなくなるため、低温下での使用性(以下、「低温性」と言う)が非常に悪いという欠点がある。具体的には、フッ素ゴムは、一般に、−20℃以上の環境でしか使用できず、それよりも低温での使用は困難であった。ところが、例えば寒冷地で使用される自動車部材等の用途においては、−30℃を下回る超寒冷下での使用も考慮しなければならない。このため、耐油性や耐熱性に優れることは勿論、超寒冷下での低温性(具体的には−35℃以下の環境下における低温性)にも優れたエラストマー材が要望されている。
【0004】
従来、−30℃以下の環境下で使用可能なフッ素ゴムとしては、唯一、パーフルオロポリエーテル単位を含む特殊フッ素ゴムが市場に存在しているが、他のエラストマー材に比べて非常に高価であり、コスト面から量産を要する汎用的な用途には使用できないものであった。また、フッ素ゴムの低温性を改良する手段として、低温性に優れた可塑剤を配合することも考えられるが、低温性を改良しうるだけの可塑剤を配合すると、油中や高温環境下で可塑剤が揮発もしくはブリードしてしまい、体積の収縮や硬度上昇を招く恐れがあった。
そこで、比較的安価な原料を用い、かつ可塑剤によらずに低温性を向上させる技術として、フッ素含有量が特定範囲であるフッ素ゴムに水素添加率が特定範囲である水素添加ニトリルゴムをブレンドすることにより、耐油性や耐熱性と、低温性(耐寒性)とのバランスに優れた組成物を得る技術が報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、該技術は、あくまで耐油性や耐熱性と低温性とのバランスを重視したものであり、得られる組成物の低温性は、フッ素ゴムが有する低温性と水素添加ニトリルゴムが有する低温性との中間的なレベルに留まることとなる。具体的には、前記技術によれば、フッ素ゴムとして比較的良好な低温性を有するビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体を用いたとしても、得られる組成物の低温性はせいぜい−33℃程度までの温度でしか確保できず、−35℃以下の超寒冷下における低温性を要する用途においては未だ満足しうるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特許第2894353号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、フッ素ゴムが持つ耐熱性や耐油性を生かしながら、超寒冷下においても使用可能な極めて優れた低温性を発揮しうるフッ素系エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、耐熱性および耐油性に優れたビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテルを主鎖に含有するフッ素ゴム(A)と、低温性に優れた特定の水素添加ニトリルゴム(B)とを、特定の相互割合で配合することにより、両者がそれぞれ本来有する低温性のレベルを超える格段に優れた低温性を発揮させうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかるフッ素系エラストマー組成物は、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテルを主鎖に含有するフッ素ゴム(A)と、結合アクリロニトリル量が30重量%未満である水素添加ニトリルゴム(B)とをゴム成分として含有するフッ素系エラストマー組成物であって、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との相互割合が(A)/(B)=15/85〜35/65(体積比)である、ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、ゴム成分として、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテルを主鎖に含有するフッ素ゴム(A)を含有するものである。これにより、2元系フッ素ゴムであるビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン系ゴムや3元系フッ素ゴムであるビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン・テトラフルオロエチレン系ゴムなどの汎用フッ素ゴムでは得ることの困難な−30℃以下における低温性を実現することができるのである。前記フッ素ゴム(A)は、具体的には、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体であればよく、市販品では、例えば、デュポン社製「バイトンGLT」、「バイトンGFLT」;ダイキン社製「LT302」;アウジモント社製「テクノフロンPL855」;等が好ましく挙げられる。
【0009】
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、ゴム成分として、結合アクリロニトリル量が30重量%未満である水素添加ニトリルゴム(B)を含有するものである。結合アクリロニトリル量が30重量%未満である水素添加ニトリルゴム(B)は、前記フッ素ゴム(A)よりも優れた低温性を有するものであり、これにより、低温性を向上させることができるのである。ただし、結合アクリロニトリル量が少なすぎると、耐油性が大幅に低下する傾向があるため、水素添加ニトリルゴム(B)の結合アクリロニトリル量は15重量%以上であることが好ましい。また、水素添加ニトリルゴム(B)のヨウ素価は、低温性の点からは高い方が良いが、高すぎると耐熱性が低下する傾向があるため、30mg/100mg以下であることが好ましい。このような前記水素添加ニトリルゴム(B)の具体例としては、市販品では、例えば、日本ゼオン社製「ゼットポール3310」「ゼットポール4310」等が挙げられる。
【0010】
本発明においては、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との相互割合が(A)/(B)=15/85〜35/65(体積比)であることが重要である。好ましくは、(A)/(B)=18/82〜32/68(体積比)であるのがよい。これにより、低温性を飛躍的に向上させることができる。通常、2種類の材料(本発明では、フッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B))をブレンドした場合、得られる特性(本発明では、低温性)は、ブレンド比に応じて、2種類の材料がそれぞれに本来有しているレベルの中間で発揮されることとなり、それは各材料単独で発揮しうるレベルを超えることはない。ところが、前記相互割合のフッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)とからなるゴム成分は、水素添加ニトリルゴム(B)単独からなるゴム成分よりもガラス転移点が低くなるという特異な物性を示すものであり、本発明のフッ素系エラストマー組成物は、前記フッ素ゴム(A)および前記水素添加ニトリルゴム(B)がそれぞれ本来有する低温性よりも、格段に優れた低温性を発揮しうることとなるのである。
【0011】
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、有機過酸化物架橋剤(C)を含有してなることが好ましい。前記有機過酸化物架橋剤(C)としては、具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。
【0012】
前記有機過酸化物架橋剤(C)の含有量は、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との合計100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量部であるのがよい。
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、前記有機過酸化物架橋剤(C)とともに、架橋助剤(D)を含有してなることが好ましい。これにより、架橋密度をあげることが可能になり、耐熱性および耐油性を向上させることができる。前記架橋助剤(D)としては、具体的には、例えば、硫黄、硫黄系化合物、キノンジオキシム、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩等が挙げられる。
【0013】
前記架橋助剤(D)の含有量は、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との合計100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10重量部であるのがよい。
本発明においては、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との相互割合を前記範囲とすることによって充分に優れた低温性を実現させることができるので、本発明のフッ素系エラストマー組成物には可塑剤を含有させる必要がない。したがって、油中や高温環境下で可塑剤が揮発もしくはブリードしてしまい体積の収縮や硬度上昇を招く、といった可塑剤を配合することにより生じる問題を回避することができる。なお、これらの問題を生じない範囲であれば、加工性を改良する目的で可塑剤を配合するようにしてもよい。
【0014】
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、アジピン酸系エステル類、セバシン酸系エステル類、ポリエステル類などの化合物等を含有するものであってもよい。
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、例えば、ロール混練り機、加圧ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)等の一般的な製造装置を用いて、前記配合成分を混合することにより得られる。混合は、通常、常温付近で行なうことが好ましい。
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、一般のゴム組成物と同様に、例えば、100〜200℃の加熱温度、0.5〜120分程度の加熱時間で加熱しながら、加圧成形法や射出成形法等によって成形することが可能である。
【0015】
本発明のフッ素系エラストマー組成物の好ましい形態においては、損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)を測定したときに各々1つのピークのみを示し、かつ、該損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)の少なくとも一方のピーク温度が、前記フッ素ゴム(A)および前記水素添加ニトリルゴム(B)をそれぞれ単独でゴム成分としたときの損失弾性率(E’’)または損失正接(tanδ)のピーク温度よりも低い、という特性を有する。損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)は、低温時のエラストマーの復元性の指標となるものであり、これらのピーク温度が低いほど低温性に優れることとなる。つまり、前記特性を有するということは、前記フッ素ゴム(A)および前記水素添加ニトリルゴム(B)をそれぞれ単独でゴム成分としたときのエラストマー組成物よりも優れた低温性を発揮する、ということ意味する。なお、本発明におけるフッ素系エラストマー組成物の損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)は、実施例で後述する動的粘弾性試験にて測定することができる。
【0016】
本発明のフッ素系エラストマー組成物は、耐熱性、耐油性とともに、極めて優れた低温性(耐寒性)を併せ持つものであるので、例えば、極寒地仕様の自動車等の燃焼系統で使用される部材(フューエルホース、ダイヤフラム、O−リング等)などの用途に有用である。また、本発明のフッ素系エラストマー組成物を構成するフッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)はいずれも比較的安価であるので、量産を要する汎用的な用途にも好適に使用することができる。
【0017】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(実施例1、2および比較例1〜8)
ゴム成分として表1および表2に示す種類のフッ素ゴムと水素添加ニトリルゴムとを表1および表2に示す割合(体積比)で用い、該ゴム成分100重量部と、有機過酸化物架橋剤としての2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(「パーヘキサ25B」日本油脂社製)2重量部と、架橋助剤としてのトリアリルイソシアヌレート(「TAIC」日本化成社製)4重量部とを、ロール混練り機を用いて、温度25℃、ロール回転速度20rpmにて30分間混合し、フッ素系エラストマー組成物を得た。
【0018】
なお、表1および表2においては、下記の略号を用いてフッ素ゴムおよび水素添加ニトリルゴムの種類を表した。
・FKM(1):ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(「ダイエルLT302」ダイキン工業社製)
・FKM(2):ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(「ダイエルG912」ダイキン工業社製)
・HNBR(1):「ゼットポール4310」日本ゼオン社製;ヨウ素価=15mg/100mg、結合アクリロニトリル量=19重量%)
・HNBR(2):「ゼットポール2010」日本ゼオン社製;ヨウ素価=11mg/100mg、結合アクリロニトリル量=36重量%)
得られたフッ素系エラストマー組成物を用いて加圧成形により2mm厚のシートを作成し、得られたシートから切出した試験片を以下の試験に供し、各種評価を行なった。結果を表1および表2に示す。
【0019】
<常態物性試験>
JIS−K−6251、JIS−K−6253に準拠し、25℃の条件下で、硬度(デュロメータタイプA硬さ試験で測定)、引張り強度、伸び、引張り応力を測定した。硬度、引張り強度、伸び、引張り応力ともに大きいほど、良好な物性であると言える。具体的には、前記実施例・比較例では充填剤を一切配合していないことを考慮すると、引張り強度は4MPa以上、伸び200%以上、引張り応力は1MPa以上であることが好ましい。
<圧縮永久歪み試験>
JIS−K−6262に準拠し、150℃×72時間、圧縮率25%の条件で、φ29×12.5ディスク使用して、圧縮永久歪率を測定した。圧縮永久歪率が小さいほど耐熱性が良好であると言える。
【0020】
<浸漬試験>
JIS−K−6258に準拠し、試験油としてIRM903を用い、150℃×72時間の条件で、硬度変化および体積膨潤率を測定した。硬度変化および体積膨潤率ともに0に近いほど、耐油性が良好であると言える。
<動的粘弾性試験>
25mm×3mm×2mmの試験片を用い、−100℃で30分間保持して試験片の凍結を確認した後、周波数11Hz、振幅4μm、昇温速度3℃/分の条件で、損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)を測定し、各々のピーク温度を求めた。損失弾性率(E’’)ピーク温度および損失正接(tanδ)ピーク温度が低いほど、低温性が良好であると言える。特に、損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)が各々1つのピークのみを示し、かつ、該損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)の少なくとも一方のピーク温度が、用いたフッ素ゴムおよび水素添加ニトリルゴムをそれぞれ単独でゴム成分としたときの損失弾性率(E’’)または損失正接(tanδ)のピーク温度よりも低いことが好ましい。
【0021】
【表1】
Figure 0004914557
【0022】
【表2】
Figure 0004914557
【0023】
表1および表2の結果から、以下のことが判った。
すなわち、実施例1および実施例2は、損失弾性率(E’’)ピーク温度および損失正接(tanδ)ピーク温度ともに、フッ素ゴムを単独で用いた比較例3や水素添加ニトリルゴムを単独で用いた比較例4を含めたいずれの比較例よりも低く、低温性が格段に優れている。しかも、実施例1および実施例2は、圧縮永久歪率がいずれの比較例よりも低く、耐熱性に優れるとともに、硬度変化と体積膨潤率も比較例4よりは小さく、耐油性も良好である。
これに対し、フッ素ゴム/水素添加ニトリルゴムの相互割合が本発明の範囲を外れる比較例1および比較例2は、耐熱性と耐油性については比較例3と比較例4の中間的レベルであり、かつ、低温性は水素添加ニトリルゴムを単独で用いた比較例4を越えるものではなかった。フッ素ゴムを単独で用いた比較例3は、耐油性に優れ、耐熱性も良好ではあるが、低温性については悪いものであった。水素添加ニトリルゴムを単独で用いた比較例4は、耐油性が悪く、低温性および耐熱性についても実施例に劣るものであり、しかも、引張り強度が非常に低い、ものであった。水素添加ニトリルゴムの結合アクリロニトリル量が本発明の範囲を外れる比較例5は、低温性に劣るものであった。水素添加ニトリルゴムの結合アクリロニトリル量が本発明の範囲を外れ、かつ該水素添加ニトリルゴムを単独で用いた比較例6は、低温性および耐熱性ともに悪いものであった。ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体ではないフッ素ゴムを本発明のフッ素ゴム/水素添加ニトリルゴム相互割合で用いた比較例7は、耐熱性および耐油性は良好であるが、損失弾性率(E’’)ピーク温度および損失正接(tanδ)ピーク温度ともにピークが2つ確認されており相溶性が悪く、低温性は非常に悪いものであった。ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体ではないフッ素ゴムを単独で用いた比較例8は、耐油性には優れ、耐熱性も良好であるが、低温性が非常に悪いものであった。
【0024】
【発明の効果】
本発明にかかるフッ素系エラストマー組成物は、フッ素ゴムが持つ耐熱性や耐油性を生かしながら、超寒冷下においても使用可能な極めて優れた低温性を発揮しうるものであり、例えば、極寒地仕様の自動車等の燃焼系統で使用される部材(フューエルホース、ダイヤフラム、O−リング等)などの用途に好適に用いることができる。また、本発明にかかるフッ素系エラストマー組成物は、可塑剤を配合することを必要としないので、油中や高温環境下で可塑剤が揮発もしくはブリードしてしまい、体積の収縮や硬度上昇を招くといった恐れもない。さらに、本発明にかかるフッ素系エラストマー組成物は、比較的安価な原料で構成されるものであり、量産を要する汎用的な用途にも好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテルを主鎖に含有するフッ素ゴム(A)と、結合アクリロニトリル量が30重量%未満である水素添加ニトリルゴム(B)とをゴム成分として含有するフッ素系エラストマー組成物であって、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との相互割合が(A)/(B)=15/85〜35/65(体積比)である、ことを特徴とするフッ素系エラストマー組成物。
  2. 前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)との合計100重量部に対し、0.1〜20重量部の有機過酸化物架橋剤(C)と、0.1〜20重量部の架橋助剤(D)とを含有してなる、請求項1に記載のフッ素系エラストマー組成物。
  3. 損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)を測定したときに各々1つのピークのみを示し、かつ、該損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)の少なくとも一方のピーク温度が、前記フッ素ゴム(A)および前記水素添加ニトリルゴム(B)をそれぞれ単独でゴム成分としたときの損失弾性率(E’’)または損失正接(tanδ)のピーク温度よりも低い、請求項1または2に記載のフッ素系エラストマー組成物。
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