JP3950353B2 - 低温フッ素系エラストマー組成物 - Google Patents

低温フッ素系エラストマー組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐寒性、耐熱性および耐油性を同時に必要とする極めて厳しい環境下での使用を可能にし、しかも、加工性の改善されたフッ素系エラストマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素ゴムは、高価ではあるが、非常に高い特性を持つため、使用条件の厳しい部位で汎用されている。
フッ素ゴムの特徴としては耐熱性と耐薬品性が主に挙げられる。耐熱性についてみれば、他のエラストマーでは使用のできない200℃を超える高温下での使用が可能である。耐薬品性も一部の薬品を除きほぼ対応可能であり、このため、非常に広い範囲での使用が可能である。
しかし、構造上の点から低温下での使用性(以下、「低温性」と言う)が非常に悪く、一般に、精々−20℃までの環境でしか使用できず、それよりも低温での使用が困難であった。フッ素ゴムの加工性が他のエラストマー(NBR、EPDM、Q等)のそれに比べて悪いことも否定できない。
【0003】
自動車のように寒冷地での使用を必要とするなら、そこに使用されるゴム材料は、−30℃を下回る超寒冷下(例えば、−35℃の極低温下)での使用を可能とするものでなければならない。しかも、エンジン周りの高熱に耐え得るだけの耐熱性(例えば、150℃はクリア)も持つべきである。ATF・ギヤ油・ガソリンなどに対する耐性を持つ必要もある。
低温性の優れたフッ素ゴムもごく少数ではあるが市場に存在している。これら低温性の優れたフッ素ゴムのうちで、もっとも優れた低温性(−50℃)を示すフッ素ゴムはパーフルオロポリエーテル単位を含む共重合フッ素ゴムである。しかし、パーフルオロポリエーテル単位を含む共重合フッ素ゴムは、非常に高価であるので、シール材等として量産するなど、通常の用途に使い難く、汎用性の面で劣る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、フッ素ゴムが持つ耐熱性と耐油性を生かしながら、超寒冷下(例えば、−35℃の極低温下)での使用を可能とし、しかも、安価であって量産性に富み、加工性も良いフッ素系エラストマーを提供することである。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討し、試行錯誤を重ねた結果、量産性をも考慮して、フッ素ゴムとしてビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体を採用することにし、低温性を高めるために、これに、水素添加ニトリルゴムを練り込むとともに、さらに可塑剤をも練り込むことを思いついた。
すなわち、通常のフッ素樹脂の有する耐熱性、耐油性、耐薬品性を損なわずに、かつ、量産可能なコストで用いることができ、しかも、低温性にも比較的に優れていると言う理由で、フッ素ゴムとして、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体を選んだのである。
【0006】
このフッ素ゴムの低温性は−30℃程度である。そこで、より優れた低温性を得るために、これに水素添加ニトリルゴム(水添NBR)を練りこむことにした。水素添加ニトリルゴム(水添NBR)は、フッ素ゴムに比較して、低温性に優れており、加工性も非常に良好であるからである。さらに、安価でもあるので、水素添加ニトリルゴムの練り込みはコスト面でも優れている。
フッ素ゴムに水素添加ニトリルゴムを練りこんで、フッ素ゴムだけでは得られない低温性を得ることはすでに知られている(特許第2894353号公報)。しかし、フッ素ゴムとして低温性の比較的優れたビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(低温性−30℃程度)に水素添加ニトリルゴムを練り込んでも、その低温性は精々、−33℃程度であり、超寒冷下(例えば、−35℃の極低温下)での使用可能と言う厳しい条件に到底適うものではないことが分かった。
【0007】
この事実を受けて、本発明者は、低温性をより高めるためには発想の転換が必要であり、従来知られていない工夫が必要であると考え、さらに検討を進め、実験を重ねた。その過程で、可塑剤の練り込みを着想したのである。そして、可塑剤の練り込みにより、低温性の壁である「−35℃」を簡単にクリアできることを実験により確認した。
フッ素ゴム・水素添加ニトリルゴムの2成分系への可塑剤の練り込みは、耐熱性・耐油性を維持しつつ、超寒冷下(例えば、−35℃の極低温下)での使用を可能とすると言う極低温性を達成しながら、しかも、フッ素ゴムの欠点である加工性の問題をも解消することもできる。
【0008】
ところで、本発明者は、上述のような知見を得たので、可塑剤の効果を見るために、上記ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体に、水素添加ニトリルゴムは練り込まず、可塑剤だけを練り込んでみた。そうすると、低温性の改善は出来るものの、フッ素ゴムに低温性を改善し得るだけの可塑剤、加工助剤を配合すると、可塑剤がブリードアウト(滲み出し)することが分かった。この相溶性の問題のほかに、フッ素ゴムの持つ特性を維持できなくなると言う問題のあることも分かった。
ところが、このフッ素ゴム・水素添加ニトリルゴムの2成分系に可塑剤を練り込むと上記可塑剤のブリードアウトが解消されるとともに、フッ素ゴムの長所である耐熱性・耐油性の維持も容易であった。
【0009】
なお、上記練り込みに適う水素添加ニトリルゴムは、どのようなものであっても良いのではなく、特殊な水素添加ニトリルゴム、すなわち、結合アクリロニトリル量が30重量%未満でヨウ素価が30(mg/100mg)以下の水素添加ニトリルゴムである必要がある。ヨウ素価が30(mg/100mg)以下の水素添加ニトリルゴムとは、水素添加率でみたとき、添加率89%以上の水素添加ニトリルゴムを意味する。フッ素ゴムが持つ耐熱性と耐油性を維持しながら、低温性の改善を図るためには、フッ素ゴムと水素添加ニトリルゴムの相互割合を一定の範囲内に保つとともに、可塑剤の配合割合をも一定の範囲内に保っておくことも必要である。
【0010】
本発明にかかるフッ素系エラストマー組成物は、上記多くの考察と実験を経て完成されたものであって、フッ素ゴム(A)、水素添加ニトリルゴム(B)、可塑剤(C)、有機過酸化物加硫剤(D)および共架橋剤(E)を必須成分として含有し、前記フッ素ゴム(A)は、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体であり、前記水素添加ニトリルゴム(B)は、結合アクリロニトリル量が30重量%未満、かつ、ヨウ素価が30(mg/100mg)以下のものであり、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)の相互割合が(A)/(B)=6040〜79/21(重量比)であり、前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)の合計量に対する前記可塑剤(C)の配合割合が0.1〜30重量%である。
【0011】
上記において、前記水素添加ニトリルゴム(B)は、JIS K6261に準じたTR試験におけるTR−10値が−31℃以下であることが好ましい。有機過酸化物加硫剤(D)の含有量が0.1〜20重量部であり、共架橋剤(E)の含有量が0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテルを主鎖に含有するフッ素ゴム(A)としては、例えば、デュポン社製バイトンGLT、GFLT、ダイキン社製LT302、アウジモント社製テクノフロンPL855等がある。フッ素系エラストマー(A)は、耐寒性に極めて優れ、汎用の2元系フッ素ゴムであるビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレンや3元系フッ素ゴムであるビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン・テトラフルオロエチレンでは得ることの困難な−30℃以下のTR−10値を得ることが出来る。
【0013】
本発明における、水素添加ニトリルゴム(B)は、これをフッ素系エラストマー(A)に配合することで、耐寒性と加工性の向上および高含油性の達成を可能とさせる。水素添加ニトリルゴム(B)は、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテルより低温性が優れている必要があり、少なくともTR−10値が−35℃以下であることが好ましい。そのためには、水素添加ニトリルゴム(B)としては結合アクリロニトリル量30%以下のものを用いることが必要である。ただし、結合アクリロニトリル量が少なすぎると、耐油性が大幅に低下するため、結合アクリロニトリル量は15%以上が好ましい。ヨウ素価は低温性をあげるために高い方が良いが、高すぎると耐熱性が低下するため30(mg/100mg)以下であることが必要である。本発明において用いる水素添加ニトリルゴム(B)としては、例えば、日本ゼオン社製ゼットポール3310やゼットポール4310等が好ましい。
【0014】
本発明においては、水素添加ニトリルゴム(B)をフッ素ゴム(A)に配合することで、フッ素ゴムに比較して高含油を行なうことが可能になる。フッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)の配合比率はフッ素ゴム(A)/水素添加ニトリルゴム(B)=51/49〜79/21であり、55/45〜70/30が望ましい。水素添加ニトリルゴム(B)の比率が51/49よりも高くなると、耐油性と耐熱性に問題が生じるようになり、他方、79/21よりも少ないと、耐寒性と加工性に問題が生じるようになり、高含油も困難になる。
本発明においては、可塑剤(C)を配合することで、低温性を一挙に下げる(例えば、−35℃以下)ことが可能となり、加工性の一層の向上を図ることができるようにもなる。本発明において用いる可塑剤(C)としては、フタレート系、アジペート系、セバケート系、ホスフェート系、ポリエーテル系、ポリエステル系、パラフィン系等が挙げられる。具体的には、サンソサイザーDOA(アジペート系)(新日本理化社製)、サンソサイザーDOS(セバケート系)(新日本理化社製)などが挙げられる。これらのうちで、耐熱性があり凝固点が−40℃以下の可塑剤を採用することが好ましい。可塑剤(C)の配合量は、フッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)の合計100重量部に対し0.1〜30重量部である。好ましくは、1〜20重量部、より好ましくは4〜10重量部である。
【0015】
フッ素ゴムとオイルの相溶性の悪さや加硫温度の高さから可塑剤がエラストマー中に留まりにくく、揮発もしくはブリードしてしまう恐れがあるが、水素添加ニトリルゴムを配合することで、可塑剤を用いることが可能になる。
本発明において用いる有機過酸化物加硫剤(D)としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。通常、加硫剤としてフッ素ゴムでは有機過酸化物、ポリオール、ポリアミン等が用いられ、水素添加ニトリルゴムでは有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物、酸化亜鉛、フェノール樹脂系、ビスマレイミド系等が知られているが、本発明では、フッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)とで共用できる有機過酸化物(D)を用いるようにする。有機過酸化物(D)の配合量としてはフッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0016】
本発明においては、共架橋剤(E)を配合することで、架橋密度をあげることが可能になり、耐熱性および耐油性を向上させることができる。共架橋剤(E)無しでも成形することは可能であるが、配合されたものと比較すると耐熱性が非常に悪く、引張り強度も弱いものになるため、共架橋剤Dを用いないことは現実的ではない。共架橋剤(E)としては、具体的には、硫黄、硫黄系、キノンジオキシム、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロルプロパントリメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩等が挙げられる。共架橋剤(E)の配合量としては、フッ素ゴム(A)と水素添加ニトリルゴム(B)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0017】
本発明にかかるフッ素系エラストマーは、耐熱性、耐油性、耐寒性のすべてをあわせ持つ。−35℃以下の環境下でギヤ油、ガソリン等の油中で使用できる材料は現実にはほとんど存在せず、そのため、本発明にかかるフッ素系エラストマーの材料的意義は極めて高い。
本発明にかかるフッ素系エラストマーは、一般的製造装置を用いて作製することが出来る。例えば、ロール混練り機、加圧ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)を用いることが可能である。混練り温度は、常温附近が好ましい。
【0018】
本発明にかかるフッ素系エラストマーは、一般のゴム組成物同様に、例えば、100〜200℃の加熱温度、約0.5〜120分程度の加熱時間で、加熱しつつ、加圧成形法、射出成形法等により成形することが可能である。
本発明にかかるフッ素系エラストマーの使用可能部位として具体例をあげるなら、極寒地での駆動機器に用いられるギヤ油、ガソリンシール等である。
【0019】
【実施例】
表1〜4に示す配合処方に従い、配合することにより、実施例と比較例のフッ素系エラストマーを得て、各種物性を測定、評価した。
表中の化合物名は以下の内容を指す。
フッ素ゴム:
FKM(VDF−TFE−PMVE):ダイエルLT302 ダイキン工業社製
水素添加ニトリルゴム:
耐寒性HNBR:ゼットポール4310〔ヨウ素価=5(mg/100mg)、結合アクリロニトリル量(ACN)=19(重量%)〕 日本ゼオン社製
汎用HNBR:ゼットポール2010〔ヨウ素価=11(mg/100mg)、結合アクリロニトリル量(ACN)=36(重量%)〕 日本ゼオン社製
NBR:ペルブナンNT1845〔ヨウ素価>100(mg/100mg)、結合アクリロニトリル量(ACN)=18(重量%)〕 バイエル社製
可塑剤:
CTFE:ダイフロイル#1 ダイキン工業社製
フッ化シリコーンオイル:FL100 信越化学社製
ジオクチルアジペート:サンソサイザーDOA 新日本理化社製
共架橋剤:
トリアリルイソシアヌレート:TAIC 日本化成社製
有機過酸化物加硫剤:
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン:パーヘキサ25B 日本油脂社製
充填剤:
FEFカーボン:シーストGSO 東海カーボン社製
MTカーボン:MTサーマックスFLOFORM N−990 昭和キャボット社製
ゴム薬品:
ステアリン酸:ルナックS−10 花王石鹸社製
酸化亜鉛:亜鉛華 堺化学社製
置換ジフェニルアミン:Naugard445 Uniroyal Chem社製
2−メルカプトベンズイミダゾール:ノクラックMBZ 大内新興社製
配合の仕方は、具体的には、フッ素ゴム(A)、水素添加ニトリルゴム(B)、可塑剤(C)、有機過酸化物加硫剤(D)および共架橋剤(E)を所定量秤量し、ロール混練り機で配合する。この時の混練り条件は、温度25℃、ロール回転速度20rpm、配合時間30分であった。
【0020】
得られたフッ素系エラストマーから、加圧成形により2mm厚のシートを成形し、このシートから切出した試験片を以下の評価に供した。
試験方法は以下のとおりである。
常態物性試験:25℃条件下、引張強さ、破断伸び、硬度を測定する。硬度はデュロメータタイプA硬さ試験で測定。JISK6251、6253に準拠。判定基準は、引張り強度9.8MPa以上、引張り伸び150%以上、引張り応力1.96MPa以上を合格とした。
浸せき試験:150℃×72時間(ガソリンのみ130℃×72時間)。試験油としてASTMNo1、IRM903、ガソリンを用いた
引張強さ変化、伸び変化、引張応力変化および硬度変化を測定した。JISK6258準拠。
【0021】
圧縮永久歪み試験:150℃×72時間、圧縮率25%、φ29×12.5ディスク使用。JISK6262準拠。耐熱性の判定は圧縮永久歪み率16%以下を合格とした。
低温弾性回復試験(TR試験):低温時のエラストマーの復元性を確認する。JISK6261準拠。低温性の判定はTR−10値−35℃以下を合格とした。
【0022】
【表1】
Figure 0003950353
【0023】
【表2】
Figure 0003950353
【0024】
【表3】
Figure 0003950353
【0025】
【表4】
Figure 0003950353
【0026】
結果は表1〜4のとおりである。耐寒性は実施例1〜4とも、フッ素ゴム(A)のみの比較例1に比較して、大幅に改善されており、フッ素ゴム(A)に水素添加ニトリルゴム(B)だけを配合した比較例2やフッ素ゴム(A)に可塑剤(C)だけを配合した比較例3〜5に比較して改善されている。圧縮永久歪み率は、実施例1〜4とも、フッ素ゴム(A)のみの比較例1に比較して、ほとんど差が見られない。耐油性は、実施例1〜4とも、フッ素ゴム(A)のみの比較例1からみて少し低下しているが、フッ素ゴム(A)に水素添加ニトリルゴム(B)だけを配合した比較例2よりも良い。
【0027】
水素添加ニトリルゴム(B)のフッ素ゴム(A)に対する配合割合が所定範囲を超える比較例6、7は耐熱性、耐油性が劣る。水素添加ニトリルゴム(B)のフッ素ゴム(A)に対する配合割合が所定範囲を下回る比較例8は耐寒性に劣り、可塑剤量を所定範囲よりも多くした比較例9は、耐寒性が改善されているものの、成形品にブリード現象が確認された。
結合アクリロニトリル量が所定範囲量を超えている水素添加ニトリルゴムを用いた比較例10は耐寒性および耐熱性に劣る。水素添加していないニトリルゴム(通常、ヨウ素価は100を超える)を用いた比較例11は、耐寒性は得られているが、耐熱性に劣る。
【0028】
水素添加ニトリルゴム(B)に可塑剤(C)を配合しただけの比較例12は耐寒性が−37℃程度と極めて低いが耐油性が全くない。
共架橋剤(E)が配合されていない比較例13は、引張り強度が大幅に低下し、圧縮永久歪みが悪く、シール材としての特性が不十分であり、耐熱性、耐油性も劣る。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、耐寒性、耐熱性、加工性に優れ、油中でも使用可能であって、しかも、量産性にも優れたフッ素系エラストマーを提供することが出来る。

Claims (4)

  1. フッ素ゴム(A)、水素添加ニトリルゴム(B)、可塑剤(C)、有機過酸化物加硫剤(D)および共架橋剤(E)を必須成分として含有し、
    前記フッ素ゴム(A)は、ビニリデンフルオライド・テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体であり、
    前記水素添加ニトリルゴム(B)は、結合アクリロニトリル量が30重量%未満、かつ、ヨウ素価が30(mg/100mg)以下のものであり、
    前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)の相互割合が(A)/(B)=6040〜79/21(重量比)であり、
    前記フッ素ゴム(A)と前記水素添加ニトリルゴム(B)の合計量に対する前記可塑剤(C)の配合割合が0.1〜30重量%である、
    フッ素系エラストマー組成物。
  2. 前記水素添加ニトリルゴム(B)は、JIS K6261に準じたTR試験におけるTR−10値が−35℃以下である、請求項1に記載のフッ素系エラストマー組成物。
  3. 有機過酸化物加硫剤(D)の含有量が0.1〜20重量部である、請求項1または2に記載のフッ素系エラストマー組成物。
  4. 共架橋剤(E)の含有量が0.1〜20重量部である、請求項1から3までのいずれかに記載のフッ素系エラストマー組成物。
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