以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
初めに、警備システムによって警戒を行う対象である分譲地について、その平面図である図1を参照して説明する。なお、この実施形態における分譲地は住宅分譲地であるとし、当該分譲地が区画されてなる複数の分譲区画地に建物として戸建住宅が建てられているものとする。
図1に示されているように、分譲地11は互いに平行に延びる一対の公道R1,R2に挟まれた土地である。この分譲地11は、私道21と、複数の分譲区画地22a〜22gからなる専有地22と、公園23とを備えている。
私道21は、前記一対の公道R1,R2に対して直交するように延び、両公道R1,R2の間を渡す一本の道路である。この私道21は、両公道R1,R2の延びる方向の中央部に設けられ、車両が通行可能な程度の道路幅が確保されている。私道21は各分譲区画地22a〜22gの所有者に共用される共用地であり、公道Rと各分譲区画地との間を行き来する際に利用される。各公道R1,R2との境界部には、それぞれゲート31,32が設けられている。なお、説明の便宜上、一対のゲートをそれぞれ第1ゲート31及び第2ゲート32として区別する。このゲート31,32の構成に関して、公道Rと私道21との間の通過を阻止するための阻止部材等が特に設置されているわけでなく、ゲート通過それ自体は自由な状態となっている。出入口部分という意味で、ここではゲートという用語を便宜的に用いている。
この私道21が設けられることにより、分譲地11にはその私道21を挟んだ両側に残余地が存在している。両側の残余地からなる非道路部分は、前記専有地22と前記公園23とに区画されている。
専有地22は分譲単位ごと複数(この実施形態では7つ)に区画されて、複数の分譲区画地22a〜22gからなっている。この区画により、いずれの分譲区画地22a〜22gも前記私道21に面して設けられている。各分譲区画地22a〜22gには、それぞれ敷地内に建物(前述したように戸建住宅)41a〜41gが建てられている。また、各分譲区画地22a〜22gには、建物41a〜41gの建築スペースを除く敷地部分にアプローチ42a〜42gが設けられている。各アプローチ42a〜42gは、私道21との境界部分に設置された出入口構造体(以下、例として門扉43が設置されているものとする)から建物41の玄関ポーチに至る通路スペースである。住人や訪問者が建物41の玄関と門扉43との間を行き来する際に主として利用される。各分譲区画地22a〜22gにおいて、各アプローチ42a〜42gを除く敷地部分は戸別敷地44a〜44gとなっている。
公園23は各分譲区画地22a〜22gの所有者に共用される共用地であり、遊具、ベンチ、芝生広場等が設置されている。この公園23も前記私道21に面して設けられ、私道21との境界部分には公園ゲート51が設けられている。なお、この公園ゲート51の構成に関して、私道21と公園23との間の通過を阻止するための阻止部材等が特に設置されているわけでなく、公園ゲート51の通過それ自体は自由な状態となっている。出入口部分という意味で、ここでも公園ゲートという用語を便宜的に用いている。
次に、前述した構成を備えた分譲地11の警戒を行う警備システムについて、以下に説明する。まずは、警備システムの構成を当該システムのブロック図である図2を参照しながら説明する。
図2に示されているように、警備システム60はシステムの動作制御を司るコントローラ61(制御手段、設定手段、認証手段に相当)を有している。コントローラ61はCPU62、記憶部63等を備えたコンピュータであり、例えば公園23の設置ボックス52内に設置されている(図1参照)。記憶部63には、システムの制御プログラム等が予め記憶された領域と、制御プログラムの実行に際して各種情報が一時的に記憶される領域とを備えている。
コントローラ61には各種のセンサ及び機器類等が接続されている。そこで、それらの各接続類について以下、順に説明する。その説明に際し、各接続類が設置されている箇所等を説明するため、前述した図1を適宜参照することにする。なお、同じ接続類が複数存在している場合、図1では適宜符号が省略されている。
まず、コントローラ61には、システムの操作部64が接続されている。操作部64は、例えばコントローラ61とともに前記設置ボックス52内に設けられている(図1参照)。操作部64は処理内容ごとに割り当てられた操作子(例えば、ボタンやスイッチなど)を備え、その操作子を操作することによりコントローラ61に対する各種入力処理が可能となっている。例えば、警備システム60の動作開始やその解除を受け付けたり、予め記憶されている設定の変更を受け付けたりする。
次に、コントローラ61には、公道R1,R2と私道21との間の前記第1及び第2ゲート31,32に設けられたセンサ及び機器類と接続されている。両ゲート31,32には、通過センサ(通過検知手段に相当)33,34、ゲートカメラ35,36、無線通信部37,38がそれぞれ設けられており(図1参照)、これらがコントローラ61と接続されている。これらは、例えば、公道R1,R2と私道21との間の境界部に設けられたポール等の支持体に設置されている。
各通過センサ33,34は、赤外光等の光を発光する発光部33a,34aとその発光を受光する受光部33b,34bとを備え(図1参照)、人の通過により光軸が遮られることで人の通過が検知されその通過情報がコントローラ61に送信される。そして、各通過センサ33,34は二本の光軸L1,L2を有しており(図1参照)、コントローラ61はいずれの光軸が先に遮られたかによって私道21に入ったのか公道Rに出たのかを判別することが可能となっている。
各ゲートカメラ35,36は、ゲート31,32を介して公道Rと私道21との間を通過する人を常時撮影し、その撮影された人(ゲート通過者)の顔情報(輪郭、目・鼻・口の配置等の情報)を取得する機器である。人がゲート31,32を通過すると、そのゲート通過者がゲートカメラ35,36に映し出される。そして、その通過者の顔情報がコントローラ61に送信される。
各無線通信部37,38は、各分譲区画地22a〜22gの所有者や分譲地11での滞在が許可された者ごとに携帯される携帯型通信装置(携帯機)Kとの間で無線通信を可能とする無線通信機能を有している。この無線通信機能により、携帯機Kの所持者がゲート31,32を通過して私道21に立ち入る場合、個々の携帯機Kが有する個別の識別情報(ユーザID)をコントローラ61に送信可能となっている。携帯機Kは小型のもので、携帯しても邪魔になりにくくかつ常備しやすいものとなっている。例えば、電子キーを携帯機Kとして用いたり、日常的に使用される携帯電話を携帯機Kとして用いたり、通信機能を有するICカードを携帯機Kとして用いたりすることも可能である。
次に、コントローラ61には、各分譲区画地22a〜22gに設置されたセンサ及び機器類、及び各建物41a〜41gの屋内に設置されたセキュリティ盤81(図1参照)が接続されている。なお、これら各接続類は各分譲区画地22a〜22g及び各建物41a〜41gで同じ構成であるため、図2には分譲区画地22a及び建物41aに設置されたものが代表して図示されている。
まず、各分譲区画地22a〜22gの門扉43a〜43gには、センサ付表示灯71a〜71g、インターホン子機72a〜72g及びポスト75a〜75gがそれぞれ設置され(図1参照)、いずれもコントローラ61と接続されている。
センサ付表示灯71は赤外光等を利用した人感センサと、黄色灯及びオレンジ灯を有するライトとを備えている。人感センサにより人が検知されると、黄色灯又はオレンジ灯が選択されて点滅する。このセンサ付表示灯71はコントローラ61によって動作制御され、またライトの表示色が選択されるようになっている。その作動中に門扉43付近(検知範囲は、例えば半径1m程度)に人が近寄ると内蔵された人感センサによって検知され、黄色灯又はオレンジ灯が点滅する。これにより、その近寄った者に対して注意喚起が可能となる。
インターホン子機72は、建物41の前記セキュリティ盤81に設置されたインターホン親機82との間でのみ通話可能となる機器である。この場合、インターホン子機72と通過可能なインターホン親機82は、インターホン子機72が設置された門扉43と対応する分譲区画地の建物41に設置されたものだけである。例えば、分譲区画地22aの門扉43に設置されたインターホン子機72aは、建物41aのインターホン親機82aとの間でのみ通過可能となっている。
このインターホン子機72には、呼出ボタン73や監視カメラ74が設けられている。呼出ボタン73は屋内の人を呼び出すためのものであり、来訪者によって操作されるとセキュリティ盤81から呼出音が出力されてインターホン親機82との間で通話可能となる。この場合、コントローラ61にはインターホン子機72が使用された旨の信号が送信され、コントローラ61はインターホン子機72の使用状況を把握するようになっている。また、監視カメラ(人検知手段に相当)74は、インターホン子機72が設置された門扉周辺の私道21に滞在する人を常時撮影し、その撮影された人の顔情報を取得する機器である。門扉周辺の私道21に滞在する人は監視カメラ74に映し出され、その者の顔情報がコントローラ61に送信される。
ポスト75は郵便物や宅配物等の配達物が投函される箱部材であり、それらが投函されたことを検知する投函検知センサ(投函検知手段に相当)76を有している。ポスト75については、この投函検知センサ76がコントローラ61と接続されている。投函検知センサ76は、例えばポスト75の投函口に設けられた開閉扉の開閉を検知するセンサであり、この例では開閉扉が開かれることで投函されたことが検知される。そして、その投函検知情報がコントローラ61に送信されるようになっている。
なお、コントローラ61は、インターホン子機72の使用状況、ポスト75への投函状況から、分譲地11に侵入した者の行動パターンを把握し、その把握した行動パターンを分譲地11の警戒制御に利用する。このため、本実施形態ではインターホン子機72やポスト75の投函検知センサ76等により行動検知手段が構成されている。
次いで、各分譲区画地22a〜22gのアプローチ42a〜42g及び戸別敷地44a〜44gには、それぞれ監視カメラ(人検知手段に相当)91a〜91b,92a〜92b及び警報器93a〜93g,94a〜94gが設置され(図1参照)、それらがコントローラ61と接続されている。これらは、塀などの境界構造物や建物41の外壁部等を利用したり、ポール等の支持体を新設したりしてアプローチ42及び戸別敷地44の敷地内に設置されている。この場合、機器の種類、設置数及び設置箇所は、アプローチ42及び戸別敷地44の広狭、形状、隣接地の状況等のあらゆる事情を考慮して死角が生じないように適宜選択される。
監視カメラ91,92は、その撮影範囲を常時撮影するとともに、撮影された人の顔情報を取得する機器である。アプローチ42又は戸別敷地44に人が侵入すると、その侵入者が監視カメラ91,92に映し出される。そして、その侵入者の顔情報がコントローラ61に送信される。
警報器93,94は、侵入者に対して警告を報知して威嚇する機器であり、詳しくはスピーカとライトとを備えている。スピーカは、威嚇効果の大きな警告音(例えば、ブザー音や威嚇メッセージ等)が所定の音量で出力されるものであり、ライトはオレンジ灯及び赤色灯を有しその一つが選択されて点滅するものである。警報器93,94はコントローラ61により動作制御され、また、ライトの表示色が選択されるようになっている。警報器93,94が作動すれば、アプローチ42や戸別敷地44への侵入者に対し、警告音や選択された表示色の点滅によって警告が報知される。
各建物41a〜41gの屋内に設置された前記セキュリティ盤81a〜81gは、ライト83a〜83g、スピーカ84a〜84g、認証ボタン(警戒解除操作部に相当)85a〜85gを備え、それらがコントローラ61と接続されている。
ライト83はオレンジ灯及び赤色灯を有し、その一つが選択されて点滅するものであり、また、スピーカ84は建物41の住人に注意を喚起するための警告音や前述した呼び出音が出力されるものである。このライト83及びスピーカ84がコントローラ61により動作制御され、また、ライト83の表示色が選択されるようになっている。ライト83の点滅やスピーカ84からの警告音により、建物41の住人に対して不審者侵入についての注意を喚起する。認証ボタン85は、建物41の住人が自己の分譲区画地への立ち入りを許可する場合に操作される操作子である。この認証ボタン85が操作されると、その旨がコントローラ61に送信される。なお、セキュリティ盤81にモニタ装置等が設けられた構成を採用してもよい。この場合、分譲地11の各所に設置された監視カメラ(例えば、インターホン子機72の監視カメラ74)で撮影された人の映像を建物内で確認することが可能となる。
次に、コントローラ61は、公園23に設置された機器類とも接続されている。まず、公園23の公園ゲート51にはセンサ付表示灯101と監視カメラ102が設置されており(図1参照)、いずれもコントローラ61と接続されている。センサ付表示灯101及び監視カメラ102は、私道21と公園23とを区画する塀などの境界構造物等を利用したり、ポール等の支持体を設けたりして設置されている。
センサ付表示灯101はその構成が前記門扉43に設置されているものと同じである。このため、その作動中に公園ゲート51付近に私道21に滞在する人が近寄ると、内蔵された人感センサによって検知されて黄色灯又はオレンジ灯が選択されて点滅する。
監視カメラ(人検知手段に相当)102は、公園ゲート周辺の私道21に滞在する人を常時撮影し、その撮影された人の顔情報を取得する機器である。公園ゲート周辺の私道21に滞在する人は監視カメラ102に映し出され、その者の顔情報がコントローラ61に送信される。なおここで、この公園ゲート51の監視カメラ102と、前記各インターホン子機72a〜72gに設置された各監視カメラ74a〜74gとで、私道21のすべてがカメラによる監視範囲となっている。これにより、私道21に滞在する人はいずれかの監視カメラ74a〜74g,102に映し出され、その者の顔情報がコントローラ61に送信される。
次に、公園23の敷地内には監視カメラ103及び警報器104が設置されており(図1参照)、いずれもコントローラ61と接続されている。監視カメラ103及び警報器104は、塀などの境界構造物等を利用したり、ポール等の支持体を新設したりして設置されている。この場合も、種類、設置数及び設置箇所は、公園23の広狭、形状、隣接地の状況等のあらゆる事情を考慮して死角が生じないように適宜選択される。
これら監視カメラ(人検知手段に相当)103及び警報器104は、その構成が前記アプローチ42等に設置されているものと同じである。このため、監視カメラ103により、公園23に滞在する人の顔情報がコントローラ61に送信され、また、警報器104がコントローラ61からの指令により動作制御されて公園23への侵入者に警告が報知される。
なお、コントローラ61に接続されている上記各接続類には、それぞれ設置された場所ごとに識別番号(ID)が付与されている。このため、コントローラ61は、検知情報が送信されたセンサ類、動作制御する対象となる各種機器を個々に判別することができるようになっている。
続いて、この警備システム60を設置する上で、分譲地11はその全域で複数の領域に区画されている。ここでいう区画とは、警備システム60の構成上想定された区画をいう。具体的には、図3に示されているように、分譲地11は、私道領域A、公園領域B、アプローチ領域C及び戸別敷地領域D、という四つの領域に区画されている。なお、図3は各領域を概略的に示す敷地の平面図である。この四つの領域のうち、私道領域Aは前記私道21に対応して設定された領域であり、公園領域Bは前記公園23に対応して設定された領域である。また、アプローチ領域C及び戸別敷地領域Dは、各分譲区画地22a〜22gのアプローチ42及び戸別敷地44にそれぞれ対応して設定された領域である。
警備システム60ではこれら各領域A〜Dに警戒レベルが設定され、いずれかの領域に人が侵入するとその侵入領域が判別されるとともに、当該侵入領域の警戒レベルに応じた警備が行われる。このため、前述したコントローラ61の記憶部63には、そのような警備を行うための各種データが記憶されている。その記憶されたデータの内容としては、例えば、認証ユーザIDデータ、警戒レベルデータ、警戒内容データである。
認証ユーザIDデータは、分譲地11で滞在が許可される住人等の者(ユーザ)のID情報であり、予めなされるユーザ登録処理によって記憶部63に記憶されるようになっている。なお、この登録処理は周知の既存技術を適用することが可能であるから説明を省略する。
警戒レベルデータは、分譲地11の前記各領域A〜Dにおける警戒レベルの設定情報である。ここでは、「1(低)」・「2(中)」・「3(高)」という三段階の警戒レベルを選択することが可能となっており、各領域A〜Dはそのいずれか一つの警戒レベルが設定されている。この警戒レベル設定は任意かつ変更可能あるが、この実施形態では図4のデータ表に示されているように私道領域Aがレベル1、公園領域B及び各アプローチ領域Cはレベル2、戸別敷地領域Dはレベル3に設定されているものとする。なお、設定レベルを変更する場合には前記操作部64が操作される。
警戒内容データは、警戒レベルごとの具体的な警戒内容情報である。警備内容の設定はコントローラ61に接続されている警報機器等の種類次第で任意かつ変更可能であるが、前述した機器類が接続されているこの実施形態では次のように設定されているものとする。ここでも、警戒内容を変更する場合には前記操作部64が操作される。
図4のデータ表に示されているように、警戒レベルがレベル1に設定された私道領域Aに侵入した場合、低レベルの警戒が行われる。すなわち、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101を作動させ、人感センサで侵入者が検知された場合に黄色灯を点滅させて当該侵入者を軽度に威嚇する。警戒レベルがレベル2に設定された公園領域B及びアプローチ領域Cに侵入した場合、中レベルの警戒が行われる。すなわち、警報器93,94,103でオレンジ灯を点滅させて侵入者を中程度に威嚇するとともに、セキュリティ盤81でオレンジ灯を点滅させて住人に注意を喚起する。警戒レベルがレベル3に設定された戸別敷地領域Dに侵入した場合、高レベルの警戒が行われる。すなわち、侵入検知された戸別敷地44の警報器94で警告音を出力するとともに赤色灯を点滅させて侵入者を激しく威嚇し、併せてセキュリティ盤81でも警告音を出力するとともに赤色灯を点滅させて住人に対して高度な注意を喚起する。
ちなみに、図4のデータ表に示されているように、私道領域Aの警戒レベルがレベル2に引き上げられた場合、その私道領域Aでも中レベル警戒が行われる。この場合、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101を作動させ、人感センサで侵入者が検知された場合にオレンジ灯を点滅させて当該侵入者を中程度に威嚇する。併せて、すべてのセキュリティ盤81a〜81gでオレンジ灯を点滅させて、分譲地内の住人に対して注意を喚起する。また、公園領域B及びアプローチ領域Cの警戒レベルがレベル3に引き上げられた場合、その領域B,Cでも高レベル警戒が行われる。その場合、侵入検知されたアプローチ42及び公園23の警報器93,103で、前述した高レベル警戒と同じ内容を実行する。
以上が警備システム60の構成であり、次に、コントローラ61が実行する警備システム60の動作を、図5及び図6のフローチャートに基づいて説明する。図5は警備システムの主たる処理である分譲地警備処理を示し、図6は図5における警戒処理を示している。ここでは、徒歩又は二輪車等に乗り、顔を露出した状態で分譲地11に人が進入することを想定している。コントローラ61は、分譲地11に人が進入したこと、すなわち通過センサ33,34より通過情報を受信したこと、又は公園23や戸別敷地44に設置された監視カメラ92,102より顔情報を取得したことをトリガとし、情報を受信するたびに個々の進入者に対する分譲地警備処理の実行を開始する。
図5に示す分譲地警備処理において、ステップS101では分譲地11への進入者がゲート通過者であるか否か、すなわち受信した情報が通過センサ33,34より送信された通過情報であるか否かを判定する。ゲート通過者であれば判定を肯定して続くステップS102にて認証処理を実行する。一方、ゲート通過者ではなく監視カメラ92,102より顔情報が送信された場合には判定を否定して後続の認証処理を経ないで後述するステップS104での被検知者特定処理に進む。このため、ゲート通過者でない場合は認証処理が行われないことになる。通常ならばゲート31,32を通過して分譲地11に進入するはずなのにそれをしないということは、その者が不審者であると推定されるため認証処理を行う必要がないからである。
ステップS102の認証処理では、次の処理を実行する。まず、リクエスト信号の送信処理を実行する。そのリクエスト信号に応答して進入者が所持する携帯機KからユーザIDを受信した場合、受信したユーザIDと記憶部63に記憶された認証ユーザIDデータとに基づいてID認証を実施する。そして、認証OKの場合、後続のステップS103を肯定して分譲地警備処理を終了する。この場合、ゲート通過者は各分譲区画地22a〜22gの所有者(つまり、住人)や分譲地11での滞在が許可された者であり、警備を行う必要がないからである。一方、応答があっても登録処理された携帯機Kでない場合や応答自体ない場合は認証NGであり、この進入者は侵入者である。この場合、ステップS103を否定して、続くステップS104に進む。
ステップS104では、侵入者情報を記憶部63の一時記憶領域に書き込む。すなわち、ゲート通過者であって認証NGの場合には、ゲートカメラ35,36から送信された当該侵入者の顔情報を書き込み、その顔情報にはゲート通過者であることが判別可能となるようにゲート通過者フラグをセットする。また、ゲート通過者でなく監視カメラ92,102より顔情報が送信された場合であれば、そのまま当該顔情報を書き込む。
続くステップS105ではその侵入者に対する警戒処理を実行する。この警戒処理の内容については、図6を用いて後に詳しく説明する。次のステップS106では侵入者が分譲地11の外に出たか否かを判別する。侵入者が分譲地11に滞在している場合、判定を否定して警戒処理を継続して実行する。一方、侵入者が分譲地11の外に出た場合には判定を肯定して次のステップS107に進む。そのステップS107では、分譲地11の外に出たと判定された侵入者の情報(顔情報やゲート通過者フラグなど)をクリアする。その後、分譲地外に出た侵入者に対する分譲地警備処理を終了する。
ところで、前記ステップS106における判別は、通過センサ33,34により人が公道Rに出たことが検知された場合に、ゲートカメラ35,36より得られるその者の顔情報が、一時記憶された侵入者情報と一致するか否かによって行う。この場合、ゲート31,32を通過して公道Rに出た人の顔情報が侵入者の顔情報と一致すれば、当該侵入者は分譲地11の外に出たものと判断する。また、分譲地11の各所に設置された各監視カメラ74,91,92,102,103のうちいずれかから得られる顔情報が、一時記憶された侵入者情報と一致するか否かによっても判別する。この場合、いずれの監視カメラ74,91,92,102,103からも侵入者の顔情報が得られない場合、当該侵入者は分譲地11の外に出たものと判断する。
次に、前述したステップS105にて実行する警戒処理について詳しく説明する。
図6に示す警戒処理において、ステップS201では侵入者が滞在する領域の警戒レベルに応じた警戒を行う。この場合、分譲地11内に設置されている各監視カメラ74,91,92,102,103から得られる顔情報をもとに、警戒処理を実行するたびに侵入者が滞在する領域とその滞在領域の警戒レベルとを判別する。そして、レベル1の私道領域Aに滞在する場合であれば前記低レベル警戒を行い、レベル2の公園領域B及びアプローチ領域Cに滞在する場合であれば前記中レベル警戒を行い、レベル3の戸別敷地領域Dに滞在する場合であれば前記高レベル警戒を行う。
続くステップS202では、侵入者がゲート通過者であるか否かを判定する。この場合、侵入者情報としてゲート通過者フラグがセットされているか否かをもとに判定を行う。そして、ゲート通過者フラグがセットされていない場合には判定を否定して警戒処理を終了する。一方、ゲート通過者フラグがセットされている場合にはゲート通過者であると判断し、判定を肯定して次のステップS203に進む。
次のステップS203では、予め各領域A〜Dに設定された警戒レベルに変更があるか否かを判定する。後述するように侵入者の行動パターンや住人による認証により警戒レベルが変更される場合がある。そこで、いったん警戒レベルに変更があった場合は判定を肯定して警戒処理を終了する。このため、以後は前記ステップS201にて、変更された警戒レベルに応じた警戒が行われることになる。一方、いまだ警戒レベルに変更がない場合は判定を否定して次のステップS204に進む。
次のステップS204では、各門扉43a〜43gに設置されたインターホン子機72a〜72dのうちいずれかが使用されたか否かを判定する。前述したようにインターホン子機72の呼出ボタン73が使用されるとその旨がコントローラ61に送信されるため、コントローラ61はその情報を用いてここでの判定を行う。いずれかのインターホン子機72が使用された場合には判定を肯定し、インターホン子機72の使用があった場合の処理を行う。その処理内容については後述する。一方、いずれのインターホン子機72a〜72gも使用されていない場合には判定を否定し、後続のステップS205にていずれかのポスト75a〜75gに投函があるか否かを判定する。いずれかのポスト75で投函がある場合(すなわち、投函検知情報が送信された場合)、ポスト投函があった場合の処理を行う。その処理内容も後述する。一方、いずれのポスト75a〜75gにも投函がない場合(すなわち、投函検知情報が送信されない場合)、判定を否定して次のステップS206に進む。
次のステップS206では、アプローチ領域Cに侵入したか否かを判定する。各分譲区画地22a〜22gのアプローチ42に設置された監視カメラ91a〜91gのうち、いずれの監視カメラ91からも侵入者の顔情報が送信されない場合、判定を否定して次のステップS207に進む。一方、いずれかの監視カメラ91から侵入者の顔情報が送信された場合、判定を肯定して後続のステップS207を経ることなく後述するステップS208に進む。
後続のステップS207では、ゲート31,32の通過から所定時間(例えば、10分程度)経過したか否かを判定する。なお、この所定時間は、分譲地11の広さに応じて適宜設定される。いまだ所定時間経過前であれば、判定を否定して警戒処理を終了する。一方、ゲート31,32の通過から、いずれのインターホン子機72の使用もポスト75への投函もなく所定時間がすでに経過している場合、判定を肯定してステップS208に進む。
次のステップS208では、いずれのインターホン子機72の使用もポスト75への投函もなく所定時間が経過した侵入者に対する関係で、最も高い警戒レベルが設定されている戸別敷地領域Dを除く他の各領域A〜Cの警戒レベルを一段アップさせる。すなわち、レベル1であった私道領域Aをレベル2に引き上げ、レベル2であった公園領域B及びアプローチ領域Cをレベル3に引き上げる。この場合、当該侵入者は分譲地11に全く用事のない不審者であると推定され、しかも勝手にアプローチ領域Cに侵入している不法侵入者であり、その者に対する警戒のレベルを上げる必要があるからである。その後、この警戒処理を終了する。このため、次に実行される警戒処理では、前記ステップS201において、当該侵入者が私道領域Aに滞在する場合なら中レベル警戒を行い、公園領域B及びアプローチ領域Cに滞在する場合なら高レベル警戒を行うことになる。
次に、いずれかのインターホン子機72の使用があった場合の処理、及びいずれかのポスト75に投函があった場合の処理、すなわち前記ステップS204又はステップS205での判定を肯定した場合の処理を説明する。
インターホン子機72の使用がありステップS204での判定を肯定した場合、ステップS209に進む。このステップS209では、使用されたインターホン子機72に対応する建物41で、住人による認証があるか否かを判定する。認証がある場合、すなわち住人によって認証ボタン85が操作された場合、判定を肯定してステップS210に進み、認証があった分譲区画地における警戒を解除する。すなわち、当該分譲区画地におけるアプローチ領域C及び戸別敷地領域Dでの警戒レベルをレベル0(ゼロ)とする。例えば、分譲区画地22aにてインターホン子機72aを使用した侵入者を建物41aの住人が認証した場合、当該分譲区画地22aにおけるアプローチ領域C及び戸別敷地領域Dでの警戒レベルをレベル0とする。認証された以上、当該分譲区画地22aでは警戒の必要がないからである。その後、この警戒処理を終了する。この警戒解除により、次に実行される警戒処理では、前記ステップ201において、侵入者が分譲区画地22aに滞在している限り警戒を行わない。
一方、住人により認証がなかった場合、ステップS209での判定を否定して後続のステップS211に進む。そして、ポスト75の投函がありステップS205での判定を肯定した場合にも、このステップS211に進む。
ステップS211では、別のインターホン子機72の使用又は別のポスト75への投函があるか否かを判定する。各のインターホン子機72が続けて使用された場合、又は別のポスト75へ続けて投函がある場合、判定を肯定してステップS212に進む。このステップS212では、インターホン子機72の使用間隔又はポスト75への投函間隔が所定時間(例えば、3分)内であるか否かを判定する。間隔が所定時間を経過している場合には判定を否定して警戒処理を終了する。一方、間隔が所定時間内であれば判定を肯定して次のステップS213に進み、私道領域Aでの警戒を解除、すなわち警戒レベルをレベル0とする。このように所定時間内に連続してインターホン子機72が使用されたり、ポスト75に投函されたりする場合、その侵入者は訪問販売員や、郵便、宅配便、新聞等の配達人であると推定されるため、往来の頻度の高い私道領域Aでは警戒の必要がないからである。その後、この警戒処理を終了する。この警戒解除により、次に実行される警戒処理では、前記ステップ201において、侵入者が私道21に滞在している限り、すべてのセンサ付表示灯71は非作動状態となる。
これに対し、別のインターホン子機72の連続使用、又は別のポスト75への連続投函がなく、一つのインターホン子機72が使用されただけ、又は一つのポスト75に投函されただけの場合、前記ステップS211の判定を否定して後続のステップS214に進む。このステップS214では、インターホン子機72が使用されてから、又はポスト75への投函がなされてから所定時間(例えば、5分程度)が経過したか否かを判定する。いまだ所定時間が経過していない場合には、判定を否定してこの警戒処理を終了する。一方、すでに所定時間が経過している場合には判定を肯定して前述したステップS208に進み、分譲地11における各領域A〜Cの警戒レベルを一段アップさせた後、警戒処理を終了する。このため、インターホン子機72の連続使用がなく、又はポスト75への連続投函がなく、所定時間が経過するまで私道21での滞在を続けた場合、その侵入者に対しては通常よりも一段アップした警戒レベルでの警戒を行う。
次に、図7乃至図10を参照しつつ、警備システム60の動作をより具体化して説明する。ここでは、例として「(1)建物41cへの訪問者(例えば、知人など)」、「(2)郵便配達人」、「(3)不法侵入者」の各行動パターン例について説明する。なお、図7は各例での行動パターンを示す敷地の概略平面図である。また、図8乃至図10は各行動パターン例での行動過程を表形式で示す説明図である。
[(1)建物41cへの訪問者]
(ア)図7での行動パターン及び図8の行動過程表に示されているように、訪問者(丸印)が公道R1から第1ゲート31を通過して私道21に入ると、その通過が第1通過センサ33により検知される。これにより、当該訪問者に対する分譲地警備処理を開始する。この場合、訪問者はゲート通過者であるため(ステップS101:肯定)、認証処理を行う(ステップS102)。携帯機Kを有していない訪問者は認証NGとなり(ステップS103:否定)、侵入者情報として第1ゲートカメラ35から得られる顔情報が記憶されるとともに、ゲート通過者フラグがセットされる(ステップS104)。
(イ)訪問者が私道21を通行中である場合、滞在領域である私道領域Aはレベル1であるため、低レベル警戒を行う(ステップS201)。具体的には、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101を作動させるとともに、そのライトの表示色として黄色灯を選択する。このため、私道通行中の訪問者を検知したセンサ付表示灯は黄色灯が点滅する。
(ウ)そして、訪問者が訪問先の建物41cが建てられている分譲区画地22cの門扉43cの前に立ち、インターホン子機72cを使用する。この場合、門扉43cに設置されたセンサ付表示灯71cでは、人感センサにより訪問者が検知され黄色灯が点滅する。
(エ)訪問者が建物41cの住人により認証を受けると(ステップS209:肯定)、分譲区画地22cでの警戒を解除する(ステップS210)。このため、訪問者が分譲区画地22cのアプローチ42や戸別敷地44に立ち入ってその存在が監視カメラ91c,92cにより検知されても、警戒は行わない。
(オ)訪問者が帰宅のため再び私道21に出ると、インターホン子機72cに設置された監視カメラ74によってそれが撮影され、私道21に滞在することが検知される。この場合、滞在領域である私道領域Aにおける低レベル警戒を再び行う(ステップS201)。
(カ)訪問者が私道21の通行を経て第1ゲート31を通過し公道R1に出ると、それが第1通過センサ33により検知される。この場合、第1ゲートカメラ35から得られる顔情報が記憶部63に記憶された侵入者情報と一致するため、訪問者は分譲地外に出たと判断する(ステップS106:肯定)。侵入者情報をクリアした(ステップS107)後、建物41cへの訪問者に対する警戒処理を終了する。
(キ)ここで、建物41cの住人により認証を受けた訪問者が、私道21に出た後に別の分譲区画地22bの戸別敷地44bに侵入した場合を想定する(図7では二点鎖線にて行動パターンが示されている)。この場合、戸別敷地44bに設置された監視カメラ92bにより、訪問者の侵入が検知される。そして、訪問者は分譲区画地22cでの警戒が解除されているだけであるため、この場合には通常通りの警戒を行う。すなわち、滞在領域である戸別敷地領域Dはレベル3であるため、高レベル警戒を行う。具体的には、侵入検知された戸別敷地44bの警報器94bで警告音を出力するとともに赤色灯を点滅させ、侵入した訪問者を威嚇する。併せて、建物41bのセキュリティ盤81bで警告音を出力するとともに赤色灯を点滅させ、住人に対して注意を喚起する。
[(2)郵便配達人]
(ア)図7での行動パターン及び図9の行動過程表に示されているように、郵便配達人(四角印)が公道R2から第2ゲート32を通過して私道21に入ると、前記(1)と同様、当該配達人に対する分譲地警備処理を開始する。そして、侵入者情報として顔情報及びゲート通過者フラグをセットする。郵便配達人が私道21を通行中の場合、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101を作動させる(低レベル警戒)。
(イ)郵便配達人は門扉43aのポスト75aに配達物を投函する。この場合、門扉43aに設置されたセンサ付表示灯71aでは、人感センサにより配達人が検知され黄色灯が点滅する。
(ウ)次いで、配達人は所定時間内に次の配達先として門扉43dのポスト75dに配達物を投函する。この場合も門扉43dのセンサ付表示灯71dでは、人感センサにより配達人が検知され黄色灯が点滅する。ただ、警戒処理において、連続投函があり(ステップS211:肯定)、前のポスト75dへの投函から所定時間内であるため(ステップS212:肯定)、私道21での警戒を解除する(ステップS213)。このため、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101は非作動状態になる。
(エ)配達人は、また所定時間内に次の配達先である門扉43fのポスト75fに配達物を投函する。この場合、前述したように私道21での警戒を行わないため、門扉43fのセンサ付表示灯71fで黄色灯の点滅は行われない。また、その後に配達人が私道21を通行する場合でも、各センサ付表示灯71a〜71g,101のセンサ検知範囲内に近寄っても黄色灯点滅は行われない。
(オ)その後、配達人が第1ゲート31を通過して公道R1に出ると、その配達人に対する警戒処理を終了する。
(カ)ここで、配達人が最初のポスト75aに投函した後、次のポスト75dへの投函をしないで私道21を徘徊している場合を想定する(図7では二点鎖線にて行動パターンが示されている)。この場合、連続投函がなく(ステップS211:否定)、前のポスト投函から所定時間を経過しているため(ステップS214:肯定)、警戒レベルを一段アップする。このため、配達人が私道21に滞在していても私道領域Aの警戒レベルはレベル2となるため、中レベル警戒を行う。具体的には、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101を作動させ、人感センサにより配達人が検知された場合にはオレンジ灯を点滅させて配達人を中程度に威嚇する。併せて、すべてのセキュリティ盤81a〜81gでオレンジ灯を点滅させて、分譲地内の住人に対して注意を喚起する。
そして、配達人がさらに分譲区画地22bのアプローチ42bへ勝手に侵入した場合には、その滞在領域であるアプローチ領域Cはレベル3となっているため、侵入検知されたアプローチ42bの警報器93bと、建物41bのセキュリティ盤81bとで高レベル警戒を行う。
[(3)不法侵入者]
この例については、ゲート31,32を通過して不法侵入する場合と、ゲート31,32を通過しないで不法侵入する場合とに分けて説明する。前者は図10(a)に、後者は図10(b)に行動過程表が示されている。
(3−1)ゲートを通過する場合
(ア)図7での行動パターン及び図10(a)の行動過程表に示されているように、不法侵入者(上三角印)が公道R1から第1ゲート31を通過して私道21に入ると、前記(1)と同様、当該侵入者に対する分譲地警備処理を開始する。そして、侵入者情報として顔情報及びゲート通過者フラグをセットする。不法侵入者が私道21を通行中の場合、すべてのセンサ付表示灯71a〜71g,101を作動させる(低レベル警戒)。
(イ)不法侵入者が勝手に分譲区画地22gのアプローチ42gに侵入すると、その滞在領域であるアプローチ領域Cはレベル2であるため、中レベル警戒を行う。具体的には、侵入検知されたアプローチ42gの警報器93gでオレンジ灯を点滅させて不法侵入者を中程度に威嚇するとともに、セキュリティ盤81gでもオレンジ灯を点滅させて住人に注意を喚起する。
(ウ)不法侵入者がさらに戸別敷地44gにまで侵入した場合には、その滞在領域である戸別敷地領域Dはレベル3であるため、侵入検知された戸別敷地44gの警報器94gと、建物41gのセキュリティ盤81gとで高レベル警戒を行う。
(エ)威嚇が功を奏して不法侵入者が第1ゲート31を通過しないで公道R1に出ると、分譲地11に設置されたいずれの監視カメラ74,91,92,102,103からも不法侵入者の顔情報が得られなくなる。このため、不法侵入者は分譲地11の外に出たと判断し(ステップS106:肯定)、侵入者情報をクリアした(ステップS107)後、当該不法侵入者に対する警備処理を終了する。
(3−2)ゲートを通過しない場合
(ア)図7での行動パターン及び図10(b)の行動過程表に示されているように、不法侵入者(下三角印)が公道R2から第2ゲート32を通過しないで分譲区画地22aの戸別敷地44aに侵入すると、当該侵入者に対する分譲地警備処理を開始する。この場合、不法侵入者はゲート通過者でないため(ステップS101:否定)認証処理を行わず、侵入者情報として戸別敷地44aの監視カメラ92aから得られる顔情報が記憶される(ステップS104)。
(イ)そして、不法侵入者が侵入して滞在する領域は戸別敷地領域Dであり、その警戒レベルはレベル3であるため、侵入検知された戸別敷地44aの警報器94aと、建物41aのセキュリティ盤81aとで高レベル警戒を行う。
(ウ)威嚇が功を奏して不法侵入者が第2ゲート32を通過しないで公道R2に出ると、分譲地11に設置されたいずれの監視カメラ74,91,92,102,103からも不法侵入者の顔情報が得られなくなる。このため、不法侵入者は分譲地11の外に出たと判断し、侵入者情報をクリアした後、当該不法侵入者に対する警備処理を終了する。
[本実施形態の効果]
以上の構成により、以下に示す有利な効果が得られる。
立ち入り許可が与えられていない者が分譲地11の各領域A〜Dのうちいずれかに侵入すると、当該侵入領域に設定されている警戒レベルに応じた警戒がその侵入者に対して行われる。このため、公道Rから私道21への入場は自由としながら、侵入者が分譲地11に滞在する限り、滞在領域の警戒レベルに応じた警戒が行われる。これにより、利便性を損なうことなく分譲地11全体の防犯性を向上させることができる。
専有地22や公園23では対応する各領域B〜Dにそれぞれ警報器93,94,104が設置されているため、侵入領域に設置された警報器93,94,104を選択して侵入者に対する威嚇を行える。これにより、前記各領域B〜Dに侵入した侵入者を確実に威嚇することができる。
専有地22は分譲地11の各住人固有の領域であり、侵入者に対する警戒の要求レベルは比較的高い。このため、住人以外の者の利用頻度が比較的高いアプローチ領域Cはレベル2に、それ以外の領域である戸別敷地領域Dは最高レベルであるレベル3に設定されている。警戒の要求レベルが最も高い領域に最高レベルの警戒レベルが設定されていることにより、警備システム60の防犯性能を高めることができる。
公園23は共用地であって固有領域ではないから、侵入者に対する警戒の要求レベルは中程度である。一方、私道21は共用地であってしかも知人等の訪問者や配達人等の往来も頻繁であるため、侵入者に対する警戒の要求レベルは他の領域に比べて最も低い。このため、公園23にはレベル2が、私道21には最も低いレベル1が設定されている。これにより、侵入者に対して不必要に威嚇効果の高い警告報知がなされることを回避できる。
分譲地11への侵入者の行動パターンが、いずれのインターホン子機もポストへの投函もなく所定時間を経過して分譲地内に滞在するなどの既定パターンであれば、各領域A〜Cに設定されている警戒レベルを引き上げて警戒が行われる。このような不審な行動パターンを示す場合、その者は不審者であると推定され、その者に対する警戒の要求レベルが高まるからである。これにより、分譲地11の防犯性を向上させることができる。
警戒が不必要な場合に警戒を行わないようにして警備システムの利便性が高められている。具体的には、認証処理(ステップS102)を実行して、認証OKであればその者に対する警戒を行わない。また、住人によって認証された場合、対応する分譲区画地(上記具体例では分譲区画地22c)でその者に対する警戒を行わない。さらに、所定時間間隔でポスト75に投函する者は郵便等の配達人であると推定されるため、その者が私道21に滞在する限りでは警戒を行わない。
[別の実施形態]
なお、以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
(1)上記実施の形態では、認証対象となるユーザIDを携帯機Kから取得しているが、それに代えて、又はそれと併用して他の認証システムを用いてもよい。例えば顔認証システムを併用した場合、住人の顔情報もユーザIDとして登録される。そして、各ゲートカメラ35,36で撮影される人の顔情報とで認証処理を実施する。
(2)上記実施の形態では、分譲地11が四つの領域A〜Dに区画されているが、少なくとも二つの領域(例えば、私道領域Aとそれ以外の領域)に区画されていればよい。また、分譲地11に設けられた各部(私道21など)とは無関係に領域が区画されるようにしてもよい。要するに、領域の区画数や広さ、形状等については、分譲地11の広さや形状、周囲の状況等の警備上問題となる事情、予算等の各種事情を考慮しながら適切な警備がなされるように決定される。
(3)上記実施の形態では、警戒レベルが三段階に設定された例を説明したが、二段階や四段階に設定されるようにしてもよい。例えば、二段階に設定された場合なら、私道領域A及び公園領域Bの警戒レベルを低く、アプローチ領域C及び戸別敷地領域Dの警戒レベルを高くすることが一例として考えられる。また、四段階に設定された場合であれば、戸別敷地領域Dの中で建物41の裏口付近を別の領域として区画し、その領域を最も警戒レベルの高いエリアとすることが一例として考えられる。
警戒レベルが時間帯ごとに変更されるようにしてもよい。例えば、深夜であれば、住人以外の者が分譲地11に滞在することは通常考えられない。このため、深夜の時間帯はすべての領域A〜Dで警戒レベルがレベル3に設定されるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、侵入者が所定の行動パターンを示した場合に警戒レベルを一段引き上げるようにしているが、不審の程度次第で数段引き上げるようにしてもよい。例えば、行動Rから分譲区画地へ侵入した者は不審の程度が高いため、その者に対しては私道領域Aの警戒レベルをレベル1から最高レベルのレベル3まで引き上げるようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態では、各領域A〜Cの警戒レベルが引き上げられる場合の例を説明したが、侵入者が他の行動パターンを示す場合にも警戒レベルを引き上げるようにしてもよい。例えば、いずれのインターホン子機72の使用がない状態で所定時間を経過した場合に警戒レベルを引き上げるようにしてもよい。このような場合も不審者であることが推定されるからである。
その他、上記実施の形態では、警戒を解除する場合についていくつかのパターンを示しているが、所定の場合には警戒レベルをレベル0としてしまうのではなく、警戒レベルを一段又は数段引き下げるようにしてもよい。例えば、特定の建物への訪問者であって住人により認証を受けた者については不審の程度が低いため、アプローチ領域Cの警戒レベルをレベル1に引き下げてもよい。
(4)上記実施の形態では、人検知手段に相当するものとして監視カメラ74,91,92,102,103が用いられているが、人感センサ等の検知センサ等を人検知手段として用いてもよい。なおこの場合でも、分譲地11に侵入した者の追跡を行うために監視カメラが分譲地11の各所に設置されることが好ましい。
(5)上記実施の形態では、侵入者に対する警戒内容として警報器93,94,104による威嚇だけでなく、例えばスプリンクラー等を利用して侵入者を威嚇することも考えられる。また、警報器93,94,104についても、警戒レベルに併せて複数の種類の警告音やライトの点灯状態を適宜変更可能な構成としてもよい。その他、監視カメラ74,91,92,102,103によって撮影された情報を外部(例えば、民間警備会社や警察機関など)に送信するようにしてもよい。
(6)上記実施の形態では、住人に対する注意喚起として、セキュリティ盤81でライト83の点滅やスピーカ84からの警告音出力が行われているが、住人が所持している携帯電話で警告表示や警告音出力がなされるようにしてもよい。これにより、外出中の住人に対しても注意を喚起させることができる。
(7)上記実施の形態では、徒歩で又は二輪車等に乗って分譲地11に人が進入することを想定していたが、自動車など顔の認識が困難な車両に乗って人が進入することもある。この場合には、車両登録ナンバーや、ETC車載器等から発信される車両識別情報を利用して認証を行うとよい。これを採用した場合、車両登録ナンバーを撮影するゲートカメラ35,36、車両識別情報を受信する無線通信部37,38が通過検知手段となる。認証NGの場合には、各インターホン子機72a〜72gの監視カメラ74a〜74gや公園ゲート51の監視カメラ102によってその車両を追跡し、当該認証NG車両から降りた人の顔情報を取得する。そして、その顔情報を侵入者情報として記憶部63に記憶するという処理を実行することが例として考えられる。
(8)上記実施形態では、共用地として私道21以外に公園23が設けられた例を示したが、駐車場などであってもよい。また、公園23や駐車場などの共用地は必須のものではなく、私道21と専有地22だけが分譲地11に設けられる場合であってもよい。
(9)上記実施の形態では、各分譲区画地22a〜22dに建てられる建物41として戸建住宅を例示し、分譲地11は住宅分譲地であるとして説明したが、集合住宅や工場など戸建住宅以外の建物が建てられる分譲地であってもよい。
11…分譲地、21…私道(共用地)、22…専有地、22a〜22g…分譲区画地、23…公園(共用地)、33,34…通過センサ(通過検知手段)、41…建物、60…警備システム、61…コントローラ(設定手段、制御手段、認証手段)、72…インターホン子機(行動検知手段)、74,91,92,102,103…監視カメラ(人検知手段)、75…ポスト、76…投函検知センサ(行動検知手段、投函検知手段)、85…認証ボタン(警戒解除操作部)、A…私道領域、B…公園領域、C…アプローチ領域、D…戸別敷地領域。