JP5181556B2 - シールド線の止水方法および止水構造 - Google Patents
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Description
例えば、特開平7−220813号公報(特許文献1)では、図5に示す止水構造が提供されている。
該止水構造では、シールド線1のコア線2の端末に接続した端子3をコネクタ4内に収容すると共に、シース5の切除位置5aもコネクタ4内に配置し、シース5の切除位置5aよりも後端側において、シース5の外周面とコネクタ4の内周面との間に防水栓6を密嵌させている。該構成とすることで、防水栓6によりコネクタ4内への浸水を防止し、該コネクタ4内に配置したシース5の切除位置5aからシールド線1内へ浸水が生じるのを防止している。
また、各仕様毎にコネクタを性能評価しなければならず、性能評価に多大な労力を要する問題もある。
さらに、シールド線1のシース5の切除位置5aをコネクタ4内に配置しているため、シース5を端末まで被覆させておかなければならず、シールド線1の端末部が柔軟性に欠けると共に細径化を図ることができず、例えばコネクタとの接続作業やシールド線の配線作業が煩雑になる問題がある。
前記シールド線の端末から所要寸法をあけた位置で前記シースを切除して前記コア線と編組線チューブを露出させて突出し、ついで、
前記露出させたコア線と前記編組線チューブとの間に、前記コア線を通す内径とした筒状治具の先端にホットメルトチューブを位置させて押し込み、編組線チューブを押し広げながらシース切除端面までホットメルトチューブを挿入し、ついで、
熱収縮チューブを少なくともホットメルトチューブが位置する前記シースの切除部分に被せると共に前記筒状治具を抜き取り、その後、
加熱によりホットメルトチューブを溶融して前記編組線チューブに内周側からホットメルトを浸透させると共に、前記熱収縮チューブを収縮させてホットメルトが浸透した編組線チューブの外周面に密着していることを特徴とするシールド線の止水方法を提供している。
特に、編組線チューブにホットメルトを浸透させることは容易ではないが、本発明では、ホットメルトチューブにより編組線チューブを内側から押し広げて、内側から溶融したホットメルトを浸透させるために、シース切除端面に連続する位置の編組線チューブにホットメルトを浸透させて止水部を設けることができる。
かつ、止水部の外周面に熱収縮チューブを密着して被覆しているため、溶融したホットメルトの流出を熱収縮チューブにより防止できる。
また、前記筒状治具によりホットメルトチューブを押し込んでシース切除端面まで押し込むため、シース切除端面から突出する編組線チューブおよびコア線を比較的長くしても、シース切除端面に止水部を容易に設けることができる。よって、編組線チューブをコア線の端末近傍まで延在させておくことができ、シールド性能の低下を防止できる。
前記シールド線の端末から所要寸法をあけた位置でシースが切除され、シース切除端面から端末まで前記シースが皮剥ぎされて前記コア線と編組線チューブが突出しており、
前記シース切除端面から端末側に向けた所要寸法の位置で且つ前記皮剥ぎされたコア線の端末から所要寸法はなれた位置で、ホットメルトが前記編組線チューブに浸透されていると共に、該編組線チューブが熱収縮チューブで被覆されていることを特徴とするシールド線の止水構造を提供している。
また、シールド線の端末から所要寸法をあけた位置でシースを切除し、切除端面に沿った部分に前記止水部を設け、該止水部を設けたシース切除端面から編組線チューブで被覆したコア線を延在させているため、コア線のシールド性能を低下させず、かつ、該延在部分の細径化および柔軟化を図ることができる。また、止水部を形成する固まったホットメルトはコア線端末から離れた位置に配置されるためコア線の端末部の柔軟性を阻害せず、端末部が部分的に肥大化することもない。これにより、コア線の端末に接続した端子のコネクタ接続作業を容易とすることができる。
さらに、シールド線の仕様やコア線端末に接続される端子の仕様毎に、前記特許文献1に記載された防水構造を備えた複雑で高価なコネクタを設ける必要がなく、低コスト化を図ることができる。
前記構成によれば、シースで被覆されたシールド線の端末から200〜300mmの範囲においてシースが皮剥ぎされていると共に、ホットメルトが端末からおよそ200〜300mm離れた位置に浸透されているため、シールド線の端末部の広い範囲でシールド線を柔軟化、細径化することができる。
前記構成によれば、編組線チューブがコア線端末まで設けられているため、シールド性能を低下させることがない。
前記構成によれば、前記ホットメルトで形成した止水部とシースの切除位置との間に隙間が生じても、該切除位置を挟んで所要範囲に熱収縮チューブを被覆しているため、該切除位置からシールド線内に浸水が生じるのを防止することができる。
前記熱収縮チューブによる被覆範囲を前記範囲としているのは、前記範囲より小さいとホットメルトにより形成した止水部を完全に被覆できなくなるおそれがあるからであり、前記範囲より大きいとシース切除位置を挟んだ広い範囲でシールド線が大径化および硬化してしまうからである。
該構成とすると、防水ゴム栓によりコア線端末の端子を収容するコネクタ内への浸水を防止することができる。
図1乃至図4に、本発明の実施形態を示す。
本実施形態のシールド線10は、自動車の被水領域に配線されるものであり、図2に示すように、複数の素線を撚り合わせた芯線11を絶縁被覆12で被覆したコア線13と、該コア線13を被覆した金属線からなる編組線チューブ14と、該編組線チューブ14を被覆した絶縁樹脂からなるシース15とを備えている。
前記コア線13は信号線として用い、該コア線13を被覆した編組線チューブ14は外部の電磁波を遮断するシールド層を構成している。
該切除位置15aより端末側のシースを皮剥ぎして、コア線13及び編組線チューブ14を突出させて露出させている。露出させたコア線13と編組線チューブ14の先端は同一位置として、シース15より露出させたコア線13の全長にわたって編組線チューブ14を被覆してシールド機能が低下しないようにしている。
前記シース切除位置15aから端末側に向けて10mm(L3)の範囲にホットメルト20’からなる止水部21を設けている。
前記熱収縮チューブ30を加熱して収縮させることにより、シース15の切除位置15aの端面から所要寸法の範囲のシース15の外周およびホットメルト20’が浸透した編組線チューブ14の外周に密着させて被覆している。
まず、シールド線10の端末から所要寸法をあけた位置でシース15を切除してコア線13と編組線チューブ14を露出させて突出させる。
次いで、図3(A)に示すように、露出させたコア線13と編組線チューブ14との端末の間にホットメルトチューブ20を差し込む。
次いで、図3(B)に示すように、コア線13を通す内径とした筒状治具50の先端をホットメルトチューブ20の後端に押し当てて、コア線13と編組線チューブ14の間に押し込んでいく。該筒状治具50の円環状の端面はホットメルトチューブ20の端面と略同形状としている。
次いで、図3(C)に示すように、筒状治具50を抜き取った後、熱収縮チューブ30を少なくともシース15の切除位置15aとホットメルトチューブ20の配置位置を覆うように被せる。
最後に、ホットメルトチューブ20の溶融温度で且つ熱収縮チューブ30の熱収縮温度に加熱する。該加熱で、ホットメルトチューブ20を溶融して、編組線チューブ14の編目に内周側から溶融したホットメルト20’を浸透させると共に、熱収縮チューブ30を収縮させてシース15の切除位置15aとホットメルト20’が浸透した編組線チューブ14の外周面に密着させる。
よって、シース15が切除されて露出した編組線チューブ14に沿う浸水をシース切除位置15aに達する前に止水でき、シールド線10の内部のコア線13とシース15との間の編組線チューブ14に沿う浸水の発生を防止できる。
また、ホットメルトチューブ20の溶融と熱収縮チューブ30の熱収縮を同時に行うことができるため、止水部を簡単に形成できる。かつ、止水部21の外周面に熱収縮チューブ30を密着させることで、外部からの浸水を防止できる。
さらに、筒状治具50によりホットメルトチューブ20を編組線チューブ14の端末から離れたシース15の切除位置15aまで容易に押し込むことができる。よって、編組線チューブ14をコア線13の端末近傍まで設けることができ、シールド性能を低下させることがない。
さらに、シールド線10の仕様やコア線13の端末に接続される端子の仕様に関係なく止水部21を設けることができ、汎用性が高く、低コスト化を図ることができる。
さらに、端末部が部分的に肥大化することもない。
13 コア線
14 編組線チューブ
15 シース
15a シースの切除位置
20 ホットメルトチューブ
20’ ホットメルト
30 熱収縮チューブ
40 防水ゴム栓
41 端子
50 筒状治具
Claims (4)
- 被覆電線からなるコア線と、該コア線を被覆した金属線からなる編組線チューブと、該編組線チューブを被覆した絶縁樹脂からなるシースを備えたシールド線の止水方法であって、
前記シールド線の端末から所要寸法をあけた位置で前記シースを切除して前記コア線と編組線チューブを露出させて突出し、ついで、
前記露出させたコア線と前記編組線チューブとの間に、前記コア線を通す内径とした筒状治具の先端にホットメルトチューブを位置させて押し込み、編組線チューブを押し広げながらシース切除端面までホットメルトチューブを挿入し、ついで、
熱収縮チューブを少なくともホットメルトチューブが位置する前記シースの切除部分に被せると共に前記筒状治具を抜き取り、その後、
加熱によりホットメルトチューブを溶融して前記編組線チューブに内周側からホットメルトを浸透させると共に、前記熱収縮チューブを収縮させてホットメルトが浸透した編組線チューブの外周面に密着していることを特徴とするシールド線の止水方法。 - 被覆電線からなるコア線と、該コア線を被覆した金属線からなる編組線チューブと、該編組線チューブを被覆した絶縁樹脂からなるシースとを備えたシールド線の止水構造であって、
前記シールド線の端末から所要寸法をあけた位置でシースが切除され、シース切除端面から端末まで前記シースが皮剥ぎされて前記コア線と編組線チューブが突出しており、
前記シース切除端面から端末側に向けた所要寸法の位置で且つ前記皮剥ぎされた前記コア線の端末から所要寸法はなれた位置で、ホットメルトが前記編組線チューブに浸透されていると共に、該編組線チューブが熱収縮チューブで被覆されていることを特徴とするシールド線の止水構造。 - 前記シース切除端面はシールド線の端末から200〜300mmの位置とし、該シース切除端面を挟んで両側へ夫々20〜30mmの範囲が前記熱収縮チューブで被覆され、かつ、該シース切除端面から端末側に向けて少なくとも10mmの範囲の前記編組線チューブに前記ホットメルトが浸透され、前記シース切除端面から端末へと突出させた前記編組線チューブとコア線の端末とは同一位置とし、これら編組線チューブとコア線の端末側に防水ゴム栓が外嵌され、前記防水ゴム栓の取付位置より端子が接続されている請求項2に記載のシールド線の止水構造。
- 請求項1に記載の方法で形成された請求項2または請求項3に記載のシールド線の止水構造。
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