JP5181122B2 - 印刷インキ用樹脂 - Google Patents
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(1)特許文献1
水なし平版印刷での耐地汚れ性、光沢性などを改善する目的で、(a)ロジン類、(b)シクロペンタジエン系石油樹脂、(c)レゾール型フェノール樹脂、(d)多価アルコールから成る原料100重量部に対して、更に(e)アルキッド樹脂および(f)オルガノポリシロキサンから選択される少なくとも1種を25重量部未満の割合で加えて成る原料を加熱反応させて得られる水なし平版印刷インキ用樹脂が開示されている。
上記オルガノポリシロキサンとしては、分子中にメトキシ基、フェニル基、シラノール基などを含有する各種液状又は固形状重合体が記載され(同文献1の第3頁の左下欄参照)、また、同文献1の実施例4と8には、上記成分(a)〜(d)にオルガノポリシロキサン(信越化学社製のKR−213;メトキシ基を含有するメチルフェニル系ポリシロキサン)を加えて反応させた印刷インキ用樹脂が記載されている(第1表参照)。
シリコーンオイルを0.1〜5重量%含有し、コーンアンドプレート型粘度計で25℃、シェアレート100/sにおける粘度が500ps以下である両面多色印刷機用平版インキが開示されている。また、同文献2の実施例では、ロジンフェノール樹脂、アルキッド樹脂、植物油などと共に、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)を配合した平版印刷インキ用樹脂が記載されている(段落14〜段落17参照)。
さらに、当該インキを使用すると、印刷適性を損なわず、どのような印刷用紙を用いても圧胴へのパイリングを減少できること、また、従来のセット時間遅延タイプのインキだけでなく、高速セットタイプのインキにも利用できるため、棒積み性や作業性が向上することが記載されている(段落25参照)。
そのうえ、水なし平版印刷を対象とする同文献1とは異なり、湿し水を使用するオフセット印刷では、樹脂中の残留シラノール基やメトキシ基が水と反応して増粘する懸念もあり、機上安定性や印刷適性に問題を引き起こす恐れも大きいことから、この湿し水を用いる通常のオフセット印刷には適さない。
一方、上記特許文献2では、シリコーンオイルを平版インキの添加剤として配合することにより、印刷皮膜の表面張力が低下し、不活性化するため、表面の粘弾性が低下し、ブロッキングを抑制できることが考えられるが、実際には、その成果はやはり不充分なものである(後述の試験例参照)。
(B)アルキル基を有するフェノール類を用いて成るレゾール型フェノール樹脂と、
(C)多価アルコールと、
(D)反応性有機基変性オルガノポリシロキサンとを
加熱反応して得られる生成物からなり、
上記反応性有機基変性オルガノポリシロキサン(D)が、カルビノール変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、末端に水酸基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン及びこれらの複合変性ポリシロキサンよりなる群から選ばれたポリシロキサンの少なくとも一種であることを特徴とする印刷インキ用樹脂である。
このことは、出版物を棒積み状態で高温多湿の環境に保管しても印刷紙面が貼り付くことが抑えられるうえ、従来の改良とは異なりインキの乾燥が同じ場合であっても、光沢の低下や印刷工程での不都合が避けられることを意味する。
すなわち、本発明の印刷インキ用樹脂を用いることで印刷物の光沢や乾燥性を保ったまま、印刷物積層時のブロッキング改善が可能となる。
本発明の印刷インキ用樹脂は、特に、湿し水を用いるオフセット印刷に好適である外、水なし平版印刷、凸版印刷、グラビア印刷などにも適する。
これに対して、本発明の特定有機基に限定した反応性の変性ポリシロキサンを加熱反応させると、保存安定性や顔料の選択性などに問題はなく、樹脂やインキ製造などでの操作の容易性を担保できるとともに、インキに光沢性を付与しながら、従来通りの中間的なセット性でも耐ブロッキング性を良好に向上できる。
上記ロジン類は、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジンの未変性ロジンを初め、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、或いはその他の化学的に修飾されたロジンを含む概念である。
上記ロジン誘導体は、酸変性ロジン類、ロジンエステル類、酸変性ロジンエステル類を初め、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性ロジンなどをいう。
上記α,β−不飽和カルボン酸類としては、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の4価アルコール、或いは、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられる。
多価アルコールとのエステル化反応、α,β−不飽和カルボン酸類とのディールス・アルダー付加反応は前述の通りである。
上記アルキル基を有するフェノール類は、直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する各種公知のフェノール類であり、具体的には、ブチルフェノール、アミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、フェニルフェノール、クミルフェノールなどが挙げられる。
上記ホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどが挙げられる。
上記アルカリ触媒としては、ナトリウム、カリウム、バリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの酸化物、水酸化物、酢酸塩の他、アンモニア、第三アミン類などが挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂(B)の添加量は得られる印刷インキ用樹脂の性能を考慮して適宜選択され、通常、成分(A)の100重量部に対して30〜150重量部である。
多価アルコールの添加量は印刷インキ用樹脂の分子量や溶解性等に関係し、通常、成分(A)の100重量部に対して5〜13重量部である。
本発明の反応性の有機基変性ポリシロキサン(D)は、カルビノール変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、末端に水酸基を有するポリエーテル変性及びこれらの複合変性ポリシロキサンよりなる群から選ばれた特定のポリシロキサンに限定される。従って、冒述の特許文献1に記載又は示唆されたシラノール変性、メトキシ変性ポリシロキサンは反応性の変性ポリシロキサンに属するが、本発明のポリシロキサン(D)からは排除される。このため、前述したように、金属や水との反応性に富むシラノール変性、メトキシ変性ポリシロキサンなどとは異なり、本発明の有機基変性ポリシロキサンにあっては、印刷インキ用樹脂の製造時、原材料や生成物の保管などでの取り扱いが容易になり、湿し水を用いるオフセット印刷に適する。
樹脂に導入する有機基を説明すると、カルビノール(アルコール)変性では、ポリシロキサン骨格の末端又は側鎖のメチル基に−ROH(Rは直鎖又は分岐アルキレンを表す;以下の変性有機基でも同様)が代替導入され、同様に、カルボキシル変性では−RCOORが、アミノ変性では−RN(H)R′NH2や−RNH2が、フェノール変性では−RBz−OH(Bzはベンゼン環を表す)が、メタクリル変性では−RO(C=O)C(CH3)=CH2が、末端に水酸基を有するポリエーテル変性では−R(C2H4O)a(C3H6O)bH(aとbは整数を表す)が夫々導入される。また、エポキシ変性では−RCH−CH2など \ /
O
が導入される。尚、前記非反応性ポリシロキサンに属する、末端に水酸基を有しないポリエーテル変性ポリシロキサンは、ポリシロキサン骨格のメチル基に−R(C2H4O)a(C3H6O)bR′が導入されたものである。
有機基変性オルガノポリシロキサン(D)の中では、カルビノール変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサンが好ましく、本発明2に示すように、カルビノール変性ポリシロキサンがより好ましい。
例えば、上記カルビノール変性ポリシロキサンは、上述の通り、ポリシロキサン骨格の両末端、片末端、及び側鎖にカルビノール基を有し、成分(A)〜(C)中のカルボキシル基或は水酸基と加熱反応させることによって、エステル結合、エーテル結合等を生成し、構造中に導入される。
本発明の有機基変性オルガノポリシロキサン(D)は単用又は併用でき、その使用量は成分(A)に対して0.05〜5.0重量%が適当であり、0.1〜2.0重量%が好ましい。使用量が0.05重量%より少ないとブロッキングを十分に抑えることが出来ず、3.0重量%を超えると撥水性が強くなり過ぎる恐れがある。
例えば、成分(A)を加熱溶融させ、180〜250℃の範囲で成分(B)を滴下し、1〜10時間反応させる。この段階で必要に応じて、硫酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸等の触媒を加えても良い。
次に、成分(C)及び成分(D)を添加し、200〜270℃の範囲で加熱反応させる。この段階で必要に応じて、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、または硫酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸等の触媒を加えても良い。
当該分子量が5千より小さいとインキの粘度が低下し、当該樹脂単独での使用は難しくなる。また、20万を越えると溶融粘度が高くなり樹脂製造でのハンドリング性が悪化する。
上記植物油は下記の脂肪酸からなる乾性油、半乾性油などである。脂肪酸はラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、大豆油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、トール油脂肪酸などである。多塩基酸はコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、これらの無水物などである。α,β−不飽和カルボン酸は(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、(メタ)アクリル酸などである。
上記顔料は、被印刷物に所望の色付けを行うため、黄色、紅色、藍色又は黒色等の顔料が適宜選択される。
上記乾性油は、例えば、アマニ油、桐油等が挙げられる。また、半乾性油である大豆油等を前記乾性油に代えて用いることもできる。
上記ドライヤーはナフテン酸マンガン溶液などである。
上記溶剤はインキ粘度の調整と印刷後のインキ乾燥性を早めるために添加され、市販の溶剤としては、例えば、0号ソルベント、0号ソルベントS、0号ソルベントH、AF4〜7号ソルベント(以上、新日本石油化学(株)製)等を挙げることができる。
尚、本発明は下記の実施例、製造例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
先ず、ゲルワニスと顔料との分散性、印刷用インキの耐ブロッキング性などを考慮して、2種類の異なるレゾール型フェノール樹脂(B)の合成例を述べる。
(1)合成例1
反応容器に、p−オクチルフェノール1500部と、92%パラホルムアルデヒド475部と、キシレン360部とを仕込み、溶解して、50℃に調整した。そこに、水酸化ナトリウムを2部添加・混合し、95℃まで加熱して4時間保持した後、50℃に冷却して、レゾール樹脂のキシレン溶液を2337部(固形分:1916部)得た。
反応容器に、p−t−ブチルフェノール400部と、p−オクチルフェノール1000部と、92%パラホルムアルデヒド491部と、キシレン360部とを仕込み、溶解して、50℃に調整した。そこに、水酸化ナトリウムを2部添加・混合し、95℃まで加熱して4時間保持した後、50℃に冷却して、レゾール樹脂のキシレン溶液を2253部(固形分:1854部)得た。
《印刷インキ用樹脂の実施例》
下記の実施例1と3はカルビノール変性ポリシロキサンを用いた例、実施例2はエポキシ変性ポリシロキサンを用いた例である。
下記の比較例1〜2は変性ポリシロキサンを用いないブランク例、比較例3は非反応性の有機基変性(末端に水酸基を有しないポリエーテル変性)ポリシロキサンを反応させた例である(但し、ポリシロキサンをロジン系樹脂などと加熱反応させる点では、冒述の特許文献1に類似する)。
反応容器に、トールロジン2200部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で溶解した後、シリコーンオイル(BY16-201/カルビノール変性ポリシロキサン;東レ・ダウコーニング(株)製)を15部添加して攪拌した。
次いで、上記合成例1のレゾール樹脂2337部(固形分1916部)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、220℃に昇温し、ペンタエリスリトール225部と酸価マグネシウム1部とを添加した。
その後、250〜260℃に昇温し、酸価が25以下になるまで反応して、印刷インキ用樹脂を得た。
反応容器に、トールロジン2200部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で溶解した後、シリコーンオイル(SF8411/エポキシ変性ポリシロキサン;東レ・ダウコーニング(株)製)を15部添加して攪拌した。
次いで、上記合成例1のレゾール樹脂2337部(固形分1916部)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、220℃に昇温し、ペンタエリスリトールを225部と酸価マグネシウム1部とを添加した。
その後、250〜260℃に昇温し、酸価が25以下になるまで反応して、印刷インキ用樹脂を得た。
反応容器に、トールロジン2200部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で溶解した後、シリコーンオイル(SF8427/カルビノール変性ポリシロキサン;東レ・ダウコーニング(株)製)を15部添加して攪拌した。
次いで、上記合成例1のレゾール樹脂2337部(固形分1916部)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、220℃に昇温し、ペンタエリスリトール225部と酸価マグネシウム1部とを添加した。
その後、250〜260℃に昇温し、酸価が25以下になるまで反応して、印刷インキ用樹脂を得た。
反応容器に、トールロジン2200部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で溶解した後、上記合成例1のレゾール樹脂2337部(固形分1916部)を3時間かけて滴下した。 滴下終了後、220℃に昇温し、ペンタエリスリトール225部と酸価マグネシウム1部とを添加した。
その後、250〜260℃に昇温し、酸価が25以下になるまで反応して、印刷インキ用樹脂を得た。
反応容器に、トールロジン2200部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で溶解した後、上記合成例2のレゾール樹脂2253部(固形分1854部)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、220℃に昇温し、ペンタエリスリトール225部と酸価マグネシウム1部とを添加した。
その後、250〜260℃に昇温し、酸価が25以下になるまで反応して、印刷インキ用樹脂を得た。
反応容器に、トールロジン2200部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で溶解した後、シリコーンオイル(SH8400/ポリエーテル変性ポリシロキサン(非反応性ポリシロキサン);東レ・ダウコーニング(株)製)を15部添加・攪拌した。
次いで、上記合成例1のレゾール樹脂2337部(固形分1916部)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、220℃に昇温し、ペンタエリスリトール225部と酸価マグネシウム1部とを添加した。
その後、250〜260℃に昇温し、酸価が25以下になるまで反応して、印刷インキ用樹脂を得た。
そこで、上記実施例1〜3及び比較例1〜3の各印刷インキ用樹脂について、軟化点及び酸価を初め、インキ用樹脂として重要な特性である粘度(アマニ油粘度)、溶剤への溶解性(対ヘキサン)、重量平均分子量を下記の方法で測定した。
アマニ油とインキ用樹脂を、アマニ油:樹脂=2:1の重量比で配合し、加熱溶解させたものを、ガードナー気泡型粘度計により測定した。
アマニ油とインキ用樹脂を、アマニ油:樹脂=2:1の重量比で配合し、加熱溶解させた試料5gにヘキサンを加えていき、白濁しない最小量のヘキサン添加量を測定した。
GPCによるポリスチレン換算の分子量を測定した。
同図1において、対ヘキサン溶解性に着目すると、合成例1のレゾール型フェノール樹脂を反応させた実施例1〜3、比較例1並びに比較例3の溶解性は良好であったが、合成例2を反応させた比較例2の溶解性は実施例1〜3や比較例1などに比して低い水準であった。
尚、本発明のカルビノール変性ポリシロキサンを、比較例1〜2(変性ポリシロキサンを使用しないブランク例)で得られた印刷インキ用樹脂と配合したゲルワニスを比較例4〜5とした。当該比較例4〜5は冒述の特許文献2に準拠した例である。
(1)実施例1〜3、比較例1〜3を用いた各ゲルワニスの例
実施例1〜3及び比較例1〜3の各印刷インキ用樹脂を細かく砕き、この粉砕された樹脂40部、アマニ油30部、AF6号溶剤30部を反応容器に入れて、窒素ガスを吹き込みながら昇温し、200℃で攪拌しながら30分保温して、ワニスを得た。
一方、ALCH(川研ファインケミカルス(株)製)1.2部をAF6号溶剤1.2部で希釈してゲル化剤を調製するとともに、上記ワニスを100℃に冷却し、当該ゲル化剤を添加した。さらに、再度200℃に昇温し、1時間保温してインキ用ゲルワニスを得た。
前記比較例1で得られた印刷インキ用樹脂を細かく砕き、この粉砕された樹脂40部、アマニ油30部、AF6号溶剤30部、シリコーンオイル(BY16-201/カルビノール変性ポリシロキサン;東レ・ダウコーニング(株)製)0.3部を反応容器に入れて、窒素ガスを吹き込みながら昇温し、200℃で攪拌しながら30分保温して、ワニスを得た。
一方、ALCH(川研ファインケミカルス(株)製)1.2部をAF6号溶剤1.2部で希釈してゲル化剤を調製するとともに、上記ワニスを100℃に冷却し、当該ゲル化剤を添加した。さらに、再度200℃に昇温し、1時間保温してインキ用ゲルワニスを得た。
前記比較例2で得られた印刷インキ用樹脂を細かく砕き、この粉砕された樹脂40部、アマニ油30部、AF6号溶剤30部、シリコーンオイル(BY16-201/カルビノール変性ポリシロキサン;東レ・ダウコーニング(株)製)0.3部を反応容器に入れて、窒素ガスを吹き込みながら昇温し、200℃で攪拌しながら30分保温して、ワニスを得た。
一方、ALCH(川研ファインケミカルス(株)製)1.2部をAF6号溶剤1.2部で希釈してゲル化剤を調製するとともに、上記ワニスを100℃に冷却し、当該ゲル化剤を添加した。さらに、再度200℃に昇温し、1時間保温してインキ用ゲルワニスを得た。
上記実施例1〜3及び比較例1〜5に対応する各印刷用インキについて、耐ブロッキング性を含む各種の特性評価試験を行った。評価方法は下記の通りである。
インコメーター(東洋精機(株)製)を使用した。インキ量1.3cc、室温25℃、ローラー温度30℃、回転数400rpmの条件で1分後の数値を測定した。
スプレッドメーターによるインキの広がり(直径:mm)を測定した。
インキ0.4ccをRIテスター((株)明製作所製)全面ロールで、アート紙に展色した後、24時間経過した時点で、光沢値を60゜−60゜光沢計で測定した。
インキ0.8ccをRIテスター((株)明製作所製)全面ロールで、アート紙に展色した後、経時で加圧してインキのセット性を確認した。
セットが速いインキを10とし、遅いインキを1としたが、本試験では、5前後が好ましい数値である。
インキ0.4ccをRIテスター((株)明製作所製)全面ロールでアート紙に3回重ねて展色した後、24時間経過した時点で、温度40℃、湿度60%の条件下で印刷面を加圧し、10時間放置してインキの貼り付き度合を確認した。
この評価は、STDを比較例1の印刷インキとしたときの相対評価で行い、インキの剥がれが少ないものを10とし、インキが剥がれるものを1とした。
上述のように、本試験にあっては、5前後のセット性を中心に耐ブロッキング性を評価した。即ち、合成例1のレゾール型フェノール樹脂を使用した比較例1ではセットは5を示し、この中間のセット性に見合って耐ブロッキング性は低かった(但し、光沢性は良好であった)。非反応性ポリシロキサンを加熱反応させた比較例3(合成例1を使用)も同様にやや遅いセット性に見合って耐ブロッキング性は低かった。
これに対して、比較例1や比較例3と同じレゾール型フェノール樹脂(合成例1)を使用した実施例1〜3では、5前後の中間のセット性にも拘わらず、耐ブロッキング性は大きく改善されていた。また、光沢性も問題なかった。
このように、非反応性の有機基変性ポリシロキサンを加熱反応させた比較例3は、変性ポリシロキサンを使用しないブランク例(比較例1)と同様に耐ブロッキング性が劣ることから、この比較例3を実施例1〜3に対比すると、耐ブロッキング性を改善する点で反応性の変性ポリシロキサンを加熱反応させることの優位性は明らかである。
但し、変性ポリシロキサンを配合しただけの比較例4にあっても、変性ポリシロキサンを使用しないブランク例(比較例1)に比して、耐ブロッキング性は少し改善した。
従って、この合成例2を使用して加熱反応させた印刷インキ用樹脂に変性ポリシロキサンを単に配合しただけの比較例5は、同じく配合方式の前記比較例4に比してセットが速く、耐ブロッキング性は良くなるが、やはり光沢性が悪かった。
Claims (4)
- (A)ロジン系樹脂と、
(B)アルキル基を有するフェノール類を用いて成るレゾール型フェノール樹脂と、
(C)多価アルコールと、
(D)反応性有機基変性オルガノポリシロキサンとを
加熱反応して得られる生成物からなり、
上記反応性有機基変性オルガノポリシロキサン(D)が、カルビノール変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、末端に水酸基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン及びこれらの複合変性ポリシロキサンよりなる群から選ばれたポリシロキサンの少なくとも一種であることを特徴とする印刷インキ用樹脂。 - 反応性有機基変性オルガノポリシロキサン(D)がカルビノール変性ポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の印刷インキ用樹脂。
- 成分(A)に対して成分(D)を0.05〜3.0重量%の割合で反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷インキ用樹脂。
- 反応生成物の重量平均分子量が5千〜20万であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷インキ用樹脂。
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