JP5180767B2 - 基板保護ケース、及び遊技機 - Google Patents
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Description
ROMの不正な取り換えは、工場から出荷された遊技機が遊技場に設置される以前の段階、或いは設置後に行われる可能性が高い。
このような不正行為に対する対策として特許文献1には、制御基板上のROMを包囲するケース体とカバー体とを分離不能な結合手段によって結合することにより、結合手段を破壊した場合にはその痕跡が必ず残るようにした技術が提案されている。
しかし、不正行為者の手口が更に巧妙化することにより、結合手段を破壊してROMを交換した後で、形跡が残らないように新たな結合手段を組み付ける可能性がある。
特許文献2にも不正防止のための装置構成が開示されているが、特許文献1の場合と同様の欠点を有している。
即ち、特許文献3には、識別情報を記憶したRFID(非接触型記憶媒体)を組み込んだ封印シールを基板保護ケースを構成するケース本体とケース蓋とに跨って接着することにより、基板保護ケースが不正に開放された場合にRFIDが破断、断線して識別情報の読取りが不可能となるようにした技術が開示されている。これによれば、読み取り装置を用いてRFIDに記憶された識別情報を読取ることができない場合に、不正に基板保護ケースが開放されたことを知ることができる。
特許文献4、5にも、ICタグやテープ型のインレットを用いた同様の不正発見のための技術が開示されている。
封印シール110は一面に接着層を有した紙等の破断し易い材質から成る接着シート111と、接着シートに固定されたRFID(例えば、ICタグ)112と、を備えている。RFID112は、電力生成回路、変復調回路、記憶回路、制御回路を含むチップ113と、チップから反対方向に延びる二本の導体パターン114と、各導体パターン114の先端に接続されたアンテナ部115と、を有している。図示しない読み取り装置からRFID112に向けて読み取り用の電磁波を照射すると、チップ内の電力生成回路が電磁誘導作用により起電力を生成し、この起電力により作動する制御回路によって記憶回路内に記憶された識別情報を読み出してアンテナから読み取り装置へ送信することにより識別情報を読取ることができる。
RFID112を構成する導体パターン114は接着シート111の対角線方向へ延びており、導体パターン114が突き合わせ部103と交差するように封印シールを接着しておくことにより、基板保護ケースが不正に開放された場合に導体パターンの一部が断線して記憶情報の読み出しを不可能とすることができる。
特に、直線的に延びる突き合わせ部103に沿ってカッタによって封印シール110を切断する過程で導体パターンを一箇所切断した場合には、後の修復作業によって導体パターンを再導通させることが比較的容易となる。
従来からケース本体101とケース蓋102を強固に締結する手段としてカシメピン131を用いた締結部130が採用されている。ケース本体101とケース蓋102には円筒状のカシメピン支持部132、133が夫々固定されており、両カシメピン支持部132、133を(b)のように連通させた状態でカシメピン131を一方のカシメピン支持部133の開口側から内部に圧入して圧着固定することによりケース本体101とケース蓋102とを連結することが可能となる。この締結部130は、図示のように複数箇所(この例では二箇所)設けられているが、基板保護ケースを閉じる際には一つの締結部130のみが使用される。遊技場に設置された遊技機の制御基板に違法な改変が行われているか否かを検査するために基板保護ケースを開放する場合には、各カシメピン支持部132、133をケース側に連結しているリブ132a、133aをペンチ等の治具により切断することによりカシメピンを除去した上で開放する作業が行われる。検査を終了した後に基板保護ケースを再び閉じる場合には未使用状態にある他の締結部130を利用した締結が行われる。
不正行為者が基板保護ケースを開放する場合には、カシメピンにより締結されている締結部130を破損する必要があるが、締結部が破損された形跡を確認しただけでは、これが違法行為によるものか、或いは定期検査等のために適法に開放された形跡であるかを判別することはできなかった。
また、カシメピンを用いた締結部に開放された形跡があることを確認しただけでは、それが不正行為によるものか、或いは適法な検査のための作業によるものかを知ることはできなかった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、RFIDを組み込んだ封印シールによって封印された基板保護ケースが不正に開放されたことによって封印シールに含まれるRFIDが破断、断線した場合に、封印シールを修復しようとしてもRFIDの通信機能の回復を困難化することができる基板保護ケース、及びこの基板保護ケースを用いた遊技機を提供することを目的としている。
また、封印シールとカシメピンによる締結構造を併用することによって、RFIDを確実に破損しない限りは締結部を破壊して基板保護ケースを開放することができない構造を提供することを目的としている。
基板保護ケースを不正に開放するために、基板保護ケースを構成する各ケース片間を連結固定するためのカシメピンを切除、破壊しようとした場合に、必ずケース片の端縁同志の突き合わせ部に接着された封印シール上のRFIDを著しく破損せねばならないように構成したので、目視によって封印シールの破損の有無を知ることができるばかりでなく、読み取り装置からRFIDに対して読み取り用の電磁波を照射した際のRFIDからの応答信号がないことによっても封印シールが破損されていることを的確に知ることができる。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記各ケース片に跨って接着されることにより前記突き合わせ部を封印する接着シートと、該接着シート面に固定されたICチップ、及び該ICチップから延びる導体パターンを含んだRFIDと、を有した封印シールを備え、前記連通穴を閉止すると共に、前記RFIDの一部が前記連通穴の開口内に位置するように前記封印シールを接着したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の基板保護ケースを備えたことを特徴とする。
特に、RFIDを組み込んだ封印シールによって封印された基板保護ケースを、カシメピンを切除することにより不正に開放した場合には、連通穴に挿通された治具により封印シールに含まれるRFIDが完全に破断、断線するように構成したので、封印シールを修復することによりRFIDの通信機能を回復させることが困難となる。
図1は本発明の基板保護ケースの外観構成を示す斜視図(透視図)であり、図2はその分解斜視図であり、図3は上ケースを下ケースからスライドさせる手順を示した図であり、図4はカシメピンを用いて両ケース片を組み付ける手順、図5(a)(b)は封印端部に封印シールを接着する手順を示す説明図である。
基板保護ケース1は、ROMを始めとした電子部品を搭載した制御基板(プリント基板)Bを内部に収容した状態でパチンコ遊技機等の遊技機の背面側に組み付けられる。
基板保護ケース1は、ROMを搭載した制御基板(プリント基板)Bを間に挟んだ状態で内部に収容する透明な樹脂製の2つのケース片(下ケース片2、上ケース片10)から構成されている。2つのケース片2、10は、制御基板の両面と夫々対向した状態で組み付けられており、矢印で示した制御基板面と平行な方向へスライドすることにより開閉するように構成されている。
なお、符号70は遊技機の背面側に設けた遊技機側保持部に対して基板保護ケース1を取り付けるための連結部材であり、この連結部材70に設けたフック部71を遊技機側保持部に設けた軸部75に係合させることにより、基板保護ケース1は軸部75を中心として上下方向へ回動自在に軸支することができる。基板保護ケース1の下ケース片2がこの連結部材70により保持されるため、基板保護ケース1は遊技機側の軸部75を中心として上下方向へ回動することができる。
この例では、連結部材70に固定された下ケース片2の内部凹所内に制御基板Bを配置した状態で、上ケース片10に設けた係合突起10aを下ケース片2に設けたスライド係止部2aに嵌合させることにより上ケース片10を下ケース片2上に被せてから、上ケース片10を図3中に矢印で示した閉止方向へスライドさせることにより両ケース片を閉止状態で結合させることができる(図1の状態)。逆に、図1の閉止状態にある基板保護ケース1を開放状態に移行させる場合には、上ケース片10に設けた係合突起を下ケース片2に設けたスライド係止部2aに沿って図3の矢印で示した開放方向へスライドさせてから切欠き2aから係合突起10aを離脱させればよい。
基板保護ケース1が図1のように閉止状態にある時に、両封印片3、11に跨るように封印シール30を接着することにより、封印シール30を破損せずには突き合わせ部21を開放できないように構成されている。
封印シール30は一面に接着層を有した紙等の破断し易い材質から成る接着シート31と、接着シート31の一面に固定されたRFID(例えば、ICタグ等の非接触型の電波による識別手段)35と、を備えている。RFID35は、電力生成回路、変復調回路、記憶回路、制御回路を含むチップ36と、チップ36から反対方向に延びる二本の導体パターン37と、各導体パターン37の先端に夫々接続されたアンテナ部38と、を有している。本例の封印シール30は矩形の接着シート31の略中心部にチップ36を配置すると共に、チップ36から略対角線方向へ向けて各導体パターン37を引き出している。
図示しない読み取り装置からRFID35に向けて読み取り用の電磁波を照射すると、アンテナ部38が電磁波を受信し、導体パターン37を介してチップ36に電磁波を供給する。この電磁波によりチップ36内の電力生成回路が電磁誘導作用による起電力を生成し、この起電力により作動する制御回路によって記憶回路内に記憶された識別情報を読み出してアンテナ部から読み取り装置へ送信することにより識別情報の読取りが行われる。
即ち、基板保護ケース1を開放するために固定側の下ケース片2に対して可動側の上ケース片10を図3中に矢印で示した開放方向へスライドさせた際に、突き合わせ部21が開放(スライド方向に位置ずれ)することにより接着シート31と共にRFID35の一部(チップ部36や導体パターン37)が破断(断線)して、RFIDの通信機能が喪失されるように構成されている。RFIDの通信機能が喪失されると、読み取り装置から電磁波を供給してもRFIDが作動せず、記憶された識別情報を読み出すことができなくなるため、基板保護ケースが不正に開放されたことを知ることができる。
しかし、実際には基板保護ケース1を不正に開放した際に二本の導体パターン37のうちの一方のみが断線されたに過ぎない場合には、両ケース片2、10を閉止状態に戻して破断した封印シール30を修復することにより断線部が再接続により復旧して導通(読み取り装置との通信)を回復することが可能となることが判明した。
このように構成した結果、不正行為者が基板保護ケースを開放するためにはカシメピン支持部45を破壊してカシメピン60を除去する必要がある。その際、ドライバー等の棒状の治具を用いて封印シールを破壊しつつ連通穴55内に差込み、カシメピン支持部45に打撃を加える必要があるため、その作業過程で封印シール上のRFID35が完全に破壊されてその通信機能が失われる。
即ち、図2、図4、図5等に示すように、カシメピン支持部45は、樹脂製の下ケース片2側の封印片3の内壁に突設した樹脂製の中空円筒状の第1支持部材46と、樹脂製の上ケース片10側の封印端部11の内壁に突設した樹脂製の中空円筒状の第2支持部材47と、から構成されており、各支持部材46、47は各封印片3、11との間をリブ46a、47aによって連結されている。第2支持部材47の外側開口はカシメピン穴40と連通している。各支持部材46、47の内壁はカシメピン60の棒状部を圧入したときにこれと圧着状態となるように、カシメピンの棒状部よりも若干径が小さく設定されている。また、カシメピンをカシメピン穴40から圧入して両支持部材46、47を圧着連結した状態にあるときには、連通穴55から治具を差し入れて支持部材46、47に打撃を加えることによりリブ46a、47aを破壊しない限り、カシメピン60を除去することはできない。
カシメピン60により連結され、且つ封印シールにより封印されたケース片2、10を開封、開放する場合には、まず図6(a)(b)に示すようにドライバー、その他の棒状の治具65を先端から連通穴55内に差し込むことにより封印シールを破損しつつ、カシメピン支持部45を破損する必要がある。
図7(a)は破壊されていないカシメピン支持部45の状態を示しているが、図7(b)(c)のように治具65が連通穴55から差し込まれて打撃を加えることにより、カシメピン支持部45は破壊され、カシメピン60による両ケース片の連結状態が解除される。なお、基板保護ケース1の他の部位に同様な構成のカシメピンによる連結部がある場合にはその連結部も破壊して連結を解除する必要がある。
このようにカシメピン60が圧入されたカシメピン支持部45を破壊するために連通穴55内に治具65を差し込むと、連通穴55の開口内に相当する封印シールが必ず破壊されるので、その部位に位置するRFID35が回復不能な程度に著しい破壊状態となる。
従って、外観からも封印シール30が破壊されていることが判別可能となるばかりでなく、読取り装置によってRFIDにメモリされた識別番号を読み取ろうとした場合にも読取が不能となる。このため、不正な開封、ケースの開放が行われたことを知ることができる。
特に、RFIDを組み込んだ封印シールによって封印された基板保護ケースを、カシメピンを切除することにより不正に開放した場合には、連通穴に挿通された治具により封印シールに含まれるRFIDが完全に破断、断線するように構成したので、封印シールを修復することによりRFIDの通信機能を回復させることが困難となる。
本発明に係る基板保護ケース1は、パチンコ遊技機、スロットマシン等の遊技機に装備される制御基板を収容する手段として利用可能である。
Claims (4)
- 電子部品を搭載した制御基板を内部に収容し、且つ制御基板面と平行な方向へスライドすることにより開閉可能に構成された少なくとも2つのケース片から成る基板保護ケースであって、
前記各ケース片の閉止時には前記各封印端部の先端縁同志が近接して突き合わせ部を構成し、
何れか一方の前記ケース片の前記制御基板面と略平行なケース片面にはカシメピンを挿通するカシメピン穴が形成されており、該カシメピン穴内には、前記カシメピンを挿通することによって両ケース片を連結するための中空筒状のカシメピン支持部が配置されており、
前記封印端部の先端面には前記カシメピン支持部の外面と連通する連通穴が形成されていることを特徴とする基板保護ケース。 - 前記カシメピン支持部は、前記各ケース片から延びるリブによって夫々支持された支持部材から構成されており、前記連通穴から挿入された治具による打撃によって前記カシメピンにより連結された各支持部材の連結を解除可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板保護ケース。
- 前記各ケース片に跨って接着されることにより前記突き合わせ部を封印する接着シートと、該接着シート面に固定されたICチップ、及び該ICチップから延びる導体パターンを含んだRFIDと、を有した封印シールを備え、
前記連通穴を閉止すると共に、前記RFIDの一部が前記連通穴の開口内に位置するように前記封印シールを接着したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の基板保護ケース。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載の基板保護ケースを備えたことを特徴とする遊技機。
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