JP5275738B2 - 基板保護ケース - Google Patents
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Description
ROMの不正な取り換えは、工場から出荷された遊技機が遊技場に設置される以前の段階、或いは設置後に行われる可能性が高い。
このような不正行為に対する対策として特許文献1には、制御基板上のROMを包囲するケース体とカバー体とを分離不能な結合手段によって結合することにより、結合手段を破壊した場合にはその痕跡が必ず残るようにした技術が提案されている。
しかし、不正行為者の手口が更に巧妙化することにより、結合手段を破壊してROMを交換した後で、形跡が残らないように新たな結合手段を組み付ける可能性がある。
このような不具合に対処すべく、封印シールを用いて基板保護ケースを封印することが行われているが、カッタを用いて封印シールを切断してから基板保護ケースを開放し、ROMを交換して基板保護ケースを閉止してから封印シールの切断面を修復すると、目視によって切断箇所の有無を判別できなくなるケースが多々あった。そのような不具合に対処するため、RFIDを組み込んだ封印シールが用いられるようになっている。
即ち、特許文献3には、識別情報を記憶したRFID(非接触型記憶媒体)を組み込んだ封印シールを基板保護ケースを構成するケース本体とケース蓋とに跨って接着することにより、基板保護ケースが不正に開放された場合にRFIDが破断、断線して識別情報の読取りが不可能となるようにした技術が開示されている。これによれば、読み取り装置を用いてRFIDに記憶された識別情報を読取ることができない場合に、不正に基板保護ケースが開放されたことを知ることができる。
特許文献4、5にも、ICタグやテープ型のインレットを用いた同様の不正発見のための技術が開示されている。
封印シール110は一面に接着層を有した紙等の破断し易い材質から成る接着シート111と、接着シートに固定されたRFID(例えば、ICタグ)112と、を備えている。RFID112は、電力生成回路、変復調回路、記憶回路、制御回路を含むチップ113と、チップから反対方向に延びる二本の導体パターン114と、各導体パターン114の先端に接続されたアンテナ部115と、を有している。図示しない読み取り装置からRFID112に向けて読み取り用の電磁波を照射すると、チップ内の電力生成回路が電磁誘導作用により起電力を生成し、この起電力により作動する制御回路によって記憶回路内に記憶された識別情報を読み出してアンテナから読み取り装置へ送信することにより識別情報を読取ることができる。
RFID112を構成する導体パターン114は接着シート111の対角線方向へ延びており、導体パターン114が突き合わせ部103と交差するように封印シールを接着しておくことにより、基板保護ケースが不正に開放された場合に導体パターンの一部が断線して記憶情報の読み出しを不可能とすることができる。
特に、直線的に延びる突き合わせ部103に沿ってカッタによって封印シール110を切断する過程で導体パターンを一箇所切断した場合には、後の修復作業によって導体パターンを再導通させることが比較的容易となる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、RFIDを組み込んだ封印シールによって封印された基板保護ケースが不正に開放されたことによって封印シールに含まれるRFIDが破断、断線した場合に、封印シールを修復しようとしてもRFIDの通信機能の回復を困難化することができる基板保護ケースを提供することを目的としている。
基板保護ケースを不正に開放した場合には、ガイド穴内に位置する突起の先端部が封印シールを破断させるようにしたので、ケース片の端縁同士の突き合わせ部に接着された封印シール、及び封印シール上のRFIDが著しく破損されることとなり、目視によって封印シールの破損の有無を知ることができるばかりでなく、読み取り装置からRFIDに対して読み取り用の電磁波を照射した際のRFIDからの応答信号がないことによっても封印シールが破損されていることを的確に知ることができる。
特に、外観上見やすい封印シールの特定部位に開放した形跡を明確に残すように構成したので、読み取り装置を使用せずに外観から不正行為の形跡を確認することが可能となる。
また、ガイド穴内に露出した突起の先端面に封印シールが接着されるように構成したので、ケース開放時に突起が移動することによって封印シールを著しく損傷させることが可能となり、封印シールを修復することによりRFIDの通信機能を回復させることが困難となる。
図1は本発明の基板保護ケースの外観構成を示す斜視図(透視図)であり、図2はその分解斜視図であり、図3(a)及び(b)は上ケースを下ケースに組み付ける手順を示した斜視図であり、図4(a)及び(b)は封印端部に封印シールを接着した状態において基板保護ケースを開放する手順を示す説明図であり、図5(a)(b)及び(c)は上ケースを開放方向へスライドさせる過程を示す断面図である。
基板保護ケース1は、ROMを始めとした電子部品を搭載した制御基板(プリント基板)Bを内部に収容した状態でパチンコ遊技機等の遊技機の背面側に組み付けられる。
基板保護ケース1は、ROMを搭載した制御基板(プリント基板)Bを間に挟んだ状態で内部に収容する透明な樹脂製の2つのケース片(下ケース片2、上ケース片10)から構成されている。2つのケース片2、10は、制御基板の両面と夫々対向した状態で組み付けられており、矢印で示した制御基板面と平行な方向へスライドすることにより開閉するように構成されている。
なお、符号70は遊技機の背面側に設けた遊技機側保持部に対して基板保護ケース1を取り付けるための連結部材であり、この連結部材70に設けたフック部71を遊技機側保持部に設けた軸部75に係合させることにより、基板保護ケース1は軸部75を中心として上下方向へ回動自在に軸支することができる。基板保護ケース1の下ケース片2がこの連結部材70により保持されるため、基板保護ケース1は遊技機側の軸部75を中心として上下方向へ回動することができる。
この例では、連結部材70に固定された下ケース片2の内部凹所内に制御基板Bを配置した状態で、上ケース片10に設けた係合突起10aを下ケース片2に設けたスライド係止部2aに嵌合させることにより上ケース片10を下ケース片2上に被せてから、上ケース片10を図3中に矢印で示した閉止方向へスライドさせることにより両ケース片を閉止状態で結合させることができる(図1の状態)。逆に、図1の閉止状態にある基板保護ケース1を開放状態に移行させる場合には、上ケース片10に設けた係合突起を下ケース片2に設けたスライド係止部2aに沿って図3の矢印で示した開放方向へスライドさせてから切欠き2aから係合突起10aを離脱させればよい。
下ケース片2と上ケース片10の各一端部には封印片3、11が突設されており、両封印片3、11を突き合わせることにより封印端部20が形成される。また、両封印片の端縁3a、11a同士を突き合わせた界面には、突き合わせ部21が形成される。
封印シール30は一面に接着層を有した紙等の破断し易い材質から成る接着シート31と、接着シート31の一面に固定されたRFID(例えば、ICタグ等の非接触型の電波による識別手段)35と、を備えている。RFID35は、電力生成回路、変復調回路、記憶回路、制御回路を含むチップ36と、チップ36から反対方向に延びる二本の導体パターン37と、各導体パターン37の先端に夫々接続されたアンテナ部38と、を有している。本例の封印シール30は矩形の接着シート31の略中心部にチップ36を配置すると共に、チップ36から略対角線方向へ向けて各導体パターン37を引き出している。
RFIDを構成する線状の導体パターン37は接着シート31の略対角線方向へ延びており、導体パターン37が突き合わせ部21と交差するように封印シール30を接着しておくことにより、基板保護ケースが不正に開放された場合に導体パターンの一部が断線して記憶情報の読み出しを不可能とすることができる。
即ち、基板保護ケース1を開放するために固定側の下ケース片2に対して可動側の上ケース片10を図3中に矢印で示した開放方向(制御基板面と平行な方向)へスライドさせた際に、突き合わせ部21が開放(スライド方向に位置ずれ)することにより接着シート31と共にRFID35の一部(チップ部36や導体パターン37)が破断(断線)して、RFIDの通信機能が喪失されるように構成されている。RFIDの通信機能が喪失されると、読み取り装置から電磁波を供給してもRFIDが作動せず、記憶された識別情報を読み出すことができなくなるため、基板保護ケースが不正に開放されたことを知ることができる。
このような不具合に対処するために、本発明では、何れか一方のケース片、本例では上ケース片10の封印片11の制御基板面と略平行なケース片面11Aに、スライド方向へ延びるガイド穴40を形成し、他方のケース片2の封印片3の内壁からガイド穴40内へ突出する突起45を設けて両ケース片が相対的に逆方向へスライドする際に突起45の先端部45aがガイド穴40内を相対的に移動するように構成した。
即ち、突起45の先端部45aの厚みはガイド穴40のスライド方向長よりも短尺であるために、上ケース片10が開放方向へ移動することにより突起の先端部45aはガイド穴40内を相対的に移動することができる。両ケース片が閉止位置にあるときに両封印片3、11の各表面に跨って封印シール30を接着すると、ガイド穴40の少なくとも一部が封印シールにより閉止され、且つガイド穴内の突起先端部45aが封印シールのシール面と接着された状態となる。
不正行為者が基板保護ケースを開放する行為を行った結果、一旦、ガイド穴40に相当する封印シール部分に破断部が形成されると、基板保護ケースを閉止した後で破断部を修復しようとしても現状に完全に復することは極めて難しく、外観から一目瞭然となる。特に、突起先端部45aの面積は狭くてもガイド穴40内に沿って突起45が移動することにより、破断される封印シールの面積が拡大するため、修復により破断の形跡をなくすることは極めて困難となる。
特に、基板保護ケースを開放してROMを交換する等の不正行為が遊技場の営業中に行われる場合には、基板保護ケースを開放してからROMを交換し、その後基板保護ケースを閉止して封印シールを補修するのに要する時間は僅かしかないため、完全な修復は極めて困難である。
突き合わせ部21が位置ずれすることにより、当然位置合わせ部に沿って封印シール30が破断されるため、更に封印シールの修復は困難となる。
なお、突起先端部45aと封印シールの接着層との接着状態を高めて開封時における破断を確実にするために、突起先端部45aの面積を図示したものよりも大きくしてもよい。
突起先端部45aはケース片面11Aの外面と面一状態となるように突出長を設定してもよいし、ケース片面11Aの外面から僅かに突出させたり、僅かに引っ込めるようにしてもよい。
突起45は上ケース片をスライドさせる際に折損することがないように下ケース片の内壁に強固に固定させることが好ましいが、これとは逆に突起45を上ケース片のスライドによって折れやすく構成しておくことにより、突起45が折損している場合に不正な開放が行われたことを判別できるようにしてもよい。
なお、下ケース片2側にガイド穴を設け、上ケース側に突起を設けても良い。
即ち、本発明では、何れか一方のケース片の制御基板面と略平行なケース片面に、スライド方向へ延びるガイド穴を形成し、他方のケース片の内壁から前記ガイド穴内へ突出する突起を設けて両ケース片が相対的にスライドする際に該突起が該ガイド穴内を移動するように構成したので、基板保護ケースを不正に開放した場合には、ガイド穴内に位置する突起の先端部が封印シールを破断させることとなる。このため、ケース片の端縁同士の突き合わせ部に接着された封印シール、及び封印シール上のRFIDが著しく破損されることとなり、目視によって封印シールの破損の有無を知ることができるばかりでなく、読み取り装置からRFIDに対して読み取り用の電磁波を照射した際のRFIDからの応答信号がないことによっても封印シールが破損されていることを的確に知ることができる。
また、基板保護ケースが遊技機の背面に取り付けられた状態において、ガイド穴を、遊技機に装備された遊技盤と並行なケース片面に設けたので、ガイド穴が遊技機背面側から目視可能な位置にとなり、ガイド穴を塞ぐ封印シールが破断された状態を容易に視認できる。
本発明に係る基板保護ケース1は、パチンコ遊技機、スロットマシン等の遊技機に装備される制御基板を収容する手段として利用可能である。
Claims (1)
- 電子部品を搭載した制御基板を内部に収容し、且つ該制御基板面と平行な方向へスライドすることにより開閉可能に構成された少なくとも2つのケース片から成る基板保護ケースであって、
前記各ケース片の閉止時には、各ケース片の一端部に夫々設けた各封印片の先端縁同士が近接して突き合わせ部を構成し、
何れか一方の前記ケース片の前記制御基板面と略平行なケース片面には、前記スライド方向へ延びるガイド穴を形成し、他方の前記ケース片の内壁から前記ガイド穴内へ突出する突起を設けて両ケース片が相対的にスライドする際に該突起が該ガイド穴内を移動するように構成し、
前記各ケース片に跨って接着されることにより前記突き合わせ部を封印する接着シートを備え、
前記ガイド穴に位置する前記突起の先端部を前記接着シートと接着させたことを特徴とする基板保護ケース。
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