JP5175930B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

この発明は、スパークプラグに関し、さらに詳しくは、例えば内燃機関用のスパークプラグに関する。
近年の内燃機関例えば自動車用内燃機関には、地球環境保護の観点等から、省エネルギー化、二酸化炭素又は未燃ガスの排出規制等が強く要請されている。このような要請に応えるために、リーンバーンエンジン、直噴エンジン又は低排ガスエンジン等の内燃機関が開発されている。このような内燃機関において混合気に点火するには、また、従来の内燃機関において混合気に効率よく点火するには、これまでのスパークプラグよりも着火性の高いスパークプラグが求められている。
着火性を高めたスパークプラグとして、例えば、中心電極の先端に貴金属チップを溶接すると共に、中心電極に対向するように配置された接地電極の先端にも貴金属チップを溶接して、これらの貴金属チップ間で放電するように構成されたスパークプラグが挙げられる。
例えば、特許文献1には、「放電ギャップ(50)を介して対向配置された中心電極(30)および接地電極(40)と、前記接地電極における前記放電ギャップに面する部位(43)にレーザ溶接された貴金属チップ(45)とを備えるスパークプラグにおいて、前記貴金属チップは、その一端側が前記接地電極にレーザ溶接され、他端側の先端面の断面積が0.12mm以上1.15mm以下であって前記接地電極からの突出長さ(L)が0.3mm以上1.5mm以下であり、前記接地電極と前記貴金属チップとが溶け込み合った溶融部(47)において、前記貴金属チップの側面(45a)と前記接地電極における前記貴金属チップの接合面(43)とを結ぶ外面(47a)が、凹んだ曲面形状であり、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径(R)を有していることを特徴とするスパークプラグ。」が記載されている。
各電極に設けられる貴金属チップは、例えば、白金、イリジウム等の貴金属を主成分とする合金から形成される。これらの合金は高価であるから、前記貴金属チップを備えたスパークプラグはその製造コストが増大するという問題がある。
貴金属チップの代わりに電極自体を加工して突起部を形成して成るスパークプラグが提案されている。例えば、スパークプラグの接地電極を、突起部が形成される接地電極の反対側から押出し加工して突起部を形成する方法が提案されている。具体的には、非特許文献1には、「This feature enables it to be pushed−out directly from top towards center electrode as shown in Fig.16. By conducting this process, new fine−wired portion was achived with smaller material cost and a more simple production way when compared to the conventional fine−wired electrode.」と、すなわち、押出し加工によって低コストで接地電極が形成されることが記載されている。
特許第3702838号
Shin Nishioka,Ken Hanashi,Shinichi Okabe、「SAE TECHNICAL PAPER SERIES 2008-01−092」、SAE International、2008年4月14日 第7頁右欄「CHAPTER 3」
ところで、本発明者らは、突起部特に高い着火性を発揮するに十分な突起部を、非特許文献1に記載されているように、単に押出し加工で形成すると、予想に反して高い着火性を発揮しない場合があることに加えて、使用によって接地電極又は突起部等に折損、亀裂及び/又は成形不良が発生して耐久性も低下してしまうことを、新たに見出した。
したがって、この発明は、着火性と耐久性とを両立することのできる安価なスパークプラグを提供することを、目的とする。
本発明者らは、押出し加工で加工される突起部及び穴部について検討したところ、着火性と耐久性とを両立するためには、押出し加工で形成されて成る突起部及び穴部が特定の条件を満足していることが重要であることを、新たに見出して、この発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するための手段としてのこの発明は、
中心電極の先端と対向して火花放電間隙を形成するように屈曲され、前記中心電極に面する内側表面を有する接地電極を備えて成るスパークプラグであって、
前記接地電極は、押出し加工によってその先端部に形成された突起部及び穴部を有し、
前記突起部は、前記内側表面から前記中心電極の先端に向けて突出して形成され、前記内側表面からの突出長さAが0.4〜1mmであり、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記突起部の幅が前記突起部の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように形成された第1ストレート部を有し、この第1ストレート部は前記突起部の中心軸線に直交する面に投影された面積である第1ストレート部投影面積S1が1.5〜3mmであり、
前記穴部は、前記内側表面の反対側に位置する外側表面に開口する開口部と、前記穴部の中心軸線を含む断面における相対向する面の間隔が前記穴部の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように形成された内壁面を有する第2ストレート部と、底面部と、前記第2ストレート部から前記底面部へと移行する移行部とを有し、
前記開口部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記開口部を投影したときに仮想される前記開口部の輪郭線の内側に、前記仮想平面に前記突起部を投影したときに仮想される前記第1ストレート部の輪郭線が含まれるように、かつ、前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部の開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)が小さくても1.2となるように、形成され、
前記移行部は、前記穴部の中心軸線を含む断面において、前記第2ストレート部の輪郭線の端部から底面部の輪郭線の端部へと向う直線の輪郭線を有するテーパ部で形成されて成り、
前記穴部の中心軸線を含む断面において、前記底面部と前記テーパ部との交点から、前記第2ストレート部の輪郭線と底面部の輪郭線とが交わるように延長したときの交点までの距離aが0.1mm以上であると共に、前記第2ストレート部と前記テーパ部との交点から、前記第2ストレート部の輪郭線と底面部の輪郭線とが交わるように延長したときの交点までの距離bが0.1mm以上であることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための別の手段としてのこの発明は、
中心電極の先端と対向して火花放電間隙を形成するように屈曲され、前記中心電極に面する内側表面を有する接地電極を備えて成るスパークプラグであって、
前記接地電極は、押出し加工によってその先端部に形成された突起部及び穴部を有し、 ・前記突起部は、前記内側表面から前記中心電極の先端に向けて突出して形成され、前記内側表面からの突出長さAが0.4〜1mmであり、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記突起部の幅が前記突起部の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように形成された第1ストレート部を有し、この第1ストレート部は前記突起部の中心軸線に直交する面における第1ストレート部投影面積S1が1.5〜3mmであり、前記第1ストレート部の表面に少なくとも1本の稜を有し、
・前記穴部は、前記内側表面の反対側に位置する外側表面に開口する開口部を有し、
・前記開口部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記開口部を投影したときに仮想される開口部の輪郭線の内側に、前記突起部の突出方向に直交する前記仮想平面に前記突起部を投影したときに仮想される第1ストレート部の輪郭線が含まれるように、かつ、前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部の開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)が小さくても1.2となるように、形成され
・前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に、前記穴部の前記底面部と前記第1ストレート部と前記穴部の前記開口部とを、投影して形成される前記穴部の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部投影面積S2とが、
関係式:S4<S1<S2
を満足することを特徴とする。
この発明の好ましい態様としては、
(1)前記突起部の前記第1ストレート部は、前記接地電極の基端側表面が曲面であり、
(2)前記穴部の中心軸線に直交し、かつ前記外側表面と平行な接地電極の断面において、
前記穴部の輪郭線と前記接地電極の輪郭線とが最接近して成る最薄肉部が存在し、
前記最薄肉部が、前記接地電極の先端部側に位置することであり、
(3)前記突起部の中心軸線を含む断面における前記第1ストレート部の輪郭線を前記突起部の中心軸線に沿って延長した仮想直線が前記穴部の輪郭線と交差する交点と、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記第1ストレート部の直線状の輪郭線において前記接地電極の内側表面の輪郭線に最も近接する端部である最近点との距離Bが小さくとも0.3mmであり、
前記穴部の中心軸線を含む断面における前記穴部の底面部を示す輪郭線の端部である角部と、前記角部に近い方の前記最近点との距離Cが小さくても0.4mmであり、
(4)前記突起部は、前記内側表面と前記第1ストレート部との間に、前記突起部の中心軸線を含む断面において、前記第1ストレート部の輪郭線から前記内側表面の輪郭線へと湾曲する曲線の輪郭線を有する突起部元部を備えてなり、
前記突起部元部は、前記第1ストレート部と前記内側表面との間に0.1〜0.3mmの曲率半径を有し、
前記突起部元部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記穴部の開口部を投影したときに仮想される開口部の輪郭線の内側に、前記突起部の突出方向に直交する前記仮想平面に前記突起部元部を投影したときに仮想される突起部元部の輪郭線が含まれるように、形成されて成ることであり、
(5)前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に、前記穴部の底面部と前記第1ストレート部と前記穴部の開口部とを、投影して形成される前記穴部の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部投影面積S2とが、関係式:S4<S1<S2を満足することである。
この発明の別の好ましい態様としては、前記突起部の体積V1と前記穴部の内容積V2との比(V2/V1)が1.2〜2を満たすことである。
この発明に係るスパークプラグは、接地電極が、押出し加工によってその先端部に形成された前記突起部及び前記穴部を有して成り、この突起部は、内側表面からの突出長さAが0.4〜1mm、前記第1ストレート部の断面積S1が1.5〜3mmであり、前記穴部は、前記突起部の突出方向に投影したときに前記第1ストレート部が内部に含まれる開口部を接地電極の外側表面に有し、前記断面積S1と前記開口部の開口面積S2との面積比(S2/S1)が1.2以上であり、前記穴部が前記外側表面から陥没し一定の外周を有する第2ストレート部と前記第2ストレート部に連続し、0.1mm以上の減少率を有するテーパ部とを備えて成る。また、この発明に係るスパークプラグは、前記穴部が第2ストレート部とテーパ部とを備えて成る特徴に代えて、前記突起部が、前記第1ストレート部の表面に稜を少なくとも1本以上有していても良い。
これらの特徴を有する接地電極を備えたこの発明に係るスパークプラグは、貴金属チップの代わりに押出し加工によって形成された前記突起部を接地電極が有しているから、安価に製造されることができ、また、前記穴部のテーパ部、又は突起部の稜によって前記突起部に火花が発生し易くなると共に、折損及びクラックが発生し難くなるので、高い着火性及び耐久性を発揮することができ、電極消耗量も低い。したがって、この発明によれば、着火性と耐久性とを両立することのできる安価なスパークプラグを提供することができる。
また、この発明の好ましい態様においては、
(1)前記突起部の前記第1ストレート部は、前記接地電極の基端側表面が曲面であり、
(2)前記穴部の中心軸線に直交し、かつ前記外側表面と平行な接地電極の断面において、
前記穴部の輪郭線と前記接地電極の輪郭線とが最接近して成る最薄肉部が存在し、
前記最薄肉部が、前記接地電極の先端部側に位置することであり、
(3)前記突起部の中心軸線を含む断面における前記第1ストレート部の輪郭線を前記突起部の中心軸線に沿って延長した仮想直線が前記穴部の輪郭線と交差する交点と、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記第1ストレート部の直線状の輪郭線において前記接地電極の内側表面の輪郭線に最も近接する端部である最近点との距離Bが小さくとも0.3mmであり、
前記穴部の中心軸線を含む断面における前記穴部の底面部を示す輪郭線の端部である角部と、前記角部に近い方の前記最近点との距離Cが小さくても0.4mmであり、
(4)前記突起部は、前記内側表面と前記第1ストレート部との間に、前記突起部の中心軸線を含む断面において、前記第1ストレート部の輪郭線から前記内側表面の輪郭線へと湾曲する曲線の輪郭線を有する突起部元部を備えてなり、
前記突起部元部は、前記第1ストレート部と前記内側表面との間に0.1〜0.3mmの曲率半径を有し、
前記突起部元部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記穴部の開口部を投影したときに仮想される開口部の輪郭線の内側に、前記突起部の突出方向に直交する前記仮想平面に前記突起部元部を投影したときに仮想される突起部元部の輪郭線が含まれるように、形成されて成ることであり、
(5)前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に、前記穴部の底面部と前記第1ストレート部と前記穴部の開口部とを、投影して形成される前記穴部の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部投影面積S2とが、関係式:S4<S1<S2を満足することである。これらの、この発明の好ましい態様によれば、より一層高い耐久性を発揮することができる。
この発明の別の好ましい態様においては、前記突起部の体積V1と前記穴部の内容積V2との比(V2/V1)が1.2〜2を満たすことである。この発明の別の好ましい態様によれば、より一層高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを説明する説明図であり、図1(a)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図であり、図1(b)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの主要部分を示す断面説明図である。 図2は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大図であり、図2(a)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図であり、図2(b)は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグにおける接地電極の先端部を突起部の突出方向に投影したときの投影状態を示す投影図である。 図3は、スパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図であり、図3(a)は図2(a)に示した接地電極の一部拡大断面図であり、図3(b)はこの発明ではないスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図である。 図4は、この発明に係るスパークプラグの接地電極におけるテーパ部の拡大図である。 図5は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグにおける接地電極の突起部の変形例を示す一部拡大図である。 図6は、この発明の一実施態様であるスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図であり、図6(a)はこの発明に係るスパークプラグの好ましい一実施態様における接地電極の一部拡大断面図であり、図6(b)はこの発明に係るスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図である。 図7は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図であり、図7(a)は図2(a)に示した接地電極の一部拡大断面図であり、図7(b)は図7(a)に示した穴部におけるテーパ部の一部拡大図である。 図8は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグにおける別の接地電極の先端部を示す一部拡大断面図である。 図9は、スパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図である。 図10は、スパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図である。 図11は、実施例2におけるスパークプラグのブレイクダウン電圧を測定する装置の概略図である。 図12は、実施例2におけるオシロスコープで観測される波形である。 図13は、実施例2におけるブレイクダウン電圧測定の結果を示すグラフである。 図14は、実施例3における測定試料である、接地電極の突起部の一部拡大図である。 図15は、実施例3における着火性試験の結果を示すグラフである。 図16は、参考実験例1で測定に供した接地電極の一例である。 図17は、実施例4におけるクラック発生率の結果を示すグラフである。 図18は、スパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大図であり、図18(a)はスパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図であり、図18(b)は、スパークプラグにおける接地電極の先端部を突起部の突出方向に投影したときの投影状態を示す投影図である。 図19は、参考例1及び参考比較例1における着火性試験の結果を示すグラフである。 図20は、参考例1及び参考比較例1における火花消耗試験の結果を示すグラフである。 図21は、参考例1及び参考比較例1におけるクラック発生率の結果を示すグラフである。図22は、参考例2におけるクラック発生率の結果を示すグラフである。 図22は、参考例2におけるクラック発生率の結果を示すグラフである。 図23は、図10(b)に示した接地電極の一部拡大図であり、図23(a)は接地電極の先端部を示す一部拡大断面図であり、図23(b)は、接地電極の先端部を突起部の突出方向に投影したときの投影状態を示す投影図である。 図24は、スパークプラグにおける接地電極の先端部を示す一部拡大断面図である。
この発明に係るスパークプラグは、中心電極の先端面と対向して火花放電間隙を形成するように屈曲され、前記中心電極に面する内側表面を有する接地電極を備えて成る。この発明に係るスパークプラグは、前記火花放電間隙に電気的な火花を発生させることができる構成を有するスパークプラグであれば、その他の構成は特に限定されず、種々の構成を採ることができる。この発明に係るスパークプラグが備えている接地電極は前記特徴を有している。したがって、この発明に係るスパークプラグは、安価に製造されることができ、高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
この発明に係るスパークプラグを具体例に基づいて以下に説明するが、この発明に係るスパークプラグは前記特徴を有する接地電極を備えている限り、以下の具体例に限定されることはない。
この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを図1に示す。このスパークプラグ1は、図1(a)及び図1(b)に示されるように、略棒状の中心電極2と、中心電極2の外周に配置される略円筒状の絶縁体3と、絶縁体3を保持する円筒状の主体金具4と、一端が中心電極2の先端面と火花放電間隙Gを有して相対向するように配置されると共に他端が主体金具4の端部に結合されて成る接地電極6とを備えている。この図1に描かれたスパークプラグ1において、便宜上、主体金具4における接地電極6が設けられる一方の端部側(例えば、図1(a)における紙面下方側)を先端方向と称し、他方の端部側(例えば、図1(a)における紙面上方側)を後端方向と称する。
前記主体金具4は、図1に示されるように、円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具4における先端方向の外周面にはネジ部5が形成されており、このネジ部5を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具4は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
前記絶縁体3は、図1に示されるように、主体金具4の内周部に滑石(タルク)又はパッキン等(図示せず。)を介して保持されており、絶縁体3の中心軸線方向に沿って中心電極2を保持する軸孔を有している。絶縁体3は、その先端方向の端部が主体金具4の先端面から突出した状態で、主体金具4に固着されている。絶縁体3は、熱を伝えにくい材料で形成されていればよく、このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。
前記中心電極2は、図1(b)により明瞭に示されるように、外材2Aと、外材2Aの内部の軸心部に同心的に埋め込まれるように形成されてなる内材2Bとにより形成されている。中心電極2は、その先端方向の端部が絶縁体3の先端面から突出した状態で絶縁体3の軸孔に固定されており、主体金具4に対して絶縁保持されている。この中心電極2の先端は、図1(b)により明瞭に示されるように、先端に向かって外径が徐々に小さくなる円錐台部と、この円錐台部から中心電極2の先端方向に延在する均一な外径を有する柱状部とで形成されている。中心電極2は、公知の材料で形成され、例えば、外材2Aは耐熱性及び耐食性に優れたNi基合金で形成され、内材2Bは銅又は銀等の熱伝導性に優れた金属材料で形成されることができる。
前記接地電極6は、例えば、角柱体に形成されてなり、一端が主体金具4の端部、スパークプラグ1においては主体金具4の端面に接合され、途中で略L字に曲げられて、その先端部13が中心電極2近傍に位置するように、その形状及び構造が設計されている。接地電極6がこのように設計されることによって、接地電極6の他端が中心電極2と火花放電間隙Gを介して対向するように配置することができる。接地電極6は中心電極2よりも高温に曝されるので、中心電極2を形成するNi基合金よりも耐熱性及び耐食性等により一層優れたNi基合金等で形成されるのが好ましい。
このように構成されるスパークプラグ1において、接地電極6は前記特徴を有している。接地電極6が有する特徴の1つは、押出し加工によってその先端部13に形成されたところの、突起部21及び穴部31を有していることにある。更に詳述すると、前記突起部21は、中心電極2に面する内側表面11から中心電極2の先端に向けて突出するように形成される。前記穴部31は、接地電極6の内側表面11の反対側に位置する外側表面12に開口する開口部51(図1(b)には図示せず。)を有している。
図1(b)及び図2(a)により明瞭に示されるように、前記突起部21は、接地電極6の内側表面11から柱状に突出して、突起部21の突出方向に垂直な平面における断面形状が略円形の円柱体を成している。この突起部21は、図2(a)に示されるように、前記突起部21の中心軸線を含む断面における前記突起部21の幅が前記突起部21の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように、つまり前記突起部21の前記幅が中心軸線方向に見て同じ長さとなるように形成された第1ストレート部41から構成されている。この例において換言すると、スパークプラグ1の中心軸線と接地電極6の中心軸線とを含む平面における接地電極6の断面、すなわち図2(a)に示される接地電極6の断面において、前記突出方向に対して垂直方向の幅が突起部21の中心軸線方向に沿って一定となる第1ストレート部41から突起部21が構成されている。
突起部21と中心電極2の先端面との間隙が火花放電間隙Gである。この火花放電間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定される。この例においては、図1(b)に示されるように、突起部21の突出方向は、突起部21の中心軸線方向と一致し、また、スパークプラグ1の中心軸線方向と一致している。
接地電極6が有する特徴の1つは、前記突起部21が、0.4〜1mmの、前記内側表面11からの突出長さAを有していること、にある。前記突出長さAが0.4mm未満であると着火性が低下することがあり、一方、前記突出長さAが1mmを超えると放電により火花消耗しやすく、耐久性が低下することがある。着火性と耐久性とをバランスよく両立することができる点で、前記突出長さAは、0.5〜0.9mmであるのが好ましく、0.6〜0.8mmであるのが特に好ましい。
また、接地電極6が有する特徴の1つは、1.5〜3mmの、突起部21を構成する第1ストレート部41における前記突出方向に垂直な断面の断面積S1を有していること、にある。前記断面積S1が1.5mm未満であると放電により火花消耗しやすく、耐久性が低下することがあり、一方、前記断面積S1が3mmを超えると突起部21を設けたことによる着火性向上効果が認められないことがある。着火性と耐久性とをバランスよく両立することができる点で、前記断面積S1は、1.6〜2.5mmであるのが好ましく、1.6〜2mmであるのが特に好ましい。
図2(a)により明瞭に示されるように、前記穴部31は、接地電極6の外側表面12から、この外側表面12に対して背中合わせの内側表面11に向けて開口する開口部51を有して成る有底穴となっている。この穴部31は、穴部31の中心軸線方向に垂直な平面における断面形状が略円形の円筒体状の有底穴に形成されている。また、穴部31の中心軸線と、前記突起部21の中心軸線とは、ほぼ一致する軸線を有している。接地電極6が有する更なる特徴の1つは、穴部31が、図2(a)に示されるように、前記内側表面11の反対側に位置する外側表面12に開口する開口部51と、第2ストレート部53と、底面部66と、移行部67とを有すること、にある。ここで、前記開口部51は、外側表面12上に開口した部分であって、外側表面12の表面と第2ストレート部53との境界線で囲まれた部分である。第2ストレート部53、底面部66及び移行部67については、後述する。
接地電極6が有する特徴の1つは、前記開口部51が、突起部21の突出方向に直交する仮想平面に開口部51を投影したときに仮想される開口部51の輪郭線の内側に、突起部21の突出方向に直交する仮想平面に突起部21を投影したときに仮想される第1ストレート部41の輪郭線が含まれるように形成されていること、にある。この特徴は、突起部21の突出方向に直交する仮想平面に対する開口部51及び突起部21の投影図である図2(b)に具体的に示されている。すなわち、図2(b)においては、前記仮想平面に開口部51を投影して得られる輪郭線である開口部投影領域54の内側に、前記仮想平面に突起部21を投影して得られる第1ストレート部41の輪郭線である第1ストレート部投影領域42が含まれている。なお、前記開口部投影領域54と前記第1ストレート部投影領域42とが一致している態様も、この発明に係るスパークプラグの一実施態様として含めることとする。前記仮想平面に対する投影領域の関係性が上述の様であるときは、形成される突起部21及び/又は突起部21近傍の接地電極6に押出し加工に起因する亀裂及び成形不良が発生し難く、接地電極6及び突起部21が高い耐久性を発揮することができ、安価に製造することができ、更に貴金属チップに代わる突起部21を押出し加工で形成しても高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
さらに、接地電極6が有する特徴の1つは、前記開口部51が、前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部51の開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)が小さくても1.2となるように形成されこと、にある。前記面積比(S2/S1)が1.2未満であると、形成される突起部21及び/又は突起部21近傍の接地電極6に押出し加工に起因する亀裂及び成形不良が発生し難く、接地電極6及び突起部21が高い耐久性を発揮することができる。前記面積比(S2/S1)の上限値は、前記断面積S1及び前記突出長さA等を満足すれば特に限定されず、例えば、4とすることができる。
第2ストレート部53は、図2(a)に示されるように、穴部31の中心軸線を含む断面における相対向する面の間隔が、穴部31の中心軸線方向に一定の長さになるように形成された内壁面を有している。また、第2ストレート部53は、外側表面12から内側表面11に向う方向であって突起部21の中心軸線に沿った方向に、開口部51を起点として形成されている。底面部66は、穴部31の底面を形成する面であって、押し出し加工の際に外側表面12から内側表面11に向う方向に外側表面12の一部が押圧されて形成される面である。更に、移行部67は、前記第2ストレート部53から前記底面部66へと移行する部分である。つまり、接地電極の中心軸線を含む断面において、第2ストレート部と底面部とが直接交わる態様であるとき、移行部は存在しなくなる。
接地電極6において、図2(a)に示されるように、穴部31の移行部67が、内側表面11に向かって内径が徐々に小さくなるテーパ部55を有している。すなわち、穴部31は、開口部51と、第2ストレート部53と、テーパ部55と、底面部66とを備えてなる。移行部67に設けられたテーパ部55は、穴部31の中心軸線を含む断面において、第2ストレート部53の輪郭線の端部から底面部66の輪郭線の端部へと向う直線状の輪郭線を有している。この例において、テーパ部55は特定の傾斜態様を有している。テーパ部55の特定の傾斜態様については、後述する。
ここで、接地電極における第2ストレート部について、図3を参照しつつ詳述する。
図3(a)には、図2(a)に示した接地電極6を再度示し、図3(b)には、接地電極6における穴部31の第2ストレート部53及びテーパ部55に代えて、穴部32の外周全体を形成するテーパ部59を備えて成る態様の接地電極7を示した。
この発明に係るスパークプラグにおける接地電極を押し出し加工により作製するときに、外側表面において穴部と成る箇所を押し込むことにより、押し込まれた分量の肉が内側表面から突起部と成る箇所に押出される。このとき、押し込まれる箇所の肉、すなわち穴部と成る箇所の肉が突起部側に流れ易いと、突起部が容易に形成されることになると共に、所望の突起部の形状に高い寸法精度を以って成形することができるので好ましい。なお、突起部の先端面における周縁に稜が形成されていると、つまり突起部の先端面と周側面とが交わる部位に曲面ではなく稜が存在していると、突起部の寸法精度が高いことに成り、その稜の部分から火花が飛び易いので、結果としてスパークプラグの高い着火性を確保することができる。
図3(a)に示す接地電極6及び図3(b)に示す接地電極7をそれぞれ押し出し加工により作製するときに、テーパ部59のように穴部32の外周全体がテーパとして形成される接地電極7に比べて、テーパ部55だけでなく第2ストレート部53も有する接地電極6の方が、突起部に肉が流れ易い。よって、接地電極7の突起部22を形成するよりも、接地電極6の突起部21を形成する方が容易であり、寸法精度も優れている。したがって、第2ストレート部53を有しない接地電極7に比べて、第2ストレート部53を有する接地電極6が、この発明に係るスパークプラグにおける接地電極の一実施態様として好ましい。
また、この発明において、穴部の形状は、特に限定されず、例えば、穴部の中心軸線方向に垂直な平面における断面形状が円形、楕円形、多角形等の円柱体状の有底穴、楕円柱体状の有底穴、多角柱体状の有底穴等が挙げられる。また、この発明において、穴部は、突起部の外形と同様の形状であってもよく、又は異なる形状であってもよい。更に、穴部は、前記突起部と中心軸線を共有していてもよく、又は共有していなくてもよい。
ここで、接地電極6におけるテーパ部55の傾斜態様について詳述する。図4には、図2(a)に示したテーパ部55近傍を拡大した接地電極6が示す。なお、図4に示す接地電極6は、穴部31の中心軸線を含む面で切断した断面図であるが、説明の便宜上、断面を示す斜線は省略している。図4には、底面部66の輪郭線とテーパ部55の輪郭線との交点である角部52、第2ストレート部53の輪郭線と底面部66の輪郭線とを交わるように延長したときの交点68、及び、前記第2ストレート部の輪郭線と前記テーパ部の輪郭線との交点である角部56が示されている。接地電極6においては、角部52と交点68との距離aが0.1mm以上であり、角部56と交点68との距離bが0.1mm以上である。上記距離a及び上記距離bが共に0.1mm以上であるとき、穴部31近傍のクラックの発生及び進展、並びに折損を抑制することができ、高温時の耐久性の向上にも寄与することができる。
接地電極が有する別の特徴の1つは、前記穴部が第2ストレート部及び移行部を備える代わりに、突起部が第1ストレート部の表面に稜を少なくとも1本以上有すること、にある。
図5(a)〜(d)には、接地電極6、6A、10A及び10Bが示されている。なお、図5(a)〜(d)には、接地電極を突起部の先端面に対面するように観察した場合、すなわち、図1(b)におけるスパークプラグの後端方向から先端方向に向って接地電極を観察した場合に見られる突起部を示している。
図5(a)に示す接地電極6は、図2に示した接地電極6を示し、図5(b)に示す接地電極6Aは、接地電極6の突起部21の形状を別形状にした態様である。接地電極6における突起部21は、突起部21の中心軸線に直交する平面形状が円形である円柱体であり、接地電極6Aにおける突起部21Bは、突起部21Aの前記平面形状が楕円形である楕円柱体である。
突起部21及び突起部21Aにおいて、第1ストレート部の表面に、稜は設けられていない。これに対して、図5(c)に示す接地電極10A及び図5(d)に示す接地電極10Bは、第1ストレート部の表面に稜が設けられている。すなわち、接地電極10A及び接地電極10Bは、この発明に係るスパークプラグの実施態様の一つである。
接地電極10Aは突起部26Aを備えており、接地電極10Bは突起部26Bを備えている。接地電極10Aにおける突起部26Aは、突起部26Aの突出方向に直交する平面形状が長方形である四角柱体であり、接地電極10Bにおける突起部26Bは、突起部26Bの前記平面形状が三角形である三角柱体である。四角柱体及び三角柱体には、その側面、すなわち第1ストレート部の表面に該当する面に稜が形成されている。突起部26Aには、第1ストレート部の表面を形成する4つの面がそれぞれ交わる4箇所に稜101Aが形成されている。同様に、突起部26Bには、第1ストレート部表面を形成する3つの面がそれぞれ交わる3箇所に稜101Bが形成されている。
第1ストレート部の表面に稜が形成されない突起部、例えば中心軸線に直交する断面形状が円形である突起部に比べて、第1ストレート部の表面に稜が形成されている突起部、例えば前記断面形状が多角形である突起部の方が、上記稜にかかる電界強度が大きくなる。電界強度が大きくなると、ブレイクダウン電圧を低減することができる。ブレイクダウン電圧が低減されることにより、電極消耗量が減ると共に絶縁体が火花で貫通する可能性も低減することとなるので好ましい。よって、接地電極10A及び接地電極10Bは、突起部の表面に稜を有しているので、ブレイクダウン電圧を低減することができる。この発明に係るスパークプラグにおいては、突起部の第1ストレート部の表面に稜が少なくとも1本以上あれば良く、突起部の断面形状としては稜が形成され得る種々の形状を採用することができる。前記第1ストレート部の表面に稜が少なくとも1本以上形成される突起部の断面形状としては、例えば三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形、並びに扇形等の直線と曲線とから成る図形等を挙げることができる。なお、突起部の前記断面形状が多角形である場合、突起部の中心軸線はその多角形の重心を通る線である。なお、第1ストレート部の表面に稜が形成されている限り、穴部に前記第2ストレート部が設けられていなくともよい。
以下に、この発明に係るスパークプラグが備えていると好ましい特徴について、説明することとする。
図2に示す接地電極6及び図3に示す接地電極7は、前記特徴に加えて、0.3mm以上の後述する突出方向距離Bを有していると、好ましい。前記突出方向距離Bが0.3mm以上であると、押出し加工に起因する亀裂及び成形不良がより一層発生し難く、接地電極6の突起部21及び接地電極7の突起部22がより一層高い耐久性を発揮することができる。前記突出方向距離Bの上限値は、特に限定されないが、前記突起部21及び突起部22の形成容易性等を考慮すると、例えば、1mmとすることができる。前記突出方向距離Bは0.5〜0.8mmであるのが特に好ましい。
ここで、前記突出方向距離Bは、例えば図2(a)に示されるように、突起部21の中心軸線を含む断面における第1ストレート部41の輪郭線を突起部21の中心軸線に沿って延長した仮想直線が穴部31の輪郭線と交差する交点61と、突起部21の中心軸線を含む断面における第1ストレート部41の直線状の輪郭線において接地電極6の内側表面11の輪郭線に最も近接する端部である最近点62との距離である。また、図3(a)に示す突出方向距離Bについて言うと、突起部22の中心軸線を含む断面における第1ストレート部41の輪郭線を突起部22の中心軸線に沿って延長した仮想直線が穴部32の輪郭線と交差する交点63と、突起部22の中心軸線を含む断面における第1ストレート部41の直線状の輪郭線において接地電極7の内側表面11の輪郭線に最も近接する端部である最近点64との距離が、突出方向距離Bである。
この前記突出方向距離Bは、前記交点61又は前記交点63と、第1ストレート部41の外周上の点との、前記突出方向に沿った最短距離ということもできる。この例において換言すると、スパークプラグ1の軸線と接地電極6又は接地電極7の中心軸線とを含む平面における、接地電極6の断面すなわち図2(a)に示される接地電極6の断面、又は接地電極7の断面すなわち図3(a)に示される接地電極7の断面において、突出方向距離Bは、前記交点61又は前記交点63と、第1ストレート部41の外周及び内側表面11上にある最近点62又は最近点64との前記突出方向に沿った距離であり、すなわち、接地電極6又は接地電極7の厚さと穴部31又は穴部32の深さとの差分に相当する。
更に、図2に示す接地電極6は、0.4mm以上の、穴部31の角部52と前記最近点62との最短距離Cを有しているので、好ましい。図3に示す接地電極7について言うと、接地電極7は、0.4mm以上の、穴部32の角部52と前記最近点64との最短距離Cを有しているので、好ましい。
ここで、前記角部は、穴部を構成する面及び外側表面のうち、2つの平面が交わって形成される部分であって、前記穴部の中心軸線を含む断面における前記穴部の底面部を示す輪郭線の端部である。前記最短距離Cは、穴部の中心軸線を含む断面において、前記角部とその角部に近い方の前記最近点との最短距離ということもできる。接地電極6においては、テーパ部55を備えた穴部31において、穴部31の底面部66と前記テーパ部55との境界を穴部31の角部52とする。
つまり、最短距離Cは、接地電極6について言うと、スパークプラグ1の軸線と接地電極6の軸線とを含む平面における接地電極6の断面、すなわち図2(a)に示される接地電極6の断面において、穴部31を構成するテーパ部55と底面部66とが交わって形成される角部52と、角部52に最も近い最近点62との距離である。
前記最短距離Cが0.4mm以上であると、押出し加工に起因する亀裂及び成形不良がより一層発生し難く、接地電極6の突起部21及び接地電極7の突起部22がより一層高い耐久性を発揮することができる。前記最短距離Cの上限値は、特に限定されないが、前記突起部21及び前記突起部22の形成容易性等を考慮すると、例えば、1.5mmとすることができる。前記最短距離Cは0.6〜0.9mmであるのが特に好ましい。
この発明に係るスパークプラグの好ましい一態様としては、前記穴部の中心軸線に直交し、かつ前記外側表面と平行な接地電極の断面において、前記穴部の輪郭線と前記接地電極の輪郭線とが最接近して成る最薄肉部が存在し、前記最薄肉部が、前記接地電極の先端部側に位置する態様を挙げることができる。この好ましい態様を、図6を参照しつつ説明する。
図6には、スパークプラグにおける接地電極8及び9が示されている。なお、接地電極8を備えるスパークプラグは、この発明に係るスパークプラグの好ましい一実施態様である。図6(a)に示す接地電極8には、穴部34の中心軸線に直交し、外側表面12と平行な接地電極8の断面において、穴部34の輪郭線と接地電極8の輪郭線とが最接近してなる最薄肉部85が設けられている。接地電極8における最薄肉部85は、図6(a)に示すように、接地電極8の先端部13側に位置している。これに対して、図6(b)に示す接地電極9は、最薄肉部85が接地電極9の先端部13側ではなく基端部側に位置している。
図6(a)及び(b)の外側表面12内に示した矢印は、接地電極8及び9が昇温したときに、先端部13から基端部に向けて移動する熱の進路を示している。図6(b)に示すように最薄肉部85が基端部側に位置する態様に比べて、図6(a)に示すように最薄肉部85が先端部13側に位置する態様の方が、接地電極中の熱の移動がより一層円滑に進行する。すなわち、スパークプラグを使用したときに接地電極において火花が形成されることにより接地電極が高温状態と成った場合、最薄肉部が接地電極の先端部側に位置していると、効率的な熱の移動によって接地電極の温度が上昇し過ぎないので好ましい。接地電極の温度が上昇し過ぎないことにより、接地電極の組成が熱による劣化を生じ難い。接地電極が熱によって劣化し難いことは、結果として、スパークプラグの良好な耐久性を確保することができる。
図2に示した接地電極6はテーパ部55を備えているので、クラック及び折損の発生を効果的に抑制することができる。前記テーパ部55によるクラック及び折損の抑制について、図7を参照しつつ詳述する。
図7(a)は、図2(a)に示した接地電極6であり、図7(b)は、接地電極6のテーパ部55近傍を拡大した部分拡大図である。また、図7(a)の点線は、点線で示す輪郭を有する穴部を形成すると、その穴部が穴部31と同一の前記最短距離Cを有するように設定されている。更に詳述すると、図7(b)に示すように、穴部の前記最短距離C1と、点線で示すテーパ部の無い穴部の最短距離C2とが、同一であるように設定されている。図7(b)においては、穴部の前記突出方向距離B1は、点線で示すテーパ部の無い穴部の突出方向距離B2に比べて大きくなる。すなわち、穴部における前記最短距離Cが同一であるとき、穴部にテーパ部を設けることにより、前記突出方向距離Bを大きくすることができる。上述したように前記突出方向距離Bが大きいと、スパークプラグの接地電極における突起部にクラック及び折損が発生し難くなるので好ましい。
この発明に係るスパークプラグにおける突起部の第1ストレート部は、接地電極の基端側表面が曲面であると、更に好ましい。接地電極の基端とは、図1(b)における接地電極6が主体金具4に接合している部位である。すなわち、接地電極の基端側は、図1(b)の接地電極6の左側であり、図2、3及び5に示す接地電極においても左側である。なお、接地電極の基端の逆側は、接地電極の先端部である。
具体的に言うと、図5(a)に示す接地電極6及び図5(b)に示す接地電極6Aは、接地電極の基端側、つまり図面における左側が曲面であるので好ましい。なお、突起部の周側面全体が曲面である接地電極と、突起部の周側面に稜が形成されて成る接地電極とを比較すると、突起部の周側面に稜が形成されて成る接地電極の方が、突起部、特に稜から火花が飛び易く、着火性に優れている。また、この発明に係るスパークプラグにおいては、接地電極の基端側よりも先端部側に電圧を集中させることによって火花を飛ばした方が着火性に優れている。よって、図5(a)に示す接地電極6及び図5(b)に示す接地電極6Aよりも更に好ましい態様としては、突起部において、接地電極の基端側が曲面であると共に、接地電極の先端部側に少なくとも一本の稜が形成されている態様、つまり突起部の周側面が曲面部分と稜とを両方有している態様を挙げることができる。
この発明に係るスパークプラグが備えている接地電極の別の一実施例である接地電極を図8(a)に示す。この接地電極10Eは前記接地電極6と同様に前記特徴を有している。なお、接地電極10Eにおける接地電極以外の構成は前記スパークプラグ1と基本的に同様である。前記接地電極6と接地電極10Eとの相違点は、突起部元部43の有無である。
接地電極10Eには、図8(a)に示されるように、突起部23の中心軸線を含む断面において、内側表面11と第1ストレート部41Aとの間に、第1ストレート部41Aの輪郭線から内側表面11の輪郭線へと湾曲する曲線の輪郭線を有する突起部元部43が設けられている。前記突起部元部43は、突起部23の突出方向に直交する仮想平面に穴部31の開口部51を投影したときに仮想される開口部51の輪郭線の内側に、突起部23の突出方向に直交する仮想平面に突起部元部43と内側表面11との境界線を投影したときに仮想される突起部元部43の輪郭線が含まれている。すなわち、穴部31及び突起部23を突起部23の突出方向に投影したときに、穴部31が投影されて得られる前記開口部51の開口部投影領域内に、突起部23の突起部元部43が投影されて得られる元部投影領域が含まれている。なお、前記開口部投影領域内に元部投影領域が含まれている態様には、前記開口部投影領域と前記元部投影領域とが一致している態様も包含される。したがって、接地電極10Eの内側表面11上における突起部元部43の底面積S3は穴部31における開口面積S2以下である。前記突起部元部43は、第1ストレート部41Aと内側表面11との間に0.1〜0.3mmの曲率半径を有している。このように前記接地電極10Eは前記特徴を有しているから、安価に製造されることができ、貴金属チップに代わる突起部23を押出し加工で形成しても高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
この発明に係るスパークプラグが備えている接地電極のまた別の一実施例である接地電極を、図8(b)に示す。この接地電極10Fは前記接地電極6と同様に前記特徴を有している。なお、接地電極10Fにおける接地電極以外の構成は前記スパークプラグ1と基本的に同様である。前記接地電極6と接地電極10Fとの相違点は、穴部の断面形状である。
接地電極10Fは、図8(b)に示されるように、押出し加工によって形成されたところの、突起部21及び穴部33を有している。一方、穴部33は、穴部33の軸線方向に垂直な平面における断面形状が円形の略球面状穴に形成されていること以外は、前記接地電極6の穴部31と基本的に同様に形成されている。すなわち、穴部33は、外側表面12に開口する開口部51を有し、この開口部51は、接地電極6と同様に、穴部33を突起部21の突出方向に投影したときに、突起部21の第1ストレート部41を内部に含んでいる。このように前記接地電極10Fは前記特徴を有しているから、安価に製造されることができ、貴金属チップに代わる突起部21を押出し加工で形成しても高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
接地電極10E及び接地電極10Fは、前記接地電極6と同様に、0.3mm以上の突出方向距離Bと、0.4mm以上の最短距離Cとを有している。ここで、接地電極10Fの前記最短距離Cは、スパークプラグの中心軸線と接地電極10Fの中心軸線とを含む平面における接地電極10Fの断面、すなわち図8(b)に示される接地電極10Fの断面において、穴部33における突起部21に最も近い角部すなわち開口部51の開口縁である角部56と前記最近点62との距離である。したがって、接地電極10E及び接地電極10Fは、より一層高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
この発明に係るスパークプラグが備えていると好ましい特徴の一つとしては、前記断面積S1と、前記開口面積S2と、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に、前記穴部の底面部と前記第1ストレート部と前記穴部の開口部とを、投影して形成される前記穴部の投影底面積S4とが、関係式:S4<S1<S2を満足していること、という特徴を挙げることができる。この関係式を満たしていると、押出し加工に起因する亀裂及び成形不良がより一層発生しにくく、接地電極及び突起部がより一層高い耐久性を発揮することができる。
なお、図2に示す接地電極6、図3に示す接地電極7、図5に示す接地電極6A、接地電極10A及び接地電極10B、図6に示す接地電極8及び接地電極9、並びに図8に示す接地電極10E及び接地電極10Fはいずれも、前記穴部の投影底面積S4と断面積S1と開口面積S2とが、関係式:S4<S1<S2を満足するように設計されている。ここで、接地電極6について言うと、前記断面積S1は、突起部21の突出方向に垂直な平面で第1ストレート部41を切断して成る断面の断面積である。接地電極6において、前記穴部31の底面、前記開口部51及び第1ストレート部41は中心軸線を共有し、図2(b)に示されるように、突起部21の突出方向に投影したときの各投影領域が同心円状になっている。上記関係式を満たしていることにより、接地電極6、接地電極7、接地電極6A、接地電極10A、接地電極10B、接地電極8、接地電極9、接地電極10E及び接地電極10Fは、いずれも押出し加工に起因する亀裂及び成形不良がより一層発生しにくく、接地電極及び突起部がより一層高い耐久性を発揮することができる。
この発明に係るスパークプラグが備えていると更に好ましい特徴の一つとしては、前記突起部の体積V1と前記穴部の容積V2との比(V2/V1)が1.2〜2であること、という特徴を挙げることができる。この容積比が上記数値範囲を満たしていると、より一層高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
なお、図2に示す接地電極6、図3に示す接地電極7、図5に示す接地電極6A、接地電極10A及び接地電極10B、図6に示す接地電極8及び接地電極9、並びに図8に示す接地電極10E及び接地電極10Fはいずれも、前記突起部の体積V1と前記穴部の容積V2との比(V2/V1)が1.2〜2であるように設計されている。容積比が上記数値範囲を満たしていることにより、接地電極6、接地電極7、接地電極6A、接地電極10A、接地電極10B、接地電極8、接地電極9、接地電極10E及び接地電極10Fは、いずれもより一層高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
この発明に係るスパークプラグは例えば次のようにして製造される。まず、Ni基合金等を鋳造・焼鈍して線材、棒材等を作製する。例えば、真空溶解炉を用いて、Ni基合金の溶湯を調製し、真空鋳造等にて各溶湯から鋳塊を調製した後、この鋳塊を、熱間加工、線引き加工等して、所定の寸法及び形状に加工して、線材、棒材等を作製する。このようにして作製した線材、棒材等の一端部を押出し加工して突起部及び穴部を形成し、接地電極原体を作製する。
例えば、所望の穴部を形成することのできるパンチ具を、接地電極6としたときに外側表面となる線材、棒材等の表面から略垂直に押圧して、接地電極6としたときの突起部を前記表面に背中合わせになっている裏面から押出すことによって、接地電極としたときの突起部及び穴部を有する接地電極原体を作製することができる。このようにして接地電極原体を作製するには、非特許文献1に記載された方法、パンチ具を備えた公知の押出加工機を用いた方法等がある。前記接地電極原体を好適に作製することのできる押出加工機としては、例えば、前記パンチ具と、パンチ具が貫通する貫通孔を有する板状の押え型と、前記線材、棒材等を収容する溝状の収容部及びこの収容部内に設けられた貫通孔を有し、前記押え型が上面に配置される受け型と、前記受け型の貫通孔に挿入される受けピンとを備えた押出加工機等を挙げることができる。この押出加工機を用いて接地電極原体を作製するには、具体的には、前記線材、棒材等を収容部に収容した前記受け型の上面に前記押え型を重ね合わせて固定し、押え型の貫通孔から前記線材、棒材等に前記パンチ具を押圧することができ、これによって、前記受け型の貫通孔から接地電極6としたときの突起部が前記受けピンで受けつつ押し出される。このとき、前記パンチ具形状及び寸法を調整することによって前記穴部の形状及び寸法を調整することができ、また、前記受け型の貫通孔及び/又は前記受けピンの形状及び寸法を調整することによって突出部の形状及び寸法を調整することができる。このように、突起部を押出し加工して形成するには、線材、棒材等から押出された突起部を受けて保持する受ピン等を、線材の下方に所定の間隔をおいて前記パンチ具と対向するように配置して、押出された突起部を保持するのが好ましい。この接地電極原体の他端部を、所定の形状に塑性加工等によって形成した主体金具4の端部に、溶接等によって接合する。
中心電極2は、前記材料で成形した内材2Bを前記材料でカップ状に形成した外材2Aに挿入し、押出し加工等の塑性加工にて、作製することができる。次いで、セラミック等を所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、作製した中心電極2を絶縁体3に公知の手法により組み付け、接地電極6が設けられた主体金具4にこの絶縁体3を組み付ける。そして、接地電極原体の先端部を中心電極2側に折り曲げて、突起部が中心電極2の先端部と対向するようにして、接地電極6を形成する。このようにしてこの発明に係るスパークプラグを製造することができる。
この発明に係るスパークプラグは、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部5が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグは、如何なる内燃機関にも使用することができ、特に、低コスト化される内燃機関、高い着火性が要求される内燃機関等に好適に使用することができる。
さらに、この発明において、スパークプラグは中心電極の先端部に貴金属チップを備えていてもよい。この貴金属チップは、通常、柱形状を有し、適宜の寸法に調整され、適宜の溶接手法例えばレーザ溶接又は電気抵抗溶接により中心電極に溶融固着される。貴金属チップを形成する材料は、例えば、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金等の貴金属が挙げられる。
(実施例1)
通常の真空溶解炉を用いて、Ni基合金の溶湯を調製し、真空鋳造にて各溶湯から鋳塊を調製した。その後、この鋳塊を、熱間加工、線引き加工して、断面寸法1.3×2.7(mm)の角柱体をなす線材を作製した。次いで、円柱状のパンチ具を用いて、前記線材の一端部を押出し加工して、図9(a)に示される円柱状の突起部21と、その輪郭が円柱状を成す有底の穴部31とを前記線材に形成した。このようにして接地電極原体を作製した。このとき、突起部及び穴部が形成されていない内側表面と外側表面との距離(以下、「外側厚み」と称することがある。)が1.5mmとなり、穴部の容積が2.9cmとなるように、調整した。
次いで、図1(b)に示されるような、銅からなる円柱状の内材2Bと、Ni合金でカップ状に成形した外材2Aとをそれぞれ作製した。このようにして作製した内材2Bを外材2Aに挿入し、押出し加工等の塑性加工にて、内材2Bと外材2Aとからなる直径4mmの中心電極2を作製した。次いで、所定の形状及び寸法に塑性加工によって低炭素鋼で形成した主体金具4の端面に前記接地電極原体の他端部を溶接した。次いで、アルミナを主成分とするセラミックを所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、中心電極2を絶縁体3に組み付け、さらに、接地電極原体が設けられた主体金具4にこの絶縁体3を組み付けた。次いで、接地電極原体の先端部を中心電極2側に折り曲げて、前記突起部が中心電極2の先端部と対向するようにして、接地電極6を形成した。このようにして各スパークプラグを製造した。
作製したスパークプラグにおける接地電極の形状は、図10(a)〜(d)に示す通りである。図10(a)に示した接地電極6は、図2(a)に示した接地電極6と同一であり、図10(b)に示した接地電極71は、接地電極6のテーパ部を曲面に設計変更した接地電極であり、図10(c)に示した接地電極10Cは、穴部にテーパ部を設けていないこと以外は接地電極6と同様に作製した接地電極であり、また、図10(d)に示した接地電極71は、図3(b)に示した接地電極71と同一である。
<突起部形成の判定>
突起部が精確に形成されているかを判定した。突起部における先端面の周縁部がR≧0.05であるときに、突起部が精確に形成されておらず、寸法制度が劣っていると判定することとした。具体的には、図9(b)に示す接地電極6Bのように、突起部21Aにおける先端面の周縁部E、すなわち第1ストレート部41Bの周側面と突起部21Aの先端面とが交わる部位Eが、稜を有していない場合には、突起部の形成が精確でないと判定することとした。前記周縁部のRの測定は、投影機を用いて行うこととした。表1に判定結果を示しており、R≧0.05を満たす試料は「×」を示し、R≧0.05を満たさない試料は「○」を示した。
<クラック発生率>
各スパークプラグ20検体における接地電極の突起部近傍及び穴部の底面に、亀裂等が存在しているか否かを目視で確認し、20検体のうち1箇所でもクラックが発生している検体があった場合には、クラックが発生したと判断した。表1に判定結果を示しており、クラックが発生した試料は「×」を示し、クラックが発生しなかった試料は「○」を示した。
<加熱振動試験>
作製したスパークプラグのうち、図10(a)〜(c)に示すスパークプラグについて、加熱及び振動に対する耐久性を評価することとした。先ず、試料の外側サイズを1.5mm×2.8mm、穴部の深さ1mm、平面形状が円形の穴部直径1.7mm、平面形状が円形の突起部直径1.5mm、突起部の突出長さ0.7mmとなるように設計した。更に、図10(a)に示す接地電極6のテーパ部は、図4及びその説明において定義した距離a及び距離bが共に0.1mmとなるようにした。また、図10(b)に示す接地電極71の穴部における曲面は、曲率半径が0.1mmとなるようにした。試験方法は、各種スパークプラグを冶具に取付け、バーナーで加熱した状態で振動させた。振動幅は5mm、振動周波数は40Hz、加速度28G、外部環境温度1000℃という条件を20分間維持した後、試料の状態を目視で確認することとした。表1に結果を示しており、クラック等の発生が認められず、外観に異常が無かった試料には「○」を示し、穴部近傍及び穴部の底面にクラックが発生していた試料には「△」を示し、接地電極の先端部近傍が穴部の中心軸線に略平行に折損していた試料には「×」を示した。
Figure 0005175930
表1に示されるように、穴部が第2ストレート部とテーパ部とを有していると、クラック及び折損の発生を抑制することができる。クラック及び折損の発生を抑制することにより、スパークプラグの使用に因る絶縁破壊等を防止することができ、結果としてスパークプラグの耐久性を確保することができる。また、穴部の側面が全てテーパ部であると、突起部が精確に形成されにくく、寸法精度が低下する。寸法精度が高い突起部を備えるスパークプラグは、突起部における火花の形成が阻害され難いので、良好な着火性を有する。
(実施例2)
前記実施例1と同様の作製方法により、スパークプラグを作製した。ここで作製したスパークプラグは、2種類であり、一方は図5(a)に示す突起部21の軸線方向に直交する断面が円形である接地電極6を備えたスパークプラグであり、他方は図5(c)に示す突起部26Aの軸線方向に直交する断面が矩形であり、突起部の第1ストレート部表面に稜を有する接地電極10Aを備えたスパークプラグである。
<ブレイクダウン電圧>
接地電極6及び接地電極10Aのブレイクダウン電圧を測定した。ブレイクダウン電圧の測定装置は、図11に示す装置を用いることとした。図11に示す測定装置は、スパークプラグPの接地電極が設けられている一端部を密閉することのできるチャンバー81内に装入すると共に、スパークプラグの他端部を点火コイル82に接続する。スパークプラグにかかる電圧を測定することができるように電圧プローブ83(日本テクトロニクス株式会社製)とオシロスコープ(日本テクトロニクス株式会社製)とをスパークプラグに接続する。なお、測定試料であるスパークプラグの寸法は、火花放電間隙Gが1.1mm、突起部の突出長さAが0.7mm、突起部の先端面の面積が1.7mmとなるように設計した。
オシロスコープ84で観測される波形を図12に示した。図12においては、測定値が大きく下がったときがチャンバー81内で放電し始める放電開始点Xであり、測定値が基準値に戻るときがチャンバー81内で放電を停止する放電終了点Yである。図12に示されるオシロスコープ84の波形において、ブレイクダウン電圧は放電開始点Xにおける電圧Zである。ブレイクダウン電圧の測定結果は、図13にグラフとして示した。図13における「丸形状」は、前記接地電極6の突起部が円形であることを示し、「角形状」は、前記接地電極10Aの突起部が矩形であることを示している。
図13に示されるように、接地電極6と接地電極10Aとのブレイクダウン電圧を比較すると、突起部の第1ストレート部表面に稜を有する接地電極10Aの方が、相対的にブレイクダウン電圧が低いことが分かる。ブレイクダウン電圧が低いと、電極消耗量が小さく、絶縁体が火花で貫通する可能性も低減されることになる。
(実施例3)
前記実施例1と同様の作製方法により、スパークプラグを作製した。ここで作製したスパークプラグは、2種類であり、一方は図14(a)に示す突起部26Cにおいて接地電極の基端側が曲面であり、突端側に2本の稜101C及び101Cが設けられて成る接地電極10Dを備えたスパークプラグであり、他方は図14(b)に示す突起部21の軸線方向に直交する断面が円形である接地電極6を備えたスパークプラグである。なお、測定試料であるスパークプラグにおいて、突起部の先端面の面積は1.5mmとなるように設計した。
<着火性試験>
このようにして製造した各スパークプラグを排気量2000ccの6気筒ガソリンエンジンに組み付けて始動し、吸気圧−550mmHg、750rpm、空燃比(A/F)14.5でアイドリング運転した。このときの燃焼圧力から図示平均有効圧力(IMEP)を求め、各スパークプラグにおける500データの平均値と標準偏差とを算出して、燃焼変動率((標準偏差/平均値)×100)を算出した。燃焼変動率20(%)時の点火時期を「Advance Limit(°CA)」として求めた。その結果を図15にグラフとして示す。図15に示す結果のうち、「丸+角」は、図14(a)に示す接地電極10Dを備えたスパークプラグを示し、「丸」は、図14(b)に示す接地電極6を備えたスパークプラグを示す。「Advance Limit(°CA)」は、その数値が大きいほど、スパークプラグの着火性が優れていることを表わす。
図15に示されるように、突起部の周側面が曲面のみから成る態様に比べて、突起部の周側面が曲面だけでなく、接地電極の先端部側に角を有している態様の方が、接地電極の先端部側で火花が飛び易くなる。接地電極の先端部側で火花が飛ぶと、火炎の成長を妨げる障害が少なくなるので、着火性が向上することが分かる。
(参考実験例1)
前記実施例1と同様の作製方法により、スパークプラグを作製した。ここで作製したスパークプラグは、2種類であり、図6に示す接地電極8又は接地電極9を備えたスパークプラグである。図16に示す接地電極9の穴部35の各部位における寸法としては、c=1.7mm、d=1.7mm、e=1.5mm、f=1mmとした。接地電極8は、図16に示す穴部35のcとeとを入れ替えた寸法とした。また、図16には図示していないが、接地電極8及び接地電極9は平面形状が矩形の突起部を設けることとし、その寸法としては1.3mm×1.3mm、突出長さを0.7mmとした。
<加熱試験>
接地電極が昇温するときに、最薄肉部を設ける位置によって生じる温度上昇の差異を評価した。試験方法としては、スパークプラグを水冷チャンバーに取付けた上で、図16に示す接地電極9の測温部位gが1000℃で安定するまでバーナーで約5分間加熱した。更に同一の加熱条件で接地電極8を加熱しつつ、接地電極8における測温部位gの温度を測定した。
測温の結果、接地電極9は1000℃まで昇温したのに対して、接地電極8は980℃までしか昇温しなかった。つまり、最薄肉部は接地電極の基端側に設けるよりも先端部側に設ける方が昇温し難かった。したがって、接地電極の先端部側に最薄肉部を設けると、熱による接地電極の劣化を防止することができ、結果としてスパークプラグの熱に対する耐久性を確保することができる。
なお、図14(a)に示す接地電極10D及び図14(b)に示す接地電極6には、穴部の輪郭線と外側表面の輪郭線とが最接近する最薄肉部が存在しているが、接地電極の先端部から基端部に向けて熱が移動し易いのは接地電極10Dである。仮に、接地電極10Dと接地電極6との最薄肉部の寸法を同一とした場合、先端部から基端部に向けて熱が移動するときに、接地電極6は先端部側からの熱の流れが最薄肉部によって妨げられるのに対して、接地電極10Dは最薄肉部が熱の流れに対して平行に形成されているので熱の流れを妨げ難い。
(実施例4)
図2に示される形状をなす突起部及び穴部を有する接地電極原体を実施例1と基本的に同様にして押出し加工で作製し、実施例1と同様にして、前記B突出方向距離Bが0.3mm以上で前記最短距離Cが0.4mm以上のスパークプラグを複数検体作製した。

<冷熱耐久試験>
このようにして製造した亀裂等のない各スパークプラグを排気量2000ccの6気筒ガソリンエンジンに組み付けて、5,000rpmの運転1分間と、アイドリング運転1分間を交互に、100時間行った。この後に、スパークプラグをガソリンエンジンから取り外して、接地電極の突起部近傍に亀裂等が発生したか否かを目視で確認し、クラックの発生率((クラック発生検体数/試験検体数)×100(%))を求めた。その結果を図17に示す。
図17に示されるように、穴部の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と開口投影面積S2とが関係式:S4<S1<S2を満足すると、前記促進試験においても、接地電極にクラックが発生することなく、接地電極がより一層高い耐久性能を発揮することができることが分かった。
以下に、この発明に係るスパークプラグが、中心電極の先端と対向して火花放電間隙を形成するように屈曲され、前記中心電極に面する内側表面を有する接地電極を備えて成るスパークプラグであって、前記接地電極は、押出し加工によってその先端部に形成された突起部及び穴部を有し、前記突起部は、前記内側表面から前記中心電極の先端に向けて突出して形成され、前記内側表面からの突出長さAが0.4〜1mmであり、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記突起部の幅が前記突起部の中心軸線方向に一定の長さになるように形成された第1ストレート部を有し、この第1ストレート部は前記突起部の中心軸線に直交する面における第1ストレート部投影面積S1が1.5〜3mmであり、前記穴部は、前記内側表面の反対側に位置する外側表面に開口する開口部を有し、前記開口部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記開口部を投影したときに仮想される前記開口部の輪郭線の内側に、前記仮想平面に前記突起部を投影したときに仮想される前記第1ストレート部の輪郭線が含まれるように、かつ、前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部の開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)が小さくても1.2となる、という特徴を備えている場合において、従来技術との比較を参考例として示す。
(参考例1及び参考比較例1)
通常の真空溶解炉を用いて、Ni基合金の溶湯を調製し、真空鋳造にて各溶湯から鋳塊を調製した。その後、この鋳塊を、熱間加工、線引き加工して、断面寸法1.3×2.7(mm)の角柱体をなす線材を作製した。次いで、円柱状のパンチ具を用いて、前記線材の一端部を押出し加工して、図18に示される円柱状の突起部と、図18に示される円柱状を成す有底の穴部とを前記線材に形成した。このようにして接地電極原体を作製した。このとき、前記パンチ具等の寸法及び押出し量を変更して、突起部の突出長さA及び断面積S1、並びに、突起部と穴部との前記面積比(S2/S1)を、図19に示される値となるように、調整した。具体的には、1.3、1.5、2.5、3.0又は3.5(mm)の断面積S1を有する突起部を押出して、突起部の突出長さAを0.2、0.3、0.4、0.7、0.8、1.0又は1.2(mm)に調整した。また、突起部と穴部との前記面積比(S2/S1)を0.9、1.0、1.1、1.2又は1.3に調整した。
次いで、図18(b)に示されるような、銅からなる円柱状の内材2Bと、Ni合金でカップ状に成形した外材2Aとをそれぞれ作製した。このようにして作製した内材2Bを外材2Aに挿入し、押出し加工等の塑性加工にて、内材2Bと外材2Aとからなる直径4mmの中心電極2を作製した。次いで、所定の形状及び寸法に塑性加工によって低炭素鋼で形成した主体金具4の端面に前記接地電極原体の他端部を溶接した。次いで、アルミナを主成分とするセラミックを所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、中心電極2を絶縁体3に組み付け、さらに、接地電極原体が設けられた主体金具4にこの絶縁体3を組み付けた。次いで、接地電極原体の先端部を中心電極2側に折り曲げて、前記突起部が中心電極2の先端部と対向するようにして、接地電極10Cを形成した。このようにして各スパークプラグを製造した。図18に示す接地電極10Cは、穴部36以外は接地電極6と同様の構成として作製した。
<着火性試験>
上述した着火性試験と同様の試験方法を採用した。その結果を前記断面積S1別に図19に示す。
<火花消耗試験>
各スパークプラグを排気量2000ccの6気筒ガソリンエンジンに組み付けて、400時間にわたって、スロットル全開状態、エンジン回転数5000rpmにて運転を行った。この後に、スパークプラグをガソリンエンジンから取り外して、各スパークプラグにおける火花放電間隙の増加量(図20において「Gap増加量」と表記する。)を測定した。その結果を前記断面積S1別に図20に示す。
<クラック発生率>
各スパークプラグ20検体における接地電極の突起部近傍に亀裂等が存在しているか否かを目視で確認し、面積比(S2/S1)別にクラックの発生率((クラック存在数/20)×100(%))を求めた。その結果を前記面積比(S2/S1)別に図21に示す。前記面積比(S2/S1)が1.2未満であると突起部が欠肉することがあった。
図19〜図21に示されるように、スパークプラグが備えている接地電極が前記特徴を有していると、接地電極が従来のNi基合金から押出し加工で形成されても、着火性と耐久性とを両立できることが分かった。
(参考例2)
押出し加工における前記パンチ具の押出し量を変更して、図18に示される突起部及び穴部を有する接地電極原体を10検体ずつ作製した。作製した接地電極原体は、前記突出長さA、前記断面積S1及び前記面積比(S2/S1)それぞれが本願発明の範囲内にあり、かつ、前記突出方向距離Bが0.2、0.3、0.4又は0.5(mm)であって前記最短距離Cが0.2、0.3、0.35又は0.4(mm)であった。これらの接地電極原体を用いて参考例1と同様にして各スパークプラグを10検体ずつ作製した。
このようにして製造した各スパークプラグにおける接地電極の突起部近傍に亀裂等が存在しているか否かを目視で確認し、クラックの発生率((クラック存在数/10)×100(%))を求めた。その結果を前記最短距離C別に図22に示す。
図22に示されるように、前記突出方向距離B及び前記最短距離Cが前記範囲にあると、クラックの発生率(%)をより一層小さくすることができ、接地電極がより一層高い耐久性能を発揮できることが分かった。
(参考例3)
前記開口面積S2、前記断面積S1、前記突出長さAを変更して、形成される穴部の容積と突起部の体積とを調整して、前記体積比(V2/V1)が異なる各接地電極原体を参考例1と同様にして作製した。作製した各接地電極原体において、突起部の先端部近傍の形状と接地電極原体における突起部近傍の亀裂の有無とを目視で確認した。その結果、前記体積比(V2/V1)が1.2未満であると、突起部の先端部近傍に曲率半径が0.05mm以上の曲面部が形成されることがあった。突起部の先端部近傍にこのような曲面部が形成された接地電極を備えたスパークプラグは、前記曲面部が形成されていない接地電極を備えたスパークプラグよりも火花放電圧がわずかに高くなることが推測される。一方、前記体積比(V2/V1)が2.0を超えると、接地電極原体における突起部よりも先端部側がわずかに変形して突起部近傍に微小な亀裂が発生することがあった。このような微小な亀裂を有する接地電極を備えたスパークプラグは、亀裂がない接地電極を備えたスパークプラグよりも耐久性がわずかに低下することが推測される。したがって、前記体積比(V2/V1)が前記範囲内にある接地電極を備えたスパークプラグは、より一層高い着火性能及び耐久性能を発揮することができることがわかった。
ここで、図10(b)に示した接地電極71について、更なる参考例として図23を参照しつつ説明する。接地電極71と前記接地電極6との相違点は、移行部の形状である。図2(a)に示す接地電極6の移行部67はテーパ部55であったのに対して、図23に示す接地電極71の移行部は曲面部57である。接地電極71において曲面部57を有する穴部37以外については、接地電極6と同様に形成されているので、同一の番号を付すこととした。なお、接地電極6と同様の番号を付した接地電極71における突起部21等の詳細な説明は、省略することがある。
接地電極71における曲面部57は、穴部37の中心軸線を含む断面において、第2ストレート部58の輪郭線から底面部66Aの輪郭線へと湾曲する曲線の輪郭線を有する部位である。また、第1ストレート部投影領域42が開口部投影領域54の内側に含まれている。したがって、製造過程において押し出し加工に起因する亀裂及び成形不良が発生し難いだけでなく、接地電極71は、高い着火性能及び高い耐久性能を発揮することができる。
続いて、別の参考例として図24に接地電極10Gを示す。接地電極10Gは、図23に示した接地電極71における穴部37と、図8(a)に示した接地電極10Eにおける突起部23及び突起部元部43とを備えている。上述したように、突起部元部43は、第1ストレート部41Aと内側表面11との間に0.1〜0.3mmの曲率半径を有している。このように接地電極10Gは前記特徴を有しているから、安価に製造されることができ、貴金属チップに代わる突起部23を押出し加工で形成しても高い着火性及び耐久性を発揮することができる。
接地電極71及び接地電極10Gは、接地電極6と同様に、0.4〜1mmの突出長さA、1.5〜3mmの第1ストレート部投影面積S1、及び、1.2以上の第1ストレート部投影面積S1と開口部51Aの開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)を有している。更に、接地電極71及び接地電極10Gは、距離Bが0.3mm以上であり、距離Cが0.4mm以上である。また、接地電極71及び接地電極10Gは、穴部37の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部投影面積S2とが、S4<S1<S2を満たし、突起部の体積V1と穴部37の内容積V2との比(V2/V1)が1.2〜2の範囲内である。これらの特徴を満たす接地電極71及び接地電極10Gは、上記参考例1〜3と同様に、従来におけるスパークプラグに比べると、高い着火性能及び耐久性能を発揮することができる。
1 スパークプラグ
2 中心電極
2A 外材
2B 内材
3 絶縁体
4 主体金具
5 ネジ部
6、6A、6B、7、71、8、9、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G 接地電極
11 内側表面
12 外側表面
13 先端部
21、21A、22、23、24、25、26、26A、26B、26C 突起部
31、32、33、34、35、36、37 穴部
41、41A、41B 第1ストレート部
42 第1ストレート部投影領域
43 突起部元部
51、51A 開口部
52、56、65 角部
53、58 第2ストレート部
54 開口部投影領域
55、59 テーパ部
57 曲面部
61、63、63A 交点
62、64 最近点
66、66A 底面部
67 移行部
81 チャンバー
82 点火コイル
83 電圧プローブ
84 オシロスコープ
101A、101B、101C 稜
B1、B2 突出方向距離
C1、C2 最短距離
E 周縁部
G 火花放電間隙
P スパークプラグ
X 放電開始点
Y 放電終了点
Z ブレイクダウン電圧
a、b 距離
c、d、e、f 寸法
g 測温部位

Claims (8)

  1. 中心電極の先端と対向して火花放電間隙を形成するように屈曲され、前記中心電極に面する内側表面を有する接地電極を備えて成るスパークプラグであって、
    前記接地電極は、押出し加工によってその先端部に形成された突起部及び穴部を有し、
    前記突起部は、前記内側表面から前記中心電極の先端に向けて突出して形成され、前記内側表面からの突出長さAが0.4〜1mmであり、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記突起部の幅が前記突起部の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように形成された第1ストレート部を有し、この第1ストレート部は前記突起部の中心軸線に直交する面に投影された面積である第1ストレート部投影面積S1が1.5〜3mmであり、
    前記穴部は、前記内側表面の反対側に位置する外側表面に開口する開口部と、前記穴部の中心軸線を含む断面における相対向する面の間隔が前記穴部の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように形成された内壁面を有する第2ストレート部と、底面部と、前記第2ストレート部から前記底面部へと移行する移行部とを有し、
    前記開口部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記開口部を投影したときに仮想される前記開口部の輪郭線の内側に、前記仮想平面に前記突起部を投影したときに仮想される前記第1ストレート部の輪郭線が含まれるように、かつ、前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部の開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)が小さくても1.2となるように、形成され、
    前記移行部は、前記穴部の中心軸線を含む断面において、前記第2ストレート部の輪郭線の端部から底面部の輪郭線の端部へと向う直線の輪郭線を有するテーパ部で形成されて成り、
    前記穴部の中心軸線を含む断面において、前記底面部の輪郭線と前記テーパ部の輪郭線との交点から、前記第2ストレート部の輪郭線と前記底面部の輪郭線とを交わるように延長したときの交点までの距離aが0.1mm以上であると共に、前記第2ストレート部の輪郭線と前記テーパ部の輪郭線との交点から、前記第2ストレート部の輪郭線と前記底面部の輪郭線とを交わるように延長したときの交点までの距離bが0.1mm以上であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に、前記穴部の前記底面部と前記第1ストレート部と前記穴部の前記開口部とを、投影して形成される前記穴部の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部投影面積S2とが、
    関係式:S4<S1<S2
    を満足することを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 中心電極の先端と対向して火花放電間隙を形成するように屈曲され、前記中心電極に面する内側表面を有する接地電極を備えて成るスパークプラグであって、
    前記接地電極は、押出し加工によってその先端部に形成された突起部及び穴部を有し、
    前記突起部は、前記内側表面から前記中心電極の先端に向けて突出して形成され、前記内側表面からの突出長さAが0.4〜1mmであり、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記突起部の幅が前記突起部の中心軸線方向に沿って一定の長さになるように形成された第1ストレート部を有し、この第1ストレート部は前記突起部の中心軸線に直交する面に投影された面積である第1ストレート部投影面積S1が1.5〜3mmであり、前記第1ストレート部の表面に少なくとも1本の稜を有し、
    前記穴部は、前記内側表面の反対側に位置する外側表面に開口する開口部と底面部とを有し、
    前記開口部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記開口部を投影したときに仮想される前記開口部の輪郭線の内側に、前記仮想平面に前記突起部を投影したときに仮想される前記第1ストレート部の輪郭線が含まれるように、かつ、前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部の開口部投影面積S2との面積比(S2/S1)が小さくても1.2となるように、形成され
    前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に、前記穴部の前記底面部と前記第1ストレート部と前記穴部の前記開口部とを、投影して形成される前記穴部の投影底面積S4と前記第1ストレート部投影面積S1と前記開口部投影面積S2とが、
    関係式:S4<S1<S2
    を満足することを特徴とするスパークプラグ。
  4. 前記突起部の前記第1ストレート部は、前記接地電極の基端側表面が曲面であることを特徴とする請求項3に記載のスパークプラグ。
  5. 前記穴部の中心軸線に直交し、かつ前記外側表面と平行な接地電極の断面において、
    前記穴部の輪郭線と前記接地電極の輪郭線とが最接近して成る最薄肉部が存在し、
    前記最薄肉部が、前記接地電極の先端部側に位置する請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記突起部の中心軸線を含む断面における前記第1ストレート部の輪郭線を前記突起部の中心軸線に沿って延長した仮想直線が前記穴部の輪郭線と交差する交点と、前記突起部の中心軸線を含む断面における前記第1ストレート部の直線状の輪郭線において前記接地電極の内側表面の輪郭線に最も近接する端部である最近点との距離Bが小さくとも0.3mmであり、
    前記穴部の中心軸線を含む断面における前記穴部の底面部を示す輪郭線の端部である角部と、前記角部に近い方の前記最近点との距離Cが小さくても0.4mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  7. 前記突起部は、前記内側表面と前記第1ストレート部との間に、前記突起部の中心軸線を含む断面において、前記第1ストレート部の輪郭線から前記内側表面の輪郭線へと湾曲する曲線の輪郭線を有する突起部元部を備えてなり、
    前記突起部元部は、前記第1ストレート部と前記内側表面との間に0.1〜0.3mmの曲率半径を有し、
    前記突起部元部は、前記突起部の突出方向に直交する仮想平面に前記穴部の開口部を投影したときに仮想される開口部の輪郭線の内側に、前記突起部の突出方向に直交する前記仮想平面に前記突起部元部を投影したときに仮想される突起部元部の輪郭線が含まれるように、形成されて成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  8. 前記突起部の体積V1と前記穴部の内容積V2との比(V2/V1)が1.2〜2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
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