JP5170884B2 - 光ファイバテープ心線 - Google Patents
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これに対して、光ファイバ及び光ファイバテープ心線の多くは紫外線硬化樹脂によって被覆されているが、一般的な紫外線硬化樹脂被覆層は難燃性ではない。そこで、紫外線硬化樹脂被覆光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線に難燃性を付与するためには、例えば一層または複数層の紫外線硬化樹脂被覆層で被覆し、束状にされたこれら複数の光ファイバ心線のさらに外側を難燃性ポリ塩化ビニル(PVC)あるいは難燃性ポリエチレン(PE)等のいわゆる難燃性熱可塑樹脂からなる最外被覆層で被覆する必要があった(例えば、特許文献1参照)。
1)製造工程が1工程増えて生産性が低下する。
2)熱可塑性樹脂からなる被覆層は押出被覆により形成するため、被覆厚を薄くするのには限界があり、その結果光ファイバテープ心線の心線断面積が大きくなり、機器内配線において小スペースに収納する場合、曲げ径を小さくできない。
また、前記難燃紫外線硬化樹脂としてはハロゲン化エポキシ樹脂を含む被覆材が一例として挙げられる(特許文献4)。しかし、このような樹脂を含む被覆材の場合、炎に曝されると燃焼時に塩化水素ガス等の有害ガスを発生するおそれが生じ、環境負荷の低減という観点からは好ましくない。
一方、前記難燃紫外線硬化樹脂として実質的にハロゲンを含まない被覆材も提案されている(特許文献5)。
なお、図1では、光ファイバ心線12同士が接触して配置された光ファイバテープ心線を示しているが、光ファイバ心線12同士は非接触の状態で配置してもよい。また、光ファイバ心線12の本数は4本に限定されない。
難燃性物質Aおよび難燃性物質Bはいずれもハロゲンを含まない。
難燃性物質Aとしては、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシド類、難燃性窒素含有へテロ環状エチレン性不飽和化合物、リン含有アクリレート、メタクリレート官能性オリゴマー、及びこれらの混合物がある。
また、第2テープ被覆のみに含まれる難燃性物質Bとしては、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属酸化物、及びこれらの混合物がある。
難燃性物質Bとしては、アンチモン、ホウ素、スズ、モリブデン、リン、アルミニウム、マグネシウム、及び亜鉛のような元素を用いることができる。これらの元素は、たとえば未硬化の紫外線硬化樹脂に、酸化物、水酸化物、及び炭酸塩として、また、当酸化物、水酸化物及び炭酸塩の水和物として含ませることができる。
金属酸化物としては、アルミナ3水和物としても知られている3水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどがある。酸化アンチモン、3酸化アンチモン、5酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、及び酸化アンチモン類の水和物、酸化モリブデン類、炭酸カルシウム、酸化スズ、スズ酸亜鉛、水酸化スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、及びメタホウ酸バリウムのような他の金属酸化物も適している。
なお、難燃性物質Bは、粒径の表面への浮き出しを小さく抑え、かつ光ファイバ心線のマイクロベンドロスの発生を抑制する観点から、小粒径の顔料分散体として含ませることが好ましい。
ただし、当然ながら、当該リン含有ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのみならず、別の種類の難燃性物質Aを加えることもできる。このように別の種類の難燃性物質Aをさらに加えた場合は、より確実な難燃性を得ることができる。
なお、第2テープ被覆、第3テープ被覆は、表1に示すように、照射硬化性モノマー及びオリゴマーからなるウレタンアクリレートベースの非難燃紫外線樹脂に難燃剤を混合して形成した。
比較例2、および比較例4は、第1テープ被覆、第3テープ被覆を有さず、第2テープ被覆のみを形成した1層構造とした以外は、実施例およびその他の比較例と同様にして光ファイバテープ心線を製造した。
なお、実施例、比較例に例示した光ファイバテープ心線の試験方法は以下の通りである。
各実施例、比較例につき2本ずつ光ファイバテープ心線を用意し、光ファイバテープ心線の先端にコネクタを取り付け、コネクタ接続し、接続損失を測定した。4本の光ファイバの接続損失の平均値を表1に記す。なお、接続損失は波長(λ)1.30μmのLD光を光ファイバテープ心線の一端側から入射し、コネクタ接続部を介した場合とコネクタ接続部を介さず、同長さの1本の光ファイバテープ心線とした場合の光ファイバテープ心線の他端からの出射光を光パワメータで測定し、その差を算出することによりて得た。
コネクタ接続部にはJIS規格C5981に規定されるMTコネクタの4心タイプ(古河電気工業(株)社製)を用いた。該コネクタは2本のガイドピンによりフェルール内の光ファイバを精密位置決めして突き合わせ、クリップで一定の押し圧をかけることにより、安定した接続状態を確保する構造になっている。
JIS規格C5961に規定される、フェルールの中心軸と光ファイバのコア中心軸との距離の2倍として定義されるものである。測定方法はフェルール外径基準方法とした。
胴(外径:1m)の部分にJISで規定する#1000のサンドペーパを貼りつけ、ここに、100gの巻き付け張力で光ファイバテープ心線11を1層(約500mの長さ)に巻き付ける。ついで、巻き付けてから30分以内にカットバック法(例えば 大久保勝彦著、ISDN時代の光ファイバ技術、理工学社、1989年、第(3−15)〜(3〜16)頁を参照)により測定波長1550nmにおける伝送損失(L1)を測定する。
一方、同じ光ファイバテープ心線の束状態(ボビンに巻き付けていない状態で約1000m)につき、同じくカットバック法で測定波長1550nmで伝送損失(L2) を測定する。
そして、L1−L2をそれぞれの心線に対して計算し、その値を損失増加分とする。この値が小さいほど、その光ファイバは対側圧特性に優れている。尚、表1、表2では光ファイバテープ心線に含まれる4心の損失増加分の平均値を示している。
JIS規格B0601における算術平均粗さ(Ra)を意味しており、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して平均した値である。窒素雰囲気下でUV硬化(メタルハライドランプ 240W/cm)によって厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成し、測定を行った。なお、3層構造の場合は、1次テープ被覆と2次テープ被覆を厚さ50μmずつ積層し、約100μmのフィルム状の試料とし、2次テープ被覆表面側の表面粗さを測定した。
UL規格(UL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験方法」)に準じ、燃焼性試験を行い判断した。「VTM-1」、「VTM-2」は以下の燃焼程度を示す基準である。
表面粗さを測定した資料と同様の厚さ約100μmのフィルム状の試料を円筒型に保持し、1組5枚の試料に対して各試料につき3秒間の接炎を2回行い、その場合の燃焼時間の合計、燃焼距離、により下記の如く、クラス分類する。VTM-1は、VTM-2よりも燃焼しにくいことを意味する。
燃焼クラス判定基準 VTM-0 VTM-1 VTM-2
各試料の残炎燃焼時間 ≦10秒 ≦30秒 ≦30秒
5枚の試料の燃焼時間合計 ≦50秒 ≦250秒 ≦250秒
第2回接炎後の残炎時間+無炎燃焼時間 ≦30秒 ≦60秒 ≦60秒
滴下物による綿への着火の有無 なし なし あり
125mm標線までの残炎又は無炎燃焼の有無 なし なし なし
また、比較例1〜4では難燃性がVTM-0に合格せず、本発明の実施例に比べて劣る結果となっている。これはシリコーン樹脂層または難燃性物質Aまたは難燃性物質Bのいずれかが配合されていないため、難燃性が十分に改善されるに至っていないことを示している。さらに比較例2では、難燃性物質Bを含む第1テープ被覆のみを形成しているため、コネクタ接続に際してテープ層表面の凹凸が影響して接続損失及び同心度が低下している。比較例4に至っては、難燃性が全く認められない。
12…光ファイバ心線
13…第1テープ被覆
14…第2テープ被覆
15…第3テープ樹脂
16…ガラス光ファイバ
17…1次被覆層
18…2次被覆層
19…着色層
Claims (8)
- ガラス光ファイバの外周に被覆を有する光ファイバ心線を平行に並べテープ被覆によって一括被覆した光ファイバテープ心線であって、
前記テープ被覆は前記光ファイバ心線を被覆する第1テープ被覆と、前記第1テープ被覆の外周を被覆する第2テープ被覆と、前記第2テープ被覆の外周を被覆する第3テープ被覆からなり、
前記第1テープ被覆は、ヤング率が0.6MPa以上の紫外線硬化型シリコーン組成物からなり、
前記第2テープ被覆及び前記第3テープ被覆が、照射硬化性モノマー及びオリゴマーに、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシド類、難燃性窒素含有へテロ環状エチレン性不飽和化合物、リン含有アクリレート、メタクリレート官能性オリゴマー、及びこれらの混合物のうち少なくとも一つの難燃性物質Aを加えた紫外線硬化樹脂からなり、
前記第2テープ被覆14のみが、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属酸化物、及びこれらの混合物のうち少なくとも一つの難燃性物質Bをさらに含む紫外線硬化樹脂からなることを特徴とする光ファイバテープ心線。 - 前記第1テープ被覆及び前記第2テープ被覆及び前記第3テープ被覆が実質的にハロゲンを含まない難燃性の紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバテープ心線。
- 前記難燃性物質Bが、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバテープ。
- 前記難燃性物質Aが、リン酸エステル又はホスホン酸エステル、トリフェニルホスフェート、ジエチルエチルホスホネート、トリス(2−シアノエチル)ホスフィンオキシド、及びこれらの混合物のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載光ファイバテープ心線。
- 前記難燃性物質Aが、エチレン性不飽和リン含有ウレタンオリゴマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載光ファイバテープ心線。
- 前記光ファイバテープ心線の表面粗さが5.0nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載光ファイバテープ心線。
- 前記第1テープ被覆のヤング率が30MPa以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の光ファイバテープ心線。
- 前記第1テープ被覆のヤング率が3MPa以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の光ファイバテープ心線。
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