以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図10を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板として用いられるマイクロレンズアレイ板20とが対向配置されている。尚、TFTアレイ基板10は、本発明に係る「第1基板」の一例であり、マイクロレンズアレイ板20は、本発明に係る「第2基板」の一例である。TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。尚、画像表示領域10aは、本発明に係る「画素領域」の一例である。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態に係る液晶装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、マイクロレンズアレイ板20側に設けられている。画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。TFTアレイ基板10上には、マイクロレンズアレイ板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。他方、詳細な構成については後述するが、マイクロレンズアレイ板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に加えて、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
次に、以上の如く構成された本実施形態に係る液晶装置における回路構成及び動作について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域10a(図1参照)を構成するマトリクス状に規定された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。尚、TFT30は、本発明に係る「トランジスタ」の一例である。
データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートに走査線11が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して液晶層50(図2参照)に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、マイクロレンズアレイ板20に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70を構成する一方の容量電極は、走査線11に並んで(即ち、X方向に沿って)設けられると共に所定電位に固定された容量線300に電気的に接続されている。蓄積容量70によって、各画素電極における電荷保持特性は向上されている。尚、容量線300の電位は、一つの電圧値に常時固定してもよいし、複数の電圧値に所定周期で振りつつ固定してもよい。
次に、上述の動作を実現する画素部の具体的な構成について、図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、相隣接する複数の画素部の平面図である。図5は、図4のA−A’線断面図である。尚、図4及び図5では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、図4及び図5では、説明の便宜上、画素電極9aより上側に位置する部分の図示を省略している。
図4において、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aは、画素電極9aが夫々設けられた複数の画素によって構成されている。画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられている。尚、図4中には、任意の一画素に着目して、かかる画素における画素電極9aの構成を概略的に図示してある。画素電極9aの縦横の境界にそれぞれ沿ってデータ線6a及び走査線11が設けられている。走査線11は、X方向に沿って延びており、データ線6aは、走査線11と交差するように、Y方向に沿って延びている。尚、走査線11は、後述するように下側遮光膜としても機能する第1走査線11aと、ゲート電極3aと一体的に形成された第2走査線11bとを含んでなる二重配線として構成されている。走査線11及びデータ線6aが互いに交差する個所の各々には画素スイッチング用のTFT30が設けられている。このように、走査線11が、第1走査線11a及び第2走査線11bを含んでなる二重配線として構成されるため、走査線11の電気的な抵抗を全体的に低くすることが可能となる。また、第1走査線11a及び第2走査線11bの一方に断線等の不具合が生じても、他方を冗長的に機能させることができるため、本実施形態に係る液晶装置の信頼性を向上させることができる。
走査線11、データ線6a、蓄積容量70、TFT30、シールド層400、中継層6a1等は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画素電極9aに対応する各画素の開口領域(即ち、各画素において、表示に実際に寄与する光が透過又は反射される領域)を囲む非開口領域内に配置されている。即ち、これらの走査線11、データ線6a、蓄積容量70、TFT30シールド層400及び中継層6a1等は、表示の妨げとならないように、各画素の開口領域ではなく、非開口領域内に配置されている。
以下、TFTアレイ基板10上の画素部の積層構造について第1層から順に、説明する。
図5において、第1層には、第1走査線11aが設けられている。
第1走査線11aは、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。
図4に示すように、第1走査線11aは、X方向に沿って延びる部分と共に、該部分からTFT30のチャネル領域1a'と重なるようにY方向に沿って延在する部分を有している。
第1走査線11aは、TFT30のチャネル領域1a'、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1c、並びにデータ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eに対向する領域を含むように、形成されている。よって、第1走査線11aによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域1a'を殆ど或いは完全に遮光できる。即ち、第1走査線11aは、走査信号を供給する本来的な走査線として機能すると共に戻り光に対するTFT30の下側遮光膜として機能することが可能である。
図5において、第1層の第1走査線11a及び第2層のTFT30間は、下地絶縁膜12によって絶縁されている。下地絶縁膜12は、第1走査線11aからTFT30を絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等でTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。尚、下地絶縁膜12は、例えばTEOS(珪酸エチル)膜及びHTO(High Temperature Oxide)膜が積層されてなる2層構造を有する。
図5において、第2層には、半導体層1a及びゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。
図4及び図5に示すように、半導体層1aは、例えばポリシリコンから形成され、Y方向に沿ったチャネル長を有するチャネル領域1a'、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1c、並びにデータ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eからなる。即ち、TFT30はLDD構造を有している。尚、データ線側LDD領域1bは、本発明に係る「第1の接合領域」の一例であり、画素電極側LDD領域1cは、本発明に係る「第2の接合領域」の一例である。
データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eは、チャネル領域1a'を基準として、Y方向に沿ってほぼミラー対称に形成されている。データ線側LDD領域1bは、チャネル領域1a'及びデータ線側ソースドレイン領域1d間に形成されている。画素電極側LDD領域1cは、チャネル領域1a'及び画素電極側ソースドレイン領域1e間に形成されている。データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1c、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層1aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cはそれぞれ、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eよりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成される。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eに流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極をマスクとして不純物を高濃度に打ち込んでデータ線側ソースドレイン領域及び画素電極側ソースドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
図4及び図5において、ゲート電極3aを含む第2走査線11bは、例えば導電性ポリシリコンとタングステンシリサイド(WSi)とが積層されることにより形成されている。
図4に示すように、第2走査線11bは、平面的に見てチャネル領域1a'に重なってY方向に沿って延在する部分がゲート電極3aとして機能すると共にY方向に沿って延在する部分と該部分から第1走査線11aに並走してX方向に延在する部分とを有している。
第2走査線11bに含まれるゲート電極3aは、半導体層1aとゲート絶縁膜2によって絶縁されている。本実施形態では、下地絶縁膜12において、半導体層1aの脇にはコンタクトホール801が開孔されている。ゲート電極3aは、本来的なゲート電極として機能するゲート電極本体部分31と、ゲート電極本体部分31から延設されてコンタクトホール801内に連続的に形成されたゲート電極延設部分32とを有している。ゲート電極延設部分32は、コンタクトホール801内において第1走査線11aと電気的に接続されている。
図5において、TFT30より上層側には、第2層及び第3層間を層間絶縁する、層間絶縁膜41が設けられている。層間絶縁膜41は、例えばTEOS膜により形成されている。層間絶縁膜41には、画素電極側ソースドレイン領域1eと蓄積容量70の下部容量電極71とを電気的に接続するためのコンタクトホール83が開孔されている。また、データ線側ソースドレイン領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するためのコンタクトホール81も開孔されている。
図5において、第3層には、蓄積容量70が設けられている。
図4及び図5において、蓄積容量70は、上部容量電極300a、誘電体膜75及び下部容量電極71を有している。
上部容量電極300aは、容量線300と一体的に形成されている。容量線300は、例えば、一対の窒化チタン(TiN)膜間に、アルミニウム(Al)膜を挟持してなる3層構造を有している。尚、TiN膜は、本発明に係る「遮光性導電膜」の一例である。容量線300は、その詳細な構成については図示を省略してあるが、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続され、固定電位に維持される。
上部容量電極300aは、半導体層1aにおける、データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1c及び画素電極側ソースドレイン領域1eに重なるようにY方向に沿って延在する部分と、該部分からX方向に沿って延在する部分とを有している。容量線300における、Y方向に沿って延在する部分と、下部容量電極71と重なる、X方向に沿って延在する一部が上部容量電極300aとして機能する。よって、上部容量電極300aは固定電位に維持される、固定電位側容量電極として機能する。更に、上部容量電極300aは、TFT30を遮光する上側遮光膜(或いは、内蔵遮光膜)としても機能する。
尚、上部容量電極300は、本発明に係る「導電性遮光膜」として、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものから構成されていてもよい。この場合にも、上部容量電極300の上側遮光膜として機能することができる。
図4及び図5において、下部容量電極71は、例えば導電性ポリシリコンより形成されている。下部容量電極71は、Y方向及びX方向の各々に、上部容量電極300aと重なるように延在する部分を有している。そして、Y方向に延在する部分において、画素電極側ソースドレイン領域1eと重なると共にコンタクトホール83を介して電気的に接続されている。また、X方向に延在する部分において、容量線300(言い換えれば、上部容量電極300a)は、図4に示すようにコンタクトホール881の配置を避けるように一部を切り欠いて形成され、かかる部分では、下部容量電極71のX方向に延在する部分が露出する。下部容量電極71は、このように容量線300より露出する部分において、コンタクトホール881を介して第4層目の中継層6a1と電気的に接続されている。中継層6a1はコンタクトホール882を介して第5層目の中継層402と電気的に接続されている。更に、中継層402は、コンタクトホール89を介して画素電極9aと電気的に接続されている。従って、下部容量電極71は、画素電位に維持される画素電位側容量電極として機能する。
誘電体膜75は、例えばHTO膜及び窒化シリコン(SiN)膜が積層されてなる2層構造を有している。尚、誘電体膜としては、例えば、酸化ハフニュウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)等の単層膜又は多層膜を用いてもよい。
図5において、蓄積容量70より上層側には、第3層及び第4層間を層間絶縁する層間絶縁膜42が、例えばTEOS膜により形成されている。コンタクトホール881は層間絶縁膜42及び絶縁膜61を貫通して、下部容量電極71の表面に達するように開孔され、コンタクトホール81は、層間絶縁膜42、絶縁膜61、層間絶縁膜41及びゲート絶縁膜2を貫通して、半導体層1aの表面に達するように開孔されている。
尚、層間絶縁膜41及び42間には、絶縁膜61が部分的に介在している。
図5において、第4層には、データ線6a及び中継層6a1が設けられている。
図5において、データ線6aは、コンタクトホール81を介して、半導体層1aのデータ線側ソースドレイン領域1dと電気的に接続されている。また、中継層6a1は、コンタクトホール881を介して下部容量電極71と電気的に接続されている。データ線6a及び中継層6a1は、例えば金属膜等の導電材料で構成される薄膜を層間絶縁膜42上に薄膜形成法を用いて形成しておき、当該薄膜を部分的に除去、即ちパターニングすることによって相互に離間させた状態で形成される。従って、データ線6a及び中継層6a1を同一工程で形成できるため、装置の製造プロセスを簡便にできる。尚、例えばデータ線6a及び中継層6a1は夫々、チタン(Ti)膜、TiN膜、Al膜、TiN膜をこの順に積層してなる4層構造を有する。
図5において、データ線6a及び中継層6a1より上層側には、第4層及び第5層間を層間絶縁する層間絶縁膜43が、例えばTEOS膜により形成されている。コンタクトホール882は、層間絶縁膜43を貫通して開孔され、中継層6a1の表面に達する。尚、好ましくは、層間絶縁膜43の表面に対して、例えばCMP(化学的機械研磨)法等による平坦化処理が行われる。
図5において、第5層には、シールド層400及び中継層402が設けられている。
図4に示すように、シールド層400は、データ線6aと同方向即ちY方向に沿って延びるように形成されている。即ち、データ線6a及びシールド層400は、半導体層1aにおけるチャネル領域1a'、データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1c、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極側ソースドレイン領域1eに対向する領域を覆うように、Y方向に沿って形成されている。よって、半導体層1aにおける、これらの各領域に対して上層側から進行する光を、データ線6a及びシールド層400によって遮光することが可能となる。
図5において、中継層402は、シールド層400と同一膜により形成されている。中継層402は、既に説明したように、画素電極9aと電気的に接続され、画素電極9a及び中継層6a1間の電気的接続を中継する。尚、シールド層400及び中継層402は夫々、例えば、Al膜及びTiN膜が積層されてなる2層構造を有する。
図5において、シールド層400及び中継層402より上層側には、第5層及び第6層間を層間絶縁する層間絶縁膜44が、例えばTEOS膜及びBSG(ボロンシリケートガラス)膜よりなる2層構造により、形成されている。コンタクトホール89は、層間絶縁膜44を貫通して開孔され、中継層402の表面に達する。尚、好ましくは、層間絶縁膜44の表面に対して平坦化処理が行われる。
図5において、第6層には、画素電極9aが形成されている。
画素電極9aは、中継層402及び6a1と、下部容量電極71とによって、コンタクトホール89、882、881及び83を介して中継されつつ、半導体層1aの画素電極側ソースドレイン領域1eに電気的に接続されている。図2を参照して既に説明したように、画素電極9aの上側表面には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜が設けられている。
以上に説明した画素部の構成は、図4に示すように、各画素部に共通である。画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素部が周期的に形成されている。他方、本実施形態に係る液晶装置では、画像表示領域10aの周囲に位置する周辺領域に、図1及び図2を参照して説明したように、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
次に、本実施形態に係る液晶装置の遮光部としての蓄積容量を構成する一対の容量電極の平面形状について、図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態に係る液晶装置の蓄積容量を構成する一対の容量電極の平面形状を示す平面図である。尚、図6では、図4に示した画素部を構成する構成要素のうち、TFT30及び蓄積容量70を拡大して示している。
図6に示すように、蓄積容量70を構成する上部容量電極300aは、データ線側LDD領域1bを覆う第1部分301と、画素電極側LDD領域1cを覆う第2部分302とを有している。よって、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cに上層側から入射する光を、第1部分301及び第2部分302の各々によって遮光することができる。従って、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cにおける光リーク電流の発生を低減できる。
本実施形態では特に、上部容量電極300aにおける第2部分302は、第1部分301よりもX方向の幅が広くなるように構成されている。即ち、第2部分302のX方向の幅W2は、第1部分301のX方向の幅W1よりも広くなっている。よって、画素電極側LDD領域1cに入射する光を、データ線側LDD領域1bに入射する光よりも確実に遮光できる。即ち、画素電極側LDD領域1cに到達する光を遮る遮光性を、データ線側LDD領域1bに到達する光を遮る遮光性よりも高める或いは強化することができる。ここで、実験的に或いは経験的に、TFT30の動作時に、画素電極側LDD領域1cにおいて、データ線側LDD領域1bに比べて光リーク電流が相対的に発生しやすい傾向がある。即ち、実験的に或いは経験的に、TFT30の動作時に、画素電極側LDD領域1cに光が照射された場合には、データ線側LDD領域1bに光が照射された場合よりも、TFT30における光リーク電流が発生しやすい傾向がある。従って、第2部分302が第1部分301の幅W1よりも広い幅W2を有するように形成されることによって、光リーク電流が相対的に生じ易い画素電極側LDD領域1cに対する遮光性を高めることができ、TFT30に流れる光リーク電流を効果的に低減できる。逆に言えば、画素電極側LDD領域1cに比べて光リーク電流が相対的に発生しにくいデータ線側LDD領域1bを覆う第1部分301が、第2部分302よりも狭い幅W1を有するように形成されることによって、開口率の無駄な低下を防止できる。
即ち、第2部分302の幅W2を、より広く形成することによって、光リーク電流が相対的に発生しやすい画素電極側LDD領域1cに対する遮光性を向上させつつ、第1部分301の幅W1を、より狭く形成することによって、開口率の無駄な低下を防止できる。つまり、光リーク電流が発生しやすい画素電極側LDD領域1cに対する遮光性のみを、いわばピンポイントで高めることで、開口率の無駄な低下を招くことなく、TFT30における光リーク電流を効果的に低減できる。
次に、本実施形態に係る液晶装置のマイクロレンズアレイ板について、図7及び図8を参照して説明する。ここに図7(a)は、マイクロレンズアレイ板の概略斜視図であり、図7(b)は、図7(a)のB−B’断面の構成を示す概略斜視図である。図8(a)は、マイクロレンズアレイ板の部分拡大断面図であり、図8(b)は、マイクロレンズアレイ板のうち4つのマイクロレンズに係る部分を拡大して示す部分拡大平面図であり、図8(c)は、マイクロレンズのレンズ面の立体的な形状を概略的に示す拡大斜視図である。
図7(a)に示すように、マイクロレンズアレイ板20は、例えば石英板等からなる透明基板210と、該透明基板210に接着剤230によって接着されたカバーガラス200とを備えている。
マイクロレンズアレイ板20のレンズ形成領域20aには、以下のようにマトリクス状に平面配列された多数のマイクロレンズ500が形成されている。
図7(b)において、透明基板210には、マトリクス状に多数の凹状の窪み、即ち凹部が掘られている。各凹部には、カバーガラス200と透明板部材210とを相互に接着する、例えば感光性樹脂材料からなる接着剤が硬化してなる、透明板部材210よりも高屈折率の透明な接着層230が充填されている。各凹部に充填された接着層230によって、マイクロレンズ500が形成されている。
図8(a)に示すように、各マイクロレンズ500の曲面は、相互に屈折率が異なる透明基板210と接着層230とにより概ね規定されている。より具体的には、各凹部は、マイクロレンズ500のレンズ曲面を有している。そして、各マイクロレンズ500は、凹部によって規定されるレンズ曲面を有する平凸状のレンズとして構築されている。
図8(b)に示すように、各マイクロレンズ500の平面的な形状は好ましくは矩形である。各マイクロレンズ500の平面的な形状は、凹部の縁部によって規定されている。そして、図8(b)に示す一のマイクロレンズ500が形成される凹部は、他のマイクロレンズ500が形成された凹部と縁部を共有して隣接している。図8(c)には、レンズ曲面側から見たマイクロレンズ500の立体的な形状を概略的に示してある。図8(c)において、互いに隣接する4つのマイクロレンズ500は、互いにレンズ曲面が繋がって形成されている。従って、隣接するマイクロレンズ間に柱が設けられる場合と比較して、各マイクロレンズ500においてレンズとして有効な領域を広くとることが可能となっている。
次に、上述したマイクロレンズアレイ板20の機能について、図9を参照して説明する。ここに図9は、各マイクロレンズの機能について説明するための断面図である。
図9に示すように、マイクロレンズアレイ板20において、透明基板210上に、例えば格子状の平面パターンを有する遮光膜23が形成されている。各マイクロレンズ500は各画素に対応するように配置されている。即ち、マイクロレンズ500は、画素が配列される所定画素ピッチと等しいピッチでマトリクス状に配列されている。尚、本実施形態では特に、後に詳細に説明するように、各マイクロレンズ500の中心は、TFTアレイ基板10の法線方向(即ち、Z方向)から見て、画素の開口領域の重心に一致するように形成されている。
透明基板210上には、遮光膜23を覆うように、対向電極21が形成されている。更に、配向膜22が対向電極21上に形成されている。
他方、TFTアレイ基板10上には、画素電極9aが形成されている。尚、図9では図示を省略するが、TFTアレイ基板10上には、図4及び図5を参照して上述したように、画素スイッチング用のTFT30や、画素電極9aを駆動するための走査線11やデータ線6a等の各種配線、蓄積容量70等の電子素子が形成されている。これらが遮光膜23と共に、各画素における光が透過する開口領域を規定している、言い換えれば各画素における光が透過しない非開口領域を規定している。
図9において、マイクロレンズアレイ板20に入射される投射光等の光は、各マイクロレンズ500によって集光される。尚、図9中、一点鎖線によってマイクロレンズ500によって集光された光のようすを概略的に示してある。
そして、各マイクロレンズ500によって集光された光は液晶層50を透過して画素電極9aに照射され、該画素電極9aを通過して表示光としてTFTアレイ基板10より出射される。
尚、図9には、液晶装置において、各マイクロレンズ500を凸状に突出した曲面を同図中下側に向けて配置する構成を示してあるが、各マイクロレンズ500を凸状に突出した曲面を同図中上側に向けて配置するようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素の開口領域とマイクロレンズの中心との位置関係について、図10を参照して説明する。ここに図10は、本実施形態に係る液晶装置の画素の開口領域とマイクロレンズの中心との位置関係を図式的に示した平面図である。
図10において、本実施形態に係る液晶装置では、画像表示領域10aは、複数の画素9から構成されている。複数の画素9は、正方形状を夫々有しており、所定の画素ピッチD1(例えば9.5um)でマトリクス状に配列するように規定されている。
尚、図10中には、互いに隣接する4つの画素9が示されている。また、複数の画素9は、長方形状を夫々有していてもよい。
また、本実施形態に係る液晶装置では、複数の画素9の各々に、液晶の駆動に応じて光が実質的に透過可能な開口領域210が規定され、相隣接する画素9における開口領域210間に、光が透過しない非開口領域211(図10中、斜線部分)が規定されている。開口領域210及び非開口領域211は、図4及び図5を参照して上述した走査線11、データ線6a、蓄積容量70、TFT30、シールド層400、中継層6a1等によって規定されている。
ここで、本実施形態では、図6を参照して詳細に説明したように、蓄積容量70の上部容量電極300aにおける第2部分302は、第1部分301よりもX方向の幅が広くなるように構成されている。このため、図10に示すように、各画素9における開口領域210は、画素9の中心C1を通ると共にX方向に沿う直線L1に関して非対称な平面形状を有している。
本実施形態では特に、図1、図2、図7及び図8を参照して上述したマイクロレンズアレイ板20は、各マイクロレンズ500の中心が、TFTアレイ基板10の法線に沿った方向(即ち、Z方向)から見て、対応する画素9における開口領域210の重心P1に一致するように設けられている。ここに重心P1は、開口領域210上に一様に質量を分布させた場合における質量中心であり、本実施形態では、開口領域210を、面積が互いに等しい2つの領域210a及び210bに分割するX方向に沿った直線L2と画素9の中心C1を通るY方向に沿った直線L3との交点として定めることができる。より具体的には、本実施形態では、重心P1は、画素9の中心C1から距離d2だけY方向に沿ってずれた位置として定められる。
よって、本実施形態に係る液晶装置における光の利用効率を高めることができる。即ち、当該液晶装置の動作時に、マイクロレンズアレイ板20側から入射される光が、開口領域210を介してTFTアレイ基板10側に透過する透過率を向上させることができる。つまり、マイクロレンズアレイ板20側から入射される光がマイクロレンズ500によって画素単位に集光される際、開口領域210へ向かう光を増大し、非開口領域211へ向かう光を低減できる。より具体的には、仮に、何らの対策も施さず、マイクロレンズアレイ板20を、各マイクロレンズ500の中心が、TFTアレイ基板10の法線に沿った方向から見て、対応する画素9の中心C1に一致するように設けた場合と比較して、非開口領域211(特に、上部容量電300aの第2部分302が設けられた領域)へ向かう光を低減すると共に、開口領域210へ向かう光を増大することができる。更に、光の利用効率を高めることができるので、画素9の微細化を図ることができ、表示画像の高精細化が可能である。
従って、本実施形態に係る液晶装置によれば、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
尚、例えば、画素ピッチD1が9.5umであって、マイクロレンズアレイ板20を、マイクロレンズ500の中心が、画素9の中心C1から0.43umだけY方向に沿ってずれた位置となるように設けた場合には、上述した透過率を例えば0.5%程度高めることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置によれば、開口率の無駄な低下を招くことなく、光リーク電流の発生を低減できると共に、光の利用効率を高めることができる。この結果、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
<電子機器>
次に、上述した液晶装置をライトバルブとして用いた、本発明の電子機器の一例であるプロジェクタについて説明する。ここに図11は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
図11に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図11を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1a…半導体層、1a’…チャネル領域、1b…データ線側LDD領域、1c…画素電極側LDD領域、1d…データ線側ソースドレイン領域、1e…画素電極側ソースドレイン領域、6a…データ線、9…画素、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11、11a、11b…走査線、20…マイクロレンズアレイ板、21…対向電極、23…遮光膜、30…TFT、50…液晶層、70…蓄積容量、71…下部容量電極、210…開口領域、211…非開口領域、300a…上部容量電極、301…第1部分、302…第2部分、500…マイクロレンズ