上述したような構成の電気光学装置では、例えば画素領域内で安定して高品位な画像表示を行うために、非開口領域という基板上の極限られた領域内で蓄積容量の容量値をなるべく大きく確保する必要がある。
また、下側電極と画素電極との電気的接続について、中継電極や層間絶縁膜に開孔されるコンタクトホールの配置に係るレイアウトの構成が複雑化し、画素の各種構成要素の配置に係る設計即ちレイアウト設計が複雑化し、これに伴い電気光学装置の製造プロセスも複雑化し、更には製造コストも増大するなどの各種問題が生じるおそれがある。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、限られた基板上の領域内で蓄積容量の容量値を向上させると共に、例えば画素のレイアウト設計を容易に行うことが可能な電気光学装置、及びそのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、第1方向に延在するデータ線と、前記データ線と重なるように前記第1方向に延在する半導体層を有するトランジスタと、前記トランジスタに対応して設けられた画素電極と、下側電極、誘電体膜及び上側電極が順に積層された蓄積容量と、前記下側電極と前記上側電極との間の層に設けられたスペーサ絶縁膜とを備え、前記下側電極は、前記半導体層と重なるように前記第1方向に延在すると共に前記第1方向と交差する第2方向に延在する本体部と、前記第2方向に延在する本体部から前記第1方向に延設されて前記画素電極と電気的に接続される延設部とを有し、前記スペーサ絶縁膜は、前記画素電極と重なると共に、前記下側電極の延設部を覆うように前記下側電極と前記上側電極との間に延設されており、少なくとも前記下側電極の本体部の一部の外側に前記上側電極と重ならないように設けられている。
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、走査線に電気的に接続される各画素のトランジスタが選択されて駆動されると、表示用電極の一例としての画素電極に対してデータ線から供給されるデータ信号(例えば画像信号)がトランジスタを介して印加されることで、アクティブマトリクス駆動が可能である。この際、蓄積容量によって、画素電極における電位保持特性が向上し、表示の高コントラスト化が可能となる。
本発明の電気光学装置では特に、下側電極の本体部の少なくとも一部は、上側電極及び下側電極が誘電体膜を介して相対向する第1領域を囲む周囲に位置する第2領域に配置される。更に、蓄積容量に対してスペーサ絶縁膜が第2領域に形成される。より具体的には、スペーサ絶縁膜は、第2領域において、基板上で平面的に見て、下側電極に対して少なくとも本体部の少なくとも一部と重なるように形成される。そして、上側電極は、スペーサ絶縁膜の本体部の少なくとも一部と重なる部分上に少なくとも第2領域において乗り上げるように延在する。
尚、「本体部の少なくとも一部」とは、本体部において第2領域に配置された1以上の部分を意味する。即ち、本体部は1箇所以上で第2領域に配置されており、係る第2領域に配置された箇所の1以上の部分から延設された延設部が1以上形成されることとなる。また、スペーサ絶縁膜が「少なくとも本体部の少なくとも一部で下側電極と部分的に重なる」のうちの「少なくとも〜部分的に重なる」とは、スペーサ絶縁膜は、上記のように本体部において第2領域に配置される箇所の1以上の部分に対してのみ、基板上で平面的に見て部分的に重なるように形成されると共に、下側電極の延設部に対しては、重なるように配置されてもよいし、或いは重ならないように配置されてもよい構成を意図する。係る構成と同様の構成を、「本体部の他部において少なくとも部分的に下側電極とは重ならないように」のうちの「少なくとも部分的に」は意図する。即ち、この「少なくとも部分的に」については、スペーサ絶縁膜は、基板上で平面的に見て、本体部の他部において下側電極とは重ならないように形成されると共に、下側電極の延設部に対しては、重なるように配置されてもよいし、或いは重ならないように配置されてもよい構成を意図する。
よって、本体部の少なくとも一部と上側電極との間には、基板に垂直な方向に沿う断面内で、スペーサ絶縁膜が部分的に介在すると共に、上側電極の端面は第2領域において本体部の少なくとも一部上でスペーサ絶縁膜上に配置されることとなる。よって、本体部の少なくとも一部では、スペーサ絶縁膜の存在によって、スペーサ絶縁膜が存在していない場合と比較して、下側電極の端面と上側電極の端面との層間距離を増大させることが可能となる。これにより、端面リークの発生を阻止する或いは未然防止することができる。ここにいう「層間距離」とは、積層構造における基板に交わる方向或いは垂直方向である積層方向に沿った距離を意味する。
また、本体部の少なくとも一部上において、上側電極をエッチング等で切断する際に誘電体膜及び下側電極まで切断してしまうことを、スペーサ絶縁膜の存在によって、防止することができる。従って、上側電極の端面と下側電極の端面が層間絶縁膜等を介して近接配置されることによる端面リークの発生を防止することができる。
一方、下側電極における本体部の他部は、基板上で平面的に見てスペーサ絶縁膜とは重ならず、且つスペーサ絶縁膜の開口から露出した下側電極の下地面上に第1領域に配置されると共に第2領域には配置されない。
尚、スペーサ絶縁膜は、下側電極が形成された後に、典型的には基板の全面に、当該スペーサ絶縁膜の前駆膜が形成され、該前駆膜における蓄積容量を形成すべき領域を含む領域に、下側電極が露出するように例えばエッチング等を用いて開口が開けられることにより形成される。
よって、下側電極の本体部の他部の表面をスペーサ絶縁膜から露出させると共に、この表面に対して誘電体膜を介して上側電極が相対向するように配置される。よって、下側電極の本体部の他部に位置する端面までも利用することにより、容量面積をより大きく確保することが可能となる。従って、蓄積容量のそのものの基板上における配置面積を増大させることなしに、例えば各画素の非開口領域等の基板上の限られた領域内で容量値を向上させることが可能となる。尚、上側電極の端面はスペーサ絶縁膜から露出する本体部の他部の端面に対して誘電体膜を介して配置される。若しくは、上側電極は、本体部の他部上において第1領域から第2領域に延設されて、第2領域において、スペーサ絶縁膜上に乗り上げるように形成される。よって、上側電極の端面との近接配置による本体部の他部の端面における端面リークの発生をも防止することが可能である。
更には、下側電極において本体部の少なくとも一部から延設された延設部は、基板上で平面的に見て上側電極とは重ならないように形成されるため、上側電極の配置を避けて、上側電極より上層側に配置される導電膜との電気的接続を延設部において行うことが可能となる。よって、係る電気的接続を行うための各種構成要素の配置に係る構成を、既に説明したような先行技術と比較してより簡素化することができる。従って、画素のレイアウト設計をより容易に行うことが可能となる。
以上説明したような本発明の電気光学装置によれば、明るく且つ高コントラストな、高品位の画像表示を安定して行うことが可能となると共に、より容易に電気光学装置を製造することも可能となる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記上側電極は、少なくとも部分的に前記スペーサ絶縁膜における前記下側電極の下地面上に形成された部分上に乗り上げるように延在する。
この態様によれば、上側電極は、下側電極上において、基板上で平面的に見て本体部の他部と重なる第1領域から第2領域に延在し、第2領域において、少なくとも部分的に、スペーサ絶縁膜において本体部の他部と重ならないように形成された部分上に乗り上げる。これにより、第2領域において、上側電極の端面は少なくとも部分的にスペーサ絶縁膜において本体部の他部と重ならないように形成された部分上に配置されることとなる。尚、上側電極は、第2領域に延在させてスペーサ絶縁膜上に乗り上げて形成され、その端面の概ね全部がスペーサ絶縁膜上に配置されてもよいし、上側電極の一部が第2領域に延在されてスペーサ絶縁膜上に乗り上げるように形成され、他部は後述するように下側電極の下地面上に誘電体膜を介して形成されるようにしてもよい。
よって、この態様では、スペーサ絶縁膜から露出する本体部の他部の端面と、上側電極の端面とが近接配置されることによる端面リークの発生をより確実に防止することが可能となる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記スペーサ絶縁膜は、前記第2領域において、少なくとも部分的に前記基板上で平面的に見て前記上側電極と重ならないように前記下地面上に部分的に形成されており、前記上側電極は、前記第1領域において、少なくとも部分的に前記スペーサ絶縁膜の開口から露出した前記下地面上に前記誘電体膜を介して形成される。
この態様によれば、上側電極は、下側電極上の第1領域において、基板上で平面的に見て本体部の他部と重なる部分から下側電極の下地面上に少なくとも部分的に延在して誘電体膜を介して形成される。そして、このように上側電極において下側電極の下地面上に延在する部分が基板上で平面的に見て、下側電極の下地面上に形成されたスペーサ絶縁膜と重ならないように配置される。従って、第1領域に位置する本体部の他部の端面は誘電体膜を介して上側電極と相対向し、且つ上側電極の端面は下側電極の下地面上に位置するため、本体部の他部の端面と、上側電極の端面とが近接配置されることによる端面リークの発生をより確実に防止することが可能となる。
また、このように上側電極のうち、基板上で平面的に見て本体部と重なる部分から本体部外に延在する部分について、該部分が第2領域に延在して、スペーサ絶縁膜に乗り上げる構成と比較して、基板面に対して垂直方向に沿う、当該部分と下側電極の下地面との間の距離をより小さくすることができる。従って、例えば、このような蓄積容量がトランジスタよりも上層側に配置される場合、基板上において、トランジスタに対してそれよりも上層側から入射する光のうち、上述したように上側電極の本体部外に延在する部分の下層側を通過して、トランジスタに基板に対して垂直をなす方向とは異なる方向から入射する光(以下、単に「斜め光」として説明することもある)を、該部分により少なくとも部分的に遮光することで、より低減することが可能となる。従って、トランジスタにおける光リーク電流の発生を、より確実に防止することができる。
この、上側電極の一部が下地面上に誘電体膜を介して形成される態様では、前記上側電極において、少なくとも前記下側電極の下地面上に前記誘電体膜を介して形成された部分は金属材料を含んで形成されるように構成してもよい。
このように構成すれば、上側電極のうち下側電極の下地面上に誘電体膜を介して配置される部分の遮光性を向上させることが可能となる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記誘電体膜は、前記スペーサ絶縁膜の上層側に形成されている。
この態様によれば、誘電体膜を例えばエッチング等で切断する際に、下側電極をオーバーエッチングしてしまうことを、スペーサ絶縁膜の存在によって、防止することができる。即ち、オーバーエッチングによって、下側電極の端面が露出してしまうことを防止することができる。従って、下側電極の端面及び上側電極の端面間の端面リークの発生を阻止する或いは未然防止することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記誘電体膜は、前記スペーサ絶縁膜の下層側に形成されている。
この態様によれば、上側電極を例えばエッチング等で切断する際に、誘電体膜及び下側電極をオーバーエッチングしてしまうことを、スペーサ絶縁膜の存在によって、防止することができる。即ち、オーバーエッチングによって、下側電極の端面が露出してしまうことを防止することができる。従って、下側電極の端面及び上側電極の端面間の端面リークの発生を阻止する或いは未然防止することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記延設部は、前記基板上において前記上側電極より上層側に配置される導電膜と電気的に接続されるコンタクト部分を有する。
この態様によれば、上側電極の配置を避けて、上側電極より上層側に配置される導電膜との電気的接続をコンタクト部分により行い、この導電膜及び延設部を電気的に接続させることができる。よって、係る電気的接続を行うための各種構成要素の配置に係る構成を、より簡素化することができる。
この、延設部がコンタクト部分を有する態様では、前記表示用電極は前記上側電極より上層側に配置されており、前記コンタクト部分は、前記表示用電極と電気的に接続されるように構成してもよい。
このように構成すれば、コンタクト部分を上側電極の配置を避けて例えば画素電極と電気的に接続することができるため、より簡易な画素構成により、電気光学装置の駆動時に下側電極を画素電位側容量電極として機能させることが可能となる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた装置としてDLP(Digital Light Processing)等を実現することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の各実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、夫々、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図7を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に、対向基板の側から見た液晶装置の概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H´断面図である。
図1及び図2において、液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とから構成されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画素領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画素領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
TFTアレイ基板10上における、画素領域10aの周辺に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及びサンプリング回路7、走査線駆動回路104、外部回路接続端子102が夫々形成される。
TFTアレイ基板10上における周辺領域において、シール領域より外周側に、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、TFTアレイ基板10上の周辺領域のうちシール領域より内側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿う画素領域10aの一辺に沿って且つ額縁遮光膜53に覆われるようにしてサンプリング回路7が配置される。
また、走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画素領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、上下導通端子106が配置されると共に、このTFTアレイ基板10及び対向基板20間には上下導通材が上下導通端子106に対応して該端子106に電気的に接続されて設けられる。
図2において、TFTアレイ基板10上の画素領域10aには、画素スイッチング用素子としてのTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線上に画素電極9aが、更にその上から配向膜16が形成されている。尚、本実施形態では、画素スイッチング素子はTFTのほか、各種トランジスタ或いはTFD等により構成されてもよい。
他方、対向基板20上の画素領域10aには、格子状又はストライプ状の遮光膜23が形成され、この遮光膜23上(図2中遮光膜23より下側)に、液晶層50を介して複数の画素電極9aと対向する対向電極21が形成され、更に、配向膜22が形成される。
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9aと対向電極21との間には液晶保持容量が形成される。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
尚、液晶装置は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)であってもよい。LCOSは、単結晶Si基板上にCMOS構造のMOSFETを形成し、その上に液晶層を形成するタイプの液晶ディスプレイである。一般的には、基板が光を透過しないのでLCDモードは反射型となる。MOSFETは、画素部のスイッチング素子に用いられる他、データ線駆動回路等の周辺駆動回路や必要に応じて信号制御のコントロール回路にも用いられる場合がある。トランジスタの構造は、Si基板にLSIプロセスでn型及びp型のMOSFETを形成するものである。反射型であることから、画素電極には、光の反射率向上のため、Al電極を用いることが多い。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部における原理的構成について、図3を参照して説明する。
図3は、液晶装置の画素領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、本実施形態に係る液晶装置の画素領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートに走査線11aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21との間に形成される液晶容量と電気的に並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと電気的に並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量配線300に接続されている。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の具体的な構成について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、相隣接する複数の画素部の平面図であり、図5は、図4のA−A´断面図である。尚、図4及び図5では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。この点については、図6以降の各図についても同様である。また、図4及び図5では、説明の便宜上画素電極9aより上側に位置する部分の図示を省略している。
図4において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられている。画素電極9aの縦横の境界にそれぞれ沿ってデータ線6a並びに走査線11(即ち、走査線11a及び11b)が設けられている。図4中、走査線11a及び11bは夫々X方向に沿って延びており、データ線6aは走査線11a及び11bの各々と交差するように、Y方向に沿って延びている。走査線11a及びデータ線6aが互いに交差する個所の夫々には画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
図4及び図5において、TFT30は、半導体層1a及びゲート電極3aを含んで構成されている。
半導体層1aは、例えばポリシリコンからなり、チャネル領域1a´、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eからなる。即ち、TFT30はLDD構造を有している。低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層1aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、ソース領域及びドレイン領域に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極3aをマスクとして不純物を高濃度に打ち込んで高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
図4及び図5に示すように、ゲート電極3aは、走査線11aの一部として形成されており、例えば導電性ポリシリコンから形成されている。走査線11aは、図4中X方向に沿って延びる本線部分と共に、TFT30のチャネル領域1a´のうち該本線部分が重ならない領域と重なるようにY方向に沿って本線部分から延在する部分を有している。このような走査線11aのうちチャネル領域1a´と重なる部分がゲート電極3aとして機能する。図5に示すように、TFTアレイ基板10の基板面に対して垂直をなす方向で、ゲート電極3a及び半導体層1a間は、ゲート絶縁膜2(より具体的には、2層の絶縁膜2a及び2b)によって絶縁されている。
図4及び図5において、図5中で半導体層1aより下層側に配置されたゲート電極3bは、走査線11bの一部として形成されている。即ち、本実施形態では、例えば、半導体層1aの上層側及び下層側に2種の走査線11a及び11bが設けられる。半導体層1aより下層側の走査線11bは、平面的にみて、図4中でX方向に沿うようにパターニングされた本線部と、該本線部からY方向に沿って延在する部分を有している。このような走査線11bのうちチャネル領域1a´と重なる部分が半導体層1aより下層側でゲート電極3bとして機能する。このように、本実施形態では、例えばTFT30は、ダブルゲート構造を有している。このような構成によれば、仮に半導体層1aよりも上層側又は下層側の一方だけにゲート電極が形成される場合と比較して、TFT30のオン電流を大きくすることができる。
走査線11bは、例えばタングステン(W)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)等の高融点金属材料等の遮光性の導電材料により、半導体層1aよりも下層側に形成されることにより、TFTアレイ基板10に対する戻り光のうち、TFT30のチャネル領域1a´に入射する光を低減することができる。
図5に示すように、半導体層1aより下層側の走査線11b及び半導体層1a間は、下地絶縁膜12によって絶縁されている。下地絶縁層12は、走査線11bからTFT30を絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
図5において、TFTアレイ基板10上のTFT30よりも層間絶縁膜41を介して上層側には、蓄積容量70が設けられている。
蓄積容量70は、下側電極71及び上側電極300が誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
上側電極300は、図4及び図5中にはその詳細な構成については図示を省略するが、画素電極9aが配置された画素領域10aからその周囲に例えば延設され、定電位源と電気的に接続されることにより、固定電位に維持されて、固定電位側容量電極として機能するように構成される。上側電極300は、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)等の金属又は合金を含んだ非透明な金属膜から形成されており、TFT30に入射する光を遮光可能な上側遮光膜(内蔵遮光膜)としても機能し得る。上側電極300は、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等から構成されていてもよい。
下側電極71は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに電気的に接続され、画素電位側容量電極として機能するように構成される。より具体的には、下側電極71は、コンタクトホール83を介して高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されると共に、コンタクトホール84を介して中継層93に電気的に接続されている。更に、中継層93は、コンタクトホール85を介して画素電極9aに電気的に接続されている。即ち、下側電極71は、中継層93と共に高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9a間の電気的な接続を中継する。下側電極71は、例えば導電性のポリシリコンから形成される。尚、下側電極71は、画素電位側容量電極としての機能の他、上側遮光膜としての上側電極300とTFT30との間に配置される、光吸収層或いは遮光膜として機能し得る。
誘電体膜75は、例えばHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、或いは窒化シリコン膜等から構成された単層構造、或いは多層構造を有している。
ここに、図5に示すように、本実施形態では蓄積容量70と同層にスペーサ絶縁膜49が配置されるが、その詳細な構成については後述する。
図5において、TFTアレイ基板10上の蓄積容量70よりも層間絶縁膜42を介して上層側には、データ線6a及び中継層93が設けられている。
データ線6aは、半導体層1aの高濃度ソース領域1dに、層間絶縁膜41、スペーサ絶縁膜49及び層間絶縁膜42を貫通して形成されたコンタクトホール81を介して電気的に接続されている。データ線6a及びコンタクトホール81内部は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl(アルミニウム)含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。データ線6aは、TFT30を遮光する遮光膜としても機能し得る。
中継層93は、層間絶縁膜42上においてデータ線6aと同層に、且つ例えば同一膜により形成される。従って、液晶装置の製造時、データ線6a及び中継層93を同一工程で形成できるため、装置の製造プロセスを簡便にできる。
図5において、画素電極9aは、データ線6aよりも層間絶縁膜43を介して上層側に形成されている。画素電極9aは、下側電極71、コンタクトホール83、84及び85、並びに中継層93を介して半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。コンタクトホール85は、層間絶縁層43を貫通するように形成された孔部の内壁にITO等の画素電極9aを構成する導電材料が成膜されることによって形成されている。画素電極9aの上側表面には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。
以上に説明した画素部の構成は、図4に示すように、各画素部に共通である。画素領域10a(図1参照)には、かかる画素部が周期的に形成されていることになる。他方、このような液晶装置では、画素領域10aの周囲に位置する周辺領域に、図1及び図2を参照して説明したように、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
続いて、本実施形態において特徴的なスペーサ絶縁膜49の構成について、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、蓄積容量の上側電極及び下側電極とスペーサ絶縁膜との配置関係の一例を示す平面図であり、図7は、図6のB−B´断面部分に対応する蓄積容量の構成を示す断面図である。尚、図7に示す蓄積容量70の断面部分は、図5の断面部分に対応する。そして、図7では、蓄積容量、特に図5の点線C1及びC2で囲まれた部分に着目してその構成を詳細に示してあり、その他の部分について、図5と同様の構成については簡略化してコンタクトホール83や84等については図示を省略して示してある。この点については、後述する図8又は図10について同様である。
図6又は図7に示すように、蓄積容量70において、下側電極71は、蓄積容量70の容量形成に部分的に機能する本体部71aと、蓄積容量70を構成しない他部として形成される延設部71bとを有する。また、蓄積容量70において、第1領域は、上側電極300及び下側電極71が誘電体膜75を介して相対向し、容量形成が可能な領域である。一方、第1領域を囲む周囲に位置する第2領域は、蓄積容量70の容量形成に殆ど或いは全く寄与しない領域であり、蓄積容量70に対してスペーサ絶縁膜49が配置される領域である。
下側電極71における本体部71aは、第1領域と第2領域を部分的に含む領域とに形成され、TFTアレイ基板10上で平面的に見て上側電極71aと重なるように形成されると共に、第2領域に配置された本体部71aの少なくとも一部から上側電極300と重ならないように延設部71bが連続的に延設される。
そして、第2領域において、スペーサ絶縁膜49は、下側電極71の下地面(即ち層間絶縁膜41の蓄積容量70に面する側の表面)よりも上層側であって上側電極300よりも下層側に配置される。より具体的には、スペーサ絶縁膜49は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、少なくとも本体部71aの少なくとも一部で下側電極71と重なるように形成される。例えば、図6或いは図5又は図7の点線C2で囲まれた部分において、本体部71aのうち第2領域に配置される部分に対して、スペーサ絶縁膜49は下側電極71と少なくとも部分的に重なるように形成される。尚、スペーサ絶縁膜49は、図5から図7に示すように、本体部71aの一部に加えて延設部71bに対しても重なるように連続的に形成されてもよいし、延設部71bには重ならないように形成されてもよい。
また、図6或いは図5又は図7の点線C2で囲まれた部分において、上側電極300は、第2領域においてスペーサ絶縁膜49における本体部71aの一部と重なる部分上に少なくとも乗り上げるように延在する。より具体的には、係る点線C2で囲まれた部分において、上側電極300の端面が少なくとも部分的にスペーサ絶縁膜49上に位置するように、上側電極300がスペーサ絶縁膜49上乗り上げて形成される。
よって、図5又は図7の点線C2で囲まれた部分について、第2領域において、本体部71aの一部と上側電極300との間には、TFTアレイ基板10の基板面に対して垂直をなす方向に沿う積層方向で、スペーサ絶縁膜49が部分的に介在すると共に、上側電極300の端面は第2領域において本体部71aの一部上でスペーサ絶縁膜49上に配置されることとなる。よって、第2領域に位置する本体部の一部71aでは、スペーサ絶縁膜49の存在によって、スペーサ絶縁膜49が存在していない場合と比較して、下側電極71の端面と上側電極300の端面との層間距離D1を増大させることが可能となる。これにより、端面リークの発生を阻止する或いは未然防止することができる。
図5又は図7に示すように、本実施形態では特に、誘電体膜75は、第2領域において、TFTアレイ基板10上でスペーサ絶縁膜49の上層側に形成されている。よって、液晶装置の製造時、このように第2領域に配置される本体部71aの一部上において、上側電極300及び誘電体膜75をエッチング等で切断する際に下側電極71まで切断してしまうことを、スペーサ絶縁膜49の存在によって、防止することができる。従って、上側電極300の端面と下側電極71の端面が層間絶縁膜42等を介して近接配置されることによる端面リークの発生を阻止する或いは未然防止することができる。
更に、本実施形態では特に、下側電極71における延設部71bは、TFTアレイ基板10上で平面的に見て上側電極300とは重ならないように形成されているため、上側電極300の配置を避けて、上側電極300より上層側に配置される導電膜との電気的接続を延設部71bにおいて行うことが可能となる。即ち、下側電極71の延設部71bは、図6又は図5に示すコンタクトホール84を介して、中継層93と電気的に接続されるコンタクト部分71bcを有しており、係る電気的接続により、画素電極9aと電気的に接続される。
よって、画素電極9aと下側電極71との電気的接続を行うための各種構成要素の配置に係る構成を、既に説明したような先行技術と比較してより簡素化することができる。従って、画素のレイアウト設計をより容易に行うことが可能となる。
尚、本実施形態では、図4又は図6に示されるように、下側電極71の本体部71aは、第2領域に一箇所以上が配置されると共に、第2領域に配置される1以上の部分から延設部が1以上形成されるようにしてもよい。
一方、図5から図7に示すように、下側電極71の本体部71aにおいて、上述したように第2領域に配置される部分以外の他部は、以下のように第1領域に配置される。即ち、スペーサ絶縁膜49は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、本体部71aの他部において少なくとも部分的に下側電極71とは重ならないように、第2領域において下側電極71の下地面上に形成される。よって、本体部71aの他部は、第1領域に配置され且つ第2領域には配置されないと共に、スペーサ絶縁膜49の開口49hから露出した下側電極71の下地面上に配置される。
また、このようにスペーサ絶縁膜49から露出する本体部71aの他部の表面に対して、上側電極300は、その端面が誘電体膜75を介して配置されるように、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、本体部71aの他部に対して重ねて形成される。特に、図5又は図7における点線C1で囲まれる部分において、上側電極300は、第2領域において少なくとも部分的にスペーサ絶縁膜49上に乗り上げるように第1領域から連続的に延在する。よって、係る点線C1で囲まれる部分について、上側電極300の端面は少なくとも部分的に第2領域においてスペーサ絶縁膜49上に配置される。
従って、例えば、図5又は図7における点線C1で囲まれる部分に着目すれば、下側電極71の本体部71aの他部に位置する端面までも利用することにより、蓄積容量70の容量面積をより大きく確保することが可能となる。従って、蓄積容量70そのもののTFTアレイ基板10上における配置面積を増大させることなしに、例えば各画素の非開口領域等のTFTアレイ基板10上の限られた領域内で容量値を向上させることが可能となる。
また、積層方向で見て、上側電極300の端面と本体部71aの他部の端面との間に誘電体膜75を介し、更には上側電極300の端面が第2領域において少なくとも部分的にスペーサ絶縁膜49上に配置されるため、本体部71aの他部の端面についても、上側電極300の端面との近接配置による端面リークの発生を防止することが可能である。
以上説明したような本実施形態の液晶装置によれば、明るく且つ高コントラストな、高品位の画像表示を安定して行うことが可能となると共に、より容易に電気光学装置を製造することも可能となる。
以下では、本実施形態の液晶装置の変形例について、図8を参照して説明する。図8は、第1実施形態の変形例に係る蓄積容量について、図7に対応する断面部分の構成を示す断面図である。
図8において、誘電体膜75は、第2領域において、TFTアレイ基板10上でスペーサ絶縁膜49の下層側に形成されるようにしてもよい。このように構成すれば、液晶装置の製造時、第2領域において、上側電極300を例えばエッチング等で切断する際に、誘電体膜75及び下側電極71の両方をオーバーエッチングしてしまうことを、スペーサ絶縁膜49の存在によって、防止することができる。即ち、オーバーエッチングによって、下側電極71の端面が露出してしまうことを防止することができる。従って、下側電極71の端面及び上側電極300の端面間の端面リークの発生をより確実に阻止する或いは未然防止することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る液晶装置について、図9及び図10を参照して説明する。
第2実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態に係る液晶装置と比較して、蓄積容量について上側電極及びスペーサ絶縁膜の配置関係が部分的に異なる構成を有する。よって、第1実施形態と異なる点についてのみ、図9及び図10を参照して説明し、第1実施形態と同様の構成については図1から図7を参照して説明すると共に重複する説明を省略することもある。
図9は、第2実施形態における図6と同趣旨の平面図であり、図10は、図7に対応する蓄積容量の断面部分の構成を示す断面図である。
図9又は図10に示すように、本実施形態では特に、蓄積容量70において、スペーサ絶縁膜49は、第2領域において、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、本体部71aの他部において少なくとも部分的に下側電極71とは重ならないように形成されると共に、少なくとも部分的に上側電極300とも重ならないように、下側電極71の下地面上に部分的に形成される。
より具体的には、例えば、図10の点線C1で囲まれる部分について、第2領域においてスペーサ絶縁膜49は少なくとも部分的に上側電極300とは重ならないように配置される。そして、スペーサ絶縁膜49におけるこのように配置される部分の開口49hから露出する下側電極71の下地面上に、上側電極300は、第1領域において、平面的に見て本体部71aの他部と重なる部分から、本体部71aとは重ならない本体部71a外の領域に延在して、少なくとも部分的に誘電体膜75を介して形成される。
尚、第2実施形態では、例えば、上側電極300において、その一部が第1領域から第2領域に延設されて図6又は図7を参照して説明したようにスペーサ絶縁膜49上に乗り上げるように形成され、他部が第1領域内で下側電極71の下地面上に誘電体膜75を介して形成されるようにしてもよい。
従って、第2実施形態では、例えば図10の点線C1で囲まれる部分について、第1領域に位置する本体部71aの他部の端面は誘電体膜75を介して上側電極300と相対向し、且つ上側電極300の端面は第1領域において本体部71a外に位置するため、本体部71aの他部の端面と、上側電極300の端面とが近接配置されることによる端面リークの発生をより確実に防止することが可能となる。
ここで、図7に示す点線C1で囲まれる部分について、上側電極300において第2領域においてスペーサ絶縁膜49上に延在する部分は、下側電極71の下地面との間の距離D2が、図10に示す上側電極300において、第1領域において本体部71a外に延設された部分の構成と比較して大きくなる。言い換えれば、図7に示す第1実施形態では、点線C1で囲まれる部分について、上側電極300の端部と下側電極71の下地面との間の距離D2は、仮にスペーサ絶縁膜49がない場合と比較して、スペーサ絶縁膜49の膜厚分だけ大きくなっている。従って、図7において一点鎖線の矢印で示すように、TFTアレイ基板10上において、TFT30に対してそれよりも上層側から入射する光のうち、上側電極300の第2領域に延在する部分の下層側を通過して、TFT30に対して入射する斜め光により、液晶装置の駆動時に光リーク電流が発生し易くなるおそれがある。
これに対して、第2実施形態では、図10に示す点線C1で囲まれる部分について、上側電極300は、第1領域においてスペーサ絶縁膜49とは重ならないように本体部71a外に延在し、下側電極71の下地面上に配置される。言い換えれば、図10に示す第2実施形態では、点線C1で囲まれる部分について、上側電極300の端部と下側電極71の下地面との間の距離は、図7を参照して上述した第1実施形態と比較して、スペーサ絶縁膜49の膜厚分だけ小さくなっている。よって、図10において一点鎖線の矢印で示すように、TFTアレイ基板10上において、TFT30に対してそれよりも上層側から入射する光のうち、TFT30に対して入射する斜め光を少なくとも部分的に上側電極300の本体部71a外に延在する当該部分によって遮光することで、より低減することが可能となる。
更に、本実施形態では特に、下側電極71及び上側電極300の各々は、金属膜から形成されている。よって、上述したようなTFT30に対する遮光性をより向上させることができる。尚、下側電極71及び上側電極300の各々は、ポリシリコン又はシリサイドで且つ互いに同一の材料により形成されてもよいし、下側電極71がポリシリコンにより形成され且つ上側電極300がシリサイド又は金属により形成されてもよい。いずれの場合にも、上述したようなTFT30に対する遮光性を相応に向上させることができる。
以上説明したような第2実施形態では、液晶装置の各画素においてTFT30における光リーク電流の発生をより確実に防止することが可能となる。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
図11は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
図11に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図11を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
6a…データ線、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、11a、11b…走査線、30…TFT、49…スペーサ絶縁膜、70…蓄積容量、71…下側電極、71a…本体部、71b…延設部、75…誘電体膜、300…上側電極