JP5165369B2 - マイクロ波を利用したグリコールウリル及びククルビツリルの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、グリコールウリル及びこれを利用したククルビツリルの製造方法に係り、さらに詳細には、マイクロ波の照射により、グリコールウリル及びこれを利用したククルビツリルを製造する方法に関する。
ククルビツリル(cucurbituril)は、1905年にベーレンド(R.Behrend)、マイヤー(E.Meyer)及びラスチェ(F.Rusche)(Liebigs Ann. Chem.1905,1,339)によって最初に報告された。この論文によれば、まず、ウレアとグリオキサルとを塩酸(HCl)の存在下で2時間撹拌してグリコールウリルを製造する。このグリコールウリルを過量のホルムアルデヒドと、塩酸存在下で縮合させることで、無定形の沈殿が生成する。この沈殿を熱い濃硫酸に溶かして、水で希釈すれば、結晶性物質を生成する。1981年にモック(W.Mock)と共同研究者らは、前記結晶性物質を、X線結晶構造決定によって確認されたC36H36N24O12の組成を有する六量体の巨大環化合物と特徴付けた[J.Am.Chem.Soc.1981,103,7367]。それ以来、ククルビット[6]ウリルの改善された合成方法が開示されている(DE 196 03 377 A1)。更に、低温の反応条件の下、多様なククルビツリルの同族体の合成方法が報告されている(米国特許第6,365,734号明細書)。また、水溶性及び脂溶性のククルビツリルの化合物並びにその製造方法が開示された(PCT/KR02/01259パンフレット)。この特許出願に開示されている製造方法によれば、まず強酸溶液、及びグリコールウリルまたはその誘導体をホルムアルデヒドに加え、70〜100℃の温度で20〜40時間反応させた。その後、この反応溶液を加熱して濃縮させてから室温まで冷却して、ククルビツリルの誘導体を製造する。
このように、グリコールウリル及びククルビツリル誘導体の従来の合成に含まれる縮合反応では、高い反応温度と長い反応時間とが要求されていた。
本発明は、グリコールウリル、及びこれを用いるククルビツリルを、短時間のうちに効率的に製造する方法を提供する。
R1とR2は、互いに独立して、水素、置換または非置換のC1−C30のアルキル基、置換または非置換のC2−C30のアルケニル基、置換または非置換のC2−C30のアルキニル基、置換または非置換のC2−C30のアルキルカルボキシル基、置換または非置換のC1−C30のヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1−C30のニトロアルキル基、−N(R’)(R’)(R’及びR’は、互いに独立して、水素またはC1−C30のアルキル基である)、置換または非置換のC5−C30のシクロアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC6−C30のアリール基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリール基からなる群から選択され、
nは4ないし20の整数である。
kは4ないし7の整数である。
R1とR2は、互いに独立して、水素、置換または非置換のC1−C30のアルキル基、置換または非置換のC2−C30のアルケニル基、置換または非置換のC2−C30のアルキニル基、置換または非置換のC2−C30のアルキルカルボキシル基、置換または非置換のC1−C30のヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1−C30のニトロアルキル基、−N(R’)(R’)(R’及びR’は、互いに独立して水素またはC1−C30のアルキル基である)、置換または非置換のC5−C30のシクロアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC6−C30のアリール基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリール基からなる群から選択される。
以下、本発明を、下記実施例を参照しながらより詳細に説明する。下記実施例は、事例を挙げたにすぎず、本発明の請求の範囲を制限するものではない。
反応容器内に、グリオキサル5mLに6.84gのウレアと1mLの濃塩酸とを入れて、800Wのマイクロ波を反応混合物に15秒間照射した。
5.68gの式9のグリコールウリルに3gのパラホルムアルデヒドを入れて、そこへ20mLの9M硫酸を入れた後、800Wのマイクロ波を反応混合物に45秒間照射した。
式(2)で、R1及びR2がメタニトロフェニルであり、並びにXがOであるグリコールウリル3.84g、式(8)のグリコールウリル7.14g、パラホルムアルデヒド4.6gを反応器に入れた。その後、12M硫酸27mLをゆっくり加え、800Wのマイクロ波を5分間照射した。
XがOであり、nが6であり、並びにR1及びR2がHである式(1)のククルビツリル10gに、酸化剤として用いられるK2S2O839gを加えた。その後、25mLの水を反応混合物に加え、800Wのマイクロ波を5分間照射した。
XがOであり、並びにR1及びR2がメチル基である式(2)のジメチルグリコールウリル320mgを、10mLの9M硫酸溶液に溶かした後、パラホルムアルデヒド100mgを加えた。その後、800Wのマイクロ波を50秒間照射した。
1H−NMR(300MHz、D2O):δ=5.64(d、J=15.6Hz、10H)、4.33(d、J=15.8Hz、10H)、2.20(s、20H)、1.46(s、20H)、
上記において、n=6、m=4、X=O、及びR1=R2=Hのとき
1H−NMR(300MHz、D2O):δ=5.73(d、J=15.9Hz、12H)、4.32(d、J=16.0Hz、12H)、2.26(s、24H)、1.49(s、24H)。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明によれば、産業的に多様な用途を有したククルビツリル誘導体の製造のための縮合及び環化反応、ヒドロキシククルビツリルを製造するための酸化反応、並びにグリコールウリルとパラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド溶液との間の縮合及び環化反応が、短時間に効果的に実行可能である。
Claims (14)
- 下記式(2)で表されるグリコールウリルと、パラホルムアルデヒドまたはホルムアル
デヒド溶液とに対して、酸触媒の存在下、300ないし1,600Wのパワーレベルでマイクロ波を30秒〜10分間照射することによる、下記式(1)で表されるククルビツリルの製造方法:
R1及びR2は、互いに独立して、水素、置換または非置換のC1−C30のアルキル基、置換または非置換のC2−C30のアルケニル基、置換または非置換のC2−C30のアルキニル基、置換または非置換のC2−C30のアルキルカルボキシル基、置換または非置換のC1−C30のヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1−C30のニトロアルキル基、−N(R’)(R’)(R’及びR’は、互いに独立して水素またはC1−C30のアルキル基である)、置換または非置換のC5−C30のシクロアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC6−C30のアリール基、及び置換または非置換のC2−C30のヘテロアリール基からなる群から選択され、並びに
nは5ないし8の整数である、前記式(1)で表されるククルビツリルの製造方法。 - 前記式(2)で表されるグリコールウリルは、下記式(3)で表される1,2−ジケト
ン化合物と、下記式(4)で表されるウレア化合物とに対して、酸触媒の存在下、マイクロ波を照射することにより得られる、請求項1に記載の製造方法:
XはOである、請求項1に記載の製造方法。 - 前記酸触媒は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、リン酸、テトラフ
ルオロホウ酸、及びトルエンスルホン酸からなる群から選択される一以上である、請求項1または請求項2に記載の製造方法。 - 前記式(1)で表されるククルビツリルにおいて、XはOであり、R1及びR2はいず
れも水素であり、nは5ないし8の整数である、請求項1に記載の製造方法。 - 前記式(2)で表されるグリコールウリルにおいて、XはOであり、R1及びR2はい
ずれも水素である、請求項1に記載の製造方法。 - 下記式(1)で表されるククルビツリルに対して、酸化剤の存在下、300ないし1,
600Wのパワーレベルでマイクロ波を30秒〜10分間照射することによる、下記式(5)で表されるヒドロキシククルビツリルの製造方法:
- 前記酸化剤が、K2S2O8、(NH4)2S2O8、及びNa2S2O8からなる群から選択される一以上である、請求項7に記載の製造方法。
- 下記式(6)で表される二置換されたグリコールウリルと、下記式(8)で表されるグ
リコールウリルとを、パラホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド溶液と混合し、その後、酸触媒の存在下、得られた混合物に300ないし1,600Wのパワーレベルでマイクロ波を30秒〜10分間照射することを含む、下記式(7)で表される二置換されたククルビツリルの製
造方法:
XはOであり、並びに
kは4ないし7の整数である、二置換されたククルビツリルの製造方法。 - 前記式(8)で表されるグリコールウリルの含有量は、前記式(6)で表される二置換
されたグリコールウリル1モルを基準として、kないし1.2kモル(kは4ないし7の整数である)である、請求項8に記載の製造方法。 - 前記式(8)で表されるグリコールウリルの含有量は、前記式(6)で表される二置換
されたグリコールウリル1モルを基準として、5ないし5.2モルである、請求項8に記載の製造方法。 - 前記式(7)で表される二置換されたククルビツリルにおいて、XはOであり、Rは、
2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−アミノフェニル基、3−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基からなる群から選択され、kは4ないし7の整数である、請求項8に記載の製造方法。 - 前記式(6)で表される二置換されたグリコールウリルにおいて、XはOであり、Rは
、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−アミノフェニル基、3−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基からなる群から選択される、請求項8に記載の製造方法。 - 下記式(10)で表されるグリコールウリル化合物と、パラホルムアルデヒドまたはホ
ルムアルデヒド溶液とに対して、酸触媒の存在下、300ないし1,600Wのパワーレベルで、マイクロ波を30秒〜10分間照射することによる、下記式(11)で表されるククルビツリルの
製造方法:
R1とR2は、互いに独立的に水素、C1−C30のアルキル基、C1−C30のアルケニル基、C1−C30のアルキニル基、C1−C30のアルキルチオ基、C1−C30のアルキルカルボキシル基、C1−C30のヒドロキシアルキル基、C1−C30のアルキルシリル基、C1−C30のアルコキシ基、C1−C30のハロアルキル基、ニトロ基、C1−C30のアルキルアミン基、アミン基、C1−C30のアミノアルキル基、非置換のC5−C30のシクロアルキル基、ヘテロ原子を伴うC4−C30のシクロアルキル基、非置換のC6−C30のアリール基、ヘテロ原子を伴うC6−C30のアリール基からなる群から選択され、
n、mは独立して、nは5または6の整数であり、mは1ないし7の整数である、クク
ルビツリルの製造方法。 - 前記酸触媒は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、リン酸、テトラフ
ルオロホウ酸、及びトルエンスルホン酸からなる群から選択される一以上である、請求項13に記載の製造方法。
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