JP2003212877A - ククルビット誘導体の製造方法、ククルビット誘導体を用いたガス除去材及びガスの除去方法 - Google Patents

ククルビット誘導体の製造方法、ククルビット誘導体を用いたガス除去材及びガスの除去方法

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JP2003212877A
JP2003212877A JP2002014380A JP2002014380A JP2003212877A JP 2003212877 A JP2003212877 A JP 2003212877A JP 2002014380 A JP2002014380 A JP 2002014380A JP 2002014380 A JP2002014380 A JP 2002014380A JP 2003212877 A JP2003212877 A JP 2003212877A
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gas
cucurbit
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ammonium chloride
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JP2002014380A
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Yuji Miyahara
雄治 宮原
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Kyushu TLO Co Ltd
Original Assignee
Kyushu TLO Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 収率を大幅に向上させることができ、クルル
ビット誘導体を安価に大量生産することが可能なククル
ビット誘導体の製造方法を提供すること、及び安定した
分子構造を有し、軽量で毒性が低く安全性、汎用性に優れ
るとともに水溶液中でも利用できるククルビット誘導体
からなるガス除去材を提供すること、並びにククルビッ
ト誘導体の空洞内に気体を捕集できるだけでなく、該気
体分子を放出し活性化して再利用することが可能なガス
除去方法を提供する。 【解決手段】 グリコールウリル化合物にアルデヒド及
び塩化アンモニウムを塩酸存在下反応させた後、塩化ア
ンモニウム付加体を単離し、水酸化アンモニウム付加体
に変換後、これを常圧又は減圧下で加熱しアンモニアガ
スを除去することを特徴とするククルビット誘導体の製
造方法、該ククルビット誘導体を含有するガス除去材、
及び該ガス除去剤を用いるガス除去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩類を持たないク
クルビット誘導体の製造方法、ククルビット誘導体を用
いたガス除去材及びガスの除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ククルビットは、ベーレンド(R. Behren
d)、マイヤー(E. Meyer)、ロッシェ(F. Rusche)によっ
て最初に報告された物質である(Liebigs Ann. Chem., 3
39, 1(1905))。この文献によれば、グリコールウリル
とホルムアルデヒドを塩酸存在下で縮合させ、無定形の
沈殿を得た後、熱した濃硫酸で溶解して水で希釈するこ
とにより得られると報告されているが、その構造は明ら
かにされなかった。モック(W. Mock)らは、この物質の
構造をX線結晶解析により解明し、この物質の単量体が
6個集まって環状をなす、C36362412の化学式を
有する巨大環化合物であることを見出し、ククルビット
ウリルと名づけた(J. Am. Chem. Soc., 103, 7367(198
1))。モック研究グループのシーが、ジメチルグリコー
ルウリルとホルムアルデヒドとの縮合反応により、5個
のジメタノジメチルグリコールウリルが環状をなす、デ
カメチルククルビット[5]ウリルと想定される化合物
の合成に成功したが(Diss. Abstr. Int. B, 42, 4071(1
982))、詳しい構造、性質については検討していない。
その後、フリンらが、希硝酸から再結晶して得られた結晶
について、ジメチルグリコールウリル単位が5個含まれ
るデカメチルククルビット〔5〕ウリル構造を持つこと
をX線構造解析によって確認した(Angew. Chem. Int. E
d. Engl., 31,1475-1477(1992))。
【0003】しかしながら、彼らの合成法、即ちジメチル
グリコールをホルマリンあるいは同モル相当のパラホル
ムアルデヒドと塩酸中加熱して得られた白色結晶性粉末
は、実はデカメチルククルビット〔5〕ウリルそのもの
ではなく、反応中分解して生成した塩化アンモニウムが
2個付いた付加体であることを本発明者は確認した。こ
のような塩化アンモニウムやその他の塩類との付加体
は、両入口がアンモニウムイオンや金属イオンで塞がれ
ているため、固体状ではガス等の吸収・放出は見られ
ず、また水溶液にしても気体の吸収・放出の速度がかな
り遅くなり、実用化に乏しいという問題がある。一方、
除去材として一般的に使用されているゼオライト系モレ
キュラーシーブは無機化合物であるため、比重が大きく
また吸着力が強すぎて気体の放出に350℃もの高温が
必要なこと、水分の優先的吸着のために予備的な乾燥が
必要であること等の欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、収率
を大幅に向上させることができ、クルルビット誘導体を
安価に大量生産することが可能なククルビット誘導体の
製造方法を提供すること、及び堅固で安定な分子構造を
有し、軽量で毒性が低く安全性、汎用性に優れるとともに
水溶液中でも利用できるガス除去材を提供すること、並
びにククルビット誘導体の空洞内に気体を捕集できるだ
けでなく、気体を吸収した後、該気体を放出し活性化し
て、再利用することが可能なガスの除去方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、グリコリルウリル化
合物とアルデヒドを塩酸存在下に反応して、ククルビッ
ト誘導体を製造する反応において、塩化アンモニウムを
反応前もしくは反応後に添加して、溶解度の小さな2塩
化アンモニウム付加体として得ることにより、収率を大
幅に向上できるとともに、該塩化アンモニウム付加体を
水酸化アンモニウム付加体に変換し、脱アンモニアする
ことにより、塩化アンモニウムを付加しないククルビッ
ト誘導体が得られ、該塩化アンモニウムを付加しないク
クルビット誘導体が、種々のガスを吸収し、吸収された
ガスは、加熱すること等により容易に放出されることを
見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、以下の[1]〜
[7]に記載した事項により特定される。 [1]一般式(1)(化9)で示されるグリコールウリ
ル化合物に、
【化9】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
く、同一又は異なっていてもよい) 一般式(2)(化10)で示されるアルデヒド
【0007】
【化10】 (式中、Rは水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2
〜C6のアルケニル基、フェニル基を表し、それらは置
換基を有していてもよい) 及び塩化アンモニウムを塩酸存在下反応させた後、塩化
アンモニウム付加体を単離し、水酸化アンモニウム付加
体に変換後、これを常圧又は減圧下で加熱しアンモニア
ガスを除去することを特徴とする一般式(3)(化1
1)で示されるククルビット誘導体の製造方法。
【0008】
【化11】 (式中、R、R及びRは前記の意味を表す)
【0009】[2]一般式(1)(化12)で示される
グリコールウリル化合物に、
【化12】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
く、同一又は異なっていてもよい) 一般式(2)(化13)で示されるアルデヒドを添加
し、
【0010】
【化13】 (式中、Rは水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2
〜C6のアルケニル基、フェニル基を表し、それらは置
換基を有していてもよい) 塩酸存在下反応させた後、塩化アンモニウムを添加し、
次いで、塩化アンモニウム付加体を単離し、水酸化アン
モニウム付加体に変換後、これを常圧又は減圧下で加熱
しアンモニアガスを除去することを特徴とする一般式
(3)(化14)で示されるククルビット誘導体の製造
方法。
【0011】
【化14】 (式中、R、R及びRは前記の意味を表す)
【0012】[3]一般式(4)(化15)で示される
ククルビット誘導体
【化15】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
く、同一又は異なっていてもよい)を含有することを特
徴とするガス除去材。
【0013】[4]除去されるガスが、酸素、窒素、一
酸化炭素、二酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、メタ
ン、アセチレン、アルゴン、キセノンから選ばれる少な
くとも1種である〔3〕に記載のガス除去材。
【0014】[5]一般式(4)(化16)で示される
ククルビット誘導体
【化16】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
く、同一又は異なっていてもよい)を常圧又は減圧下で
加熱し乾燥した後、気体分子を該ククルビット誘導体に
吸収し包接し、その後、該ククルビット誘導体を減圧下で
加熱し該気体分子を放出することを特徴とするガスの除
去方法。
【0015】[6]該ククルビット誘導体を乾燥する温
度が80〜120℃であり、及び/又は該気体分子を放
出する温度が80〜220℃であることを特徴とする
[5]に記載のガスの除去方法。
【0016】[7]除去されるガスが、酸素、窒素、一
酸化炭素、二酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、メタ
ン、アセチレン、アルゴン、キセノンから選ばれる少な
くとも1種である[5]又は[6]に記載のガスの除去
方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記式(化17)に示すように、グリコール
ウリル化合物にアルデヒド及び塩化アンモニウムを塩酸
存在下反応させて、溶解度の小さな2塩化アンモニウム
付加体を結晶として沈澱させて単離し、その後、塩化物
を水酸化物に変換し減圧もしくは常圧で加熱することに
より、アンモニアガスを除去して塩類を含まないククル
ビット誘導体を製造することができる。
【0018】
【化17】 (式中、R、R及びRは前記の意味を表す)
【0019】本発明は、グリコールウリル化合物にアル
デヒドを塩酸存在下反応させた後、塩化アンモニウムを
沈殿剤として添加し、その後、塩化アンモニウム付加体
を単離し、水酸化アンモニウム付加体とし、これを常圧
又は減圧下で加熱しアンモニアガスを除去して塩類を含
まないククルビット誘導体を製造することもできる。
【0020】本発明におけるククルビット誘導体の製造
原料であるグリコールウリル化合物は、一般式(1)で
示される化合物である。一般式(1)において、R
びR は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル
基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオ
ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、フェニル基等が挙げられ、これらは
置換基を有していてもよく、同一又は異なっていてもよ
い。具体的には、例えば、グリコールウリル、ジメチル
グリコールウリル、ジエチルグリコールウリル、ジプロ
ピルグリコールウリル、ジイソプロピルグリコールウリ
ル、ジブチルグリコールウリル、ジイソブチルグリコー
ルウリル、ジs−ブチルグリコールウリル、ジt−ブチ
ルグリコールウリル、ジペンチルグリコールウリル、ジ
イソペンチルグリコールウリル、ジネオペンチルグリコ
ールウリル、ジヘキシルグリコールウリル、ジへプチル
グリコールウリル、ジオクチルグリコールウリル、ジノ
ニルグリコールウリル、ジデシルグリコールウリル、ジ
フェニルグリコールウリル、メチルエチルグリコールウ
リル、メチルブチルグリコールウリル等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。グリコールウリ
ル化合物の合成方法は、特に限定されるものではない
が、例えば、グリコールウリルは、尿素とグリオキザー
ルを、ジメチルグリコールウリルは尿素とジアセチルを
酸触媒の存在下において反応させることにより簡単かつ
高収率で合成される。
【0021】本発明に係る一般式(2)で示されるアル
デヒドとしては、Rが水素原子、いずれも置換していて
も良いC1〜C6のアルキル基、C2〜C6のアルケニ
ル基、フェニル基を表し、具体的には、ホルムアルデヒ
ド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレ
ルアルデヒド、アクリルアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド、サリチルアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げ
れるが、特にホルマリン又はパラホルムアルデヒド等が
好適に用いられる。
【0022】本発明において、ククルビット誘導体を製
造する際の各反応物のモル比は、グリコールウリル化合
物:アルデヒド:塩化アンモニウム:塩酸=1:2〜4
mol:1〜4mol:6〜24molが好ましい。こ
れらの範囲外になるにつれ反応が進行しにくくなり、収
率が低下するためである。
【0023】本発明のククルビット誘導体の製造法にお
いて、反応液中のグリコールウリル化合物の濃度は、用
いられるグリコールウリル化合物の種類にもよるが、例
えばジメチルグリコールウリルの場合、5〜20重量%
が好ましい。ここで、ジメチルグリコールウリルが5重
量%より少なくなるにつれ、多量の濃縮が必要になる傾
向が見られ、20重量%より多くなるにつれ、反応初期
に溶けにくく撹拌が困難で反応が順調に進まない傾向が
見られる。
【0024】また、アルデヒドの濃度は、例えばホルム
アルデヒドの場合、2〜8重量%が好ましい。ここで、
2重量%より少なくなるにつれ、液量が増えて処理に手
間がかかるという傾向が見られ、8重量%より多くなる
につれ、反応溶液が濃厚になり副反応が増すという傾向
が見られる。
【0025】また、塩化アンモニウムは、過剰に添加す
るのが好ましく3〜10重量%が好ましい。ここで、塩
化アンモニウムが3重量%より少なくなるにつれ、生成
したククルビット誘導体が結晶として沈殿しなくなり、
収率が減少する傾向が見られ、10重量%より多くなる
につれ、生成物結晶中に塩化アンモニウムが混入すると
いう傾向が見られる。
【0026】本発明に用いる塩酸濃度は、17〜35重
量%が好ましい。ここで、塩酸の濃度が17重量%より
少なくなるにつれ、あるいは35重量%より多くなるに
つれ、反応進行が遅く収量減少の傾向が見られる。
【0027】グリコールウリル化合物に、アルデヒド及
び塩化アンモニウムを添加し、塩酸存在下反応させる際
の加熱温度は、70〜100℃が好ましい。ここで、7
0℃より低くなるにつれ、反応が著しく遅くなる傾向が
見られ、100℃より高くなるにつれ、分解が著し起こ
り収率の減少を招くという傾向が見られる。
【0028】ククルビット誘導体の塩化アンモニウム付
加体の単離方法は、特に限定されるものではないが、反
応後放冷するだけでだけで大部分が沈殿し、その生成物
をろ別して取り出すことができ、特に蒸留等により塩酸
を留去すると収率を上げることができる。
【0029】塩化アンモニウム付加体を水酸化アンモニ
ウム付加体に変換する方法は、特に限定されないが、水
酸基型陰イオン交換樹脂が好適に用いられる。
【0030】アンモニアガスの除去方法としては、常圧
又は減圧下において加熱する方法が用いられるが、特に
ロータリーエバポレーターにより減圧下で加熱濃縮する
とアンモニアガスを効率よく除去することができる。ア
ンモニアガスを除去する際の加熱温度は、40〜80℃
が好ましい。ここで、40℃より低くなるにつれ、濃縮
が遅くなる傾向が見られ、80℃より高くなるにつれ、
突沸の傾向が見られる。アンモニアガスを除去する際の
圧力は、800〜5000Paが好ましい。ここで、8
00Paより低くなるにつれ、突沸の傾向が見られ、5
000Paより高くなるにつれ、濃縮の効率が落ちる傾
向が見られる。尚、そのまま完全に水を除去してよい
が、減圧下での濃縮を結晶が析出した段階で止め、常圧
で加熱濃縮して放冷するとよく成長した大きな透明な純
度の高い結晶が得られる。
【0031】得られたククルビット誘導体を水、メタノ
ール、エタノール、ホルムアミド、ギ酸、エチレングリ
コール等の有機溶媒やその水との混合溶媒を用いて再結
晶することができるが、熱水からの再結晶が、操作の簡
便さ純度の点から最適である。再結晶して得られたクク
ルビット誘導体は、水を8分子付加しているので、クク
ルビット誘導体を約80℃で10〜20時間乾燥させる
と、水1分子を付加した本発明のククルビット誘導体を
好適に得られる。
【0032】本発明の製造方法により得られる一般式
(4)で示されるククルビット誘導体、すなわち、一般
式(1)においてRが水素原子であるククルビット誘導
体は、種々の大きさを有する気体の分子をその空洞内に
捕集することができる。一般式(4)において、R
びRは水素原子、C1〜10のアルキル基又はフェニ
ル基を表し、置換基を有していてもよく、同一又は異な
っていてもよい。具体的には、水素原子、メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、
イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、へプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基等
が挙げられ、これらは置換基を有していてもよく、同一
又は異なっていてもよい。特に好ましいククルビット誘
導体は、原料の入手容易さからククルビット[5]ウリ
ル、デカメチルククルビット[5]ウリル等が挙げられ
る。
【0033】一般式(4)で示されるククルビット誘導
体の空洞内に補修することのできる期待は、具体的に
は、大気中だけでなく水溶液中の酸素、窒素、一酸化炭
素、二酸化炭素、メタン、アセチレン、アルゴン、キセ
ノン、NOxの窒素酸化物、SOxの硫黄酸化物等の気体
を選択的に空洞内に捕集することが可能であり、特に酸
素、窒素に優先して二酸化炭素が空洞内に吸収されやす
く、減圧加熱により二酸化炭素を放出することができ
る。また、ククルビット誘導体水溶液に5〜10℃の低
温でキセノンガスやメタンガスを吹き込むと、ガスが分
子空洞内に取り込まれ、直ちに白色結晶性粉末の結晶と
して沈殿してくるが、この沈殿は室温に戻すと溶けて気
泡を放出するので、これらのガスの精製、分離にも利用
することができる。
【0034】本発明に係る一般式(4)で示されるクク
ルビット誘導体の内部の空洞サイズは、空間充填モデル
による見積もりでは分子の直径約5.6Åであり、入口
直径が約3.2Åである。従って、口径より小さな原
子、分子(動的直径:ヘリウム2.6Å、水素2.89
Å、ネオン2.75Å)では出入りが自由でモレキュラ
ーシーブとして安定的に吸収し、加熱しても放出される
ことはなく、逆に口径よりかなり大きな原子、分子(キ
セノン3.96、メタン3.8Å)では固体粉末に取り
込むことはできないが、水中では完全ではないが取り込
むことができる。それらの間の大きさの気体原子、分子
ではククルビット[5]ウリル誘導体に取り込まれ、特
に強い相互作用をしなければ、加熱により放出されてモ
レキュラーシーブとしての働きをすることができる。捕
集できる分子は、水素分子もしくはヘリウム、ネオン原
子より大きく、且つ空洞サイズより小さい原子、分子が
好ましい。
【0035】一般式(4)で示されるククルビット誘導
体を常圧又は減圧下で加熱し乾燥した後、種々の大きさ
を持つ気体分子を該ククルビット誘導体の空洞内に捕集
し、その後、減圧下で加熱して該気体分子を放出すること
により除去することができる。ククルビット誘導体を乾
燥する温度は、80〜120℃が好ましい。ここで、温
度が上記範囲外になるにつれ、分子空洞中に含まれる水
分子が放出されないためガスの吸収量が減少する。また
この中の水分子のため適正な乾燥温度でも大きな気体粒
子で相互作用の小さなガス、例えばアルゴンなどでは水
分子が残っている脱水直後は吸収量が少ない。吸収、放
出、減圧のサイクルを繰り返すと回を追うごとに増加し
空気吸収量と同程度になる。相互作用の強い気体、例え
ば亜酸化窒素などではこの内部の水分子を追い出して入
り込むため水蒸気が放出されガスビュレットで計測する
と最初大きく放出するがガスの放出が減少すると逆に放
出体積が少しずつだが減少するという逆の変化が見られ
る。120℃より高温に加熱にすると更に水蒸気が放出
されるが、逆に気体の吸収量は減少する傾向がある。こ
れは内部の水分子ではなく結晶構造をある程度保ってい
た結晶格子の水が失われ結晶構造が壊れ気体分子が侵入
しにくくなるためと考えられる。ククルビット誘導体を
加熱乾燥する際の圧力は、40〜80Paが好ましい。
ここで、圧力が40Paより低くなるにつれ、水分の除
去の効率が悪く到達時間が長くなるという傾向が見ら
れ、80Paより高くなるにつれ、残存する水が多く気
体収収量が減少するという傾向が見られる。
【0036】気体分子を該ククルビット誘導体に吸収し
包接した後、該気体分子を放出する温度は、80〜22
0℃、好ましくは90〜120℃である。ここで、温度
が90℃より低くなるにつれ、除去材が再生されにくく
なるという傾向が見られ、120℃より高くなるにつ
れ、残存結晶格子が崩れ、吸収能力がかえって減少する
という傾向が見られる。気体分子を該ククルビット誘導
体に吸収し包接した後、該気体分子を放出する際の圧力
は、40〜80Paが好ましい。ここで、圧力が40P
aより低くなるにつれ、脱気してこの圧力にするのが難
しくなる傾向が見られ、80Paより高くなるにつれ、
脱気が不十分になるという傾向が見られる。
【0037】したがって、本発明の一般式(4)で示さ
れるククルビット誘導体は、種々のガスのガス除去剤と
して使用することができる。本発明に係るガス除去材
は、酸素、窒素に優先して二酸化炭素を吸収し、放出する
ことから空気中の二酸化炭素の除去、特に宇宙旅行や海
底作業等の狭い空間において、空気中の二酸化炭素レベ
ルを人間が呼吸するのに適したレベルにコントロールす
ることができるとともに、ガス除去材を穏やかな条件で
活性化して再使用する循環型システムを構築することが
可能である。また、ククルビット誘導体に予め酸素を吸
蔵させておき、酸素の供給と二酸化炭素の除去を行うガ
スマスク等への応用も可能である。また、窒素酸化物に
ついても麻酔に用いられる亜酸化窒素は吸収、放出の
量、速度の効率が高く手軽にボンベの替わりに用いるこ
とができる。環境で問題となっている酸化窒素について
は吸収力が余りに強いため加熱しても放出されない。従
って手軽な減圧加熱などの可逆的な再生使用はできない
が、分解が殆どないので水からの再結晶により容易に定
量的に再生でき、再使用できるので環境浄化方面の用途
や、防毒マスクにの吸収剤として利用できる。更に、水
溶液中においても気体を吸収することができるので、低
温の水溶液中で容易にメタン包接体やキセノン包接体が
沈澱し、温度を少し上げるだけで気体を放出するのでメ
タンガスやキセノンガスを容易に分離することができ
る。
【0038】一般式(4)で示されるククルビット誘導
体は、ガス除去材として以外に、分離材、ガスセンサー
等として広く使用することもできる。本発明の除去材
に、本発明の目的を損なわない範囲において、安定剤、
紫外線吸収剤、滑剤、ブルーイング剤、顔料、着色剤、
酸化防止剤、帯電防止剤等の添加剤等をブレンドしても
よい。
【0039】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、これらの例は単なる実例であって本発明を限
定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範
囲で変更させてもよい。
【0040】実施例1デカメチルククルビット[5]ウリルの合成 塩化アンモニウム12.0gを30mlの水に加熱溶解
し、ジメチルグリコールウリル50.0gを加えた後、
濃塩酸300mlを加えて溶かし、37重量%ホルマリ
ンを75ml加えた。その後、80℃で6時間加熱攪拌
し、反応溶液と等容積の水を加え、減圧下にて加熱し、
塩酸及び水を除去した。生成した沈殿に少量の水を加え
てろ過し、酸性を示さなくなるまで少量の水で洗った
後、乾燥し結晶性粉末24.54g(2NHCl・4
O付加体として36.3%)を得た。得られた塩化
アンモニウム付加体10.0gを900ml温水に溶か
し、室温にて冷ましてから、水酸基型に変換した陰イオ
ン交換樹脂アンバーライト IRA410(ローム&ハ
ース製)(樹脂量:220ml)を通した。得られた水
溶液をロータリーエバポレータにより減圧留去すると、
無色結晶が得られた。次いで、得られた結晶を水から再
結晶し、8H0付加体を得た後、80℃で加熱乾燥し
て水を除去し、8.76gの白色粉末を得た。物性値は
以下の通りである。 脱水後も1分子の水を含み、乾燥すると空気を吸収する
ようになるため、正確な収率を出すことができないが、
収率は略定量的で不純物は見られないことがわかった。
【0041】実施例2デカメチルククルビット[5]ウリルの合成 ジメチルグリコリウリル10.0gに濃塩酸60ml、
ホルマリン15mlを加え80℃で6時間加熱した後
に、沈殿剤として塩化アンモニウム2.0gを水10m
lに溶かした水溶液を加えた。反応溶液を水で2倍に薄
めロータリーエバポレーターで塩酸と水を除去した。こ
れに少量の水を加えると沈澱が生成するのでろ過し少量
の水で良く洗い、乾燥した。4.00g(29.6%)
の白色結晶性粉末としてデカメチルククルビット[5]
ウリルの2NHCl・4HO付加体を得た。得られ
た塩化アンモニウム付加体10.0gを900ml温水
に溶かし、室温にて冷ましてから、水酸基型に変換した
陰イオン交換樹脂アンバーライト IRA410(ロー
ム&ハース製)(樹脂量:220ml)を通した。得ら
れた水溶液をロータリーエバポレータにより減圧留去す
ると、無色結晶が得られた。次いで、得られた結晶を水
から再結晶し、8H0付加体を得た後、80℃で加熱
乾燥して水を除去し、8.51gの白色粉末を得た。脱
水後も1分子の水を含み、乾燥すると空気を吸収するよ
うになるため、正確な収率を出すことができないが、収
率は略定量的で不純物は見られないことがわかった。
【0042】比較例1塩化アンモニウムを使用しないデカメチルククルビット
[5]ウリル塩化アンモニウム付加体の合成 ジメチルグリコリウリル10.0gに濃塩酸60ml、
ホルマリン15mlを加え80℃で6時間加熱した。反
応溶液を水で2倍に希釈しロータリーエバポレーターで
塩酸と水を除去した。これに少量の水を加えて放置して
できる沈澱をろ過し少量の水で良く洗い、乾燥した。白
色結晶性粉末としてデカメチルククルビット[5]ウリ
ルの2NHCl・4HO付加体1.89g(14.
0%)を得た。物性値は以下の通りである。 元素分析 C40H5820・2NHCl・4HOとして 計算値(%) 実測値(%) C: 41.78 41.62 H: 5.78 5.62 N: 26.80 26.78 この塩化アンモニウム付加体を結晶X線解析により確認
した。
【0043】試験例1気体吸収量の測定 実施例1で得られたデカメチルククルビット[5]ウリ
ル19.5gを循環型ガス吸収管に詰め、110℃でゆ
っくり加熱して水分を除去した。その後、さらに油回転
ポンプで減圧し、圧力が40Pa程度において脱水と脱
ガスを行ったところ粉末の重量は17.3gとなった。
以下の気体について気体吸収量を測定した。
【0044】窒素 110℃で脱気した未だ熱いデカメチルククルビット
〔5〕ウリルを窒素気流下で常圧に戻し、21容積のア
ルミバッグに詰めた窒素をペリスタルティックポンプで
窒素を1時間循環させた。110℃に40分加熱して窒
素を放出させ、放出量をガスビュレットで測定すると1
88mlであった。再度脱気し、窒素を循環させたの
ち、放出して測定すると188mlであった。
【0045】酸素 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
230mlであった。再度脱気し、酸素を循環させた
後、放出して測定すると222mlであった。
【0046】アルゴン 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
192mlであった。再度脱気し、アルゴンを循環させ
た後、放出して測定すると183mlであった。得られ
たガスが、アルゴンであることはHP-PLOT Molecular Si
eve (モレキュラーシーブ5A) キャピラリーカラム装
着した質量分析検出ガスクロマトグラフィー(GCM
S)(ヒューレットパッカード社製)で分析して質量か
ら確かめた。
【0047】亜酸化窒素 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
701mlであった。再度脱気し、亜酸化窒素を循環さ
せた後、放出して測定すると682mlと大きな吸収放
出量が得られ、吸収能力は約40ml/gとなった。
【0048】一酸化炭素 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
228mlであった。再度脱気し、一酸化炭素を循環さ
せた後、放出して測定すると228mlであった。
【0049】アセチレン 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
300mlであった。再度脱気し、アセチレンを循環さ
せた後、放出して測定すると253mlであった。
−NMRスペクトルによりアセチレンプロトンのピーク
が観測され分子内部に取り込まれていることが確認され
た。これにより、アセチレンがデカメチルククルビット
〔5〕ウリル内に極めて強く取り込まれていることがわ
かる。
【0050】一酸化窒素 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
198mlであった。再度脱気し、一酸化窒素を循環さ
せた後、放出して測定すると198mlであった。
【0051】二酸化炭素 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
327mlであった。再度脱気し、二酸化炭素を循環さ
せた後、放出して測定すると336mlであった。
【0052】空気 上記と同様にして放出量をガスビュレットで測定すると
196mlであった。再度脱気し、空気を循環させた
後、放出して測定すると222mlであった。
【0053】試験例2気体吸収量の測定 実施例1で得られたデカメチルククルビット[5]ウリ
ル19.5gを循環型ガス吸収管に詰め、110℃でゆ
っくり加熱して水分を除去した。その後、さらに油回転
ポンプで減圧し、圧力が40Pa程度において脱水と脱
ガスを行ったところ粉末の重量は17.3gとなった。
以下の気体について試験例1と同様にして気体吸収量を
測定した。
【0054】ヘリウム 試験例1と同様にして放出量をガスビュレットで測定す
ると42mlであった。再度脱気し、ヘリウムを循環さ
せた後、放出して測定すると29mlであった。
【0055】水素 試験例1と同様にして放出量をガスビュレットで測定す
ると19mlであった。再度脱気し、水素を循環させた
後、放出して測定すると37mlであった。
【0056】クリプトン 試験例1と同様にして放出量をガスビュレットで測定す
ると49mlであった。再度脱気し、クリプトンを循環
させた後、放出して測定すると23mlであった。
【0057】キセノン 試験例1と同様にして放出量をガスビュレットで測定す
ると43mlであった。再度脱気し、キセノンを循環さ
せた後、放出して測定すると42mlであった。
【0058】ネオン 試験例1と同様にして放出量をガスビュレットで測定す
ると18mlであった。再度脱気し、ネオンを循環させ
た後、放出して測定すると25mlであった。
【0059】メタン 試験例1と同様にして放出量をガスビュレットで測定す
ると32mlであった。再度脱気し、メタンを循環させ
た後、放出して測定すると29mlであった。
【0060】試験例3空気中の二酸化炭素の吸収 デカメチルククルビット[5]ウリル17.4gを循環
型ガス吸収管に詰め、110℃でゆっくり加熱して水分
を除去した。その後、さらに油回転ポンプで減圧し、圧
力が40Pa程度において脱水と脱ガスを行ったところ
粉末の重量は15.3gとなった1l中50mlの二酸
化炭素を含む空気(5%二酸化炭素)をアルミニウムバ
ッグに詰め、上記のガス吸収管に室温にてペリスタルテ
ィックポンプで循環して吸収させ、循環しているガスを
HP-PLOTQ (ポリスチレンージビニルベンゼン ポリマ
ー) キャピラリーカラム装着した質量分析検出ガスク
ロマトグラフィー(GCMS)(ヒューレットパッカー
ド社製)で分析してガスの定量と同定を行った。二酸化
炭素の濃度は、予め10、5、3、2、1、0.5、
0.3%濃度の二酸化炭素を含む空気を測定して検量線
を作成、それに基づいて決定した。その結果、循環空気
中の二酸化炭素濃度は、15分後には2%に、30分後
には1%に、1時間後には0.3%に、1.5時間後に
は0.04%となり、2時間後には0.01%となり、
自然界の新鮮空気中の二酸化炭素濃度0.035%(自
然界でほぼ一定)以下となった。すなわち、30分で二
酸化炭素の大部分を吸収し、さらに2時間で二酸化炭素
濃度が新鮮空気中の濃度の半分以下に達した。この二酸
化炭素を吸収したデカメチルククルビット[5]ウリル
を110℃のに加熱して発生する気体をガスビュレット
で測定すると118mlでこの気体はほとんど空気で二
酸化炭素の濃度は2%足らず則ち2mlしか入っていな
いことから後の48mlは吸収されたままであることが
わかった。そこで圧力40Paになるまで110℃で減
圧加熱すると、ガス吸収活性を取り戻し再度同じ炭酸ガ
ス吸収で同等の結果を与え、何度も繰り返し使用するこ
とができた。
【0061】試験例4水溶液中のキセノンの吸収 試験例1と同様にしてデカメチルククルビット[5]ウ
リルを合成した。デカメチルククルビット[5]ウリル
重水溶液(25mg/0.7ml)に10℃でキセノン
ガスを吹き込むと、キセノンガスが分子空洞内に取り込
まれ、結晶として沈殿した。この結晶がキセノンを分子
空洞中に取り込んでいることを結晶X線解析により確認
した。また、X線解析の結果から空洞の中心に位置する
キセノンとカルボニル炭素付近に位置する水分子の存在
が確認された。室温にすると、キセノンガスの泡が放出
された。
【0062】試験例5水溶液中のメタンの吸収 試験例1と同様にしてデカメチルククルビット[5]ウ
リルを合成した。デカメチルククルビット[5]ウリル
重水溶液(25mg/0.6ml)に10℃でメタンガ
スを吹き込むと、メタンガスが分子空洞内に取り込ま
れ、結晶として沈殿した。室温にすると、結晶のあった
ところにメタンガスの泡が残った。このデカメチルクク
ルビット[5]ウリル重水溶液のH−NMRスペクト
ルと13C−NMRスペクトルを測定したところ、DS
Sを基準として、−0.87ppmにメタンのプロトン
ピークを、−4.81ppmにメタンの炭素ピークを確
認した。また、この溶液のH−NMRスペクトルによ
るメタンプロトンとデカメチルククルビット[5]ウリ
ルのメチルプロトンの積分比からククルビット1分子当
りメタンは0.34分子しか取り込まれない。従ってこ
の溶液はかなりメタンガスが抜けており、沈殿した結晶
により多く含まれているはずである。メタン包接体のX
線構造解析の結果から、内部に存在する水の占有率は
0.64、中心にあるメタンの炭素の占有率は0.49
であった。また、分子中央に炭素原子の存在を示唆する
構造を示した。
【0063】試験例6アンモニウム付加体を用いた空気中の二酸化炭素の吸収 比較例1で得られたデカメチルククルビット[5]ウリ
ル2塩化アンモニウム付加体19.3gを循環型ガス吸
収管に詰め、110℃で油回転ポンプで減圧し、圧力
0.5mmHgで2時間脱水と脱ガスを行った。1l中
50mlの二酸化炭素を含む空気(5%二酸化炭素を含
む空気)を、上記のガス吸収管に、室温にて循環させ、
モレキュラーシーブ5A キャピラリーカラム装備の質
量分析検出ガスクロマトグラフィー(GCMS)(ヒュ
ーレットパッカード製)で二酸化炭素の濃度を測定し
た。その結果、2時間後において、循環空気中の二酸化
炭素濃度はわずかに低下したのみであった。また、放出
された気体量は10mlのみであり、従って、塩化アン
モニウムで蓋をされているとデカメチルククルビット
[5]ウリルの塩化アンモニウム付加体は、殆ど二酸化
炭素はもとより、空気、酸素も吸収しないことがわか
る。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば以下の有利な効果を奏す
ることができる。グリコリルウリル化合物とアルデヒド
を塩酸存在下に反応して、ククルビット誘導体を製造す
る反応において、塩化アンモニウムを添加して、ククル
ビット誘導体を溶解度の小さな2塩化アンモニウム付加
体として得ることにより、収率を大幅に向上させること
ができる。その結果、ククルビット誘導体の製造工程が
簡単になり、製造コストの低減を図ることができ、工業的
に大量生産が可能である。ククルビット誘導体は、種々
の気体を包接、吸収することができるうえ、安定した分
子構造を有する有機物であるため、軽量且つ毒性の低い
ガス除去材として用いることができ、安全性,汎用性に
優れるとともに、大規模な二酸化炭素の吸収除去システ
ムを構築することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)(化1)で示されるグリコ
    ールウリル化合物に、 【化1】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
    ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
    く、同一又は異なっていてもよい) 一般式(2)(化2)で示されるアルデヒド 【化2】 (式中、Rは水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2
    〜C6のアルケニル基、フェニル基を表し、それらは置
    換基を有していてもよい) 及び塩化アンモニウムを塩酸存在下反応させた後、塩化
    アンモニウム付加体を単離し、水酸化アンモニウム付加
    体に変換後、これを常圧又は減圧下で加熱しアンモニア
    ガスを除去することを特徴とする一般式(3)(化3)
    で示されるククルビット誘導体の製造方法。 【化3】 (式中、R、R及びRは前記の意味を表す)
  2. 【請求項2】 一般式(1)(化4)で示されるグリコ
    ールウリル化合物に、 【化4】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
    ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
    く、同一又は異なっていてもよい) 一般式(2)(化5)で示されるアルデヒドを添加し、 【化5】 (式中、Rは水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2
    〜C6のアルケニル基、フェニル基を表し、それらは置
    換基を有していてもよい) 塩酸存在下反応させた後、塩化アンモニウムを添加し、
    次いで、塩化アンモニウム付加体を単離し、水酸化アン
    モニウム付加体に変換後、これを常圧又は減圧下で加熱
    しアンモニアガスを除去することを特徴とする一般式
    (3)(化6)で示されるククルビット誘導体の製造方
    法。 【化6】 (式中、R、R及びRは前記の意味を表す)
  3. 【請求項3】 一般式(4)(化7)で示されるククル
    ビット誘導体 【化7】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
    ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
    く、同一又は異なっていてもよい)を含有することを特
    徴とするガス除去材。
  4. 【請求項4】 除去されるガスが、酸素、窒素、一酸化
    炭素、二酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、メタン、
    アセチレン、アルゴン、キセノンから選ばれる少なくと
    も1種である請求項3に記載のガス除去材。
  5. 【請求項5】 一般式(4)(化8)で示されるククル
    ビット誘導体 【化8】 (式中、R及びRは水素原子、C1〜10のアルキ
    ル基又はフェニル基を表し、置換基を有していてもよ
    く、同一又は異なっていてもよい)を常圧又は減圧下で
    加熱し乾燥した後、気体分子を該ククルビット誘導体に
    吸収し包接し、その後、該ククルビット誘導体を減圧下で
    加熱し該気体分子を放出することを特徴とするガスの除
    去方法。
  6. 【請求項6】 該ククルビット誘導体を乾燥する温度が
    80〜120℃であり、及び/又は該気体分子を放出す
    る温度が80〜220℃であることを特徴とする請求項
    5に記載のガスの除去方法。
  7. 【請求項7】 除去されるガスが、酸素、窒素、一酸化
    炭素、二酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、メタン、
    アセチレン、アルゴン、キセノンから選ばれる少なくと
    も1種である請求項5又は6に記載のガスの除去方法。
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