本発明は、光走査装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、例えば、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等に好適な光走査装置に関するものである。
従来、光束を反射偏向する光偏向器(偏向手段)として往復運動を行う光偏向器を使用した光走査装置が種々提案されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1においては、正弦振動を行う振動ミラー(偏向面)とそれに対向して配置された2枚の固定ミラーとの間で光束(光線)を多重反射させることによって、該光束の走査角度を増大させている。
特開2004−191416号公報(外国出願なし)
特開2005−173082号公報(外国出願なし)
特許文献1において光束の走査角度を増大させると、本来1枚の振動ミラーで構成することができる小型の振動ミラーと固定ミラーで多重反射させて用いている為に構成が複雑となり、小型化に対しては好ましい構成とは言い難い。
さらに特許文献1は光束を多重反射させている為に光偏向器の振動ミラー(偏向面)の寸法を主走査方向に大きくする必要があり、高速走査に対して不利であるのと同時に、正弦振動時の角加速度や空気抵抗による振動ミラー面の変形が避けられない。
この為、特許文献1においては振動ミラーの振れ角が大きくなるに従い、振動ミラー面の変形に起因するピントずれを振動周期に同期してカップリングレンズを微小振動させて補正している。
多重反射を用いて光束の走査角度を増大させる形態においては振動ミラーの触れ角が大きくなるにしたがって振動ミラーの端部を光束が通過する。この為に偏向角(振動角)の増大にしたがって振動ミラーの変形量の影響を強く受ける。
その為、ピントずれの量も偏向角(振動角)が大きくなるにしたがって大きくなってしまう。したがって特許文献1では振動周期に同期してカップリングレンズを微小振動させる等という複雑な制御を必要とするという問題点があった。
また往復運動を行う光偏向器においては、その往復運動に伴う動的な主走査方向の偏向面の変形が避けられない。
光偏向器の偏向面が主走査方向に変形した場合、その偏向面で反射された光束には、偏向面の変形量の倍の波面収差が発生することとなり、結像性能に悪影響を与えてしまうという問題点がある。
一方、特許文献2においては、該偏向ミラー面の主走査方向の変形を軽減するために、偏向ミラーの裏面を複数肉抜きし、その肉抜き部の面積及び配置密度を主走査方向の位置によって異ならせたりしている。
また偏向ミラーを軸支する梁部をY字型とし、該偏向ミラーの主走査方向の異なる2箇所から梁部を出す構成とすることによって、該偏向ミラー面の主走査方向の変形を軽減する構成としている。
また往復運動を行う光偏向器を用いた光走査装置においては、偏向面が一面しかないという特徴を活かして、結像光学系に倒れ補正光学系を採用しない場合がある。
このような場合には、偏向ミラーの主走査方向の変形が該偏向ミラーの副走査方向の位置により変化すると、結像性能が劣化してしまうという問題点がある。
本発明は高画質な画像出力が容易な小型の光走査装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係わる光走査装置の代表的な構成は、光源手段と、偏向手段と、前記偏向手段の偏向面で偏向された光束を被走査面上に結像させる結像光学系と、を有し、前記偏向手段の偏向面が共振駆動による往復運動を行うことにより、前記偏向手段の偏向面で偏向された光束で前記被走査面上を主走査方向に往復走査する光走査装置であって、前記偏向面の往復運動に伴って生じる該偏向面の主走査断面内における変形量が、主走査断面内における走査位置によって変化しており、前記被走査面上の有効走査領域の最大走査位置に対応する前記偏向面の有効偏向角時に前記偏向面で反射した光束の前記主走査断面内での2つのマージナル光線の前記光束の主光線に対する波面収差の位相差の正負の方向を夫々第一方向とし、前記偏向面の有効偏向角時に前記偏向面で反射した光束が前記結像光学系を通過した際に発生した該光束の前記主走査断面内での2つのマージナル光線の該光束の主光線に対する波面収差の位相差の正負の方向を夫々第二方向とした場合、対応するマージナル光線同士で前記第一方向と前記第二方向とが逆方向となるように、前記結像光学系を構成する光学面を主走査断面内において少なくとも1つの非円弧形状とし、かつ、主走査断面内において、前記偏向面の有効偏向角時に前記偏向面で反射した光束の走査端部側のマージナル光線と前記光束の主光線との光路長差をδL1+、前記偏向面の有効偏向角時に前記偏向面で反射した光束の走査中心部側のマージナル光線と前記光束の主光線との光路長差をδL1−、前記偏向面の有効偏向角時に前記偏向面で反射した光束が前記結像光学系を通過した際の走査端部側のマージナル光線と該光束の主光線との光路長差をδL2+、前記偏向面の有効偏向角時に前記偏向面で反射した光束が前記結像光学系を通過した際の走査中心部側のマージナル光線と該光束の主光線との光路長差をδL2−とするとき、前記結像光学系は、
なる条件を満足し、かつ、
前記結像光学系を構成する光学面の面数をmとし、各光学面の主走査断面内の面形状を、各光学面と前記結像光学系の光軸との交点を原点とし、前記光軸の方向をX軸、主走査断面内において前記光軸と直交する軸をY軸として、X=f(Y)で表したとき、前記偏向面の有効偏向角時に以下の条件式を満足することを特徴とする。
ただし、
Uj:
前記光学面が透過面で入射面の場合、Uj=−1、
前記光学面が透過面で出射面の場合、Uj=+1となり、
前記光学面が反射面の場合、Uj=+1となる係数
Nj:
前記光学面が透過面の場合、Njは硝材の屈折率となり、前記光学面が反射面の場合、Nj=2となる係数
また、上記光走査装置を用いた画像形成装置も本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、往復運動型光偏向器を用いても被走査面上にて結像スポットの劣化を抑制した光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
尚、以下の説明において、主走査方向とは光偏向器の偏向軸及び結像光学系の光軸に垂直な方向(光偏向器で光束が偏向走査される方向)である。副走査方向とは光偏向器の偏向軸と平行な方向である。
また、主走査断面とは主走査方向と結像光学系の光軸を含む平面である。また副走査断面とは、結像光学系の光軸と平行で、かつ、主走査断面と垂直な断面である。
図1において、1は光源手段であり、例えば半導体レーザーより成っている。2は開口絞りであり、通過する光束の光束幅を制限して光束径を決定している。
3は集光光学系(コリメータレンズ)であり、光源手段1より出射された発散光束を平行光束に変換している。4はレンズ系(シリンドリカルレンズ)であり、副走査断面内(副走査方向)のみに特定のパワー(屈折力)を有している。
レンズ系4は、副走査断面内においてコリメータレンズ3で平行光束とされた光束を後述する光偏向器(偏向手段)6の偏向面6aにほぼ線像として結像している。
5はミラーであり、シリンドリカルレンズ4を通過した光束を主走査方向に対して偏向させて、光偏向器6に導いている。
尚、コリメータレンズ3、シリンドリカルレンズ4の各要素は入射光学系LAの一要素を構成している。
また、コリメータレンズ3とシリンドリカルレンズ4を1つの光学素子(アナモフィックレンズ)として一体的に構成しても良い。
偏向手段としての光偏向器6は、その偏向面6aが共振による往復正弦振動を行う共振型光偏向器より成っている。
本実施例では、光偏向器6の偏向面6aが往復運動を行うことにより、入射光学系LAから出射した光束で被走査面8上を主走査方向に往復走査している。
光偏向器6の偏向面6aの往復運動は共振駆動により行われ、また正弦振動的に行われている。
7は、結像光学系(fθレンズ系)であり、第1、第2の結像レンズ(fθレンズ)71,72を有しており、光偏向器6によって反射偏向された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光ドラム面8上に結像させている。
本実施例における結像光学系7を構成する第1、第2のfθレンズ71,72は、光偏向器6の偏向面6aが往復運動に伴って主走査断面内において変形するとき、変形量に応じて生ずる主走査断面内における波面収差を減ずる構成より成っている。
8は、被走査面としての感光ドラム面である。
本実施例において、画像情報に応じて半導体レーザー1から光変調され出射した発散光束は開口絞り2によって光束幅と断面形状が整えられ、コリメータレンズ3によって平行光束に変換される。
そして、シリンドリカルレンズ4、ミラー5を介して、主走査断面内においては光偏向器6の振動角(偏向角)の中央から偏向面6aに入射(正面入射)する。
また、副走査断面内においては偏向面6aに対し副走査方向に有限な角度を持って入射(斜入射)する。
そして、光偏向器6の偏向面6aの往復運動により主走査方向に偏向反射された光束はfθレンズ系7を介して感光ドラム面8上に導光され、該光偏向器6の偏向面6aを往復運動させることによって、該感光ドラム面8上を光束にて主走査方向に走査している。
これにより記録媒体としての感光ドラム面8上に画像記録を行っている。
本実施例における光偏向器6は、その偏向面6aが共振による往復正弦振動を行う共振型光偏向器で構成されている。
一般に正弦振動を行う光偏向器において、その偏向面の面積を大きくしてしまうと高速で振動させることが困難となってくる。
このため、レーザービームプリンタやデジタル複写機等に使用する場合には極力その偏向面の寸法を小さくする必要がある。
したがって、本実施例において、光束は図1において図面上、右方向(fθレンズ系7側)から光偏向器6の偏向面6aに正面から入射させている(正面入射)。
つまり、主走査断面内において、光束は結像光学系7の光軸方向から光偏向器6の偏向面6aに正面から入射させている。
このように光束を入射させることにより光偏向器6の偏向面6aの大きさ(主走査方向の幅)を最小限の大きさにすることが出来、高速で振動させることが容易となる。
また、上記の如き入射方法をとった場合には光偏向器6の偏向面6aに入射する光束と偏向面6aによって偏向反射された光束が互いに干渉してしまう。
このため、偏向面6aに入射する光束は偏向面6aの面法線に対して副走査方向に有限の角度を成して入射させている(斜入射光学系)
本実施例においては、偏向面6aの面法線6cに対して副走査方向に2度の入射角度を成して副走査方向に見て下方(図1おいて紙面の下側)から偏向面6aに入射させている。
したがって、偏向面6aによって偏向反射された光束も同様に偏向面6aの面法線に対して副走査方向に2度の角度を成して副走査方向に上方(図1において紙面の上側)に偏向反射される。
結像光学系であるfθレンズ系7は、前記上方に偏向反射された偏向光束が入射されるように副走査方向上方に特定の距離を置いて配置され、結像光学系であるfθレンズ系7に入射した偏向光束を感光ドラム面8上にスポット状に結像させている。
光偏向器6の偏向面6aは前述したように最大振幅(最大偏向角)±φmaxの範囲で主走査方向に往復振動している。
偏向面6aは偏向角(振動角)φが、角振動数ω、時間tによって、
φ=φmax・sinωt
で表わされる正弦振動を行っている。
本実施例における光偏向器6は、その偏向面6aの最大振幅φmaxが±36度に設定されており、そのうち±22.5度の範囲を有効偏向角として画像書き込みとして使用している。
一般に正弦振動を行う光偏向器で偏向反射された光束を被走査面上で等速度の光束に変換する結像レンズとしてarcsinレンズが用いられることが多い。
arcsinレンズには、被走査面上における走査中心部に対して被走査面上における走査端部の主走査方向のFno(Fナンハ゛ー)が大きくなってしまうという光学特性がある。
その為に、被走査面上における走査中心部の主走査方向のスポット径に対して、被走査面上における走査端部の主走査方向のスポット径が大きくなってしまうという問題点が存在する。
これは、正弦的に角速度が変化する光束を被走査面上において等速度に走査させる為に生ずる現象である。
被走査面上において、上記の如く主走査方向のスポット径にバラツキがあるとハーフトーン画像における諧調再現性の劣化、場所による細線の幅の再現性の劣化等といった不具合が生じてしまう。
その為、本実施例においては結像レンズ7として、有効走査領域内において、被走査面8上における主走査方向のスポット径が一定であるという特性を有するfθレンズ71,72を使用している。
正弦振動を行う光偏向器6を用いて結像レンズとしてfθレンズを単純に使用すると、感光ドラム面8上において走査中心部(fθレンズ系7の光軸)に対して走査端部の走査スピードが遅くなってしまい画像が主走査方向に縮んでしまうという問題がある。
そこで、本実施例においては感光ドラム面8上の主走査方向の走査位置に同期して半導体レーザ1の変調クロックを連続的に変化させることで上記問題を解決している。
このような構成とすれば、感光ドラム面8上において上記の如き主走査方向のスポット径のバラツキが全くない為、先に述べたハーフトーン画像における諧調再現性の劣化、場所による細線の幅の再現性の劣化、等といった不具合が一切生じることは無い。
また、感光ドラム面8上における走査中心部に対して感光ドラム面8上における走査端部(最大像高)の走査スピードが遅くなってしまうということは、走査端部における感光ドラム面8上における露光エネルギーが増加することを意味している。
したがって、走査端部(最大像高)において、半導体レーザ1の発光光量を連続的に減少させるという制御を行った方が、よりハーフトーン画像における諧調再現性を向上させることが出来る。
本実施例においては先に説明したように偏向面6aによって偏向反射された光束は偏向面6aの面法線に対して副走査方向に2度(2°)の角度を成して副走査方向に上方(図1において紙面の上側)に偏向反射される。図2にその様子を模式的に示す。
図2から解るように偏向面6aによって偏向反射された光束は、該偏向面6a上の偏向反射点6bを頂点とする円錐面を形成する為、fθレンズ7に入射する面においては偏向反射された光束の軌跡が副走査方向に湾曲した軌跡を形成する。
この様な光束がfθレンズ系7に入射すると感光ドラム面8上における走査線が副走査方向に湾曲してしまう。
また、このように円錐面上を走査する光束がfθレンズ系7に入射すると被走査面8上の走査中心部においては正常にスポット状に結像させることが出来る。
しかし、被走査面8上の走査端部にいくにしたがって図3に示すように結像スポットのスポット形状が劣化してしまうという問題がある。
図3は、被走査面8上の走査端部における劣化した結像スポットの強度分布の等高線を示した図である。
図3おける等高線は結像スポットのピーク強度を1に正規化したとき外側から順に0.02、0.05、0.1、0.1353、0.3679、0.5、0.75、0.9のレベルでスライスしたときの等高線を描いている。
尚、図3においては横方向は結像スポットが走査する主走査方向であり、縦方向はそれと直交する副走査方向である。
本実施例においては図4に示すように第1、第2のfθレンズ71、72のうち、第1のfθレンズ71の光軸71aを偏向面6aによって被走査面8上における走査中心に向けて偏向反射された光束の主光線に一致するように上向きに2度の角度を成して配置している。
つまり、主走査方向の軸を中心として、副走査断面内において偏向面6a の法線6cに対して上向きに2度(2°)回転偏心させている。
また、第2のfθレンズ72の光軸72aは、偏向面6aの回転軸と直交する面に対して副走査断面内において第1のfθレンズ71とは逆方向に下向きに1.83383度だけ傾けて配置している。
つまり、主走査方向の軸を中心として、副走査断面内において偏向面6a の法線6cに対して下向きに1.83383度だけ回転偏心させている。
さらに、第2のfθレンズ72の第1面(入射面)の副走査断面内の面頂点72bよりも上方に光束が入射するように該第2のfθレンズ72を特定の量だけ副走査方向にずらして配置している。
このように配置することによって、先に述べた感光ドラム面8上における走査線の副走査方向の湾曲と被走査面8上の走査端部における結像スポットの劣化を補正している。
次に本実施例における光偏向器6について詳述する。前述した如く光偏向器6はその偏向面6aが共振による往復正弦振動を行う共振型光偏向器である。
図5に本実施例における光偏向器6の構成の詳細を示す。図5に示すように光偏向器6は可動板67と該可動板67と機械的な接地支持部25を弾性支持するねじりバネ26で構成されている。
これら全ての要素はねじり軸C(副走査方向に平行な軸)を中心として駆動手段16によりねじり振動する。駆動手段16は、例えば固定電磁コイルと可動板67に設置された可動磁石等である。
また可動板67は光束を偏向するための偏向面(不図示)を有しており、可動板67のねじり振動によって光源手段1から出射した光束を偏向走査する。
さて一般に高速動作を必要とする光偏向器においては、その偏向面は特定の角度内をねじり振動するため大きな角加速度を受ける。
したがって駆動時に偏向面が自重による慣性力を受けて反射面が大きく撓んでしまう。
図6Aは図5における可動板67が平板(直方体)であった場合のA-A断面図である。
本実施例の光偏向器6は共振周波数付近で駆動され、ねじり振動している。したがって時間に対する可動板67の偏向角は正弦波状に変化する。
そして最大の角加速度がかかる個所(例えば正弦振動の場合であれば最大偏向角)で可動板67は、最も大きな変形が生じる。
図6Bはそのときの可動板67の変形を模式的に示している。図6Bに示すように可動板67に変形が生じると、該可動板67上に形成されている偏向面6aも同様に変形を受ける。
可動板67が直方体の場合は図7に示す近似モデルによってねじり振動時の可動板67の変形を説明することができる。
図7は、図6Aに示した可動板67の断面図の中央から右側半分を特に示している。可動板67の変形はねじり軸Cを中心に点対称であり、図示のように中央部分を固定端支持とした梁の変形と近似することができる。
可動板67にねじり振動によって角加速度θ×(2πf)2(ただし、θは偏向角、fはねじり振動周波数)が負荷された場合、図7の梁の変形(たわみ)yは下記の(式1)で表わされる。
ただし、xは図7に示したねじり軸Cからの距離、
ρは可動板67の密度、
Eは可動板67のヤング率、
tは可動板67の厚さ、
Whは偏向面の主走査方向の幅Wの半分の値
である。
(式1)から、変形(たわみ)yは偏向角θ、Whの5乗、周波数fの2乗に比例する。このため、偏向面6aの主走査方向の幅が大きい形態(偏向面開口が大きい)、偏向角が大きい形態、高周波数駆動が必要な形態は、自重による可動板67の変形の影響が顕著となる。
本実施例における光偏向器6は、ねじり振動の固有振動周波数が2KHz、可動板67の主走査方向の幅(上記Wの値)が3mm、副走査方向の幅が1mm、厚さtが200μmである。可動板67は前述のとおり振動時の自重により慣性力を受け変形を生じる。
図8はこの可動板67の変形を有限要素法により計算した結果のグラフである。2KHz駆動時に機械的な有効偏向角が+22.5度の場合の図5におけるA-A断面の変形である。尚、ねじりバネ26と可動板67との接続部分(図5のB部)の傾きを0としている。
ここで、走査角、偏向角の定義を示す。
走査角は、主走査断面内における結像光学系7の光軸と光偏向器6の偏向面にて偏向走査された光束の主光線のなす角度と定義される。
よって、走査角は、偏向角(振動角)の2倍となる。
主走査断面内において、被走査面8上の走査線の走査中心(結像光学系7の光軸)を中心として、被走査面8上の走査線の書き出し開始位置側(図1において紙面内の上方、入射光学系LAの反対側)の偏向角を符号がプラス(+)とする。
また、主走査断面内において、被走査面上の走査線の走査中心(結像光学系7の光軸)を中心として、被走査面上の走査線の書き出し終了位置側(図1において紙面内の下方、入射光学系LA側)の偏向角を符号がマイナス(−)とする。
図8におけるyの符号プラス方向が図1において偏向面6aで反射された光束の進行方向(図の右側)に対応し、xの符号プラス方向が図1において偏向面6aの走査線の書き出し開始位置側(図1において紙面内の上方、入射光学系LAの反対側)に対応している。
図9は、図8に示すグラフの原点における傾きを0としたときの図5のA-A断面の変形を示したグラフである。図9に示すとおり、上記(式1)で示される変形yと類似の変形が得られ、ねじり振動によって可動板67が変形されていることが解る。
ここで光偏向器6の偏向面6aが図9に示すような変形を生じている場合、偏向面6aで反射された光束は図9で示した変形yの2倍の量の波面収差が発生することとなり、感光ドラム面8上での結像スポットに悪影響を与えることが予想される。
図9を見ると、波面収差におけるコマが発生しているのが判る。
光偏向器6として回転多面鏡を用いる光走査装置においては、該回転多面鏡は一定な角速度で回転している為に常に角加速度は0である。
したがって、正弦振動を行う光偏向器のように大きな角加速度を受けることはない為、通常このような波面収差は発生しない。
よって回転多面鏡を用いる光走査装置に使用される結像レンズの設計を行う場合には偏向面の変形は通常考慮しないことが多い。
しかしながら、このように設計された(即ち、偏向面の変形を考慮しないで設計された)結像レンズに対して、正弦振動を行う光偏向器6を使用してしまうと偏向面6aの変形により発生する波面収差により結像スポットが劣化することとなる。
図10は回転多面鏡を用いる事を前提に設計された結像レンズを使用し、光偏向器として本実施例の偏向面の変形がある光偏向器(ねじり振動の固有振動周波数が2KHz、可動板の主走査方向の幅Wが3mm、副走査方向の幅が1mm、厚さtが200μm)を使用した場合の図である。
図10においては機械的な偏向角がそれぞれ+22.5度、+21.028度、+16.822度、+12.617度、+8.411度、+4.206度、0.0度のときの感光ドラム面8上でのスポット形状を示している。
また、図3と同様、スポットの強度分布の等高線を示している。また等高線は結像スポットのピーク強度を1に正規化したとき外側から順に0.02、0.05、0.1、0.1353、0.3679、0.5、0.75、0.9のレベルでスライスしたときの等高線を描いている。
比較として同じ結像レンズを使用し、偏向面6aに変形が全くない場合の感光ドラム面8上でのスポット形状を図11に示す。
尚、図3と同様に横方向がスポットが走査する主走査方向であり、縦方向がそれと直交する副走査方向である。
図10、図11から解るように偏向面6aに変形がある場合の図10のスポット形状は偏向面6aに変形が全くない場合の図11の結像スポットの形状に比較して、主走査方向に大きなサイドローブが発生している。
それと同時に結像スポットの外形形状そのものもいびつに歪んで結像スポットの形状が劣化している。さらに+22.5度の有効偏向角においてはサイドローブのピーク強度が0.05(即ち、メインのスポットのピーク強度の5%)を越えてしまっている。
サイドローブのピーク強度が大きくなると画像品質が低下することは良く知られている。
特にメインのスポットのピーク強度に対してサイドローブのピーク強度が5%を越えてくると画像品質の低下が激しくなり、高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置には好ましくない。
また、偏向角が大きいほど結像スポットのスポット形状の劣化が激しいことも解る。何故なら前述したように偏向面の最大偏向角が大きいほど偏向面の変形が大きいからである。
そこで、本実施例では、被走査面上の有効画像領域内の走査線の端部(最大像高)に対応する偏向面の有効偏向角を±22.5度としている。
結像スポットのスポット形状の劣化を抑制するためには、偏向面の有効偏向角を±30度以下とすることが好ましい。
このように偏向面の変形を考慮しないで設計された結像レンズに対して正弦振動を行う光偏向器を使用してしまうと偏向面6aの変形により発生する波面収差により結像スポットが劣化してしまう。
このため高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置を達成することが困難となってしまう。
図1に示した本実施例の第1、第2のfθレンズ71,72は、正弦振動を行うことによって大きな角加速度を受けて図9に示したように撓んでしまった偏向面6aにより発生する波面収差の量を減少せしめるような構成より成っている。
ここで図12に示すように偏向面6aの有効偏向角時に該偏向面6aで反射した光束の主走査断面内での2つのマージナル光線の該光束の主光線に対する波面収差の位相差の正負の方向を夫々第一方向とする。
さらに偏向面6aの有効偏向角時に該偏向面6aで反射した光束が結像光学系7を通過した際に発生した該光束の主走査断面内での2つのマージナル光線の該光束の主光線に対する波面収差の位相差の正負の方向を夫々第二方向とする。
このとき本実施例では、図12および図13に示すように対応するマージナル光線同士で第一方向と第二方向とが逆方向となるように、即ち、δL1 + が負に対しδL2 + が正(またδL1 − が正に対しδL2 − が負)となるように、結像光学系7内に主走査断面内において少なくとも1つの非円弧形状の光学面を設けている。
ここで、偏向面の有効偏向角時に偏向面で反射した光束とは、被走査面上の有効画像領域内の走査線の走査端部(最大像高)に到達する光束を意味する。
以下、その光学原理を説明する。図12は入射した平行光束(平面波)が図9に示すように撓んだ偏向面6aによって反射された後の光束の主走査方向の波面(等位相面)の形状W1を示す模式図である。
図12におけるy方向が図9のグラフの縦軸である変位量yの方向に対応している。また、変位量yの+の方向に反射された光束が進んでいる状態を示している。図12におけるx方向の+方向が、図9のグラフのx軸の+方向と対応している。
ここでは偏向面6aの主走査方向(x方向)3mmの幅に対して、有効反射面の幅2.4mm幅の光束を入射させている。
図12から明らかであるが、撓んだ偏向面6aによって反射された後の光束の主走査方向の波面(等位相面)の形状は、偏向面6aの撓んだ形状の倍の量だけ変形する。
具体的には主走査方向(図12のx方向)の光束端部(マージナル光線)における光束中心部(光束の主光線)との光路長にδL1+、δL1−だけの差が発生することとなる。
δL1+は、主走査方向のプラス側(Upper)の光路長差であり、δL1−は、主走査方向のマイナス側(Lower)の光路長差である。
ここで、主走査方向において、プラス側(Upper)のマージナル光線とは、光線の主光線に対して、被走査面上の走査線の書き出し開始位置側(図1において紙面内の上方、入射光学系LAの反対側)のマージナル光線である。
主走査方向において、マイナス側(Lower)のマージナル光線とは、光線の主光線に対して、被走査面上の走査線の書き出し終了位置側(図1において紙面内の下方、入射光学系LA側)のマージナル光線である。
次に平行光束(平面波)がfθレンズ系7を通過した後の波面(等位相面)の形状を考える。
図13は、偏向面6aの有効偏向角が+22.5度(走査線の書き出し開始位置側)の時の平行光束(平面波)がfθレンズ系7を通過した後の波面(等位相面)の形状を示す模式図である。
fθレンズ系7が理想的な無収差のレンズである場合、fθレンズ系7を通過した後の波面(等位相面)は球面波S(実線で示す)を形成する。
ここではfθレンズ系7を通過した後の波面(等位相面)の形状を図13のW2(点線で示す)に示すように主走査方向(図13のx方向)の光束端部(マージナル光線)における光束中心部(光束の主光線)との光路長にδL2+、δL2−の差を発生させている。
δL2+は、主走査方向のプラス側(Upper)(図12で+x方向)の光路長差であり、δL2−は、主走査方向のマイナス側(Lower)(図12で−x方向)の光路長差である。
図13に示す様にfθレンズ系7を通過した後の波面(等位相面)の球面波S(実線で示す)との光路長差を利用して、図12で示した撓んだ偏向面6aによって反射された後の光束の主走査方向の波面(等位相面)を減少させている。
つまり、撓んでしまった偏向面6aにより発生する波面収差を、fθレンズ系7を通過することによって補正している。
尚、撓んでしまった偏向面6aにより発生する波面収差を、fθレンズ系7を通過することによって良好に補正する為には、下記の条件式を満足することが好ましい。
さらに好ましくは
を満足するのが良い。
図14に本実施例における感光ドラム面8上での結像スポットのスポット形状を示す。
本実施例においては正弦振動を行うことによって大きな角加速度を受けて撓んでしまった偏向面6aにより発生する波面収差をfθレンズ系7によって減少させている。
その為、図10に示した結像スポットのスポット形状と比較してサイドローブが減少しており、結像スポットの外形形状そのものも良好な形状となっていることが解る。
特に有効偏向角である+22.5度においては図9に見られたような5%のピーク強度を有するサイドローブが綺麗に補正されている。
図15に本実施例における偏向面6aの有効偏向角+22.5度における変形によって発生する波面収差(ここでは、理想的な平面波に対する変形によって発生した実際の波面との差)を示す。
グラフの横軸(単位:mm)は光学系(fθレンズ系7)の入射瞳位置における主走査方向の瞳座標であり、瞳半径1.2mmを1で正規化してある。
図15を見ると、波面収差におけるコマが発生しているのが判る。
縦軸は波面収差量を示し、単位はλ(780nm)である。波面収差の方向は、実際の波面が理想的な平面波に対して波面の進行方向に対して遅れているときをマイナス方向としている。
偏向面6aが図9に示すように変形している為、大きな波面収差が発生していることが解る。
図16は本実施例において有効偏向角+22.5度のときに平行光束(平面波)がfθレンズ系7を通過した後で発生する波面収差(先述した球面波Sに対する実際の波面との差)を示す。
図15同様、グラフの横軸は光学系の入射瞳位置における主走査方向の瞳座標であり、瞳半径1.2mmを1で正規化してある。縦軸は波面収差量を示し、単位はλ(780nm)である。
波面収差の方向は、実際の波面が球面波Sに対して波面の進行方向に対して遅れているときをマイナス方向としている。
本実施例におけるfθレンズ系7は、前記図15に示した偏向面6aの変形によって発生する波面収差と等しい量の波面収差を逆方向(相殺方向)に故意に発生させている。
図17は偏向面6aの変形によって発生した波面収差を有する光束がfθレンズ系7を通過した後での波面収差(先述した球面波Sに対する実際の波面との差)を示したものである。
図15と同様、グラフの横軸は光学系の入射瞳位置における主走査方向の瞳座標であり、瞳半径1.2mmを1で正規化してある。
縦軸は波面収差量を示し、単位はλ(780nm)である。波面収差の方向は、実際の波面が球面波Sに対して波面の進行方向に対して遅れているときをマイナス方向としている。
図17から解るように図15に示した偏向面6aの変形によって発生した波面収差を、図16に示すようにfθレンズ系7によって偏向面6aの変形によって発生する波面収差と等しい量の波面収差を逆方向(相殺方向)に故意に発生させている。
これにより良好なる波面収差を達成している。
本実施例においては正弦振動を行う光偏向器6の偏向面6aの変形によって発生する第一の波面収差をfθレンズ系7によって第一の波面収差と等しい量で逆方向の波面収差を故意に発生させている。
つまり、本実施例では、偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が偏向面で反射した際に発生した光束の一方のマージナル光線(upper光線)と光束の主光線との光路長差をδL1+とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が偏向面で反射した際に発生した光束の他方のマージナル光線(lower光線)と光束の主光線との光路長差をδL1−とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が結像光学系を通過した際に発生した該光束の一方のマージナル光線(upper光線)と光束の主光線との光路長差をδL2+とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が結像光学系を通過した際に発生した光束の他方のマージナル光線(lower光線)と該光束の主光線との光路長差をδL2−とする。
このとき、結像光学系は、
なる条件を満足する。
本説明では、偏向面の有効偏向角+22.5度の時を例にとり、本実施例が(a)式を満たすことを述べたが、偏向面の有効偏向角−22.5度の時も本実施例は(a)式を満たす。
また、本実施例では、偏向面の有効偏向角±22.5度以内の全偏向角で(a)式を満たす。
ここで、偏向面の有効偏向角時に偏向面で反射した光束とは、被走査面上の有効画像領域内の走査線の走査端部(最大像高)に到達する光束を意味する。
これにより偏向面6aの変形によって発生する波面収差の量を減少させている。
このように本実施例では正弦振動を行う光偏向器6を使用しながらより高速走査が可能で、かつ画像品質の劣化のない高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置を達成することを可能としている。
表1−1、表1-2に本実施例における光走査装置の光学系の諸特性を示す。
fθレンズの主走査断面の非球面形状は、各レンズ面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をY軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をZ軸としている。
このとき、
なる式で表わされる。
なお、Rは曲率半径、k、B4〜B10は非球面係数である。
また、副走査断面の形状は主走査方向のレンズ面座標がYであるところの曲率半径r′が、
なる式で表わされる形状をしている。
なお、rは光軸上における曲率半径、D2〜D10は各係数である。
ここで、本実施例におけるfθレンズ71、72の主走査断面の非円弧形状は、fθレンズ系を構成する光学面(レンズ面)の面数をmとし、各光学面の主走査断面内の面形状X=f(Y)が上記、
で表したとき、
‥‥‥(b)
なる条件を満足している。
ただし、
Uj:前記光学面が透過面で入射面の場合、Uj=−1となる。
前記光学面が透過面で出射面の場合、Uj=+1となる。
前記光学面が反射面の場合、Uj=+1となる係数となる。
Nj:前記光学面が透過面の場合、Njは硝材の屈折率となり、前記光学面が反射面の場合、Nj=2となる係数となる。
である。
上記条件式(b)は、被走査面上の有効走査領域の最大走査位置に到達する光束がfθレンズ系7を通過した際に受ける光束の主光線に対する波面収差の非対称成分とfθレンズ系7の各面の面形状との相関を表している。
本実施例におけるfθレンズ系7は、図16に示すように偏向面6aの変形によって発生する波面収差と等しい量の波面収差を逆方向(相殺方向)に故意に発生させている。
図44は、被走査面8上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0の様子を示す)に到達する主光線とマージナル光線及びfθレンズ系7の任意のレンズ面(ここでは例として最終面を示している)を示す図である。
図16のような波面収差を発生させる為には、主走査断面内において、レンズ面から出射した走査端部側のマージナル光線と主光線とのなす角と走査中心部側のマージナル光線と主光線とのなす角とに、角度差が存在する必要がある。
具体的には、図44で示すように、被走査面上の主光線の到達位置に対して走査端部側のマージナル光線と走査中心部側のマージナル光線が走査中心部側に到達しなければならない。
その為には、主走査断面内において、レンズ面を通過した被走査面8上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0)に到達する光束の走査端部側のマージナル光線とfθレンズ系7の光軸が成す角度をα(out)とする。
主走査断面内において、レンズ面を通過した被走査面上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0)に到達する光束の走査中心部側のマージナル光線とfθレンズ系7の光軸が成す角度をα(in)とする。
主走査断面内において、レンズ面を通過した被走査面上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0)に到達する光束の主光線とfθレンズ系7の光軸が成す角度をα(p)、
とする。
すなわち、
なる条件を満足する必要がある。
ここで、主走査断面内において、被走査面上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0)に到達する光束の走査端部側のマージナル光線がレンズ面を通過する位置でのレンズ面のfθレンズ系7の光軸に対する傾きを
とする。
主走査断面内において、被走査面上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0)に到達する光束の走査中心部側のマージナル光線がレンズ面を通過する位置でのレンズ面のfθレンズ系7の光軸に対する傾きを
とする。
主走査断面内において、被走査面上の有効走査領域の最大走査位置(ここではY>0)に到達する光束の主光線がレンズ面を通過する位置でのレンズ面のfθレンズ系7の光軸に対する傾きを
とする。
レンズ面の光線入射側の屈折率をN、
レンズ面の光線出射側の屈折率を1、
とすれば、前記条件式(c)は、
と書き直すことが出来る。
ここでは、簡単の為に光学面が1面の場合について説明したが、光学面が複数面の場合には上記レンズ面の傾き関係の総和が、条件(d)を満足していれば良い。
光学面が複数面に場合には、
Uj:前記光学面が透過面で入射面の場合、Uj=−1となる。
前記光学面が透過面で出射面の場合、Uj=+1となる。
前記光学面が反射面の場合、Uj=+1となる係数となる。
Nj:前記光学面が透過面の場合、Njは硝材の屈折率となり、前記光学面が反射面の場合、Nj=2となる係数、
として、前記(d)式に代わり、以下の条件式を満足すれば良いことになる。
‥‥‥(b)
以下に、本実施例における各値と条件式(b)の左辺の値を示す。
これから解るように、本実施例においては、確かにY>0のとき条件式(b)の左辺の値が正となり、Y<0のとき条件式(b)の左辺の値が負となっており、条件式(b)を満足していることが解る。
本実施例においては、条件式(b)を満足することによって、図16に示すように偏向面6aの変形によって発生する波面収差と等しい量の波面収差を逆方向(相殺方向)に故意に発生させ、偏向面6aの変形によって発生する波面収差を効果的に減少させ、高画質な画像出力を達成している。
図18は本発明の実施例2の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は、実施例1で用いた光偏向器6とは構造が異なる光偏向器166を偏向手段として用いている。
それと共にfθレンズ系167を構成する第1、第2の結像レンズ(fθレンズ)161,162の形状を異ならせて形成したことである。
その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
即ち、同図において166は偏向手段としての光偏向器であり、図19に示す構造より成っている。
図19における光偏向器166は複数の可動板171、172と複数のねじりバネ173、174とが一枚の板から一体的に形成され、かつ該ねじりバネ173、174がそれぞれ支持部175、176に固定されている。
尚、光偏向器166の偏向面は、複数の可動板のうち可動板171に設けられている。
図19から解るように複数のねじりバネ173、174は同一軸上に一直線状に配置されている。
複数の可動板171、172は直列に連結(一体的な構造)することによって、該可動板171、172はねじりバネ173、174のねじれの軸(副走査方向に平行な軸)まわりに揺動できるようになっている。
また可動板171の上には光束を偏向走査するための偏向面(不図示)を設けており、可動板171のねじり振動によって、光源手段から出射された光束を主走査方向に偏向走査している。
次にこのような構成の光偏向器166の原理を図20を用いて説明する。
図20は、本実施例の光偏向器166の原理を説明する図である。
図20において1801〜1803はn個(nは2以上の整数)の可動板、1811〜1813はn個のねじりバネ、1821は支持部である。
ねじりバネ1811〜1813は一直線状に配置されており、可動板1801〜1803はねじりバネ1811〜1813のねじれの軸まわりに揺動できるようになっている。
このような系の自由振動の方程式は以下で与えられる。
ただし、Ik:可動板の慣性モーメント、
Kk:ねじりバネのバネ定数、
θk:可動板のねじれ角である(k=1・・・n)。
この系のM-1Kの固有値をλkとすると(k=1・・・n)、固有モードの角振動数ωkは、
で与えられる。
本実施例の光偏向器166は、これら固有モードの角振動数ωkのなかに基準周波数とその整数倍の周波数が存在している。
即ち、本実施例における光偏向器166の偏向面の往復運動は、分離した複数の固有振動モードを有している。
そして該分離した複数の固有振動モードのなかに、基準周波数の固有振動モードである基準振動モードと、該基準周波数の2倍以上の整数倍の周波数の固有振動モードである整数倍振動モードとが存在している。
例として図21に示すような可動板の数が2つの共振型光偏向器166について考える。
図21における光偏向器166は、2枚の可動板1901,1902と、該2枚の可動板1901,1902を直列に連結する同一軸上に配置された2つのねじりバネ1911,1912とを有している。
さらに2つのねじりバネ1911,1912の一部を支持する支持部1921を有している。
さらに2枚の可動板1901,1902のうち少なくとも1つにトルクを印加する駆動手段1941と、該駆動手段1941を制御する駆動制御手段1951とを有している。
ここで、
とする。
となる。
つまりω2=2ω1となっている。これらの振動モード(固有振動モード)を以下、モード1(基準振動モード)、モード2(整数倍振動モード)と称する。
本実施例の光偏向器166においては2枚の可動板1901,1902と2つのねじりバネ1911,1912が構成する系が、基準周波数およびその整数倍の周波数で同時に振動するように駆動制御手段1951が駆動手段1941を制御している。
その際に基準周波数およびその整数倍の周波数の可動板の振幅と位相を様々に変化させることで、いろいろな駆動を行うことができる。
本実施例においては、駆動制御手段1951が駆動手段1941を制御して、図19において、モード1における可動板171の最大振動振幅φ1を
そしてそれぞれの位相が180deg異なるように設定している。
尚、可動板171の大きさは、図19の縦方向(主走査方向)が3.0mm、横方向(副走査方向)が2.0mmである。
このときの可動板171の振動角(偏向角)θ1は、
で与えられる。
可動板171には偏向面(不図示)が設けられているので、半導体レーザ1から出射した光束は上記(式4)の倍の角度2θ1で偏向走査されることになる。
また可動板171の角速度dθ1/dtと、角加速度d2θ1/dt2は、
で与えられる。
図22に本実施例における光偏向器166の可動板171の振動角(偏向角)θ1を示す。図22において横軸は振動の周期(時間)、縦軸は振動角(偏向角)θ1(単位はdeg)である。
本実施例においては上記モード1とモード2を同時に励振することによって通常の正弦振動に比べて振動角θ1が時間に比例関係に近い領域(比例するとみなしてよい領域)が存在することが解る。
先の実施例1における光偏向器6は正弦振動を行う光偏向器であり、それに組み合わせる結像レンズとしてfθレンズを使用していた。
正弦振動を行う光偏向器を用いて結像レンズとしてfθレンズを単純に使用すると、感光ドラム面8上における走査中心部に対して感光ドラム面8上における走査端部の走査スピードが遅くなってしまい画像が主走査方向に縮んでしまうという問題がある。
先の実施例1においては感光ドラム面8上の主走査方向における走査位置に同期して半導体レーザ1の変調クロックを連続的に変化させることで上記問題を解決していた。
ところが本実施例における光偏向器166は上記モード1とモード2を同時に励振することによって、通常の正弦振動に比べて振動角(偏向角)θ1が時間に比例関係に近い領域(比例するとみなしてよい領域)が存在している。
即ち、等角速度で偏向面が偏向されているとみなしてよい領域が存在することになる。
したがって、それに用いる結像レンズとして通常のfθレンズを使用することによって感光ドラム面8上で等速度に近い走査を実現することが可能となる。
これにより先の実施例1のように感光ドラム面8上の主走査方向における走査位置に同期して半導体レーザ1の変調クロックを連続的に変化させるなどの特別な工夫を必要としないという利点がある。
図23に本実施例における光偏向器166の可動板171の角速度dθ1/dtを示す。
具体的には、走査の中心(周期0)における角速度dθ0/dtは160.0(deg/sec)であり、走査の端部にいくに従って角速度が増加し、周期±0.098のところで角速度dθ1/dtが最大となりその値は164.708(deg/sec)となる。
そして、さらに走査の端部にいくに従い角速度が減少し有効走査領域の最大走査位置(周期±0.14)において角速度dθ1/dtは160.0(deg/sec)となる。
有効走査領域内における可動板171の角速度の一様性は、有効走査領域内の任意の走査位置における偏向面の角速度をdθ1/dtとしたとき、dθ1/dtの最大値が164.708(deg/sec)、dθ1/dtの最小値が160.0(deg/sec)であるから、
(dθ1/dt)/(dθ0/dt)=164.708/160.0=1.0294、即ち2.94%以下となるように設定されている。
比較の為、図24にモード1のみの場合の可動板171の角速度dθ/dtを示す。
図24に示すモード1のみの場合は単純な正弦振動となる為、その角速度も正弦的に変化してしまい、図23に示すような角速度が一定とみなせる領域が存在しないことは明らかである。
一方、本実施例における角速度dθ1/dtは確かにほぼ一定にはなっているが、完全に等角速度になっている訳ではない。
図25に図23の周期0(t=0)における角速度の値で完全に等角速度で偏向している偏向面で周期0.14まで偏向走査された光束を像高107mmに結像させる焦点距離の理想的なfθレンズで走査した場合の理想像高を示す。
更に図25に図23に示した本実施例の光偏向器166の角速度dθ1/dtの偏向面166aで反射され、周期0.14まで偏向走査された光束を同じfθレンズで走査した場合の実像高を示す。
本実施例の光偏向器166の角速度dθ1/dtは、t=0から時間が経過するにつれ若干大きくなり周期0.14でt=0における角速度に一致している。
そこで周期0(t=0)における角速度の値で完全に等角速度偏向している反射面で周期0.14まで偏向走査された光束を、理想的なfθレンズで走査した場合の理想像高に比べる。
そうすると図23に示した角速度dθ1/dtの偏向面166aで反射され、周期0.14まで偏向走査された光束を理想的なfθレンズで走査した場合の実像高の方が大きな値となっている。
図26にその差分をfθ誤差として示す。
被走査面上の走査端部(周期0.14のところ)で最大1.7mm弱の誤差を有している。仕様上この誤差が問題とならない画像形成装置に使用する場合においてはこのまま仕様することが出来る。
本実施例におけるfθレンズ系167では、上記角速度dθ1/dtの等角速度からのずれによって発生する図26に示したfθ誤差分を該fθレンズ系167によって補正している。
図27は図23に示した角速度dθ1/dtの偏向面166aで反射された光束を本実施例のfθレンズ系167によって走査した場合のfθ誤差を示す図である。図26に比較して明らかにfθ誤差が低減されていることが解る。
次に本実施例における光偏向器166の可動板171の角加速度d2θ1/dt2を図28に示し、比較としてモード1のみの場合の可動板171の角加速度d2θ/dt2を図29に示す。
図28、図29から明らかに周期0.14(走査の最端部)における光偏向器166の可動板171の角加速度は図28の方が小さいことが解る。
つまり、周期0〜周期±0.14(走査の最端部)における光偏向器166の可動板171の角加速度は図28の方が図29からより小さいことが解る。
本実施例における光偏向器166は前記モード1とモード2を同時に励振することによって、通常の正弦振動に比べて可動板171の角加速度d2θ1/dt2を低減させることを可能としている。
上記実施例1において説明したとおり可動板171は振動時の角加速度により変形が生じることになる。
しかしながら本実施例における可動板171の角加速度は単なる正弦振動時の角加速度に比較して大幅に小さい為、該可動板171の変形はかなり小さいことが予想される。
図30に本実施例の可動板171の変形を有限要素法により計算した結果のグラフを示す。
尚、可動板171の主走査方向の幅は3mm、副走査方向の幅は1mm、厚さは200μmである。前記実施例1における変形量(図9)と比較すると、1/3以下の変形量であることが解る。
したがって可動板171の変形によって偏向面166aも同じように変形されるが、その変形は実施例1に比べて1/3程度である為、偏向面166aで発生する波面収差も実施例1の1/3程度である。
その場合、感光ドラム面8上での結像スポットに与える悪影響はかなり軽微なものとなることが予想される。
図31に偏向面166aに変形がないものとして設計されたfθレンズを使用して偏向面166aに実際に本実施例のような変形があった場合を示す。
図31では偏向面166aの偏向角がそれぞれ+22.856度(周期0.14に相当する)、+21.599度、+16.485度、+12.628度、+8.800度、+3.754度、0.0度のときの感光ドラム面8上でのスポット形状を示す。
図31は前記図14と同様スポットの強度分布の等高線を示している。
図31において等高線は結像スポットのピーク強度を1に正規化したとき外側から順に0.02、0.05、0.1、0.1353、0.3679、0.5、0.75、0.9のレベルでスライスしたときの等高線を描いている。
被走査面上の走査端部(+22.856度)において主走査方向のサイドローブが多く発生しているが、図10に示したスポット形状に比べれば良好なるスポット形状である。
また、サイドローブのピーク強度が0.05(即ち、メインの結像スポットのピーク強度の5%)を越えていない為、致命的な画像劣化には直結しないと思われる。
しかしながら、偏向角が+22.856度や+21.599度におけるスポット形状はあまり良好とは言えない。
このため、本実施例においては前記実施例1と同様、偏向面166aの変形により発生する波面収差の量をfθレンズ系167で補正している。
つまり、本実施例では、偏向面の有効偏向角+22.85度時に偏向面で反射した光束が偏向面で反射した際に発生した光束の一方のマージナル光線(upper光線)と光束の主光線との光路長差をδL1+とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.85度時に偏向面で反射した光束が偏向面で反射した際に発生した光束の他方のマージナル光線(lower光線)と光束の主光線との光路長差をδL1−とする。
さらに、偏向面の有効偏向角+22.85度時に偏向面で反射した光束が結像光学系を通過した際に発生した該光束の一方のマージナル光線(upper光線)と光束の主光線との光路長差をδL2+とする。
ここで、主走査方向において、プラス側(Upper)のマージナル光線とは、光線の主光線に対して、被走査面上の走査線の書き出し開始位置側(図18において紙面内の上方、入射光学系LAの反対側)の光線である。
主走査方向において、マイナス側(Lower)のマージナル光線とは、光線の主光線に対して、被走査面上の走査線の書き出し終了位置側(図18において紙面内の下方、入射光学系LA側)の光線である。
さらに、偏向面の有効偏向角+22.85度時に偏向面で反射した光束が結像光学系を通過した際に発生した光束の他方のマージナル光線(lower光線)と該光束の主光線との光路長差をδL2−とする。このとき、結像光学系は、
なる条件を満足する。
上記説明では、偏向面の有効偏向角+22.85度の時を例にとり、本実施例が(a)式を満たすことを述べたが、偏向面の有効偏向角−22.85度の時も本実施例は(a)式を満たす。
また、本実施例では、偏向面の有効偏向角±22.85度以内の全偏向角で(a)式を満たす。
これにより偏向面6aの変形によって発生する波面収差の量を減少させている。
ここで、偏向面の有効偏向角時に偏向面で反射した光束とは、被走査面上の有効画像領域内の走査線の端部(最大像高)に到達する光束を意味する。
図32に本実施例における感光ドラム面8上でのスポット形状を示す。図31に比較して特に偏向角が+22.856度や+21.599度における結像スポットのサイドローブが良好に補正されていることが解る。
また、図23に示したように本実施例における光偏向器166の可動板171の角速度dθ1/dtは±周期0.14の範囲において角速度が一定になっているが、完全に一定にはなっている訳ではない。
本実施例においては、その誤差分をfθレンズ系167で補正している。
しかしながら、等角速度で偏向されていない光束を感光ドラム面8上で等速度になるように補正した場合、主走査方向のスポット径が変化してしまう。
この被走査面上の主走査方向のスポット径の変化は、光偏向器166の可動板171の角速度dθ1/dtに反比例する。
したがって、モード1およびモード2における可動板171の最大振動振幅φ1、φ2、またその角振動数ω1、ω2、位相差等を最適に選択している。
そして、有効走査領域内での角速度の変化を最小に設定することにより主走査方向のスポット径の変化を最小限に抑えることが可能となる。
そして、それぞれの位相が180deg異なるように設定することにより、図23に示したように有効走査領域内での角速度の変化を小さく押えている。
それによって主走査方向のスポット径の変化を小さく押えることが可能となっている。
有効走査領域内のスポット径の均一性は10%を越えると特に目立ち易くなる。
このため光偏向器166の可動板171の角速度dθ1/dtの変化が有効走査領域内で10%以下となるようにモード1及びモード2における可動板171の最大振動振幅φ1、φ2、またその角振動数ω1、ω2、位相差等を最適に選択しであることが好ましい。
即ち、
有効走査領域内の任意の走査位置における偏向面の角速度の最大値を(dθ1/dt)max、
有効走査領域内の任意の走査位置における偏向面の角速度の最小値を(dθ1/dt)min、
としたとき、
(dθ1/dt)max/(dθ1/dt)min<1.1
なる条件を満足することが望ましい。
図33に本実施例における感光ドラム面8上の主走査方向のスポット径を示す。
本実施例では、被走査面8上の有効走査領域内の同一走査線内の結像スポットの主走査方向のスポット径の最大値をφn1、被走査面8上の有効走査領域内の同一走査線内の結像スポットの最小値をφn0、とするとき、
φn1/φn0<1.1 ‥‥(e)
なる条件を満足させている。
さらに好ましくは、
φn1/φn0<1.05 ‥‥(e´)
を満足するのが良い。
即ち、本実施例における結像スポットの主走査方向のスポット径は67.27μmから69.17μmまで変化しており、約2.8%程度の変化に収まっている。
したがって、高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置を達成することを可能としている。
尚、本実施例における光走査装置は往復運動を行う光偏向器を使用する為、往路と復路両方で画像を形成してしまうと図34に示すように感光ドラム面8上での走査線の傾きが相互に入れ替わる為、画像端部においてピッチムラが発生してしまう。
したがって、本実施例の光走査装置は片側の走査のみで画像形成を行っている。
この場合、走査効率が半分に低下してしまう為、それを解決する為に発光点(発光部)を複数有する、例えば、モノリシックなマルチビーム半導体レーザ等を光源手段として使用することが好ましい。
表2−1、表2−2に本実施例における走査光学系の諸特性を示す。
表2−2における各係数は上記の実施例1で説明した諸係数と同様な意味を持つ。
fθレンズの主走査断面の非球面形状は、各レンズ面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をY軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をZ軸としている。
このとき、
なる式で表わされる。
なお、Rは曲率半径、k、B4〜B10は非球面係数である。
また、副走査断面の形状は主走査方向のレンズ面座標がYであるところの曲率半径r′が、
なる式で表わされる形状をしている。
なお、rは光軸上における曲率半径、D2〜D10は各係数である。
ここで、本実施例におけるfθレンズ161、162の主走査断面の非円弧形状は、fθレンズ系を構成する光学面(レンズ面)の面数をmとし、各光学面の主走査断面内の面形状が上記、
で表したとき、
‥‥‥(b)
なる条件を満足している。
ただし、
Uj:前記光学面が透過面で入射面の場合、Uj=−1となる。
前記光学面が透過面で出射面の場合、Uj=+1となる。
前記光学面が反射面の場合、Uj=+1となる係数となる。
Nj:前記光学面が透過面の場合、Njは硝材の屈折率となり、前記光学面が反射面の場合、Nj=2となる係数
である。
以下に、本実施例における各値と条件式(b)の左辺の値を示す。
これから解るように、本実施例においては、確かにY>0のとき条件式(b)の左辺の値が正となり、Y<0のとき条件式(b)の左辺の値が負となっており、条件式(b)を満足していることが解る。
本実施例においては、条件式(b)を満足することによって、偏向面6aの変形によって発生する波面収差と等しい量の波面収差を逆方向(相殺方向)に故意に発生させている。
よって、偏向面6aの変形によって発生する波面収差を効果的に減少させ高画質な画像出力を達成している。
図35は本発明の実施例3の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。同図において図18に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において、前述の実施例2と異なる点は、入射光学系LAよりシリンドリカルレンズ4を外して構成したことである。
また、偏向面166aの主走査方向の変形が、該偏向面166aの副走査方向の位置により変化することを考慮してfθレンズ系187を構成する第1、第2の結像レンズ(fθレンズ)181,182の形状を形成したことである。
その他の構成及び光学的作用は実施例2と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
前述したように本実施例のような往復運動を行う光偏向器166は、偏向面166aが一面しかない為、倒れ補正光学系を採用する必要がない。
したがって、本実施例においては副走査断面内においてfθレンズ系187によって偏向面166aと感光ドラム8とを共役な関係とはしていない。
即ち、倒れ補正光学系を採用していない。また偏向面166aと光源手段1との間にシリンドリカルレンズ等も配置していない。
本実施例の光偏向器166の構造及びその原理は前述した実施例2に示した如くである。
この光偏向器166の偏向面166aは往復運動に伴う角加速度に起因して主走査断面内(主走査方向)において変形しており、その変形量が偏向面166aの副走査方向の位置に依存して変化している。
図36は本実施例の可動板171の変形を有限要素法により計算した結果のグラフである。
図36は光偏向器166を構成する可動板171が上記(式4)で表わされる共振駆動されているときの、0.14周期(光線の走査角で45度)のところでの図19におけるA-A断面(副走査方向の中央部)の変形を示している。
なお、ねじりバネ173と可動板171との接続部分(図19のC部)の傾きをゼロとしている。
横軸は可動板171の位置座標x(単位はμm)、縦軸は可動板171の変形量y(単位はμm)である。
また、図37は同様に図19におけるB-B断面(副走査方向の中央部から副走査方向に向かい0.9mm離れた位置)の変形を有限要素法により計算した結果のグラフである。
同じくねじりバネ173と可動板171との接続部分(図19のC部)の傾きをゼロとしている。
図36、図37をみると、A-A断面とB-B断面の変形量が異なっていることが解る。
図38は上記変形量を3次元的に表わした要部斜視図である。図37の可動板位置xの方向が主走査方向、可動板位置zの方向が副走査方向である。
図38から解るように主走査方向の断面においては、図36、図37に示すように変形しており、さらに、その変形量が可動板171の副走査方向の位置にしたがって変形している為に、副走査断面においても変形が生じている。
図38において、可動板位置xのマイナス方向と図35における偏向面166aの上方が一致しているとすれば、図38に示した変形が生じている走査位置は図35における反光源側の最大有効走査位置に相当する。
つまり、図38に示した変形が生じている走査位置は、主走査断面内において、結像光学系187の光軸を中心として光源手段1が配置された側と反対側の最大有効走査位置に相当する(有効偏向角+22.5度時の偏向面の変形に相当する)。
図38から解るように偏向面166aは可動板位置xのマイナス側のz方向断面(副走査断面)において凹面状に変形しており、可動板位置xのプラス側のz方向断面(副走査断面)においては逆に凸面状に変形していることが解る。
また、有効偏向角−22.5度時の偏向面の変形は、図示しないが、偏向面166aは可動板位置xのマイナス側のz方向断面(副走査断面)において凸面状に変形し、可動板位置xのプラス側のz方向断面(副走査断面)においては逆に凹面状に変形することになる。
本実施例においては、副走査断面内においてfθレンズ系187によって偏向面166aと感光ドラム面8とを共役な関係とはしていない。
即ち、倒れ補正光学系を採用していないため、偏向面166a上に入射する光束は、主走査方向及び副走査方向にそれぞれ所望の光束幅を有する。
通常の倒れ補正光学系を採用した場合には、偏向面上では副走査方向に収束された光束が入射される。その場合の偏向面上での副走査方向の光束幅は0.1mm程度以下であるのが一般的である。
一方、倒れ補正光学系を採用しない場合における偏向面上での副走査方向の光束幅は、感光ドラム面上でのスポット径で決定される光束幅を必要とする。
本実施例における偏向面166a上での光束幅は、主走査方向2.4mm、副走査方向1.72mmである。
本実施例においては、図36〜図38に示すように自重により可動板171が変形している。その為、偏向面166aで反射された光束は図36〜図38で示した変形yの2倍の量の波面収差が発生することとなり、感光ドラム面8上での結像スポットに悪影響を与えることが予想される。
光偏向器として、回転多面鏡を用いる光走査装置においては、回転多面鏡は一定角速度で回転している為に図36〜図38のような変形は生じない。
したがって通常このような波面収差は発生しない。
よって、回転多面鏡を用いる光走査装置に使用される結像レンズの設計を行う場合には偏向面の変形は通常考慮しないことが多い。
しかしながら、このように設計された(即ち、偏向面の変形を考慮しないで設計された)結像レンズに対して、共振駆動を行う光偏向器166を使用してしまうと、偏向面166aの変形により発生する波面収差により結像スポットが劣化することとなる。
図39に偏向面166aに変形がないものとして設計された結像レンズを使用して偏向面166aに実際に本実施例のような変形があった場合の感光ドラム面8上でのスポット形状を示す。
図39においては偏向面166aで反射された光束の偏向角がそれぞれ+22.5度、+21.028度、0度、−21.028度、−22.5度のときの感光ドラム面8上でのスポット形状を示している。
図39における等高線は、結像スポットのピーク強度を1に正規化したとき外側から順に0.02、0.05、0.1、0.1353、0.3679、0.5、0.75、0.9のレベルでスライスしたときの等高線を描いている。
なお、図39において横方向がスポットが走査する主走査方向であり、縦方向がそれと直交する副走査方向である。
図39から解るように、偏向面166aに変形がある場合の結像スポットの形状は主走査方向および斜め方向にサイドローブが発生している。
それと同時に、結像スポットの外形形状そのものも、お結び形に歪んで、結像スポットの形状が劣化している。
サイドローブの強度が大きくなると画像品質が低下することは良く知られている。
また、結像スポットの形状が特に図39の両端の形状のようにお結び形になると、斜め線の再現性が劣化する等の問題があり、高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置には好ましくない。
このように偏向面の変形を考慮しないで設計された結像レンズに対して共振駆動を行う光偏向器を使用してしまうと、偏向面166aの変形により発生する波面収差により結像スポットが劣化してしまう。
その結果、高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置を達成することが困難となってしまう。
上記問題に鑑み本実施例におけるfθレンズ系187は共振駆動を行うことによって図36〜図38に示したように撓んでしまった偏向面166aにより発生する波面収差の量をfθレンズ系187を通過した後でその量を減少せしめるような形状としている。
図40に本実施例における感光ドラム面8上でのスポット形状を示す。
本実施例においては、共振駆動を行うことによって角加速度を受けて撓んでしまった偏向面166aにより発生する波面収差の量を、fθレンズ系187によって減少させている。
その為、図39に示したスポット形状と比較してサイドローブが減少しており、スポットの外形形状そのものも良好な形状となっていることが解る。
本実施例では、偏向面166aの有効偏向角時に該偏向面166aで反射した光束が該偏向面166aで反射した際に発生した光束のマージナル光線と光束の主光線との主走査方向の波面収差の位相差の方向を第一方向とする。
(または偏向面166aで反射した光束が該偏向面166aで反射した際に発生した該光束の主光線に対する主走査方向のマージナル光線の光路長差の方向を第一方向とする)。
さらに偏向面166aの有効偏向角時に該偏向面166aで反射した光束がfθレンズ系187を通過した際に発生した光束のマージナル光線と光束の主光線との主走査方向の波面収差の位相差の方向を第二方向とする。
(または偏向面で反射した光束が該結像光学系を通過した際に発生した該光束の主光線に対する主走査方向のマージナル光線の光路長差の方向を第二方向とする)。
このとき本実施例では第一方向と第二方向とが逆方向となるように、fθレンズ系187のうち少なくとも1つの光学素子に主走査断面内において少なくとも1面が非円弧形状の光学面を設けている。
尚、その光学原理は前述した実施例1に示した如くである(図12〜図17参照)。これにより本実施例では偏向面166aの変形によって発生する波面収差の量を減少させることができる。
このように本実施例においては上記の如く正弦振動を行う光偏向器166の偏向面166aの変形によって発生する波面収差をfθレンズ系187によって前記波面収差と等しい量の波面収差を故意に発生させている。
つまり、本実施例では、上述した如く偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が偏向面で反射した際に発生した光束の一方のマージナル光線(upper光線)と光束の主光線との光路長差をδL1+とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が偏向面で反射した際に発生した光束の他方のマージナル光線(lower光線)と光束の主光線との光路長差をδL1−とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が結像光学系を通過した際に発生した該光束の一方のマージナル光線(upper光線)と光束の主光線との光路長差をδL2+とする。
さらに偏向面の有効偏向角+22.5度時に偏向面で反射した光束が結像光学系を通過した際に発生した光束の他方のマージナル光線(lower光線)と該光束の主光線との光路長差をδL2−とする。
このとき、結像光学系は、
なる条件を満足する。これにより偏向面166aの変形によって発生する波面収差の量を減少させている。
上記説明では、偏向面の有効偏向角+22.5度の時を例にとり、本実施例が(a)式を満たすことを述べたが、偏向面の有効偏向角−22.5度の時も本実施例は(a)式を満たす。
また、本実施例では、偏向面の有効偏向角±22.5度以内の全偏向角で(a)式を満たす。
次に副走査断面内の波面収差に関して説明する。
図41は光束に対応した走査位置において入射した平行光束がfθレンズ系187を通過した後の波面の状態を模式的に表わした図である。
fθレンズ系187に入射する光束は、主走査断面内及び副走査断面内の両断面内において平行である。
図41のx軸と図38のx軸が対応し、図41のy軸と図38のy軸が対応し、図41のz軸と図38のz軸が対応している。また、図35におけるx軸、y軸も同様に対応している。
図41は、偏向角の符号がプラスである場合の平行光束がfθレンズ系187を通過した後の副走査方向の波面を示している。
つまり、主走査断面内において、被走査面上の走査中心と書き出し開始位置側の被走査面上の最大有効走査位置(最大像高)の間の走査位置に到達する光束のfθレンズ系187を通過した後の副走査方向の波面を示している。
被走査面上の走査中心と書き出し開始位置側は、図35において紙面内の上方、入射光学系LAの反対側を意味する。
図41のroは平行光束がfθレンズ系187を通過した後の主走査方向の中央部の光線(主光線)位置における副走査方向の波面の曲率半径を表している。
ruは同様に平行光束がfθレンズ系187を通過した後の主走査方向の主光線に対して走査端部側(x方向プラス側)の光線位置における副走査方向の波面の曲率半径を表している。
rlは同様に平行光束がfθレンズ系187を通過した後の主走査方向の主光線に対して走査中心部側(x方向マイナス側)の光線位置における副走査方向の波面の曲率半径を表している。
本実施例では図41に示すように平行光束がfθレンズ系187を通過した後の、該光束の主光線に対して走査端部側の光線通過位置における光束の副走査方向の波面の曲率半径ruを以下のように設定している。
即ち、光束の主光線に対して走査端部側の光線通過位置における光束の副走査方向の波面の曲率半径ruを光束の主光線に対して走査中心部側の光線通過位置における光束の副走査方向の波面の曲率半径rlよりも大きくしている(rl<ru)。
ここで、走査端部側とは、x方向プラス側を意味する。
また、走査中心部側は、x方向マイナス側を意味する。
fθレンズ系187をこのような形状にすることにより、図38で示したような可動板位置xのマイナス側のz方向断面(副走査断面)において凹面状に変形している。
さらに可動板位置xのプラス側のz方向断面(副走査断面)においては逆に凸面状に変形することによって発生する波面収差を効果的に補正している。
偏向角の符号がマイナスである場合の平行光束がfθレンズ系187を通過した後の副走査方向の波面は、以下のようになる。
光束の主光線に対して走査中心側の光線通過位置における光束の副走査方向の波面の曲率半径ru´を光束の主光線に対して走査端部側の光線通過位置における光束の副走査方向の波面の曲率半径rl´よりも小さくしている(rl´>ru´)。
つまり、主走査断面内において、被走査面上の走査中心と書き出し開始位置側の被走査面上の最大有効走査位置(最大像高)の間の走査位置に到達する光束のfθレンズ系187を通過した後の副走査方向の波面は、rl´>ru´を満たしている。
ここで、走査中心側は、図41のx方向プラス側を意味する。
また、走査端部側は、図41のx方向マイナス側を意味する。
このように本実施例では共振駆動を行う光偏向器166を使用しながらより高速走査が可能で、かつ画像品質の劣化のない高画質な画像出力を必要とする光走査装置や画像形成装置を達成することを可能としている。
表3−1、表3−2に本実施例における走査光学系の諸特性を示す。
表3−2における各係数は上記の実施例1で説明した諸係数と同様な意味を持つ。
fθレンズ181、182の主走査断面の非球面形状は、各レンズ面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をY軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をZ軸としている。
このとき、
なる式で表わされる。
なお、Rは曲率半径、k、B4〜B10は非球面係数である。
また、副走査断面の形状は主走査方向のレンズ面座標がYであるところの曲率半径r′が、
なる式で表わされる形状をしている。
なお、rは光軸上における曲率半径、D2〜D10は各係数である。
ここで、本実施例におけるfθレンズの主走査断面の非円弧形状は、fθレンズ系を構成する光学面(レンズ面)の面数をmとし、各光学面の主走査断面内の面形状が上記、
で表したとき、
‥‥‥(b)
なる条件を満足している。
ただし、
Uj:前記光学面が透過面で入射面の場合、Uj=−1とする。
前記光学面が透過面で出射面の場合、Uj=+1とする。
前記光学面が反射面の場合、Uj=+1となる係数とする。
Nj:前記光学面が透過面の場合、Njは硝材の屈折率となり、前記光学面が反射面の場合、Nj=2となる係数とする。
以下に、本実施例における各値と条件式(b)の左辺の値を示す。
これから解るように、本実施例においては、確かにY>0のとき条件式(b)の左辺の値が正となり、Y<0のとき条件式(b)の左辺の値が負となっており、条件式(b)を満足していることが解る。
本実施例においては、条件式(b)を満足することによって、偏向面6aの変形によって発生する波面収差とほぼ等しい量の波面収差を逆方向(相殺方向)に故意に発生させている。
よって、偏向面6aの変形によって発生する波面収差を効果的に減少させ高画質な画像出力を達成している。
尚、本実施例においては光偏向器として上述した如き複数の可動板とねじりバネで構成される系が、基準周波数およびその整数倍の周波数で同時に振動するように駆動制御されるような共振型光偏向器を使用しているが、これに限定されることはない。
例えば、単純な正弦振動を行う光偏向器を使用した系においても本発明は有効である。
また、本実施例では結像光学系187を2枚のレンズより構成したが、これに限らず、例えば単一、もしくは3枚以上の結像レンズより構成しても良い。また結像光学系を回折光学素子を含ませて構成しても良い。
[画像形成装置]
図42は、本発明の画像形成装置の実施例を示す副走査方向の要部断面図である。図において、符号104は画像形成装置を示す。
この画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ111によって、画像データ(ドットデータ)Diに変換される。
この画像データDiは、実施例1から3のいずれかに示した構成を有する光走査ユニット100に入力される。
そして、この光走査ユニット100からは、画像データDiに応じて変調された光ビーム103が出射され、この光ビーム103によって感光ドラム101の感光面が主走査方向に走査される。
静電潜像担持体(感光体)たる感光ドラム(感光体)101は、モータ115によって時計廻りに回転させられる。
そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光体面が光ビーム103に対して、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。
感光ドラム101の上方には、感光ドラム101の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が表面に当接するように設けられている。
そして、帯電ローラ102によって帯電された感光ドラム101の表面に、前記光走査ユニット100によって走査される光ビーム103が照射されるようになっている。
先に説明したように、光ビーム103は、画像データDiに基づいて変調されており、この光ビーム103を照射することによって感光ドラム101の表面に静電潜像を形成せしめる。
この静電潜像は、上記光ビーム103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転方向の下流側で感光ドラム101に当接するように配設された現像器107によってトナー像として現像される。
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された転写ローラ(転写器)108によって被転写材たる用紙112上に転写される。
用紙112は感光ドラム101の前方(図42において右側)の用紙カセット109内に収納されているが、手差しでも給紙が可能である。用紙カセット109端部には、給紙ローラ110が配設されており、用紙カセット109内の用紙112を搬送路へ送り込む。
以上のようにして、未定着トナー像を転写された用紙112はさらに感光ドラム101後方(図42において左側)の定着器へと搬送される。
定着器は内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113とこの定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されている。
そして転写部から搬送されてきた用紙112を定着ローラ113と加圧ローラ114の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙112上の未定着トナー像を定着せしめる。
更に定着ローラ113の後方には排紙ローラ116が配設されており、定着された用紙112を画像形成装置の外に排出せしめる。
図42においては図示していないが、プリントコントローラ111は、先に説明したデータの変換だけでなく、モータ115を始め画像形成装置内の各部や、後述する光走査ユニット内の光偏向器などの制御を行う。
本発明で使用される画像形成装置の記録密度は、特に限定されない。
しかし、記録密度が高くなればなるほど、高画質が求められることを考えると、1200dpi以上の画像形成装置において本発明の実施例1から3の構成はより効果を発揮する。
[カラー画像形成装置]
図43は本発明の実施例のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施例は、光走査装置を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
図43において、60はカラー画像形成装置、11、12、13、14は各々実施例1から3のいずれかの構成を有する光走査装置、21、22、23、24は各々像担持体としての感光ドラム(感光体)、31、32、33、34は各々現像器、51は搬送ベルトである。
図43において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。
これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ53によって、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。
これらの画像データは、それぞれ光走査装置11、12、13、14に入力される。
そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41、42、43、44が出射され、これらの光ビームによって感光ドラム21、22、23、24の感光面が主走査方向に走査される。
本実施例におけるカラー画像形成装置は光走査装置(11、12、13、14)を4個並べ、各々がC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色に対応している。
そして各々平行して感光ドラム21、22、23、24面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
本実施例におけるカラー画像形成装置は上述の如く4つの光走査装置11、12、13、14により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム21、22、23、24面上に形成している。
その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
前記外部機器52としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
本発明の実施例1の主走査断面図
本発明の実施例1の偏向面で反射される光束の様子を示した図
本発明の実施例1の走査端部におけるスポット形状を示す図
本発明の実施例1の結像光学系の副走査方向のレンズ配置を示す図
本発明の実施例1における光偏向器の詳細図
本発明の実施例1における光偏向器の可動板の断面図
本発明の実施例1における光偏向器の可動板の変形を示す図
本発明の実施例1の可動板の変形を考えるときの近似モデル図
本発明の実施例1の可動板の変形を有限要素法により計算した結果を示す図
図8における原点の傾きをゼロとしたときの可動板の変形を示す図
本発明の実施例1における被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
従来の被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
撓んだ偏向面によって反射された後の光束の主走査方向の波面(等位相面)の形状を示す模式図
平行光束(平面波)がfθレンズ系を通過した後の波面(等位相面)の形状を示す模式図
本発明の実施例1における被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
本発明の実施例1の偏向面の変形で発生する波面収差を示す図
本発明の実施例1のfθレンズで発生する波面収差を示す図
本発明の実施例1の偏向面の変形で発生する波面収差を補正したときの波面収差を示す図
本発明の実施例2の主走査断面図
本発明の実施例2の光偏向器の詳細図
本発明の実施例2の光偏向器の原理を説明する図
可動板の数が2つの共振型光偏向器について考える場合のモデル図
本発明の実施例2における光偏向器の可動板の振動角(偏向角)を示す図
本発明の実施例2における光偏向器の可動板の角速度を示す図
比較例としてのモード1のみの場合の可動板の角速度を示す図
本発明の実施例2の理想的なfθレンズで走査した場合の理想像高と、同じfθレンズで走査した場合の実像高を示す図
図23の2つのグラフの差分(fθ誤差)を示す図
本発明の実施例2のfθレンズのfθ誤差を示す図
本発明の実施例2における光偏向器の可動板の角加速度を示す図
比較例としてのモード1のみの場合の可動板の角加速度を示す図
本発明の実施例2の可動板の変形を有限要素法により計算した結果を示す図
本発明の実施例2の被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
本発明の実施例2の被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
本発明の実施例2における感光ドラム面上の主走査方向のスポット径を示す図
本発明の実施例2における感光ドラム面上での走査線の様子を示す図
本発明の実施例3の主走査断面図
本発明の実施例3の可動板の変形を有限要素法により計算した結果を示す図
本発明の実施例3の可動板の変形を有限要素法により計算した結果を示す図
本発明の実施例3の可動板の変形量を3次元的に表わした要部斜視図
本発明の実施例3の被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
本発明の実施例3の被走査面上での各走査位置でのスポットのプロファイルを示す図
平行光束がfθレンズ系を通過した後の副走査方向の波面の大小関係を説明する図
本発明の画像形成装置の実施例を示す副走査断面図
本発明のカラー画像形成装置の実施例を示す副走査断面図
本発明におけるfθレンズ系で起る波面収差の説明図