JP5163615B2 - 撹拌装置、溶解装置および溶解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被溶解物(例えば、アルミニウム、マグネシウム等の非鉄金属の切削屑)を溶湯に投入するとともに当該溶湯を撹拌する撹拌装置、撹拌装置を具備する溶解装置、および被溶解物を溶湯に投入するとともに当該溶湯を撹拌することにより被溶解物を溶解する溶解方法に関する。
従来、アルミニウム、マグネシウム等の非鉄金属の切削屑を溶湯に投入するとともに当該溶湯を撹拌することにより溶解する方法としては、(1)溶湯の液面に浮かんだ切削屑を棒等の器具で突いて溶湯内に強制的に浸漬させる方法、あるいは(2)プロペラ式の攪拌機を溶湯の液面から溶湯に挿入して溶湯を撹拌する方法、が知られている。
しかし、上記(1)および(2)の方法は、いずれも器具あるいはプロペラが高温の溶湯に接触するため、器具あるいはプロペラが損耗する。そのため、これらの器具あるいはプロペラ頻繁に交換する必要が生じ、メンテナンスが煩雑になるという問題を有する。
また、上記(1)および(2)の方法は、損耗した器具あるいはプロペラの成分が溶湯に混入することにより、溶湯の品質が低下する恐れがある(溶湯の汚染の原因となり得る)といった問題点を有する。
上記方法の他にも、アルミニウムの切削屑を溶湯に投入するとともに当該溶湯を撹拌することにより溶解する方法として、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の方法が知られている。
特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の方法は、反射炉の内部空間を溶解室、オープンウェル部、渦発生室、溶湯通路の四つに区画し、これらを相互に連通することにより溶湯の循環経路を形成し、溶湯通路の底部に誘導コイルからなる電磁攪拌機を配置して溶湯通路内の溶湯に電磁力を作用させることにより、溶湯を溶湯通路→溶解室→オープンウェル部→渦発生室→溶湯通路→・・・の順に循環させる。
また、渦発生室の底部に開口部(オリフィス)を形成し、この開口部により渦発生室と溶湯通路とを連通する。渦発生室から溶湯通路に移動する溶湯が当該開口部を通過することにより、渦発生室における溶湯の液面に渦流が発生する。この渦流にアルミニウム系金属切削屑を巻き込むことによりアルミニウム系金属切削屑を溶解する。
しかし、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の方法は、反射炉内の全ての溶湯を循環させるだけの力を電磁攪拌機が発生するため、電磁攪拌機に多大な電力を供給する必要があるという問題を有する。
また、一般に液面に発生する渦流にアルミニウム系金属切削屑を投入しても、アルミニウム系金属切削屑は溶湯の液面に浮かぶため、実際にはアルミニウム系金属切削屑がうまく溶湯に巻き込まれず、結果として容易に溶解されない。
特に、アルミニウム系金属切削屑は表面積が大きく、その表面には温度上昇により高融点の酸化被膜が形成されるため、溶解が困難である。また、アルミニウム系金属切削屑が溶湯の液面に浮かんだまま滞留することにより、アルミニウム系金属切削屑の酸化(燃焼)が進行し、ひいてはアルミニウム系金属切削屑を再溶解することによる再資源化の歩留まりが低下する。
また、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の方法は、溶湯が渦発生室の底部に形成された開口部を通じて溶湯通路に移動するため、最終的にはアルミニウム系金属切削屑を強制的に溶湯に巻き込むことが可能であるが、強い渦流を発生させるためには渦発生室の底部の開口部の断面積をある程度小さく絞る必要があり、大量のアルミニウム系金属切削屑を溶湯に同時に投入した場合には未溶解のアルミニウム系金属切削屑が当該開口部に殺到し、当該開口部において詰まってしまう。従って、アルミニウム系金属切削屑の処理速度(単位時間当たりの溶解量)をあまり大きくすることができないという問題を有する。
特開平2−179834号公報 特開平2−219978号公報 特開平2−232323号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、溶湯を汚染することがなく、かつ溶解効率が良い撹拌装置、溶解装置、および溶解方法を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
金属材料で構成される外板および前記外板の内側の板面を覆う耐火材を備える溶解槽と、
前記溶解槽の外板の外部に配置され、前記外板に沿って移動する磁界を前記溶解槽の内部に発生することにより前記溶解槽に貯留された溶湯を撹拌する移動磁界発生装置と、
を具備し、
前記溶解槽に貯留された溶湯に被溶解物を投入することにより前記被溶解物を溶解する溶解装置であって、
前記移動磁界発生装置は、
前記溶解槽の外板に対向する永久磁石と、
前記永久磁石を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記外板の外側の板面に垂直な回転軸を中心として回転駆動するモータと、
を備え、
前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分には、前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有する抵抗帯が形成され、
前記抵抗帯の中途部は前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置に配置され、
前記抵抗帯の端部は前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置から離れた位置に配置されるものである。
請求項2においては、
前記永久磁石のN極およびS極は、
前記回転軸の軸線方向から見て、前記回転軸を中心として互いに180°位相がずれた位置に配置されるものである。
請求項3においては、
前記抵抗帯は、
前記溶解槽の外板に形成された溝である。
請求項4においては、
前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分には、前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するとともに前記抵抗帯から分離して配置された副抵抗帯が形成されるものである。
請求項5においては、
前記副抵抗帯は、
前記溶解槽の外板に形成された溝である。
請求項6においては、
金属材料で構成される外板および前記外板の内側の板面を覆う耐火材を備える溶解槽と、前記溶解槽の外板の外部に配置されるとともに前記外板に沿って移動する磁界を前記溶解槽の内部に発生することにより前記溶解槽に貯留された溶湯を撹拌する移動磁界発生装置と、を具備し、前記溶解槽に貯留された溶湯に被溶解物を投入することにより前記被溶解物を溶解する溶解装置を用いた溶解方法であって、
前記移動磁界発生装置は、
前記溶解槽の外板に対向する永久磁石と、
前記永久磁石を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記外板の外側の板面に垂直な回転軸を中心として回転駆動するモータと、
を備え、
前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分に前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有する抵抗帯を形成し、
前記抵抗帯の中途部を前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置に配置し、
前記抵抗帯の端部を前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置から離れた位置に配置するものである。
請求項7においては、
前記永久磁石のN極およびS極は、
前記回転軸の軸線方向から見て、前記回転軸を中心として互いに180°位相がずれた位置に配置されるものである。
請求項8においては、
前記抵抗帯は、
前記溶解槽の外板に形成された溝である。
請求項9においては、
前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分に、前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するとともに前記抵抗帯から分離して配置された副抵抗帯を形成するものである。
請求項10においては、
前記副抵抗帯は、
前記溶解槽の外板に形成された溝である。
本発明は、溶湯を汚染することがなく、かつ溶解効率が良い、という効果を奏する。
本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第一実施形態を示す側面断面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第一実施形態を示す平面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第一実施形態を示す後面図。 本発明に係る溶解装置の第一実施形態における溶湯の流れを示す平面図。 本発明に係る溶解装置の第一実施形態における溶湯の流れを示す後面図。 本発明に係る第一溶湯整流部材の別実施形態を示す平面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第二実施形態を示す側面断面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第二実施形態を示す後面図。 本発明に係る溶解方法の実施の一形態を示すフロー図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第一実施形態における移動磁界発生装置の配置の変更例を示す図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第三実施形態を示す側面断面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第三実施形態における被溶解物の流れを示す平面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第三実施形態における被溶解物の流れを示す側面断面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第三実施形態における浮遊物の流れを示す平面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第三実施形態における浮遊物の流れを示す側面断面図。 本発明に係る溶解装置および撹拌装置の第三実施形態の別実施形態を示す平面図。 浮遊/溶湯仕切部材を具備する撹拌装置の実施形態を示す側面断面図。 平面視L字形の投入/浮遊仕切部材を具備する撹拌装置の実施形態を示す平面図。 フラックスインジェクション装置および浮遊物回収装置を具備する撹拌装置の実施形態を示す平面図。 本発明に係る溶解装置の第四実施形態を示す側面断面図。 本発明に係る溶解装置の第四実施形態を示す平面図。 本発明に係る溶解装置の第四実施形態における永久磁石の配置を示す正面図。 本発明に係る溶解装置の第四実施形態における磁界および誘導電流を示す平面図。 本発明に係る溶解装置の第四実施形態における投入槽および移動磁界発生装置を示す斜視図。 本発明に係る溶解装置の第四実施形態における誘導電流の流れを示す後面図。 比較例および本発明に係る外板に形成された溝の配置を示す後面図。 比較例および本発明に係る外板の中心位置の上昇温度を示す図。 比較例および本発明に係る外板の中心位置からの距離と上昇温度との関係を示す図。 比較例および本発明に係る外板の中心位置の上昇温度と経過時間との関係を示す図。 比較例および本発明に係る永久磁石を回転駆動するモータの消費電力を示す図。 本発明に係る抵抗帯の別実施形態を示す図。 補強リブが形成された外板を示す斜視断面図。 永久磁石の配置の方法の別実施形態を示す図。 抵抗溝および副抵抗溝が形成されない外板に誘起される誘導電流の流れを示す図。
以下では、図1から図6を用いて本発明に係る溶解装置の第一実施形態である溶解炉100について説明する。
なお、以下では便宜上、重力が作用する方向を基準として「上下方向」を定義し(重力が作用する方向を下方向と定義し)、上下方向に対して垂直な方向として「前後方向」を定義し、上下方向および前後方向に対して垂直な方向として「左右方向」を定義し、これらの方向を用いて説明する。
図1に示す如く、溶解炉100はアルミニウム切削屑2を溶解することにより溶湯3を生成する装置であり、本体10、投入槽20および撹拌装置150を具備する。
アルミニウム切削屑2は本発明に係る被溶解物の実施の一形態であり、溶解炉100により溶解される対象物である。アルミニウム切削屑2はアルミニウム合金からなる。アルミニウム切削屑2の形状は髭状(細長い形状)であり、アルミニウム切削屑2の大きさは1mmから10cm程度である。
アルミニウム切削屑2はアルミニウム合金からなる部品(例えば、エンジンブロック)等を切削加工することにより発生する。
なお、本発明に係る被溶解物を構成する材料はアルミニウム切削屑2を構成する材料であるアルミニウム合金に限定されるものではない。
本発明に係る被溶解物を構成する材料としては、純アルミニウム、アルミニウム合金、純マグネシウム、マグネシウム合金、純チタン、チタン合金等、種々の金属材料が挙げられる。
上記材料のうち、純アルミニウム、アルミニウム合金、純マグネシウム、およびマグネシウム合金は、固体時に非磁性体であること、融点が他の金属材料に比べて比較的低いこと、比重が比較的小さく溶湯の液面に浮きやすいこと、表面に高融点の酸化被膜が形成されやすいこと、といった理由から、本発明に係る撹拌装置、溶解装置および溶解方法を適用することがより好ましい。
本発明に係る被溶解物の形状は、アルミニウム切削屑2の如き形状に限定されるものではない。例えば、本発明に係る被溶解物の形状が球状、塊状等、他の形状でも良い。
本発明に係る被溶解物の大きさはアルミニウム切削屑2の如き大きさに限定されるものではない。例えば、アルミニウム合金の微粉末のように大きさが1mm未満のもの、あるいはアルミニウム合金製の部品の切断片のように大きさが10cmを超えるものも本発明に係る被溶解物に含まれる。
溶湯3は、アルミニウム切削屑2を溶解することにより得られる液体を指す。
なお、本発明に係る溶湯は、被溶解物と実質的に同じ材料(合金の場合、実質的に同じ組成)からなる液体であれば良い。すなわち、溶解の開始時に被溶解物が投入される溶湯(初期溶湯)は、被溶解物を溶解するのとは異なる方法(例えば、被溶解物と実質的に同じ材料からなるインゴットを溶解する方法)で生成しても良い。
本体10は溶湯3の温度を凝固温度より高い温度に保持するものである。
本体10は構造体11、耐火・断熱材12およびバーナー13を備える。
構造体11は略直方体の箱状の部材である。
耐火・断熱材12はセラミックス等からなる部材であり、構造体11の内周面に固定されることにより構造体11の内周面を覆う。
構造体11の内部には耐火・断熱材12に囲まれる空間として保持室14が形成され、構造体11の後面下部には連通経路15が形成される。保持室14の下半部には溶湯3が貯留される。
バーナー13は構造体11の前方の内周面上部に設けられ、保持室14の内部の空気、ひいては保持室14の下半部に貯留される溶湯3(当該空気に接する溶湯3)を昇温する。
本実施形態はバーナー13により溶湯3の温度を昇温するが、本発明はこれに限定されず、他の熱源(例えば、電気ヒーター等)を用いて溶湯を昇温しても良い。
投入槽20は溶解炉100においてアルミニウム切削屑2を投入する部分である。
投入槽20は本体10の後端部に固定される。投入槽20は底床21および側壁22を備える。
底床21は投入槽20のうち、構造体11の後端部から後方に向かって延設される平面視略長方形状の板状の部分である。
側壁22は投入槽20のうち、底床21の左端部、後端部および右端部に沿って立設される板状の部分である。側壁22の左前端部および右前端部はそれぞれ構造体11の後面左端部および後面右端部に延設される。
投入槽20において底床21、側壁22および構造体11の後面で囲まれる空間として、投入室23が形成される。投入室23の下半部には溶湯3が貯留される。
保持室14と投入室23とは連通経路15により連通され、溶湯3は連通経路15を通じて保持室14および投入室23の間を移動することが可能である。
投入槽20の上面は開口しており、アルミニウム切削屑2は当該開口部分から投入室23に投入される(より厳密には、平面視で後述する第一溶湯整流部材170、第二溶湯整流部材180および側壁22で囲まれる部分に投入される)。投入室23に投入されたアルミニウム切削屑2は投入室23の下半部に貯留された溶湯3に接触して昇温され、融点以上の温度に到達した時点で溶解する。
本実施形態では、内周面が耐火・断熱材12で覆われた構造体11および投入槽20を合わせたものに溶湯3が貯留されることから、「内周面が耐火・断熱材12で覆われた構造体11」および「投入槽20」はいずれも本発明に係る溶解槽の実施の一形態に相当する。
撹拌装置150は本発明に係る撹拌装置の第一実施形態であり、アルミニウム切削屑2が投入された溶湯3(投入室23の下半部に貯留された溶湯3)を撹拌することにより、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する装置である。
図1、図2および図3に示す如く、撹拌装置150は移動磁界発生装置160、第一溶湯整流部材170および第二溶湯整流部材180を具備する。
移動磁界発生装置160は本発明に係る移動磁界装置の実施の一形態であり、(α)後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界および(β)後側の側壁22に沿って上向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生する装置である。
図1に示す如く、移動磁界発生装置160は投入槽20の外部(本実施形態では、投入槽20の後方)に配置される。
移動磁界発生装置160は永久磁石161・161、支持部材162、モータ163、液面位置検出装置164、昇降装置165および制御装置166を具備する。
永久磁石161・161は本発明に係る永久磁石の実施の一形態であり、図1および図2に示す如く、後側の側壁22に対向する。
「永久磁石」は、外部から磁場あるいは電流が供給されなくても比較的長期間にわたって磁石としての性質を保持し得る物体を指す。
本発明に係る永久磁石の具体例としては、アルニコ磁石、KS鋼、MK鋼、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等が挙げられる。
本実施形態では、強い磁力を発生させる観点から、永久磁石161・161をネオジム磁石で構成している。
本実施形態では移動磁界発生装置160が二つの永久磁石161・161を具備するが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る移動磁界発生装置が具備する永久磁石の個数は単数でも複数でも良い。
支持部材162は本発明に係る支持部材の実施の一形態であり、永久磁石161・161を支持するものである。
本実施形態の支持部材162は略円盤形状の部材であり、その盤面が後側の側壁22に平行となるように配置される。永久磁石161・161は後側の側壁22に対向する支持部材162の盤面において、当該盤面の中心を挟んで当該盤面の中心から等距離となる位置に固定される。
モータ163は本発明に係るモータの実施の一形態であり、支持部材162、ひいては支持部材162に固定された永久磁石161・161を回転駆動するものである。
モータ163の回転軸163aは支持部材162に固定される。回転軸163aの軸線と、回転軸163aに固定された支持部材162の中心線(支持部材162の一対の盤面の中心を通る線)と、は一直線になる。
本実施形態のモータ163は電気式のモータであるが、本発明に係るモータはこれに限定されるものではなく、例えば流体圧により回転駆動するモータ(例えば、油圧モータ、空圧モータ等)でも良い。
モータ163に電力を供給すると、回転軸163a、回転軸163aに固定された支持部材162、および支持部材162に固定された永久磁石161・161が一体的に回転する(本実施形態では、永久磁石161・161は後面視で反時計回りに回転する)。
その結果、図3に示す如く、後側の側壁22のうち、支持部材162の左半部に対向する部分に対応する投入槽20の内部には後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界が発生し、支持部材162の右半部に対向する部分(すなわち、下向きに移動する磁界から所定距離だけ離れた位置)に対応する投入槽20の内部には、後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界が発生することとなる。
このように、投入槽20の内部に側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界が発生すると、投入槽20に貯留された溶湯3のうち当該磁界が作用する部分には概ね下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
また、投入槽20の内部に側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界が発生すると、投入槽20に貯留された溶湯3のうち当該磁界が作用する部分には概ね上向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
その結果、溶湯3には、概ね溶湯3の液面に平行な軸(本実施形態の場合、モータ163の回転軸163a)を中心として循環する溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
このような流れが発生している溶湯3にアルミニウム切削屑2を投入すると、アルミニウム切削屑2は溶湯3の流れ(溶湯流)に乗って移動し、概ね下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生している位置で溶湯3の内部に潜り込み(溶湯3に浸漬され)、溶湯3から熱を受けて溶解する。
また、アルミニウム切削屑2が溶解することにより、アルミニウム切削屑2が溶解した位置の近傍の溶湯3の温度は低下するが、溶湯3の流れ(溶湯流)により溶湯3が撹拌されるため、溶湯3の温度は概ね均一に保持される。
さらに、概ね上向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生することにより、温度が比較的高い溶湯3をアルミニウム切削屑2が投入される溶湯3の液面近傍に移動させることが可能であり、アルミニウム切削屑2を大量かつ連続的に溶湯3に投入した場合でもアルミニウム切削屑2を効率良く溶解することが可能である。
液面位置検出装置164は本発明に係る液面位置検出装置の実施の一形態であり、溶湯3の液面の位置を検出するものである。
図1に示す如く、液面位置検出装置164は投入槽20の上方、ひいては投入室23に貯留された溶湯の液面の上方に配置され、超音波を溶湯3の液面に向かって送信(照射)し、溶湯3の液面で反射した超音波を受信し、超音波の速度および超音波を溶湯3の液面に向かって送信してから受信するまでの時間に基づいて液面位置検出装置164から溶湯3の液面までの距離を算出することにより、溶湯3の液面の位置(高さ)を検出する。
なお、本発明に係る液面位置検出装置は本実施形態の液面位置検出装置164の如き超音波を用いて溶湯の液面の位置を検出する構成に限定されず、他の方法で溶湯の液面の位置を検出する構成でも良い。
昇降装置165は本発明に係る昇降装置の実施の一形態であり、モータ163を上昇および下降可能に支持するものである。
図1に示す如く、昇降装置165はベース部材165a、支柱部材165b、トップ部材165c、ボールネジ165d、サーボモータ165eおよびスライド部材165fを備える。
ベース部材165aは昇降装置165の下部を成す板状の部材である。ベース部材165aは床面、地面あるいは他の構造物等に固定される。
支柱部材165bは略円柱形状の部材である。支柱部材165bの一端部(下端部)はベース部材165aに固定される。支柱部材165bの長手方向は上下方向に一致する。
トップ部材165cは昇降装置165の上部を成す板状の部材である。トップ部材165cは支柱部材165bの他端部(上端部)に固定される。
ボールネジ165dは外周面に雄ネジが形成された略円柱形状の部材である。ボールネジ165dの上端部および下端部はそれぞれトップ部材165cおよびベース部材165aに回転可能に軸支される。
サーボモータ165eはその回転軸の回転方向および回転量(回転角度)を調整することが可能な電気式のモータである。サーボモータ165eはトップ部材165cに固定される。サーボモータ165eの回転軸はボールネジ165dの上端部に固定される。
スライド部材165fは板状の部材である。スライド部材165fには上下の板面を貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔には支柱部材165bが摺動可能に貫装される。また、スライド部材165fには上下の板面を貫通するネジ孔が形成され、当該ネジ孔にはボールネジ165dが螺装される。
スライド部材165fの上方の板面(上面)には、モータ163が固定される。
サーボモータ165eに電力を供給すると、サーボモータ165eの回転軸およびボールネジ165dが一体的に回転し、ボールネジ165dに螺合するスライド部材165fは支柱部材165bに沿って上下方向に移動(摺動)する。
サーボモータ165eの回転軸の回転方向および回転量(回転角度)を調整することにより、スライド部材165f、モータ163、支持部材162および永久磁石161・161を合わせたものの昇降量を調整する(上下方向の移動量を調整する)ことが可能である。
制御装置166は本発明に係る制御装置の実施の一形態であり、液面位置検出装置164により検出された溶湯3の液面の位置に基づいて昇降装置165にモータ163を上昇または下降させるための信号(以下「制御信号」という。)を送信することにより、溶湯3の液面に対するモータ163の上下方向における相対的な位置を制御するものである。
制御装置166は、種々のプログラム等を格納することができ、これらのプログラム等を展開することができ、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶することができ、当該演算の結果等を外部に出力することができる。
制御装置166は、実体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等がバスで相互に接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)等からなる構成であっても良い。
本実施形態における制御装置166は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等にプログラム等を適宜格納したもので達成することも可能である。
制御装置166は液面位置検出装置164に接続され、液面位置検出装置164により検出された溶湯3の液面の位置に係る情報(信号)を取得することが可能である。
制御装置166は昇降装置165、より詳細にはサーボモータ165eに接続され、サーボモータ165eからサーボモータ165eの回転量(回転角度)に係る情報、ひいてはモータ163の回転軸163aの位置(高さ)に係る情報(信号)を取得することが可能である。
また、制御装置166はサーボモータ165eにサーボモータ165eの回転軸の回転方向、回転速度および回転量(回転角度)を指示するための信号(制御信号に相当する)を送信することが可能である。
制御装置166は、液面位置検出装置164により検出された「溶湯3の液面の位置に係る情報」、および、サーボモータ165eから取得した「モータ163の回転軸163aの位置に係る情報」に基づいて、溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置を算出する。
制御装置166は予め「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」を記憶しており、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」と「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」とを比較する。
上記比較の結果、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」が「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」に含まれる(「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」が「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」の下限値以上かつ上限値以下である)場合には、制御装置166はサーボモータ165eに制御信号を送信せず、モータ163の回転軸163aの位置(高さ)を保持する。
また、上記比較の結果、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」が「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」に含まれない(「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」が「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」の下限値よりも小さい、または上限値より大きい)場合には、制御装置166はサーボモータ165eに制御信号を送信し、モータ163の回転軸163aの位置(高さ)を調整する。
より具体的には、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」が「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」の下限値よりも小さい場合には、制御装置166はモータ163の回転軸163aの位置(高さ)を上昇させるための制御信号をサーボモータ165eに送信する。
当該制御信号を受信したサーボモータ165eは、モータ163の回転軸163aの位置(高さ)を上昇させる方向に回転駆動する。
また、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の算出結果」が「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」の上限値よりも大きい場合には、制御装置166はモータ163の回転軸163aの位置(高さ)を下降させるための制御信号をサーボモータ165eに送信する。
当該制御信号を受信したサーボモータ165eは、モータ163の回転軸163aの位置(高さ)を下降させる方向に回転駆動する。
本実施形態では、溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの位置が所定距離だけ低い位置となるように、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」が定められる。言い換えれば、制御装置166は、液面位置検出装置164により検出された溶湯3の液面の位置に対してモータ163の回転軸163aの位置を所定距離だけ低い位置に保持するように昇降装置165に制御信号を送信する。
このように構成することにより、溶解炉100に貯留される溶湯3の量(体積)が変動することにより溶湯3の液面の位置(高さ)が変動する場合(例えば、溶解炉100から所定量の溶湯3を取り出した場合等)でも、移動する磁界の軌跡のうち、「磁界の移動方向が概ね下向きとなる部分」および「磁界の移動方向が概ね上向きとなる部分」の大部分が常に投入槽20に貯留される溶湯3の側面に対向することとなり、移動する磁界をより効率的に溶湯3に作用させることが可能である。
なお、「溶湯3の液面に対するモータ163の回転軸163aの相対的な位置の許容範囲」の具体的な値は、溶湯3(アルミニウム切削屑2)の組成(材料)、溶湯3の温度、溶湯3の量(体積)、投入槽20の形状(投入室23の形状)、永久磁石161・161の磁力、モータ163の回転速度(永久磁石161・161の回転速度)等の種々の要素を総合的に考慮した上で設定される。
第一溶湯整流部材170は本発明に係る第一溶湯整流部材の実施の一形態であり、溶湯3の流れを整えることによりアルミニウム切削屑2の溶解を促進する部材である。
本実施形態の第一溶湯整流部材170は少なくとも表面をセラミックス等の耐火材とした板状の部材であり、第一溶湯整流面171を有する。なお、第一溶湯整流部材170の内部は、金属等の耐熱材としても良い。
第一溶湯整流部材170は投入槽20の内部(投入室23の内部)かつ移動磁界発生装置160により発生する「投入槽20の側壁22に沿って下向きに移動する磁界」に対応する位置(本実施形態では、投入槽20の内部において、概ね下向きに移動する磁界よりもやや左側方となる位置)に配置され、第一溶湯整流部材170の後端部は投入槽20の後側の側壁22に固定される。
投入槽20の後側の側壁22に固定された第一溶湯整流部材170の上端部は溶湯3の液面よりも上方に配置され、第一溶湯整流部材170の下端部と投入槽20の底床21との間には所定の大きさの隙間が形成される。従って、平面視で第一溶湯整流部材170の左側に位置する溶湯3と第一溶湯整流部材170の右側に位置する溶湯3とは第一溶湯整流部材170の下端部と投入槽20の底床21との間に形成された隙間を通じて繋がっている(相互に移動可能である)。
また、投入槽20の内部に配置された第一溶湯整流部材170の第一溶湯整流面171は右側方に向けられるとともに、投入槽20の側壁22および水平面に対して概ね垂直である。
図4および図5に示す如く、移動磁界(投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界および投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界)により発生する溶湯3の流れは、溶湯3の液面近傍では概ね左向き(厳密には、左前方)であり、第一溶湯整流部材170の第一溶湯整流面171に到達すると第一溶湯整流面171に沿って下向きに修正される。
すなわち、第一溶湯整流部材170を配置することにより、溶湯3の液面近傍における流れを概ね左向きから概ね下向きに変更することが可能である。
従って、第一溶湯整流部材170を配置しない場合よりも溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
第一溶湯整流面171は平面視で中央部が窪んだ形状を有する。第一溶湯整流面171がこのような形状を有することは、以下の利点を有する。
すなわち、溶湯3の液面近傍における溶湯3の流れは厳密には完全な左向き、すなわち平面視で後側の側壁22に平行な方向ではなく、後側の側壁22から次第に遠ざかる方向(本実施形態では、左前方)となる。
第一溶湯整流面171の形状を平面視で中央部が窪んだ形状とすることにより、溶湯3の液面近傍における溶湯3の流れを平面視で投入槽20の後側の側壁22に近づく方向に修正しつつ下向きに変更することが可能であり、溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
第二溶湯整流部材180は本発明に係る第二溶湯整流部材の実施の一形態であり、溶湯3の流れを整えることによりアルミニウム切削屑2の溶解を促進する部材である。
本実施形態の第二溶湯整流部材180は少なくとも表面をセラミックス等の耐火材とした板状の部材であり、第二溶湯整流面181を有する。なお、第二溶湯整流部材180の内部は、金属等の耐熱材としても良い。
第二溶湯整流部材180は投入槽20の内部(投入室23の内部)かつ投入槽20の後側の側壁22を挟んで移動磁界発生装置160の反対側となる位置に配置され、第二溶湯整流部材180の左端部は第一溶湯整流部材170の前端部に固定され、第二溶湯整流部材180の右端部は投入槽20の右側の側壁22に固定される。
投入槽20の右側の側壁22に固定された第二溶湯整流部材180の上端部は溶湯3の液面よりも上方に配置され、第二溶湯整流部材180の下端部と投入槽20の底床21との間には所定の大きさの隙間が形成される。従って、平面視で第二溶湯整流部材180の前側に位置する溶湯3と第二溶湯整流部材180の後側に位置する溶湯3とは第二溶湯整流部材180の下端部と投入槽20の底床21との間に形成された隙間を通じて繋がっている(相互に移動可能である)。
また、投入槽20の内部に配置された第二溶湯整流部材180の第二溶湯整流面181は後方に向けられ(投入槽20の後側の側壁22に対向し)、投入槽20の後側の側壁22に対して概ね平行である。
図4および図5に示す如く、移動磁界(投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界および投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界)により発生する溶湯3の流れは、溶湯3の液面近傍では左前向きであるが、当該溶湯3の流れが第二溶湯整流部材180の第二溶湯整流面181に到達すると第二溶湯整流面181に沿って左向きに(平面視で後側の側壁22に平行な方向に)修正される。
従って、第二溶湯整流部材180を配置しない場合よりも、溶湯3の左向きの流れをより強く発生させることが可能であり、ひいては溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
以上の如く、撹拌装置150は、
アルミニウム切削屑2が投入された溶湯3を撹拌することにより、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する装置であって、
溶湯3を貯留する投入槽20の外部に配置され、投入槽20の後側の側壁22に沿って
下向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生する移動磁界発生装置160を具備する。
このように構成することにより、溶湯3に投入されたアルミニウム切削屑2は後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界により発生する下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)に
乗って溶湯3に浸漬されるので、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する(アルミニウム切削屑2を効率良く溶解する)ことが可能である。
また、撹拌装置150は、既存の溶解装置に大きな改造等を加えることなく併設することが可能であり、既存の溶解装置に簡便に適用することが可能である。
本実施形態では、移動磁界発生装置160を投入槽20の後側の側壁22に対向する位置に配置したが、本発明に係る撹拌装置はこれに限定されない。
例えば、図10に示す如く、移動磁界発生装置160を投入槽20の左側の側壁22に対向する位置に配置しても良く、あるいは図に示さないが右側の側壁22に対向する位置に配置しても良い。
また、撹拌装置150の移動磁界発生装置160は、
投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界に加えて、当該下向きに移動する磁界から所定距離だけ離れた位置において投入槽20の後側の側壁22に沿って上向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生する。
このように構成することにより、アルミニウム切削屑2が投入される溶湯3の液面近傍に温度が比較的高い溶湯3を供給することが可能であり、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する(アルミニウム切削屑2を効率良く溶解する)ことが可能である。
また、撹拌装置150の移動磁界発生装置160は、
投入槽20の後側の側壁22に対向する永久磁石161・161と、
永久磁石161・161を支持する支持部材162と、
支持部材162を回転駆動するモータ163と、
を備える。
このように構成することにより、簡単かつ電力消費が小さい構造で投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界を発生させることが可能である。
また、撹拌装置150の移動磁界発生装置160は、
溶湯3の液面の位置を検出する液面位置検出装置164と、
モータ163を上昇および下降可能に支持する昇降装置165と、
液面位置検出装置164により検出された溶湯3の液面の位置に基づいて昇降装置165にモータ163を上昇または下降させるための信号を送信することにより、溶湯3の液面に対するモータ163の上下方向における相対的な位置を制御する制御装置166と、
を備える。
このように構成することにより、溶湯3の液面の位置に応じて移動する磁界をより効率的に溶湯3に作用させることが可能である。
また、撹拌装置150の移動磁界発生装置160の制御装置166は、
液面位置検出装置164により検出された溶湯3の液面の位置に対してモータ163の回転軸163aの位置を所定距離だけ低い位置に保持するように昇降装置165にモータ163を上昇または下降させる旨の信号を送信する。
このように構成することにより、溶湯3の液面の位置(高さ)が変動する場合でも、移動する磁界の軌跡のうち、「磁界の移動方向が概ね下向きとなる部分」および「磁界の移動方向が概ね上向きとなる部分」の大部分が常に投入槽20に貯留される溶湯3の側面に対向することとなり、移動する磁界をより効率的に溶湯3に作用させることが可能である。
本実施形態では、移動磁界発生装置160は液面位置検出装置164、昇降装置165および制御装置166を備えるが、溶解炉100の装置構成あるいは溶解炉100の運用上、溶湯3の液面の位置(高さ)が実質的に変動しない(変動しない、又は、変動量が無視できるほど小さい)場合には、液面位置検出装置164、昇降装置165および制御装置166を省略することが可能である。
液面位置検出装置164、昇降装置165および制御装置166を省略した場合、移動する磁界をより効率的に溶湯3に作用させるという観点から、モータ163の回転軸163aが溶湯3の液面よりも所定距離だけ低い位置に配置されるようにモータ163を固定することが好ましい。
また、撹拌装置150は、
投入槽20の内部かつ移動磁界発生装置160により発生する投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界に対応する位置に配置され、投入槽20の後側の側壁22および水平面に対して垂直な第一溶湯整流面171を有する第一溶湯整流部材170を具備する。
このように構成することにより、溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能であり、ひいてはアルミニウム切削屑2の溶解を促進する(アルミニウム切削屑2を効率良く溶解する)ことが可能である。
また、撹拌装置150の第一溶湯整流部材170の第一溶湯整流面171は平面視で中央部が窪んだ形状を有する。
このように構成することにより、溶湯3の液面近傍における溶湯3の流れを平面視で投入槽20の後側の側壁22に近づく方向に修正しつつ下向きに変更することが可能であり、溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
本実施形態における第一溶湯整流面171は曲面で構成されるが、本発明に係る第一溶湯整流面の形状はこれに限定されない。
例えば、図6の(a)および(b)に示す第一溶湯整流面171の如く「複数の平面を組み合わせたもの」であっても良く、あるいは図6の(c)に示す第一溶湯整流面171の如く「複数の曲面と平面とを組み合わせたもの」であっても良い。
また、撹拌装置150は、
投入槽20の内部かつ投入槽20の後側の側壁22を挟んで移動磁界発生装置160の反対側となる位置に配置され、投入槽20の後側の側壁22に平行な第二溶湯整流面181を有する第二溶湯整流部材180を具備する。
このように構成することにより、溶湯3の左向きの流れ(平面視で投入槽20の後側の側壁22に平行な方向の流れ)をより強く発生させることが可能であり、ひいては溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
本実施形態の撹拌装置150は第一溶湯整流部材170および第二溶湯整流部材180を具備する構成としたが、例えば投入槽20の形状によっては第一溶湯整流部材170および第二溶湯整流部材180のうちのいずれか一方または両方を省略することも可能である。
本実施形態の場合、投入槽20が左右方向において小さい場合には、投入槽20の右側および左側の側壁22が第一溶湯整流部材170と同様の機能を果たすことが可能であり、第一溶湯整流部材170を省略することが可能である。
また、投入槽20が前後方向において小さい場合には、本体10の構造体11の後面が第二溶湯整流部材180と同様の機能を果たすことが可能であり、第二溶湯整流部材180を省略することが可能である。
また、図3に示す如く、投入槽20の底床21と側壁22とのコーナー部分を丸く成形することにより、溶湯3の上向きの流れを促進することが可能である。
本実施形態の第一溶湯整流部材170および第二溶湯整流部材180は投入槽20に固定される構成としたが、溶湯3の液面の位置(高さ)に応じて昇降しても良い。
また、溶解炉100は、
投入槽20に貯留された溶湯3にアルミニウム切削屑2を投入することによりアルミニウム切削屑2を溶解する溶解装置であって、撹拌装置150を具備する。
このように構成することにより、溶湯3に投入されたアルミニウム切削屑2は投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界により発生する下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)に乗って溶湯3に浸漬されるので、アルミニウム切削屑2を効率良く溶解することが可能である。
本実施形態では投入槽20の後方に撹拌装置150を配置したが、投入槽20の左側方あるいは投入槽20の右側方に配置しても良い。
以下では、図7および図8を用いて本発明に係る溶解装置の第二実施形態である溶解炉200について説明する。
なお、以下の説明では便宜上、溶解炉200の構成のうち、図1に示す溶解炉100と同じ構成については同じ部材番号を付し、説明を省略する。
図7に示す如く、溶解炉200は本体10、投入槽20および撹拌装置250を具備する。
撹拌装置250は本発明に係る撹拌装置の第二実施形態であり、アルミニウム切削屑2が投入された溶湯3(投入室23の下半部に貯留された溶湯3)を撹拌することにより、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する装置である。
図7および図8に示す如く、撹拌装置250は移動磁界発生装置260、第一溶湯整流部材270および第二溶湯整流部材280を具備する。
移動磁界発生装置260は本発明に係る移動磁界装置の実施の一形態であり、(α)後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界および(β)後側の側壁22に沿って上向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生する装置である。
移動磁界発生装置260は電磁コイル261・261・・・および電力供給装置262を備える。
電磁コイル261・261・・・は本発明に係る複数の電磁コイルの実施の一形態であり、通電されることにより周囲に磁界を発生させるものである。
電磁コイル261・261・・・は投入槽20の後側の側壁22に沿って略リング状に配置される。
電力供給装置262は本発明に係る電力供給装置の実施の一形態であり、電磁コイル261・261・・・に順次(本実施形態の場合、後面視で反時計回りに)電力を供給する。
電力供給装置262が電磁コイル261・261・・・に後面視で反時計回りに順次電力を供給することにより、電力が供給された電磁コイル261が順次励磁される。
その結果、投入槽20の後側の側壁22に沿って略リング状に(電磁コイル261・261・・・の配置と同様に)移動する磁界が投入槽20の内部に発生する。当該磁界のうち、後面視左半部は投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界を成し、後面視右半部は投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界を成す。
なお、第一溶湯整流部材270および第二溶湯整流部材280の構成は図1に示す第一溶湯整流部材170および第二溶湯整流部材180の構成と略同じであることから、説明を省略する。
以上の如く、溶解炉200の撹拌装置250は、
投入槽20の後側の側壁22に沿って配置される電磁コイル261・261・・・と、
電磁コイル261・261・・・に順次電力を供給する電力供給装置262と、
を備える。
このように構成することにより、投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界を発生させることが可能である。
また、電磁コイル261・261・・・の配置は適宜変更することが可能であるため、図1に示す撹拌装置150の如く移動磁界の軌跡の形状が円形に限定されず、投入槽20の形状等に応じて直線状、楕円形状等、種々の形状とすることも可能である。
以下では、図9を用いて本発明に係る溶解方法の実施の一形態について説明する。
本発明に係る溶解方法の実施の一形態は溶解炉100(図1参照)を用いてアルミニウム切削屑2を溶解する方法であり、投入工程S1100および撹拌工程S1200を具備する。
投入工程S1100はアルミニウム切削屑2を投入槽20に貯留された溶湯3に投入する工程である。
投入工程S1100が終了したら、撹拌工程S1200に移行する。
撹拌工程S1200は投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生することにより溶湯3を撹拌する工程である。
撹拌工程S1200において、撹拌装置150のモータ163に電力を供給すると、回転軸163a、回転軸163aに固定された支持部材162、および支持部材162に固定された永久磁石161・161が一体的に回転する。永久磁石161・161が回転することにより、投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界および当該概ね下向きに移動する磁界から所定距離だけ離れた位置において投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界が投入槽20の内部に発生する。当該磁界が溶湯3に作用することにより、溶湯3には概ね下向きの溶湯3の流れが発生する。投入工程S1100において溶湯3に投入されたアルミニウム切削屑2は当該流れ(溶湯流)に乗って移動し、溶湯3の内部に潜り込み(溶湯3に浸漬され)、溶湯3から熱を受けて溶解する。
以上の如く、本発明に係る溶解方法の実施の一形態は、
アルミニウム切削屑2を投入槽20に貯留された溶湯3に投入する投入工程S1100と、
投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生することにより溶湯3を撹拌する撹拌工程S1200と、
を具備する。
このように構成することにより、溶湯3に投入されたアルミニウム切削屑2は側壁22に沿って下向きに移動する磁界により発生する下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)に乗って溶湯3に浸漬されるので、アルミニウム切削屑2を効率良く溶解することが可能である。
また、本発明に係る溶解方法の実施の一形態は、
撹拌工程S1200において、
投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界から所定距離だけ離れた位置において投入槽20の後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生する。
このように構成することにより、アルミニウム切削屑2が投入される溶湯3の液面近傍に温度が比較的高い溶湯3を供給することが可能であり、アルミニウム切削屑2を効率良く溶解することが可能である。
また、本発明に係る溶解方法の実施の一形態は、
撹拌工程S1200において、
投入槽20の後側の側壁22に対向する永久磁石161・161と、
永久磁石161・161を支持する支持部材162と、
支持部材162を回転駆動するモータ163と、
を備えるとともに投入槽20の外部に配置される移動磁界発生装置160を用いることにより、
投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界を発生する。
このように構成することにより、簡単かつ電力消費が小さい構造で投入槽20の側壁22に沿って下向きに移動する磁界を発生させることが可能である。
なお、本発明に係る溶解方法の撹拌工程において溶解槽の側壁に沿って下向きに磁界を発生させる装置は本実施形態の移動磁界発生装置160に限定されるものではなく、例えば図7および図8に示す移動磁界発生装置260の如き装置を用いても良い。
また、本発明に係る溶解方法の実施の一形態は、
撹拌工程S1200において、
投入槽20の後側の側壁22および水平面に対して垂直な第一溶湯整流面171を有する第一溶湯整流部材170を、投入槽20の内部かつ投入槽20の後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界に対応する位置に配置する。
このように構成することにより、溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能であり、ひいてはアルミニウム切削屑2を効率良く溶解することが可能である。
また、本発明に係る溶解方法の実施の一形態は、
撹拌工程S1200において投入槽20の内部に配置される第一溶湯整流部材170の第一溶湯整流面171は平面視で中央部が窪んだ形状を有する。
このように構成することにより、溶湯3の液面近傍における溶湯3の流れを平面視で投入槽20の後側の側壁22に近づく方向に修正しつつ下向きに変更することが可能であり、溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
また、本発明に係る溶解方法の実施の一形態は、
撹拌工程S1200において、
投入槽20の後側の側壁22に平行な第二溶湯整流面181を有する第二溶湯整流部材180を、投入槽20の内部かつ投入槽20の後側の側壁22を挟んで移動磁界発生装置160の反対側となる位置に配置する。
このように構成することにより、溶湯3の左向きの流れ(平面視で投入槽20の後側の側壁22に平行な方向の流れ)をより強く発生させることが可能であり、ひいては溶湯3の下向きの流れをより強く発生させることが可能である。
本実施形態では投入工程S1100が終了した後に撹拌工程S1200に移行するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、投入工程と撹拌工程とを並行しても(同時に行っても)良い。
以下では、図11から図15を用いて本発明に係る溶解装置の第三実施形態である溶解炉300について説明する。溶解炉300はアルミニウム切削屑2を溶解することにより溶湯3を生成する装置である。
なお、以下の説明では便宜上、溶解炉300を構成する部材のうち、図1に示す溶解炉100と基本的に同じ構造を有する部材については同じ部材番号を付し、説明を省略する。
図11に示す如く、溶解炉300は本体10、投入槽20および撹拌装置350を具備する。
撹拌装置350は本発明に係る撹拌装置の第三実施形態であり、アルミニウム切削屑2が投入された溶湯3(投入室23の下半部に貯留された溶湯3)を撹拌することにより、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する装置である。
図11に示す如く、撹拌装置350は移動磁界発生装置360および投入/浮遊仕切部材370を具備する。
移動磁界発生装置360は本発明に係る移動磁界装置の実施の一形態であり、(α)後側の側壁22に沿って下向きに移動する磁界および(β)後側の側壁22に沿って上向きに移動する磁界を投入槽20の内部に発生する装置である。
図11に示す如く、移動磁界発生装置360は投入槽20の外部(本実施形態では、投入槽20の後方)に配置される。
移動磁界発生装置360は永久磁石361・361、支持部材362、回転軸363aを有するモータ363および固定部材364を具備する。
移動磁界発生装置360を構成する部材のうち、永久磁石361・361、支持部材362、および回転軸363aを有するモータ363については、基本的な構造が図1における永久磁石161・161、支持部材162、および回転軸163aを有するモータ163と略同じであることから、説明を省略する。
固定部材364はモータ363を投入槽20に対して所定の位置に固定する部材である。
固定部材364は図示せぬ構造体等に固定される。
図11、図12および図13に示す投入/浮遊仕切部材370は本発明に係る投入/浮遊仕切部材の実施の一形態である。
投入/浮遊仕切部材370は少なくとも表面をセラミックス等の耐火材とした板状の部材である。なお、投入/浮遊仕切部材370の内部は、金属等の耐熱材としても良い。
投入/浮遊仕切部材370は投入槽20の内部(投入室23の内部)に配置される。より詳細には、投入/浮遊仕切部材370は投入槽20の後側の側壁22を挟んで移動磁界発生装置360の反対側となる位置に配置される。
図12に示す如く、投入/浮遊仕切部材370の左端部は投入槽20の左側の側壁22の前後方向における中途部に固定され、投入/浮遊仕切部材370の右端部は投入槽20の右側の側壁22の前後方向における中途部に固定される。
その結果、投入/浮遊仕切部材370は投入槽20の内部の空間を投入・溶解室24および浮遊物回収室25の二つの空間に区画する(仕切る)こととなる。
投入・溶解室24は、投入/浮遊仕切部材370により区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360に近い方の空間である。
投入・溶解室24はアルミニウム切削屑2を溶湯3の投入するための空間である。アルミニウム切削屑2は溶湯3の液面のうち投入・溶解室24に対応する部分から溶湯3の内部に投入される。
浮遊物回収室25は投入/浮遊仕切部材370により区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360から遠い方の空間であり、ちょうど溶解槽のうち投入・溶解室24と保持室14との中間に設けられる空間(中間室)である。
浮遊物回収室25はアルミニウム切削屑2の溶解(アルミニウム切削屑2を溶湯3に投入することにより溶解すること)により発生するノロ4(図14および図15参照)を回収するための空間である。
ノロ4は溶湯3に投入されたアルミニウム切削屑2に混入する種々の異物、アルミニウム切削屑2の表面の付着物(油分、塗料、可燃物等)が酸化したもの、アルミニウム切削屑2の表面が酸化したもの、非金属介在物、あるいはこれらの混合物(集合物)等であって、溶湯3よりも密度(厳密には、嵩密度)が小さいために溶湯3に浮くことが可能なものを指す。ノロ4は本発明に係る浮遊物の実施の一形態である。
図11および図13に示す如く、投入/浮遊仕切部材370の上端部は溶湯3の液面よりも上方となる位置に配置される。
また、投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間には所定の大きさ(図13中のL1)の隙間が形成され、投入・溶解室24および浮遊物回収室25はこれらの空間の下部において互いに連通する。
投入/浮遊仕切部材370は、溶湯3がその液面に近い部分(溶湯3の液面寄りとなる部分)において投入・溶解室24と浮遊物回収室25との間で相互に移動することを規制する(溶湯3がその液面に近い部分において投入・溶解室24と浮遊物回収室25との間で相互に移動することが出来ない)。
また、投入/浮遊仕切部材370は、溶湯3がその液面から遠い部分(底床21寄りとなる部分)において投入・溶解室24と浮遊物回収室25との間で(投入/浮遊仕切部材370と底床21との間の隙間を通じて)相互に移動することを許容する。
なお、構造体11の後面を成す部分は本実施形態の溶解槽(構造体11および投入槽20を合わせたもの)の内部に配置される。
構造体11の後面を成す部分は投入/浮遊仕切部材370よりも移動磁界発生装置360から遠い位置に配置される。
構造体11の後面を成す部分は、「本実施形態の溶解槽の内部の空間において投入/浮遊仕切部材370よりも移動磁界発生装置360から遠い部分」を、浮遊物回収室25および保持室14の二つの空間に区画する(仕切る)。
構造体11の後面を成す部分の下端部の下方(構造体11の後面下部)には連通経路15が形成され、浮遊物回収室25および保持室14はこれらの空間の下部において互いに連通する。
浮遊物回収室25は、構造体11の後面を成す部分を境界として区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360に近い方の空間である。
本実施形態では、保持室14は構造体11の後面を成す部分により区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360から遠い方の空間であり、溶湯3は保持室14から取り出される(回収される)。
従って、保持室14は本発明に係る溶湯回収室の実施の一形態に相当し、構造体11の後面を成す部分が本発明に係る浮遊/溶湯仕切部材の実施の一形態に相当する。
以下では、図12および図13を用いてアルミニウム切削屑2が投入・溶解室24における溶湯3の液面に投入されたときのアルミニウム切削屑2の挙動について説明する。
移動磁界発生装置360のモータ363に電力を供給することにより、支持部材362(ひいては、永久磁石361・361)は後方視(背面視)で反時計回りに回転する。
従って、投入槽20の内部(投入・溶解室24および浮遊物回収室25)の溶湯3には、図3に示す溶解炉100と同様に、後方視で反時計回りに移動する磁界が発生し、当該移動する磁界に伴って溶湯3の内部に「後方視で反時計回りの螺旋状の流れ」が発生する。
投入・溶解室24における溶湯3の液面に投入されたアルミニウム切削屑2は溶湯3の内部の流れに沿って溶湯3の内部に巻き込まれる。
溶湯3の内部に巻き込まれたアルミニウム切削屑2は後方視で反時計回りに旋回しながら投入・溶解室24における溶湯3の内部を前方に向かって移動しつつ溶解される。
そして、未溶解のアルミニウム切削屑2は、投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間を通って投入・溶解室24から浮遊物回収室25に移動する。
溶湯3の内部に発生する後方視で反時計回りに移動する磁界は、永久磁石361・361からの距離が大きくなるほど弱くなる。
また、投入・溶解室24と浮遊物回収室25とは投入/浮遊仕切部材370により溶湯3の液面に近い部分において区画されているので、投入・溶解室24の内部の溶湯3に発生する「後方視で反時計回りの螺旋状の流れ」は投入/浮遊仕切部材370によりある程度遮られる。
そのため、浮遊物回収室25の内部の溶湯3に発生する「後方視で反時計回りの螺旋状の流れ」は投入・溶解室24の内部の溶湯3に発生する「後方視で反時計回りの螺旋状の流れ」よりも弱く、ある程度は螺旋状ではあるものの、概ね緩やかに前方に向かう流れとなっている。
また、未溶解のアルミニウム切削屑2の密度と溶湯3の密度とはほぼ同じであるため、未溶解のアルミニウム切削屑2が溶湯3から受ける浮力と未溶解のアルミニウム切削屑2に作用する重力(自重)とはほぼバランスする。
従って、投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間を通って浮遊物回収室25の内部に移動してきた未溶解のアルミニウム切削屑2は、浮力により大きく上方に浮き上がることなく、緩やかに前方に移動しつつ溶解されることとなる。
そして、未溶解のアルミニウム切削屑2は連通経路15を通って浮遊物回収室25から保持室14に移動する。
保持室14は浮遊物回収室25よりもさらに永久磁石361・361からの距離が大きいため、投入・溶解室24の内部の溶湯3には「後方視で反時計回りの螺旋状の流れ」はほとんど発生しない。
投入・溶解室24における溶湯3の液面に投入されたアルミニウム切削屑2のうち溶解されずに保持室14まで移動したものについても、保持室14の内部の溶湯3から熱を受けて、いずれは溶解されることとなる。
このように、投入・溶解室24における溶湯3の液面に投入されたアルミニウム切削屑2は、移動磁界発生装置360により溶湯3の内部に発生する「後方視で反時計回りの螺旋状の流れ」に沿って移動する過程で溶解される。
また、アルミニウム切削屑2は、投入・溶解室24における溶湯3の液面→投入・溶解室24における溶湯3の下部→浮遊物回収室25における溶湯3の下部→保持室14の順に移動し、浮遊物回収室25における溶湯3の液面近傍には移動しない。
以下では、図14および図15を用いてアルミニウム切削屑2が投入・溶解室24における溶湯3の液面に投入されたときに発生するノロ4の挙動について説明する。
投入・溶解室24における溶湯3の液面にアルミニウム切削屑2が投入されることにより発生したノロ4は、溶湯3の内部の流れに沿って溶湯3の内部に巻き込まれる。
溶湯3の内部に巻き込まれたノロ4は後方視で反時計回りに旋回しながら投入・溶解室24における溶湯3の内部を前方に向かって移動する。
そして、ノロ4は、投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間を通って投入・溶解室24から浮遊物回収室25に移動する。
ノロ4の密度(厳密には、嵩密度)は溶湯3の密度に比べて小さいため、ノロ4が溶湯3から受ける浮力はノロ4に作用する重力(自重)より大きい。
従って、投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間を通って浮遊物回収室25の内部に移動してきたノロ4は、浮遊物回収室25の内部の溶湯3に発生する流れ(ある程度は螺旋状ではあるものの、概ね緩やかに前方に向かう流れ)から外れ、浮力により浮遊物回収室25における溶湯3の液面の右半部に浮上する。
ノロ4が溶湯3の液面に浮上した状態ではノロ4が溶湯3から受ける浮力とノロ4に作用する重力(自重)とがバランスする。
そのため、浮遊物回収室25における溶湯3の液面の右半部に浮上したノロ4は、溶湯3の液面に浮きつつ浮遊物回収室25における溶湯3の内部に発生する流れに沿って緩やかに浮遊物回収室25における溶湯3の液面の左端部に移動し、そこで滞留する(図14参照)。
このように、投入・溶解室24における溶湯3の液面にアルミニウム切削屑2が投入されることにより発生するノロ4は、アルミニウム切削屑2から分離され、溶解槽の特定の位置(本実施形態では、「浮遊物回収室25における溶湯3の液面の左端部」)に集められる。集められたノロ4は手動または自動で回収される(外部に取り出される)。
ノロ4を手動で回収する方法の具体例としては、作業者が柄杓の様な器具を用いて掻き取る(掬い取る)方法が挙げられる。ノロ4を自動で回収する方法の具体例としては、溶湯3の液面近傍からノロ4を掬い取る装置を用いる方法が挙げられる。
以上の如く、撹拌装置350は、
アルミニウム切削屑2が投入された溶湯3を撹拌することにより、アルミニウム切削屑2の溶解を促進する撹拌装置であって、
溶湯3を貯留する溶解槽の外部(本実施形態では、投入槽20の外部)に配置され、溶解槽の側壁(本実施形態では、投入槽20の後側の側壁22)に沿って下向きに移動する磁界を溶解槽の内部に発生する移動磁界発生装置360と、
溶解槽の内部(本実施形態では、投入槽20の内部)に配置され、溶解槽の内部の空間を下部において互いに連通する二つの空間(投入・溶解室24および浮遊物回収室25)に区画する投入/浮遊仕切部材370と、
を具備し、
投入/浮遊仕切部材370により区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360に近い方の空間(本実施形態では、投入槽20の後半部の空間)を溶解槽においてアルミニウム切削屑2を溶湯3に投入するための空間である投入・溶解室24とし、当該二つの空間のうち移動磁界発生装置360から遠い方の空間(本実施形態では、投入槽20の前半部の空間)をアルミニウム切削屑2の溶解により発生するノロ4を回収するための空間である浮遊物回収室25とする。
以下では、撹拌装置350を上記の如く構成すること(上記の如く構成された撹拌装置350を具備する溶解炉300)の利点について、従来技術たる特開平5−255770に記載されたスクラップ溶解促進装置(以下「従来技術(A)」という。)および特開平6−49553に記載された溶解処理装置(以下「従来技術(B)」という。)と比較しつつ説明する。
従来技術(A)は溶解炉のオープンウェル部(溶解槽のうち、上面が開口している部分)に設けられるものであり、主として上下方向の軸を中心に回転する回転羽根、当該回転羽根を覆うケーシング、および回転羽根とケーシングの内周面との隙間にアルミニウムスクラップを投入するシュートを具備する。ケーシングの下面には溶湯を吸引可能な開口部が形成され、ケーシングの側面には溶湯を流出可能な開口部が形成され、ケーシングの上面にはシュートが接続される。
シュートに投入されたアルミニウムスクラップは、回転羽根とケーシングの内周面との隙間に滑落し、溶湯に浸漬しつつ回転羽根により撹拌される。その結果、アルミニウムスクラップは溶解されつつケーシングの側面に形成された開口部から溶解炉の内部に移動する。
しかし、従来技術(A)は回転羽根により溶解槽の溶湯にオープンウェル部から本炉内部に向かう強い流れを発生させてしまうため、当該流れに乗って浮遊物が本炉内部に移動してしまい、本炉内部の溶湯に浮遊物が混入し、本炉内部の溶湯の品質が低下するという問題を有する。
また、本炉内部の溶湯に浮遊物が混入した状態が長時間保持された場合、浮遊物自身の熱による自己連続酸化反応が起こり、周囲の清浄な溶湯が酸化して電気灰(新たな浮遊物)が発生するという問題も起こり得る。
このような問題を解消する方法としてはオープンウェル部と本炉との間に開閉扉を設け、以下の(a1)〜(a3)の三つの工程からなるサイクルを繰り返す方法が考えられる。
(a1)開閉扉を閉じ、回転羽根を回転させることによりアルミニウムスクラップを溶融する。
(a2)オープンウェル部における溶湯の液面に浮いた浮遊物を回収する。
(a3)開閉扉を開き、オープンウェル部における溶湯および本炉内部の溶湯を混合する。
しかし、上記方法ではアルミニウムスクラップの溶融と本炉における溶湯の加熱を同時に行うことができないこと(バッチ操業になること)、アルミニウムスクラップをオープンウェル部の溶湯に投入することによる当該溶湯の温度の低下が溶解速度を低下させること、といった理由から生産性(単位時間当たりの溶解量)が低下する。
また、開閉扉を開いたときには本炉内部の熱が外部に放出されることとなり、エネルギーコストが増大するという問題を有する。
また、熱効率を向上するために開閉扉を厚くして本炉の熱が逃げないようにした場合、その分だけ開閉扉が重くなるので、装置の大型化、設備コストの増大、および開閉扉の開閉時に要するエネルギー消費の増大という問題を有する。
さらに、従来技術(A)の構成では(a2)の工程において浮遊物がオープンウェル部の全体に広がって分布するため、浮遊物を回収する作業が煩雑になり(浮遊物を回収する作業に要する時間および労力が増大し)、これも生産性を低下させる原因となる。
従来技術(B)は溶解炉のオープンウェル部から先端ツール(棒状の部材)を溶湯に浸漬し、当該先端ツールを前後上下に動かす(ロコモーション運動させる)ことにより溶湯を撹拌する。
しかし、従来技術(B)は先端ツール(棒状の部材)が浮遊物を突いて細かく破砕しつつ溶湯中に浸漬させるため、溶湯に微細な浮遊物が均一に混入し、溶湯の品質が低下する(浮遊物が溶湯に異物として混入する濃度が上昇する)。
上記問題を解消する方法としては先に従来技術(A)の説明において挙げた方法と同様の方法が考えられるが、この場合にも従来技術(A)と同様の問題(生産性の低下、装置の大型化、設備コストの増大、開閉扉の開閉に伴うエネルギー消費の増大、浮遊物回収作業の繁雑さ)が発生する。
これに対して、撹拌装置350は浮遊物回収室25の特定の位置(浮遊物回収室25における溶湯3の液面の左端部)にノロ4を集めて回収することが可能であり、ノロ4を回収する作業が容易である(投入槽20における溶湯3の液面の全面にわたってノロ4を回収する必要がない)。
また、撹拌装置350は保持室14の内部の溶湯にノロ4が混入することを防止することが可能であり、保持室14の内部の溶湯の品質向上に寄与する。
また、撹拌装置350は投入槽20(オープンウェル部)と本体10(本炉)との間を仕切る開閉式の扉を設ける必要が無く、既存の溶解炉にも容易に設置可能な構成であるため、導入時の設備コストを抑えることが可能である。
また、撹拌装置350は、アルミニウム切削屑2を溶湯3に投入して溶解する(溶湯3を撹拌する)作業と、ノロ4を回収する作業と、投入槽20の内部の溶湯と本体10の内部の溶湯(保持室14の内部の溶湯)とを混合する作業と、をそれぞれ別の位置(投入・溶解室24、浮遊物回収室25および保持室14)で行うため、これらの作業を同時並行的に行うことが可能であり、ひいては連続操業を行うことにより生産性の向上に寄与する。
本実施形態では投入/浮遊仕切部材370が板状の部材であり、投入/浮遊仕切部材370の板面が移動磁界発生装置360のモータ363の回転軸363aの軸線方向、すなわち移動磁界発生装置360により発生する螺旋状の溶湯3の流れのマクロの進行方向(前後方向)に対して垂直になるが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、浮遊物回収室25にノロ4を回収することが可能であれば、浮遊物回収室25の板面が移動磁界発生装置360により発生する螺旋状の溶湯3の流れのマクロの進行方向に対して垂直な状態から多少傾斜していても良い。
本実施形態では構造体11の後面を成す部分が本発明に係る浮遊/溶湯仕切部材の実施の一形態に相当するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図16および図17に示す如く、溶解槽の内部(図16および図17では、投入槽20の内部)かつ投入/浮遊仕切部材370よりも移動磁界発生装置360から遠い位置に配置された浮遊/溶湯仕切部材380を具備する構成としても良い。
浮遊/溶湯仕切部材380は溶解槽の内部の空間において投入/浮遊仕切部材370よりも移動磁界発生装置360から遠い部分を下部において互いに連通する二つの空間に区画する部材である。
図16および図17に示す実施形態では、浮遊物回収室25は、浮遊/溶湯仕切部材380により区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360に近い方の空間である。
また、保持室14は、浮遊/溶湯仕切部材380により区画された二つの空間のうち移動磁界発生装置360から遠い方の空間であり、溶解槽から溶湯3を回収するための空間である「溶湯回収室」を兼ねる。
なお、図16および図17に示す実施形態では、投入槽20の内部のうち浮遊/溶湯仕切部材380よりも移動磁界発生装置360から遠い部分と保持室14とを合わせたものが溶湯回収室に相当する。
図16および図17に示す浮遊/溶湯仕切部材380は投入/浮遊仕切部材370と同様、少なくとも表面をセラミックス等の耐火材とした板状の部材である。
投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間L1および連通経路15の高さL2(図13参照)、あるいは投入/浮遊仕切部材370の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間L1および浮遊/溶湯仕切部材380の下端部と投入槽20の底床21との間の隙間L3(図17参照)は以下に示す種々の要素を総合的に勘案して適正な大きさに設定されることが望ましい。
すなわち、保持室14へのノロ4の移動を防止することにより浮遊物回収室25にノロ4を効率良く回収する観点からは、隙間L1および高さL2(あるいは、隙間L1および隙間L3)を極力小さく設定することが望ましい。
また、投入・溶解室24と浮遊物回収室25との間、および、浮遊物回収室25と保持室14との間の溶湯3の移動を容易にすることにより溶湯3の温度を一定に保持する観点、あるいは、未溶解のアルミニウム切削屑2が投入・溶解室24と浮遊物回収室25あるいは浮遊物回収室25と保持室14との間の移動経路に引っ掛かることを防止する観点からは隙間L1および高さL2(あるいは、隙間L1および隙間L3)を大きく設定することが望ましい。
投入/浮遊仕切部材370(および浮遊/溶湯仕切部材380)を投入槽20の右側および左側の側壁22に対して上下方向に移動可能に固定することにより、操業条件等に応じて隙間L1(および隙間L3)を変更(調整)可能としても良い。
図18に示す如く、投入/浮遊仕切部材370を第一板材371および第二板材372からなる平面視L字形の(板状の)部材とすることにより、浮遊物回収室25を主室25aおよび主室25aの一端部に連結された副室25bからなる平面視L字形に形成し、浮遊物回収室25の主室25aにおける溶湯3の液面に浮上したノロ4が溶湯3の液面近傍の流れに乗って主室25aを右から左に向かって移動し、後方に折れ曲がった先の副室25bに集まる構成(主室25aにおける溶湯3の液面の流れが主室25aの他端部から一端部(副室25bに連結される方の端部)に向かう構成)としても良い。
このように構成することにより、浮遊物回収室25をより大きく設定することが可能であり、ノロ4を回収する作業が容易となる。
また、ノロ4が集まる位置である副室25bが主室25aよりも保持室14から遠い位置に配置されるため、保持室14の溶湯3にノロ4が混入することを防止することが可能であり、ひいては保持室14の溶湯3の品質向上に寄与する。
また、図19に示す如く、撹拌装置350がフラックスインジェクション装置391および浮遊物回収装置392を具備する構成としても良い。
フラックスインジェクション装置391は溶湯3にフラックスを供給する装置である。
ここで「フラックス」は、溶湯3の内部の不純物等に作用することによりノロ4を生成する物質を指す。
図19に示す実施形態では、フラックスインジェクション装置391が浮遊物回収室25における溶湯3の液面の右端部にフラックスを供給することにより、溶湯3中に浮遊しているノロ4を分離し、除去する(不純物、異物の混入濃度を低下させる)。
また、ノロ4とノロ4に巻き込まれているアルミニウム分とを分離することが可能であり、溶解歩留まり(回収できるアルミニウムの量)が向上する。
浮遊物回収装置392は溶湯3の液面に浮遊するノロ4を回収する装置である。
図19に示す実施形態では、浮遊物回収装置392はノロ4を掬い取るジグ392aを備え、ジグ392aは浮遊物回収室25における溶湯3の液面の左端部、すなわち、最終的にノロ4が集まる位置に配置される。
このように構成することにより、浮遊物回収装置392は投入槽20における溶湯3の液面全体を走査してノロ4を掬い取る必要が無く、特定の位置(図19に示す実施形態では、浮遊物回収室25における溶湯3の液面の左端部)で掬い取るだけで効率良くノロ4を回収することが可能であり、浮遊物回収装置392の装置構成を簡素化することが可能である。
また、浮遊物回収装置392はノロ4を回収する作業を行うにあたって撹拌装置350を構成する他の装置、あるいは溶解炉300を構成する他の部材等と干渉することがないので、ノロ4を回収する作業を連続して(他の作業と同時並行的に)行うことが可能であり、溶湯3の品質の向上およびノロ4を回収する作業の省力化に寄与する。
以下では、図20から図34を用いて本発明に係る溶解装置の第四実施形態である溶解炉400、および溶解炉400を用いたアルミニウム切削屑2の溶解方法について説明する。
図20に示す如く、溶解炉400はアルミニウム切削屑2を溶解することにより溶湯3を生成する装置であり、本体10、投入槽20、移動磁界発生装置460および移動磁界発生装置470を具備する。
本体10は溶湯3の温度を凝固温度より高い温度に保持するものである。
本体10は構造体11、耐火・断熱材12およびバーナー13を備える。
構造体11は本発明に係る外板の実施の一形態であり、金属材料で構成される板状の部材(例えば、鋼板)を組み合わせた略直方体の箱状の部材である。
耐火・断熱材12はセラミックス等からなる部材であり、構造体11の内周面(構造体11を構成する板状の部材の内側の板面)に固定されることにより構造体11の内周面を覆う。
構造体11の内部には耐火・断熱材12に囲まれる空間として保持室14が形成され、構造体11の後面下部には連通経路15が形成される。保持室14の下半部には溶湯3が貯留される。
バーナー13は構造体11の前方の内周面上部に設けられ、保持室14の内部の空気、ひいては保持室14の下半部に貯留される溶湯3(当該空気に接する溶湯3)を昇温する。
投入槽20は溶解炉400においてアルミニウム切削屑2を投入する部分である。
投入槽20は本体10の後端部に固定される。投入槽20は底床21および側壁22を備える。
底床21は投入槽20のうち、構造体11の後端部から後方に向かって延設される平面視略長方形状の板状の部分である。
本実施形態の底床21は外板21aおよび耐火材21bを備える。
外板21aは本発明に係る外板の実施の一形態であり、底床21の外半部(本実施形態では、下半部)を成す部材である。本実施形態の外板21aは金属材料で構成される板状の部材(例えば、鋼板)である。
耐火材21bはセラミックス等からなる部材であり、外板21aの内側の板面(本実施形態では、上側の板面)に固定されることにより外板21aの内側の板面を覆う。
側壁22は投入槽20のうち、底床21の左端部、後端部および右端部に沿って立設される板状の部分である。側壁22の左前端部および右前端部はそれぞれ構造体11の後面左端部および後面右端部に延設される。
本実施形態の側壁22は外板22aおよび耐火材22bを備える。
外板22aは本発明に係る外板の実施の一形態であり、側壁22の外半部(側壁22のうち底床21の後端部に沿って立設される部分の場合、後半部)を成す部材である。本実施形態の外板22aは金属材料で構成される板状の部材(例えば、鋼板)である。
耐火材22bはセラミックス等からなる部材であり、外板22aの内側の板面(側壁22のうち底床21の後端部に沿って立設される部分に対応する外板22aの場合、前側の板面)に固定されることにより外板22aの内側の板面を覆う。
投入槽20において底床21、側壁22および構造体11の後面で囲まれる空間として、投入室23が形成される。投入室23の下半部には溶湯3が貯留される。
保持室14と投入室23とは連通経路15により連通され、溶湯3は連通経路15を通じて保持室14および投入室23の間を移動することが可能である。
投入槽20の上面は開口しており、アルミニウム切削屑2は当該開口部分から投入室23に投入される。投入室23に投入されたアルミニウム切削屑2は投入室23の下半部に貯留された溶湯3に接触して昇温され、融点以上の温度に到達した時点で溶解する。
本実施形態では、内周面が耐火・断熱材12で覆われた構造体11および投入槽20を合わせたものに溶湯3が貯留されることから、「内周面が耐火・断熱材12で覆われた構造体11」および「投入槽20」はいずれも本発明に係る溶解槽の実施の一形態に相当する。
移動磁界発生装置460は本発明に係る移動磁界発生装置の実施の一形態であり、後側の側壁22(後側の外板22a)に沿って移動する磁界を投入槽20の内部に発生することによりアルミニウム切削屑2が投入された溶湯3(投入室23の下半部に貯留された溶湯3)を撹拌し、ひいてはアルミニウム切削屑2の溶解を促進する装置である。
図20に示す如く、移動磁界発生装置460は投入槽20の外部、より詳細には投入槽20の後方に配置される。
移動磁界発生装置460は永久磁石461a・461b、支持部材462、モータ463および固定部材464を具備する。
永久磁石461a・461bは本発明に係る永久磁石の実施の一形態であり、図20および図21に示す如く、後側の側壁22(後側の外板22aの外側の板面)に対向する。
本実施形態では、強い磁力を発生させる観点から、永久磁石461a・461bをネオジム磁石で構成している。
本実施形態では移動磁界発生装置460が二つの永久磁石461a・461bを具備するが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る移動磁界発生装置が具備する永久磁石の個数は単数でも複数でも良い。
支持部材462は本発明に係る支持部材の実施の一形態であり、永久磁石461a・461bを支持するものである。
本実施形態の支持部材462は略円盤形状の部材である。永久磁石461a・461bは後側の側壁22に対向する支持部材462の盤面に固定される。
モータ463は本発明に係るモータの実施の一形態であり、支持部材462、ひいては支持部材462に固定された永久磁石461a・461bを回転駆動するものである。
モータ463の回転軸463aは本発明に係る回転軸の実施の一形態であり、支持部材462に固定される。回転軸463aの軸線と、回転軸463aに固定された支持部材462の中心線(支持部材462の一対の盤面の中心を通る線)と、は一直線になる。
本実施形態のモータ463は電気式のモータであるが、本発明に係るモータはこれに限定されるものではなく、例えば流体圧により回転駆動するモータ(例えば、油圧モータ、空圧モータ等)でも良い。
固定部材464はモータ463を投入槽20の後方となる位置に固定する部材である。固定部材464は図示せぬ構造体等に固定される。
モータ463が固定部材464に固定されたとき、モータ463の回転軸463aは後側の側壁22(後側の外板22aの外側の板面)に垂直となる。また、モータ463が固定部材464に固定されたとき、支持部材462の盤面は後側の側壁22(後側の外板22aの外側の板面)に平行となる。
モータ463に電力を供給することにより、回転軸463a、回転軸463aに固定された支持部材462、および支持部材462に固定された永久磁石461a・461bが回転軸463aを中心として一体的に回転駆動される(本実施形態では、永久磁石461a・461bは後面視で反時計回りに回転する)。
その結果、後側の側壁22のうち、支持部材462の左半部に対向する部分に対応する投入槽20の内部には後側の側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界が発生し、支持部材462の右半部に対向する部分(すなわち、下向きに移動する磁界から所定距離だけ離れた位置)に対応する投入槽20の内部には、後側の側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界が発生する。言い換えれば、投入槽20の内部のうち永久磁石461a・461bに対向する部分には後面視で反時計回りに移動する磁界が発生する。
投入槽20の内部に側壁22に沿って概ね下向きに移動する磁界が発生することにより、投入槽20に貯留された溶湯3のうち当該磁界が作用する部分には概ね下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
また、投入槽20の内部に側壁22に沿って概ね上向きに移動する磁界が発生することにより、投入槽20に貯留された溶湯3のうち当該磁界が作用する部分には概ね上向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
その結果、溶湯3には、概ね溶湯3の液面に平行な軸(本実施形態の場合、モータ463の回転軸463a)を中心として循環する溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
このような流れが発生している溶湯3にアルミニウム切削屑2を投入することにより、アルミニウム切削屑2は溶湯3の流れ(溶湯流)に乗って移動し、概ね下向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生している位置で溶湯3の内部に潜り込み(溶湯3に浸漬され)、溶湯3から熱を受けて溶解する。
また、アルミニウム切削屑2が溶解することにより、アルミニウム切削屑2が溶解した位置の近傍の溶湯3の温度は低下するが、溶湯3の流れ(溶湯流)により溶湯3が撹拌されるため、溶湯3の温度は概ね均一に保持される。
さらに、概ね上向きの溶湯3の流れ(溶湯流)が発生することにより、温度が比較的高い溶湯3をアルミニウム切削屑2が投入される溶湯3の液面近傍に移動させることが可能であり、アルミニウム切削屑2を大量かつ連続的に溶湯3に投入した場合でもアルミニウム切削屑2を効率良く溶解することが可能である。
移動磁界発生装置470は構造体11の下面を成す板状の部材に沿って移動する磁界を本体10の内部に発生することにより保持室14の下半部に貯留された溶湯3を撹拌し、溶湯3の温度を均一にするものである。
図20に示す如く、移動磁界発生装置470は本体10の外部、より詳細には本体10の下方に配置される。
移動磁界発生装置470は永久磁石471a・471b、支持部材472、モータ473および固定部材474を具備する。
永久磁石471a・471bは構造体11の下面を成す板状の部材に対向する。
本実施形態では、強い磁力を発生させる観点から、永久磁石471a・471bをネオジム磁石で構成している。
支持部材472は永久磁石471a・471bを支持するものである。
本実施形態の支持部材472は略円盤形状の部材である。永久磁石471a・471bは構造体11の下面を成す板状の部材に対向する支持部材462の盤面に固定される。
モータ473は支持部材472、ひいては支持部材472に固定された永久磁石471a・471bを回転駆動するものである。
モータ473の回転軸473aは支持部材472に固定される。回転軸473aの軸線と、回転軸473aに固定された支持部材472の中心線(支持部材472の一対の盤面の中心を通る線)と、は一直線になる。
固定部材474はモータ473を構造体11の下面を成す板状の部材の下方となる位置に固定する部材である。固定部材474は図示せぬ構造体等に固定される。
モータ473が固定部材474に固定されたとき、モータ473の回転軸473aは構造体11の下面を成す板状の部材の下側の板面に垂直となる。また、モータ473が固定部材474に固定されたとき、支持部材472の盤面は構造体11の下面を成す板状の部材の下側の板面に平行となる。
モータ473に電力を供給することにより、回転軸473a、回転軸473aに固定された支持部材472、および支持部材472に固定された永久磁石471a・471bが回転軸473aを中心として一体的に回転駆動される(本実施形態では、永久磁石471a・471bは底面視で反時計回りに回転する)。
その結果、本体10の内部のうち永久磁石471a・471bに対向する部分には底面視で反時計回りに移動する磁界が発生し、溶湯3には、概ね溶湯3の液面に垂直な軸(本実施形態の場合、モータ473の回転軸473a)を中心として循環する渦状の溶湯3の流れ(溶湯流)が発生する。
従って、溶湯3は本体10の内部(保持室14)において撹拌され、溶湯3のうちバーナー13により加熱された部分とその他の部分とが混合され、溶湯3の温度が概ね均一となる。
以下では図20から図22を用いて支持部材462に固定される永久磁石461a・461bの配置、永久磁石461a・461bの極性、および永久磁石461a・461bの回転により後側の外板22aに誘起される誘導電流Cについて説明する。
図20から図22に示す如く、永久磁石461a・461bは後側の側壁22(後側の外板22aの外側の板面)に対向する支持部材462の盤面において、当該盤面の中心を挟んで当該盤面の中心から等距離となる位置に固定される。
図22に示す如く、永久磁石461aの前面(後側の外板22aの外側の板面に対向する面)はN極に帯磁し、永久磁石461aの後面(支持部材462の盤面に当接している面)はS極に帯磁している。
また、永久磁石461bの前面(後側の外板22aの外側の板面に対向する面)はS極に帯磁し、永久磁石461bの後面(支持部材462の盤面に当接している面)はN極に帯磁している。
従って、永久磁石461aのN極および永久磁石461bのS極は、回転軸463aの軸線方向(本実施形態では、前後方向)から見て、回転軸463aを中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される。
図23に示す如く、永久磁石461a・461bの周囲には、永久磁石461aの前面のN極から永久磁石461bの前面のS極に向かう磁界、および永久磁石461bの後面のN極から永久磁石461aの後面のS極に向かう磁界(図23中の黒い矢印参照)が形成される。
従って、永久磁石461a・461bが配置された支持部材462が回転しているとき、これらの磁界に囲まれた空間に配置されている金属材料である後側の外板22aには、右ネジの法則に基づいて誘導電流Cが誘起されることとなる。
図34に示す如く、仮に後側の外板22aが単なる金属材料からなる板状の部材である場合、永久磁石461a・461bが配置された支持部材462が回転しているときには後側の外板22aには外板22aの板面に平行かつ永久磁石461a・461bを結んだ線30に垂直な方向に誘導電流Cが流れ、外板22aの電気抵抗により外板22aが発熱し、外板22aの温度が上昇する。
また、図34の(a)および(b)に示す如く、永久磁石461a・461bが配置された支持部材462の回転に伴って誘導電流Cが流れる方向は変化するが、後側の外板22aにおいて永久磁石461a・461bで挟まれる位置、すなわち支持部材462の回転中心(回転軸463a)に対向する位置(以下、「外板22aの中心位置」という。)には常に誘導電流Cが流れることとなる。
従って、外板22aの中心位置はその周囲よりも発熱量が大きくなり、外板22aの中心位置の温度はその周囲の温度よりも高くなる。
図24および図25に示す如く、本実施形態では後側の外板22aの外側の板面において永久磁石461a・461bに対向する部分(より厳密には、後側の外板22aの外側の板面において回転軸463aの軸線方向から見て永久磁石461a・461bの回転軌跡により囲まれる部分であり、図25において二点鎖線で囲まれる部分に相当する)に抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485を形成することにより、図34に示す如き「外板22aの中心位置に誘導電流Cが常に流れる(集中する)ことに起因する後側の外板22aの発熱(異常過熱)」を軽減している。
以下では、図24および図25を用いて抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485の詳細な構成について説明する。
抵抗溝481は本発明に係る抵抗帯の実施の一形態である。
本実施形態の抵抗溝481は後側の外板22aの内側の板面(前側の板面)から外側の板面(後側の板面)まで貫通する溝である。
外板22aにおいて抵抗溝481が形成されている部分は実質的には空洞であるため、抵抗溝481には通常、空気が充填されている。
従って、抵抗溝481(厳密には、外板22aにおいて抵抗溝481が形成されている部分)の電気抵抗は、金属材料からなる外板22aの他の部分(外板22aにおいて抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485が形成されていない部分)の電気抵抗よりも大きい。
図25に示す如く、抵抗溝481の中途部(本実施形態では、抵抗溝481の中央部)は外板22aの中心位置に配置される。
また、抵抗溝481の両端部は外板22aの中心位置から離れた位置(本実施形態では、後側の外板22aの外側の板面において回転軸463aの軸線方向から見て永久磁石461a・461bの回転軌跡により囲まれる部分の左端部および右端部)に配置される。
従って、本実施形態では、抵抗溝481は外板22aの中心位置を通って左右に伸びた形状を有する。
また、図25に示す如く、抵抗溝481は途中で切れ目が無い形状、すなわち抵抗溝481の左端部から中央部を経て右端部まで繋がった形状を有する。
副抵抗溝482・483・484・485は本発明に係る副抵抗帯の実施の一形態である。
本実施形態の副抵抗溝482・483・484・485はいずれも後側の外板22aの内側の板面(前側の板面)から外側の板面(後側の板面)まで貫通する溝である。
外板22aにおいて抵抗溝481が形成されている部分は実質的には空洞であるため、副抵抗溝482・483・484・485には通常、空気が充填されている。
従って、副抵抗溝482・483・484・485(厳密には、外板22aにおいて副抵抗溝482・483・484・485が形成されている部分)の電気抵抗は、金属材料からなる外板22aの他の部分(外板22aにおいて抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485が形成されていない部分)の電気抵抗よりも大きい。
図25に示す如く、副抵抗溝482は、後側の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分のうち抵抗溝481から所定の距離だけ上方となる位置に配置される。
副抵抗溝483は、後側の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分のうち副抵抗溝482から所定の距離だけ上方となる位置に配置される。
副抵抗溝484は、後側の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分のうち抵抗溝481から所定の距離だけ下方となる位置に配置される。
副抵抗溝485は、後側の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分のうち副抵抗溝484から所定の距離だけ下方となる位置に配置される。
本実施形態では、副抵抗溝482・483・484・485はいずれも左右に長く伸びた形状を有し、副抵抗溝482、副抵抗溝483、副抵抗溝484および副抵抗溝485はいずれも抵抗溝481から分離されている(抵抗溝481、副抵抗溝482、副抵抗溝483、副抵抗溝484および副抵抗溝485は相互に繋がっていない)。
以下では、図25を用いて抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485が後側の外板22aの発熱(異常過熱)を軽減する原理について説明する。
後側の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分は抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485により、「副抵抗溝483よりも上方となる部分」、「副抵抗溝483および副抵抗溝482により挟まれる部分」、「副抵抗溝482および抵抗溝481により挟まれる部分」、「抵抗溝481および副抵抗溝484により挟まれる部分」、「副抵抗溝484および副抵抗溝485により挟まれる部分」、
並びに「副抵抗溝485よりも下方となる部分」の計六つの部分に区画される。
抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485は後側の外板22aを構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するため、上記六つの隣り合う部分を跨いで電流が流れることが阻害される(あるいは、隣り合う部分を跨いで流れる電流値が小さくなる)。
従って、永久磁石461a・461bが配置された支持部材462が図25に示す如き抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485が形成された後側の外板22aに対向しつつ回転するとき、抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485により区画された部分毎に誘導電流C・C・・・が誘起されるため、各誘導電流Cの電流値は、誘導電流Cが永久磁石461a・461bの回転軌跡により囲まれる部分の一端側から他端側までを外板22aの中心位置を通りつつ連続して流れた場合(図34参照)に比べて、小さくなる。
また、抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485は隣り合う部分を跨いで電流が流れることを阻害するため、抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485により区画された部分毎に誘起されるとともに外板22aの中心位置に向かって流れてきた誘導電流Cは抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485の近傍まで到達した時点でその向きを変え、抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485の長手方向(本実施形態では、左右方向)に沿って流れることとなる。
従って、誘導電流Cが外板22aの中心位置に集中することが回避され、外板22aの中心位置における発熱が軽減される。
以下では、図26から図30を用いて抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485が後側の外板22aの発熱(異常過熱)を軽減することを示す実験の結果について説明する。
図26の(a)から(e)までに示す如く、実験を行うに当たり、形成された溝の態様(溝の数、長さ、配置等)が異なる五種類の外板22aを用意した。
図26の(a)に示す外板22aの外側の板面において永久磁石461a・461bに対向する部分(図26の(a)において二点鎖線で囲まれた部分)には、溝が全く形成されていない。
図26の(b)に示す外板22aの外側の板面において永久磁石461a・461bに対向する部分(図26の(b)において二点鎖線で囲まれた部分)には、複数の溝486・486・・・、複数の溝487・487・・・、複数の溝488・488・・・および複数の溝489・489・・・が形成される。
複数の溝486・486・・・は、外板22aの中心位置を中心とする円の円周上に所定の間隔を開けて配置される。複数の溝486・486・・・は互いに独立している(隣り合う溝486・486は繋がっていない)。
複数の溝487・487・・・は、外板22aの中心位置を中心とするとともに複数の溝486・486・・・に対応する円よりも大きい直径を有する円の円周上に所定の間隔を開けて配置される。複数の溝487・487・・・は互いに独立している。
複数の溝488・488・・・は、外板22aの中心位置を中心とするとともに複数の溝487・487・・・に対応する円よりも大きい直径を有する円の円周上に所定の間隔を開けて配置される。複数の溝488・488・・・は互いに独立している。
複数の溝489・489・・・は、外板22aの中心位置を中心とするとともに複数の溝488・488・・・に対応する円よりも大きい直径を有する円の円周上に所定の間隔を開けて配置される。複数の溝489・489・・・は互いに独立している。
図26の(c)に示す外板22aの外側の板面において永久磁石461a・461bに対向する部分(図26の(c)において二点鎖線で囲まれた部分)には、二つの溝490・491が形成される。
二つの溝490・491は左右に延びた形状の溝であり、外板22aの中心位置を挟んで所定の間隔を開けて配置される。
図26の(d)に示す外板22aの外側の板面において永久磁石461a・461bに対向する部分(図26の(d)において二点鎖線で囲まれた部分)には、抵抗溝481が形成される。
図26の(e)に示す外板22aの外側の板面において永久磁石461a・461bに対向する部分(図26の(e)において二点鎖線で囲まれた部分)には、抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485が形成される。
図26の(e)に示す抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485は図20から図25までに示す溶解炉400(本発明に係る溶解装置の第四実施形態)に対応するものである。
図26の(a)、(b)および(c)は「比較例(本発明の実施の一形態ではないもの)」に相当する。図26の(d)および(e)は「本発明の実施の一形態」に該当する。
図20から図25までに示す溶解炉400における投入槽20の外板22aを図26の(a)から(e)までに示す外板22aに順に交換し、それぞれについてアルミニウム切削屑2を溶解しているときの外板22aの温度を測定した。
より詳細には、図26の(a)および(e)に示す外板22aの中心位置から永久磁石461a・461bに対向する部分の上端部まで計五箇所(図26の(a)および(e)における(i)〜(v)参照)に温度センサ(熱電対)を設置することにより各外板22aの温度を測定した。
また、図26の(b)、(c)および(d)に示す外板22aの中心位置(図26の(b)、(c)および(d)における(i)参照)に温度センサ(熱電対)を設置することにより各外板22aの温度を測定した。
図27は図26の(a)から(e)までの外板22aの中心位置の上昇温度を示す。ここで、「外板22aの中心位置の上昇温度」は、測定開始時(永久磁石461a・461bが配置された支持部材462の回転が開始された時点)における外板22aの中心位置の温度の測定値(T1)と、温度飽和時(外板22aの温度が一定となった時点)における外板22aの中心位置の温度の測定値(T2)と、の差(=T2−T1)を指す。
図27に示す如く、本発明の実施の一形態に相当する図26の(d)および(e)における外板22aの中心位置の上昇温度は、比較例に相当する図26の(a)、(b)および(c)における外板22aの中心位置の上昇温度よりも小さい。
従って、抵抗溝481、並びに、抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485を組み合わせたもの、は外板22aの中心位置の温度上昇を軽減することに寄与することが分かる。
図27に示す如く、図26の(b)における外板22aの中心位置の上昇温度は図26の(a)における外板22aの中心位置の上昇温度よりも若干小さい。
従って、抵抗溝481とは異なる態様の溝(抵抗帯)であっても外板22aの中心位置の温度上昇を若干は軽減することが可能であることが分かる。
しかし、図26の(c)における外板22aの中心位置の上昇温度は図26の(a)における外板22aの中心位置の上昇温度よりもかなり大きい。
溝490・491は、実質的には抵抗溝481のうち外板22aの中心位置に対応する部分の溝を省略したもの(抵抗溝481をその中途部で二つに分割したもの)に相当する。
溝490・491の場合、外板22aの中心位置に向かって真っすぐに流れてくる誘導電流だけでなく当該誘導電流とは離れた位置を流れていた誘導電流も溝490・491に沿って方向を変えることにより外板22aの中心位置に到達し、溝490・491の間を通過して外板22aの外側の板面において溝490・491で区画される二つの部分のうち反対側の部分に流れてしまうので、外板22aの中心位置を流れる誘導電流(の電流値)が却って大きくなる。
図26の(a)、(c)および(d)における外板22aの中心位置の上昇温度を比較することにより、抵抗溝481の中途部が外板22aの中心位置に配置されていること、および抵抗溝481が途中で切れていないこと(分割されていないこと)が外板22aの中心位置の温度上昇を軽減する上で有効であることが分かる。
図27に示す如く、図26の(e)における外板22aの中心位置の上昇温度は図26の(d)における外板22aの中心位置の上昇温度よりもさらに小さい。
従って、抵抗溝481と副抵抗溝482・483・484・485とを組み合わせることは外板22aの中心位置の温度上昇を軽減する上で有効であることが分かる。
図28は図26の(a)および(e)のそれぞれについての(i)〜(v)における外板22aの上昇温度を示す。
図28に示す如く、図26の(a)に対応する外板22aの場合、外板22aの中心位置(i)の上昇温度が大きく、外板22aの中心位置(i)から離れるほど上昇温度が小さくなる。
一方、図26の(e)に対応する外板22aの場合、(i)〜(v)の上昇温度はいずれもほぼ同じである。
従って、抵抗溝481と副抵抗溝482・483・484・485とを組み合わせることにより外板22aの中心位置に誘導電流が集中することが防止され、ひいては外板22aの中心位置の温度上昇が抑えられることが分かる。
また、図28に示す如く、図26の(e)に対応する外板22aの上昇温度は、全体的に図26の(a)に対応する外板22aの上昇温度よりも小さい。
従って、抵抗溝481と副抵抗溝482・483・484・485とを組み合わせることにより誘導電流が抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485により区画された部分毎に誘起され、各誘導電流(の電流値)が小さくなることが分かる。
図29は図26の(a)および(e)の(i)における外板22aの温度の上昇幅を示す。
ここで、「外板22aの温度の上昇幅」は、測定開始時における外板22aの中心位置の温度(T3)と、経過時間における外板22aの中心位置の温度(T4)と、の差(=T4−T3)を指す。
図29に示す如く、図26の(e)の(i)における外板22aの温度の上昇幅は図26の(a)の(i)における外板22aの温度の上昇幅よりも小さい。
また、図26の(e)の(i)における外板22aの温度の上昇幅が一定になるまでに要する時間は、図26の(a)の(i)における外板22aの温度の上昇幅が一定になるまでに要する時間よりも短い。
図30は、図26の(a)に対応する外板22aを具備する溶解炉400におけるモータ463の回転駆動時の消費電力と図26の(e)に対応する外板22aを具備する溶解炉400におけるモータ463の回転駆動時の消費電力とを比較したものである。
なお、図26の(a)および(e)に対応する外板22aを具備する溶解炉400におけるモータ463の回転速度(回転数)は同じである。
図30に示す如く、図26の(e)に対応する外板22aを具備する溶解炉400におけるモータ463の回転駆動時の消費電力は、図26の(a)に対応する外板22aを具備する溶解炉400におけるモータ463の回転駆動時の消費電力に比べて三割程度小さい。
モータ463の回転駆動時の消費電力の一部は外板22aに誘導電流を誘起するエネルギーとして用いられるので、図26の(e)における外板22aに誘起される誘導電流(の電流値)が図26の(a)における外板22aに誘起される誘導電流(の電流値)よりも小さくなることにより、図26の(e)に対応する外板22aを具備する溶解炉400におけるモータ463の回転駆動時の消費電力が小さくなったものと考えられる。
以上の如く、溶解炉400は、
金属材料で構成される外板22aおよび外板22aの内側の板面を覆う耐火材22bを備える投入槽20と、
投入槽20の外板22aの外部に配置され、外板22aに沿って移動する磁界を投入槽20の内部に発生することにより投入槽20に貯留された溶湯3を撹拌する移動磁界発生装置460と、
を具備し、
投入槽20に貯留された溶湯3にアルミニウム切削屑2を投入することによりアルミニウム切削屑2を溶解する装置であって、
移動磁界発生装置460は、
投入槽20の外板22aに対向する永久磁石461a・461bと、
永久磁石461a・461bを支持する支持部材462と、
支持部材462を外板22aの外側の板面に垂直な回転軸463aを中心として回転駆動するモータ463と、
を備え、
投入槽20の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分には、投入槽20の外板22aを構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有する抵抗溝481が形成され、
抵抗溝481の中途部は投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に配置され、
抵抗溝481の両端部は投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置から離れた位置(本実施形態では、投入槽20の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分の左端部および右端部)に配置される。
また、永久磁石461aのN極および永久磁石461bのS極は、
回転軸463aの軸線方向から見て、回転軸463aを中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される。
このように構成することにより、外板22aに誘起される誘導電流Cが投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に集中することを防止し、ひいては投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置の温度上昇を軽減することが可能である。
また、投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置の温度上昇が抑えられる分だけモータ463の回転速度を上昇させることが可能であり、ひいてはアルミニウム切削屑2の溶解効率(単位時間当たりに溶解可能なアルミニウム切削屑2の重量)を大きくする事が可能である。
さらに、投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置の温度上昇を軽減することにより、外板22aの変形が防止されること、外板22aの変形を防止するために必要な外板22aの冷却設備等が不要になること(特開2008−164249号公報参照)、といった利点をも有する。
さらにまた、外板22aに誘起される誘導電流Cを小さくすることが可能であり、ひいては溶湯3を撹拌するために要するエネルギー(本実施形態では、モータ463の消費電力)を小さくすることが可能である。また、当該エネルギーを小さくすることにより、アルミニウム切削屑2の溶解にかかるコストを削減することが可能である。
また、溶解炉400は、
投入槽20の外板22aに形成された溝である抵抗溝481を抵抗帯として採用している。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、投入槽20の外板22aに切削加工を施すことにより容易に抵抗溝481を形成することが可能であり、既存の溶解装置等への適用が容易である。
また、抵抗溝481の内部は実質的に空洞であるため、外板22aが温度上昇により膨張したときの歪みを抵抗溝481において緩衝することが可能であり、外板22aの変形を防止することが可能である。
また、溶解炉400の投入槽20の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分には、投入槽20の外板22aを構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するとともに抵抗溝481から分離して配置された副抵抗溝482・483・484・485が形成される。
このように構成することにより、外板22aに誘起される誘導電流Cをより小さくし、投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に集中することを防止することが可能である。
また、溶解炉400は、
投入槽20の外板22aに形成された溝である副抵抗溝482・483・484・485を副抵抗帯として採用している。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、投入槽20の外板22aに切削加工を施すことにより容易に副抵抗溝482・483・484・485を形成することが可能であり、既存の溶解装置等への適用が容易である。
また、副抵抗溝482・483・484・485の内部は実質的に空洞であるため、外板22aが温度上昇により膨張したときの歪みを副抵抗溝482・483・484・485において緩衝することが可能であり、外板22aの変形を防止することが可能である。
以上の如く、溶解炉400を用いたアルミニウム切削屑2の溶解方法は、
金属材料で構成される外板22aおよび外板22aの内側の板面を覆う耐火材22bを備える投入槽20と、投入槽20の外板22aの外部に配置されるとともに外板22aに沿って移動する磁界を投入槽20の内部に発生することにより投入槽20に貯留された溶湯3を撹拌する移動磁界発生装置460と、を具備し、投入槽20に貯留された溶湯3にアルミニウム切削屑2を投入することによりアルミニウム切削屑2を溶解する溶解炉400を用いた溶解方法であって、
移動磁界発生装置460は、
投入槽20の外板22aに対向する永久磁石461a・461bと、
永久磁石461a・461bを支持する支持部材462と、
支持部材462を外板22aの外側の板面に垂直な回転軸463aを中心として回転駆動するモータ463と、
を備え、
投入槽20の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分に投入槽20の外板22aを構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有する抵抗溝481を形成し、
抵抗溝481の中途部を投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に配置し、
抵抗溝481の両端部を投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置から離れた位置(本実施形態では、投入槽20の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分の左端部および右端部)に配置し、
また、永久磁石461aのN極および永久磁石461bのS極は、
回転軸463aの軸線方向から見て、回転軸463aを中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される。
このように構成することにより、外板22aに誘起される誘導電流Cが投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に集中することを防止し、ひいては投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置の温度上昇を軽減することが可能である。
また、投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置の温度上昇が抑えられる分だけモータ463の回転速度を上昇させることが可能であり、ひいてはアルミニウム切削屑2の溶解効率(単位時間当たりに溶解可能なアルミニウム切削屑2の重量)を大きくする事が可能である。
さらに、投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置の温度上昇を軽減することにより、外板22aの変形が防止されること、外板22aの変形を防止するために必要な外板22aの冷却設備等が不要になること(特開2008−164249号公報参照)、といった利点をも有する。
さらにまた、外板22aに誘起される誘導電流Cを小さくすることが可能であり、ひいては溶湯3を撹拌するために要するエネルギー(本実施形態では、モータ463の消費電力)を小さくすることが可能である。また、当該エネルギーを小さくすることにより、アルミニウム切削屑2の溶解にかかるコストを削減することが可能である。
また、溶解炉400を用いたアルミニウム切削屑2の溶解方法は、
投入槽20の外板22aに形成された溝である抵抗溝481を抵抗帯として採用している。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、投入槽20の外板22aに切削加工を施すことにより容易に抵抗溝481を形成することが可能であり、既存の溶解装置等への適用が容易である。
また、抵抗溝481の内部は実質的に空洞であるため、外板22aが温度上昇により膨張したときの歪みを抵抗溝481において緩衝することが可能であり、外板22aの変形を防止することが可能である。
また、溶解炉400の投入槽20の外板22aにおいて永久磁石461a・461bに対向する部分には、投入槽20の外板22aを構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するとともに抵抗溝481から分離して配置された副抵抗溝482・483・484・485が形成される。
このように構成することにより、外板22aに誘起される誘導電流Cをより小さくし、投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に集中することを防止することが可能である。
また、溶解炉400を用いたアルミニウム切削屑2の溶解方法は、
投入槽20の外板22aに形成された溝である副抵抗溝482・483・484・485を副抵抗帯として採用している。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、投入槽20の外板22aに切削加工を施すことにより容易に副抵抗溝482・483・484・485を形成することが可能であり、既存の溶解装置等への適用が容易である。
また、副抵抗溝482・483・484・485の内部は実質的に空洞であるため、外板22aが温度上昇により膨張したときの歪みを副抵抗溝482・483・484・485において緩衝することが可能であり、外板22aの変形を防止することが可能である。
本実施形態では投入槽20の外板22aに抵抗帯および副抵抗帯として抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485を形成したが、これらの溝の幅、長さ、数等については、(1)構造体としての外板22aの強度、(2)これらの溝の施工性(形成のし易さ)、(3)撹拌性能(投入槽20の外板22aの内側への磁場の透過性)等を考慮した上で適宜変更することが可能である。
本実施形態では抵抗帯および副抵抗帯として投入槽20の外板22aに抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485を形成したが、本発明に係る抵抗帯および副抵抗帯はこれに限定されるものではない。
本発明に係る抵抗帯および副抵抗帯の別の実施形態としては、外板の所定の部分に熱処理(例えば、溶接)あるいは表面処理(例えば、ショットピーニング)を施してこれらの処理が施された部分とその周囲の部分との間で金属材料としての組織(結晶粒径、析出物の分布、転位密度等)を変えることによりこれらの処理が施された部分の電気抵抗をその周囲の部分よりも大きくした場合、外板の所定の部分に当該外板を構成する金属材料よりも電気抵抗が大きい異種材料(金属、非金属を含む)を埋め込んだ場合、外板の厚さを部位毎に変更することにより部位毎の電気抵抗を変えた場合、等が挙げられる。
本実施形態の抵抗溝481は外板22aの中心位置を通って左右に伸びた形状を有するが、本発明に係る抵抗帯の形状はこれに限定されない。
例えば、図31の(a)に示す抵抗溝492の如く、外板22aの中心位置(支持部材462の回転中心(回転軸463a)に対向する位置)を通って上下に延びた形状でもよい。
また、図31の(b)に示す抵抗溝493の如く、外板22aの中心位置において屈曲した形状でも良い。
また、図31の(c)に示す抵抗溝494の如く、外板22aの中心位置を通り、かつ外板22aの中心位置とは異なる位置で屈曲した形状でも良い。
また、図31の(d)に示す抵抗溝495の如く、外板22aの中心位置を中心として異なる三方向に延びた形状でも良い。
また、図31の(e)に示す抵抗溝496の如く、外板22aの中心位置を中心として異なる四方向に延びた形状(あるいは、二本の溝が外板22aの中心位置において交差した形状)でも良い。
また、図31の(f)に示す抵抗溝497の如く、外板22aの中心位置を中心として異なる六方向に延びた形状(あるいは、三本の溝が外板22aの中心位置において交差した形状)でも良い。
図31の(a)〜(f)に示す溝(抵抗溝493・494・495・496・497)は、溝の中途部が投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置に配置されること、および、溝の端部が投入槽20の外板22aにおいて回転軸463aに対向する位置から離れた位置に配置されること、という条件を満たす。
図32に示す如く、外板22aに補強用リブ22c・22c・・・を形成しても良い。
このように構成することにより、外板22aに抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485を形成した場合でも、外板22aの強度を保持することが可能である。
本実施形態では二つの永久磁石461a・461bが支持部材462に支持されるが、本発明の永久磁石の個数および配置はこれに限定されない。
例えば、図33の(a)に示す如く、一端部がN極に帯磁するとともに他端部がS極に帯磁した一つの永久磁石465を、回転軸463aの軸線方向から見て支持部材462の回転中心(回転軸463aに対応する部分)が永久磁石465の一端部(N極)と他端部(S極)とで挟まれるように支持部材462に固定しても良い。
この場合、永久磁石465のN極および永久磁石465のS極は、回転軸463aの軸線方向(本実施形態では、前後方向)から見て、回転軸463aを中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される。
また、図33の(b)に示す如く、永久磁石466a・466b・466c・466dを外板22aに対向する支持部材462の盤面の中心から等距離となるとともに90°ずつ位相がずれた位置に固定しても良い。
ここで、永久磁石466aの前面はN極に帯磁し、永久磁石466aの後面はS極に帯磁している。永久磁石466bの前面はN極に帯磁し、永久磁石466bの後面はS極に帯磁している。永久磁石466cの前面はS極に帯磁し、永久磁石466cの後面はN極に帯磁している。永久磁石466dの前面はS極に帯磁し、永久磁石466dの後面はN極に帯磁している。
従って、永久磁石466aのN極および永久磁石466cのS極は、回転軸463aの軸線方向から見て、回転軸463aを中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される。
また、永久磁石466bのN極および永久磁石466dのS極は、回転軸463aの軸線方向から見て、回転軸463aを中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される。
図33の(a)および(b)に示す場合、支持部材462に対向する外板22aには右ネジの法則に基づいて外板22aの中心位置を通る誘導電流が誘起される。
本実施形態では移動磁界発生装置460に対向する後側の外板22aに抵抗溝481および副抵抗溝482・483・484・485を形成したが、移動磁界発生装置470に対向する構造体11の下面を成す板状の部材に同様の抵抗溝(抵抗帯)および副抵抗溝(副抵抗帯)を形成しても良い。
この場合、移動磁界発生装置470の永久磁石471a・471bの回転に起因して構造体11の下面を成す板状の部材に発生する誘導電流が回転軸473aに対向する位置に集中することが防止され、ひいては構造体11の下面を成す板状の部材において回転軸473aに対向する位置の温度上昇を抑えることが可能である。
本実施形態の移動磁界発生装置460・470は移動する磁界を永久磁石により発生させる装置であるが、電磁式の移動磁界発生装置であっても、所定の中心点を中心として磁界が円弧状に移動し、かつ当該中心点を挟んで逆の極性が表れるような場合には、本実施形態の如き抵抗溝および副抵抗帯を電磁式の移動磁界発生装置に対向する外板に形成することにより、当該外板に誘起される誘導電流が当該外板において当該中心点に対向する位置に集中することを防止することが可能である。
特開平7−126766号公報および実開平7−28957号公報には金属製の坩堝に収容された被溶解物を当該坩堝の外周面に巻回された高周波誘導コイルに高周波の交流電流を流すことにより溶解する装置が開示され、坩堝に複数の縦方向のスリットを形成することにより坩堝に発生する渦電流を抑制する旨が開示されるが、本発明とは大きく異なる。
本発明は外板に垂直な軸を中心として回転しつつ移動する磁界により誘起される誘導電流を抑制することを目的としており、誘導電流が誘起される対象物の形状および磁界の発生態様、ひいては誘起される誘導電流の振る舞い(流れる向きおよびその変化の態様)も全く異なるからである。
特開平6−176916号公報には整磁板の表面に電気抵抗が大きい層を形成することにより整磁板の表面に発生する渦電流を抑制する旨が開示されているが、本発明とは大きく異なる。
本発明は誘導電流が誘起される外板に電気抵抗が高い部分(抵抗帯、副抵抗帯)と低い部分(その他の部分)とを形成し、電気抵抗が高い部分を利用して誘導電流が流れる方向を変えることにより誘導電流が局所(外板の中心位置)に集中することを防止するものであり、そのメカニズムおよび目的が異なるからである。
2 アルミニウム切削屑(被溶解物)
3 溶湯
10 本体(溶解槽の一部)
20 投入槽(溶解槽の一部)
22 側壁
150 撹拌装置(第一実施形態)
160 移動磁界発生装置(第一実施形態)

Claims (10)

  1. 金属材料で構成される外板および前記外板の内側の板面を覆う耐火材を備える溶解槽と、
    前記溶解槽の外板の外部に配置され、前記外板に沿って移動する磁界を前記溶解槽の内部に発生することにより前記溶解槽に貯留された溶湯を撹拌する移動磁界発生装置と、
    を具備し、
    前記溶解槽に貯留された溶湯に被溶解物を投入することにより前記被溶解物を溶解する溶解装置であって、
    前記移動磁界発生装置は、
    前記溶解槽の外板に対向する永久磁石と、
    前記永久磁石を支持する支持部材と、
    前記支持部材を前記外板の外側の板面に垂直な回転軸を中心として回転駆動するモータと、
    を備え、
    前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分には、前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有する抵抗帯が形成され、
    前記抵抗帯の中途部は前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置に配置され、
    前記抵抗帯の端部は前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置から離れた位置に配置される溶解装置。
  2. 前記永久磁石のN極およびS極は、
    前記回転軸の軸線方向から見て、前記回転軸を中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される請求項1に記載の溶解装置。
  3. 前記抵抗帯は、
    前記溶解槽の外板に形成された溝である請求項1または請求項2に記載の溶解装置。
  4. 前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分には、前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するとともに前記抵抗帯から分離して配置された副抵抗帯が形成される請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の溶解装置。
  5. 前記副抵抗帯は、
    前記溶解槽の外板に形成された溝である請求項4に記載の溶解装置。
  6. 金属材料で構成される外板および前記外板の内側の板面を覆う耐火材を備える溶解槽と、前記溶解槽の外板の外部に配置されるとともに前記外板に沿って移動する磁界を前記溶解槽の内部に発生することにより前記溶解槽に貯留された溶湯を撹拌する移動磁界発生装置と、を具備し、前記溶解槽に貯留された溶湯に被溶解物を投入することにより前記被溶解物を溶解する溶解装置を用いた溶解方法であって、
    前記移動磁界発生装置は、
    前記溶解槽の外板に対向する永久磁石と、
    前記永久磁石を支持する支持部材と、
    前記支持部材を前記外板の外側の板面に垂直な回転軸を中心として回転駆動するモータと、
    を備え、
    前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分に前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有する抵抗帯を形成し、
    前記抵抗帯の中途部を前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置に配置し、
    前記抵抗帯の端部を前記溶解槽の外板において前記回転軸に対向する位置から離れた位置に配置する溶解方法。
  7. 前記永久磁石のN極およびS極は、
    前記回転軸の軸線方向から見て、前記回転軸を中心として互いに180°位相がずれた位置に配置される請求項6に記載の溶解方法。
  8. 前記抵抗帯は、
    前記溶解槽の外板に形成された溝である請求項6または請求項7に記載の溶解方法。
  9. 前記溶解槽の外板において前記永久磁石に対向する部分に、前記溶解槽の外板を構成する金属材料よりも大きい電気抵抗を有するとともに前記抵抗帯から分離して配置された副抵抗帯を形成する請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の溶解方法。
  10. 前記副抵抗帯は、
    前記溶解槽の外板に形成された溝である請求項9に記載の溶解方法。
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