JP5161559B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤは、トレッド、サイドウォール、ビード、カーカス、ベルト等のような多数の部材が組み合わされて構成される。これらの部材の仕様及び組み合わせが調整されることにより、タイヤの性能向上が図られている。
このタイヤでは、ベルトはカーカスの半径方向外側に位置している。ベルトは、並列された多数のコードを含んでいる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。ベルトは、カーカスを補強する。
操縦性を低下させることなく、乗り心地及び高速耐久性に優れるタイヤが、特開平4−365603号公報に開示されている。このタイヤのベルトは、内側層と外側層とを備えている。この内側層は、外側層の端で半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この内側層の折返しにより、外側層の端がこの内側層で包み込まれている。このような構造は、フォールド構造と称される。この包み込みは、ベルトの端の動きを拘束しつつ、タイヤの横剛性に寄与しうる。
特開平4−365603号公報
操縦安定性の観点から、レーシングカーのように高出力なエンジンを搭載する車両に装着されうるタイヤに、上記フォールド構造の採用が検討されている。
前述したように、フォールド構造のベルトでは、内側層が外側層の端で半径方向内側から外側に向かって折り返される。この折り返された内側層は、外側層の半径方向外側に積層される。このベルトを備えたタイヤでは、ベルトのトレッドの側に段差が形成される。このタイヤでは、この折り返された内側層が位置する部分の、トレッドの厚みが、それ以外の部分の厚みに比べて薄い。このタイヤでは、トレッドの厚みが一様でないので、偏摩耗の発生が懸念される。この段差は、タイヤの耐久性に影響を与える。
外側層が内側層の端で半径方向外側から内側に向かって折り返されることにより、フォールド構造が構成されたタイヤがある。このタイヤでは、ベルトのトレッドの側に段差は形成されない。このタイヤでは、トレッドの厚みが一様である。このタイヤでは、偏摩耗の発生が抑制されうる。ところで、前述したように、タイヤは、様々な部材が積層されて形成される。外側層を内側層の端で半径方向外側から内側に向かって折り返してベルトを構成しつつ、タイヤを成形することは容易ではない。このようなフォールド構造は、タイヤの生産性に影響を与える。
本発明の目的は、生産性及び操縦安定性に優れる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、一対のビードと、両ビードに架け渡されたカーカスと、このカーカスの半径方向外側に位置するベルトとを備えている。このベルトは、内側層と、この内側層の半径方向外側に積層される外側層と、軸方向に離間して配置される一対の屈曲層とを備えている。この屈曲層は、内側層の端で折り返されている。この屈曲層は、内側層とカーカスとの間に位置する主部と、内側層の半径方向外側に積層される折返し部とを備えている。この折返し部は、この外側層の軸方向外側に位置している。
好ましくは、このタイヤでは、上記ベルトの端から上記主部の端までの軸方向距離は、15mm以上60mm以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記トレッドの、上記外側層と上記折返し部との境界位置における、上記トレッドの厚みは、10mm以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記内側層は、周方向に対して傾斜する第一コードを含んでいる。上記外側層は、周方向に対して傾斜する第二コードを含んでいる。上記屈曲層は、周方向に対して傾斜する第三コードを含んでいる。この第一コードの傾斜方向は、この屈曲層を構成する上記主部に含まれる第三コードの傾斜方向と同じである。この第二コードの傾斜方向は、この屈曲層を構成する上記折返し部に含まれる第三コードの傾斜方向と同じである。
好ましくは、このタイヤでは、上記第二コードの傾斜角度は、上記折返し部に含まれる上記第三コードの傾斜角度よりも大きい。この第二コードの傾斜角度とこの第三コードの傾斜角度との差は、3°以上である。
好ましくは、このタイヤでは、上記折返し部に含まれる上記第三コードの傾斜角度が、上記第二コードの傾斜角度よりも大きい。この第三コードの傾斜角度とこの第二コードの傾斜角度との差は、3°以上である。
このタイヤでは、ベルトが内側層の端を包み込む屈曲層を備えている。この屈曲層は、この内側層の端を拘束しつつ、タイヤの横剛性に寄与しうる。このタイヤは、操縦安定性に優れる。この屈曲層の折返しにより形成される折返し部が、外側層の軸方向外側に位置するので、このベルトにこの折返しによる段差は形成されない。このタイヤでは、トレッドは一様な厚みを有するので、偏摩耗の発生が抑制されうる。このタイヤは、耐久性に優れる。このタイヤでは、この屈曲層で内側層の端を包み込んだ後に外側層が内側層に積層されてベルトが形成される。このベルトの形成は、容易である。この屈曲層は、フォールド構造を有するタイヤの生産性向上に寄与しうる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ2の一部が示された断面図である。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14及びチェーファー16を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。
トレッド4は、架橋ゴムからなる。トレッド4は、トレッド面18を備えている。このトレッド面18は、路面と接地する。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア20と、このコア20から半径方向外向きに延びるエイペックス22とを備えている。コア20は、リング状である。コア20は、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス22は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス22は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、第一カーカスプライ24及び第二カーカスプライ26からなる。第一カーカスプライ24及び第二カーカスプライ26は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。第一カーカスプライ24及び第二カーカスプライ26は、ビード8のコア20の周りを軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、第一カーカスプライ24及び第二カーカスプライ26は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は50°から80°である。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカス10が採用されてもよい。
図2は、図1のタイヤ2の一部が示された拡大断面図である。この図2には、タイヤ2のトレッド4の端の近傍部分(ショルダー領域)が示されている。ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト12は、トレッド4とカーカス10との間に位置している。ベルト12は、内側層28、外側層30及び一対の屈曲層32からなる。
内側層28は、カーカス10の半径方向外側に位置している。内側層28は、カーカス10に積層されている。内側層28の端34は、トレッド4の端の近傍に位置している。図示されていないが、内側層28は並列された多数の第一コードとトッピングゴムとからなる。各第一コードは、周方向に対して傾斜している。この第一コードが周方向に対してなす角度(以下、傾斜角度)の絶対値は、15°以上30°以下である。第一コードは、好ましくはアラミド繊維からなる。この第一コードに、アラミド繊維以外の有機繊維が用いられてもよい。この第一コードの材質が、スチールとされてもよい。
外側層30は、内側層28の半径方向外側に位置している。外側層30は、内側層28に積層されている。外側層30の端36は、トレッド4の端の近傍に位置している。図示されているように、外側層30の端36は、内側層28の端34の軸方向内側に位置している。このタイヤ2では、外側層30の軸方向幅は内側層28の軸方向幅よりも小さい。図示されていないが、外側層30は並列された多数の第二コードとトッピングゴムとからなる。各第二コードは、周方向に対して傾斜している。このタイヤ2では、この第二コードの傾斜方向は上記第一コードの傾斜方向とは逆である。この第二コードの傾斜角度の絶対値は15°以上30°以下である。第二コードは、好ましくはアラミド繊維からなる。この第二コードに、アラミド繊維以外の有機繊維が用いられてもよい。この第二コードの材質が、スチールとされてもよい。
屈曲層32は、ショルダー領域に位置している。左右の屈曲層32は、軸方向に離間して配置されている。図示されていないが、屈曲層32は並列された多数の第三コードとトッピングゴムとからなる。各第三コードは、周方向に対して傾斜している。この第三コードの傾斜角度の絶対値は15°以上30°以下である。第三コードは、好ましくはアラミド繊維からなる。この第三コードに、アラミド繊維以外の有機繊維が用いられてもよい。この第三コードの材質が、スチールとされてもよい。
図示されているように、屈曲層32は内側層28の端34で折り返されている。屈曲層32は、内側層28の端34を包む。この折返しにより、屈曲層32には、内側層28とカーカス10との間に位置する主部38と、内側層28の半径方向外側に位置する折返し部40とが形成されている。換言すれば、屈曲層32は、主部38と折返し部40とを備えている。主部38は、内側層28の端34の部分から軸方向内側に向かって延在している。主部38は、内側層28の半径方向内側に積層されている。この主部38は、カーカス10に積層されている。このタイヤ2では、主部38の端42は外側層30の端36の軸方向内側に位置している。この主部38の端42が、この外側層30の端36の軸方向外側に位置してもよい。この主部38の端42は、屈曲層32の一端である。折返し部40は、内側層28の端34の部分から軸方向内側に向かって延在している。折返し部40は、内側層28の半径方向外側に積層されている。この折返し部40は、トレッド4の内側に位置している。この折返し部40は、外側層30の軸方向外側に位置している。折返し部40の端44は、屈曲層32の他端である。
このタイヤ2は、次のようにして製造される。まず、第一コード及びトッピングゴムを含んだ内側層28、第二コード及びトッピングゴムを含んだ外側層30及び第三コード及びトッピングゴムを含んだ2の屈曲層32が形成される。次に、左右のショルダー領域に相当する位置に、屈曲層32がそれぞれ配置される。次に、内側層28が、両屈曲層32を架け渡すように配置される。このとき、内側層28の端34の部分が屈曲層32に積層される。次に、屈曲層32の他端44の側が上方に持ち上げられて、この屈曲層32が内側層28の端34で折り返される。この折返しにより、内側層28の内側に位置する主部38と、この内側層28の外側に位置する折返し部40とが形成される。次に、外側層30が、内側層28に積層される。この外側層30は、左右の折返し部40の間に配置される。このようにして、ベルト12が形成される。このベルト12が、トレッド4、サイドウォール6、カーカス10等の部材とアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ2とも称される)が得られる。このようにしてローカバーが得られる工程は、成形工程と称される。
次に、ローカバーは加硫工程に供される。加硫工程では、まずこのローカバーが、開かれたモールドに投入される。投入のとき、ブラダーは収縮している。投入により、ブラダーはローカバーの内側に位置する。次に、ガスの充填によりブラダーが膨張する。この膨張により、ローカバーは変形する。この変形は、シェーピングと称されている。次に、モールドが締められる。次に、ブラダーの内圧が高められる。ローカバーは、モールドのキャビティ面とブラダーの外面とに挟まれて、加圧される。ローカバーは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、外側層30は左右の折返し部40の間に位置している。この外側層30の端36の軸方向外側に、折返し部40の端44が位置している。図示されているように、このタイヤ2では、外側層30の外面46と折返し部40の外面48とで構成されるベルト12の外面に段差は形成されない。このタイヤ2では、トレッド4は一様な厚みを有する。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、屈曲層32は内側層28の端34を包み込んでいる。この屈曲層32は、この内側層28の端34を拘束しつつ、タイヤ2の横剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
このタイヤ2では、屈曲層32で内側層28の端34を包み込んだ後に外側層30が内側層28に積層されてベルト12が形成される。このベルト12の形成は、容易である。この屈曲層32は、フォールド構造を有するタイヤ2の生産性向上に寄与しうる。
このタイヤ2では、主部38の端42と折返し部40の端44とは、軸方向において離間して配置されるのが好ましい。このように構成されたタイヤ2では、特異な剛性を有する部分の形成が抑制される。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。図示されているように、このタイヤ2では、折返し部40の端44は主部38の端42の軸方向外側に位置している。この折返し部40の端44が、主部38の端42の軸方向内側に位置してもよい。
このタイヤ2では、外側層30の端36と折返し部40の端44とは近接しているのが好ましい。この近接により、特異な剛性を有する部分の形成が抑制される。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この外側層30の端36と折返し部40の端44との間の距離は、5mm以下が好ましく、3mm以下がさらに好ましい。特に好ましくは、この距離は0mmである。
このタイヤ2では、外側層30に含まれる第二コードの傾斜方向は、折返し部40に含まれる第三コードの傾斜方向とは同じであるのが好ましい。このように構成されたタイヤ2では、外側層30と折返し部40との境界への歪みの集中が抑制される。このタイヤ2は、耐久性に優れる。前述したように、このタイヤ2では、内側層28に含まれる第一コードの傾斜方向とこの第二コードの傾斜方向とは逆であり、主部38及び折返し部40は屈曲層32の折返しにより形成されている。このタイヤ2では、第一コードの傾斜方向は、この主部38に含まれる第三コードの傾斜方向と同じである。
このタイヤ2では、外側層30に含まれる第二コードの傾斜方向と折返し部40に含まれる第三コードの傾斜方向とは、容易に調整されうる。このタイヤ2では、この調整により、生産性及び操縦安定性を損なうことなく、この生産性及び操縦安定性とは別の性能が容易に制御されうる。第二コードの傾斜角度がこの折返し部40に含まれる第三コードの傾斜角度よりも大きいタイヤ2では、グリップ性、トラクション性及び乗り心地の向上が図られうる。この観点から、この第二コードの傾斜角度とこの第三コードの傾斜角度との差は3°以上であるのが好ましい。なお、このタイヤ2では、この第三コードの傾斜角度がこの第二コードの傾斜角度よりも大きくされてもよい。この場合は、タイヤ2のセンター領域における発熱及び摩耗が抑制されうる。この場合においては、この第三コードの傾斜角度とこの第二コードの傾斜角度との差は3°以上であるのが好ましい。
図2において、点PAはベルト12の端である。両矢印線WAは、屈曲層32の主部38の軸方向幅を表している。両矢印線DAは、主部38の端42と折返し部40の端44との間の軸方向距離を表している。両矢印線DBは、内側層28の端34から折返し部40の端44までの軸方向距離を表している。両矢印線DCは、内側層28の端34から主部38の端42までの軸方向距離を表している。両矢印線TAは、外側層30と折返し部40との境界位置におけるトレッド4の厚みを表している。この厚みTAは、折返し部40の端44における外面48からトレッド面18までの長さが計測されることにより得られる。
このタイヤ2では、軸方向幅WAは15mm以上60mm以下であるのが好ましい。この幅WAが15mm以上に設定されることにより、屈曲層32が内側層28の端34を拘束しつつ、タイヤ2の横剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この幅WAは20mm以上がより好ましく、25mm以上が特に好ましい。この幅WAが60mm以下に設定されることにより、タイヤ2の質量が適切に維持されうる。この観点から、この幅WAは55mm以下がより好ましく、50mm以下が特に好ましい。
このタイヤ2では、距離DAは10mm以上であるのが好ましい。この距離DAが10mm以上に設定されることにより、特異な剛性を有する部分の形成が抑制される。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この距離DAは15mm以上がより好ましく、20mm以上が特に好ましい。なお、前述したように、このタイヤ2では、主部38の端42と折返し部40の端44とは軸方向に離間しているのが好ましいので、この距離DAの上限値は定められない。
このタイヤ2では、距離DBは10mm以上であるのが好ましい。この距離DBが10mm以上に設定されることにより、屈曲層32が内側層28の端34を拘束しつつ、タイヤ2の横剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この距離DBは15mm以上がより好ましく、20mm以上が特に好ましい。
このタイヤ2では、距離DCは10mm以上であるのが好ましい。この距離DCが10mm以上に設定されることにより、屈曲層32が内側層28の端34を拘束しつつ、タイヤ2の横剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この距離DCは15mm以上がより好ましく、20mm以上が特に好ましい。前述の主部38の軸方向幅の上限値が60mmであることから、この距離DCの上限値も60mmである。
このタイヤ2では、厚みTAは10mm以下であるのが好ましい。この厚みTAが10mm以下に設定されたタイヤ2では、屈曲層32が偏摩耗の発生を抑制しつつ生産性に寄与しうる。この観点から、この厚みTAは、7mm以下がより好ましく、5mm以下が特に好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2をリムに組み込むことなく、タイヤ2に空気が充填されていない状態で測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤサイズは、265/35R18である。このタイヤのベルトは、内側層、外側層及び屈曲層から構成される。屈曲層は、内側層の端で折り返されている。この折返しにより、内側層の半径方向内側に積層される主部と、内側層の半径方向外側に積層される折返し部とが形成されている。外側層と折返し部との境界位置におけるトレッドの厚みTAは、5mmである。折返し部の幅WAは、20mmである。主部の幅WBは、30mmである。外側層に含まれる第二コードの傾斜角度は、20°(degree)である。折返し部に含まれる第三コードの傾斜角度は、20°である。内側層に含まれる第一コードの傾斜角度は、−20°である。このタイヤでは、外側層の軸方向外側に折返し部が位置しており、この外側層の端と折返し部の端とは、継ぎ合わされている。この外側層と折返し部とは、重なり合っていない。表1において、この重なりが無い場合が「A」として示されている。
[実施例2から5]
幅WAを下記表1及び表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例6及び7]
折返し部のコードの傾斜角度及び外側層のコードの傾斜角度を下記表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例8]
厚みTAを下記表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[比較例4]
外側層に折返し部が重ねられた他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。表2中、この重なりが「B」として示されている。
[比較例1]
内側層の端で外側層が折り返されてベルトが形成された他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。このタイヤのベルトには、屈曲層は設けられていない。このベルトの端から折り返された外側層の端までの軸方向距離は、30mmである。
[比較例2から3]
外側層の端で内側層が折り返されてベルトが形成された他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。このタイヤのベルトには、屈曲層は設けられていない。このベルトの端から折り返された内側層の端までの軸方向距離は、30mmである。
[タイヤの質量評価]
試作タイヤの質量を計測して、この計測値に基づいて、評価を行った。この評価結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。この値が小さいほど、タイヤ質量が小さいことが示される。この結果が、下記表1及び表2に示されている。
[実車走行テスト]
試作タイヤを、排気量が2600ccであるレース車両に装着した。なお、このタイヤの内圧を200kPaとした。ホイールのサイズは、10J×18である。この車両で、サーキットコースを走行し、ドライバーによる操縦安定性及び乗り心地に関する官能評価も行われた。この評価結果が、比較例2を100とした指数値で下記表1及び表2に表されている。この値が大きいほど、良好であることが示される。
[摩耗性評価]
上記走行テストを終えた車両に装着されていた試作タイヤについて、有効にトレッド面が接地していた部分の摩耗量が測定されて、その最小値の最大値に対する比が計算された。この結果が、比較例2を100とした指数値で下記表1及び表2に示されている。この値が大きいほど、良好であることが示される。さらにセンター領域における摩耗の発生状況についても確認が行われ、この確認結果が比較例2を100とした指数値で下記表1及び表2に示されている。この値が大きいほど、良好であることが示される。
[生産性評価]
一本の試作タイヤを生産するのに要した時間を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記表1及び表2に示されている。この値が小さいほど、生産性に優れることが示される。
Figure 0005161559
Figure 0005161559
表1及び表2に示されるように、実施例のタイヤは、生産性及び操縦安定性に優れる上に、偏摩耗の発生が抑制されている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、種々の車両に装着されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
符号の説明
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
18・・・トレッド面
20・・・コア
22・・・エイペックス
24・・・第一カーカスプライ
26・・・第二カーカスプライ
28・・・内側層
30・・・外側層
32・・・屈曲層
38・・・主部
40・・・折返し部

Claims (7)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、一対のビードと、両ビードに架け渡されたカーカスと、このカーカスの半径方向外側に位置するベルトとを備えており、
    このベルトが、内側層と、この内側層の半径方向外側に積層される外側層と、軸方向に離間して配置される一対の屈曲層とを備えており、
    この屈曲層が、内側層の端で折り返されており、
    この屈曲層が、内側層とカーカスとの間に位置する主部と、内側層の半径方向外側に積層される折返し部とを備えており、
    この折返し部が、この外側層の軸方向外側に位置しており、
    上記ベルトの端から上記主部の端までの軸方向距離が、15mm以上60mm以下である空気入りタイヤ。
  2. 上記トレッド面には、溝が刻まれていない請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記トレッドの、上記外側層と上記折返し部との境界位置における、上記トレッドの厚みが、10mm以下である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記内側層が、周方向に対して傾斜する第一コードを含んでおり、
    上記外側層が、周方向に対して傾斜する第二コードを含んでおり、
    上記屈曲層が、周方向に対して傾斜する第三コードを含んでおり、
    この第一コードの傾斜方向が、この屈曲層を構成する上記主部に含まれる第三コードの傾斜方向と同じであり、
    この第二コードの傾斜方向が、この屈曲層を構成する上記折返し部に含まれる第三コードの傾斜方向と同じである請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 上記外側層に含まれる第二コードと上記折返し部に含まれる第三コードとが連続していない請求項4に記載のタイヤ。
  6. 上記第二コードの傾斜角度が、上記折返し部に含まれる上記第三コードの傾斜角度よりも大きく、
    この第二コードの傾斜角度とこの第三コードの傾斜角度との差が、3°以上である請求項に記載のタイヤ。
  7. 上記折返し部に含まれる上記第三コードの傾斜角度が、上記第二コードの傾斜角度よりも大きく、
    この第三コードの傾斜角度とこの第二コードの傾斜角度との差が、3°以上である請求項に記載のタイヤ。
JP2007334137A 2007-12-26 2007-12-26 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP5161559B2 (ja)

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