JP2013023122A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】グリップ性能及び耐摩耗性に優れる空気入りタイヤ14の提供。
【解決手段】このタイヤ14は、軸方向に延びておりその外面がトレッド面30をなすトレッド部16と、一対のビード20と、一方のビード20と他方のビード20との間に架け渡されたカーカス22と、それぞれがこのカーカス22の軸方向外側に位置する一対のサイドウォール18とを備える。半径方向において、このトレッド部16はこのカーカス22の外側に位置している。それぞれのサイドウォール18は、このトレッド部16の端よりも軸方向内側において、このトレッド部16からこのカーカス22に沿って半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール18とこのトレッド部16とにより、軸方向において内側に延在する凹み32が形成されている。上記トレッド部16の幅の、このタイヤ14の最大幅に対する比率は、94%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤは、多数の部材が組み合わされて構成される。これら部材の組み合わせ、各部材の特性等の調整により、タイヤ性能がコントロールされる。
エイペックスの内側にカーカスに沿って延在する、2つの補強層が設けられることがある。これら補強層は、タイヤのグリップ性能に寄与しうる。このタイヤの一例が、特開2008−105515公報に開示されている。
タイヤのカーカスは、多数の並列されたコードを含むプライを用いて構成される。操縦安定性、耐久性及び乗り心地の観点から、このコードの仕様が検討されることがある。この検討の一例が、特開2009−149187公報に開示されている。
レーシングカーに装着されるタイヤには、フォールド構造を有するベルトが採用されることがある。ベルトの端の動きが拘束されるので、このタイヤは耐久性に優れる。このようなベルトを有するタイヤの例が、特開2009−154664公報、特開2009−298236公報及び特開2010−030460公報に開示されている。
高速耐久性の観点から、ジョイントレス構造を有するバンドが設けられることがある。このバンドには、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれたコードが含まれている。このコードの中間伸度は、トレッドの剛性に影響する。この中間伸度を調整しロードノイズの低減及び高速耐久性の向上について検討されたタイヤが、特開2005−075037公報に開示されている。このバンドの断面におけるコードの断面密度も、トレッドの剛性に影響する。この断面密度を調整し高速走行性能の向上について検討されたタイヤが、特開平11−291713号公報に開示されている。
タイヤにおいて、その断面におけるカーカスのラインは重要である。サイドウォールの部分におけるカーカスのラインが単一の円弧で表されるように、タイヤは設計される。これにより、特異な部分の形成が防止されている。
通常、タイヤのトレッド幅のタイヤ最大幅に対する比率は91%である。この比率の範囲内においては、グリップ性能及び耐摩耗性能の更なる向上を果たすには限界がある。
トレッドをカーカスに沿って延伸させると、トレッド幅は拡大する。このタイヤのキャンバー量は大きい。このタイヤでは、トレッド幅を拡大したにも関わらず、トレッド面が十分に接地しない。このタイヤでは、トレッド幅を拡大したことによる効果が十分に得られない。
図5に示されたタイヤ2では、トレッド4の半径方向内側に位置するベルト6とカーカス8との間にクッション10が設けられている。このクッション10は、架橋ゴムからなる。これにより、トレッド幅の拡大が達成されている。このタイヤ2のキャンバー量は小さい。このタイヤ2では、トレッド面12が十分に接地する。
特開2008−105515公報 特開2009−149187公報 特開2009−154664公報 特開2009−298236公報 特開2010−030460公報 特開2005−075037公報 特開平11−291713号公報
上記図5に示されたタイヤ2では、クッション10が存在するため、トレッド4の端におけるトレッド面12からカーカス8までの厚みは過大である。このタイヤ2では、走行中の繰り返し変形に伴い、このクッション10の部分において、熱が発生し、この熱が蓄積する。この発熱及び蓄熱は、ベルトエッジルースを招来する。このタイヤ2は耐久性に劣る。
このタイヤ2が接地すると、カーカス8のラインは、その一部が路面と略平行に延在するように変形する。このタイヤ2では、トレッド4の端における接地圧が高い。接地圧分布が一様でないため、グリップ性能が低下したり、偏摩耗が発生してしまう。
本発明の目的は、グリップ性能及び耐摩耗性に優れる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、軸方向に延びておりその外面がトレッド面をなすトレッド部と、一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれがこのカーカスの軸方向外側に位置する一対のサイドウォールとを備えている。半径方向において、このトレッド部はこのカーカスの外側に位置している。それぞれのサイドウォールは、このトレッド部の端よりも軸方向内側において、このトレッド部からこのカーカスに沿って半径方向略内向きに延びている。このサイドウォールとこのトレッド部とにより、軸方向において内側に延在する凹みが形成されている。上記トレッド部の幅の、このタイヤの最大幅に対する比率は、94%以上である。このトレッド部は、その外面が上記トレッド面をなすトレッドと、このトレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されたベルトと、このベルトとトレッドとの間に位置するバンドとを備えている。このバンドは、実質的に周方向に延びており螺旋状に巻かれたバンドコードを含んでいる。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記トレッド面の中心がP1とされ、この中心P1からの軸方向距離が上記トレッド部の幅の半分の1/3であるトレッド面上の位置がP2とされ、この中心P1からの軸方向距離がこのトレッド部の幅の半分の2/3であるトレッド面上の位置がP3とされ、このトレッド面の端がP4とされ、このトレッド部を上記サイドウォールに当接させたときにこのトレッド部の端が当接するこのサイドウォールの外面上の位置がP5とされたとき、
この中心P1におけるこのトレッド面から上記カーカスまでの厚みt1、この位置P2におけるこのトレッド面からこのカーカスまでの厚みt2、この位置P3におけるこのトレッド面からこのカーカスまでの厚みt3及び端P4におけるこのトレッド部の厚みt4と位置P5におけるサイドウォールの厚みt5との和(t4+t5)は、下記数式(1)を満たす。
t1≧t2≧t3≧(t4+t5) (1)
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ベルトは内側層及び外側層からなる。この外側層は、この内側層の半径方向外側に位置している。この内側層は、この外側層の端で半径方向において内側から外側に折り返されている。この折り返された内側層は、この外側層の半径方向外側に位置している。
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部は、大きな幅を有する。接地幅が大きいので、このタイヤではグリップ性能及び耐摩耗性の向上が達成される。軸方向において内側に延在する凹みが設けられているので、走行中の繰り返し変形に伴う発熱及び蓄熱が抑えられている。このタイヤは、耐久性に優れる。一様な接地圧分布が得られるので、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止されている。本発明によれば、耐久性を損なうことなく、偏摩耗の発生を防止しつつ、グリップ性能及び耐摩耗性の向上が達成されたタイヤが得られうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図4は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図5は、従来の空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示された空気入りタイヤ14は、トレッド部16、サイドウォール18、ビード20、カーカス22、補強部24、インナーライナー26及びチェーファー28を備えている。このタイヤ14は、チューブレスタイプである。このタイヤ14は、四輪車に装着される。このタイヤ14は、レース用である。
図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ14は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ14の赤道面を表す。
トレッド部16は、半径方向において、カーカス22の外側に位置している。トレッド部16は、軸方向に延びている。図1中、符号TEで示されているのはトレッド部16の表側の端である。このトレッド部16の裏側の端が、符号SEで示されている。このトレッド部16の外面は、トレッド面30をなしている。トレッド面30は、路面と接地する。このタイヤ14のトレッド面30には、溝が刻まれていない。このタイヤ14は、スリックタイヤである。
サイドウォール18は、軸方向においてカーカス22の外側に位置している。このサイドウォール18は、架橋ゴムからなる。サイドウォール18は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール18は、カーカス22の外傷を防止する。
このタイヤ14では、サイドウォール18は、トレッド部16の端TEよりも軸方向内側において、このトレッド部16からカーカス22に沿って半径方向略内向きに延びている。これにより、このタイヤ14の側面には軸方向内向きに延在する凹み32が設けられている。
ビード20は、サイドウォール18よりも半径方向略内側に位置している。ビード20は、コア34と、このコア34から半径方向外向きに延びるエイペックス36とを備えている。コア34は、リング状である。コア34は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア34にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス36は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス36は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス22は、第一カーカスプライ38a及び第二カーカスプライ38bからなる。第一カーカスプライ38a及び第二カーカスプライ38bは、両側のビード20の間に架け渡されており、トレッド部16及びサイドウォール18の内側に沿っている。第一カーカスプライ38a及び第二カーカスプライ38bは、コア34の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、第一カーカスプライ38a及び第二カーカスプライ38bは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は50°から90°である。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
補強部24は、ビード20とカーカス22との間に位置している。このタイヤ14の補強部24は、第一補強層40a及び第二補強層40bからなる。第一補強層40a及び第二補強層40bは、コア34の周りを軸方向内側から外側に向かって折り返されている。図示されていないが、第一補強層40a及び第二補強層40bは並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、アラミド繊維からなる。この第一補強層40a及び第二補強層40bは、アラミドフィラーとも称される。このタイヤ14では、第一補強層40a及び第二補強層40bは、タイヤ14の耐久性に寄与する。
このタイヤ14では、トレッド部16はトレッド42、ベルト44、バンド46及び一対の保護層48を備えている。トレッド42は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド42は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。このトレッド42の外面が、前述のトレッド面30である。言い換えれば、このトレッド42の外面はトレッド面30をなしている。このトレッド部16の端TEは、トレッド面30の端でもある。
ベルト44は、半径方向においてトレッド42の内側に位置している。ベルト44は、カーカス22と積層されている。ベルト44は、カーカス22を補強する。図1中、符号DBで示されているのは、凹み32の底である。このベルト44の端50は、軸方向において、この凹み32の底DBより外側に位置している。
このタイヤ14では、ベルト44は内側層52a及び外側層52bからなる。内側層52aは、半径方向においてカーカス22の外側に位置している。内側層52aは、カーカス22と積層されている。外側層52bは、半径方向において内側層52aの外側に位置している。外側層52bは、内側層52aと積層されている。このタイヤ14では、内側層52aは折り返されていない。このベルト44の構造は、CUT構造とも称される。
図示されていないが、内側層52a及び外側層52bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層52aのコードの傾斜方向は、外側層52bのコードの傾斜方向とは逆である。このタイヤ14では、ベルト44に用いられるコードとしては、その材質がスチールとされたコード(以下、スチールコード)及び有機繊維からなるコードが例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。補強性の観点から、このコードとしては、スチールコード及びアラミド繊維からなるコードが好ましい。ベルト44がカーカス22を効果的に補強しうるという観点から、内側層52aにアラミド繊維からなるコードを用い、外側層52bにスチールコードを用いるのがより好ましい。
バンド46は、ベルト44とトレッド42との間に位置している。バンド46は、赤道面からトレッド部16の端TEに向かって軸方向外向きに延在している。バンド46の端54は、この端TEの近傍に位置している。軸方向において、このバンド46の端54の位置はベルト44の端50の位置と一致している。このバンド46は、ベルト44全体を覆っている。このバンド46は、フルバンドとも称される。このタイヤ14では、このバンド46が、軸方向において離間して配置された、一対のエッジバンドで構成されてもよい。この場合、各エッジバンドが、それぞれのベルト44の端50の部分を覆う。このバンド46が、フルバンドと一対のエッジバンドとの組み合わせで構成されてもよい。この場合、各エッジバンドは、半径方向においてフルバンドの外側に配置され、このフルバンドと積層される。
図示されていないが、バンド46はコードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンド46は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト44が拘束されるので、ベルト44のリフティングが抑制される。
このタイヤ14では、バンド46のコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は5°以下、特には2°以下である。本発明では、赤道面に対してなす角度の絶対値が5.0°以下である方向は、「実質的な周方向」とされる。
このタイヤ14では、バンド46に用いられるコードとしては、スチールコード及び有機繊維からなるコードが例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。リフティングの抑制の観点から、このコードとしては、スチールコード及びアラミド繊維からなるコードが好ましい。補強性及び軽量化の観点から、このコードとしてはアラミド繊維からなるコードがより好ましい。
このタイヤ14では、それぞれの保護層48は架橋されたゴム組成物からなる。この保護層48には、サイドウォール18と同じゴム組成物が用いられている。この保護層48が、サイドウォール18とは異なるゴム組成物から構成されてもよい。
保護層48は、半径方向においてベルト44の内側に位置している。この保護層48は、凹み32の底DBから軸方向外向きに延在している。図示されているように、ベルト44の端50の部分はこの保護層48と積層されている。
前述したように、ベルト44は並列された多数のコードを含む。このタイヤ14では、保護層48はこのコードの損傷防止に寄与しうる。この観点から、この保護層48の厚みは0.5mm以上が好ましく、1.0mm以下が好ましい。
図1において、符号BEはタイヤ14の最大幅を示す位置を表している。両矢印BW/2は、タイヤ14の最大幅の半分を表している。この幅BW/2は、赤道面から位置BEまでの軸方向距離で示される。両矢印TW/2は、トレッド部16の幅の半分を表している。この幅TW/2は、赤道面からトレッド部16の端TEまでの軸方向距離で示される。
このタイヤ14では、幅TW/2の幅BW/2に対する比率、言い換えれば、トレッド部16の幅TWのタイヤ14の最大幅BWの比率は、94%以上である。このタイヤ14のトレッド部16は、大きな幅を有する。接地幅が大きいので、このタイヤ14ではグリップ性能及び耐摩耗性の向上が達成される。この観点から、この比率は、96%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。なお、この比率の上限は100%である。
このタイヤ14では、サイドウォール18とトレッド部16とにより、軸方向において内側に延在する凹み32が形成されている。このタイヤ14では、トレッド部16の端TEの部分とサイドウォール18との間に、従来タイヤ2に設けられるクッション10のようなゴム部材は設けられていない。これにより、走行中の繰り返し変形に伴う発熱及び蓄熱が抑えられている。このタイヤ14では、ベルトエッジルースは生じにくい。このタイヤ14は、耐久性に優れる。
図1において、両矢印TDは凹み32の深さを表している。この深さTDは、トレッド部16の端TEから凹み32の底DBまでの軸方向距離で示される。
このタイヤ14では、凹み32は適正な深さTDを有している。この凹み32は、発熱及び蓄熱の抑制に効果的に寄与しうる。このタイヤ14は、耐久性に優れる。この観点から、深さTDのトレッド部16の幅TWに対する比率は15%以上が好ましく、25%以下が好ましい。
このタイヤ14では、凹み32は、走行中トレッド部16に生じた熱の放散に寄与しうる。これにより、トレッド部16の発熱によるグリップ性能の低下が防止されている。このタイヤ14は、グリップ性能に優れる。
このタイヤ14が旋回状態にあるとき、このタイヤ14には軸方向に力が付与される。このため、サイドウォール18がトレッド部16の端TEの部分に接触する。これにより、この端TEの部分においても、十分な接地圧が発生する。このタイヤ14では、凹み32が設けられているにもかかわらず、旋回状態においても、良好なグリップ性能及び耐摩耗性が発現される。
このタイヤ14では、凹み32はキャンバー量の適正化に寄与しうる。これにより、このタイヤ14では、一様な接地圧分布の形成とトレッド部16の幅の拡大とが達成されている。このタイヤ14では、一様な接地圧分布が得られるので、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止されている。トレッド面30が十分に接地するので、このタイヤ14はグリップ性能及び耐摩耗性能に優れる。
図1において、両矢印CHは赤道からトレッド部16の端TEまでの半径方向高さを表している。この高さCHは、キャンバー量と称される。
このタイヤ14では、キャンバー量CHのトレッド部16の幅TWに対する比率は4%以上9%以下が好ましい。この比率が4%以上に設定されたトレッド部16では、このトレッド部16の端TEにおける接地圧は特異でない。一様な接地圧分布が得られるので、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止される。この観点から、この比率は4.9%以上がより好ましい。この比率が9%以下に設定されたトレッド部16では、トレッド面30が十分に接地する。このタイヤ14は、グリップ性能及び耐摩耗性能に優れる。この観点から、この比率は8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。
図2に示されているのは、図1に示されたタイヤ14の一部である。この図2において、符号P1で示されているのは、赤道面とトレッド面30との交点である。この点P1は、トレッド面30の中心である。この中心P1におけるトレッド面30からカーカス22までの厚みが、両矢印t1で示されている。この厚みt1は、中心P1からカーカス22に下ろした垂線に沿って計測される。符号P2で示されているのは、この中心P1からの軸方向距離がトレッド部16の幅TWの半分の1/3、言い換えれば、トレッド部16の幅TWの1/6であるトレッド面30上の位置である。この位置P2におけるトレッド面30からカーカス22までの厚みが、両矢印t2で示されている。この厚みt2は、位置P2からカーカス22に下ろした垂線に沿って計測される。符号P3で示されているのは、この中心P1からの軸方向距離がトレッド部16の幅TWの半分の2/3、言い換えれば、トレッド部16の幅TWの1/3であるトレッド面30上の位置である。この位置P3におけるトレッド面30からカーカス22までの厚みが、両矢印t3で示されている。この厚みt3は、位置P3からカーカス22に下ろした垂線に沿って計測される。符号P4で示されているのは、トレッド面30の端である。この端P4におけるトレッド部16の厚みが、両矢印t4で示されている。符号P5で示されているのは、トレッド部16をサイドウォール18に当接させたときにこのトレッド部16の裏側の端SEが当接するこのサイドウォール18の外面上の位置である。この位置P5におけるサイドウォール18の厚みが両矢印t5で示されている。
このタイヤ14では、観点から、厚みt1、厚みt2、厚みt3及び厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)は、下記数式(1)を満たすのが好ましい。これにより、カーカス22からトレッド面30までの部分が一様な厚みで構成される又はこの厚みが軸方向外向きに薄くなるように構成される。このタイヤ14では、一様な接地圧分布が得られる。このタイヤ14では、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止されている。
t1≧t2≧t3≧(t4+t5) (1)
このタイヤ14では、トレッド42の厚みが十分に確保され良好なグリップ性能が得られるという観点から、厚みt1、厚みt2、厚みt3及び厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)は、下記数式(2)を満たすのがより好ましい。
t1=t2=t3=(t4+t5) (2)
このタイヤ14では、トレッド42の厚みはグリップ性能に寄与しうる。質量への影響を抑えつつ、トレッド42の厚みが確保されうるという観点から、厚みt1は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。厚みt2は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。厚みt3は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。厚みt4は6.5mm以上が好ましく、9mm以下が好ましい。厚みt5は0.5mm以上が好ましく、1.0mm以下が好ましい。厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。
このタイヤ14の製造では、フォーマー(図示されず)において、カーカス22、ビード20等の部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ)が成形される。この成形では、フォーマーのドラムにカーカスプライ38が巻回され、カーカス22が形成される。カーカス22の形状が整えられた後、ベルトドラム(図示されず)に保護層48が貼り付けられる。さらにシートが巻回され、ベルト44が形成される。コードを含むリボンを螺旋状に巻回して、バンド46が形成される。このバンド46に、トレッド42が積層される。このトレッド42、ベルト44、バンド46及び保護層48が組み合わされたものが、前述の、形状が整えられたカーカス22に合体される。この製造方法では、ローカバーにおいてバンド46による締め付けが過大とならないよう、軸方向外向きにその径が小さくなるように構成されたドラムが用いられるのが好ましい。
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ14が得られる。この製造方法では、成形容易の観点から、トレッド42を成形するトレッドリング及びサイドウォール18を成形するサイドプレートが多数の部材に分割されたモールド、言い換えれば、割モールドが使用されるのが好ましい。この場合、ローカバー投入後、多数の部材が組み合わされサイドプレートが構成される。その後遅滞なく、多数の部材が組み合わされトレッドリングが構成され、このモールドが閉じられる。これにより、トレッド部16の端TEの部分のサイドプレートへの噛み込みが効果的に防止される。この製造方法によれば、高品質なタイヤ14が安定に製造されうる。
本発明では、タイヤ14及び後述するタイヤの各部材の寸法及び角度は、タイヤ14が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ14に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ14には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ14が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ14が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ14の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
図3に示されているのは、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ56である。この図3において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ56は、図3中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ56の赤道面を表す。
このタイヤ56は、トレッド部58、サイドウォール60、ビード62、カーカス64、補強部66、インナーライナー68及びチェーファー70を備えている。このタイヤ56のトレッド部58以外は、図1に示されたタイヤ14と同等である。
トレッド部58は、半径方向において、カーカス64の外側に位置している。トレッド部58は、軸方向に延びている。図3中、符号TEで示されているのはトレッド部58の表側の端である。このトレッド部58の裏側の端が、符号SEで示されている。このトレッド部58の外面は、トレッド面72をなしている。
サイドウォール60は、軸方向においてカーカス64の外側に位置している。このサイドウォール60は、架橋ゴムからなる。このタイヤ56では、サイドウォール60は、トレッド部58の端TEよりも軸方向内側において、このトレッド部58からカーカス64に沿って半径方向略内向きに延びている。これにより、このタイヤ56の側面には軸方向内向きに延在する凹み74が設けられている。
ビード62は、サイドウォール60よりも半径方向略内側に位置している。ビード62は、コア76と、このコア76から半径方向外向きに延びるエイペックス78とを備えている。
カーカス64は、第一カーカスプライ80a及び第二カーカスプライ80bからなる。第一カーカスプライ80a及び第二カーカスプライ80bは、両側のビード62の間に架け渡されており、トレッド部58及びサイドウォール60の内側に沿っている。第一カーカスプライ80a及び第二カーカスプライ80bは、コア76の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
補強部66は、ビード62とカーカス64との間に位置している。このタイヤ56の補強部66は、第一補強層82a及び第二補強層82bからなる。第一補強層82a及び第二補強層82bは、コア76の周りを軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
このタイヤ56では、トレッド部58はトレッド84、ベルト86、バンド88及び一対の保護層90を備えている。このトレッド部58のベルト86以外は、図1に示されたタイヤ14のトレッド部16と同等である。
トレッド84は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。このトレッド84の外面が、前述のトレッド面72をなしている。
ベルト86は、半径方向においてトレッド84の内側に位置している。ベルト86は、カーカス64と積層されている。ベルト86は、カーカス64を補強する。図3中、符号DBで示されているのは、凹み74の底である。このベルト86の端92は、軸方向において、この凹み74の底DBより外側に位置している。
このタイヤ56では、ベルト86は内側層94a及び外側層94bからなる。内側層94aは、半径方向においてカーカス64の外側に位置している。内側層94aは、カーカス64と積層されている。外側層94bは、半径方向において内側層94aの外側に位置している。外側層94bは、内側層94aと積層されている。
このタイヤ56では、内側層94aは、外側層94bの端96で半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、外側層94bの端96及びバンド88の端98がこの内側層94aで包み込まれている。この包み込みは、外側層94bの端96及びバンド88の端98の動きを拘束しうる。この拘束は、リフティングを効果的に抑えうる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。このようなベルト86の構造は、フォールド構造と称される。耐久性の観点から、軸方向におけるベルト86の幅の半分に対する折り返された内側層94aの幅の比率は、20%以上が好ましく、30%以下が好ましい。
このタイヤ56では、折り返された内側層94aはバンド88の半径方向外側に位置している。この折り返された内側層94aが外側層94bとバンド88との間に位置してもよい。この場合、この内側層94aの折返しにより外側層94bの端96がこの内側層94aで包み込まれ、バンド88の端98はこの内側層94aで包み込まれない。
図示されていないが、内側層94a及び外側層94bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層94aのコードの傾斜方向は、外側層94bのコードの傾斜方向とは逆である。
このタイヤ56では、ベルト86に用いられるコードとしては、スチールコード及び有機繊維からなるコードが例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。補強性の観点から、このコードとしては、スチールコード及びアラミド繊維からなるコードが好ましい。ベルト86がカーカス64を効果的に補強しうるという観点から、内側層94aにアラミド繊維からなるコードを用い、外側層94bにスチールコードを用いるのがより好ましい。
バンド88は、ベルト86とトレッド84との間に位置している。バンド88は、赤道面からトレッド部58の端TEに向かって軸方向外向きに延在している。バンド88の端98は、この端TEの近傍に位置している。軸方向において、このバンド88の端98の位置はベルト86の一部をなす外側層94bの端96の位置と一致している。このバンド88は、外側層94b全体を覆っている。このバンド88は、フルバンドである。このタイヤ56では、このバンド88が、軸方向において離間して配置された、一対のエッジバンドで構成されてもよい。この場合、各エッジバンドが、それぞれの外側層94bの端96の部分を覆う。
図示されていないが、バンド88はコードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。このコードによりベルト86が拘束されるので、ベルト86のリフティングが抑制される。このタイヤ56では、コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は5°以下、特には2°以下である。
このタイヤ56では、バンド88に用いられるコードとしては、スチールコード及び有機繊維からなるコードが例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。リフティングの抑制の観点から、このコードとしては、スチールコード及びアラミド繊維からなるコードが好ましい。補強性及び軽量化の観点から、このコードとしてはアラミド繊維からなるコードがより好ましい。
このタイヤ56では、それぞれの保護層90は架橋されたゴム組成物からなる。この保護層90には、サイドウォール60と同じゴム組成物が用いられている。
保護層90は、半径方向においてベルト86の内側に位置している。この保護層90は、凹み74の底DBから軸方向外向きに延在している。図示されているように、ベルト86の端92の部分はこの保護層90と積層されている。
前述したように、ベルト86は並列された多数のコードを含む。このタイヤ56では、保護層90はこのコードの損傷防止に寄与しうる。この観点から、この保護層90の厚みは0.5mm以上が好ましく、1.0mm以下が好ましい。
図3において、符号BEはタイヤ56の最大幅を示す位置を表している。両矢印BW/2は、タイヤ56の最大幅の半分を表している。この幅BW/2は、赤道面から位置BEまでの軸方向距離で示される。両矢印TW/2は、トレッド部58の幅の半分を表している。この幅TW/2は、赤道面からトレッド部58の端TEまでの軸方向距離で示される。
このタイヤ56では、幅TW/2の幅BW/2に対する比率は94%以上である。このタイヤ56のトレッド部58は、大きな幅を有する。接地幅が大きいので、このタイヤ56ではグリップ性能及び耐摩耗性の向上が達成される。この観点から、この比率は、96%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。このタイヤ56においても、この比率の上限は100%である。
このタイヤ56では、サイドウォール60とトレッド部58とにより、軸方向において内側に延在する凹み74が形成されている。このタイヤ56では、トレッド部58の端TEの部分とサイドウォール60との間に、従来タイヤ2に設けられるクッション10のようなゴム部材は設けられていない。これにより、走行中の繰り返し変形に伴う発熱及び蓄熱が抑えられている。このタイヤ56では、ベルトエッジルースは生じにくい。このタイヤ56は、耐久性に優れる。
図3において、両矢印TDは凹み74の深さを表している。この深さTDは、トレッド部58の端TEから凹み74の底DBまでの軸方向距離で示される。
このタイヤ56では、凹み74は適正な深さTDを有している。この凹み74は、発熱及び蓄熱の抑制に効果的に寄与しうる。このタイヤ56は、耐久性に優れる。この観点から、深さTDのトレッド部58の幅TWに対する比率は15%以上が好ましく、25%以下が好ましい。
このタイヤ56では、凹み74は、走行中トレッド部58に生じた熱の放散に寄与しうる。これにより、トレッド部58の発熱によるグリップ性能の低下が防止されている。このタイヤ56は、グリップ性能に優れる。
このタイヤ56が旋回状態にあるとき、このタイヤ56には軸方向の力が付与される。この場合、サイドウォール60がトレッド部58の端TEの部分に接触する。これにより、この端TEの部分においても、十分な接地圧が発生する。このタイヤ56では、凹み74が設けられているにもかかわらず、旋回状態においても、良好なグリップ性能及び耐摩耗性が発現される。
このタイヤ56では、凹み74はキャンバー量の適正化に寄与しうる。これにより、このタイヤ56では、一様な接地圧分布の形成とトレッド部58の幅の拡大とが達成されている。このタイヤ56では、一様な接地圧分布が得られるので、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止されている。トレッド面72が十分に接地するので、このタイヤ56はグリップ性能及び耐摩耗性能に優れる。
図3において、両矢印CHは赤道からトレッド部58の端TEまでの半径方向高さを表している。この高さCHは、キャンバー量と称される。
このタイヤ56では、キャンバー量CHのトレッド部58の幅TWに対する比率は4%以上9%以下が好ましい。この比率が4%以上に設定されたトレッド部58では、このトレッド部58の端TEにおける接地圧は特異でない。一様な接地圧分布が得られるので、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止される。この観点から、この比率は4.9%以上がより好ましい。この比率が9%以下に設定されたトレッド部58では、トレッド面72が十分に接地する。このタイヤ56は、グリップ性能及び耐摩耗性能に優れる。この観点から、この比率は8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。
図4に示されているのは、図3に示されたタイヤ56の一部である。この図4において、符号P1で示されているのは、赤道面とトレッド面72との交点である。この点P1は、トレッド面72の中心である。この中心P1におけるトレッド面72からカーカス64までの厚みが、両矢印t1で示されている。この厚みt1は、中心P1からカーカス64に下ろした垂線に沿って計測される。符号P2で示されているのは、この中心P1からの軸方向距離がトレッド部58の幅TWの半分の1/3であるトレッド面72上の位置である。この位置P2におけるトレッド面72からカーカス64までの厚みが、両矢印t2で示されている。この厚みt2は、位置P2からカーカス64に下ろした垂線に沿って計測される。符号P3で示されているのは、この中心P1からの軸方向距離がトレッド部58の幅TWの半分の2/3であるトレッド面72上の位置である。この位置P3におけるトレッド面72からカーカス64までの厚みが、両矢印t3で示されている。この厚みt3は、位置P3からカーカス64に下ろした垂線に沿って計測される。符号P4で示されているのは、トレッド面72の端である。この端P4におけるトレッド部58の厚みが、両矢印t4で示されている。符号P5で示されているのは、トレッド部58をサイドウォール60に当接させたときにこのトレッド部58の裏側の端SEが当接するこのサイドウォール60の外面上の位置である。この位置P5におけるサイドウォール60の厚みが両矢印t5で示されている。
このタイヤ56では、観点から、厚みt1、厚みt2、厚みt3及び厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)は、下記数式(1)を満たすのが好ましい。これにより、カーカス64からトレッド面72までの部分が一様な厚みで構成される又はこの厚みが軸方向外向きに薄くなるように構成される。このタイヤ56では、一様な接地圧分布が得られる。このタイヤ56では、グリップ性能の低下及び偏摩耗の発生が防止されている。
t1≧t2≧t3≧(t4+t5) (1)
このタイヤ56では、トレッド84の厚みが十分に確保され良好なグリップ性能が得られるという観点から、厚みt1、厚みt2、厚みt3及び厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)は、下記数式(2)を満たすのがより好ましい。
t1=t2=t3=(t4+t5) (2)
このタイヤ56では、トレッド84の厚みはグリップ性能に寄与しうる。質量への影響を抑えつつ、トレッド84の厚みが確保されうるという観点から、厚みt1は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。厚みt2は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。厚みt3は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。厚みt4は6.5mm以上が好ましく、9mm以下が好ましい。厚みt5は0.5mm以上が好ましく、1.0mm以下が好ましい。厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)は7mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤサイズは、265/35R18である。このタイヤの側面には、凹みが設けられている。このことが、表中「A」で示されている。トレッド部の幅TWのタイヤ最大幅BWに対する比率(TW/BW)は、99%とされた。凹みの深さTDのトレッド部の幅TWに対する比率(TD/TW)は、20%とされた。キャンバー量CHのトレッド部の幅TWに対する比率(CH/TW)は、4.9%とされた。トレッド面の中心P1におけるトレッド面からカーカスまでの厚みt1は、10mmとされた。トレッド面上の位置P2におけるトレッド面からカーカスまでの厚みt2は、10mmとされた。トレッド面上の位置P3におけるトレッド面からカーカスまでの厚みt3は、10mmとされた。トレッド面の端P4におけるトレッド部の厚みt4及びサイドウォールの外面上の位置P5におけるサイドウォールの厚みt5の和(t4+t5)が、10mmとされた。バンドには、フルバンドが用いられた。このことが、表中「FB」で示されている。バンドのコードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。このコードの構成は、1670dtex/2とされた。ベルトには、カット構造のものが採用された。このことが、表中「CUT」で示されている。内側層のコードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。このコードの構成は、1670dtex/2とされた。外側層のコードには、スチールコードが用いられた。このコードの構成は、「1×4/0.27」とされた。
[実施例2−3]
厚みt1、厚みt2、厚みt3及び厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)を下記の表1及び表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−3のタイヤを得た。
[実施例4−5及び比較例4]
バンドの構成を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4−5及び比較例4のタイヤを得た。比較例4では、バンドは設けられていない。実施例4では、バンドはフルバンドではなく一対のエッジバンドで構成された。このことが、表中「EB」で示されている。実施例5では、バンドはフルバンドと一対のエッジバンドで構成された。このことが、表中「FB+EB」で示されている。
[実施例6−9]
比率TD/TW及び比率CH/TWを下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−9のタイヤを得た。
[実施例10]
図3に示された基本構成を備え、下記表4に示された仕様を備えた実施例10の空気入りタイヤを得た。このタイヤサイズは、265/35R18である。このタイヤの側面には、凹みが設けられている。このことが、表中「A」で示されている。トレッド部の幅TWのタイヤ最大幅BWに対する比率(TW/BW)は、99%とされた。凹みの深さTDのトレッド部の幅TWに対する比率(TD/TW)は、20%とされた。キャンバー量CHのトレッド部の幅TWに対する比率(CH/TW)は、4.9%とされた。トレッド面の中心P1におけるトレッド面からカーカスまでの厚みt1は、10mmとされた。トレッド面上の位置P2におけるトレッド面からカーカスまでの厚みt2は、10mmとされた。トレッド面上の位置P3におけるトレッド面からカーカスまでの厚みt3は、10mmとされた。トレッド面の端P4におけるトレッド部の厚みt4及びサイドウォールの外面上の位置P5におけるサイドウォールの厚みt5の和(t4+t5)が、10mmとされた。バンドには、フルバンドが用いられた。このことが、表中「FB」で示されている。バンドのコードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。このコードの構成は、1670dtex/2とされた。ベルトには、フォールド構造のものが採用された。このことが、表中「C−FOLD」で示されている。内側層のコードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。このコードの構成は、1670dtex/2とされた。外側層のコードには、スチールコードが用いられた。このコードの構成は、「1×4/0.27」とされた。
[実施例11]
厚みt1、厚みt2、厚みt3及び厚みt4と厚みt5との和(t4+t5)を下記の表5の通りとした他は実施例10と同様にして、実施例11のタイヤを得た。
[実施例12−14及び比較例5]
比率TW/BWを下記の表4の通りとした他は実施例10と同様にして、実施例12−14及び比較例5のタイヤを得た。
[実施例15]
外側層のコードにアラミド繊維からなるコードを用いた他は実施例10と同様にして、実施例15のタイヤを得た。このコードの構成は、1670dtex/2とされた。
[実施例16及び比較例6]
バンドの構成を下記の表5の通りとした他は実施例10と同様にして、実施例16及び比較例6のタイヤを得た。比較例6では、バンドは設けられていない。実施例16では、バンドはフルバンドではなく一対のエッジバンドで構成された。このことが、表中「EB」で示されている。
[実施例17]
バンドのコードにナイロン繊維からなるコードを用いた他は実施例10と同様にして、実施例17のタイヤを得た。このコードの構成は、1400dtex/2とされた。
[比較例1]
比較例1は、従来のタイヤである。このタイヤの側面には、凹みは設けられていない。このことが、表中「B」で示されている。このタイヤのトレッド幅のタイヤ最大幅に対する比率は91%とされた。
[比較例3]
比較例1におけるトレッドをカーカスに沿って延伸させ、トレッド幅を拡大させた他は比較例1と同様にして、比較例3のタイヤを得た。このタイヤの側面には、凹みは設けられていない。このタイヤのトレッド幅のタイヤ最大幅に対する比率は99%とされた。
[比較例2]
トレッドの半径方向内側に位置するベルトとカーカスとの間にクッションを設けた他は実施例15と同様にして、比較例2のタイヤを得た。このクッションは、架橋ゴムからなる。このクッションの硬度は、57とされた。この硬度は、JIS−A硬度である。この硬度は、「JIS−K6253」の規定に準拠して、25℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定された。このタイヤの側面には、凹みは設けられていない。このタイヤのトレッド幅のタイヤ最大幅に対する比率は99%とされた。
[実車走行テスト]
試作タイヤを、排気量が3000ccであるレース車両に装着した。このタイヤの内圧は110kPaとされた。ホイールのサイズは、10J×18である。この車両で、サーキットコースを走行し、ドライバーによるグリップ性能に関する官能評価が行われた。この評価結果が、10点を満点とした指数値で下記の表1から表5に表されている。数値が大きいほど、好ましい。
[耐久性]
上記走行テストにおいて、サーキットコースを3周した後、タイヤの内部損傷を確認した。損傷が認められなければ、サーキットコースをさらに3周した。そして、タイヤの内部損傷を確認した。最大30周まで、このテストが繰り返された。この評価結果が、30周走行した時点で損傷が認められなかった場合を10点とし、3周走行した時点で損傷が認められた場合を1点とした指数値で、下記の表1から表5に表されている。数値が大きいほど、好ましい。
[耐摩耗性]
上記耐久性の評価結果に基づいて、10周走行しても損傷が認められないタイヤを選別した。この選別されたタイヤについて、10周走行させ、走行前後におけるタイヤの質量の変化率を計測した。質量変化率が0%の場合を10点とし、質量変化率が20%の場合を1点とした指数値で、下記の表1から表5に表されている。数値が大きいほど、好ましい。
[偏摩耗量]
上記耐摩耗性の評価に用いられたタイヤについて、トレッドの厚みを計測した。このトレッドのうち、偏摩耗の発生していない部分について、5箇所、その厚みを計測し、これらの平均値を平均摩耗量とした。偏摩耗の発生している部分の厚みをこの平均摩耗量で除することにより得られた数値が、偏摩耗量として、下記の表1から表5に表されている。数値が小さいほど、好ましい。
Figure 2013023122
Figure 2013023122
Figure 2013023122
Figure 2013023122
Figure 2013023122
表1から表5に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、種々の車両にも適用されうる。
2、14、56・・・タイヤ
4、42、84・・・トレッド
6、44、86・・・ベルト
8、22、64・・・カーカス
10・・・クッション
12、30、72・・・トレッド面
16、58・・・トレッド部
18、60・・・サイドウォール
20、62・・・ビード
24、66・・・補強部
32、74・・・凹み
46、88・・・バンド
48、90・・・保護層

Claims (3)

  1. 軸方向に延びておりその外面がトレッド面をなすトレッド部と、一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれがこのカーカスの軸方向外側に位置する一対のサイドウォールとを備えており、
    半径方向において、このトレッド部がこのカーカスの外側に位置しており、
    それぞれのサイドウォールが、このトレッド部の端よりも軸方向内側において、このトレッド部からこのカーカスに沿って半径方向略内向きに延びており、
    このサイドウォールとこのトレッド部とにより、軸方向において内側に延在する凹みが形成されており、
    上記トレッド部の幅の、このタイヤの最大幅に対する比率が、94%以上であり、
    このトレッド部が、その外面が上記トレッド面をなすトレッドと、このトレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されたベルトと、このベルトとトレッドとの間に位置するバンドとを備えており、
    このバンドが、実質的に周方向に延びており螺旋状に巻かれたバンドコードを含んでいる、空気入りタイヤ。
  2. 上記トレッド面の中心がP1とされ、この中心P1からの軸方向距離が上記トレッド部の幅の半分の1/3であるトレッド面上の位置がP2とされ、この中心P1からの軸方向距離がこのトレッド部の幅の半分の2/3であるトレッド面上の位置がP3とされ、このトレッド面の端がP4とされ、このトレッド部を上記サイドウォールに当接させたときにこのトレッド部の端が当接するこのサイドウォールの外面上の位置がP5とされたとき、
    この中心P1におけるこのトレッド面から上記カーカスまでの厚みt1、この位置P2におけるこのトレッド面からこのカーカスまでの厚みt2、この位置P3におけるこのトレッド面からこのカーカスまでの厚みt3及び端P4におけるこのトレッド部の厚みt4と位置P5におけるサイドウォールの厚みt5との和(t4+t5)が、下記数式(1)を満たす請求項1に記載の空気入りタイヤ。
    t1≧t2≧t3≧(t4+t5) (1)
  3. 上記ベルトが、内側層及び外側層からなり、
    この外側層が、この内側層の半径方向外側に位置しており、
    この内側層が、この外側層の端で半径方向において内側から外側に折り返されており、
    この折り返された内側層が、この外側層の半径方向外側に位置している請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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