JP5156975B2 - 固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5156975B2
JP5156975B2 JP2006326430A JP2006326430A JP5156975B2 JP 5156975 B2 JP5156975 B2 JP 5156975B2 JP 2006326430 A JP2006326430 A JP 2006326430A JP 2006326430 A JP2006326430 A JP 2006326430A JP 5156975 B2 JP5156975 B2 JP 5156975B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
weight
type epoxy
epoxy resin
silane compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006326430A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008140668A (ja
Inventor
利信 余語
智徳 田原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya University NUC
Tokai Carbon Co Ltd
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
Nagoya University NUC
Tokai Carbon Co Ltd
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya University NUC, Tokai Carbon Co Ltd, Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical Nagoya University NUC
Priority to JP2006326430A priority Critical patent/JP5156975B2/ja
Publication of JP2008140668A publication Critical patent/JP2008140668A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5156975B2 publication Critical patent/JP5156975B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、例えば自動車をはじめ小型分散型電源などに用いられる固体高分子型燃料電池のセパレータ材とその製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池は、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、電気エネルギーへの変換効率が高く、自動車の電源をはじめ小型分散型電源などとして今後の発展が期待されている。
燃料電池は、電解質膜と、その両面に白金などの触媒を担持させた触媒電極と、それぞれの電極に水素などの燃料ガスあるいは酸素や空気などの酸化剤ガスを供給するためのガス流路を設けたセパレータ、などからなる単セルを積層したスタック、及びその外側に設けた集電体などから構成されている。
このセパレータには燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離した状態で電極に供給するために高度のガス不透過性が必要であり、また発電効率を高くするために電池の内部抵抗が小さくなるように高い導電性が要求される。また、スタック組み立て時には単セル間が密着するように強く締め付けるので高い材質強度が要求され、更に、自動車に搭載した場合などには、振動、衝撃、温度変化などによる伸縮によって亀裂が発生したり、破損することのないような材質特性が必要となる。
このような材質特性が要求されるセパレータ材には、従来から炭素質系の材料が用いられており、黒鉛などの炭素粉末を熱硬化性樹脂を結合材として結着し、一体化した炭素/樹脂硬化成形体が好適に使用されている。
しかし、セパレータ材に高い導電性を付与するためには導電性フィラーとなる炭素粉末の混合割合を多くする必要があり、それに伴い炭素/樹脂硬化成形体の靱性が低下し、更に、熱硬化性樹脂が硬質なため電池スタックの組み立て時に、単セルを積層し締め付ける際にセパレータに割れが発生し易くなるなどという欠点がある。
そこで、特許文献1にはゴム成分100重量部に対し、黒鉛粉末を100〜150重量部およびカーボンブラックを80〜150重量部の割合で配合したゴム組成物よりなる燃料電池用セパレータ材が提案されている。特許文献1はゴム組成物特有の弾性により単セル組み立て時の破損や変形の防止を図ろうとするものである。
また、炭素粉末の表面を処理することによりこれらの特性の改善、向上を図る提案も行われており、例えば、特許文献2には炭素質材料の水分散液に、撥水性物質を有機溶剤に溶解した溶液を滴下して撥水処理を施してなる、ガス拡散電極層などの燃料電池用炭素質材料が提案されている。これは導電性と撥水性とを兼ね備えた炭素質材料に関するものであるが、炭素材料に撥水性を付与すると強度特性は低下することになる。
また、特許文献3にはマトリックス中に炭素質粉末が分散されてなる複合材であって、該マトリックスは該炭素質粉末を被覆する樹脂被覆層と、該樹脂被覆層を形成する樹脂よりも高耐熱性の樹脂強化相とで形成されていることを特徴とする燃料電池セパレータ成形用複合材が、特許文献4には導電性炭素材をゴムで被覆した複合粒子と熱硬化性樹脂を含有してなる導電性成形材料を成形してなる燃料電池セパレータが開示されている。
特開2001−216977号公報 特開2003−208905号公報 特開2003−257446号公報 特開2003−277629号公報
しかしながら、セパレータの性能向上のためには未だ不十分であり、本発明者らは炭素/樹脂硬化成形体の材質向上について鋭意研究を行い、エポキシ樹脂とシラン化合物を併用することにより、燃料電池のセパレータ材として好適な材質性状が付与されることを見出した。
特に、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物を用いることにより、炭素/樹脂硬化成形体の高温における曲げ強度の低下が少なく、また破断歪みも大きく、すなわち、室温および高温における機械的強度特性に優れ、燃料電池のセパレータ材として好適な特性を備えることを確認した。
本発明は、この知見に基づいて完成したもので、その目的は材質強度に優れ、特に高温における強度低下が少なく、電池作動時の80〜100℃程度の温度において高い強度を有するとともにその他の材質性状も優れた固体高分子型燃料電池のセパレータ材およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による固体高分子型燃料電池用セパレータ材は、樹脂溶液に炭素粉末を分散させたスラリーから作製したグリーンシートを積層、熱圧成形して得られ、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下と残部多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂硬化剤、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物、および硬化促進剤を必須成分として含み、シラン化合物の割合を2〜20重量%とした結合材により、炭素粉末が結着された炭素/樹脂硬化成形体から形成されていることを特徴とする。
請求項2による固体高分子型燃料電池用セパレータ材の製造方法は、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下と残部多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂硬化剤、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物、および硬化促進剤とを、シラン化合物の割合を2〜20重量%として混合した結合材を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に炭素粉末を分散させてスラリーを作製し、次いでスラリーをフィルム上に塗布して乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートを作製し、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工して成形型内に積層して熱圧成形することを特徴とする。
本発明によれば、固体高分子型燃料電池の作動温度である高温時における強度低下が小さく、材質強度に優れるとともに導電性およびガス不透過性なども良好なレベルにあり、セパレータ材として好適な固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法が提供される。
本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ材は、樹脂溶液に炭素粉末を分散させたスラリーから作製したグリーンシートを積層、熱圧成形して得られ、炭素粉末が結合材により結着された炭素/樹脂硬化成形体から形成されたものであって、結合材を構成する成分組成を特定した点を特徴とする。
結合材を構成する成分のうち、混合樹脂は2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂とを混合したものであって、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂は一般式化1で表され、Oは酸素、Rは炭素原子数が2〜10個のアルキレン基であり、nは1以上の整数、Gはグリシジル基からなる化合物である。そして、グリシジル基間に含まれる炭素原子数は6以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。
(化1)
G−O−(R−O)n −G
化1から分かるように、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂は直鎖構造であるため、分子が動き易く、柔軟性を示し、ゴム弾性が出やすい構造である。したがって可撓性、伸び、破断歪みなどが大きくなる。
化1で表される2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂の代表的なものとしては、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリオキシテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂などが例示でき、これらの樹脂の中でも相対的に酸素原子の割合が小さいものが好ましく、酸素数が少なくなると耐水性が向上し、吸水膨潤が小さくなる。
化1の一般式で示したグリシジル基間の炭素数が多くなると、樹脂の柔軟性は高くなるので破断歪みは大きくなるが、一方、強度は小さくなる。そして、炭素数が6個未満、例えば4個のアルコールエーテル型エポキシ樹脂ではグリシジル基間が短すぎるので柔軟性が低くなる。そのため、柔軟性を確保するためにはグリシジル基間に含まれる炭素原子数が6個以上のエポキシ樹脂が好ましい。しかし、グリシジル基間の炭素原子数が8個以上となると強度の低下が著しくなって、曲げ強度も30MPaを下回ることになる。
一方、多官能フェノール型エポキシ樹脂として、例えば2官能フェノール型エポキシ樹脂は分子中に2個のエポキシ基を有し、一般式化2で示されるように、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂のように、ベンゼン環を有するエポキシ樹脂は、硬化物の弾性率は若干低くなるが、平面的なベンゼン環により分子が動き難く、柔軟性が低くなり、伸びが小さくなる。
Figure 0005156975
また、多官能フェノール型エポキシ樹脂として、3官能フェノール型エポキシ樹脂は、一般式化3で示されるように、分子中に3個のエポキシ基を有し、骨格にベンゼン環を有しており、硬化すると三次元構造となって、硬質で脆い硬化物となる。そして、結合材として炭素粉末を結着した炭素/樹脂硬化成形体は、高い強度を示すが柔軟性や伸びが低下するので、破断歪みは極めて小さくなる。
Figure 0005156975
多官能フェノール型エポキシ樹脂としては、その分子中にフェノール構造を有し、エポキシ基を2個以上有する化合物である限り使用することができ、一般的な例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂などが適用される。
ここで、本発明において炭素粉末を結着する樹脂として混合樹脂を用いるのは、優れた可撓性(柔軟性)を有する反面、強度が低い2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と、高強度を有するが可撓性(柔軟性)が低い多官能フェノール型エポキシ樹脂とを併用することにより、可撓性(柔軟性)と強度の両立化を図るためである。
すなわち、炭素粉末を結合する樹脂として、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂を用い、その混合割合を調整することにより、可撓性と強度とのバランス化を図ることができ、そして、可撓性と強度との両立化を図るためには混合樹脂中における2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂の割合を40重量%以上とすることが好ましい。なお、その上限は80重量%以下とすることが望ましい。
次に、フェノール樹脂硬化剤は2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂の硬化剤となるもので、特に限定されることなく、一般的なフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、キシレン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂などのノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールAなどのビスフェノール類、該ビスフェノール類を該ビスフェノール類のジグリシジルエーテルで高分子量化あるいはエピクロルヒドリンと該ビスフェノール類とを後者が過剰となる割合で反応させて得られるビスフェノール系樹脂などが使用される。
また、結合材の必須成分の1つであるシラン化合物にはポリシロキサン構造を有するものが適用され、その一般式は化4で表される。但し、化4においてR1はC1〜C4の低級アルキル基、R2はC1〜C4の低級アルキル基またはフェニル基、R3は有機反応基を表し、mは1〜3、nは0〜2、m+n=3である。
Figure 0005156975
化4において、具体的には、R1は例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの低級アルキル基、R2は例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの低級アルキル基あるいはフェニル基である。
また、R3は例えば3−グリシドキシ(エポキシ)プロピル基、ビニル基、3−メタクリロキシプロピル基、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル基、3−ウレイドプロピル基、3−アニリノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、ヒドロキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などであり、エポキシ樹脂の有機反応基と結合する。
その好ましい具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらのシラン化合物は水分に対して不安定であり、水分の存在下に容易かつ迅速に加水分解してシラノールになる。加水分解反応はシラン化合物と精製水とを、例えばシラン化合物のアルコキシ基1当量に対して精製水0.1〜5当量の割合で混合し、15〜100℃の温度で適宜時間攪拌することにより行われる。
シラン化合物としてトリアルコキシシランを例に、加水分解してシラノールを生成し、更に、シラノールが縮合してシロキサンを形成する場合の反応式を、化5および化6に示した。
Figure 0005156975
Figure 0005156975
なお、加水分解反応を行う際にシラン化合物と精製水との相溶性を向上させるために、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、アセトンなどの水溶性溶媒を使用することもできる。
更に、加水分解反応を促進するために蟻酸、酢酸、塩酸、塩化アルミニウム、塩化鉄のような酸性触媒、あるいはトリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)のような塩基性触媒を添加することが好ましい。
加水分解反応を行った後、エバポレータなどで精製水や添加した水溶性溶媒あるいは触媒などを除去することによりシラン化合物が得られる。これらのシラン化合物は結合材中に2〜20重量%の割合に調整することが好ましい。シラン化合物の割合が2重量%未満では炭素/樹脂硬化成形体の耐熱性が低く、また、20重量%を超えると強度が低下するためである。
硬化促進剤には、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩などが挙げられ、単独もしくは2種以上を併用することもでき、通常、エポキシ樹脂100重量部に対し0.05〜3重量部の範囲で添加される。
このように、本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ材は、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂硬化剤、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物、および硬化促進剤を必須成分として含む結合材により、炭素粉末が結着された炭素/樹脂硬化成形体から形成されたものである。
炭素粉末としては人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、あるいは、これらの混合物などの黒鉛粉末が好ましく用いられ、適宜な粉砕機により粉砕し、篩分けして粒度調整した黒鉛粉末を用いることが好ましい。なお、黒鉛粉末の粒度は、セパレータにガス溝を設ける際に黒鉛粉末粒子の脱落や粒子間クラックの発生を防止するために、例えば平均粒子径は50μm以下に、最大粒子径は100μm以下に粒度調整することが好ましい。
なお、炭素/樹脂硬化成形体における量比は、結合材中の樹脂固形分と炭素粉末の重量比を10:90〜35:65とすることが好ましい。樹脂固形分が10重量%未満で、炭素粉末が90重量%を越える重量比では樹脂分が少ないので成形時の流動性が低下するので均一に混合することが難しく、組成が不均一になり易い。一方、樹脂固形分が35重量%を上回り、炭素粉末が65重量%を下回ると、成形性は向上するが、炭素/樹脂硬化成形体の電気抵抗が大きくなり、電池性能の低下を招くことになる。
この固体高分子型燃料電池用セパレータ材を製造する方法は、先ず、上記の結合材成分である2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂硬化剤、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物、および硬化促進剤とを、所定の重量比でアルコール、エーテル、ケトンなどの適宜な有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製する。樹脂溶液の濃度は樹脂溶液に炭素粉末を分散させてスラリー化するのに適当な濃度に設定し、また樹脂溶液と炭素粉末との量比を調整してスラリーを作製する。この場合、スラリーの粘度が100〜2000mPa・sとなるように調製することが好ましく、スラリー化に際しては分散剤を用いることも好ましい。
このスラリーを、例えばドクターブレードによりポリエステルなどのフィルム上に塗布する。この際、ドクターブレードとフィルム間のギャップを適宜に調整し、またフィルムには離型剤を塗布することが好ましい。次いで、乾燥した後フィルムから離型してグリーンシートを作製する。
グリーンシートは所望する大きさに打ち抜き加工して、セパレータのガス流路となる溝部を形成する凹凸部が彫られた成形型内に離型剤を塗布して積層し、装着する。なお、セパレータの部位による厚さに応じてグリーンシートの積層枚数を変更する。
次いで、使用した樹脂種により適宜な圧力、温度、例えば圧力20〜50MPa、温度150〜250℃で熱圧成形することにより、樹脂を硬化させて炭素粉末を硬化樹脂で結着して一体化した、炭素/樹脂硬化成形体からなるセパレータ材が製造される。このようにして製造されたセパレータ材は必要に応じて更に機械加工が施される。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
シラン化合物の合成;
(1)シラン化合物1の合成.
温度計、還流冷却管を備えた三つ口フラスコ(容量500ml)に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100重量部、精製水25重量部、酢酸1重量部、メタノール100重量部を入れて100℃で5時間攪拌反応させて、加水分解した。その後、ナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターで50℃の温度で1時間濃縮して、生成水やメタノールなどを除去してポリシロキサン構造を有するシラン化合物1を合成した。
(2)シラン化合物2の合成;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代えて3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた他は、シラン化合物1と同じ方法によりポリシロキサン構造を有するシラン化合物2を合成した。
実施例1〜4、比較例1〜2
2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂としてポリオキシテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂A)を、多官能フェノール型エポキシ樹脂としてノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)を用い、フェノール樹脂硬化剤にノボラック型フェノール樹脂、硬化促進剤に2エチル4メチルイミダゾール、および、シラン化合物としてシラン化合物1あるいはシラン化合物2を用いた。
なお、比較例1は結合材成分としてシラン化合物を使用せず、また比較例2はシラン化合物として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解することなくそのまま使用した。
これらの成分を、表1に示す割合(重量%)で混合して結合材とし、この結合材25重量部を、分散剤(陰イオン性界面活性剤)1重量部とともにメチルエチルケトン(有機溶剤)110重量部に溶解して樹脂溶液を作製した。
Figure 0005156975
この樹脂溶液に、平均粒子径50μmが50重量%、10μmが10重量%、3μmが40重量%の割合に粒度調整した天然黒鉛粉末100重量部を加えて十分に攪拌混合した後、遠心法により巻き込んだ空気を脱気して、粘度200mPa・sのスラリーを作製した。
このスラリーをドクターブレード成形機のホッパーに入れ、ドクターブレードとフィルム間のギャップを調整した後、離型剤を塗布したポリエステルのフィルム上に塗布した。次いで、送風乾燥してメチルエチルケトンを揮発除去した後離型して、厚さ約0.3mmのグリーンシートを作製した。
このグリーンシートを200×200mmに打ち抜き加工して、200×200mmの範囲内に幅1mm、深さ0.6mmの溝形状部が彫設された外形270×270mmの成形金型内に、部位に応じて所定の枚数のグリーンシートを積層して、40MPaの圧力、180℃の温度で熱圧成形した。このようにして、200×200mm、厚さ0.8mm、最薄肉部厚さ0.2mmのセパレータ材を製造した。
このようにして製造したセパレータ材からテストピースを作製し、下記の方法により材質特性を測定して、その結果を表2に示した。
(1)曲げ強度(MPa);
JIS R1601に準拠して室温および80度における曲げ強度を測定した。
(2)破断歪み(%);
JIS R1601に準拠して室温および80℃における破断歪みを測定した。
(3)固有抵抗(mΩ・cm);
JIS C2525により測定した。
(4)接触抵抗(mΩ・cm);
テストピース同士を1MPaの圧力で接触させながら、通電量1Aで測定した。
(5)ガス透過係数(mol・mm−2・sec−1・MPa−1);
窒素ガスにより、0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積当たりの
ガス透過量を測定した。
(6)厚さ精度(μm);
マイクロメーターによりセパレータ内の27点の厚さを測定して、厚さの最大値と最小値の差を厚さ精度とした。
Figure 0005156975
表2より比較例1の可撓性はあるが、80℃の曲げ強度が不十分のため、燃料電池の作動温度である高温時でのセパレータの強度が不十分である。比較例2の縮重合していないシランカップリング剤の添加では、効果がみられず、高温時でのセパレータの強度が不十分である。それに対して、実施例1〜4は燃料電池用セパレータ材として好適な電気特性およびガス不透過性などを備え、可撓性を示す破断歪みも良好であり、高温(80℃)における曲げ強度も高いことが分かる。

Claims (2)

  1. 樹脂溶液に炭素粉末を分散させたスラリーから作製したグリーンシートを積層、熱圧成形して得られ、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下と残部多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂硬化剤、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物、および硬化促進剤を必須成分として含み、シラン化合物の割合を2〜20重量%とした結合材により、炭素粉末が結着された炭素/樹脂硬化成形体から形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ材。
  2. 2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下と残部多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂硬化剤、ポリシロキサン構造を有するシラン化合物、および硬化促進剤とを、シラン化合物の割合を2〜20重量%として混合した結合材を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に炭素粉末を分散させてスラリーを作製し、次いでスラリーをフィルム上に塗布して乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートを作製し、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工して成形型内に積層して熱圧成形することを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ材の製造方法。
JP2006326430A 2006-12-04 2006-12-04 固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法 Expired - Fee Related JP5156975B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006326430A JP5156975B2 (ja) 2006-12-04 2006-12-04 固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006326430A JP5156975B2 (ja) 2006-12-04 2006-12-04 固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008140668A JP2008140668A (ja) 2008-06-19
JP5156975B2 true JP5156975B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=39601919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006326430A Expired - Fee Related JP5156975B2 (ja) 2006-12-04 2006-12-04 固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5156975B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102279438B1 (ko) 2017-12-01 2021-07-19 엘에스일렉트릭(주) 에폭시 수지 조성물 및 이를 포함하는 변압기
CN115418076B (zh) * 2022-09-13 2024-04-16 江苏合和阖新材料科技有限公司 高导复合材料散热制品及其冷/热压成型的制备方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2933850B2 (ja) * 1995-06-27 1999-08-16 住友ベークライト株式会社 液晶セルの組立用シール材組成物
JP2000048830A (ja) * 1998-07-24 2000-02-18 Hitachi Chem Co Ltd 燃料電池、燃料電池用セパレータ及びその製造法
JP2002289214A (ja) * 2001-03-27 2002-10-04 Nichias Corp 燃料電池用セパレータ
JP2004139885A (ja) * 2002-10-18 2004-05-13 Mitsubishi Pencil Co Ltd 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP2004193044A (ja) * 2002-12-13 2004-07-08 Dainatsukusu:Kk 固体高分子型燃料電池用セパレータの製造方法
JP4281471B2 (ja) * 2003-08-26 2009-06-17 パナソニック電工株式会社 燃料電池用セパレータ成形用樹脂組成物及び燃料電池用セパレータ
JP4678170B2 (ja) * 2004-10-26 2011-04-27 パナソニック電工株式会社 燃料電池セパレータ
JP4404205B2 (ja) * 2004-12-24 2010-01-27 本田技研工業株式会社 ポリフェニレンスルフィド樹脂−シリコーンゴム複合材料、並びに燃料電池用セパレータ及びそれを用いた燃料電池
JP4731929B2 (ja) * 2005-02-02 2011-07-27 ニチアス株式会社 導電性エポキシ樹脂組成物及び燃料電池用セパレータ
JP2006252905A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Tokai Carbon Co Ltd 燃料電池用セパレータ材とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008140668A (ja) 2008-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3924675B2 (ja) プロトン伝導性膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池
US6746792B2 (en) Fuel cell separator composition, fuel cell separator and method of manufacture, and solid polymer fuel cell
JP3437937B2 (ja) 燃料電池、燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP2004103495A (ja) 燃料電池用セパレータ、その製造方法および該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池
TWI404740B (zh) Isolation material for fuel cell and manufacturing method thereof
JP2004103494A (ja) 燃料電池用セパレータ、その製造方法および該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池
JP2000251903A (ja) 燃料電池用セパレータ及びその製造法並びに燃料電池用セパレータを用いた燃料電池
JP5156975B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用セパレータ材とその製造方法
JP5033269B2 (ja) 燃料電池セパレータ成形用組成物、燃料電池セパレータ、燃料電池セパレータの製造方法、及び燃料電池
JP2000048830A (ja) 燃料電池、燃料電池用セパレータ及びその製造法
JP5857213B2 (ja) 燃料電池セパレータ成形用材料、燃料電池セパレータ、及び燃料電池
JP2000243410A (ja) 燃料電池用セパレータ及びその製造法並びに燃料電池用セパレータを用いた燃料電池
JP2007048558A (ja) 燃料電池用セパレータ材とその製造方法
JP5681565B2 (ja) 燃料電池セパレータ用成形材料、燃料電池セパレータの製造方法、及び燃料電池セパレータ
JP5754671B2 (ja) 燃料電池用セパレータおよびその製造方法
JP5845458B2 (ja) 燃料電池セパレータの製造方法
JP5520104B2 (ja) 燃料電池セパレータの製造方法
JP5979529B2 (ja) 燃料電池セパレータの製造方法
JP2001313044A (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法および燃料電池用セパレータ
JP5991470B2 (ja) 燃料電池セパレータ
JP2006252905A (ja) 燃料電池用セパレータ材とその製造方法
JP2009104887A (ja) 燃料電池セパレータ材の製造方法
JP2014164802A (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法
JP2015038840A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池用セパレータの製造方法
JP2010129203A (ja) 固体高分子型燃料電池用セパレータ材、その製造方法および固体高分子型燃料電池用セパレータ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061204

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120719

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120731

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5156975

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151221

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370