JP2004103494A - 燃料電池用セパレータ、その製造方法および該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池用セパレータ、その製造方法および該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池 Download PDF

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木村 肇
Akihiro Matsumoto
松本 明博
Keiko Otsuka
大塚 恵子
Junzo Fukunaga
福永 純三
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Abstract

【課題】気体不透過性、電気伝導性、機械的強度および寸法安定性が非常に優れた燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物を加熱成形してなる燃料電池用セパレータ。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用セパレータおよびその製造方法、ならびに該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素と酸素を電気化学的に反応させることにより電気を取り出す燃料電池は、他の発電装置と異なり、NOやSOなどの大気汚染物質や騒音を出さない、環境に対してクリーンなエネルギーとして注目を集めている。燃料電池は、その作動温度や構成材料などの違いから、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形および固体高分子形の4種類に分類される。中でも固体高分子形燃料電池は、出力密度が高く、小型化が可能で、他のタイプの燃料電池より低温で作動するため起動停止が容易であるなどの特徴をもつことから、自動車用や家庭用電源などへの利用が期待され、近年、特に注目を集めている。
【0003】
燃料電池は、基本的には、アノード極、カソード極、電解質の3つから構成されている。アノード極は、水素から電子を引き抜く触媒と燃料である水素のガス拡散層、集電体としてのセパレータが積層された構造を有している。また、カソード極は、プロトンと酸素の反応触媒と空気の拡散層、セパレータの積層構造である。ここで用いられる燃料電池用セパレータは、片側面には水素を主成分とする燃料ガスを流す溝が形成され、反対面には空気などの酸化剤ガスを流す溝が形成されており、互いのガスを遮断する役割を担っている。また、隣り合う単位電池双方の電極と接触して、これら単位電池間を電気的に接続するという重要な役割も担っている。
【0004】
上記燃料電池セパレータに要求される特性としては、燃料ガスが漏れないためにガス不透過性であること、エネルギーの変換効率をよくする上で電気伝導性が優れていること、さらに燃料電池に組み込む際に破損等しないように機械的強度が大きいことなどがある。このような要求に適したセパレータの製造方法として、従来から、膨張黒鉛シートを高圧力で成形する方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)、炭素焼結体に樹脂を含浸・硬化させる方法(例えば、特許文献4、特許文献5参照。)、あるいはカーボン粉末にフェノール樹脂をバインダーとして加えて加熱成形した後、焼成・炭化させる方法(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照。)などが知られている。
【0005】
しかしながら、上記のような製造方法では、いずれも十分な性能のセパレータが得られなかった。また、高温で長時間を要する焼結工程が必要で、且つ焼成したカーボンを所望の形状に機械加工する工程も必要なため、セパレータの製造工程が煩雑になると共に、製造コストが高くなるという欠点があった。
【0006】
そこで、セパレータを製造する他の方法として、カーボン粉末にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとして加え、所望の形状の金型を用いて加熱圧縮成形することにより、容易、且つ安価にセパレータを製造する方法(例えば、特許文献9、特許文献10参照。)が知られている。しかしながら、フェノール樹脂を用いた場合、硬化反応が縮合反応であるため、その反応過程でホルムアルデヒド、縮合水、あるいはアンモニアガスなどの揮発物が発生する。従って、上記の方法によりセパレータを製造する際には、揮発物をガス抜き操作により十分に除去しなければならず、ガス抜き操作が不十分な場合には成形品の膨れや内部ボイドが発生する可能性があり、得られるセパレータの電気伝導性、ガス不透過性および機械的強度が不十分になるなど、性能の安定したものを製造することが難しかった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭61−7570号公報(特許請求の範囲、第2頁)
【0008】
【特許文献2】
特開昭61−7571号公報(特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献3】
特開昭61−10872号公報(特許請求の範囲、第2頁)
【0010】
【特許文献4】
特開平2−153877号公報(第2頁)
【0011】
【特許文献5】
特開平8−222241号公報(第3頁)
【0012】
【特許文献6】
特開昭59−57975号公報(特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献7】
特開昭63−64963号公報(第2−3頁)
【0014】
【特許文献8】
特開平4−214072号公報(第3−4頁)
【0015】
【特許文献9】
特開昭58−178960号公報(第2頁)
【0016】
【特許文献10】
特開昭60−246568号公報(第2頁)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電気伝導性、ガス不透過性、機械的強度および寸法安定性などがバランス良く優れ、且つこれらの性能が長期間安定した燃料電池用セパレータ、およびその安価な製造方法、ならびに該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)を導電材(B)のバインダーとして用いることにより、従来品に比べて寸法安定性に優れ、且つ電気伝導性、ガス不透過性および機械的強度に優れた燃料電池用セパレータが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりの燃料電池用セパレータ、その製造方法および該燃料電池用セパレータを用いた燃料電池を提供するものである。
項1. ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物を加熱成形してなる燃料電池用セパレータ。
項2. 熱硬化性樹脂(A)1〜50重量%および導電材(B)99〜50重量%を含有する導電性樹脂組成物を加熱成形してなる項1に記載の燃料電池用セパレータ。
項3. 導電材(B)が黒鉛である項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
項4. 黒鉛が、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛および人造黒鉛からなる群より選択される少なくとも1種である項3に記載の燃料電池用セパレータ。
項5. 黒鉛が、黒鉛材の粉砕物または切削粉である項3に記載の燃料電池用セパレータ。
項6. 熱硬化性樹脂(A)が、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)およびフェノール樹脂(b)を含む項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
項7. フェノール樹脂(b)が、ノボラック型フェノール樹脂または固形レゾール型フェノール樹脂である項6に記載の燃料電池用セパレータ。
項8. ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)が、一般式(1);
【0020】
【化2】
Figure 2004103494
【0021】
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。)で表される官能基を1個以上有する化合物である項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
項9. 固有抵抗が30mΩ・cm以下で、ヘリウム透過度が30cm/m・24h・atm以下で、且つ曲げ強度が30〜100MPaである項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
項10. 項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物を加圧してタブレットを成形し、次いで該タブレットを圧縮成形により加熱硬化させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
項11. 項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物をトランスファ成形または射出成形により加熱硬化させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
項12. 項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータを有してなる燃料電池。
項13. 固体高分子形である項12に記載の燃料電池。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料電池用セパレータにおいて、導電材(B)のバインダーとして用いられる熱硬化性樹脂(A)は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含んでなる。
【0023】
本発明に用いられるジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)とは、分子内に一般式(1);
【0024】
【化3】
Figure 2004103494
【0025】
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。)で表されるジヒドロベンゾオキサジン環を含む官能基を1個以上有し、その開環反応によってフェノール性水酸基を生成するものであれば特に限定されるものではない。このジヒドロベンゾオキサジン環を含む官能基を1個以上有する化合物は、例えば、フェノール性水酸基を1個以上有する化合物、アミノ基を1個以上有する化合物、およびホルムアルデヒド化合物を、溶媒中もしくは無溶媒中で反応させることにより調製される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
フェノール性水酸基を1個以上有する化合物としては、フェノール核の少なくとも1つのオルト位が空いた(置換されていない)化合物であれば特に限定されず、例えば、フェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、4−n−ノニルフェノール、4−n−オクチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノールなどのアルキルフェノール類の他、p−シクロヘキシルフェノール、p−クミルフェノール、p−フェニルフェノール、p−アリルフェノール、α−またはβ−ナフトールなどのフェノール性水酸基を1個有する化合物も使用できる。また、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物の例としては、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジフルオロビスフェノールA、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール、4,4’−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、テルペンジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、4,4’,4’’−メチリデントリスフェノールなどが挙げられる。さらに、上記フェノール化合物とホルマリンを公知の方法で反応させたオリゴマーとして、例えば、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールFノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールSノボラック型フェノール樹脂、ナフトールノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂も使用できる。また、トリアジン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ベンゾグアナミン変性フェノール樹脂、マレイミド変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、ブタジエン変性フェノール樹脂、ナフトール変性フェノール樹脂、ナフタレン変性フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂などの各種変性フェノール樹脂、さらにはポリ(p−ビニルフェノール)およびその共重合体などのフェノール性水酸基を有する他のオリゴマーやポリマーも使用できる。これらのフェノール性水酸基を1個以上有する化合物は、その使用にあたっては1種類単独使用のみに限定されるものではなく、2種類以上の併用も可能である。
【0027】
また、アミノ基を1個以上有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ノニルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリルアミンなどのアルキルモノアミン類およびアルケニルモノアミン類、アニリン、p−シアノアニリン、p−ブロモアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、3,4−キシリジン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、3−アミノフェニルアセチレンなどの芳香族モノアミン類などが挙げられる。さらに、ベンジルアミン、2−アミノ−ベンジルアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,10−ジアミノデカン、2,7−ジアミノフルオレン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、9,10−ジアミノフェナントレン、1,4−ジアミノピペラジン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−オキシジアニリン、フルオレンテトラアミン、テトラアミンジフェニルエーテル、メラミンなども使用できる。
【0028】
さらに、ホルムアルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド水溶液であるホルマリン、あるいはその重合物であるトリオキサン、パラホルムアルデヒドなどをいずれも使用することができる。
【0029】
反応溶媒としては、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1−プロパノール、1−ブタノール、メタノールなどの溶媒を用いることができる。
【0030】
上記反応においては、フェノール性水酸基1モルに対して、アミノ基1モルおよびホルムアルデヒド化合物2モル以上を用いるのが好ましい。反応温度は80〜100℃が好ましい。反応温度が80℃未満の場合は反応が進行しにくく、100℃を超える場合は一旦生成したジヒドロベンゾオキサジン環が開環してオリゴマー化するという副反応が促進される。反応時間は、反応温度にもよるが、2〜6時間で反応が完結する。
【0031】
反応終了後、溶媒を留去し、必要に応じて水洗浄またはアルカリ洗浄操作を行ない、未反応のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン類、およびホルムアルデヒド化合物を除去することにより、ジヒドロベンゾオキサジン構造を有する化合物が得られる。
【0032】
上記のようにして得られるジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物としては、例えば、以下の一般式(2)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
一般式(2):
【0034】
【化4】
Figure 2004103494
【0035】
一般式(2)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などが1置換、2置換、3置換、または4置換したものを示す。
【0036】
一般式(3):
【0037】
【化5】
Figure 2004103494
【0038】
一般式(3)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。R10は単結合、または置換基を有していてもよいアルキレン基、同じくアリーレン基、同じくアルケニレン基、同じくアルキニレン基、同じくアラルキレン基、またはカルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、シリレン基、シロキサン基、メチレンエーテル基、エステル基、スルホニル基などを示す。R11およびR12は同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などが1置換、2置換、または3置換したものを示す。なお、上記R10の例としては、
【0039】
【化6】
Figure 2004103494
【0040】
などが挙げられる。
【0041】
一般式(4):
【0042】
【化7】
Figure 2004103494
【0043】
一般式(4)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などを示す。nは2〜200の整数である。
【0044】
一般式(5):
【0045】
【化8】
Figure 2004103494
【0046】
一般式(5)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。Rは水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルコキシ基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、同じくアラルキル基、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、アルキル(アリール)スルホニル基などを示す。mは0〜100の整数である。
【0047】
上記の化合物の中でも、一般式(3)および(5)で表される化合物が好ましい。
【0048】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)の硬化温度を低下させ、且つ硬化時間を短くすることにより、得られるセパレータの生産性を高め、コストを低減することができる。そのためには、フェノール樹脂(b)を熱硬化性樹脂(A)に添加することが好ましい。
【0049】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂(A)に添加することのできるフェノール樹脂(b)は公知のものでよく、特に限定されない。フェノール樹脂は、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類、またはα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを、酸性あるいは塩基性触媒下で縮合または共縮合させて容易に得られる。具体的には、例えば、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールFノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールSノボラック型フェノール樹脂、ナフトールノボラック型フェノール樹脂、ポリフェノール型フェノール樹脂、脂肪族フェノール樹脂、芳香族エステル型フェノール樹脂、環状脂肪族エステル型フェノール樹脂、エーテルエステル型フェノール樹脂、ジメチレンエーテル型フェノール樹脂、および上記ノボラック型フェノール骨格を用いたレゾール型のフェノール樹脂、さらには固形レゾール型フェノール樹脂などが使用できる。また、トリアジン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ベンゾグアナミン変性フェノール樹脂、マレイミド変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、ブタジエン変性フェノール樹脂、フェノール類および/またはナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、キシレン変性フェノール樹脂、ナフトール変性フェノール樹脂、ナフタレン変性フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂などの各種変性フェノール樹脂も使用できる。これらを1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、ノボラック型のフェノール樹脂、もしくは固形レゾール型フェノール樹脂を用いるのが好ましい。フェノール樹脂(b)の添加方法は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)とフェノール樹脂(b)を、乾式混合、溶融混合または溶液混合させる方法が挙げられ、乾式混合または溶融混合するのが好ましい。フェノール樹脂(b)の添加量は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)5〜95重量%に対し、フェノール樹脂(b)95〜5重量%が好ましい。より好ましくは、(a)成分20〜80重量%に対し、(b)成分80〜20重量%である。
【0050】
また、熱硬化性樹脂(A)の硬化温度をさらに低下させ、且つ硬化時間もさらに短くするために、硬化剤または硬化促進剤等を、得られる燃料電池用セパレータの所期の特性を損なわない範囲で、熱硬化性樹脂(A)に添加することができる。
【0051】
本発明で用いられる硬化剤としては、多官能性フェノール化合物(フェノール性水酸基を2個以上有する化合物)が挙げられる。多官能性フェノール化合物の具体例としては、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジフルオロビスフェノールA、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール、4,4’−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、テルペンジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、4,4’,4’’−メチリデントリスフェノール、さらにはポリ(p−ビニルフェノール)およびその共重合体などのフェノール性水酸基を2個以上有する他のオリゴマーやポリマーなどが挙げられる。これらは1種単独または2種以上を混合して使用することができる。これら多官能性フェノール化合物の配合量は、熱硬化性樹脂(A)50〜95重量%に対し、多官能性フェノール化合物50〜5重量%が好ましい。より好ましくは、(A)成分60〜90重量%に対し、多官能性フェノール化合物40〜10重量%である。
【0052】
また、本発明で用いられる硬化促進剤としては、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)の開環重合反応を促進させる硬化促進剤として、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、酢酸、乳酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、サリチル酸、シュウ酸、ピメリン酸、スベリン酸、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、トルイル酸などの有機カルボン酸および有機ジカルボン酸、さらにその他の有機酸や有機酸塩、カルボン酸変性ポリエステル樹脂、カルボン酸変性アクリルゴム樹脂、カルボン酸末端ポリプロピレングリコールなどが利用できる。また、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−オキシジアニリン、テトラアミンジフェニルエーテル等の芳香族アミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5等も硬化促進剤として添加することができる。さらに、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)の開環重合反応を促進させるその他の硬化促進剤として、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、錫等の金属類、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化銀、酸化第一錫、酸化第二錫、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ニッケル、水酸化銅、水酸化亜鉛等の金属水酸化物等、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛等の金属有機酸塩が挙げられる。さらに、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)の開環重合反応を促進させるリン系硬化促進剤として、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類およびこれらの有機ホスフィン類に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等の化合物を付加してなる化合物が挙げられる。その他にもテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩およびこれらの誘導体等が挙げられる。以上のうち、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、トリフェニルホスフィンが好ましい。これら硬化促進剤の配合量は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。0.01重量部未満の場合には硬化特性が劣り、20重量部を超えると過剰の硬化促進剤が硬化物物性を低下させるので好ましくない。これらは1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
以上のように、本発明の熱硬化性樹脂(A)は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)のみからなる樹脂でもよいし、また、硬化温度を低下させ、且つ硬化時間を短くするために、フェノール樹脂(b)、または硬化剤や硬化促進剤を添加し、これらを乾式混合、溶融混合または溶液混合させて熱硬化性樹脂(A)を得てもよい。この場合の溶融混合温度は60〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。溶液混合に用いられる溶媒としては、(a)成分およびフェノール樹脂(b)、または硬化剤や硬化促進剤と相溶するものであれば特に限定されないが、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒などを用いるのが好ましい。
【0054】
溶融混合または溶液混合して調製した熱硬化性樹脂(A)は、これを冷却または溶媒留去した後に粉砕して、熱硬化性樹脂(A)の粉末を得ることができる。
【0055】
このようにして得られた上記の熱硬化性樹脂(A)に、導電材(B)を配合することにより導電性樹脂組成物が得られる。
【0056】
本発明で用いられる導電材(B)としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラックなど)、カーボンウイスカ、非晶質炭素、カーボンファイバー(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、フェノール樹脂繊維を原料とする炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、気相成長法炭素繊維など)、カーボン短繊維、グラッシーカーボン、あるいはステンレス、鉄、銅、真鍮、アルミニウム、ニッケルなどの金属ファイバー、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセンなどの各種導電性高分子の繊維、無機・有機繊維に金属を蒸着またはメッキした繊維、ステンレス、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化インジウム、アルミニウム、鉄、銅、金、銀、白金、チタン、ニッケル、マグネシウム、パラジウム、クロム、錫、タンタル、ニオブなどの金属粉末およびそれらの合金粉末などが挙げられる。さらに、珪化鉄、珪化モリブデン、珪化ジルコニウム、珪化チタンなどの金属珪化物系、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド、炭化カルシウム、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化バナジウムなどの金属炭化物系、硼化タングステン、硼化チタン、硼化タンタル、硼化ジルコニウムなどの金属硼化物系、または窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ガリウム、窒化ニオブ、窒化バナジウム、窒化硼素などの金属窒化物系の導電性セラミックも用いることができる。また、ペロブスカイト型酸化物などの導電性セラミックも同様に用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記導電材のうち、黒鉛、カーボンブラック、カーボンファイバーを用いるのが好ましく、黒鉛を用いるのがより好ましい。
【0057】
本発明で用いられる黒鉛としては、特に限定されるものではなく、例えば、鱗片状あるいは土塊状の天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛、人造黒鉛のいずれも用いることができる。また、これらの黒鉛を濃硫酸、硝酸などの酸化剤により酸化処理し、水洗、加熱して得られる膨張黒鉛;メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ粉末、等方性ピッチなどの黒鉛化物;薄片状黒鉛にバインダーを添加して混練し、所定形状に造粒したものを乾燥または焼成することによって得られる粒状黒鉛;などの種類の黒鉛も使用することができる。さらに、フッ化グラファイトやハロゲン原子、ハロゲン化合物をインターカレートしたグラファイト層間化合物、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレンなども使用できる。上記黒鉛のうち、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノチューブを用いるのが好ましい。このうち、人造黒鉛としては、ニードルコークスを原料とするものが好ましい。
【0058】
また、黒鉛としては、黒鉛材の粉砕物または切削粉を用いることもできる。黒鉛材の粉砕物または切削粉としては、黒鉛質のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、鉄鋼用加炭材の他、放電加工用電極、連続鋳造用ダイス、電解用電極、製鋼用電極、電解板、半導体治工具、シリコン単結晶製造用部材、鋳型材、金属用型枠、高温炉部材などに用いる黒鉛材の粉砕物または切削粉が挙げられる。また、黒鉛材の機械加工時に発生する、通常は廃棄される黒鉛粉や黒鉛材の不良品の粉砕物も用いることができる。上記黒鉛材の粉砕物または切削粉のうち、鉄鋼用加炭材、放電加工用電極、電解板、半導体治工具、シリコン単結晶製造用部材、金属用型枠、高温炉部材などに用いる黒鉛材の粉砕物または切削粉を用いるのが好ましい。
【0059】
上記の黒鉛は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
本発明で用いられる黒鉛の平均粒径は、特に制限はないが、樹脂との混合性および成形性を考慮すると150μm以下が好ましく、5〜100μmがより好ましい。
【0061】
上記熱硬化性樹脂(A)と導電材(B)の配合比率は、熱硬化性樹脂1〜50重量%/導電材99〜50重量%が好ましく、熱硬化性樹脂5〜35重量%/導電材95〜65重量%がより好ましく、熱硬化性樹脂10〜30重量%/導電材90〜70重量%が特に好ましい。熱硬化性樹脂の配合比率が50重量%を超えると得られるセパレータの電気伝導性が低下する傾向にあり、1重量%未満だと気体透過度が増大し、且つ機械的強度も低下する傾向にある。
【0062】
上記熱硬化性樹脂(A)と導電材(B)の混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液ブレンド法およびドライブレンド法が挙げられる。溶液ブレンド法は、熱硬化性樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液に黒鉛などの導電材を配合した後、ヘンシェルミキサーなどでよく混合して乾燥(脱溶媒)し、得られた混合物を最適な大きさに粉砕する方法である。溶液ブレンド法に用いられる溶媒としては、熱硬化性樹脂が溶解する溶媒であれば特に限定されず、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒などを用いるのが好ましい。また、ドライブレンド法は、粉末状の熱硬化性樹脂を、黒鉛などの導電材と、ロール、押出し機、バンバリーミキサー、Vブレンダー、ニーダ、リボンミキサー、ヘンシェルミキサーなどを用いて混合するという非常に簡便な方法である。ドライブレンド法の場合、用いる熱硬化性樹脂と導電材の混合性を高めるために、熱硬化性樹脂の平均粒子径は1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましい。熱硬化性樹脂の平均粒子径が1000μmを超えると、導電材との混合性が悪くなる傾向があり、1μm未満だと粒子が凝集する傾向にある。上記溶液ブレンド法およびドライブレンド法のいずれの場合も、混合温度は、熱硬化性樹脂が硬化しない温度、あるいは溶融または硬化が若干進行する温度である0〜100℃が好ましく、室温〜80℃がより好ましい。コストや作業性を考慮すると、ドライブレンド法を用いるのが好ましい。
【0063】
上記溶液ブレンド法あるいはドライブレンド法により熱硬化性樹脂(A)と導電材(B)とを混合して得られた導電性樹脂組成物は、所定の金型に入れて加熱することにより硬化するが、その硬化性は、用いるジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)の種類や配合量、または加熱温度や昇温の仕方等により異なり、短時間で硬化させることもできるし、また非常に緩やかに硬化させることもできる。いずれの場合も、温度と時間を調節しながら完全硬化させることができる。
【0064】
本発明の燃料電池用セパレータを製造する方法は、特に限定されない。例えば、熱硬化性樹脂(A)と導電材(B)とを混合して得られた導電性樹脂組成物を、そのまま、酸化剤ガス供給溝、燃料ガス供給溝、マニホールドその他の燃料電池セパレータに必要な形状を予め設けた所定形状の金型に入れて、圧縮成形により加熱硬化させてもよいし、該導電性樹脂組成物を、硬化しない温度で加圧してタブレットを成形し、次いで該タブレットを、所定形状の金型を用いて圧縮成形により加熱硬化させてもよい。
【0065】
その他、生産性を高めるために、多段プレス、射出成形、あるいはトランスファ成形によっても、本発明の燃料電池用セパレータは製造可能である。さらには、成形時間を数秒〜数分にして成形品を金型から取り出して所定数量の成形品を得た後に、オーブン中で全ての成形品をまとめて加熱硬化させてもよい。特に、これまでの燃料電池用セパレータは、必要な導電性を付与する目的で黒鉛などの導電材を多量に添加しているため、流動性に欠け、トランスファ成形または射出成形による生産は、従来困難であるとされてきた。しかし、本発明の燃料電池用セパレータは、これらの成形方法でも成形が可能であるため、コストを低減できるだけでなく、高強度且つ反りもなく、寸法安定性や厚み精度に優れたセパレータが得られる。
【0066】
上記成形方法において、加熱硬化温度は80〜250℃であるのが好ましく、100〜220℃であるのがより好ましい。また、硬化時間は30秒〜4時間であるのが好ましく、1分〜2時間であるのがより好ましく、1分〜1時間であるのが特に好ましい。成形圧力は5〜60MPaであるのが好ましく、10〜50MPaであるのがより好ましい。
【0067】
以上のようにして得られる本発明の燃料電池用セパレータは、JIS K 7126のA法に準拠したヘリウム透過度が30cm/m・24h・atm以下であり、好ましくは20cm/m・24h・atm以下であり、より好ましくは10cm/m・24h・atm以下である。また、JIS R 7222の電圧降下法による固有抵抗が30mΩ・cm以下であり、好ましくは20mΩ・cm以下であり、より好ましくは0.1〜15mΩ・cmである。また、JIS K 7203に準拠した曲げ強度が30〜100MPaであり、好ましくは40〜90MPaである。また、JIS K 7203に準拠した曲げ弾性率が3〜60GPaであり、好ましくは10〜50GPaである。
【0068】
本発明の燃料電池用セパレータは、携帯用、自動車用あるいは家庭用電源としての燃料電池に使用できる。その他、人工衛星や宇宙開発用電源、キャンプ場での簡易電源、航空・船艇などの移動用電源としての燃料電池にも使用できる。そのために必要に応じて、導電材以外の各種のフィラーを配合して硬化させることもできる。このようなフィラーとしては、例えば、木粉、パルプ粉、各種織物粉砕物、熱硬化性樹脂硬化物の粉砕品などの有機粉末、あるいはシリカ、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土鉱物、アルミナ、珪砂、ガラスなどの無機粉末や無機粒状物、さらにはシリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、天然ゴム、ブタジエンゴムなどのゴム類などが挙げられる。フィラーの配合量は適宜選択することができるが、例えば、導電性樹脂組成物に対して20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。また、強化用繊維基材として、紙、ガラス繊維、フェノール樹脂繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、シリコンカーバイド繊維、セラミック繊維なども導電材以外のフィラーとして使用できる。強化用繊維基材の含有量は適宜選択することができるが、例えば、導電性樹脂組成物に対して30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。さらに、成形性、耐久性、耐候性、耐水性などを改良する目的で、離型剤、増粘剤、滑剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、難燃剤、親水性付与剤などの添加剤も、燃料電池用セパレータの特性を損なわない範囲で添加できる。
【0069】
さらに、本来、黒鉛などの導電材は疎水性であるため、燃料電池内の電極反応で発生した生成水に対して濡れ性が悪く、セパレータ表面に形成したガス流路に生成水が詰まってしまうという“フラッディング”の問題がある。そこで、セパレータ表面の少なくとも1部に親水性官能基を有する導電性カーボン等を用いることにより、セパレータ表面と水との濡れ性を向上させ、セパレータ内に滞留する生成水を速やかに排出することができるので、電池性能の向上が見込まれる。親水性官能基を有するカーボンは、例えば、カーボンを空気中等の酸素を含む酸化雰囲気下で約400〜600℃の温度で短時間に焼成処理する方法、オゾン雰囲気下で処理する方法、酸素、空気またはアルゴンガス中でプラズマ処理する方法、コロナ放電する方法、紫外線照射処理する方法、硝酸等の酸溶液に浸水処理し水洗する方法などにより得られる。また、親水性物質を導電材に対して1〜50重量%加えることによっても、セパレータ表面と水との濡れ性を向上させ、セパレータ内に滞留する生成水を速やかに排出することができる。親水性物質としては、親水性を備えており、水に溶解しにくいものであればよい。例えば、表面に水酸基やカルボキシル基などの親水性官能基を多量に有している酸化珪素や酸化アルミニウム、吸水性の樹脂であるデンプン・アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、イオン交換樹脂、吸水性多糖類等を挙げることができる。
【0070】
また、金属板を本発明で用いる導電性樹脂組成物の内部にインサートし、加熱成形することにより、導電性、ガス不透過性および機械的強度に優れた金属セパレータを製造できる。この金属セパレータは、金属板が導電性樹脂組成物の内部にインサートされているので割れにくく、且つ金属板は導電性樹脂組成物で被覆されているので腐食を防止できる。この時、導電性樹脂組成物は、金属板基板上でガス流路形状に成形するのが好ましい。また、金属板の母材としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の軽量で比強度が高い金属もしくはその合金からなる金属、またはステンレス、銅、ニッケル、鉄、鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼などを用いるのが好ましい。さらに、用いる金属板の両表面は、電解エッチング、化学エッチング、超音波ホーニングまたはショットブラストなどにより適度に粗面化しておくと、導電性樹脂組成物を強固に被着させることができる。
【0071】
金属板と同様に、膨張黒鉛シートを導電性樹脂組成物の内部にインサートし、加熱成形することにより、導電性、ガス不透過性および機械的強度に優れたセパレータを製造できる。このセパレータは、膨張黒鉛シートが導電性樹脂組成物の内部にインサートされているので割れにくい。この時、導電性樹脂組成物は、膨張黒鉛シート上でガス流路形状に成形するのが好ましい。
【0072】
また、導電材のみを予め加圧成形し、その成形体に形成される空隙を塞ぐために本発明で用いる熱硬化性樹脂を含浸・加熱硬化することによっても、燃料電池用セパレータが得られる。その含浸方法としては、熱硬化性樹脂(A)を溶媒に溶解させ、得られた溶液を成形体に含浸させて乾燥(脱溶媒)して加熱硬化させる溶媒含浸法、また、熱硬化性樹脂(A)を溶融させて成形体に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱硬化させる溶融含浸法等が挙げられる。溶媒含浸法に用いられる溶媒としては、熱硬化性樹脂が溶解する溶媒であれば特に限定されず、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒などを用いるのが好ましい。溶融含浸法の場合、熱硬化性樹脂の溶融含浸温度は、60〜170℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
【0073】
さらに、本発明で用いる導電性樹脂組成物を加熱成形して得られる成形体の樹脂成分を焼成し、炭素化または黒鉛化することによっても、機械的強度および導電性に優れた燃料電池用セパレータを製造できる。この時、焼成は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、800℃以上の温度で行うのが好ましく、1500℃以上で行うのがより好ましい。
【0074】
一般的に、燃料電池用セパレータは厚み精度に対する要求が高い。これはセパレータと電極が接触して電気を通しているので、厚み精度が悪いとセパレータ同士、あるいはセパレータと電極との間の接触面積が減少し、接触抵抗が大きくなって導電性が悪くなってしまうためである。また、セパレータの厚み精度が悪いと、セパレータ同士、あるいはセパレータと電極との間に隙間ができることから、セパレータをボルト等で締め付ける際に歪みがかかって割れることがあるからでもある。すなわち、セパレータの厚み精度が高いほど接触抵抗が低減され、且つ割れにくくなることから、燃料電池の性能が向上することになる。本発明の燃料電池用セパレータは、特にトランスファ成形や射出成形が可能であることから、厚み精度の優れたセパレータが得られるので、従来のセパレータを用いた燃料電池よりも電気伝導性、機械的強度などの性能が向上した燃料電池を製造することができる。
【0075】
また、燃料電池内の接触抵抗をさらに低減し、発電効率を高め、且つ耐食性・耐久性に優れた燃料電池用セパレータを得るため、電極と接触する面の少なくとも1部に導電性の被膜を形成してもよい。導電性の被膜としては、カーボングラファイト、チタン、クロム、白金族金属またはその酸化物、炭化タンタル、窒化チタン、炭化チタン、炭化窒化チタン、窒化アルミチタン、炭化珪素、導電性ポリマーなどを用いることができる。なお、その形成方法は、スパッタリング、蒸着、メッキやペースト塗布等が挙げられる。
【0076】
本発明の燃料電池用セパレータは、固体高分子形をはじめとして、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形などの様々な燃料電池のセパレータとして使用可能である。これらのうちでも、固体高分子形燃料電池用セパレータとして好適である。
【0077】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0078】
実施例および比較例において使用した試料は以下のとおりである。
【0079】
分子内に2個のジヒドロベンゾオキサジン環を有する2,2−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)プロパン(上記一般式(3)で表される化合物に該当する。分子量:462)(以下、B−aと略す)は、四国化成工業(株)のものを用いた。また、フェノールノボラック型フェノール樹脂(以下、N1と略す)は、大日本インキ化学工業(株)製フェノライトTD2131を用いた。比較例に用いたフェノール樹脂も、大日本インキ化学工業(株)製フェノライトTD2131である。
【0080】
実施例および比較例において使用した黒鉛は以下のとおりである。
【0081】
電解板、金属用型枠や高温炉部材などの電気用、治金用および化学構造用の人造黒鉛製品として使用されている新日化テクノカーボン(株)製エスカファイトGE−134をベルトサンダー(エンドレスペーパ)で粉砕したもの(平均粒径:約30μm;以下、GE−134と略す)、および鉄鋼用加炭材として使用されている新日化テクノカーボン(株)製TKCライザーをボールミルで粉砕したもの(平均粒径:約50〜60μm;以下、TKCと略す)を黒鉛粉末として用いた。さらに、中越黒鉛工業所(株)製の膨張黒鉛BSP−2(平均粒径:約40〜50μm;以下、BSP−2と略す)および中越黒鉛工業所(株)製の鱗片状黒鉛CBR(平均粒径:約18μm;以下、CBRと略す)も用いた。
【0082】
実施例および比較例における特性の評価は、以下に示す試験規格および条件によって行った。
1.気体透過性試験:JIS K 7126のA法に準じて、厚さ1mm、φ100mmの円形状試験片を用いて、圧力1atm、23℃におけるヘリウム(He)透過度を測定した。
2.固有抵抗測定:JIS R 7222に準じて、電圧降下法により固有抵抗の測定を行った。
3.曲げ試験:JIS K 7203に準じて、矩形の試験片(長さ60mm×幅15mm×厚さ1mm)を用いて、試験速度1mm/分、支点間距離40mmで、3点曲げ法により室温にて曲げ試験を行って、曲げ強度と曲げ弾性率を測定した。
4.密度測定:JIS K 7112のA法(水中置換法)に準じて密度を測定した。
【0083】
実施例1〜6
熱硬化性樹脂(A)として、ジヒドロベンゾオキサジン化合物(B−a、a成分)のみからなる樹脂を用いた。まず、このB−aと、導電材である黒鉛(GE−134、BSP−2、CBR)とを、20:80の重量比で配合し、ドライブレンドした後、ミキサーで十分に混合した。得られた導電性樹脂組成物を室温でタブレット化した後、金型を用いて、180℃あるいは200℃で30分間、30MPaで圧縮成形することにより、厚さ1mmの燃料電池セパレータ用のカーボン成形体を得た。得られたカーボン成形体について、気体透過性試験、固有抵抗測定、曲げ試験および密度測定を行った。180℃で成形した結果(実施例1〜3)を表1に、200℃で成形した結果(実施例4〜6)を表2に示す。
【0084】
実施例7〜14
熱硬化性樹脂(A)として、ジヒドロベンゾオキサジン化合物(B−a、a成分)とノボラック型フェノール樹脂(N1、b成分)の混合物を用いた。まず、B−aにフェノール樹脂としてN1を、B−a:N1=70:30の重量比(B−a:N1=100重量部:43重量部に相当する)で配合し、130℃で溶融混合することにより熱硬化性樹脂(A)を得た。次に、この熱硬化性樹脂(A)を粉砕した後、これと導電材である黒鉛(GE−134、BSP−2、CBR、TKC)とを、20:80の重量比で配合し、ドライブレンドした後、ミキサーで十分に混合した。得られた導電性樹脂組成物を室温でタブレット化した後、金型を用いて、180℃あるいは200℃で10分間、30MPaで圧縮成形することにより、厚さ1mmの燃料電池セパレータ用のカーボン成形体を得た。得られたカーボン成形体について、気体透過性試験、固有抵抗測定、曲げ試験および密度測定を行った。180℃で成形した結果(実施例7〜10)を表3に、200℃で成形した結果(実施例11〜14)を表4に示す。
【0085】
比較例1〜4
フェノールノボラック型フェノール樹脂(N1)100重量部に、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを10重量部配合して、一般的なフェノール樹脂組成物を得た。このフェノール樹脂組成物と、導電材である黒鉛(GE−134、BSP−2、CBR、TKC)とを、20:80の重量比で配合し、ドライブレンドした後、ミキサーで十分混合した。得られた導電性樹脂組成物を室温でタブレット化した後、金型を用いて、170℃で10分間、30MPaで圧縮成形することにより、厚さ1mmの燃料電池セパレータ用のカーボン成形体を得た。得られたカーボン成形体について、気体透過性試験、固有抵抗測定、曲げ試験および密度測定を行った。結果を表1〜4に示す。
【0086】
【表1】
Figure 2004103494
【0087】
【表2】
Figure 2004103494
【0088】
【表3】
Figure 2004103494
【0089】
【表4】
Figure 2004103494
【0090】
実施例15〜17
実施例7〜9で得られた導電性樹脂組成物を、トランスファ成形(型締め圧20MPa、注入圧力10MPa)により180℃で10分間成形し、厚さ3mmの燃料電池セパレータ用のカーボン成形体を得た。得られたカーボン成形体は、特に厚み精度が優れており、且つ機械的強度、電気伝導性およびガス不透過性も非常に優れていた。
【0091】
実施例18〜22
固体高分子膜としてナフィオン(デュポン(株)製)、電極としてカーボンペーパーを用い、常法により接合して一体化電極を得た。この一体化電極を実施例5〜9で得られた一対のセパレータで挟んで、燃料ガス流路および酸化剤ガス流路を有する単位セルを得た。これらの単位セルは水素および酸素を供給することにより充放電可能であり、燃料電池単位セルとして有効に機能することを認めた。
【0092】
表1〜表4に示した結果から明らかなように、実施例で得られた燃料電池セパレータ用カーボン成形体は、従来のフェノール樹脂を用いた比較例のカーボン成形体と比べて、気体不透過性、電気伝導性、機械的強度がバランスよく、且つ非常に優れている。また、特に実施例7〜14で得られた燃料電池セパレータ用カーボン成形体は密度も低いことから、軽量性も優れていることがわかった。
【0093】
また、トランスファ成形によっても、燃料電池セパレータ用カーボン成形体が容易に成形できることがわかった。さらに、得られたカーボン成形体をセパレータとして用いた燃料電池は充放電可能であり、有効に機能することがわかった。
【0094】
これらのことから、実施例で得られたカーボン成形体が、燃料電池用セパレータとして有用であることが明白である。
【0095】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用セパレータは、気体不透過性、電気伝導性、機械的強度および軽量性が非常に優れており、しかも、これらの性能が長期間安定的に維持される。また、本発明に用いる熱硬化性樹脂は、硬化反応過程でホルムアルデヒド、縮合水あるいはアンモニアガスなどの揮発物が発生しないため、寸法安定性が良好で、電気伝導性、気体不透過性および機械的強度に優れた燃料電池用セパレータを安価に製造することができる。

Claims (13)

  1. ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物を加熱成形してなる燃料電池用セパレータ。
  2. 熱硬化性樹脂(A)1〜50重量%および導電材(B)99〜50重量%を含有する導電性樹脂組成物を加熱成形してなる請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 導電材(B)が黒鉛である請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 黒鉛が、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛および人造黒鉛からなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 黒鉛が、黒鉛材の粉砕物または切削粉である請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
  6. 熱硬化性樹脂(A)が、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)およびフェノール樹脂(b)を含む請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  7. フェノール樹脂(b)が、ノボラック型フェノール樹脂または固形レゾール型フェノール樹脂である請求項6に記載の燃料電池用セパレータ。
  8. ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)が、一般式(1);
    Figure 2004103494
    (式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同じくアリール基、同じくアルケニル基、同じくアルキニル基、または同じくアラルキル基を示す。)で表される官能基を1個以上有する化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  9. 固有抵抗が30mΩ・cm以下で、ヘリウム透過度が30cm/m・24h・atm以下で、且つ曲げ強度が30〜100MPaである請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物を加圧してタブレットを成形し、次いで該タブレットを圧縮成形により加熱硬化させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法であって、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(a)を含む熱硬化性樹脂(A)、および導電材(B)を含有する導電性樹脂組成物をトランスファ成形または射出成形により加熱硬化させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用セパレータを有してなる燃料電池。
  13. 固体高分子形である請求項12に記載の燃料電池。
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