JP5520104B2 - 燃料電池セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
酸化剤電極反応 : 2H++2e−+1/2O2→H2O…(2)
全体反応 : H2+1/2O2→H2O
即ち、燃料電極上で水素(H2)はプロトン(H+)となり、このプロトンが固体高分子電解質膜4中を酸化剤電極上まで移動し、酸化剤電極上で酸素(O2)と反応して水(H2O)を生ずる。従って、固体高分子型燃料電池の運転には、反応ガスの供給と排出、電流の取り出しが必要となる。
空気極反応 : 3/2O2+6H++6e−→3H2O…(2’)
全体反応 : CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O
メタノール直接型燃料電池(DMFC)と通常の固体高分子型燃料電池との全体反応同士を比較すると、メタノール直接型燃料電池では6倍の水が発生しているので、酸化剤電極からの液体状態の水の排出が更に重要となる。
また、本発明者は、燃料電池セパレータの薄型化や軽量化に伴って、従来の成形法では燃料電池セパレータの密度のばらつきが大きくなることにより生じる問題にも着目した。薄型の燃料電池セパレータにおいて密度のばらつきが生じると、密度の低い部分が起点となって割れが生じやすくなり、このため歩留まりの悪化を招くと共に、それによる生産コストの増大を招いてしまう。
各実施例及び比較例につき、表1に示す原料成分を攪拌混合機(ダルトン製「5XDMV−rr型」)に表1に示す組成となるように入れて攪拌混合し、得られた混合物を整粒機で粒径500μm以下に粉砕することで、成形用組成物を得た。
各実施例及び比較例について、10枚のセパレータAを作製した。各セパレータAの、凸部1aが形成されていない外周部分の4つの各辺部分から、それぞれ平面視10mm×40mmの試験片を2つずつ切り出し、一つのセパレータAあたり8個の試験片を得た。
密度=[a/(a−b)]×ρw.t
a:空気中で測定された試験片の重量(g)。
b:蒸留水中で測定された試験片の重量(g)。
ρw.t:測定時温度における蒸留水の密度。
◎:密度のばらつき幅が0.01g/cm3以下。
○:密度のばらつき幅が0.01g/cm3より大きく、0.015g/cm3以下。
×:密度のばらつき幅が0.015g/cm3より大きい。
各実施例及び比較例において、同一の金型を用いて50枚のセパレータAを連続して作製した。
◎:密度のばらつき幅が0.01g/cm3より大きいセパレータAが1枚も存在しない場合。
○:密度のばらつき幅が0.01g/cm3より大きく、0.015g/cm3以下となるセパレータAが少なくとも1枚存在し、且つ密度のばらつき幅が0.015g/cm3より大きいセパレータAが存在しない。
×:密度のばらつき幅が0.015g/cm3より大きいセパレータAが少なくとも1枚存在する。
各実施例で得られたセパレータAの厚みをマイクロメータで、一つのセパレータAにつき異なる12箇所の位置で測定した。各実施例につき30個のサンプルについて測定をおこない、厚みのばらつきが±15μmを超えるサンプル数で、厚み精度を評価した。表1により、各実施例では薄型成形性が良好であって、厚み精度が良いことがわかる。
各実施例及び比較例において、セパレータAを作製する場合と同じ方法で80mm×10mm×4mmの寸法の曲げ強度測定用の成形品を作製し、JIS K6911に準拠し、支点間距離64mm、クロスヘッドスピード2mm/分の条件で曲げ強度を測定した。
各実施例及び比較例において、セパレータAの厚みを3mmに形成し、このセパレータAの上下にカーボンペーパーを配置し、更にその上下に銅板を配置し、上下方向に面圧1MPaの圧力をかけた。そして、2枚のカーボンペーパー間の電圧を電圧計で測定すると共に2枚の銅板間の電流を電流計で測定し、その結果から抵抗(平均値)を計算した。なお、使用したカーボンペーパーは、東レ社製のTGP−H−Mシリーズ(090M:厚さ0.28mm、120M:厚さ0.38mm)である。
JIS K0551−4.3に準拠し、まず各実施例及び比較例におけるセパレータAをメタノールで1分間洗浄した後、イオン交換水にて1分間洗浄した。次いで、ガラス製容器中にセパレータAとイオン交換水とを、セパレータAの質量10gに対してイオン交換水が100mlとなるように入れ、90℃で50時間処理した。処理後のイオン交換水中に燐酸を添加してpH2以下に調整した後、湿式酸化−赤外線式TOC測定法(東レエンジニアリング社製「東レアストロTOC自動分析計MODEL1800」を使用)にて、有機炭酸量を測定した。
各実施例及び比較例におけるセパレータAをメタノールにて1分間洗浄した後、イオン交換水で1分間洗浄した。次いで、ポリエチレン製容器中にセパレータAとイオン交換水とを、セパレータAの質量10gに対してイオン交換水が100mlとなるように入れ、90℃で50時間処理した。処理後のイオン交換水(抽出水)をイオンクロマトグラフィ(島津製作所社製「CDD−6A」)で測定した。
各実施例及び比較例におけるセパレータAをメタノールにて1分間洗浄した後、イオン交換水で1分間洗浄した。次いで、ポリエチレン製容器中にセパレータAとイオン交換水とを、セパレータAの質量10gに対してイオン交換水が100mlとなるように入れ、90℃で50時間処理した。処理後のイオン交換水(抽出水)を導電率計で測定した。
・エポキシ樹脂A:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EOCN−1020−75」、エポキシ当量199、融点75℃)
・エポキシ樹脂B:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製「830CRP」、エポキシ当量171、25℃で液状)
・硬化剤A:ノボラック型フェノール樹脂(群栄化学社製「PSM6200」、OH当量105)
・熱硬化性フェノール樹脂A:レゾール型フェノール樹脂(群栄化学社製「サンプルA」、融点75℃、13C−NMR分析によるオルト−オルト25〜35%、オルト−パラ60〜70%、パラ−パラ5〜10%)
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学社製「TPP」)
・天然黒鉛(中越黒鉛工業所社製「WR50A」、平均粒径50μm、灰分0.05%、ナトリウムイオン4ppm、塩化物イオン2ppm)
・人造黒鉛(エスイーシー社製「SGP100」、平均粒径100μm、灰分0.05%、ナトリウムイオン3ppm、塩化物イオン1ppm)
・カップリング剤:エポキシシラン(日本ユニカー社製「A187」)
・ワックスA:天然カルナバワックス(大日化学社製「H1−100」、融点83℃)
・ワックスB:モンタン酸ビスアマイド(大日化学社製「J−900」、融点123℃)
C 燃料電池
Claims (3)
- 熱硬化性樹脂成分と黒鉛とを含有する成形用組成物を、圧縮成形する燃料電池セパレータの製造方法であって、
前記成形用組成物における前記熱硬化性樹脂成分の割合が、固形分全量に対して、15〜28質量%であり、
前記成形用組成物における前記黒鉛の割合が、固形分全量に対して、72〜85質量%であり、
前記熱硬化性樹脂成分が、エポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂の硬化剤及び触媒からなり、
前記成形用組成物が、更にカップリング剤及び内部離型剤を含有し、
前記成形用組成物の圧縮成形を、真空度95kPa以上の条件で行い、
前記成形用組成物を、密度のばらつき幅0.01g/cm3以下、厚み2.0mm以下に形成することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。 - 前記成形用組成物が、前記内部離型剤を固形分全量に対して0.1〜0.5質量%含有する請求項1に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 燃料電池セパレータの最も厚み寸法の大きい箇所の厚み寸法を0.5〜2.0mmの範囲、最も厚み寸法の小さい箇所の厚み寸法を0.3〜0.7mmの範囲に形成する請求項1又は2に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
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