JP2009104887A - 燃料電池セパレータ材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度特性が高く、優れた材質特性を備えた燃料電池セパレータ材の製造方法を提供すること。
【解決手段】ナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂と、その硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比を0.5〜1.5の割合に配合した混合樹脂、イミダゾール系硬化促進剤、および分散剤を有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液に、粒子径1〜30μmの微粒が30〜90重量%、最大粒子径が50〜100μmの粒度特性を有する黒鉛粉末を分散させて、黒鉛粉末100重量部に対して混合樹脂の樹脂固形分が10〜35重量部の量比に調整してスラリーを作製し、ドクターブレード法によりスラリーをフィルム上に塗布し、乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートを作製し、該グリーンシートを積層して熱圧成形する燃料電池セパレータ材の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂と、その硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比を0.5〜1.5の割合に配合した混合樹脂、イミダゾール系硬化促進剤、および分散剤を有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液に、粒子径1〜30μmの微粒が30〜90重量%、最大粒子径が50〜100μmの粒度特性を有する黒鉛粉末を分散させて、黒鉛粉末100重量部に対して混合樹脂の樹脂固形分が10〜35重量部の量比に調整してスラリーを作製し、ドクターブレード法によりスラリーをフィルム上に塗布し、乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートを作製し、該グリーンシートを積層して熱圧成形する燃料電池セパレータ材の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、固体高分子形燃料電池などの燃料電池セパレータ材の製造方法に関する。
燃料電池は燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、電気エネルギーへの変換効率が高く、特に固体高分子形燃料電池は比較的に低温で高出力の発電が可能であるため自動車の電源をはじめ小型の移動型電源として期待されている。
燃料電池のセパレータ材にはセル外へのガスリークを防ぐために高度のガス不透過性、発電効率を高くするために高電気伝導性、長期間安定した発電を行うために高耐蝕性で電解液への不純物溶出が少ないなどの特性が必要とされている。
これらの観点から、セパレータ材には、従来から炭素質系の材料が用いられており、特に、黒鉛などの炭素粉末を熱硬化性樹脂を結合材として結着、成形した炭素/硬化樹脂複合体が好適に使用されている。
例えば、特許文献1には平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有する黒鉛粉末60〜85重量%と熱硬化性樹脂15〜40重量%とからなる板状成形体であって、特定の材質性状を備える黒鉛−樹脂硬化成形体から形成された固体高分子形燃料電池用セパレータ部材およびその製造方法が提案されている。
特許文献2には炭素粉末40〜90重量%と熱硬化性樹脂60〜10重量%の組成からなり、室温における曲げ強度が30MPa以上で、室温から100℃における曲げ強度低下率が30%以下の特性を備える炭素−樹脂硬化成形体から形成された固体高分子形燃料電池用セパレータ部材およびその製造方法が提案されている。
また、特許文献3には重量平均分子量500〜15000の縮合型フェノールアラルキル樹脂および炭素材料を必須成分として含有するフェノール樹脂成形材料をセパレータとする燃料電池が開示されている。
これらの先行技術では炭素粉末を結着する熱硬化性樹脂にフェノール系樹脂が用いられており、フェノール系樹脂は耐熱性、耐蝕性、強度特性などに優れた特性を有する反面、硬化反応時に縮合水を生成し、縮合水の一部が成形体内に残留してボイドを発生するなど組織不良を生じやすく、材質強度の低下やガス不透過性の低下を招くなどの難点がある。そこで、硬化反応を緩やかに進めてガス抜きをはかることにより、これらの難点を排除しているが、製造能率が大幅に低下する問題がある。
一方、エポキシ樹脂は硬化反応時に縮合水やアンモニアなどの発生がないので硬化、成形を短時間で行ってもボイドなどの組織不良を起し難く、エポキシ系樹脂を使用したセパレータ材も提案されている(特許文献4、5など)。例えば、特許文献4には黒鉛粉とエポキシ樹脂結合剤と硬化促進剤を含有する組成物において、エポキシ樹脂結合剤に対し、黒鉛粉を重量比で5〜15倍量配合し、エポキシ樹脂結合剤が、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤からなり、エポキシ樹脂結合剤の粘度を規制した燃料電池用セパレータ用組成物が提案されている。
特開2000−021421
特開2000−243409
特開2005−089653
特開2002−083609
特開2002−332328
エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂が多く使用されているが、これらのエポキシ樹脂はベンゼン環の存在によりある程度の剛直性や硬質性を有するが、フェノール樹脂硬化物に比べると樹脂硬化物中のベンゼン環の割合が低いため耐熱性が十分でなく、また室温に対する燃料電池の運転温度である80℃における強度低下率が大きいなどという問題がある。
特に、自動車用燃料電池では自動車の振動やスタックの締め付け力に耐えるために高強度、耐疲労性、耐荷重性、耐圧縮クリープ性などが求められ、例えば、室温における曲げ強度が90MPa以上、燃料電池の運転温度である80℃における曲げ強度が80MPa以上の強度特性が必要とされている。
そこで、発明者はエポキシ樹脂を結合材として黒鉛粉末を結着した黒鉛/硬化樹脂成形体からなるセパレータ材の材質特性の向上、改善をはかるべく、特に、エポキシ樹脂の骨格構造および黒鉛粉末の粒度特性などに着目して鋭意研究を行った。そして、エポキシ樹脂の骨格構造がセパレータ材の機械的特性、耐熱性に大きく影響することを確認した。
本発明はこの知見に基いて完成したものであり、強度特性が高く、優れた材質特性を備えた燃料電池セパレータ材の製造方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するための本発明に係る燃料電池セパレータ材の製造方法は、ナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂と、その硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比を0.5〜1.5の割合に配合した混合樹脂、イミダゾール系硬化促進剤、および分散剤を有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液に、粒子径1〜30μmの微粒が30〜90重量%、最大粒子径が50〜100μmの粒度特性を有する黒鉛粉末を分散させて、黒鉛粉末100重量部に対して混合樹脂の樹脂固形分が10〜35重量部の量比に調整してスラリーを作製し、ドクターブレード法によりスラリーをフィルム上に塗布し、乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートを作製し、該グリーンシートを積層して熱圧成形することを構成上の特徴とする。
本発明によれば、黒鉛/樹脂硬化成形体からなる燃料電池のセパレータ材として、強度特性が高く、例えば室温における曲げ強度が高く、また燃料電池の運転温度である80℃における曲げ強度も高い、すなわち室温から80℃における曲げ強度の低下率が小さく、更に、曲げ弾性率、80℃の破断歪み、電気抵抗なども良好なセパレータ材を製造することができる。
すなわち、具体的には、例えば、自動車用燃料電池に必要とされる室温における曲げ強度が90MPa以上、燃料電池の運転温度である80℃における曲げ強度が80MPa以上の材質強度を備えた燃料電池セパレータ材の製造方法として極めて有用である。
本発明の燃料電池セパレータ材の製造方法は、樹脂溶液に黒鉛粉末を分散させてスラリーを作製し、このスラリーからドクターブレード法によりグリーンシートを作製して、グリーンシートを所望の厚さに積層し、熱圧成形することにより製造するものである。
樹脂溶液は、樹脂としてナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂と、その硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を用い、イミダゾール系硬化促進剤および分散剤を有機溶剤に溶解して調製される。
エポキシ樹脂としてノボラック型エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂は、骨格構造中にベンゼン環を含みある程度の剛直性を有するが、硬化剤と結合するエポキシ基とベンゼン環の距離および隣のベンゼン環との距離が長く、フェノール樹脂硬化物ほどの剛直性が得られない。
これに対し、化1に示した構造のナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂は、2個のベンゼン環がベンゼン環の1辺で結合された構造からなり、ナフタレン環の分子構造は平面性が強く、硬化物は剛直な構造となり耐熱性が向上する。また、ナフタレン環構造を主骨格とするエポキシ樹脂は、その強い平面性により樹脂モノマーは結晶性が高くなり、樹脂溶液の粘度が低くなり、ドクターブレード法による成形性も向上する。
更に、黒鉛粉末との接触性も良好となり得られるセパレータ材の電気抵抗が低くなる効果ももたらす。このように、黒鉛粉末とのなじみが良好なナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂を用いることにより、セパレータ材の弾性率も大きくなり、結果的に高強度のセパレータ材を製造することができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、一般的にアミン系硬化剤や酸無水物系硬化剤などが使用されているが、アミン系硬化剤を使用した場合はアンモニウムイオンが電池セル内に溶出して出力の低下や、長期発電の安定性の低下を招く問題が生じる。
また、酸無水物系硬化剤を使用した場合は、高温で硬化反応が進むため硬化速度が遅くなり、セパレータ材の成形に長時間を要するばかりではなく、モノマーとして成形体に残留したり、電解液への溶出が多くなり、発電性能が低下する問題がある。
一方、エポキシ樹脂の硬化剤としてはノボラック型フェノール樹脂もあり、ノボラック型フェノール樹脂はベンゼン環を構造内にもつため、剛直性、耐熱性を確保するために好適である。このような理由から、本発明においてはナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂の硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂が用いられる。
この場合、ナフタレン環を主骨格とするナフタレン型エポキシ樹脂と、ノボラック型フェノール樹脂の配合割合を、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比を0.5〜1.5に設定することが好適である。配合する当量比が0.5を下回る場合や1.5を上回る場合にはエポキシ樹脂とフェノール樹脂との結合反応が充分に行われず、セパレータの耐湿性や耐熱性が低下するうえに、TOC(全有機炭素)溶出量も大きくなって電圧低下や出力低下などの電池性能が低下するからである。
硬化促進剤にはイミダゾール系の硬化促進剤が使用される。硬化促進剤として、アミン系硬化促進剤を用いると、セパレータからアンモニウムイオンの溶出が起きるので発電性能を低下させ、また、リン系硬化促進剤を使用すると、セパレータ材の吸水が多くなるので、セパレータが膨潤し易くなるとともに溶出して発電性能を低下させ、更に、セパレータとシール材との接着を悪化させることになる。なお、硬化促進剤は硬化剤に対して0.01〜2.0重量%に混合する。硬化促進剤の混合割合が、0.01重量%を下回る場合には硬化促進の効果がみとめられず成形に時間が掛かるため生産性が低下し、また、2.0重量%を上回る場合には硬化反応の速度が速くなって成形時に成形粉が成形する前に増粘ないし硬化固形化するために成形性が低下してセパレータのガス不透過性や強度が低下するからである。
分散剤はスラリーの安定化のために添加するもので、具体的には陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤が用いられる。
これらのエポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および分散剤は所定の割合で有機溶剤に溶解して樹脂溶液が調製される。有機溶剤は樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、アルコール類、ケトン類などが用いられるが、ドクターブレード法によりシート化する際のスラリーの安定性や粘度、シートの乾燥速度などの点からメチルエチルケトンが最も好ましい。
この樹脂溶液に黒鉛粉末を加えて、万能混合機、超音波攪拌機、三本ロールなどの混合機を用いて、樹脂溶液中に黒鉛粉末を分散させてスラリーを作製する。
黒鉛粉末は人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、これらの混合物などが用いられ、スラリーの安定性や流動性、更に、ドクターブレード法により作製したグリーンシートの乾燥収縮を少なく、ひび割れを防止するために粒度調整した黒鉛粉末が用いられる。
黒鉛粉末の粒子径が大きくなると、曲げ作用などを受けた時に亀裂発生の起点となり易く、亀裂の進展も生じ易くなるので強度低下を招くことになる。この亀裂の発生や進展を防止するためには、微粉を存在させることが効果的である。
そのため、用いる黒鉛粉末は、粒度調整して粒子径1〜30μmの微粒が30〜90重量%に、最大粒子径が50〜100μmの粒度特性の黒鉛粉末が使用される。なお、粒度調整は粉砕した黒鉛粉末を篩い分けしたのち、適宜な量比に混合することにより所望する粒度特性に調整することができる。
黒鉛粉末の粒度特性を上記の粒子径1〜30μmの微粒を30〜90重量%に調整する理由は、粒子径1〜30μmの微粒を30重量%以下ではセパレータ材の機械的強度が低下し、粒子径1〜30μmの微粒を90重量%以上ではセパレータ材の抵抗値が増加し、セパレータ材としての性能がそれぞれ劣るからである。また、黒鉛粉末の粒度特性を上記の最大粒子径を50〜100μmに調整する理由は、最大粒子径が50μmを下回る場合にはセパレータ材の抵抗値が増加し、最大粒子径が100μmを上回場合にはガス不透過性が低下するからである。
スラリーは樹脂溶液に黒鉛粉末を分散させることにより作製されるが、この場合、黒鉛粉末100重量部に対して、ナフタレン型エポキシ樹脂とノボラック型フェノール樹脂の混合樹脂の樹脂固形分が10〜35重量部の量比となるように調整する。樹脂固形分の量比が10重量部より少ないとグリーンシートの強度が低下し、一方、35重量部を越えると製造したセパレータ材の導電性が小さくなる。
なお、分散剤はスラリー中の黒鉛粉末の分散安定化のために添加するもので、黒鉛粉末100重量部に対し0.1〜10重量部の割合で添加混合する。分散剤の割合が0.1重量部より少ないと分散安定化の効果がなく、しかし10重量部より多くなると、樹脂の特性を低下させ、セパレータ材の性能が低下することになる。
このように作製したスラリーは、スラリー作製時に巻き込まれた空気により作製したグリーンシートの表面に皺が生じたり、均質性が低下するのを防止するために、遠心脱気や真空脱気して巻き込んだ空気を排除することが好ましい。
スラリーは、ドクターブレードとフィルム間のギャップを調整したのち、ドクターブレードのスラリーホッパーに流し込み、離型を容易にするために必要に応じ離型剤を塗布したフィルム上に均等な厚みに塗布して乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートが作製される。なお、グリーンシートの厚さとしては0.1〜0.5mm程度が好ましく、スラリーをフィルム上に均等な厚さに塗布し、均等な厚さのグリーンシートを作製するためには、例えばドクターブレードとフィルム間のギャップ、スラリー中の黒鉛濃度、スラリーの粘度などを調整することにより作製することができる。
グリーンシートはカッターナイフや打ち抜きなどにより所定形状に加工した後、製造するセパレータ材の厚さおよび部位の厚さに応じて、適宜な枚数を積層して金型内にセットし、例えば、150〜250℃の温度、10〜100MPaの圧力で熱圧成形することにより燃料電池セパレータ材が製造される。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
ナフタレン環を主骨格とするナフタレン型エポキシ樹脂として東都化成(株)製ESN−375を用い、その硬化剤であるノボラック型フェノール樹脂として明和化成(株)製H−4を使用して、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比が1.0となるように両樹脂を混合した。
ナフタレン環を主骨格とするナフタレン型エポキシ樹脂として東都化成(株)製ESN−375を用い、その硬化剤であるノボラック型フェノール樹脂として明和化成(株)製H−4を使用して、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比が1.0となるように両樹脂を混合した。
硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを用いて、この混合樹脂に対して1重量%の割合で加え、分散剤には陰イオン性界面活性剤(ポリカルボン酸型ポリマー)を用いた。有機溶剤にはメチルエチルケトン(MEK)を用いて、これらの樹脂、硬化促進剤および分散剤を溶解して樹脂溶液を調製した。
黒鉛粉末は人造黒鉛を粉砕して、篩い分けしたのち、粒径範囲と混合比を調節して、粒子径1〜30μmの微粒が35重量%、最大粒子径が90μmの黒鉛粉末を作製し、この黒鉛粉末を樹脂溶液に加えて十分に攪拌混合し、更に、遠心法により巻き込んだ空気を脱気して、黒鉛粉末100重量部に対し、樹脂固形分(ESN−375とH−4の混合樹脂の樹脂固形分の合量)が25重量部、黒鉛濃度40重量%のスラリーを作製した。
ドクターブレードとフィルム間のギャップを調整した後、ドクターブレード成形機のホッパーにスラリーを入れ、離型剤を塗布したPETフィルム上にスラリーを塗布した。次いで、送風乾燥してMEKを蒸発させた後、所定寸法にカットし、離型して厚さ約0.3mmのグリーンシートを作製したのち、グリーンシートを打ち抜き加工した。
打ち抜き加工したグリーンシートを、200×200mmの範囲内に幅1mm、片面溝深さ0.4mmの溝形状部が彫設された外形270×270mmの成形金型内に、部位に応じて所定の枚数を積層し、40MPaの圧力、180℃の温度で熱圧成形した。このようにして、200×200mm、厚さ1.1mm、最薄部の肉厚0.30mmのセパレータ材を製造した。
実施例2
ナフタレン環を主骨格とするナフタレン型エポキシ樹脂として日本化薬(株)製NC−7000Lを使用し、粒子径1〜30μmの微粒が85重量%、最大粒子径が60μmの黒鉛粉末を使用した他は実施例1と同じ方法によりセパレータ材を製造した。
ナフタレン環を主骨格とするナフタレン型エポキシ樹脂として日本化薬(株)製NC−7000Lを使用し、粒子径1〜30μmの微粒が85重量%、最大粒子径が60μmの黒鉛粉末を使用した他は実施例1と同じ方法によりセパレータ材を製造した。
実施例3〜6、比較例1〜6
実施例1において、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比、黒鉛粉末の粒度特性、および黒鉛粉末100重量部に対する樹脂固形分の量比などを変えてスラリーを作製し、その他は実施例1と同じ方法でセパレータ材を製造した。
実施例1において、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比、黒鉛粉末の粒度特性、および黒鉛粉末100重量部に対する樹脂固形分の量比などを変えてスラリーを作製し、その他は実施例1と同じ方法でセパレータ材を製造した。
比較例7
エポキシ樹脂にノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製EOCN−102S)を用いた他は、実施例1と同じ方法によりセパレータ材を製造した。
エポキシ樹脂にノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製EOCN−102S)を用いた他は、実施例1と同じ方法によりセパレータ材を製造した。
比較例8
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート1001)を用いた他は、実施例1と同じ方法によりセパレータ材を製造した。
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート1001)を用いた他は、実施例1と同じ方法によりセパレータ材を製造した。
このようにして製造したセパレータ材の製造条件を対比して、表1に示した。
次に、これらのセパレータ材について、下記の方法によりその特性を測定して、その結果を表2に示した。
(1)厚さ精度(μm);
マイクロメーターによりセパレータ内の16点の厚さを測定して、厚さの最大値−最小値を厚さ精度とした。
マイクロメーターによりセパレータ内の16点の厚さを測定して、厚さの最大値−最小値を厚さ精度とした。
(2)曲げ強度(MPa);
JIS R1601により測定(室温および80℃)した。
JIS R1601により測定(室温および80℃)した。
(3)破断歪み(%);
JIS R1601により測定(室温および80℃)した。
JIS R1601により測定(室温および80℃)した。
(4)固有抵抗(mΩ・cm);
JIS C2525により測定した。
JIS C2525により測定した。
(5)接触抵抗(mΩ・cm2);
30mm角のテストピース同士を1MPaの圧力で接触させながら、通電量1Aでテストピース間の電圧降下(mV)を測定し、抵抗値を算出した。
30mm角のテストピース同士を1MPaの圧力で接触させながら、通電量1Aでテストピース間の電圧降下(mV)を測定し、抵抗値を算出した。
(6)ガス透過係数(mol・m・m−2・sec−1・MPa−1);
窒素ガスにより、0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積当たりのガス透過量を測定。
窒素ガスにより、0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積当たりのガス透過量を測定。
実施例1〜6は、本発明で規制するナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂を使用し、1〜30μmの微粒黒鉛粉が30〜90重量%含有したセパレータ材であり、高強度、低電気抵抗のセパレータ材になっている。
これに対し、比較例1では、1〜30μmの微粒黒鉛粉が100%であるため、抵抗値が増加し、セパレータ材としての性能が不十分である。比較例2では1〜30μmの微粒黒鉛粉が20重量%であるため、室温強度90MPa、80℃強度80MPaに達しておらず、機械的特性が不十分である。比較例3、4では、エポキシ樹脂とフェノール樹脂と結合反応が充分に進行せず、セパレータの強度が低下しており、さらに燃料電池の作動温度である80℃における強度低下率も大きい。
比較例5では、樹脂量が少なく、成形時の流動性が無く、ガス不透過性も劣るものであった。比較例6では、樹脂量が多く、抵抗値が増加し、セパレータ材としての性能が不十分である。また、80℃における強度低下率が大きい。ノボラック型あるいはビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いている比較例7および8は、室温強度90MPa、80℃強度80MPaに達しておらず、機械的特性が不十分である。
Claims (1)
- ナフタレン環を主骨格とするエポキシ樹脂と、その硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を、エポキシ基に対するフェノール性水酸基の当量比を0.5〜1.5の割合に配合した混合樹脂、イミダゾール系硬化促進剤、および分散剤を有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液に、粒子径1〜30μmの微粒が30〜90重量%、最大粒子径が50〜100μmの粒度特性を有する黒鉛粉末を分散させて、黒鉛粉末100重量部に対して混合樹脂の樹脂固形分が10〜35重量部の量比に調整してスラリーを作製し、ドクターブレード法によりスラリーをフィルム上に塗布し、乾燥した後、フィルムから離型してグリーンシートを作製し、該グリーンシートを積層して熱圧成形することを特徴とする燃料電池セパレータ材の製造方法。
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