JP5156845B2 - ケーブル式道路防護柵 - Google Patents
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Description
かかる道路防護柵は、通常、数百mを1スパンとして、複数のケーブル(ワイヤロープ)を一定長延展し、両端末を索端金具を介して端末支柱に繋止して張力を与えると共に、端末支柱間に所定の間隔で中間支柱を設置し、ケーブルの中間部を支持する構造になっている。
さらに、車輌同士の接触事故で破壊した車輌が道路上に散乱したような場合、車輌の事故現場からの移動や事故処理用の重機械類の事故現場への搬入などが円滑、迅速に行われることが好ましいが、道路防護柵が固定構造物のため撤去が容易ではなく、上記事故処理のための作業空間確保の障害となることがあった。
車輌が衝突したときにはケーブルが伸びて衝撃を吸収し、強い衝撃が作用したときには支柱上部のスリットが道路と直角方向にV状に口開きするため、ケーブルは支柱上端の開口から外れ、さらには支柱が曲がることにより衝撃を吸収する。したがって、適切な防護性能を発揮することができる。
さらに、中間支柱は地中に埋設したスリーブに挿入支持されているので、中間支柱を持ち上げてスリーブから抜き取ることで、簡単に何もさえぎるものがない広い自由空間や通路を確保することもできる。
車輌がケーブルに衝突すると、ケーブルに衝突方向前方への張力が加わり、支柱を変形させる力となる。本発明では支柱の上部がケーブルを導くための1対のスリットで割られており、スリット領域は剛性に劣り変形しやすく、衝突エネルギーを十分に吸収しないままケーブルが不用意に外れたりする可能性がある。
しかし、ストラップを支柱のスリット形成領域にタガとして嵌めているため、一定の力が加わるまでスリットの過度な口開きが起きず、車輌衝突によりケーブルに加わる一定の力までパイプ状が維持される。そして、支柱の曲がりとケーブルの伸びで衝突エネルギーが適切に吸収され、支柱が曲がるとケーブルの上方への移動でストラップが支柱から外れ、ケーブルは伸びながら支柱と分離し、車輌衝突エネルギーを吸収しながら車輌を誘導する効果が得られる。
これによれば、間隔材の長さ(高さ)によりスリットを横切るケーブル相互の間隔を自由に設定することができる。したがって、たとえば大型車輌の交通量の多い道路ではケーブルを上段グループと下段グループに分け、上段グループでは相対的に短い寸法の間隔材を使用することにより上下間隔を密にし、下段グループについては相対的に長い寸法の間隔材を使用することにより上下間隔を疎にして容易に対応することができる。
これによれば、ケーブルが端末支柱に内装されている間隔保持材に形成された保持部へ挿入される形式であるため、車両等が衝突した際、端末支柱から前記間隔保持材が外れやすいとともに、ケーブルを外すこともないため、間隔保持材が飛散しないという効果が得られる。
これにより支持部がスリーブの下端内に当接しあるいは入り込むようになるので、支柱を簡単、確実に支持することができる。
スリーブの底部に底蓋をすることで、スリーブを土中に打設しても内部に土砂が詰まる心配がなく、支柱の挿入をスムーズに行える。さらに、打設により底蓋が土砂を固め、スリーブの土圧抵抗を高めるので、結果的に中間支柱の強度を高める効果が得られる。
これによれば、アンカー体の基礎が必要とする面積は道路長手方向に確保すればよくなるので、車道の路幅を十分に確保することができる。
図1は本発明によるケーブル式道路防護柵の第1実施例を示している。
1は本発明ケーブル式道路防護柵の全体を指し、2、2は左右の端末支柱を示す。各端末支柱2はそれぞれコンクリート製の端末基礎5、5に主部が埋設されているアンカー体71により強固に固定されている。
端末支柱2,2間には適度の間隔をおいて中間支柱3が複数本立設されており、各中間支柱3は地中に垂直状に埋設された円筒状のスリーブ6に挿入され支持されている。
端末支柱2の下部には、図2(a)(b)のように、座プレート21の中心にパイプ20の下端が溶接され、パイプ20の周囲に4枚の三角形状プレート22が90度間隔で配置溶接され、それらプレートの下端は座プレート21に溶接されている。座プレート21にはアンカー体71に結合するための孔が4箇所設けられている。
前記スリット8は、幅寸法がケーブル4の直径の寸法よりも適度に大きく、深さはケーブルの段数に対応させるもので、たとえば、幅が25mm、深さ410mmである。
前記スリット8は、図示しないが、略V字状の形状であってもよいが、図2(a)のようにストレートな形状であってもよい。図2(b)の例では、半円状に拡大した節状の切り欠き81をケーブルの段数に対応して設けている。最下段の切り欠き81はスリット底を構成している。切り欠き81は各ケーブル4が上下方向で所定の間隔たとえば110mmで配置しやすいように目印ないしスケールとしての機能を果たすが、車輌の衝突時にケーブルがスリットの縁に沿って上方にずれたときに切り欠き81に落ち込み、ここの抵抗でケーブル4が不用意にスリット8から外れることを抑制する作用もある。
端末支柱2の端末基礎5への取り付けを説明すると、端末支柱2の座プレート21がアンカー体71に締結されているが、アンカー体71はL字状の鋼棒からなっていて、上端部が端末基礎5の上部に突出するように埋設されている。突出した鋼棒上端部には雄ねじが切ってあり、その突出した鋼棒端部を端末支柱2の座プレート21に配設されている孔23に通し、ナットで締付けてある。
アンカー体71の形状がL字状なので引き抜き抵抗が大きく、端末支柱2は端末基礎5に強固に締結することができる。
埋設されたスリーブ6の上端面には、スリーブ6とパイプ30との隙間を密閉し、隙間からの汚泥や雨水の浸入を防止し、スリーブ6およびパイプ30の腐食を防ぐために上蓋66を被せており、上蓋66は中間支柱3を構成するパイプ30を挿通する穴660を有し、この穴660にパイプ30が貫挿されている。
スリーブ6には支持部としてパイプ内方に傾斜した切り起し片61があるので、パイプ30は切り起し片61に当接してその位置で支持される。
ストラップ9はたとえばステンレスの帯板を円形に丸め、重なり部分あるいは突合せた端部を数箇所でスポット溶接90したものが用いられる。
パイプ30の頭部にはコップ状のキャップ11が被せられパイプ内への塵埃や雨水の浸入を防止するとともに、スリットの口開きを若干防止している。
すなわち、車輌の衝突を受けたケーブル4が軸線と直角方向に衝撃的に押圧されることによりスリット8,8に口開きの力が加わったり、ケーブル4が上方にずらされてストラップ9をスリット8,8の上端の開口部に移動する力が働くとストラップ9は溶接部が分離して、パイプ30から外れる。
ストラップ9は上記の例に限らず、支柱の外径よりやや大きい内径のリングの円周の一部を切削するなどして脆弱部(括れ部)を形成したものであってもよいし、場合によってはコイルばねなどであってもよい。なお、前記端末支柱2のパイプ20にも図3の仮想線のようにストラップ9を取り付けることはいうまでもない。
この支持部として実施例では切り起し片61、61が対設されている。切り起し片位置がスリーブ6の高さ方向中間より上方にあるとスリーブ6の耐力を十分にパイプ30に伝えることができないので適切でない。
支持部としては切り起し片に限らず、コストアップを招くが、スリーブ6にスリーブ内径と一致する外径のパイプまたはリングを内嵌めした構造などとしてよい。
この実施例では、たとえば高さ110mm、直径40〜80mmの円筒となっているが、円柱でもよく、ブロックでもよい。材質はケーブルを支え得る強度を持ち、腐食しないものであればなんでもよく、ポリエチレン、発泡ウレタンなど任意である。
図7(c)は、中間支柱のスリット、特にストレート状のスリットに装着された間隔材10´であり、平面からみて円弧状の部材をしている。
前記間隔材10´は、前記中間支柱のスリットの幅と同等の幅の間隔材本体10´aを有し、その間隔材本体の両側に前記中間支柱のパイプの肉厚よりも広く形成された溝10´b、10´bが設けられており、図7(d)のように、前記間隔材本体10´aを中間支柱3のスリット上端に配し、下方に落とし込むことにより、前記溝10´b、10´bが中間支柱3のスリット8に嵌まり、中間支柱3に保持されるようになっている。
前記間隔材10´は合成樹脂の成形体からなっている。
かかる間隔材は、車両等がケーブルに衝突すると、その衝撃により、中間支柱のスリットと間隔材本体の溝との嵌合関係が崩れ、中間支柱から外れる。
そのため、ケーブルの自由度を有効に利用することができる。
しかし、好適には、図8の(c)に示すように円筒形状のリング91がよい。というのは、スポット溶接ではストラップ固有の能力を十分に発揮することができないことがあるためである。かかるリング91はステンレス鋼管を切断して製作されている。
ストラップの個数は、1支柱に対して1個でも、または1支柱に対して2個でもよい。
ストラップ9は、パイプ30のスリット8,8形成による剛性の低下を箍としてカバーし、しかも、一定の口開き力がスリット8に加わると円周状の一部が破壊されてパイプから外れるためスリット8,8の口開きが進行し、ケーブル4が端末支柱2や中間支柱3から分離できるようになる。これにより、法定の設計強度を保ちながら、地中に埋設したスリーブ6の破壊が防止され、支柱を構成するパイプ30の取替えですむようになるのである。
端末基礎5には中間支柱3に近い位置に端末支柱用アンカー体71が設けられ、このアンカー体と約1,500mm程度離れた位置から、下段から上段のケーブル4を順次連結するためのケーブル用アンカー体72a,bが略直線状に配設されている。
アンカー体71、アンカー体72a,bが直線状に並ぶことで、道路防護柵は幅方向の面積を縮小でき、必要な車輛通行道路幅の確保が容易になる。
3つのケーブル用アンカー体72aにはそれぞれ図10に示すような端末金具73が取り付けられている。端末金具73は厚さ10mm、幅130mm、縦210mmの長方形の鋼板からなる座板731に三角形状鋼板からなるブラケット732が縦に溶接され、ブラケット頂部にケーブルを連結するための軸受け孔733が設けられ構成されている。
据付は、アンカー体72の突出した鋼棒に端末金具73の座板にある孔734を合わせて差し込み、ナットで締め付けることで行われ、アンカー体72aの形状がL字なので引き抜き抵抗が大きく、端末金具73は端末基礎5に強固に締結される。
据付は上記端末金具73の場合と同じであり、アンカー体72の突出した鋼棒に座板741に設けた孔744を合わせて差し込み、ナットで締め付ける。
ケーブル4の端末に取り付けたソケット751とターンバックル750がねじを介して結合し、ターンバックル750の他端部にねじ込んだフォークエンド752が前記端末金具73,74の軸受け孔733,743に交合されピンボルトで連結される。ケーブル4の張力負荷はターンバックル750を回転することで調整する。
使用される間隔保持材100を示しており、本発明によるケーブル式道路防護柵の第2実施例を示している。
かかる実施例も、図1に示すように、第一実施例を採用している箇所が多く、具体的には、本発明ケーブル式道路防護柵において、コンクリート製の端末基礎5、5に主部が埋設されているアンカー体71により強固に固定されている左右の端末支柱2、2と、端末支柱2,2間に適度の間隔をおいて立設されている複数本の中間支柱3とを有している。各中間支柱3は地中に垂直状に埋設された円筒状のスリーブ6に挿入され支持されている点は、第1実施例と同じであるので、ここではそれらの構造の説明は図面に同一符号を付すにとどまり省略する。
すなわち、第2実施例の間隔保持材100は前記間隔保持材本体101内にケーブル4を挿入する形式を採用することで、車両がケーブル4に衝突した際、間隔保持材100がケーブル4から外れないため、飛散することがないという点で、第一実施例の間隔材と異なっている。
間隔保持材100は間隔保持材本体101と間隔保持材本体101に形成された保持部102とを有し、間隔保持材本体101は端末支柱2に内装されるものであるため、ケーブル4の張力により沈下する力に耐えうる材質であれば材質は問わない。
しかし、ケーブル4に車の衝突などにより張力が加わると、一方のケーブル4の端末が地盤にアンカーされているため、他方のケーブル4の端末は張力が斜め方向に作用するので、ケーブル4の張力による曲げ応力が間隔保持材100に付加される関係上、間隔保持材100の材質をプラスチックとすると破壊される可能性がある。
そこで、好適には、沈下させる方向の荷重に耐え、また沈下する力がスムーズにコンクリート製の端末基礎5へ伝達するよう、鋼製とすることが望ましい。
間隔保持材本体101は中実でもよいが、図13に示すように、筒状体が好ましい。かかる筒状体は、例えばプラスチックまたは鋼製のパイプを切断加工すれば製造可能である。
また、前記間隔保持材本体101内にはケーブルを保持する保持部102が形成されている。
前記保持部102は種々の構造が考えられるが、例えば、間隔保持材本体にケーブルを挿通可能な径の一対の横方向の穴部を形成し、この穴部の周縁下方で、ケーブルを点接触により保持してもよい。
なお、前記穴部の周縁下方にゴム等の層を施し、ケーブルの破損を防ぐようにしてもよい。
また、例えば、図13に示すように、前記間隔保持材本体100に形成した穴部102に、前記ケーブルの径よりも大きい径の円筒形状の筒体110を配し、その筒体110内にケーブル4を挿通して保持をしてもよい。
図13では、間隔保持材の穴部に配された筒体110はその両端が間隔保持部本体101の外周よりも若干突出しているが、突出していなくても、機能上問題はない。
前記間隔保持材本体101に形成される保持部102は、車の衝突の際に端末支柱2からケーブル4が外れ易いよう、ケーブル1本につき1個を形成するようにしている。
かかる間隔保持材100は前記端末支柱2にケーブル4の数分だけ内装される。
このときに、前記間隔保持材100は間隔保持材100相互間に隙間を形成することなく、間隔保持材本体101の頂部がそれより上方の間隔保持材本体101の底部に当接するよう、いわゆる積み木のように積み上げられている。
これにより、前記間隔保持材100は、ケーブル4を保持すると共に、端末支柱2内でケーブル上下方向の所定間隔を維持する機能を発揮する。
12はストッパーであり、最下段の間隔保持材100を端末支柱2に配したときに、最下段の間隔保持材100を端末支柱2内で支持するために取り付けられたものであり、端末支柱2の軸線方向中央部位より下方に一対の穴を開け、その穴にボルトを通し、先端にナットを配して、端末支柱に固定されている。
最下段ケーブル4を端末支柱に配すにあたり、間隔保持材を端末支柱上端の開口から挿入する。
そのとき、最下段の間隔保持材100は前記ストッパー12で支持されるため、端末支柱2内の下方に落下することはない。
その後、ケーブル4を間隔保持材100の保持部102に通す。
このようにして、順次、ケーブル4の本数分だけ間隔保持材を端末支柱2に挿入すればよい。
このように設置された後は、ケーブル4は端末支柱2の所定の高さ位置から地際へ連結された構造となっているため、端末支柱2では絶えず沈下する方向(下向きの方向)へケーブルの張力が作用している。
また、最下段ケーブル2の間隔保持材100はケーブルの所定位置が保持できるようにストッパー12(固定金具)上に配されているので、沈下する力に耐え、さらに端末支柱2を介してコンクリート製の端末基礎へスムーズに力を伝達させることができる。
4本のケーブル4a〜4dが中間支柱3のスリット8を貫通しており、それぞれ支柱内に配した間隔材10を介して等間隔で張設されている。中間支柱3の頭部にはキャップ11が被せてあり、また、最上段のケーブル4aの下の支柱外周にストラップ9が取り付けてある。
このように一定以上の衝撃荷重がかかるとスリット8が口開きしてケーブル4を曲りの生じつつある支柱から離脱させるので、支柱にかかる負荷が過大とならず、地中に埋め込んだスリーブ6に対する影響は少ない。
ケーブル式道路防護柵
2 端末支柱
3 中間支柱
4 ケーブル
5 端末基礎
6 スリーブ
61 支持部(切り起し片)
65 底蓋
71 端末支柱アンカー体
72 ケーブルアンカー体
8 スリット
81 切り欠き
9 ストッラップ
10 間隔材
100 間隔保持材
Claims (7)
- コンクリート基礎上に据付けられた端末支柱と、端末支柱間の地中に埋設したスリーブに挿入されて下端が支持された中間支柱と、両端が前記端末支柱より先のアンカー体に連結されたn本(n=3〜7本)のケーブルを備え、前記端末支柱と中間支柱はパイプからなり、それぞれ道路と平行な左右面に支柱上端に開口する1対のスリットを有し、前記ケーブルは上下方向で間隔をおいて前記スリットを横通して張設されていることを特徴とするケーブル式道路防護柵。
- 支柱のスリット形成領域にストラップを嵌めている請求項1に記載のケーブル式道路防護柵。
- 支柱内にn本のケーブルの上下間隔を保持する間隔材を内装している請求項1に記載のケーブル式道路防護柵。
- 端末支柱内に、n本のケーブルを上下に分離しその間隔を保持する間隔保持材本体と該間隔保持材本体に形成されn本のケーブルをそれぞれ1本ずつ保持する保持部とを有する間隔保持材を内装している請求項1に記載のケーブル式道路防護柵。
- スリーブは、高さ方向の中央より下方に中間支柱を係止する支持部を有する請求項1に記載のケーブル式道路防護柵。
- スリーブは底蓋を有している請求項1に記載のケーブル式道路防護柵。
- 端末支柱とケーブルに対する複数のアンカー体が直線状に並び、張設したn本のケーブルの下段が端末支柱のアンカー体に近く、以下上位になるほど遠いアンカー体に順次連結した請求項1に記載のケーブル式道路防護柵。
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