JP7084798B2 - 道路用防護柵の基礎部材及び道路用防護柵並びにその構築工法 - Google Patents

道路用防護柵の基礎部材及び道路用防護柵並びにその構築工法 Download PDF

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Description

この発明は、道路用防護柵(以下適宜、防護柵と略す。)の支柱を支持する基礎部材の技術分野に属する。
道路用防護柵は、その設置する場所や目的に応じ、ガードパイプ、ガードレール、又はガードケーブル等を適宜選択して適用されるが、これらの防護柵は通常、地中に埋設される基礎部材と、前記基礎部材に下端部を固定して立設される支柱と、支柱間に架設される柵部材(パイプ材、ビーム材、又はケーブル材)とで構成されている。
前記柵部材は、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすために設けられるが、車両等衝突時の防護柵全体の支持力の急激な低下により、柵部材の変形量が大きくなり、その結果、前記役割を果たすことができず、柵部材に衝突した車両等が道路(車道)からはみ出して路外の歩行者や構造物に衝突する虞がある等、解決すべき課題となっている。
そこで、従来から、道路用防護柵を構成する上で欠かせない前記基礎部材の形態に工夫を施すことにより、基礎部材の支持力、ひいては道路用防護柵全体の支持力を高める技術が開示されている(例えば、特許文献1~4参照)。
特許文献1は、第2図~第11図に示したように、両側に断面鉤状の係合縁2が形成された筒体1と、前記係合縁2に対し上下動自在に係合し且つ側方に離脱しない形状の係合縁4が一側に形成された抵抗板3とから構成されたことを特徴とする分割構成基礎体が開示されている(実用新案登録請求の範囲を参照)。
特許文献2は、図1等に示したように、杭体10の周面に密着可能な形状の板材からなり、かつ、ボルト22を挿通させるための1または複数の開口部21Dを有する胴体部21Aと、前記胴体部21Aの両脇にそれぞれ1つずつ設けられ、前記胴体部21Aに前記杭体10の周面を密着させたときの前記杭体10の延在方向と平行な平板状の板材からなる2つの羽部21Bとを備えた根枷プレート21が開示されている(請求項1を参照)。
特許文献3は、図1等に示したように、上端を打撃することによって地面Gに打ち込まれる支柱立設用の基礎杭15であって、支柱11の下部を挿入させることが可能な中空筒型の上筒部17と、前記上筒部17の下部から下方へ同軸心状に延び、前記打撃によって地中に食い込み可能な尖端部とを備えていることを特徴とする支柱立設用の基礎杭が開示されている(請求項1を参照)。
特許文献4は、図1等に示したように、剛性基礎2の上下方向に支柱1を埋設可能な埋設孔21が設けられ、該埋設孔21に前記支柱1の一部が埋設され、該支柱1において前記剛性基礎2に埋設された埋設柱部12が形成されると共に残余の部分が前記剛性基礎2から表出した表出柱部11となされた支柱1の基礎構造であって、少なくとも前記埋設柱部12の形成時に前記支柱1の下端を下方から保持する保持手段3が設けられ、該保持手段3により前記埋設柱部12が前記表出柱部11にかかる外部応力に耐えうる必要長さ分だけ前記剛性基礎2に埋設させられていることを特徴とする支柱の基礎構造が開示されている(請求項1を参照)。
実開昭60-148358号公報 実用新案登録第3207383号公報 特開2010-106494号公報 特開2006-328860号公報
道路用防護柵の基礎部材の支持力を高めて車両等衝突時の防護柵全体の支持力の急激な低下を抑制するには、車両等衝突時の衝撃に対して、土圧による抵抗を効率的に受けるために道路延長方向にある程度の長さ(幅寸)を備えていることが好ましい。また、車両等衝突時に発生する基礎部材自体の回転挙動に対して効果的に抵抗するべく道路直交方向(道路延長方向と直交する方向)へ回転抑止部材を突出させておくことが好ましい。
以上要するに、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制するには、土圧をより受けやすい壁状に形成し、道路直交方向に回転抑止部材(抵抗部材)を付設した基礎部材が好ましいところ、上記した特許文献1~4に開示された技術は、これら2つの要件をすべて満たしているとはいえず、さらに改良したものが求められている。
特に、前記第2の要件である回転抑止部材の付設手段は、車両等衝突時の防護柵の粘り(靱性)を効率よく強化して支持力の急激な低下を効果的に抑制できるところ、上記した特許文献1~4に開示された技術のうち、この第2の要件を満たすものは無い。
本発明は、上記した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、前記2つの要件をすべて満たした基礎部材を実現することにより、道路用防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができる、道路用防護柵の基礎部材及び道路用防護柵並びにその構築工法を提供することである。
上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る道路用防護柵の基礎部材は、地中に埋設されて道路用防護柵の支柱を支持する基礎部材であって、
前記支柱を受け入れる中空部を備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材と、
前記壁状部材の車道側及び/又は歩道側へ突き出して設けられる回転抑止部材と、
から成ることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した道路用防護柵の基礎部材において、前記壁状部材は、中空角形鋼管、H形鋼、折り曲げ鋼板、及び平鋼板のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせで接合してなることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した道路用防護柵の基礎部材において、前記回転抑止部材は、摩擦板、支圧板、及び底部プレートのうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせであることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した道路用防護柵の基礎部材において、前記摩擦板は、前記壁状部材の車道側に鉛直方向及び/又は水平方向に突き出して設けられることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項3又は4に記載した道路用防護柵の基礎部材において、前記支圧板は、前記壁状部材の歩道側の上端部に水平方向に突き出して設けられることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項3~5のいずれか1項に記載した道路用防護柵の基礎部材において、前記底部プレートは、前記壁状部材の底部に設けた底面板を介して回動可能に設けられることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した道路用防護柵の基礎部材において、打込機で打ち込むことにより地中に埋設可能な構造であることを特徴とする。
請求項8に記載した発明に係る道路用防護柵は、前記請求項1~7のいずれかに記載の基礎部材と、前記基礎部材の中空部に立設される支柱と、前記立設された支柱間に架設されるパイプ材、ビーム材、又はケーブル材等の柵部材と、からなることを特徴とする。
請求項9に記載した発明に係る道路用防護柵の構築工法は、前記請求項7に記載の基礎部材を打込機により地中へ打ち込んで埋設した後、前記基礎部材の前記中空部内に支柱を立設し、前記立設した支柱間にパイプ材、ビーム材、又はケーブル材等の柵部材を架設してなることを特徴とする。
請求項10に記載した発明は、請求項9に記載した道路用防護柵の構築工法において、前記基礎部材の天端に載るベース部と前記中空部内に挿入可能な下向きの突出部とを備えた鋼製治具を、前記基礎部材を打込機により地中へ打ち込む前に、前記下向きの突出部を前記中空部内に挿入することによりセットし、前記基礎部材を打込機により地中へ打ち込み終えた後に撤去することを特徴とする。
本発明に係る道路用防護柵の鋼製基礎部材及び道路用防護柵並びにその構築工法によれば、以下の効果を奏する。
(1)道路延長方向に土圧をより受けやすい壁状に形成し、道路直交方向に回転抑止部材(抵抗部材)を付設した基礎部材を用いて道路用防護柵を構築するので、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができる。よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。
(2)請求項7に記載したような、打込機で打ち込み可能な構成の基礎部材で実施する場合は、地盤を掘削する工程を省略できるので、作業時間を大幅に短縮でき、また、廃棄処分するべき掘削土もほとんどなく、施工性、経済性、および地球環境性に非常に優れている。
(3)その他、基礎部材を鋼製で実施する場合は、強度・剛性が高く、損傷、破壊が生じにくい基礎部材を実現できる。
Aは、実施例1に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図であり、Bは、同平面図であり、Cは、同正面図であり、Dは、CのD-D矢視断面図である。 実施例2に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図である。 実施例3に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図である。 実施例4に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図である。 A、Bはそれぞれ、実施例5に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図である。 実施例6に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図である。 実施例7に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図である。 実施例6の道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図である。 実施例7の道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図である。 実施例6の道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図である。 実施例7の道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図である。 Aは、実施例8に係る道路用防護柵の基礎部材を示した斜視図であり、Bは、同平面図であり、Cは、Aの要部の分解斜視図である。 Aは、実施例8の道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図であり、Bは、Aの展開図である。 Aは、実施例8の道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図であり、Bは、同平面図であり、Cは、Aの要部の分解斜視図である。 実施例1~8に係る道路用防護柵の基礎部材のバリエーションを示した斜視図である。 Aは、実施例1~8に係る道路用防護柵の基礎部材を打込機で打ち込む場合に用いる鋼製治具を示した正面図であり、Bは、鋼製治具を前記基礎部材(図1)にセットした状態を示した正面図であり、Cは、同平面図である。 実施例1に係る道路用防護柵の基礎部材を用いて構築した道路用防護柵の支持性能の効果を確認したグラフである。
次に、本発明に係る道路用防護柵の基礎部材及び道路用防護柵並びにその構築工法の実施例を図面に基づいて説明する。
図1A~Dは、実施例1に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
前記基礎部材は、地中に埋設されて道路用防護柵の支柱を支持するものであって、前記支柱を受け入れる中空部1aを備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材1と、前記壁状部材1の車道側V(及び/又は歩道側W)へ突き出して設けられる回転抑止部材2(摩擦板21)とから成る。
前記壁状部材1は、高さ及び壁厚を略揃えた中空角形鋼管11とH形鋼12とを適宜組み合わせて溶接接合することにより一体化されている。本実施例に係る壁状部材1は、一例として、中央部に配置した1本の中空角形鋼管11の側面と、その左右に2本ずつ配置した4本のH形鋼12のフランジ面とが面一になるように配置し、互いの当接部を溶接接合することにより壁状に形成して実施されている。また、前記中空角形鋼管11は、その下端部に山形鋼(アングル)3が溶接接合されている。
前記回転抑止部材2は、本実施例では摩擦板21が採用されている。本実施例に係る摩擦板21は、前記壁状部材1の車道側Vの鉛直方向に3枚、左右に等間隔に設けられている。前記3枚の鉛直な摩擦板21はそれぞれ、取り付けられる部材11、12の高さ方向の全長にわたって溶接接合手段で一体的に設けられている。
ここで、前記摩擦板21が果たす役割について説明すると、車両衝突時等で外力が生じたとき、基礎部材は地盤内で回転する挙動をとるほか引き抜き挙動より地中から引き抜けてしまう場合もあるが、前記摩擦板21の抵抗力により前記引き抜き挙動に対しても抵抗力を発揮することができ基礎部材自身の回転を抑止することができる。後述する底部プレート23~25についても同様に、前記引き抜き挙動に対しても抵抗力を発揮することができる。
前記中空角形鋼管11は、一例として、縦横125×125mm、板厚が4.5mm、高さが434mmの寸法で実施されている。本実施例では、前記中空角形鋼管11の下端部に、高さが66mm(縦横90×90mm)、板厚が6mmの山形鋼(アングル)3が下向きに突設するように溶接接合手段により一体的に設けられ、全体の高さ寸法が500mmで実施されている。
前記H形鋼12は、一例として、断面サイズが125×125×6.5×9(mm)で、高さ寸法が500mmで実施されている。
前記鉛直な摩擦板21は、一例として、板厚が4.5mm、突き出し寸法が50mm、高さ(長さ)が、対応する部材11、12の高さ寸法(434mm、500mm)に合わせて実施されている。
なお、前記各部材11、3、12、21の寸法はもちろん上記に限定されず、立設する支柱の断面サイズ、求められる防護柵の衝撃耐力等に応じて適宜設計変更可能である。ちなみに、本実施例に係る基礎部材の重量は、30~50kg程度である。
上記構成の基礎部材によれば、前記中空角形鋼管11とH形鋼12とで道路延長方向に土圧をより受けやすい壁状に形成し、道路直交方向(車道側V)に回転抑止部材2として鉛直な摩擦板21を複数枚(例えば図面のように3枚)付設し、しかも地中埋設物と干渉しない高さ寸法(500mm)とした基礎部材を用いて道路用防護柵を構築するので、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。
また、資材調達が容易な部材11、3、12、21で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。
なお、本出願人は、実際に上記構成の基礎部材を地中に埋設し、支柱を基礎部材の中空部1aに立設し、支柱の頂部を歩道側Wに水平方向に静的に載荷する実験(静的載荷試験)を行っている。その結果、図17に示したように、図1の基礎部材(部材11、3、12、21)に支柱を立設した場合の支持性能は、摩擦板21がない基礎部材(部材11、3、12)に支柱を立設した場合の支持性能と比し、支持力が低下しにくくなることが判明している。
ちなみに、上記構成の基礎部材は、道路等の設置部位に、掘削手段で設置することもできるし、打ち込み手段で設置することもできる。
前記掘削手段とは、前記基礎部材を収容可能な略直方体状の穴部を掘削して形成し、この穴部内に前記基礎部材を落とし込んで設置した後、掘削土を必要な量だけ埋め戻すことにより地中に固定する手段である。
前記打ち込み手段とは、打込機により前記基礎部材を上方から徐々に打ち込み、押圧力により地中に埋設すると同時に固定する手段である。設置部位にアスファルト舗装がされている場合は必要に応じて除去して行ってもよい。この打ち込み手段で実施可能な条件として、地盤から受ける先端抵抗力や周面摩擦力に対し、水平方向の外力を受けたときに防護柵基礎の水平支持力に影響するような変形や損傷を生じない強度・剛性を備えていることが挙げられる。
上記構成の基礎部材は、重量が30~50kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記摩擦板21を鉛直方向に設けて土圧の抵抗を受けない工夫を施しているので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる。打ち込み過程において、鉛直な摩擦板21はガイド板(位置ずれ防止板)の役割を果たし、また、前記中空角形鋼管11の下端部に設けた山形鋼3が、土(路盤、路床の構成物等)の内部への進入を防止できる。
この打ち込み手段で基礎部材を設置する場合、即ち、打ち込み可能な構成の基礎部材で実施する場合は、前記掘削手段と比し、地盤を掘削する工程を省略できるので、作業時間を大幅に短縮でき、廃棄処分するべき掘削土もほとんどなく、また、地中が押し固められて基礎の水平抵抗力も増大する作用効果がある。
基礎部材を設置した後は、基礎部材の前記中空部1a内に支柱を建て込み、必要に応じて支柱と中空部1aとが形成する隙間にモルタル等の固化材を流し込んで前記支柱を立設する。次に、前記支柱立設作業を道路延長方向の所定の部位毎に行い、前記立設した支柱間にパイプ材、ケーブル材、又はビーム材等の柵部材を適宜架設し、もって、ガードパイプ、ガードレール、又はガードケーブル等の道路用防護柵を構築する。
なお、本実施例に係る摩擦板21は、打ち込み手段で実施することを考慮して鉛直方向に設けて実施しているが、掘削手段で実施する場合は水平方向に設けて実施することも勿論できる。
また、前記したように、支柱は、前記中空部1aに建て込んで防護柵を構築しているがこれに限定されず、その左右のH形鋼12、12同士で形成した中空部に支柱を建て込んで実施できる等、柔軟性に富む構造設計を実現できる。
さらに、前記基礎部材は、鋼製(金属製)で実施しているがこれに限定されず、道路延長方向に土圧をより受けやすい壁状に形成し、道路直交方向に回転抑止部材2を付設することができれば、コンクリート製、又は鋼製とコンクリート製との組み合わせ構造(タイプ)でも実施可能である。
前記打ち込み手段で実施する場合について更に説明すると、本実施例では、前記打込機で前記基礎部材を打ち込むに際し、図16に示したような、前記基礎部材の天端に載るベース部7aと前記中空角形鋼管11の中空部1a内に挿入可能な下向きの突出部7bとを備えた鋼製治具7を用いて実施している。
この鋼製治具7は、前記基礎部材の損傷を防止する緩衝材の役割を果たすほか、打込機による押圧力を基礎部材全体にバランスよく分散し、基礎部材を地中に確実に打ち込む役割を果たす。さらに、この鋼製治具7は、地面に対して真っ直ぐに打ち込むことができる。ちなみに本実施例に係る鋼製治具7は、前記基礎部材を平面的に覆う程度の大きさのプレートの略中央部に中空鋼管を鉛直方向に貫通させた形態で溶接接合手段により一体化して形成される。
そして、前記中空鋼管における前記プレート(ベース部7a)よりも下方の突設部7bを前記中空角形鋼管11の中空部1a内に挿入することで前記鋼製治具7を前記基礎部材にセットし、前記プレートよりも上方の突設部を前記打込機の打込部の下端部に装着することにより、前記打込機による打ち込み作業を行う。
そして、前記基礎部材を打込機により地中へ打ち込み終えた後に前記鋼製治具7を撤去し、支柱の建て込み作業に着手する。
ちなみに、前記段落[0032]で説明した実施手段は、この実施例1に限らず、以下に説明する各実施例に係る打ち込み手段で実施する場合にも同様に実施できる。
また、前記打込機には、道路用防護柵の支柱を地面に打ち込むために用いる支柱打込機(エアーストライカー)が好適であるが、鋼矢板を地面に圧入するために用いる圧入機でも同様に実施できる。よって、本明細書において前記「打込機」とは、圧入機も含む、と定義する。
図2は、実施例2に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例2の基礎部材は、上記実施例1の基礎部材と比し、中空角形鋼管11の左右に設けられるH形鋼12の代わりに、道路延長方向へ長い中空角形鋼管13を用いている点が主に相違する。その他の中空角形鋼管11、山形鋼3(図面上見えない)、及び摩擦板21は、実施例1と同一部材なので同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例2の基礎部材によれば、上記実施例1に係る基礎部材と同様に、前記支柱を受け入れる中空部1aを備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材1と、前記壁状部材1の車道側Vへ突き出して設けられる回転抑止部材2(摩擦板21)とから成ることに変わりはないので、上記実施例1と同様の作用効果を奏する。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材11、3、13、21で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が30kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記摩擦板21を鉛直方向に設けて土圧の抵抗を受けない工夫を施しているので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
図3は、実施例3に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例3の基礎部材は、上記実施例2の基礎部材と比し、前記中空角形鋼管13より薄幅(スリムサイズ)の中空角形鋼管13’を用いている点が主に相違する。その他の中空角形鋼管11、山形鋼3、及び摩擦板21は、上記実施例1、2と同一部材なので同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例3の基礎部材によれば、上記実施例1、2に係る基礎部材と同様に、前記支柱を受け入れる中空部1aを備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材1と、前記壁状部材1の車道側Vへ突き出して設けられる回転抑止部材2(摩擦板21)とから成ることに変わりはないので、上記実施例1、2と同様の作用効果を奏する。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材11、3、13’、21で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が30kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記摩擦板21を鉛直方向に設けて土圧の抵抗を受けない工夫を施しているので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
図4は、実施例4に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例4の基礎部材は、上記実施例2(図2)の基礎部材と比し、摩擦板21の数量と設置部位が主に相違する。その他の構成は、上記実施例2と同一部材なので同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例4の基礎部材によれば、上記実施例2に係る基礎部材と同様に、前記支柱を受け入れる中空部1aを備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材1と、前記壁状部材1の車道側Vへ突き出して設けられる回転抑止部材2(摩擦板21)とから成ることに変わりはないので、上記実施例2と同様の作用効果を奏する。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材11、3、13、21で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が40kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記摩擦板21を鉛直方向に設けて土圧の抵抗を受けない工夫を施しているので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
図5Aは、実施例5に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例5の基礎部材は、上記実施例1~4の基礎部材と異なり、壁状部材1と回転抑止部材2とを、折り曲げ鋼板15、16と平鋼板17、18との組み合わせで構成している点が相違する。
具体的に、この実施例5の基礎部材は、平坦部15aとその両端部の折り曲げ部15b、15bとを有する平面視略コ字形の折り曲げ鋼板15と、前記平坦部15aの中央部の車道側Vへ設けられ前記中空部1aを形成する平面視略コ字形の折り曲げ鋼板16と、前記折り曲げ鋼板16の車道側V側面の左右に面一に設けられる一対の平鋼板17、17と、前記折り曲げ鋼板16の中空部1aの下方に蓋をする平鋼板18とからなり、各部材15、16、17、18の当接部を溶接接合手段により一体化して構成されている。
ちなみに図5Bは、前記平鋼板18を、上記実施例1等で説明した山形鋼(アングル)3に置き換えた構成の基礎部材を示している。以下、図5A、Bに示す基礎部材を一纏めに説明する。
この実施例5の基礎部材によれば、上記実施例1~4に係る基礎部材と同様に、前記支柱を受け入れる中空部1aを備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材1と、前記壁状部材1の車道側Vへ突き出して設けられる回転抑止部材2(摩擦板21の役割を果たす折り曲げ鋼板15bの突き出し部)とから成ることに変わりはないので、上記実施例1~4と同様の作用効果を奏する。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材15、16、17、18(又は3)で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が30kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記回転抑止部材2(摩擦板21の役割を果たす折り曲げ鋼板15bの突き出し部)を鉛直方向に設けて土圧の抵抗を受けない工夫を施しているので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
図6は、実施例6に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例6の基礎部材は、上記実施例1(図1)の基礎部材と比し、回転抑止部材2として用いる摩擦板21の代わりに、支圧板22を用いている点が主に相違する。ちなみに、図示例に係る支圧板22は、アングル材22を採用し、前記壁状部材1の歩道側Wの上端部に水平方向に突き出す構成で溶接接合手段により一体的に設けられている。その他の構成は、上記実施例1と同一部材なので同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例6の基礎部材によれば、車道側Vへ突き出す摩擦板21の代わりに歩道側Wへ突き出す支圧板22を用いているものの、道路直交方向へ回転抑止部材2を設けた構成に変わりはない。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材11、3、12、22で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が50kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記支圧板22は地面上に載置する構成で用い、打ち込み手段の邪魔にはならないので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
なお、図8に示した基礎部材は、前記支圧板22を車道側Vに設けたに過ぎない実施例であり、図10に示した基礎部材は、いわば図6と図8との組み合わせタイプなので、特に説明するまでもなく、この実施例6(図6)に係る基礎部材と同様の作用効果を奏する。
図7は、実施例7に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例7の基礎部材は、上記実施例6(図6)の基礎部材と比し、中空角形鋼管11の左右に設けられるH形鋼12の代わりに、前記鋼管1と同形同大の断面で、高さ寸法が500mmの中空角形鋼管14を用いている点が主に相違する。その他の構成は、実施例6と同一部材なので同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例7の基礎部材によれば、上記実施例6と比し、H形鋼12と中空角形鋼管14との違いしかない。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材11、3、14、22で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が40kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記支圧板22は地面上に載置する構成で用い、打ち込み手段の邪魔にはならないので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
なお、図9に示した基礎部材は、前記支圧板22を車道側Vに設けたに過ぎない実施例であり、図11に示した基礎部材は、いわば図7と図9との組み合わせタイプなので、特に説明するまでもなく、この実施例7(図7)に係る基礎部材と同様の作用効果を奏する。
図12は、実施例8に係る道路用防護柵の基礎部材を示している。
この実施例8の基礎部材は、上記実施例7(図7)の基礎部材と比し、回転抑止部材2として用いる支圧板22の代わりに、底部プレート23を用いている点が主に相違する。ちなみに、図示例に係る底部プレート23は、端部を半円弧に加工したナット5(被係合部)付きの平鋼で実施され、前記壁状部材1の底部に設けた貫通孔付きの底面板4を介して回動可能に設けられている。その他の構成は、上記実施例7と同一なので同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例8の基礎部材によれば、歩道側Wへ突き出す支圧板22の代わりに車道側Vへ突き出す出し入れ自在な底部プレート23を用いているものの、道路直交方向へ回転抑止部材2を設けた構成に変わりはない。
すなわち、防護柵全体の支持力の急激な低下、ひいては柵部材の大きな変形を抑制することができ、よって、車両等衝突時であっても、確実な車両誘導性、良好な視線誘導性の役割を果たすことが可能な道路用防護柵を実現できる。また、資材調達が容易な部材11、3、14、23、4で基礎部材をコンパクトに製造することができるので、ハンドリング性、作業性に優れた基礎部材、ひいては道路用防護柵を実現できる。さらに、上記構成の基礎部材は、重量が40kg程度の鋼製であり、前記した強度・剛性を備えていると共に、前記支圧板22は出し入れ自在な構成であり打ち込み手段の邪魔にはならないので、前記打ち込み手段により鉛直姿勢を保持したまま地中にスムーズに埋設させることができる(詳しくは、前記段落[0030]~[0033]を適宜参照)。
なお、前記底部プレート23は、打ち込み手段で実施する場合は、平面的にみて壁状部材1の平面領域に収まる形状で実施することが好ましい。打込機による打ち込み手段で基礎部材を打ち込んだ後は、長いソケットを用いたインパクトレンチにより前記中空角形鋼管14の上方から前記ナット5に係合して回動させることにより底部プレート23を図示例のように突き出す。
また、図13に示したように、オーバーラップタイプの長尺の底部プレート24、24を用いて実施すると、ラップ効果により中空部1aへの土(路盤、路床の構成物等)の進入を防止できるので、支柱建て込み部位に山形鋼3を取り付けない通常タイプの中空角形鋼管14で実施することもできる。
また、図14に示したように、壁状部材1の構成を実施例1等で採用したような中空角形鋼管11とH形鋼12とを組み合わせた構成でも同様に実施できる。ちなみに、図示例に係る底部プレート25は、底部プレート23のバリエーションである。
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、回転抑止部材2は、摩擦板21、支圧板22、底部プレート23~25のうちのいずれか1つに限らず、図15Aに例示したように、摩擦板21と底部プレート23(~25)とを組み合わせたり、図15Bに例示したように、支圧板22と底部プレート23(~25)とを組み合わせたりして、2つ以上の組み合わせで実施することも勿論できる。
また、図16に係る鋼製治具7の下方の突設部7bを、中空角形鋼管11に内接するような中実の棒状、又は底蓋付きの中空の棒状に形成して実施すると、打ち込み時に前記中空角形鋼管11の内部に土(路盤、路床の構成物等)が進入することもないので、山形鋼3(下向き凸状の蓋材)なしで実施することもできる。
1 壁状部材
1a 中空部
11 中空角形鋼管
12 H形鋼
13 中空角形鋼管
13’ 中空角形鋼管
14 中空角形鋼管
15 折り曲げ鋼板
15a 平坦部
15b 折り曲げ部
16 折り曲げ鋼板
17 平鋼板
18 平鋼板
2 回転抑止部材
21 摩擦板
22 支圧板
23 底部プレート
24 底部プレート
25 底部プレート
3 山形鋼
4 底面板
5 ナット
6 底面板
7 鋼製治具
7a ベース部
7b 突出部
V 車道側
W 歩道側

Claims (10)

  1. 地中に埋設されて道路用防護柵の支柱を支持する基礎部材であって、
    前記支柱を受け入れる中空部を備え、道路延長方向に長く形成された壁状部材と、
    前記壁状部材の車道側及び/又は歩道側へ突き出して設けられる回転抑止部材と、
    から成ることを特徴とする、道路用防護柵の基礎部材。
  2. 前記壁状部材は、中空角形鋼管、H形鋼、折り曲げ鋼板、及び平鋼板のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせで接合してなることを特徴とする、請求項1に記載した道路用防護柵の基礎部材。
  3. 前記回転抑止部材は、摩擦板、支圧板、及び底部プレートのうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項1又は2に記載した道路用防護柵の基礎部材。
  4. 前記摩擦板は、前記壁状部材の車道側に鉛直方向及び/又は水平方向に突き出して設けられることを特徴とする、請求項3に記載した道路用防護柵の基礎部材。
  5. 前記支圧板は、前記壁状部材の歩道側の上端部に水平方向に突き出して設けられることを特徴とする、請求項3又は4に記載した道路用防護柵の基礎部材。
  6. 前記底部プレートは、前記壁状部材の底部に設けた底面板を介して回動可能に設けられることを特徴とする、請求項3~5のいずれか1項に記載した道路用防護柵の基礎部材。
  7. 打込機で打ち込むことにより地中に埋設可能な構造であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した道路用防護柵の基礎部材。
  8. 前記請求項1~7のいずれかに記載の基礎部材と、
    前記基礎部材の中空部に立設される支柱と、
    前記立設された支柱間に架設されるパイプ材、ビーム材、又はケーブル材等の柵部材と、からなることを特徴とする、道路用防護柵。
  9. 前記請求項7に記載の基礎部材を打込機により地中へ打ち込んで埋設した後、前記基礎部材の前記中空部内に支柱を立設し、前記立設した支柱間にパイプ材、ビーム材、又はケーブル材等の柵部材を架設してなることを特徴とする、道路用防護柵の構築工法。
  10. 前記基礎部材の天端に載るベース部と前記中空部内に挿入可能な下向きの突出部とを備えた鋼製治具を、前記基礎部材を打込機により地中へ打ち込む前に、前記下向きの突出部を前記中空部内に挿入することによりセットし、前記基礎部材を打込機により地中へ打ち込み終えた後に撤去することを特徴とする、請求項9に記載した道路用防護柵の構築工法。
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