以下に、本発明の警報器の実施の形態について、図19に示す煙感知用の警報器に採用したものを代表して説明する。図1は、図19に示す煙感知用の警報器を示す外観斜視図である。尚、以下では、煙感知用の警報器を代表して説明するが、煙感知用の警報器に限らず、ガス量が多くなったときに警報の発報を行うガス感知用の警報器や、不審者を検知したときに警報を発報する人体検知用の警報器に対しても同様に適用することができる。
まず、煙感知用の警報器の構成について、図19の分解斜視図及び図1の外観斜視図を参照して説明する。まず、図19に示す煙感知用の警報器は、上述したように、光学系部品が搭載された光学基台1と、各種回路部品が実装される回路基板2と、煙感知室への虫などの進入を防ぐ防虫カバー3と、警報音を鳴動する板状スピーカ4と、防虫カバー3及び板状スピーカ4を囲う保護カバー5と、回路基板2を内蔵する筐体6とを、備える。
そして、筐体6の設置する設置面を基準にしたとき、筐体6、回路基板2、光学基台1、防虫カバー3、スピーカ4、保護カバー5の順となるように、警報器を構成する各部材が組み立てられる。又、図1に示す警報器は、この図19に示す警報器に対して、筐体6内部に設置される回路基板2に接続されるアンテナ7を備えるとともに、このアンテナ7が筐体6の側面から外部に突出した構成となる。
筐体6は、その裏面が設置面に当接されて固定される略円盤状の基台60と、この基台60の外周縁より設置面から離れる方向に突出させたリング状の側壁61と、この側壁61における基台60に覆われる端部と逆側の端部を覆う略円盤状の主部62とを有する。この筐体6における主部62は、側壁61との接続部分から中心に向かって、設置面と逆方向に盛り上がった形状となり、その中心部分には円状の開口部63が形成される。
このような構成の筐体6内には、回路基板2が収容される。そして、光学基台1、防虫カバー3、及びスピーカ4が収容された保護カバー5を筐体6の開口部63に挿入することで、主部62の開口部63より突出した状態に組み付けられる。又、主部62は取り外しが可能な構成とされる。尚、主部62と側壁61が一体形成されているような場合は、基台60から一体形成された主部62と側壁61とを取り外し可能にしたものであってもよい。
主部62を取り外し可能とした場合は、まず、光学基台1に固着された回路基板2を、基台60及び側壁61よりなる筐体6の一部に固定して、光学基台1、回路基板2、防虫カバー3、スピーカ4、及び保護カバー5により一体化した部材を筐体6の一部に配置する。そして、主部62を側壁61に接続するように設置して筐体6を組み上げることで、光学基台1、回路基板2、防虫カバー3、スピーカ4、及び保護カバー5を筐体6により固定できる。
又、筐体6は、図1に示すように、アンテナ7が挿入される開口部64が側壁61に形成される。この側壁61に形成される開口部64の形状は、例えば、図1に示すU字型形状や略円形状となる。上述のように、基台60及び側壁61よりなる筐体6に回路基板2が組み付けられるとき、開口部64よりアンテナ7が筐体6内部に挿入されるとともに、回路基板2が側壁61における開口面から筐体6内部に設置される。そして、筐体6内部に固定された回路基板2に対してアンテナ7を接続して、アンテナ7の固定を行う。
尚、主部62と側壁61が一体形成される場合は、開口部64が基台60と当接する端部から切り欠いた形状とし、主部62と側壁61により一体形成された部材の主部62と逆側の開口面から、光学基台1、回路基板2、防虫カバー3、スピーカ4、及び保護カバー5により一体化した部材を挿入する。このとき、保護カバー5が主部62の開口部63から突出するように、光学基台1、回路基板2、防虫カバー3、スピーカ4、及び保護カバー5により一体化した部材を挿入する。その後、アンテナ7の一部が開口部64に嵌め合わされるとともに、アンテナ7における側壁61の内側に挿入された部分を回路基板2に接続して、アンテナ7を固定する。そして、側壁61の開口面を基台60によって覆うことによって、各部品が組み込まれた筐体6を組み上げる。
回路基板2は、光学基台1と対向する面に、発光素子を構成する発光ダイオードLと、受光素子を構成するフォトダイオードPDとが実装されている。又、回路基板2には、図1に示すアンテナ7が接続されるとともに、このアンテナ7と電気的に接続して無線通信を行う通信回路や各部の動作を制御する制御回路などの複数の回路部品が搭載される。
煙感知室が構成される光学基台1は、略円板状の底板11と、底板11の縁部に回路基板2に向かって突出した周壁12とを備える。そして、底板11の防虫カバー3と対向する面には、プリズムガラスなどで構成される発光ユニット及び受光ユニットを取り囲むように、ラビリンス壁13が複数設けられている。又、この光学基台1は、回路基板2上の発光ダイオードL及びフォトダイオードPDをそれぞれ収容する収容部14,15が、一体に形成される。この収容部14,15それぞれに、光学基台1の底板11を貫通して、発光ダイオードL及びフォトダイオードPDそれぞれが収容されることで、発光ダイオードL及びフォトダイオードPDを外来ノイズからシールドすることができる。
防虫カバー3は、虫や埃等が光学基台1の構成する煙感知室内に入らないように防虫網33を有した構造としている。そして、この防虫網33を保持する外枠31は、光学基台1との対向する側の端部が光学基台1の周壁12と嵌合されるように構成されるとともに、反対側の端部にスピーカ4を収納する丸穴32が設けられる。
スピーカ4は、保護カバー5の底部51に載置され、取付状態においては、防虫カバーの丸穴32に嵌り込む形状になっている。又、保護カバー5は有底円筒状に形成され、その周壁52には周方向に沿って開口部52aが形成されており、該開口部52aから煙が流入するようになっている。尚、スピーカ4は防虫カバー3の丸穴32に嵌合された状態で、保護カバー5に収容されるものとしてもよい。
アンテナ7は、図1に示すように、筐体6の側壁61に設けられた開口部64を通じて、筐体6内部から筐体6外部に導出された形状となる。このアンテナ7は、筐体6外部において、筺体6外部に導出されたアンテナ線の外部導出部を覆うアンテナハウジング70を備える。又、アンテナハウジング70における開口部64の挿入部分が、開口部64において筐体6に係合することで、アンテナ7が筐体6によって保持される。
以下の各形態は、第12の形態を除いて、図1に示す警報器の構成を基本の構成とする。よって、第1〜第11の形態は、図1及び図19に示す構成で共通となる部分についての説明は省略し、各実施形態で特徴とする部分について、その詳細な説明を行う。又、第12の形態では、図1の基本となる構成と異なる特徴部分について、その詳細な説明を行う。
<第1の形態>
第1の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図2は、本実施形態における警報器の内部構成を示す概略図である。尚、図2に示す警報器の構成において、図1及び図19に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図2に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、筐体6内に内蔵される回路基板2に電気接続される金属線71を筐体6の外部に導出した外部導出部72を備え、外部導出部72に開放端73を設けた構成となる。そして、この外部導出部72は、金属線71を螺旋状に複数回巻いたバネ形状(コイル形状)とする。尚、金属線71として、例えば、0.6mm径のりん青銅線や、0.5mm径のピアノ線などを用いることができる。このように、金属線71の開放端73側に設けた外部導出部72をバネ形状によるヘリカルアンテナとすることで、金属線71の長さを十分な長さとして、無線通信時に所定の感度を得ることができるだけでなく、外部導出部72の全長を短くすることができる。
そして、金属線71は、外部導出部72における開放端73と逆側にL字型に屈曲させた屈曲部74を備える。この屈曲部74を筐体6の開口部64を通じて筐体6の内部に挿入することで、金属線71における開放端73の逆側の端部75を筐体6内部に導く。又、この金属線71の端部75には、0.4mm径のポリウレタン銅線などの銅撚り線よりなる可撓性電線77が接続されたカシメ金具76が接続されることで、金属線71と可撓性電線77とがカシメ金具76を介して電気的且つ物理的に接続される。更に、可撓性電線77のカシメ金具76との接続端の反対側となる端部は、半田78によって回路基板2に接続される。
このように構成することで、屈曲部74のカシメ金具76との接続側による直線部分を中心軸として、アンテナ7を回転させたとき、可撓性電線77により金属線71の回転により発生する捻れが緩和される。そのため、アンテナ7が回路基板2に対して接続された半田78による接続部分が外れることを防ぐことができる。
更に、この可撓性電線77を介して回路基板2に接続された金属線71によって構成されるアンテナ7は、金属線71における外部導出部72及び屈曲部74を覆うアンテナハウジング70を備える。このアンテナハウジング70は、外部導出部72を覆う主部701は、例えば、外部導出部72におけるバネ形状の径より大きい径となる略円筒形状とされ、且つ、外部導出部72の開放端73を覆う端部を備える。又、アンテナハウジング70によって屈曲部74を覆うために、外部導出部72を覆う略円筒形状部分を屈曲部74と同様に屈曲させた屈曲部分702を備える。
このように構成されるアンテナハウジング70において、屈曲部分702は、主部701の接続部分と反対側の端部703に、金属線71をアンテナハウジング70の外部に導出する開口部を備える。この屈曲部分702の端部703は、筐体6の側壁61に設けられた開口部64よりも広がった形状とすることで、屈曲部分702の主部701と垂直となる部分を開口部64に嵌合させたときに、アンテナ7が筐体6から抜けることを防ぐ。尚、この屈曲部分702において、開口部64に嵌合する部分となる周面に、側壁61の幅に等しい幅の溝を設け、この溝によって側壁61の開口部64に屈曲部分702を係合させて、アンテナ7が筐体6から抜けることを防ぐものとしてもよい。
アンテナハウジング70は、例えば、上述の形状を有するABS(Acrylonitrile
Butadiene Styrene)樹脂よりなる中空の成型品ケースによって構成されるものとしてもよいし、金属線71との同時成型により構成されるものとしてもよい。尚、金属線71と同時成型することでアンテナハウジング70を構成した場合、金属線71が湿度、腐食性ガスから隔離されて、アンテナ7の信頼性が向上し、且つ衝撃等外力に対しても強くなる。この同時成型として、例えば、熱可塑性のエラストマ樹脂などを用いたホットメルト方式を用いることにより、その加工温度及び加工圧力を低くすることができ、金属線71に加工時の影響を与えずに成型することができる。又、中空の成型品ケースによって構成する場合、主部701の断面形状を楕円形とし、外部導出部72も楕円によるバネ形状とすることで、煙流入性をよくするガイドとして機能させることができる。
更に、このように構成されるアンテナハウジング70を備えるアンテナ7は、アンテナハウジング70の屈曲部702における、筐体6の開口部64との嵌合部分に、リング状ゴム79が装着される。即ち、アンテナ7が筐体6に組み付けられたとき、リング状ゴム79が、アンテナハウジング70の屈曲部702の外周面と筐体6の側壁61に設けられた開口部64の内周面のそれぞれに当接する。よって、このアンテナハウジング70に装着されたリング状ゴム79による所定の摩擦力が働くことで、アンテナ7を任意の位置に保持できる。
<第2の形態>
第2の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図3は、本形態における警報器の内部構成を示す概略図である。尚、図3に示す警報器の構成において、図2に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図3に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第1の実施形態の警報器(図2参照)と異なり、金属線71による冗長部77aを屈曲部74の端部75側に設けて、金属線71の端部75を半田78により回路基板2に接続した構成となる。これにより、第1の形態でアンテナ7を回転可能とするために設けた、カシメ金具76及び可撓性電線77を、その構成から省略することができる。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
本形態の警報器のアンテナ7において特徴部分となる冗長部77aは、例えば、金属線71の端部75側において、径15mmで1回巻いた形状などの構成とすることで、第1の形態における可撓性電線77と同等の機能を備える。即ち、屈曲部74の外部導出部72と垂直となる直線部分を中心軸としてアンテナ7を回転させたとき、その回転により発生するねじり応力が冗長部77aで緩和され、金属線71が半田78による回路基板2との接続部分より外れることが防がれる。
<第3の形態>
第3の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図4は、本形態における警報器に使用するアンテナの構成を示す外観斜視図である。又、図5は、図4に示すアンテナが組み付けられた警報器の構成を示す断面図である。尚、本形態の警報器の構成において、図2に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第1の形態の警報器(図2参照)と異なり、回路基板2への固定を行うための丸型圧着端子78aが、回路基板2との接続側の端部に接続された構成となる。これにより、第1の形態で回路基板2にアンテナ7を固定するための半田78を、その構成から省略することができる。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
アンテナ7に設けた丸形圧着端子78aは、金属製であるとともに、可撓性電線77と接続される圧着部分781と逆側にリング状の端子782を有し、リング状の端子782の中心には、図5に示すネジ78bを挿入する貫通穴783を備える。又、図5に示すように、回路基板2において、ネジ78bを挿入する貫通穴21が設けられ、更に、筐体6において、挿入されるネジ78bを保持するためのネジ穴62aが主部62に設けられる。
このように構成することで、丸形圧着端子78aの貫通穴783、回路基板2の貫通穴21、及び、主部62のネジ穴62aに対してネジ78bを挿入し、ネジ78bをネジ穴62aに保持させて、アンテナ7を回路基板2及び筐体6に固定することができる。図5では、配線パターンやスルーホールなどによる、アンテナ7との電気的接続を行うための導体部分が、回路基板2の基台60に対向する面に設けられた場合の構成を例示している。
即ち、図5の構成では、筐体6の基台60側から主部62の方向に向かって、丸形圧着端子78a、回路基板2、及び、主部62を順番に重ねた状態で、丸形圧着端子78aの貫通穴783、回路基板2の貫通穴21、及び、主部62のネジ穴62aの開口部を一致させる。そして、ネジ78bを、丸形圧着端子78aの貫通穴783と回路基板2の貫通穴21とを貫通させてネジ穴62aのネジ溝に係止めさせることで、アンテナ7を回路基板2及び筐体6と共締めにして固定する。
尚、アンテナ7との電気的接続を行うための導体部分が、回路基板2の主部62に対向する面に設けられた場合は、筐体6の基台60側から主部62の方向に向かって、回路基板2、丸形圧着端子78a、及び、主部62を順番に重ねた状態とする。そして、図5の構成の場合と同様、ネジ78bによる共締めを行い、アンテナ7を回路基板2及び筐体6に固定する。
本形態では、アンテナ7をネジ78bにより固定させることができるため、第1の形態のように、半田小手などの機器を使用することなく、組み立てることが可能となり、警報器の組立を簡単なものとすることができる。更に、アンテナ7を回路基板2及び筐体6とネジ78bで共締めとすることにより、ネジ78bで、回路基板2を筐体6に固定するネジと、回路基板2に固定するネジとを兼用することができ、その部品点数を削減できる。
又、アンテナ7を筐体6と共締めとすることにより、筐体6を分解することなく、アンテナ7だけの取り外すことが、不可能となる。これにより、警報器による無線通信には、小電力無線通信が利用されるが、この小電力無線用のアンテナとして使用されるアンテナ7について、その改造を困難なものとすることができる。
尚、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第2の形態の警報器(図3参照)における特徴部分を適用することが可能である。即ち、カシメ金具76及び可撓性電線77の代わりに、金属線71の屈曲部74の端部75側に冗長部77aを設ける。そして、本形態では、冗長部77aが設けられる金属線71の端部75を、丸形圧着端子78aの圧着部分781で圧着することで、ネジ78bにより筐体6への固定が可能な構成のアンテナとすることができる。
<第4の形態>
第4の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図6は、本形態における警報器に使用するアンテナの構成を示す警報器の一部の断面図である。又、図7は、図6に示すアンテナの回路基板との接続部分の構成を説明するための図である。尚、本形態の警報器の構成において、図5に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、図6に示すように、第3の形態の警報器(図5参照)と異なり、丸形圧着端子78aの代わりに、ネジ78bによって回路基板2と共締めにより接続される薄板状の金属板78cを備える。又、このアンテナ7は、図7(b)に示すように、ネジ78bによって共締めされる金属板78cと回路基板2とに挟まれた半田層78dを備え、アンテナ7と回路基板2上の回路部品と接続される配線パターンとの電気的な接続をより確実なものとした構成となる。
更に、回路基板2と面接触している金属板78cにおいて、回路基板2と固定された部分と逆側の端部が、端部703における開口部よりアンテナハウジング70内に挿入され、金属線71を保持する円柱形状の金属棒74aと接続される。このとき、アンテナハウジング70内に挿入される金属板78cの端部の先端に回転軸74bが設けられる。そして、この回転軸74bが金属棒74aに挿入されることで、金属棒74aが回転軸74bを軸として回転可能な構成となり、アンテナ7が金属板78cの長手方向を中心軸として回転可能となる。その他の構成については、第3の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
このように構成されるアンテナ7において、金属板78c及び金属棒74aがそれぞれ、真鍮などの導電性の金属によって構成される。そして、金属棒74aは、金属板78cに設けられた回転軸74bが挿入される部分において、回転軸74bの外周面と常に接触可能な構造を備えることで、金属棒74aを回転させる角度に関係なく、常に、金属板78cと金属棒74aとが電気的に接続した状態とすることができる。更に、金属線71については、第3の形態と異なり、屈曲部74を有さずに、その一部が金属棒74aの外周に巻き付けられた構成とされる。そして、金属線71の開放端73と逆側の端部は、半田などによって固定され、電気的且つ構造的に金属棒74aと接続される。
又、このアンテナ7における回路基板2との接続部分の詳細について、図7を参照して以下に説明する。尚、図7(a)が、アンテナ7の設置前における回路基板2の状態を示し、図7(b)が、アンテナ7の設置後における回路基板2の状態を示す。又、図7(a)及び図7(b)双方において、図面の左側に、回路基板2の金属板78cと当接する面の状態を示す表面図を図示し、図面の右側に、その断面図を図示する。更に、図7(b)の表面図では、ネジ78b及び金属板78cについて破線で示す。
図7(a)に示すように、本形態において、回路基板2には、金属板78cが固定される面から回路部品が配置された面に電気的な接続を行うために、複数のスルーホール22が、ネジ78bが挿入される貫通穴21の周囲に設けられる。そして、回路基板2の金属板78cが固定される面では、スルーホール22の表面に対して、例えばリフロー方式によりスルーホール22と電気的に接続される半田層78dが形成される。尚、リフロー方式とは、半田層78dを形成する位置にクリーム半田を塗布した後、加熱してクリーム半田を溶解させて半田層78dを形成するものである。このとき形成される半田層78dは、貫通穴21まで到達しないように形成される。
このようにして半田層78dがスルーホール22上に形成された回路基板2に対して、図7(b)に示すように、アンテナ7の金属板78cが回路基板2と面接触するように設置され、金属板78cの貫通穴783及び回路基板2の貫通穴21に対して、ネジ78bが挿入される。そして、ネジ78bを主部62のネジ穴62aのネジ溝に係止めさせることで、アンテナ7を回路基板2及び筐体6と共締めにして固定する。
このとき、ネジ78bの締め付けによる締付力によって、回路基板2と金属板78cとが互いに接触する方向に力が作用し、回路基板2と金属板78cとの間に挟まれた半田層78dを金属板78c及びスルーホール22と密着させる力が働く。そのため、半田層78dが金属板78c及びスルーホール22それぞれと密着するだけでなく、半田層78dが薄くなるとともにその径方向に延びるため、半田層78dによる電気的な接続が良好なものとなる。
このように、ネジ78bの締め付けにより、回路基板2の面上において半田層78dの設置面が広がるが、貫通穴21に到達しないようにすることが望ましい。又、貫通穴21に到達する場合は、回路基板2の金属板78cが設置される面と反対側の面において、ネジ78bと絶縁するために絶縁層を貫通穴21の内周面に設けることが望ましい。もしくは、ネジ78bの貫通穴21へ挿入される部分について、少なくともその外周面が絶縁材料で形成されるものとしてもよい。
尚、本形態においても、図6の構成で示すように、筐体6の基台60側から主部62の方向に向かって、金属板78c、回路基板2、及び、主部62を順番に重ねた状態で、ネジ78bによる共締めを行い、アンテナ7を回路基板2及び筐体6に固定したが、回路基板2と金属板78cとの間に半田層78dを備えるものであれば、これに限るものではない。即ち、第3の形態でも説明したように、筐体6の基台60側から主部62の方向に向かって、回路基板2、金属板78c、及び、主部62を順番に重ねた状態として、ネジ78bによる共締めを行うものとしてもよい。
又、回路基板2において、アンテナ7と電気的に接続される配線パターンと同一面に、金属板78cが固定されるとき、図7に示すようなスルーホール22を省略し、半田層78dのみにより電気的な接続を施すものとすることができる。このようにスルーホール22を介さずに、回路基板2上の配線パターンに直接金属板78cを接続する場合、半田層78dが、金属板78cと接続される回路基板2上の配線パターン上に塗布される。又、半田層78dが表面に塗布されるスルーホール22及び配線パターンについては、ネジ78bが挿入される貫通穴21の周辺でなくてもよいが、ネジ78bによる締付力を作用させるために、貫通穴21に近い位置に設けられることが好ましい。
更に、本形態において、金属板78cに設けた回転軸74bを、金属線71の開放端73と逆側を接続させた金属棒74aに挿入することで、第3の形態における屈曲部74に相当する部分で回転可能な構成としたが、この構成に限定するものではない。即ち、第1の形態の警報器と同様、カシメ金具76で金属線71と接続された可撓性電線77に、ネジ78bが貫通する貫通穴783を備えた金属板を接続するものとしてもよいし、第2の形態と同様、金属線71に冗長部77aを設け、この冗長部77aの端部75に、貫通穴783を備えた金属板を接続するものとしてもよい。このとき、本形態では、ネジ78bで共締めされる金属板と回路基板2との間に挟まれるように、半田層78dが形成される。
<第5の形態>
第5の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図8は、本形態における警報器の内部構成を示す概略図である。尚、図8に示す警報器の構成において、図2に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図8に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第1の形態の警報器(図2参照)と異なり、金属線71における屈曲部74の端部75側を挟持してアンテナ7と電気的に接続する端子77bを備え、この端子77bを回路基板2に半田78で固定させた構成となる。これにより、第2の形態と同様、第1の形態でアンテナ7を回転可能とするために設けた、カシメ金具76及び可撓性電線77を、その構成から省略することができる。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
このように、本形態では、筐体6の内部に導入される屈曲部74の端部75を端子77bで挟持させた構成とすることで、屈曲部74の端部75側の直線を中心軸として金属線71が回動可能な構成とした。即ち、金属線71が、屈曲部74の端部75側の直線を中心軸として回転したとしても、端子77bの内側が金属線71の端部75側の外周面に当接するため、金属線71と端子77bとの間での電気的な接続が保持される。
アンテナ7周辺の構成を本形態の警報器のような構成とすることで、アンテナ7を筐体6に組み付ける際において、金属線71を端部75側から端子77bに挿入させることで、端子77bに金属線71を挟持させ、回路基板2にアンテナ7を電気的に接続させることができる。これにより、筐体6に回路基板2を固定した後に、第1〜第3の形態のように、半田78又はネジ78bなどによるアンテナ7の回路基板2への接続する作業が不要となり、その組立を簡単なものとすることができる。
尚、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第3の形態の警報器(図4及び図5参照)における特徴部分を適用することが可能である。即ち、端子77bの回路基板2への接続側に、丸形圧着端子78aと同様の貫通穴783を設け、半田78の代わりに、筐体6及び回路基板2それぞれに設けたネジ穴62a及び貫通穴21と共に貫通穴783にネジ78bを挿入して、端子77bを筐体6及び回路基板2と共締めにする。このようにしてネジ78bにより共締めとされた端子77bに、アンテナ7の金属線71を挟持させることで、回路基板2と電気的にアンテナ7を接続するとともに、回動可能とすることができる。更に、第4の形態の警報器のように、ネジ78bによる回路基板2との共締め部分に半田層78cが設けられるようにしてもよい。
<第6の形態>
第6の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図9は、本形態における警報器の内部構成を示す概略図である。尚、図9に示す警報器の構成において、図2に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第1の形態の警報器(図2参照)と異なり、0.4mm径のポリウレタン銅線などの銅撚り線よりなる可撓性電線71aによって、螺旋状に複数回巻いたバネ形状のヘリカルアンテナを構成する。又、アンテナハウジング70の主部701の内部における中心位置には、可撓性電線71aを巻き付けてヘリカルアンテナを形成するために、主部701の長手方向に沿った円柱状のコイルボビン704が設置される。
そして、コイルボビン704に巻き付けられた可撓性電線71aの開放端73と逆側の端部75aは、アンテナハウジング70の端部703に設けられた開口部より筐体6の内部に導入され、半田78により回路基板2に接続される。これにより、第2の形態と同様、第1の形態でアンテナ7を回転可能とするために設けた、カシメ金具76及び可撓性電線77を、その構成から省略することができる。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
このように構成される警報器において、コイルボビン704は、ABSを代表とする樹脂材料などの絶縁材料で構成されるとともに、その外周面には、螺旋状に設けられた溝705を備える。そして、コイルボビン704の溝705に沿って可撓性電線71aが巻き付けられて、第1の形態における警報器における外部導出部72と同様の外部導出部72aが形成される。
尚、可撓性電線71aが巻き付けられたコイルボビン704は、アンテナハウジング70と共に同時成型されるものとしてもよい。又、成型品ケースとして別に成型されるアンテナハウジング70の主部701にコイルボビン704を保持する構造を設けることで、可撓性電線71aが巻き付けられたコイルボビン704を、主部701の中空部分に収納させるものとしてもよい。
又、可撓性電線71aは、コイルボビン704におけるアンテナハウジング70の屈曲部702側の端部から半田78で回路基板2に固定される端部75aまでの間となる部分が、第1の形態における可撓性電線77と同様の作用を施す。即ち、アンテナハウジング70の屈曲部702の端部703側の軸を中心軸として、アンテナ7を回転させたとき、この回転による捻れを可撓性電線71aが緩和するため、回路基板2より可撓性電線71aが外れることを防ぐことができる。
尚、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第3の形態の警報器(図4及び図5参照)における特徴部分を適用することが可能である。即ち、可撓性電線71aの端部75aに丸形圧着端子78aの圧着部781を接続する。そして、筐体6及び回路基板2それぞれに設けたネジ穴62a及び貫通穴21と共に貫通穴783にネジ78bを挿入して、アンテナ7の可撓性電線71aを筐体6及び回路基板2と共締めにする。更に、第4の形態の警報器のように、ネジ78bによる回路基板2との共締め部分に半田層78cが設けられるようにしてもよい。
<第7の形態>
本発明における第7の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図10は、本形態における警報器に使用するアンテナの構成を示す分解斜視図である。尚、図10に示すアンテナの構成において、図4に示すアンテナの構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図10に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第3の形態の警報器(図4及び図5参照)と異なり、金属線71により構成されるヘリカルアンテナを有するアンテナエレメント700と、アンテナエレメント700を覆うアンテナハウジング70を2分割した形状となるハウジング用部材70a,70bとによって構成される。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。尚、アンテナエレメント700は、金属線71の屈曲部74の先端75にカシメ金具76を介して接続した可撓性電線77に、更に、丸型圧着端子78aが接続されたものであり、第3の形態と同様の構成である。
このような構成となるアンテナ7におけるハウジング用部品70a,70bについて、以下に説明する。ハウジング用部品70a,70bは、アンテナエレメント700における金属線71の屈曲部74によって形成される平面を中心として対称となる形状であり、アンテナエレメント700を内包するための中空部分を構成するための溝700a,700bを備える。又、溝700a,700bは、屈曲させた形状となるアンテナエレメント700の形状に合わせて、屈曲部702部分で屈曲させた形状とするとともに、端部703に開口部を形成するための開口部分703a,703bを有する。
このように構成することで、ハウジング用部品70a,70bそれぞれの分割面を接合させてアンテナハウジング70を形成したとき、溝700a,700bにより、アンテナエレメント700を内包する中空部分が形成される。そして、開口部分703a,703bにより、端部703には、アンテナエレメント700の丸型圧着端子78a側をアンテナハウジング70の外部に導出する開口部が形成される。尚、溝700a,700bは、アンテナエレメント700の開放端73側を覆うための蓋を形成するために、アンテナハウジング70の主部701の先端側は、開口部分703a,703bの形成する端部703側と異なり、閉じられた形状となる。
又、ハウジング用部品70a,70bのいずれか一方に、アンテナエレメント700の金属線71における屈曲部74を保持するための支持部741が設けられる。尚、図10の例では、屈曲部74の端部703側を保持するために、ハウジング用部品70bに溝700bより突起させた支持部741が設けられた構成としている。そして、この支持部741は、開放端73を上としたとき、金属線71の屈曲部74を上下で挟持できるように、2枚の板状の突起部によって形成される。又、この突起させた支持部741がハウジング用部品70bに設けられるとき、ハウジング用部品70aには、支持部741を係合するための係合穴を設けるものとしてもよい。
更に、ハウジング用部品70a,70bそれぞれの分割面を接合させてアンテナハウジング70を組み立てる際に固定するために、ハウジング用部品70a,70bの一方に、先端を鈎状とされてはめ殺しとなるラッチ爪701a,702a〜702cを設けるとともに、ハウジング用部品70a,70bの他方に、ラッチ爪701a,702a〜702cが係合する係合穴(不図示)が設けられる。尚、図10では、ハウジング用部品70bにラッチ爪701a,702a〜702cが設けられた構造としている。このとき、ハウジング用部品70aには、ラッチ爪701a,702a〜702cに対応する位置に係合穴が設けられる。
このハウジング用部品70a,70bを組み付けたときに固定するラッチ爪701a,702a〜702cは、例えば、図10に示すような位置に設けることで、組み立てられたアンテナハウジング70を分解しにくい構造とできる。即ち、図10では、アンテナハウジング70の主部701の先端側にラッチ爪701aを、アンテナハウジング70の屈曲部702における主部701からの屈曲開始部分での端部703と反対側にラッチ爪702bを、アンテナハウジング70の屈曲部702における主部701からの屈曲終了部分のアンテナエレメント700を上下に挟む位置(金属線71の開放端73を上とした場合)にラッチ爪702a,702cを、それぞれ設ける。
このように構成することで、アンテナエレメント700を溝700a,700bに嵌め込むようにして、アンテナエレメント700を中心として、その両側からハウジング用部品70a,70bを組み付ける。そして、ハウジング用部品70a,70bの分割面を当接させることで、ラッチ爪701a,702a〜702cを係合穴に係合させ、アンテナエレメント700を内包したアンテナハウジング70が組み立てられる。
よって、アンテナエレメント700を、分割された成形品であるハウジング用部品70a,70bで組み立てられるアンテナハウジング70内に容易に挿入でき、組立後はラッチ爪701a,702a〜702cが係合する構成であるため、その組立を簡単なものとすることができる。又、前記ラッチ爪701a,702a〜702cをはめ殺し構造とすることにより、組立後のアンテナハウジング70を容易に分解できなくなり、アンテナ7の改造を困難なものとすることができる。
尚、図10に示す構成において、溝700bより突起させた形状となる支持部741についても、ラッチ爪701a,702a〜702cと同様の形状とし、アンテナハウジング70の分解を阻止する機能を備えるものとしてもよい。又、ラッチ爪701a,702a〜702cについて、係合させるための爪の先端における引っかかり部は、アンテナハウジング70の組立後に、かしめられるものとしてもよい。
又、本形態では、図10のように、2つの部材によりアンテナハウジング70が構成されるものとしたが、同様にラッチ爪などを用いて分解不可能な構成とすれば、3つ以上の複数の部材によりアンテナハウジング70が構成されるものとしてもよい。このように複数の部材によりアンテナハウジング70を形成する別例として、3つの部材より構成される図11の例を、以下に説明する。図11(a)は、本例におけるアンテナハウジング70を構成する各部材の構成を示す分解斜視図であり、図11(b)は、図11(a)に示す各部材を組み立てた後の構成を示す端部703と平行な面で切断したときの斜視図である。
本例では、図11(a)に示すように、アンテナハウジング70の主部701を形成するキャップ形状のハウジング部材70xと、アンテナハウジング70の屈曲部702を2分割した形状となるハウジング部材70y,70zとが組み立てられることで、アンテナハウジング70が形成される。そして、アンテナハウジング70xは、アンテナエレメント700における外部導出部72が開放端73から挿入される中空部701bを備える。
又、アンテナハウジング70xの開放端73を覆う端部と逆側の端部には、主部701の外径よりも小さい径となって、ハウジング部材70y,70zによる挟持が可能な形状となる挿入部701cが形成される。更に、この挿入部701cにおける開口面を備えた端面701dの外径を広くすることで、アンテナハウジング70xは、ハウジング部材70y,70zにより組み立てられる屈曲部702への係合が可能な構成とされる。尚、主部701部分に関しては一体化されているため、本例では、図10におけるラッチ爪701aは省略される。
一方、ハウジング部材70y,70zは、図10の例と同様、金属線71の屈曲部74によって形成される平面を中心として対称となる形状とされる。そして、ラッチ爪702a〜702c及び支持部741が、ハウジング部材70y,70zのいずれかに設けられた構成となる。又、ハウジング部材70y,70zはそれぞれ、開口面を構成する端部703と逆側の端部702y,702zについても開口させた形状であり、この端部702y,702zによって、ハウジング部材70xの挿入部701cを挟持する。
又、端部702y,702zそれぞれの内壁面において、挿入部701cの端面701dが当接する位置には端面701dの外径に沿った形状の溝が形成され、この溝に端面701dが挟持される。よって、ハウジング部材70xの挿入部701cをハウジング部材70y,70zの端部702y,702zで挟持させたとき、図11(b)に示すように、端部702y,702zに設けられた溝に、挿入部701cの端面701dが嵌合し、ハウジング部材70xがハウジング部材70y,70zに係合されることとなる。
このように構成されるハウジング部材70x〜70zとアンテナエレメント700とによって、次のようにしてアンテナ7が組み立てられる。即ち、まず、アンテナエレメント700をハウジング部材70xの端面701dの開口部より中空部701bに挿入し、このアンテナ700の挿入されたハウジング部材70xを、その両側からハウジング部材70y,70zで挟み込む。
このとき、金属線71の屈曲部74が支持部741に挟持されるとともに、ハウジング部材70xの挿入部701cが端部702y,702zに挟持されるようにして、ハウジング部材70y,70zの分割面を当接させる。これにより、ラッチ爪702a〜702cが係合穴に係合することで、分解が困難となる構造のアンテナハウジング70が組み立てられ、このアンテナハウジング70とアンテナエレメント700とによるアンテナ7が形成される。
尚、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第1、第2、第5、又は第6の形態の警報器における特徴部分を組み合わせて適用することが可能である。即ち、第1の形態の特徴部分を適用する場合は、丸形圧着端子78aの代わりに半田78で回路基板2に固定し、第2又は第5の形態の特徴部分を適用する場合は、カシメ金具76及び可撓性電線77を除いた構成とし、第6の形態の特徴部分を適用する場合は、アンテナエレメント70をコイルボビン704に巻き付けられた可撓性電線71aによって構成することで、それぞれの形態における特徴部分を適用することができる。更に、第4の形態の警報器のように、ネジ78bによる回路基板2との共締め部分に半田層78cが設けられるようにしてもよい。
<第8の形態>
本発明における第8の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図12は、本形態における警報器に使用するアンテナの構成を示す分解斜視図である。図13は、図12に示すアンテナにおけるアンテナハウジングの構成を説明するための断面図である。尚、図12に示すアンテナの構成において、図10に示すアンテナの構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図12に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第7の形態の警報器(図10参照)と異なり、超音波溶着によって一体化されるハウジング用部材70p,70qによりアンテナハウジング70が組み立てられる構成となる。その他の構成については、第7の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。尚、ハウジング用部材70p,70qは、第7の形態における図10に示すハウジング用部品70a,70bと同様の形状であり、ラッチ爪701a,702a〜702c及び係合穴が除かれた構成となる。
このハウジング用部材70p,70pには、図13に示すように、それぞれと当接する分断面において、一方に凸部702pを設けるとともに、他方に凸部702pが挿入される凹部702qを設ける。即ち、図13の例では、ハウジング部材70p,70qの分断面を接着する際、ハウジング用部材70pに設けた凸部702pの外側面が、ハウジング用部材70qに設けた凹部702qの内側面に沿うように案内される。
よって、凹部702qの内側面を形成するリブ702rが位置決め用のリブとして働き、凸部702p及び凹部702qによって決定される固定位置で、ハウジング部材70p,70qが組み立てられることとなる。又、このリブ702rは、超音波溶着に使用される接着剤が、ハウジング部材70p,70qの外側にはみ出すことを防ぐ機能も果たす。
更に、ハウジング部材70pに設けられた凸部702pの外側面をハウジング部材70pの分断面に対して垂直な方向に突起させることで、超音波溶着時の接着剤として機能する溶着リブ702sが形成される。よって、ハウジング部材70p,70qの分断面を当接するように組み付けたときに、溶着リブ702sを用いた超音波溶着が成されることによって、凹部702qの底面に凸部702pの突起面が溶着されることとなる。
このように、本形態によると、超音波溶着を用いてハウジング部材70p,70qを接着し、アンテナハウジング70を組み立てることができるため、外観が良く、接着強度も強くできる。また、全周を適切に溶着することで防水性能を加えることも出来る。又、第7の形態と同様、組立後のアンテナハウジング70を容易に分解できなくなり、アンテナ7の改造を困難なものとすることができる。
尚、本形態においても、第7の形態と同様、図11のようなハウジング用部品70x〜70zと同形状となる3つの部材などの複数の部材によって、アンテナハウジング70が組み立てられるものとしてもよい。又、図11のハウジング用部品70x〜70zと同形状の3つの部材で組み立てる場合、アンテナハウジング70の屈曲部702を構成するハウジング用部品70y,70zに相当する2部材のみを超音波溶着させるものとしてもよいし、ハウジング用部品70x〜70zに相当する3部材全てを超音波溶着させるものとしてもよい。更に、本形態においても、第7の形態と同様、第1〜第6の形態における警報器の特徴部分を組み合わせたものに適用することは可能である。
<第9の形態>
第9の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図14は、本形態における警報器の内部構成を示す概略図である。又、図15は、本形態における警報器の設置場所に対するアンテナの状態を示す概略図である。尚、図14に示す警報器の構成において、図2に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図14に示すように、本形態の警報器に設けられるアンテナ7は、第1の形態の警報器(図2参照)と異なり、アンテナハウジング70の主部701が、金属線71における開放端73側となる先端に、ステンレス等よりなる重り706を備える構成となる。更に、第1の形態の警報器における、アンテナハウジング70の屈曲部702と筐体6の開口部64とによる嵌合部分に設けられたリング状ゴム79を除いて、アンテナハウジング70が筐体6に対して低摩擦で回転自由な構成とする。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
このように構成するとき、重り706として、比重が大きく非磁性となる材料を用いることが好ましい。尚、金属線71の開放端73側に設置される重り706は、アンテナハウジング70と共に同時成型されるものとしてもよい。又、成型品ケースとして別に成型されるアンテナハウジング70の主部701に重り706を保持する構造を設けることで、重り706を、主部701の中空部分の先端側に収納させるものとしてもよいし、成型ケースとなるアンテナハウジング70そのものに予め組み付けるものとしてもよい。更に、アンテナハウジング70を成型品ケースとする場合、第7又は第8の形態(図10〜図13)のように、複数の部品でアンテナハウジング70が組み立てられるものとしてもよい。
本形態では、アンテナハウジング70の先端に重り706が設けられるとともに、アンテナハウジング70が筐体6に対して低摩擦で回転自由な構成とされるため、警報器の設置位置に応じて、重り706の重力により安定する位置までアンテナ7が自動的に回動する。そして、天井、斜め天井、壁等の設置場所に拘わらず、アンテナ7は床面に対して、アンテナハウジング70の主部701の長手方向が垂直な方向となるように、自動的に調整される。
即ち、警報器が天井面に設置される場合、筐体6の基台60が天井面に当接するように設置される。このとき、重り706に働く重力によって誘導されて、アンテナハウジング70の先端(開放端73側)が床面に向く位置まで、アンテナ7が回転するため、図15(a)に示すように、アンテナハウジング70の主部701の長手方向が設置面となる基台60の設置面に対して垂直となる。又、警報器が床面に対して垂直な壁面に設置される場合、筐体6の基台60が壁面に当接するように設置される。このとき、重り706に働く重力によって、アンテナハウジング70の先端が床面に向く位置までアンテナ7が回転すると、図15(b)に示すように、アンテナハウジング70の主部701の長手方向が設置面となる基台60の設置面に対して平行となる。
このように、本形態においては、警報器の取付け場所に拘わらず、アンテナハウジング70における主部701の長手方向が、床面に対して垂直な方向となるように、アンテナ7の固定される方向が自動的に調整される。即ち、外部導出部72のように金属線71をコイル状としたヘリカルアンテナにおいては、そのアンテナの長手方向と垂直の方向に無指向の偏波面を形成する。そして、この無指向偏波面は、部屋の広さ方向に合わせるのが最も望ましい。従って、本形態の警報器においては、取付け場所に拘わらずに、自動的にアンテナ7による無指向偏波面を望ましい方向に導くことができる。
尚、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第2又は第5の形態の警報器(図3及び図8参照)における特徴部分を適用することが可能である。即ち、カシメ金具76及び可撓性電線77の代わりに、第2の形態のように、金属線71の端部75側に冗長部77aを設けた構成としても構わないし、第5の形態のように、金属線71の端部75側を挟持する端子77bが回路基板2に設置される構成としても構わない。
又、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第6の形態の警報器(図9参照)における特徴部分を適用することが可能である。即ち、金属線71、カシメ金具76、及び可撓性電線77の代わりに、第6の形態のように、コイルボビン704に巻き付けられた可撓性電線71aによって、ヘリカルアンテナが構成されるようにしても構わない。
更に、上述した他の形態と同様、本形態の警報器が備えるアンテナ7に対して、第3及び第4の形態の警報器(図4〜図7参照)における特徴部分を適用することも可能である。即ち、第3の形態における特徴を適用する場合、アンテナ7を形成する可撓性電線や金属線の端部に丸形圧着端子78aを接続し、この丸形圧着端子78aを貫通するネジ78bにより、アンテナ7を回路基板2及び筐体6と共締めにする。又、第4の形態の特徴を適用する場合は、ネジ78bによる回路基板2との共締め部分に更に半田層78cが設けられる。
<第10の形態>
第10の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図16は、本形態における警報器のアンテナを除いた構成と、アンテナが挿入される開口部とアンテナハウジングとの形状の関係を示す概略図である。尚、図16に示す警報器の構成において、図2に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図16(a)に示すように、本形態の警報器の筐体6は、第1の形態の警報器(図2参照)における側壁61の開口部64の代わりに、開口部64aを有する角度固定具65を側壁61に設けた構成となる。そして、この角度固定具65の開口部64aに対して、アンテナ7のアンテナハウジング70が、その屈曲部702において嵌合する。その他の構成については、第1の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
筐体6に設けられる角度固定具65において、図16(b)に示すように、開口部64aの形状を、円弧部分が主部62側となるとともに直線部分が基台60側となる略半円形状とする。そして、この開口部64aにおける円弧部分の頭頂部には、開口部64aを形成する角度固定具65内壁面から開口部64aの中心に向かって突出した突起部651が設けられる。即ち、突起部651は、開口部64aにおいて筐体6の基台60の設置面より最も遠い位置から、基台60の設置面に対して垂直な方向に突起した形状となる。
又、角度固定具65は、開口部64aにおける直線部分の中心位置に、開口部64aの円弧部分よりも半径が小さく且つ対称となる円弧を形成する凹部により、軸受部650が形成される。そして、この角度固定具65の軸受部650が、アンテナハウジング70の屈曲部702を支持するとともに、アンテナ7の回転を誘導する。
そして、この角度固定具65の開口部64aに嵌合するアンテナハウジング70の屈曲部702は、図16(b)に示すように、軸受部650に外周面が当接する回転軸720を備え、この回転軸720の外周面には、突起部651と同形状となる複数の溝721が形成される。このとき、軸受部650を形成する円弧と回転軸720の断面となる円とはそれぞれ、その中心が同一となるとともに、その径も略等しいものとなる。
このように角度固定具65及びアンテナハウジング70の屈曲部702が構成されることにより、角度固定具65の突起部651と屈曲部702の溝721とが、警報器の設置面に対するアンテナ7の角度を固定する角度固定用の部材として機能する。即ち、回転軸720の外周面が軸受部650の内周面に沿って回動することで、回転軸720を中心軸としてアンテナ7を回転させるとき、回転軸720の外周面に設けられた溝721に角度固定具65の突起部651が嵌るたびに、アンテナ7の回転を規制する。これにより、警報器の設置面に対するアンテナ7の角度の設定が簡単なものとなるだけでなく、振動、衝撃に対して、アンテナ7の方向が変化しにくくなる。
尚、図16(b)では、開口部64aの円弧部分側に、隣接する溝721同士の角度が45度となるように、5つの溝721を設けた構成としたが、警報器の設置面側にアンテナ7が倒れない角度であれば、例えば、隣接する溝721同士の角度を30度とし、7つの溝721が設けられるものとしても構わない。又、図16(b)のように溝721を形成した場合、警報器の設置面に対するアンテナハウジング70における主部701の長手方向の角度が、0度、45度、90度となるように、アンテナ7の角度を固定することができる。
又、本形態の警報器に対して、第2〜第8の形態における特徴部分を組み合わせたアンテナ7を組み付けることは可能である。即ち、第2〜第8の形態における特徴部分を組み合わせて備えたアンテナ7において、そのアンテナハウジング70における屈曲部702に、図16(b)に示す溝721を有する回転軸720を設けることで、本形態における効果だけでなく、第2〜第8の形態における効果を得ることができる。
<第11の形態>
第11の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図17は、本形態における警報器のアンテナを除いた構成と、アンテナが挿入される開口部とアンテナハウジングとの形状の関係を示す概略図である。尚、図17に示す警報器の構成において、図16に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図17(a)に示すように、本形態の警報器の筐体6は、第10の形態の警報器(図16参照)における側壁61に設けた角度固定具65の代わりに、開口部64bを有する角度規制具66を側壁61に設けた構成となる。そして、角度規制具66の開口部64bに嵌合されるアンテナ7のアンテナハウジング70が、その屈曲部702の回転軸720の外周面において、その外周面より外側に突起させた突起部722を備える。その他の構成については、第10の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
筐体6に設けられる角度規制具66の備える開口部64bの形状は、図17(b)に示すように、円弧部分が主部62側となるとともに直線部分が基台60側となる略半円形状となる。尚、この開口部64bは、第10の形態における角度固定具65に備えられる開口部64a(図16(b)参照)と異なり、突起部651は形成されない。
又、角度規制具66は、角度固定具65と同様、開口部64bにおける直線部分の中心位置に、凹部となる軸受部650が形成され、この軸受部650により、屈曲部702の支持とアンテナ7の回転の誘導が成される。更に、開口部64bにおける直線部分において軸受部650以外の内壁が、アンテナ7の回転する角度を規制するための角度規制部661として機能する。
この角度規制具66の開口部64bに嵌合する屈曲部702は、図11の形態における屈曲部702(図16(b)参照)と同様、開口部64bとの嵌合部分に、その外周面が軸受部650の内周面に当接する回転軸720が設けられる。そして、図11の形態における屈曲部702と異なり、回転軸720の外周面には、溝721の代わりに、アンテナハウジング70の主部701の長手方向と平行となる方向に突起させた突起部722が設けられる。
このように、角度規制具66に角度規制部661を設けるとともに、屈曲部702の回転軸720の外周面に突起部722を設けることによって、角度規制部661及び突起部722の作用による角度規制部材が形成される。即ち、回転軸720の断面の中心から突起部722の頂点までの長さを、回転軸720の断面の中心を中心とする開口部64bの円弧部分の径よりも短いものとすることで、回転軸720が回動可能な角度が、角度規制部661に突起部722が当接しない範囲に規制される。
よって、突起部722を突起させる方向が、アンテナハウジング70の主部701の長手方向と平行な方向であり、角度規制部661における内壁面が警報器の設置面と平行となるため、アンテナ7は、設置面の反対側まで回転できないように、その回転角度が規制されることとなる。又、このアンテナ7の回転角度を規制することにより、アンテナ7の同一方向への過度の回転をも規制することができる。これにより、例えば、第1の形態の構成のように、アンテナ7と回路基板2との接続に可撓性電線77が用いられるときは、アンテナ7の過度の回転による可撓性電線77の切断を防止することができる。
又、本形態の警報器に対して、第2〜第9の形態における特徴部分を組み合わせたアンテナ7を組み付けることは可能である。即ち、第2〜第9の形態における特徴部分を組み合わせて備えたアンテナ7において、そのアンテナハウジング70における屈曲部702に、図17(b)に示す突起722を有する回転軸720を設けることで、本形態における効果だけでなく、第2〜第9の形態における効果を得ることができる。
<第12の形態>
本発明における第12の形態の警報器について、図面を参照して説明する。図18は、本形態における警報器の構成を示す外観図である。尚、図18に示す警報器の構成において、図1に示す警報器の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図18に示すように、本形態の警報器は、上述の各形態の警報器におけるアンテナ7(図1参照)の代わりに、警報器を操作するための釦9と連動した引き紐8をその一部とするアンテナ7aを備えた構成となる。その他の構成については、上述の各形態における図1の構成の警報器と同様であるため、その詳細な説明は省略する。尚、釦9としては、例えば、動作を確認するためのテスト釦などが設置される。又、引き紐8は、例えば、作業者の手が届かない高所に警報器が設置され、釦9による操作が不可能な場合に、釦9と同じ操作を行うために取り付けられる。
図18に示す警報器は、筐体6の側壁61に設けられた開口部64より、筐体6内部で釦9と連動するように接続された引き紐8が、筐体6外部に導出される。そして、この引き紐8の筐体6外部への導出部分は、線状アンテナ7aを構成する可撓性電線71bと一体となるように構成される。又、この可撓性電線71bにおいて筐体6内部に導入された部分の端部は、第1の形態(図2参照)などと同様に、回路基板2に対して半田78で固定される。これにより、回路基板2と半田78を介して電気的に接続された可撓性電線71bが、線状アンテナ7aとして引き紐8と共に、筐体6外部に導出される。
このように構成するとき、回路基板2と可撓性電線71bとの接続は、半田78に限らず、第3の形態と同様、丸形圧着端子78aを接続し、この丸形圧着端子78aを貫通するネジ78bにより、アンテナ7を回路基板2及び筐体6と共締めにするものとしてもよい。又、引き紐8自体を可撓性電線71bとしても構わないが、筐体6の内部においては、釦9と協働するように設置された引き紐8と、回路基板2に接続される可撓性電線71bとを別体とすることが望ましい。又、引き紐8と可撓性電線71bとを一体とする部分において、引き紐8を軸として可撓性電線71bを巻き付けた構成としてもよい。
このように、本形態では引き紐8と一体となる可撓性電線71bにより線状アンテナ7aが形成される。これにより、本形態における警報器は、その設置場所にかかわらず、引き紐8が床面に向かって垂れ下がるため、第9の形態と同様、引き紐8と一体となる線状アンテナ7aの長手方向が、床面に向かって垂直となるように自動的に調整される。これにより、本形態における警報器の線状アンテナ7aは、アンテナ7aの長手方向と垂直な方向に形成する無指向偏波面を、最も望ましい方向となる部屋の広さ方向に自動的に調節される。又、引き紐8と一体とした線状アンテナ7aとすることで、警報器の構造上において、アンテナが目立つことがなくなる。
尚、本形態の警報器において、線状アンテナ7aを可撓性電線により形成されるものとしたが、第1の形態の警報器のように、金属線と可撓性電線とが接続された構成としても構わない。このとき、線状アンテナ7aにおいて、筐体6内部の回路基板2との接続部分から筐体6外部への導出された外部導出部の一部までを可撓性電線とすることにより、自動的に線状アンテナ7aの長手方向が床面に対して垂直となるように構成することができる。