JP5138835B2 - 鋸鞘、鋸鞘と鋸の収納構造 - Google Patents
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Description
例えば実開平7−37585号(特許文献1)には、鞘体(2)に鋸身(1)を出し入れ操作する際に、鋸身差入用挿入口(3)付近に、鋸身(1)を案内接触させうる硬質ローラ部材(4)を、鞘体(2)に回転自在に軸着するように構成した鋸の鞘が開示されている。これによって、鋸身(1)の鞘体への出し入れ操作が容易となり、また鞘体(2)を傷つけるのを低減することができる。
また特開平11−9858号(特許文献2)には、鞘本体(1)の内部に鋸等の刃部(4)を差し入れ得る形の収容部(2)を形成すると共に、収容部(2)における刃部(4)の差入れ口や内部に回転ローラー(3)を取り付けた鋸等の鞘が開示されている。
一方、特開2005−131073号(特許文献3)には、鞘(1)の上部の開口部(2)に絞り込み部(3)を形成し、鋸柄(4)の凹部(5)が前記鞘(1)の開口部(2)の絞込み部(3)で弾性嵌合して保持されるようにした鋸等の鞘が開示されている。これによって、鋸が鞘(1)に保持され、不本意に鞘から飛び出るのを防止することができる。
更に特許第4904442号(特許文献4)には、鞘口部(10)に第1案内ロール(11a、11a)、第2案内ロール(11b、11b)、第3案内ロール(11c、11c)の3対の案内ロールを設けて、鋸刃(31)を鋸鞘(1)内に案内する構成、また1対の第1案内ロール(11a)の背後にそれぞれ平行に配された立設柱からなる1対のグリップ侵入阻止部(15、15)を設けて、鋸グリップ(32)のそれ以上の侵入を阻止する構成、また傾斜案内面(17)を設けて、鋸刃(31)の刃先(31a)面の向きを矯正する構成、が開示されている。
また一対の硬質ローラ部材(4)を入口付近に大雑把に配置する程度では、鞘(6)内に入った刃先面の向きを案内することができない問題があった。このため鋸身(1)の刃先面が鞘(6)内空の扁平面に対して回転ズレする結果、刃先が鞘内壁に接触して傷つけ、或いは内壁に閊えて、スムーズに挿入が行えない問題が残っていた。
また上記特許文献2の鋸等の鞘の場合は、ローラ(3)を鞘本体(1)内の片側に配置させることで、鋸の刃部(4)をそのロール上を移動させ、鋸刃によって鞘が削り取られるのを防止する効果を奏するものであるが、鞘本体(1)の入口からの鋸の挿入をスムーズにすることを目的とするものではなく、またそのような作用効果を発揮するものではない。
また上記特許文献3の鋸等の鞘の場合は、鞘(1)に挿入された鋸が鞘から抜けるのを防止するものであるが、鋸柄(4)と鞘(1)との弾性嵌合は、ローラとの組み合わせ使用を前提とするものではなく、薄い樹脂フィルムの有する弾性を利用した単なる凹凸嵌合によるものである。このため、包装を外した後も暫くは使用できるが、実際には包装容器であり、また鋸刃で削り取られ易く、何度も長期に亘って繰り返して利用できるような耐久性に問題が残っていた。
また上記特許文献4の鋸鞘の場合は、グリップ侵入阻止部(15)を立設柱として第1案内ロール(11a)の背後に形成する必要があることから、鞘口部(10)の成形が複雑で難しくなるという問題がある。そして柱状のグリップ侵入阻止部(15)の場合には、その1本だけを一方の第1案内ロール(11a)の背後に設けるだけでは、鋸グリップ(32)とグリップ侵入阻止部(15)との当接位置が偏った位置で且つ1ヶ所だけとなるので、ガタツキ易い問題がある。このためグリップ侵入阻止部(15)は1対で両側に設ける必要性が高くなるが、そのような構成は鞘口部(10)の成形を一層複雑で難しいものにする欠点がある。
また本発明の鋸鞘は、上記第1の特徴に加えて、鞘口部の口内の内壁に、鞘口部の入口から口内に入った鋸刃の向きを鞘本体の鞘孔の扁平方向に一致させるように案内する傾斜案内面を形成し、且つ前記傾斜案内面の一部をグリップ侵入阻止部として形成したことを第2の特徴としている。
また本発明の鋸鞘と鋸の収納構造によれば、上記第1又は第2の特徴に記載の鋸鞘と鋸の収納構造であって、前記鋸は、その鋸グリップ前部に、前記鋸鞘の案内ロールを弾性変形しながら乗り越える膨出部を設けており、鋸を鋸鞘に差し入れた際には、前記鋸グリップの膨出部が鋸鞘の案内ロールを乗り越えた位置で、鋸グリップ前部が鋸鞘のグリップ侵入阻止部で侵入阻止されると共に、グリップ弾性嵌合用空間に嵌合保持され、鋸を鋸鞘から抜き出す際には、前記グリップ弾性嵌合用空間に嵌合保持されている鋸グリップ前部の膨出部が鋸鞘の案内ロールに対して弾性変形しながら引き出し方向に乗り越えることで、鋸が鋸鞘から引き出される構成となっていることを第3の特徴としている。
また請求項1に記載の鋸鞘によれば、鞘口部の口内にグリップ侵入阻止部を備えることで、鋸グリップ、即ち鋸のグリップが、それ以上鋸鞘に侵入していくのを防止し、鋸刃の刃先が鋸鞘の底に当たるのを防止することができる。
特に、鞘口部入口の一対の案内ロールから鞘口部口内のグリップ侵入阻止部までの空間を、前記案内ロールに対して弾性変形しながら乗り越えてくる鋸グリップ前部を受け入れて嵌合保持するためのグリップ弾性嵌合用空間としたので、
鋸を鋸鞘に差し入れる際においては、弾性変形しながら案内ロールを乗り越えて前記グリップ侵入阻止部で停止された鋸グリップ前部は、前記グリップ弾性嵌合用空間に、一対の案内ロールとグリップ侵入阻止部との間に挟まれた状態で嵌合され、その位置に保持される。
一方、鋸を鋸鞘から抜き出す際においては、鋸グリップを持ち、これを抜き出し方向に引っ張ることで、グリップ弾性嵌合用空間に保持されている鋸グリップ前部が、案内ロールに対して弾性変形しながら乗り越え、よって鋸グリップ前部の嵌合が解除され、鋸が鞘の外に抜き出される。
勿論、鋸の鋸鞘への差し入れや抜き出しに際しては、案内ロールのロールが回転することで、鋸グリップの弾性変形を伴う差し入れ及び抜き出しが一層容易に行える。
よって請求項1に記載の発明によれば、鋸の鞘入口での差し入れが容易であり、また差し入れた鋸が容易に飛び出したり、鞘内でガタついたりすることがない。また鋸刃の刃先を鋸鞘内へスムーズに案内して侵入させることができるので、鋸刃が鋸鞘の内壁を削り取ったりするのを十分に低減できる。
グリップ侵入阻止部を、別の部材を付加して構成することなく、鞘口部の口内の内壁の形状を考慮するだけで形成することが可能となる。よって部品点数や組み立て工数を少なくすることができる。
鞘口部口内に侵入してきた鋸刃の刃先を、傾斜案内面で案内しながら、扁平な刃先の向きを矯正して鞘本体の鞘孔の扁平方向と一致させることが容易に行える。よって刃先を鞘口部から鞘本体に支障なく円滑に導いて挿入することができる。
加えて、前記傾斜案内面の一部をグリップ侵入阻止部として構成しているので、鋸刃に引き続いて鞘口部の口内に侵入してきた鋸グリップの前部を、傾斜案内面の一部で確実に、且つ鞘孔の扁平方向に矯正された鋸刃の向きのまま、停止させることができる。
鋸鞘に対して鋸刃を鞘口部から速やかに差し入れて、且つ鞘本体内へ、内壁に閊えたりすることなく、スムーズに奥まで導き入れることができる。よってまた鋸刃が鞘の内壁を削り取ったりする問題も十分に低減できる。
そして鋸グリップは鋸鞘の鞘口部の口内に入ったところで、グリップ弾性嵌合用空間により確実に嵌合保持されることから、差し入れた鋸が不意に鋸鞘から飛び出したり、鞘内でガタついたりすることがない。
勿論、鋸を鋸鞘から抜き出す場合も、案内ロールの回転を伴いながらの鋸グリップ前部の弾性的な抜き出しとなるので、十分に円滑な抜き出しを確保することができる。
先ず図1(A)〜(D)を参照して、鋸鞘1は、鞘口部10と鞘本体20とからなる。鞘口部10には吊下げ部30を着脱自在に取り付けることができる。
鋸鞘1には、鋸2が差し出し自在に差し入れられる。
作業者は必要に応じて鋸鞘1から鋸2を抜き出し、また作業が終わると鋸鞘1に差し入れて、収容することができる。
作業者は吊下げ部30を用いて、鋸鞘1を腰等に取り付けることができる。
鞘口部10は、その口幅を入口11で広く且つ口内の奥にいくにつれて狭くなるように構成されている。
鞘口部10の前記入口11は扁平な口として構成され、その扁平な入口11の幅方向(入口の長手方向)の左右両側には、一対の案内ロール12が回転自在に設けられている。一対の案内ロール12は、その回転軸を入口11の前記幅方向(長手方向)に対して垂直な方向(入口の短手方向)とされ、差し入れられてくる鋸2の刃先41a(図3(A)参照)を鞘口部10の入口11内へとスムーズに案内する役割を果たす。
鋸ブリップ前部42aには膨出部43が設けられている。前記鋸ブリップ42は、膨出部43を含めて、弾性を備えたゴム製或いはプラスチック製、或いはその他の材料とすることができる。しかし、少なくとも膨出部43は弾性変形が可能な材料で構成される。鋸グリップ42とその前部42aの膨出部43は一体成形される。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記刃先受台13の先端部から背面側を利用して、吊下げ部30が嵌脱自在に取り付けられる。
吊下げ部30は、刃先受台13との嵌合爪部31と、吊下げ帯部32とからなる。
鞘孔21は前記鞘口部10の入口11及び口内に滑らかに連続するように構成されている。
鞘本体20の末端は開放された状態の他、閉塞状態としてもよい。鞘本体20の長さ、幅(扁平断面の長径方向の寸法長さ)及び厚み(扁平断面の短径方向の長さ)は、鋸刃を収容できる範囲で、できるだけ短寸法、短幅、薄厚として軽量にするのが好ましい。
鞘本体20及び前記鞘口部10を一体成形する場合は、合成樹脂による成形が好ましい。鞘本体20を鞘口部10と別体に構成する場合は、鞘本体20は、合成樹脂の他、アルミ等の軽金属、その他の材料を用いることが可能である。
傾斜案内面14は、前記鞘口部10の入口11の案内ロール12の少し後方位置から傾斜を開始し、前記鞘本体20の鞘孔21に至る(扁平な鞘孔21の長径辺に至る)長さの傾斜面として形成されている。
傾斜案内面14は、本実施形態では、鞘口部10の扁平な口内の長径側の一側に設けられているが、長径側の相互に対向する両側に設けるようにしてもよい。
一対の案内ロール12を通過した鋸刃41の刃先41aは、前記傾斜案内面14により接触案内されることで、その刃先41aの面の向きが鞘孔21の扁平な向きと一致するように矯正されながら、鞘孔21へ入ってゆく。
グリップ侵入阻止部15は、より具体的には、鞘口部10の口内の内壁の一部を利用して形成することができる。即ち、鞘口部10の口内の内壁にグリップ侵入阻止部15を突出等して形成することによって、グリップ侵入阻止部15によって鋸グリップ前部42aが閊え、それ以上の侵入ができないように、形成すればよい。
実際には、前記鞘口部10の口内に形成された案内傾斜面14の一部を、そのままグリップ侵入阻止部15としている。案内傾斜面14の存在により鞘口部10口内の口径は鞘孔21に向けて次第に小さくなる。この口内の口径が鋸グリップ前部42aの外径よりも小さくなると、鋸グリップ前部42aの侵入が阻止されることになる。従って鋸グリップ前部42aの外形よりも鞘口部10の口内の口径が小さくなる傾斜案内面14上の一部が、グリップ侵入阻止部15となるのである。
即ちグリップ弾性嵌合用空間16は、そこに前記鋸グリップ前部42aを弾性嵌合する空間である。
即ち、鋸2を鞘口部10に差し入れる際には、膨出部43が丁度案内ロール12を乗り越えた所で、鋸グリップ前部42aがグリップ侵入阻止部15によってそれ以上の侵入を阻止される。これによって鋸グリップ42が弾性的に嵌合保持される。
一方、鋸2を鋸鞘1から抜き出す際には、鋸グリップ42を手に持って引っ張ることで、グリップ弾性嵌合用空間16にある膨出部43が案内ロール12を弾性変形しながら乗り越える。これによって鋸グリップ前部42aがグリップ弾性嵌合用空間16での嵌合を脱し、鋸2が鞘口部10から抜き出される。
今、図3に示す鋸2が図2、図4に示す空の鋸鞘1に差し入れられる場合、使用者の差し入れ動作に伴って、先ず図5に示すように、鋸2の刃先41aが刃先受台13上に当接し、刃先受台13の表面上を入口11方向に滑って行く。そして刃先41aが鞘口部10の入口11の幅方向左右両側に設けられた一対の案内ロール12、12間に侵入していくことで、鋸刃41が前記一対の案内ロール12、12の何れか一方に当接し、案内ロール12によって速やかに内方へ案内される。このとき、案内ロール12はフリーに回転できるように保持されているので、鋸刃41が鋸鞘1への差し入れ方向(侵入方向)に向けて案内ロール12に当接すると、それに伴って案内ロール12が回転し、鋸刃41をスムーズに入口11内方へ招き入れる。
前記一対の案内ロール12、12間の間隙は、鞘本体20の鞘孔21の幅方向(長手方向)の寸法と同一若しくは少し広く、或いは少し狭くなるように設計することで、鋸2がどのような角度で案内ロール12によって案内されても、刃先41aが確実に鞘本体20の鞘孔21の幅方向(長手方向)の間隙内に導かれるようにしている。
前記鋸グリップ前部42aが一対の案内ロール12により一旦閊えたときに、使用者によって、鋸2の差し入れ方向に更なる力が加えられると、これにより前記膨出部43が弾性変形しながら案内ロール12を乗り越える。このとき案内ロール12が回転するので、スムーズに膨出部43の乗り越えが行われる。
この場合には、図7に示す状態、即ち鋸2(鋸刃41)が鋸鞘1内に収納されている状態において、使用者が鋸グリップ42を持って、これを鋸鞘1から抜き出し方向に引っ張る。すると、この引っ張りにより、鋸グリップ42の膨出部43が弾性変形をしながら案内ロール12を抜き出し方向に乗り越える。このとき案内ロール12が回転するので、スムーズに膨出部43の乗り越えが行われる。これによって、鋸2の抜き出しが容易に行える。
2 鋸
10 鞘口部
11 入口
12 案内ロール
13 刃先受台
14 傾斜案内面
15 グリップ侵入阻止部
16 グリップ弾性嵌合用空間
20 鞘本体
21 鞘孔
30 吊下げ部
31 嵌合爪部
32 吊下げ帯部
41 鋸刃
41a 刃先
42 鋸グリップ
42a 鋸グリップ前部
43 膨出部
Claims (3)
- 扁平な鞘口部とそれに続く扁平な鞘本体とを備え、鋸刃をその刃先から前記鞘口部を介して前記鞘本体に挿入するようにした鋸鞘であって、前記鞘口部は、その口幅をその入口で広く且つ奥にいくにつれて狭くなるように構成すると共に、前記鞘口部の入口の幅方向の左右両側には、刃先を前記鞘口部の口内へ案内する一対の案内ロールを設け、前記鞘口部の口内には、該口内の内壁の一部を利用して、鋸グリップのそれ以上の侵入を阻止するグリップ侵入阻止部を形成し、且つ前記一対の案内ロールから前記グリップ侵入阻止部までの空間を、前記一対の案内ロールに対して弾性変形しながら乗り越えてくる鋸グリップ前部を受け入れて嵌合保持するためのグリップ弾性嵌合用空間として構成したことを特徴とする鋸鞘。
- 鞘口部の口内の内壁に、鞘口部の入口から口内に入った鋸刃の向きを鞘本体の鞘孔の扁平方向に一致させるように案内する傾斜案内面を形成し、且つ前記傾斜案内面の一部をグリップ侵入阻止部として形成したことを特徴とする請求項1に記載の鋸鞘。
- 請求項1又は請求項2に記載の鋸鞘と鋸の収納構造であって、前記鋸は、その鋸グリップ前部に、前記鋸鞘の案内ロールを弾性変形しながら乗り越える膨出部を設けており、鋸を鋸鞘に差し入れた際には、前記鋸グリップの膨出部が鋸鞘の案内ロールを乗り越えた位置で、鋸グリップ前部が鋸鞘のグリップ侵入阻止部で侵入阻止されると共に、グリップ弾性嵌合用空間に嵌合保持され、鋸を鋸鞘から抜き出す際には、前記グリップ弾性嵌合用空間に嵌合保持されている鋸グリップ前部の膨出部が鋸鞘の案内ロールに対して弾性変形しながら引き出し方向に乗り越えることで、鋸が鋸鞘から引き出される構成となっていることを特徴とする鋸鞘と鋸の収納構造。
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