WO2016046921A1 - スライドファスナ用スライダと一対のスライドファスナ - Google Patents

Abstract

　部材の開閉を可能にするスライドファスナ(１３，１５)のファスナ本体(４８)に各々取り付けられるスライドファスナ用スライダ(１０)である。ファスナ本体(４８)のファスナエレメント(４６)を開閉する胴体(１２)の上板(１２ａ)に引手(１４)を備える。引手(１４)は、胴体(１２)に取り付けられる連結部(２４)と、連結部(２４)の一端部の取付係止部(２６)とから成る。引手(１４)の取付係止部(２６)には、他方の引手(１４)が挿入されて着脱可能に係止する開口部(３２，７４)を備える。一対のファスナ本体(４８)は、スライドファスナ用スライダ(１０)を各々備え、一対の引手(１４)の開口部(３２，７４)に、他方の引手(１６，２４)が着脱自在に係合する。

Description

スライドファスナ用スライダと一対のスライドファスナ

　この発明は、部材の開閉を可能にするスライドファスナを開閉するスライドファスナ用スライダと、そのスライドファスナ用スライダを備えた一対のスライドファスナに関する。

　従来、例えばブーツを保管するときに左右がばらばらになって倒れることを防ぎ、自立させて保管するために、左右のブーツの筒部分同士を挟んで使用するブーツクリップやブーツスタンドがある。しかし、ブーツスタンドは外出先まで持ち歩くには長くて適さないものである。ブーツクリップは小さいために持ち歩くことはできるが、いちいち取り出して使用するのが面倒である。

　この点を解決するために、ブーツに取り付けられたスライドファスナのスライダ同士を連結可能として、左右のブーツを連結する方法が考えられている。左右のブーツを連結することにより、左右のブーツの筒部分を並べて自立させて、整頓した状態で保管し、ブーツの筒部分の形状をきれいに保つことができる。

　例えば、特許文献１～３に開示されているスライドファスナ用スライダは、一方のスライダの板状の引手に凸形状の係合部が設けられ、他方のスライダの引手に係合部が係止される凹形状の被係合部が設けられている。一対のスライドファスナは、一方の凸形状の係合部と凹形状の被係合部とを互いに結合させることで連結される。スライドファスナが取り付けられた左右のブーツや手袋等、ペアで用いるものを保管するときには、一対のスライドファスナを連結させることで、紛失や散乱を防ぐことができる。

特開２００４－４９５０３号公報 実公昭５７－１８９４０９号公報 中国実用新案公報ＣＮ２０１８６０９３６Ｕ公報

　上記背景技術の場合、左右のブーツを連結する操作がやりにくいものである。左右のブーツを保管するときは、ブーツの筒部分の内股側に設けられたスライドファスナが互いに対面して重ねられるが、上記各特許文献に開示されたスライドファスナ用スライダは、一対のスライドファスナが対面せずに延長線上に位置することを前提としたものである。このため、一対のスライドファスナが互いに対面して重ねられるときに、同じ高さに位置する引手同士を連結するときは、引手に無理な力を加えてファスナ本体に対して横向きにしたり、大きい環状の軸部材などを用いて引手をスライダ本体に対して回転可能にしたりする必要があり、操作が面倒であり構造的に弱いものである。また、左右のブーツを連結する時はスライドファスナが上下方向に位置し、引手はスライドファスナ用スライダから下垂した状態となるが、この状態では左右のブーツの間に引手が位置し、連結の操作がしにくいものである。また、引手には凸形状の係合部が設けられているため、歩行の際に衝突音がしたり他方の足にぶつかるという問題がある。

　この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で一対の引手を互いに係合して左右のスライドファスナを連結することができ、柔軟性を有し、扱いやすいスライドファスナ用スライダと一対のスライドファスナを提供することを目的とする。

　本発明は、部材の開閉を可能にする一対のスライドファスナのファスナ本体に各々取り付けられるスライドファスナ用スライダであって、前記ファスナ本体のファスナエレメントを開閉する胴体に引手が取り付けられ、前記引手は、前記胴体に取り付けられる連結部と、前記連結部の一端部に固定された取付係止部とにより形成され、前記引手の前記取付係止部には、他方の引手が挿入されて着脱可能に係止する開口部が設けられているスライドファスナ用スライダである。

　前記取付係止部は、弾性変形可能な樹脂製である。さらに、前記取付係止部の開口部に挿入される前記他方の引手は、弾性変形可能な樹脂製の他方の取付係止部を備える。

　前記引手の前記取付係止部は、長手方向の途中には幅が狭くなる括れ部が設けられているものである。

　また、前記引手の前記取付係止部は、長手方向の中間部分に、長手方向に交差する折曲部が設けられ、前記折曲部は、前記引手を前記胴体の連結柱側に倒した状態で、前記取付係止部の長手方向の先端部が、前記胴体から上方に離れるように形成されている。

　さらに、前記取付係止部の前記開口部は、一方向に長い形状であり、前記開口部に入れられて係合される前記他方の引手の前記取付係止部は、長手方向の途中には幅が狭くなる括れ部が設けられ、前記括れ部の幅は、前記引手の前記開口部の、長手方向に交差する幅よりもわずかに短く設けられ、前記括れ部よりも前記連結部に近い部分と、前記括れ部よりも前記連結部とは逆端側に近い部分の、最も幅が広い部分は、前記開口部の幅よりも長く設けられ、前記取付係止部の厚みは、前記開口部の幅よりもわずかに薄く形成されているものでも良い。

　また本発明は、ファスナエレメントが設けられた一対のファスナ本体と、前記一対のファスナ本体に各々取り付けられる一対のスライドファスナ用スライダとから成り、前記一対のスライドファスナ用スライダは、各胴体に各々引手が取り付けられ、一方の前記引手は、前記胴体に取り付けられる連結部と、前記連結部に固定された取付係止部とにより形成され、前記一方の引手の前記取付係止部には、他方の前記引手が挿入されて着脱可能に係止する開口部が設けられ、前記他方の引手は、前記一方の引手の前記開口部に挿入され係止される他方の取付係止部が設けられた一対のスライドファスナである。

　本発明のスライドファスナ用スライダと一対のスライドファスナは、簡単な構造で一対の引手を互いに係合して一対の部材を連結することができ、例えばブーツをそろえて容易に自立させて保管することができる。また、ファスナ本体に取り付けられた一対の引手同士を連結するものであり、別体のクリップ等が不要であり、一対の部材を簡単に連結して保管することができる。その他、柔軟性を有する引手により、引手同士の衝突音や他部材に対して傷つけるということがなく、取り扱い性も良い。

この発明の第一実施形態のスライドファスナ用スライダの斜視図である。 この発明の第一実施形態のスライドファスナ用スライダの引手の正面図である。 この発明の第一実施形態のスライドファスナ用スライダが互いに係合されている状態を示す側面図である。 図３のＡ―Ａ線断面図である。 この発明の第一実施形態の一対のスライドファスナ用スライダをブーツに取り付けた使用状態を示す正面図である。 この発明の第二実施形態のスライドファスナ用スライダの斜視図である。 この発明の第二実施形態のスライドファスナ用スライダの引手の正面図である。 この発明の第二実施形態のスライドファスナ用スライダが互いに係合されている状態を示す側面図である。 図８のＢ―Ｂ線断面図である。 この発明の第二実施形態の一対のスライドファスナ用スライダをブーツに取り付けた使用状態を示す正面図である。 この発明の第三実施形態のスライドファスナ用スライダの引手の正面図（ａ）とＣ－Ｃ線縦断面図（ｂ）である。 この発明の第三実施形態の図１１に示すスライドファスナ用スライダに係合するスライドファスナ用スライダの引手の正面図（ａ）と右側面図（ｂ）である。 この発明の第三実施形態の一対のスライドファスナ用スライダを互いに係合する途中の状態を示す斜視図である。 この発明の第三実施形態の一対のスライドファスナ用スライダが互いに係合されている状態を示す斜視図である。

　以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図１～図５はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態のスライドファスナ用スライダ１０は、後述するように、ファスナテープ４４にファスナエレメント４６が対向して設けられたファスナ本体４８に取り付けられて摺動するもので、ファスナ本体４８のファスナエレメント４６を開閉する胴体１２と、胴体１２を操作するための引手１４と、胴体１２の上面に引手１４を回転可能に保持する引手取付部１６とを備えている。

　胴体１２は、ファスナ本体４８のファスナエレメント４６を上下から挟んで取り付ける上板１２ａと下板１２ｂが設けられ、上板１２ａと下板１２ｂの間には連結柱１８が設けられている。連結柱１８は、上板１２ａと下板１２ｂの、ファスナエレメント４６が分離して出てくる方向の端部に設けられている。上板１２ａと下板１２ｂの間の空間はファスナエレメント４６が通過する案内路２０であり、案内路２０はファスナエレメント４６が分離して出てくる方向が連結柱１８により２方向に分割され、ファスナエレメント４６が噛合して出てくる方向では１つの空間となり、Ｙ字形になっている。なお、胴体１２の、ファスナエレメント４６が分離して出てくる方向を前側とし、ファスナエレメント４６が噛合して出てくる方向を後側とする。また、胴体１２の上板１２ａ側を上方向とし、下板１２ｂ側を下方向とする。上板１２ａと下板１２ｂの、ファスナ本体４８に対して平行な側縁部には各々ガイドフランジ２２が設けられている。

　引手１４は、図１、図２に示すように、引手取付部１６によって胴体１２に取り付けられる連結部２４が設けられている。連結部２４は、金属製で円形の環状部に形成されている。連結部２４の一端部には、適度な柔軟性を有する素材、例えばシリコーン樹脂等で作られた取付係止部２６が射出成形で設けられ、連結部２４の一部がインサート成形されている。

　取付係止部２６は、連結部２４から突出する方向に長く形成された板体であり、連結部２４の円形の環状部の面に対して平行な側面を有し適度な厚みを有している。以後の引手１４の方向性を説明するに際して、連結部２４から突出する方向を長手方向と言い、厚み方向を表裏方向と言う。表裏方向に直交する平面で、さらに長手方向に直交する方向を幅方向と言う。なお、この幅方向は長手方向に交差する方向の一つである。取付係止部２６の外形状は、連結部２４側の端部２６ａから、連結部２４と反対側の端部２６ｂに近づくにつれて幅が細くなり、取付係止部２６の長手方向の中間よりも連結部２４と反対側の端部２６ｂに近い位置に、連結部２４側の端部２６ａ及び連結部２４と反対側の端部２６ｂの幅よりも幅が細くなる括れ部２５が形成されている。つまり、括れ部２５よりも連結部２４側の幅と、括れ部２５よりも連結部２４と反対側の幅が、括れ部２５の幅よりも太い。また、取付係止部２６の厚みは、括れ部２５の幅と同等もしくは小さく形成されている。端部２６ｂは、三角形状に外側に突出して設けられ、先細りの形状となっている。このように、端部２６ｂが先細りの形状であることで、後述する他方の開口部３２に挿入する際に挿入しやすい。なお、先細りとは少なくとも幅方向寸法が先端に向かうに従って漸次小さくなることを言う。また、表裏方向においても先細りになっていても良い。取付係止部２６の幅方向の中心の、端部２６ｂ寄りの位置には、開口部３２が設けられている。開口部３２は、長手方向の寸法と幅方向の寸法との比が１対１以外の一方向に長い形状であり、取付係止部２６の外形状に沿って内側に形成されている。取付係止部２６の、端部２６ｂの周辺の外形と開口部３２の間の部分は、ほぼ一定の太さの帯状の係合部３０となる。取付係止部２６の長手方向の途中の括れ部２５付近には、幅方向における２箇所で表裏方向に折り曲がる折曲部３４が設けられ、図３に示すようにわずかにＳ字状に折り曲げられている。取付係止部２６の、折曲部３４を挟んだ連結部２４に近い部分と三角形状の端部を含む部分とが互いに略平行で、折曲部３４により段差が生じている。これは、取付係止部２６を、図１、図３に示すように胴体１２の連結柱１８側である前側に倒したときに、取付係止部２６の長手方向の一方の端部２６ａよりも他方の端部２６ｂが、胴体１２から上方向に離れるように形成された段差である。従って、取付係止部２６を、図５に示すように胴体１２の前側と反対側である後側に倒したときに、取付係止部２６の長手方向の一方の端部２６ａよりも他方の端部２６ｂが、胴体１２の下板１２ｂに近づくように形成されることになる。

　引手１４は、図１に示すように、胴体１２に、引手取付部１６により取り付けられる。引手１４は、取付係止部２６が折曲部３４で屈曲しているため、引手１４を胴体１２の前側に倒したとき、取付係止部２６の端部２６ｂ側の部分が胴体１２の上板１２ａから離れる方向、つまり上方向に位置する。

　この実施形態のスライドファスナ用スライダ１０は、一対で使用する物品に各々取り付けられる一対のスライドファスナ１３に使用され、互いに着脱可能に連結されるものである。例えば、図５に示すように、丈が長いブーツ４０の着脱用のスライドファスナ１３に設けられるものである。スライドファスナ１３は、スライドファスナ用スライダ１０とファスナ本体４８とにより構成され、ファスナ本体４８は、所定の長さにカットされた一対のファスナテープ４４と、一対のファスナテープ４４の隣接する側縁部に設けられたファスナエレメント４６とにより形成されている。

　ファスナ本体４８は、ブーツ４０の内股側にブーツ４０の長さに沿った方向に設けられ、ブーツ４０の上端縁部に達している。スライドファスナ用スライダ１０は、ファスナ本体４８に取り付けられ、互いに噛み合ったファスナエレメント４６が分離して出てくる前側が上となり、ファスナエレメント４６が噛合して出てくる後側が下となるように取り付けられている。

　次に、ブーツ４０に取り付けられたスライドファスナ用スライダ１０の使用方法について説明する。ブーツ４０をはくときはスライドファスナ用スライダ１０を下げてファスナ本体４８を開いて足を入れ、足を入れた後、スライドファスナ用スライダ１０を上げてファスナ本体４８を閉じる。引手１４は、図５に示すように引手取付部１６に連結部２４を保持されたまま下垂する。この時、取付係止部２６は折曲部３４で段差が設けられているため下端に位置する端部２６ｂが各ブーツ４０に近づく。

　ブーツ４０を脱ぐときは、再びスライドファスナ用スライダ１０を下げてファスナ本体４８を開いて足を出す。ブーツ４０をそろえて保管するときは、再びスライドファスナ用スライダ１０を上げてファスナ本体４８を閉じる。そして一対のブーツ４０をスライドファスナ１３の引手取付部１６同士が相対するように置き、引手１４を、連結部２４の引手取付部１６に保持されている部分を中心に回転させて、端部２６ｂを胴体１２の前側に向ける。すると図３に示すように端部２６ｂが折曲部３４により互いに接近する。次に、一方の引手１４の係合部３０を他方の引手１４の開口部３２に入れる。係合部３０の外径は開口部３２の内径よりも大きいため、当初は嵌合されない。強い力で係合部３０を長手方向に対して交差する方向から押圧すると、弾性変形して係合部３０の外径が小さくなり、他方の開口部３２に挿入され、引手１４の反対側に貫通して突出する。図４に示すように、挿入した方の引手１４の係合部３０の括れ部２５が、挿入された方の引手１４の開口部３２の係合部３０に押さえられて止まる。挿入した方の引手１４の係合部３０は少し弾性変形が復元するが括れ部２５の外径は開口部３２の内径よりも少し大きいため、挿入された方の引手１４の係合部３０に密着して付勢して係止され、通過できない状態になり、確実に係合される。挿入した方の引手１４の係合部３０の、括れ部２５以外の部分は弾性変形が復元して、係合部３０の括れ部２５以外の部分の外径が開口部３２の内径より大きくなり通過できないため、不用意に抜け落ちることがない。

　ブーツ４０は、ファスナ本体４８を閉じた状態で、左右の上端部が一対のスライドファスナ用スライダ１０により係合されるため、倒れにくく、折り曲げにくく、左右をそろえて立たせた状態を保つ。

　ブーツ４０を使用するときは、一対の引手１４を互いに離す方向へ一定以上の力を加えるか、開口部３２に挿入した方の引手１４の係合部３０を幅方向から押して係合部３０の外径を小さくする。あるいは、挿入された方の引手１４の開口部３２を幅方向へ開くようにして、挿入した方の引手１４を通過可能とし、一対の引手１４の係合を解除する。

　この実施形態のスライドファスナ用スライダ１０によれば、簡単な構造で一対の引手１４を互いに係合して左右のブーツ４０を連結することができ、ブーツ４０をそろえて自立させて保管することができる。玄関や靴箱の空間を有効に使用し、整頓した状態にすることができる。ブーツ４０の片方を紛失することを防ぎ、確実に管理することができる。また、自立させて保管するため、ブーツ４０の筒部分が途中で折れてしわができたり、乾燥が不十分で変色したりカビが生えたりすることがなく、きれいな外観を維持することができる。ブーツ４０のファスナ本体４８に取り付けられた一対の引手１４同士を連結するものであり、ブーツ４０と別体のブーツクリップやブーツスタンドが不要であり、外出先でも簡単に連結してブーツ４０をそろえて自立させることができる。引手１４を胴体１２の前側に向けると一対の端部２６ｂが互いに接近するため、引手取付部１６が支障とならず互いに交差させて確実に連結される。

　引手１４は、取付係止部２６の弾性力で係合と解除が行われ、引手１４のみで成立する連結構造であり、特別な道具が不要であり誰でも簡単に連結することができる。しかも、一定以上の強い力を加えないと外れず、安全性が高く、破損防止となる。引手１４は上向きで連結させるため、ブーツ４０の筒部分から胴体１２の前側に突出させた状態で係合と解除の操作を行うことができ、ブーツ４０の筒部分が邪魔にならず、容易に操作をすることができる。胴体１２や引手取付部１６は一般的なものを使用することができ、好都合である。引手１４の連結と係合解除は、一定以上の力で押圧したり引き離したりするだけであり、引手１４はシリコーン樹脂製で柔軟性があるため、簡単で手軽に行うことができる。取付係止部２６の端部２６ｂは、三角形状に外側に突出して設けられ、先細りの形状となっているため、他方の取付係止部２６の開口部３２に差し込みやすいものである。

　その他、連結部２４は円形であり、胴体１２に対していろいろな方向に自由に回転するため、係合する操作が簡単で扱いやすいものである。引手１４の取付係止部２６は柔軟性を有するシリコーン樹脂で作られているため、歩行の際に左右の引手１４どうしがぶつかっても衝撃音が発生せず静かであり、引手１４とブーツ４０がぶつかってもブーツ４０に傷が付くことがない。また他方の足に引手１４が当たっても安全である。

　引手１４の製造は簡単であり、取付係止部２６は１個の金型で一対のスライドファスナ用スライダ１０の取付係止部２６を作ることができ、コストが安価である。また、取付係止部２６は安価で取り扱いが容易なシリコーン樹脂で作られ、この点からもコストが安価となる。

　次にこの発明の第二実施形態について図６～図１０に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の第二のスライドファスナ用スライダ５０は、上記第一実施形態の第一の引手１４が取り付けられた第一のスライドファスナ用スライダ１０と一組で設けられている。第二のスライドファスナ用スライダ５０は、ファスナ本体４８に取り付けられて摺動しファスナ本体４８のファスナエレメント４６を開閉する胴体１２と、胴体１２を操作するための第二の引手５２と、胴体１２の上面に第二の引手５２を保持する引手取付部１６とを備えたスライドファスナ１５に設けられている。第二の引手５２は、第一の引手１４に着脱可能に係合されるものである。

　第二の引手５２は、図６、図７に示すように、連結部２４が設けられ、連結部２４は金属製で円形の環状部に形成されている。連結部２４の一端部には、適度な柔軟性を有する素材、例えばシリコーン樹脂等で作られた取付係止部５４がインサート成形されて設けられている。取付係止部５４の外形状は、第一実施形態の取付係止部２６と同じであり、連結部２４側の端部５４ａから、連結部２４と反対側の端部５４ｂに近づくにつれて幅が細くなり、取付係止部５４の長手方向の中間よりも連結部２４と反対側の端部５４ｂに近い位置に、連結部２４側の端部５４ａ及び連結部２４と反対側の端部５４ｂの幅よりも幅が細くなる括れ部６０が形成されている。つまり、括れ部６０よりも連結部２４側の幅と、括れ部６０よりも連結部２４と反対側の幅が、括れ部６０の幅よりも太い。また、取付係止部５４の厚みは、括れ部６０の幅と同等もしくは小さく形成される。端部５４ｂは、三角形状に外側に突出して設けられている。取付係止部５４の長手方向の途中には、幅方向における２箇所で表裏方向に折り曲がる折曲部６２が設けられ、図８に示すようにわずかにＳ字状に折り曲げられている。取付係止部５４の、折曲部６２を挟んだ、連結部２４に近い部分と三角形状の端部を含む部分とが互いに略平行で、折曲部６２により段差が生じている。これは、取付係止部５４を、図６、図８に示すように胴体１２の前側に倒したときに取付係止部５４の長手方向の一方の端部５４ａよりも他方の端部５４ｂが胴体１２から上方向に離れる段差である。従って、取付係止部５４を、図１０に示すように胴体１２の前側と反対側である後側に倒したときに、取付係止部５４の長手方向の一方の端部５４ａよりも他方の端部５４ｂが、胴体１２の下板１２ｂに近づくように形成されることになる。

　第二の引手５２も、図６に示すように、胴体１２に、引手取付部１６により取り付けられる。第二の引手５２は、取付係止部５４が折曲部６２で屈曲しているため、第二の引手５２を胴体１２の前側に倒したとき取付係止部５４の端部２４ｂ側の部分が胴体１２の上板１２ａから離れる方向、つまり上方向に位置する。

　この実施形態の第一及び第二のスライドファスナ用スライダ１０，５０は、一対で使用する物品に各々取り付けられるスライドファスナ１３，１５に使用され、互いに着脱可能に連結されるものである。例えば、図１０に示すように丈が長いブーツ４０の着脱用のスライドファスナ１３，１５である。スライドファスナ１３，１５は、所定の長さにカットされた一対のファスナテープ４４と、一対のファスナテープ４４の隣接する側縁部に設けられたファスナエレメント４６が設けられているファスナ本体４８と、スライドファスナ用スライダ１０，５０とにより設けられている。ファスナ本体４８は、ブーツ４０の内股側にブーツ４０の長さに沿った方向に設けられ、ブーツ４０の上端縁部に達している。ここでは、右用のブーツ４０に第一のスライドファスナ用スライダ１０を使用したスライドファスナ１３が取り付けられ、左足用のブーツ４０に第二のスライドファスナ用スライダ５０を使用したスライドファスナ１５が取り付けられている。なお左右を逆にしてもよい。第一及び第二のスライドファスナ用スライダ１０，５０は、ファスナエレメント４６が分離して出てくる前側が上となり、ファスナエレメント４６が噛合して出てくる後側が下となるように取り付けられている。

　次に、ブーツ４０に取り付けられた第一及び第二のスライドファスナ用スライダ１０，５０の使用方法について説明する。ブーツ４０をはくときはスライドファスナ用スライダ１０，５０を下げてファスナ本体４８を開いて足を入れ、足を入れた後、スライドファスナ用スライダ１０，５０を上げてファスナ本体４８を閉じる。第一及び第二の引手１４，５２は、図１０に示すように引手取付部１６に連結部２４を保持されたまま下垂する。この時、第一及び第二の引手１４，５２は折曲部３４，６２で段差が設けられているため下端に位置する端部２６ｂ，５４ｂが各ブーツ４０に近づく。

　ブーツ４０を脱ぐときは、再び第一及び第二のスライドファスナ用スライダ１０，５０を下げてファスナ本体４８を開いて足を出す。ブーツ４０をそろえて保管するときは、再びスライドファスナ用スライダ１０，５０を上げて、ファスナ本体４８を閉じる。そして第一及び第二の引手１４，５２を、連結部２４の引手取付部１６に保持されている部分を中心に回転させて、端部２６ｂ，５４ｂを胴体１２の前側に向ける。すると図８に示すように端部２６ｂ，５４ｂが折曲部３４，６２により互いに接近する。次に、第二の引手５２の取付係止部５４を第一の引手１４の開口部３２に入れる。取付係止部５４の外径は開口部３２の内径よりも大きいため、当初は嵌合されない。強い力で取付係止部５４を長手方向に対して交差する方向から押圧すると、互いに弾性変形して開口部３２に挿入され、第一の引手１４の反対側に貫通して突出し、図９に示すように、取付係止部５４の括れ部６０が開口部３２の係合部３０に押さえられて止まる。取付係止部５４の括れ部６０は、弾性変形が復元するが取付係止部５４の外径が開口部３２の内径よりも少し大きいため、係合部３０に密着して付勢して係止され、通過できない状態になり、確実に係合される。取付係止部５４の、括れ部６０以外の部分は弾性変形が復元して、取付係止部５４の括れ部６０以外の部分の外径が開口部３２の内径より大きくなり係合部３０を通過できないため、不用意に抜け落ちることがない。ブーツ４０は、ファスナ本体４８を閉じた状態で、左右の上端部が第一及び第二のスライドファスナ用スライダ１０，５０により係合されるため、倒れにくく、折り曲げにくく、左右をそろえて立たせた状態を保つ。

　ブーツ４０を使用するときは、第一及び第二の引手１４，５２を互いに離す方向へ一定以上の力を加えるか、第一の引手１４の開口部３２に挿入した第二の引手５２の取付係止部５４を幅方向から押して取付係止部５４の外径を小さくする。あるいは開口部３２を幅方向へ開くようにして、第二の引手５２の取付係止部５４を通過可能として第一及び第二の引手１４，５２の係合を解除する。

　この実施形態の第二のスライドファスナ用スライダ５０によれば、上記実施形態と同様の効果を有するものである。第二の引手５２には開口部が設けられておらず強い力で押すと取付係止部５４に弾性変形が起きるものであり、第一のスライドファスナ用スライダ１０の第一の引手１４との係合と係合解除は、強い力を加えないと外れず、より安全性が高いものである。

　次にこの発明の第三実施形態について図１１～図１４に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の第一のスライドファスナ用スライダ６６は、ファスナ本体４８に取り付けられて摺動しファスナ本体４８のファスナエレメント４６を開閉する胴体１２と、胴体１２を操作するための第一の引手６８と、胴体１２の上面に引手１４を保持する引手取付部１６とを備えている。

　第一の引手６８は、図１１に示すように連結部２４が設けられ、連結部２４は金属製で円形の環状部に形成されている。連結部２４の一端部には、適度な柔軟性を有する素材、例えばシリコーン樹脂等で作られた取付係止部７２が射出成形で設けられ、連結部２４の一部がインサート成形されている。取付係止部７２は、連結部２４から突出する方向に長く形成された一定の幅の矩形の板体であり、連結部２４の円形の環状部の面に対して平行な側面を有し適度な厚みを有している。取付係止部７２の、連結部２４側の端部７２ａは連結部２４の一部を埋設して取り付けられ、反対側の端部７２ｂは、三角形状に外方に突出して設けられ、先細りの形状となっている。取付係止部７２の中心には、取付係止部７２の長手方向に沿う方向に長い矩形の開口部７４が設けられている。開口部７４の、取付係止部７２端部７２ｂに近い縁部７４ａは、端部７２ｂに沿うような三角形状に形成されている。

　第一の引手６８が取り付けられた第一のスライドファスナ用スライダ６６は、図１３、図１４に示すように後述する第二の引手７８が取り付けられた第二のスライドファスナ用スライダ７６と一組で設けられている。第二の引手７８は、第一の引手６８に着脱可能に係合されるものである。そして、第一の引手６８が取り付けられた第一のスライドファスナ用スライダ６６と、第二の引手７８が取り付けられた第二のスライドファスナ用スライダ７６が、一対で使用する物品に各々取り付けられ、着脱可能に連結される。

　次に、第二のスライドファスナ用スライダ７６の第二の引手７８について説明する。第二の引手７８は、図１２に示すように第一の引手６８と同じ形状の連結部２４が設けられ、連結部２４の一端部には、適度な柔軟性を有する素材、例えばシリコーン樹脂等で作られた取付係止部８０がインサート成形されて設けられている。取付係止部８０は、連結部２４から突出する方向に長く形成された板体により形成され、連結部２４の円形の環状部の面に対して平行な一対の側面８０ｃを有し適度な厚みを有している。長手方向の一方の端部８０ａは、連結部２４の一部を埋設して取り付けられ、反対側の他方の端部８０ｂは三角形状に側方に突出して設けられ、先細りの形状となっている。取付係止部８０の外形状は、取付係止部８０の長手方向の途中で、連結部２４側の端部８０ａ及び連結部２４と反対側の端部８０ｂの幅よりも幅が細くなる括れ部８２が形成されている。つまり、括れ部８２よりも連結部２４側の幅と、括れ部８２よりも連結部２４と反対側の幅が、括れ部８２の幅よりも太い。括れ部８２の幅は、第一の引手６８の開口部７４の、長手方向に交差する幅よりもわずかに短く設けられ、括れ部８２よりも端部８０ｂ側に位置し一番幅が広い部分は、開口部７４の幅よりも幅が広く設けられている。第二の引き手７８の一対の側面８０ｃの間の厚みは、開口部７４の幅よりもわずかに薄く形成されている。

　この実施形態の第一及び第二のスライドファスナ用スライダ６６，７６は、上記各実施形態と同様の使用方法であり、一対で使用する物品に各々取り付けられる図示しないスライドファスナに使用され、互いに着脱可能に連結されるものである。例えば上記実施形態と同様に、丈が長いブーツの着脱用のスライドファスナである。第一及び第二のスライドファスナ用スライダ６６，７６を互いに連結するときは、第一及び第二の引手６８，７８を、連結部２４の引手取付部１６に保持されている部分を中心に回転させて、端部７２ｂ，８０ｂ同士を接近させ、図１３に示すように第一の引手６８の開口部７４に、第二の引手７８の取付係止部８０を入れる。この時、開口部７４の長手方向に対して、取付係止部８０の側面８０ｃが平行となるようにセットする。第二の引手７８の一対の側面８０ｃの間の厚みは、開口部７４の幅よりも短く、容易に挿入される。次に、図１４に示すように第二の引手７８の長手方向を軸として約９０°回転させる。この時、取付係止部８０の括れ部８２よりも端部８０ｂ側の部分の幅が、開口部７４の幅よりも広く設けられているため、取付係止部８０は開口部７４を通過できない状態になり、確実に係合される。係合を解除するときは、図１４に示す係合状態から、第二の引手７８を長手方向を軸としていずれかの方向へ９０°軸周りに回転させる。取付係止部８０は開口部７４に挿通可能となり、開口部７４から抜いて、係合を解除する。

　この実施形態の第一及び第二のスライドファスナ用スライダ６６，７６によれば、上記各実施形態と同様の効果を有するものである。係合は、スライドファスナ用スライダ７６の取付係止部８０を開口部７４に対して側面８０ｃを平行に差し込むことで空間に余裕があり、弾性変形させる必要がなく、力が要らず簡単に差し込むことができる。そして、取付係止部８０の側面８０ｃを開口部７４に交差させて係合するため、取付係止部８０が開口部７４から抜けなくなり、確実に係合することができる。強い力を加えても外れにくく、安全である。取付係止部８０が弾性変形するほどの強い力を加えると係合を解除することができ、緊急に係合解除することができる。

　なお、この発明のスライドファスナ用スライダは、上記各実施形態に限定されず、適宜変更可能である。使用する物品はブーツ以外に手袋等、ペアで用いられる場合があるものであれば何でもよく、保管時の紛失を防止する効果がある。取付係止部は、シリコーン樹脂以外の素材で作られてもよく、シリコーン樹脂以外の柔軟な合成樹脂や、外側から押すと撓むことが可能な金属製でもよい。

１０，５０，６６，７６　スライドファスナ用スライダ
１２　胴体
１２ａ　上板
１３，１５　スライドファスナ
１４，５２，６８，７８　引手
１６　引手取付部
２４　連結部
２５，６０，８２　括れ部
２６，５４，７２，８０　取付係止部
３０，５８　係合部
３２，７４　開口部
３４，６２　折曲部
４６　ファスナエレメント
４８　ファスナ本体

Claims (7)

1. 　部材の開閉を可能にする一対のスライドファスナ（１３，１５）のファスナ本体（４８）に各々取り付けられるスライドファスナ用スライダ（１０，５０，６６，７６）であって、
   　前記ファスナ本体（４８）のファスナエレメント（４６）を開閉する胴体（１２）に引手（１４，５２，６８，７８）が取り付けられ、
   　前記引手（１４，５２，６８，７８）は、前記胴体（１２）に取り付けられる連結部（２４）と、前記連結部（２４）の一端部に固定された取付係止部（２６，５４，７２，８０）とにより形成され、前記引手（１４，５２，６８，７８）の前記取付係止部（２６，５４，７２，８０）には、他方の引手（１４，５２，６８，７８）が挿入されて着脱可能に係止する開口部（３２，７４）が設けられていることを特徴とするスライドファスナ用スライダ。
2. 　前記取付係止部（２６，５４，７２，８０）は、弾性変形可能な樹脂製である請求項１記載のスライドファスナ用スライダ。
3. 　前記取付係止部（２６，７２）の開口部（３２）に挿入される前記他方の引手（１４，５２，７８）は、弾性変形可能な樹脂製の他方の取付係止部（２６，５４，８０）を備える請求項１または２記載のスライドファスナ用スライダ。
4. 　前記引手（１４，５２，７８）の前記取付係止部（２６）は、長手方向の途中には幅が狭くなる括れ部（２５，６０，８２）が設けられている請求項１記載のスライドファスナ用スライダ。
5. 　前記引手（１４，５２）の前記取付係止部（２６，５４）は、長手方向の中間部分に、長手方向に交差する折曲部（３４，６２）が設けられ、
   　前記折曲部（３４，６２）は、前記引手（１４，５２）を前記胴体（１２）の連結柱（１８）側に倒した状態で、前記取付係止部（２６，５４）の長手方向の先端部（２６ｂ，５４ｂ）が前記胴体（１２）から上方に離れるように形成されている請求項１記載のスライドファスナ用スライダ。
6. 　前記取付係止部（７２）の前記開口部（７４）は、一方向に長い形状であり、前記開口部（７４）に入れられて係合される前記他方の引手（１４）の前記取付係止部（８０）は、長手方向の途中には幅が狭くなる括れ部（８２）が設けられ、前記括れ部（８２）の幅は、前記引手（６８）の前記開口部（７４）の、長手方向に交差する幅よりもわずかに短く設けられ、前記括れ部（８２）よりも前記連結部（２４）に近い部分と、前記括れ部（８２）よりも前記連結部（２４）とは逆端側に近い部分の、最も幅が広い部分は、前記開口部（７４）の幅よりも長く設けられ、前記取付係止部（８０）の厚みは、前記開口部（７４）の幅よりもわずかに薄く形成されている請求項３記載のスライドファスナ用スライダ。
7. 　ファスナエレメント（４６）が設けられた一対のファスナ本体（４８）と、前記一対のファスナ本体（４８）に各々取り付けられる一対のスライドファスナ用スライダ（１０）とから成り、
   　前記一対のスライドファスナ用スライダ（１０）は、各胴体（１２）に各々引手（１４，５２，６８，７８）が取り付けられ、
   　一方の前記引手（１４，６８）は、前記胴体（１２）に取り付けられる連結部（２４）と、前記連結部（２４）に固定された取付係止部（２６，７２）とにより形成され、前記一方の引手（１４，６８）の前記取付係止部（２６，７２）には、他方の前記引手（１４，５２，７８）が挿入されて着脱可能に係止する開口部（３２，７４）が設けられ、
   　前記他方の引手（１４，５２，７８）は、前記一方の引手（１４，６８）の前記開口部（３２，７４）に挿入され係止される他方の取付係止部（２６，５４，７２，８０）が設けられたことを特徴とする一対のスライドファスナ。

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