JP5133137B2 - 運転評価装置および運転評価方法 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の省燃費運転を評価する運転評価装置および運転評価方法に関し、特に、性能が異なるさまざまな自動車に対して汎用的に用いることができるとともに、エコドライブに関して定量的な運転評価を行うことができる運転評価装置および運転評価方法に関する。
近年、地球環境の悪化に伴い、自動車等の車両の運転においては、地球環境に優しい省燃費運転(エコドライブ)が求められている。たとえば、急加速および急加速を繰り返す運転は、多くの燃料を消費するうえ、排出ガスの量も増えるため、エコドライブの観点からは好ましくない。
このようなエコドライブ意識の高まりに対応するために、運転状態がエコドライブに該当するか否かをドライバーに対して報知する技術が提案されている。たとえば、特許文献1には、車両速度に基づいて加減速の状態を取得し、エコドライブに反する急加速や急減速が行われた場合に、運転評価の点数を減点したうえでドライバーに対して表示する技術が開示されている。
特開2007−22505号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、エコドライブに反する運転状態を抽象的に定義したにすぎず、エコドライブについて具体的な評価手法を提示するものではない。したがって、特許文献1の技術を用いた場合であっても、エコドライブであるか否かを定量的に評価することができないという問題がある。
なお、自車両の燃料消費率に基づいて運転評価を行う自動車も見受けられるが、燃料消費率は、自動車の種類やエンジンの排気量等に応じて異なることが通常である。したがって、燃料消費率に基づいてエコドライブを評価する手法は汎用的な手法とはいえない。
これらのことから、性能が異なるさまざまな自動車に対して汎用的に用いることができるとともに、エコドライブに関して定量的な運転評価を行うことができる運転評価装置あるいは運転評価方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、性能が異なるさまざまな自動車に対して汎用的に用いることができるとともに、エコドライブに関して定量的な運転評価を行うことができる運転評価装置および運転評価方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、車両の省燃費運転を評価する運転評価装置であって、前記省燃費運転の評価対象となる減速区間の始点および終点をアクセル開度率に基づいて検出する減速区間検出手段と、所定の走行速度から所定の減速完了速度まで安全に減速できる単位時間あたりの減速値をあらわす減速値情報を記憶する減速値情報記憶手段と、前記減速区間検出手段によって前記始点が検出されてから前記終点が検出されるまでの実走行距離を算出する実走行距離算出手段と、前記減速区間検出手段によって検出された前記始点における走行速度に対応する前記減速値を前記減速値情報記憶手段から取得し、当該走行速度および当該減速値に基づく許容減速走行距離を算出する許容減速走行距離算出手段と、前記実走行距離算出手段によって算出された実走行距離と前記許容減速走行距離算出手段によって算出された許容減速走行距離との対比に基づいて前記始点における減速タイミングの良否を判定する良否判定手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、車両の省燃費運転を評価する運転評価方法であって、前記省燃費運転の評価対象となる減速区間の始点および終点をアクセル開度率に基づいて検出する減速区間検出工程と、所定の走行速度から所定の減速完了速度まで安全に減速できる単位時間あたりの減速値をあらわす減速値情報を記憶する減速値情報記憶工程と、前記減速区間検出工程によって前記始点が検出されてから前記終点が検出されるまでの実走行距離を算出する実走行距離算出工程と、前記減速区間検出工程によって検出された前記始点における走行速度に対応する前記減速値を前記減速値情報記憶工程から取得し、当該走行速度および当該減速値に基づく許容減速走行距離を算出する許容減速走行距離算出工程と、前記実走行距離算出工程によって算出された実走行距離と前記許容減速走行距離算出工程によって算出された許容減速走行距離との対比に基づいて前記始点における減速タイミングの良否を判定する良否判定工程とを含んだことを特徴とする。
本発明によれば、省燃費運転の評価対象となる減速区間の始点および終点をアクセル開度率に基づいて検出し、所定の走行速度から所定の減速完了速度まで安全に減速できる単位時間あたりの減速値をあらわす減速値情報を記憶し、減速区間の始点が検出されてから減速区間の終点が検出されるまでの実走行距離を算出し、検出された減速区間の始点における走行速度に対応する減速値を取得し、走行速度および減速値に基づく許容減速走行距離を算出し、算出された実走行距離と許容減速走行距離との対比に基づいて減速区間の始点のタイミング、すなわち、アクセルOFFによる減速開始タイミングの良否を判定することとしたので、性能が異なるさまざまな自動車に対して汎用的に用いることができるとともに、エコドライブに関して定量的な運転評価を行うことができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る運転評価装置および運転評価方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る運転評価手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る運転評価手法を適用した運転評価装置についての実施例を説明することとする。
まず、本発明に係る運転評価手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る運転評価手法の概要を示す図である。同図に示すように、本発明に係る運転評価手法では、車両が減速するシチュエーションにおけるエコドライブの評価を行う。
本発明に係る運転評価手法は、所定の停車目標点で車両を停車させる場合を例にすると、アクセルOFF操作が行われたタイミングが、平均的なアクセルOFF操作のタイミングよりも早い場合に、省燃費に値する運転操作が行われたと評価する思想に基づくものである。すなわち、目標とする停車位置で停車しようとする場合には、アクセルOFF操作を行うタイミングが早ければ早いほど、燃料の消費を抑制することが可能である。
上記した思想に基づき、本発明に係る運転評価手法では、同図に示す「実走行距離」が、予め用意された実測データを用いて算出される「許容減速走行距離」よりも大きい場合、すなわち、同図に示す「省燃費アクセルOFF走行距離」が、たとえば、正の値である場合に、アクセルOFFタイミングが良好であると評価する。
具体的には、車両が速度「初速(V)」で走行中における「アクセルOFF」を検知してから車両が停車するまでの区間を減速区間として検出する。ここで、「アクセルOFF」とは、アクセル開度率が、たとえば、50%未満となったことを指す。そして、アクセルOFFから停車までに車両が走行した距離を「実走行距離」として算出(計測)する。
そして、算出した「実走行距離」と、「許容減速走行距離」とを対比する。ここで、「許容減速走行距離」は、実測値に基づいてあらかじめ用意された許容減速値(以下、単に「減速値」と記載する)と、アクセルOFF時の車両速度である初速(V)とから算出される。そして、この「許容減速走行距離」とは、アクセルOFF時の速度から安全に減速できる走行距離のことを指す。また、「許容減速走行距離」の算出に用いられる「減速値」は、安全な運転のために許容される減速値、すなわち、急減速を伴わない最大の加速度のことを指す。
なお、「減速値」は、特定の実測条件に基づいてあらかじめ実測されたデータを使用する。ここで、減速値の実測においては、たとえば、車両の進行方向における200m前方に設けられた信号が黄色に変わり、ドライバーによってアクセルOFF操作が行われてから車両が停車するまでの距離を、複数種類の自動車、複数のドライバーについて、初速(V)を変化させながら取得する。そして、計測された減速値の平均(単純平均や加重平均)をとることで、初速(V)ごとの減速値を採取する。
このように、本発明に係る運転評価手法では、許容減速走行距離算出に用いる減速値をあらかじめ記憶しておく(同図の(1)参照)。そして、減速区間の始点(アクセルOFF)を検出したならば、減速区間の終点(停車目標点)までの実走行距離を算出するとともに、初速(V)および初速(V)に対応する減速値に基づいて許容減速走行距離を算出する(同図の(2)参照)。さらに、両距離(実走行距離および許容減速走行距離)を対比してアクセルOFFタイミングを評価する(同図の(3)参照)。
つまり、本発明に係る運転評価手法は、実測に基づく減速値(許容減速値)を用いるので、性能が異なるさまざまな自動車に対して汎用的に用いることができる。また、「許容減速走行距離」という概念を用いることで、エコドライブに関して定量的な運転評価を行うことができる。
以下では、上記した運転評価手法を適用した運転評価装置の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例では、自動車等の車両に搭載される運転評価装置について説明するが、車両と通信可能なネットワークに設けられたサーバ装置上に、運転評価装置を構成することとしてもよい。
図2は、本実施例に係る運転評価装置10の構成を示すブロック図である。なお、運転評価装置10は、車両100が備えるアクセル開度センサ101、車速センサ102およびエンジン回転数センサ103から、アクセル開度率、車速およびエンジン回転数をそれぞれ取得するものとする。なお、車両のECU(エンジンコントロールユニット)経由で、各種車両センサのセンサ値を取得することとしてもよい。
同図に示すように、運転評価装置10は、制御部11と、記憶部12とを備えている。また、制御部11は、減速区間検出部11aと、許容減速走行距離算出部11bと、実走行距離算出部11cと、良否判定部11dと、判定結果蓄積部11eと、報知部11fとをさらに備えている。また、記憶部12は、減速値情報12aと、判定結果情報12bとを記憶する。
制御部11は、車両100に搭載された各種車両センサからの信号値に基づき、評価対象となる減速区間を検出するとともに、実走行距離および許容減速走行距離を算出したうで、両走行距離を対比することで運転の良否判定を行う処理部である。また、制御部11は、良否判定結果を蓄積するとともに、蓄積した良否判定結果をドライバー等の乗車者に対して報知する処理を行う処理部でもある。
減速区間検出部11aは、アクセル開度センサ101からのアクセル開度率、車速センサ102からの車速、エンジン回転数センサ103からのエンジン回転数に基づき、評価対象となる減速区間を検出する処理を行う処理部である。
具体的には、この減速区間検出部11aは、車速が所定の速度閾値(たとえば、10km/h)を上回った場合に、減速区間の検出を行う。ここで、速度閾値を用いて減速区間の検出を行うか否かを判定するのは、渋滞などによって低速走行を行う場合には、エコドライブ評価の実効性が低いので、これらの場合を評価対象から除外する。
そして、減速区間の検出を行うことを決定した場合、減速区間検出部11aは、減速区間の始点を検出する。ここで、始点検出条件としては、たとえば、アクセル開度率が0.5%を下回り、かつ、エンジン回転数が、1000rpmを上回るという条件を用いる。なお、アクセル開度率が0.5%を下回る場合とは、ドライバーがアクセルの踏み込みをやめた状態、すなわち、アクセルOFFのことを指す。また、エンジン回転数の下限を設けるのは、いわゆるアイドリング状態でアクセルを踏み込まずに走行する空走状態を除外するためである。
また、減速区間の始点を検出した場合、減速区間検出部11aは、減速区間の終点を検出する。ここで、終点検出条件としては、たとえば、アクセル開度率が0.5%以上という条件を用いる。ここで、アクセル開度率が0.5%以上となる場合とは、ドライバーがアクセルの踏み込みを行った状態、すなわち、アクセルONのことを指す。なお、アクセルONが行われることなく車速が0km/hとなった場合、すなわち、停車した場合には、車速が0km/hとなった時点を終点として検出する。
このようにして減速区間の始点および終点を検出すると、減速区間検出部11aは、始点における車両速度を許容減速走行距離算出部11bに対して通知するとともに、始点および終点を検出した旨を実走行距離算出部11cに対して通知する。
許容減速走行距離算出部11bは、減速区間検出部11aから通知された始点(減速区間の始点)および終点(減速区間の終点)における車両速度と、記憶部12の減速値情報12aとに基づいて許容減速走行距離を算出する処理を行う処理部である。また、この許容減速走行距離算出部11bは、算出した許容減速走行距離を良否判定部11dに対して通知する処理を併せて行う。ここで、許容減速走行距離の算出に用いられる減速値情報12aの一例および許容減速走行距離の算出例について図3および図4を用いて説明しておく。
図3は、減速値情報12aの一例を示す図である。なお、同図の(1)には、「km/h/sec」であらわした減速値を含んだ減速値情報12aを、同図の(2)には、「m/sec/sec」であらわした減速値を含んだ減速値情報12aを、それぞれ示している。
図3の(1)に示すように、減速値情報12aは、たとえば、10km/hごとに区切られた平均車速(km/h)と、各平均車速に対応する減速値とを対応付けたテーブル形式の情報である。ここで、同図に示す平均車速が70km/hの場合、減速値は−4.00km/h/secとなる。なお、平均車速が70km/hを上回った場合には、減速値は−3.00km/h/secとなる。
図3の(1)に示した平均車速を「V」、減速値を「A1」とすると、車速「V」から停車するまでに要する時間「T(sec)」は、式「T=−V/A1」であらわされる。また、車速「V」から停車するまでの許容減速走行距離「L(m)」は、式「L=−(V×V)/(2×(A1×1000/3600))であらわされる。ここで、A1に「1000/3600」を乗じたのは、許容減速走行距離「L」の単位を「m」とするためである。
ところで、許容減速走行距離「L(m)」の算出を容易に行うために、上記したA1に乗じた「1000/3600」を含んだ減速値「A2」を用意しておくこととしてもよい。図3の(2)に示した減速値は、式「A2=A1×3600/100」であらわされる。すなわち、図3の(2)に示した各減速値は、図3の(1)に示した各減速値に3.6(3600/1000)を乗じたものである。
図3の(2)に示した減速値「A2」を用いると、車速「V」から停車するまでの許容減速走行距離「L(m)」は、式「L=−(V×V)/(2×A2)であらわされる。なお、車速「Vs」から車速「Ve」まで減速する場合の許容減速走行距離「L(m)」は、式「L=−(Vs×Vs)/(2×A2)+(Ve×Ve)/(2×A2)」であらわされる。
図4は、許容減速走行距離の算出例を示す図である。同図に示す許容減速走行距離は、たとえば、図3の(2)に示した減速値「A2」を用いた式「L=−(Vs×Vs)/(2×A2)+(Ve×Ve)/(2×A2)」で算出することができる。また、同図に示す許容減速走行距離は、図3の(1)に示した減速値「A1」を用いた式「T=−V/A1」で算出することができる。
たとえば、60km/hから20km/hに減速する場合、図3の(2)における60kmに対応する減速値は―19.80である。したがって、許容減速走行距離Lは、「−(60×60)(2×(−19.80))+(20×20)/2×(−19.80)」によって、80.8と算出される。
次に、実走行距離算出部11cについて説明する。実走行距離算出部11cは、減速区間検出部11aから受け取った減速区間の始点から終点までの実際の走行距離を、車速センサ102からの車速に基づいて算出する処理を行う処理部である。また、この実走行距離算出部11cは、算出した実走行距離を良否判定部11dに対して通知する処理を併せて行う。
良否判定部11dは、許容減速走行距離算出部11bによって算出された「許容減速走行距離」および実走行距離算出部11cによって算出された「実走行距離」を対比することで、減速区間検出部11aによって検出された減速区間の始点のタイミング、すなわち、アクセルOFF操作のタイミングの良否を判定する処理部である。
この良否判定部11dは、式「実走行距離−許容減速走行距離>α」を用いてアクセルOFF操作のタイミングが省燃費運転に値するか否かを判定する。ここで、αは、0以上の値をとる所定の閾値である。たとえば、閾値αを0とすると、良否判定部11dは実走行距離が許容減速走行距離よりも大きい場合に、アクセルOFFのタイミングを「良」と判定する。なお、良否判定部11dは、判定結果を判定結果蓄積部11eに対して通知する処理を併せて行う。
判定結果蓄積部11eは、良否判定部11dから受け取った判定結果を判定結果情報12bとして記憶部12へ蓄積する処理を行う処理部である。たとえば、この判定結果蓄積部11eは、判定結果の良否、判定時刻、減速区間の始点および終点における車両速度、判定区間における実走行距離および許容減速走行距離といった情報を、判定結果情報12bとして蓄積する。
報知部11fは、記憶部12の判定結果情報12bに基づき、運転の評価結果をドライバーなどの乗車者に対して報知する処理を行う処理部である。たとえば、この報知部11fは、図示しないディスプレイ等に減速区間ごとの良否判定結果を表示させる処理を行う。なお、良否判定結果の表示タイミングは、減速区間の終点検出ごととしてもよいし、車両の停止時とすることとしてもよい。また、たとえば、日ごとに判定結果を集計し、ドライバーの表示指示を受け付けた際に判定結果の集計情報を表示することとしてもよい。
記憶部12は、メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、減速値情報12aおよび判定結果情報12bを記憶する。なお、減速値情報12aについては図3を用いて、判定結果情報12bについては報知部11fの説明において、既に説明したので説明を省略する。
次に、減速区間終点における車両速度が0である場合の車両速度と走行距離との関係について図5を用いて説明する。図5は、減速区間終点における車両速度が0である場合の車両速度と走行距離との関係を示す図である。なお、同図に示す縦軸は車両速度を、横軸は走行距離を、それぞれ示している。また、同図に示すVsはアクセルOFFが検出された時点における車速、すなわち、減速区間始点における車速をあらわしている。また、同図に示すVeは減速区間終点における車速、すなわち、0km/hをあらわしている。
同図に示すように、実走行距離は、アクセルOFFが検出された時点(減速区間始点)から車速が0となった時点(減速区間終点)までに車両が実際に走行した走行距離であって、図2に示した実走行距離算出部11cによって算出される。また、許容減速走行距離は、アクセルOFFが検出された時点(減速区間始点)における車両速度(Vs)およびVsに対応する減速値(図3参照)に基づいて算出される走行距離であって、図2に示した許容減速走行距離算出部11bによって算出される。
なお、実走行距離から許容減速走行距離を差し引いた距離は、同図に示すように、省燃費アクセルOFF走行距離となる。また、同図に示す実走行線は、車両の実際の車両速度の推移をあらわす線であり、許容減速線は、VsおよびVsに対応する減速値(図3参照)で算出される仮想的な車両速度の推移をあらわす線である。
次に、減速区間終点における車両速度が0ではない場合の車両速度と走行距離との関係について図6を用いて説明する。図6は、減速区間終点における車両速度が0ではない場合の車両速度と走行距離との関係を示す図である。なお、図6に示したのは、減速区間検出部11aが、アクセルOFF検知によって減速区間始点を検出した後に、アクセルON検知によって減速区間終点を検出した場合である。
なお、同図に示す縦軸は車両速度を、横軸は走行距離を、それぞれ示している。また、同図に示すVsはアクセルOFFが検出された時点における車速、すなわち、減速区間始点における車速をあらわしている。また、同図に示すVeは減速区間終点における車速をあらわしている。
同図に示すように、実走行距離は、アクセルOFFが検出された時点(減速区間始点)からアクセルONが検出された時点(減速区間終点)までに車両が実際に走行した走行距離であって、図2に示した実走行距離算出部11cによって算出される。また、許容減速走行距離は、アクセルOFFが検出された時点(減速区間始点)における車両速度(Vs)およびVsに対応する減速値(図3参照)に基づき、アクセルONが検出された時点(減速区間終点)における車両速度(Ve)まで減速した際の走行距離であって、図2に示した許容減速走行距離算出部11bによって算出される(図4参照)。
なお、実走行距離から許容減速走行距離を差し引いた距離は、図5の場合と同じく、省燃費アクセルOFF走行距離となる。また、同図に示す実走行線は、車両の実際の車両速度の推移をあらわす線であり、許容減速線は、VsおよびVsに対応する減速値(図3参照)で算出される仮想的な車両速度の推移をあらわす線である点についても、図5と同様である。
次に、運転評価装置10が実行する処理手順について図7を用いて説明する。図7は、運転評価装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、同図においては、良否判定部11dが、運転の良否判定を行うまでの処理手順を示している。
同図に示すように、減速区間検出部11aは、運転評価を開始するか否かを判定するために、走行速度が判定開始閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS101)。そして、ステップS101の判定条件を満たした場合には(ステップS101,Yes)、減速区間の始点条件を満たすか否かを判定する(ステップS102)。ここで、減速区間の始点条件とは、たとえば、アクセル開度率が0.5%を下回り、かつ、エンジン回転数が、1000rpmを上回ることを指す。
そして、減速区間の始点条件を満たした場合には(ステップS102,Yes)、減速区間の始点における走行速度(Vs)を保存する(ステップS103)。なお、ステップS101の判定条件を満たさない場合(ステップS101,No)およびステップS102の判定条件を満たさない場合には(ステップS102,No)、運転評価を行うことなく処理を終了する。
つづいて、実走行距離算出部11cは、実走行距離の積算を開始し(ステップS104)、減速区間検出部11aは、減速区間の終点条件を満たすか否かを判定する(ステップS105)。ここで、減速区間の終点条件とは、たとえば、アクセル開度率が0.5以上であることを指す。
そして、減速区間の終点条件を満たした場合には(ステップS105,Yes)、減速区間の終点における走行速度(Ve)を保存する(ステップS106)。一方、減速区間の終点条件を満たさない場合には(ステップS105,No)、車両速度が0となったなか否か、すなわち、車両が停車したか否かを判定する(ステップS107)。
そして、車両速度が0である場合には(ステップS107,Yes)、ステップS108の処理へ進む。なお、この場合、減速区間の終点における走行速度(Ve)は、0とされる。一方、車両速度が0ではない場合には(ステップS107,No)、ステップS105以降の処理を繰り返す。
つづいて、実走行距離算出部11cは、実走行距離の積算を終了し(ステップS108)、許容減速走行距離算出部11bは、許容減速走行距離を算出する(ステップS109)。ここで、許容減速値を「L」、減速区間始点における車両速度を「Vs」、同じく終点における車両速度を「Ve」、「Vs」に対応する減速値(図3参照)を「A」とすると、許容減速値「L」は、式「L=−Vs/(2A)+Ve/(2A)」で算出される。
つづいて、良否判定部11dは、実走行距離と許容減速走行距離とを対比し(ステップS110)、実走行距離から許容減速走行距離を差し引いた値が所定の閾値αよりも大きい場合には(ステップS111,Yes)、減速区間始点のタイミングを「良」と判定して(ステップS112)処理を終了する。一方、ステップS111の判定条件を満たさない場合には(ステップS111,No)、減速区間始点のタイミングを「悪」と判定して(ステップS113)処理を終了する。
上述してきたように、本実施例では、減速区間検出部が、省燃費運転の評価対象となる減速区間の始点および終点をアクセル開度率に基づいて検出し、記憶部が、所定の走行速度から所定の減速完了速度まで安全に減速するために許容される単位時間あたりの減速値をあらわす減速値情報を記憶し、実走行距離算出部が、減速区間の始点が検出されてから減速区間の終点が検出されるまでの実走行距離を算出し、許容減速走行距離算出部が、検出された減速区間の始点における走行速度に対応する減速値を記憶部から取得して走行速度および減速値に基づく許容減速走行距離を算出し、良否判定部が、算出された実走行距離と許容減速走行距離との対比結果に基づいて減速区間の始点のタイミングの良否を判定するように運転評価装置を構成した。
したがって、実測に基づく減速値(許容減速値)を用いることで、性能が異なるさまざまな自動車に対して適合することができる。また、「許容減速走行距離」という概念を用いることで、エコドライブに関して定量的な運転評価を行うことができる。
ところで、上述した実施例では、車両に搭載される運転評価装置が、車両センサ(アクセル開度センサや車速センサなど)に基づいて運転評価を行う場合について説明したが、カーナビゲーション装置から取得したロケーション情報(道路、建物などの配置情報)、交通情報システムから取得した信号の変化状況、天候情報等をさらに使用して運転評価を行うこととしてもよい。このようにすることで、車両の走行状況を加味したさらに精度の高い運転評価が可能となる。
また、上述した実施例では、実測に基づいてあらかじめ用意した静的な減速値情報を用いる場合について説明したが、走行状態に応じて減速値情報を動的に補正することとしてもよい。たとえば、運転評価装置が搭載された車両の実際の燃料消費率や燃料消費量、ドライバーの運転操作に応じた車両の燃料消費状況などを学習し、学習した情報に基づいて減速情報を補正することとしてもよい。このようにすることで、運転評価の精度をさらに向上させることが可能となる。
また、車両種別やエンジン種別に対応する複数の減速値情報を用意しておき、運転評価装置が搭載された車両に応じて減速値情報を切り替えたり、運転評価装置が搭載された車両に適合する減速値情報を、ネットワーク経由でダウンロードしたりすることとしてもよい。
以上のように、本発明に係る運転評価装置および運転評価方法は、エコドライブの評価に有用であり、特に、性能が異なるさまざまな自動車に対して汎用的な運転評価を行いたい場合に適している。
本発明に係る運転評価手法の概要を示す図である。 本実施例に係る運転評価装置の構成を示すブロック図である。 減速値情報の一例を示す図である。 許容減速走行距離の算出例を示す図である。 減速区間終点における車両速度が0である場合の車両速度と走行距離との関係を示す図である。 減速区間終点における車両速度が0ではない場合の車両速度と走行距離との関係を示す図である。 運転評価装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 運転評価装置
11 制御部
11a 減速区間検出部
11b 許容減速走行距離算出部
11c 実走行距離算出部
11d 良否判定部
11e 判定結果蓄積部
11f 報知部
12 記憶部
12a 減速値情報
12b 判定結果情報
100 車両
101 アクセル開度センサ
102 車速センサ
103 エンジン回転数センサ

Claims (8)

  1. 車両の省燃費運転を評価する運転評価装置であって、
    前記省燃費運転の評価対象となる減速区間の始点および終点をアクセル開度率に基づいて検出する減速区間検出手段と、
    所定の走行速度から所定の減速完了速度まで安全に減速できる単位時間あたりの減速値をあらわす減速値情報を記憶する減速値情報記憶手段と、
    前記減速区間検出手段によって前記始点が検出されてから前記終点が検出されるまでの実走行距離を算出する実走行距離算出手段と、
    前記減速区間検出手段によって検出された前記始点における走行速度に対応する前記減速値を前記減速値情報記憶手段から取得し、当該走行速度および当該減速値に基づく許容減速走行距離を算出する許容減速走行距離算出手段と、
    前記実走行距離算出手段によって算出された実走行距離と前記許容減速走行距離算出手段によって算出された許容減速走行距離との対比に基づいて前記始点における減速タイミングの良否を判定する良否判定手段と
    を備えたことを特徴とする運転評価装置。
  2. 前記減速区間検出手段は、
    車両のエンジン回転数が所定の回転数閾値を上回っている場合であって、かつ、前記アクセル開度率が所定の開度率閾値を下回った場合に、前記減速区間の始点を検出し、当該始点を検出した後、前記アクセル開度率が前記開度率閾値以上となった場合に、前記減速区間の終点を検出することを特徴とする請求項1に記載の運転評価装置。
  3. 前記減速区間検出手段は、
    前記減速区間の始点を検出した後、前記アクセル開度率が前記開度率閾値以上とはならない場合であっても、車両の走行速度が0となったことを条件として前記減速区間の終点を検出することを特徴とする請求項2に記載の運転評価装置。
  4. 前記減速区間検出手段は、
    車両の走行速度が所定の速度閾値を上回っている場合に、前記始点および前記終点を検出することを特徴とする請求項1、2または3に記載の運転評価装置。
  5. 前記良否判定手段は、
    前記実走行距離から前記許容減速走行距離を差し引いた値が所定の判定閾値を上回った場合に、前記始点のタイミングを良好であると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の運転評価装置。
  6. 前記良否判定手段による良否判定結果の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
    前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴の内容を報知する報知手段と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の運転評価装置。
  7. 前記減速値情報記憶手段に記憶される減速値情報は、
    特定の実測条件に基づいて予め取得された前記減速値の平均値であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の運転評価装置。
  8. 車両の省燃費運転を評価する運転評価方法であって、
    前記省燃費運転の評価対象となる減速区間の始点および終点をアクセル開度率に基づいて検出する減速区間検出工程と、
    所定の走行速度から所定の減速完了速度まで安全に減速できる単位時間あたりの減速値をあらわす減速値情報を記憶する減速値情報記憶工程と、
    前記減速区間検出工程によって前記始点が検出されてから前記終点が検出されるまでの実走行距離を算出する実走行距離算出工程と、
    前記減速区間検出工程によって検出された前記始点における走行速度に対応する前記減速値を前記減速値情報記憶工程から取得し、当該走行速度および当該減速値に基づく許容減速走行距離を算出する許容減速走行距離算出工程と、
    前記実走行距離算出工程によって算出された実走行距離と前記許容減速走行距離算出工程によって算出された許容減速走行距離との対比に基づいて前記始点における減速タイミングの良否を判定する良否判定工程と
    を含んだことを特徴とする運転評価方法。
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