JP5132614B2 - リチウム電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウム電池に関する。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度である特性を活かし、携帯電話やノートパソコンなどの電源として広く用いられている。
これらリチウムイオン電池は、円筒型と角型があるが、いずれも正極と負極がセパレータを介して倦回された極群を電槽缶内に挿入して、有機電解液を注入し封口された構造となっている。
この有機電解液は、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルエタン(DME)、ジエチルカーボネート(DME)、エチレンカーボネート(EC)などが単独もしくは混合されたものを溶媒として、これにリチウム塩としてLiClO 、LiPF 、LiBF などが溶解されたものである。
近年、ビデオ撮影装置やノートパソコン、携帯電話などの携帯用情報端末機器に代表される各種電子応用機器の薄型かつ軽量小型化の要求に伴い、前述のような有機電解液に代えて、正負一対の電極間に高分子電解質と有機電解液を混合して配設したポリマー電解質電池が注目されている。
しかし、これらリチウムイオン電池およびポリマー電池は、有機電解液を含むため、漏液や発煙などの問題を起す可能性がある。
かかる問題を解決するために、電解質に無機系の固体電解質を用いたリチウム電池の開発が盛んに行われている。
このような無機系の固体電解質を用いたリチウム電池では、硫化物系のガラスから成るリチウムイオン伝導性の無機固体電解質を用いたリチウム電池が上げられる。この無機固体電解質は、有機電解液に匹敵するリチウムイオン伝導度を有している。しかしながら、硫化物系のガラスは反応性に富み、特に水分や空気と反応し易いという問題がある。
これに対して、酸化物系の固体電解質の中では、ナトリウムイオン伝導性固体電解質(NASICON系材料)と同様の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性結晶質固体電解質は、近年では1×10-3〜1×10-4S・cm-1のリチウムイオン伝導率を有する固体電解質が提案されている。
例えば特開平5−299101号公報では、Li1+(4-n)xxTi2-x(PO43(Mは1価または2価の陽イオン、Mが1価のときn=1、Mが2価のときn=2、xは0.1〜0.5)で表わされる粒状電解質などを焼結させることにより、1×10-3〜1×10-4S・cm-1のリチウムイオン伝導率を得ることができている。
また、特開平10−97811号公報では、所定の組成比のP、SiO、Ti
、Al、LiOなどを溶融して成形した後、熱処理によってLi1+x+yAlTi2−y3−y12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6)を析出させることにより、1.0×10 〜2.0×10−3S・cm−1のリチウムイオン伝導度を有する固体電解質を提案している。
また、特開平6−111831号公報では、MnO2またはアルカリ金属とマンガンとの複合酸化物からなる正極と固体電解質とが一体形成されてなる固体電解質で、固体電解質がMnO2またはアルカリ金属とマンガンとの複合酸化物にリチウム化合物を反応させて正極の表面にLi2MnO3層を形成することにより、正極と固体電解質との界面の接触面積を大きくして、電池の内部抵抗を小さくし、充放電特性を向上させることを提案している。
また、特開平8−138724号公報では、固体電解質層、もしくは正極活物質粉末と固体電解質粉末の混合物から成る正極と負極活物質粉末と固体電解質粉末の混合物から成る負極とによって固体電解質粉末を加圧成形して得られた固体電解質層を挟持した後、前記固体電解質の軟化点以上でガラス転移点以下の温度で加圧することにより、面接触になり粒界抵抗が小さい固体電解質層が得られることを提案している。
特開平6−111831号公報 特開平8−138724号公報
従来、固体電解質を用いる電池の場合、電極と固体電解質の接合は、圧接のみで形成される場合が多く、電極と固体電解質の接触面積が小さくて接合強度が弱くなり、これらの界面における抵抗が大きくなって、電池としての内部抵抗が大きくなり、充放電特性が劣るという欠点があった。
特に充放電電流が大きくなるに従い、電池の内部抵抗に起因する電圧降下が大きくなり、電流密度が制限されるという問題があった。
また、結晶質の固体電解質は、イオン伝導経路に異方性を有しているものが多いため、固体電解質内の粒界抵抗が問題となる。従って、結晶質の固体電解質は、焼結体を用いることが多く、特開平5−299101号公報は、この問題を改善する提案となっている。
しかしながら、このイオン伝導経路の問題は、電極と固体電解質界面に関しても該当し、圧接のみによる接触では界面の抵抗が大きくなるという問題が残されている。
特開平6−111831号公報は、電極と固体電解質の界面抵抗を改善する提案であるが、この方法は、MnO2の形成をスパッタリングで行ったり、Li2MnO3の形成を前述のMnO2とLiOHとを反応させるなどプロセスが煩雑であるという問題がある。
特開平8−138724号公報は、固体電解質の軟化点以上でガラス転移点以下の温度で加圧成形するものであるが、この場合、固体電解質内の粒界が低減され、固体電解質としてのリチウムイオン伝導度は向上するものの、加熱処理の工程において、電極と固体電解質の界面に反応層を形成し、その反応層がリチウムイオン伝導を阻害するという問題がある。
本発明は、上述のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、電極と固体電解質の接合強度が弱くて電池としての内部抵抗が大きくなり、充放電特性が劣るという従来の問題点を解消した固体電解質電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、主として活物質から成る正負一対の電極間に固体電解質を配設したリチウム電池において、前記電極が、シラン化合物を熱処理することにより形成された、シロキサン結合を主骨格とする無機化合物であるシリコン化合物を含有するとともに、前記電極の少なくとも一方は、RuO、SnOおよびInのうちのいずれか一種以上を含み、前記固体電解質が、リチウムイオン伝導性結晶化ガラスを主成分とするものであることを特徴とするリチウム電池を提供する。
また、前記RuO 、SnO およびIn のうちのいずれか一種以上が、前記シリコン化合物中に分散されていてもよい。
また、前記固体電解質は、前記リチウムイオン伝導性結晶化ガラスの焼結体からなるものであってもよい。
内部抵抗が比較的低く、充放電特性に比較的優れたリチウム電池を得ることができる。
本発明に係わるリチウム電池の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明のリチウム電池の実施形態について説明する。図1は、請求項1に係るリチウム電池の構成例を示す断面図である。図1において、1はパッケージ、2は一対の電極、2aは正極、2bは負極、3は固体電解質層、4は正極集電体、5は負極集電体である。
パッケージ1は、気密性を保持できれば材質には限定されず、例えばアルミニウム製ラミネート材、ニッケル、アルミニウムなどの金属、あるいはシュリンクケースなどを用いることができる。
正極集電体4または負極集電体5は、正極2aまたは負極2bの集電のために設けられ、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などの金属箔を用いることができる。
電極2(2a、2b)の活物質には、例えばリチウムマンガン複合酸化物、二酸化マンガン、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化タングステンなどとそれらの誘動体がある。
さらに固体電解質3を用いたリチウム電池では、セパレータや有機電解液を用いないために、充放電に伴う電極の膨張収縮を許容する制限がある。したがって、電極2(2a、2b)に用いる活物質としては、特にLi1+xMn2−x(0≦x≦0.2)、L
iMn2−yMe (Me=Ni、Cr、Cu、Zn、0<y≦0.6)、LiTi12、またはLiMn12のいずれかが選択されることが望ましい。
ここで、正極活物質と負極活物質には明確な区別はなく、2種類の化合物の充放電電位を比較して貴な電位を示すものを正極に、卑な電位を示すものを負極にそれぞれ用いて任意の電圧の電池を構成することができる。
この活物質粉末の空隙にシロキサン結合(Si−O)を主骨格とする化合物を介在させる。シロキサン結合を形成する化合物としては、シラン化合物が上げられる。シラン化合物では、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
電極2と固体電解質3の接合は、圧着や反応層によるものではなく、活物質紛体の空隙に介在させるシロキサン結合を主骨格とする化合物によって形成する。
このシロキサン結合は、熱処理により形成されるのもであると同時に、活物質紛体および電極と固体電解質の接合を形成する。
シロキサン結合を形成する場合、過度に温度を上昇させる必要もなく、電極2と固体電解質3の反応を抑えられ、またシロキサン結合を主骨格とする化合物も電極活物質との反応を抑えることができる。
また、電極活物質の空隙に介在するシロキサン結合を主骨格とする化合物は、リチウムイオン伝導性結晶化ガラスとも強固な結合を形成し、電極2と固体電解質3の接合を強固にすることができる。したがって、界面の接触面積が大きくなることにより、電池の内部抵抗を低減することができる。
固体電解質3としては、大別して硫化物系と酸化物系に分類される。硫化物系の固体電解質では室温でのリチウムイオン伝導度は、1×10-3S・cm-1と有機電解液に匹敵する特性を有しているが、吸湿性があるなどの問題がある。したがって、固体電解質3は、酸化物系を用いる方が望ましい。その中で、非晶質系の固体電解質は、リチウムイオン伝導度が室温で1×10-6S・cm-1程度であり、十分に特性を満たすことが難しい。それに対して、結晶質の固体電解質は、リチウムイオン伝導度が室温で1×10-3S・cm-1〜1×10-4S・cm-1程度である。したがって、用いる固体電解質3は、結晶質の固体電解質であることがより望ましく、特に、リチウム(Li)、チタン(Ti)、リン(P)および酸素(O)元素を含むリチウムイオン伝導性を有する結晶質の固体電解質であることが望ましく、Li1+xxTi2-x(PO43(ここでMはAl、Sc、Y、La)、Li1+xTi2-x(PO43、Li0.5-3x0.5+xTiO3(ここでRはLa、Pr、Nd、Sm)、Li1+x+yxTi2-xSiy3-y12(ここでMはAl、Ga、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)、Li1+(4-n)xTi2-x(PO43(Mは1価または2価の陽イオン)、などが挙げられる。
電極2(2a、2b)には、電子伝導助剤が添加される。電子伝導助剤としては、例えば酸化物としてSnO2やIn23、TiO2-x、ZnO、Fe34、ReO3、MoO2、RuO2、VO、WO2、また炭素材料としてカーボンブラックや黒鉛などが挙げられるが、安定した低抵抗率を得るためには、RuO2、Sb23をドープしたSnO2、またはSnO2をドープしたIn23のうちのいずれか一種以上を含むことが望ましい。また、電子伝導助剤としての添加量は、酸化物を用いる場合、活物質に対して10〜50wt%であることが望ましい。電子伝導助剤がこれらの添加量よりも少ない場合、電子伝導性の付与が十分でなく、これらの添加量よりも多い場合、電子伝導は確保できるものの、電子伝導助剤が電極活物質間に介在し、リチウムイオンの伝導を阻害する可能性があり好ましくない。
電極2(2a、2b)の作製方法としては、正極および負極活物質粉末と、必要であれば、電子伝導助剤粉末をあらかじめ混合してシラン化合物に分散させた後、80〜150℃の条件で乾燥させることにより、シラン中のメチル基もしくはエチル基がアルコールとして蒸発して乾燥した混合粉末が得られる。得られた混合粉末は、水もしくは溶媒と成型用助剤と共にスラリーを調整し、このスラリーを基材フィルム上に塗布して乾燥させた後に裁断したものを熱処理する。もしくは、得られた混合粉末を直接あるいは造粒して金型に投入してプレス機で加圧成形した後に熱処理する。
もしくは、造粒した混合粉末をロールプレス機で加圧成形してシート状に加工した後、そのシートを裁断して熱処理する方法などが挙げられる。
ここで使用可能な成形助剤としては、一般的なセラミックスの造粒用の有機バインダーを用いることができる。
また、基材フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、テトラフルオロエチレンなどの樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス、銅などの金属箔が使用可能である。
固体電解質3の作製方法としては、電極2(2a、2b)と同じ方法で作製される。固体電解質の熱処理の温度は、組成および粉末の粒径にも依存するが、概ね800℃〜1200℃であることが望ましい。
また、電極2(2a、2b)および固体電解質3は、単独で熱処理するだけでなく、焼結させた固体電解質3を生成形体の正極2aおよび負極2bで挟持した状態で積層した後に処理する方法でも構わない。
正極2a−固体電解質3−負極2bを作製する熱処理の方法としては、常圧による熱処理、加圧を伴う熱処理が挙げられる。特に加圧による熱処理は、電極活物質の充填率が向上し、粒子の接触面積が大きくなることに伴い、リチウムイオンの伝導経路がより広く確保でき、電池の内部抵抗を低減することができる。
ここで、熱処理の温度としては、300〜650℃が適切であり、加圧を行なう場合、3〜30MPaが適切である。
本発明が適用される固体電解質電池は、一次電池であっても二次電池であってもよい。電池形状は円筒型、角型、ボタン型、コイン型および扁平型などに限定されるものではない。
[実施例1]水酸化リチウムと二酸化マンガンをLiとMnのモル比が1.1:1.9となるように混合し、この混合物を大気中の650℃で15時間加熱焼成することによってリチウムマンガン複合酸化物(Li 1.1 Mn 1.9 )を合成し、これを正極活物質とした。次に水酸化リチウムと二酸化マンガンをLiとMnのモル比が4:5となるように混合し、この混合物を大気中の600℃で15時間加熱焼成することによってリチウムマンガン複合酸化物(LiMn12)を合成し、これを負極活物質とした。
得られた活物質を電子伝導助剤であるRuO2と共にテトラメトキシシランに分散させ、120℃の温度で約3時間乾燥して混合粉末を得た。このときの活物質粉末、RuO2、テトラメトキシシランの混合比は重量比で1:1:2とした。
得られた混合粉末を各々成形助剤を溶解させた溶剤に分散させてスラリーを調整した。次いでこのスラリーをドクターブレード法でグリーンテープ状に成形し、さらにこのグリーンテープを25mm×25mmのサイズに裁断し、電極の生成形体を得た。このときの厚みは約60μmであった。
固体電解質3としては、主結晶相がLi1+x+yAlxTi2-xSiy3-y12で表わせられる結晶質の固体電解質を用いた。粉末状の固体電解質を成形用助剤を溶解させた溶剤に分散させスラリーを調整した。このスラリーをドクターブレード法でグリーンテープ状に成形し、固体電解質の生成形体を得た。このときの厚みは約60μmであった。さらにこのグリーンテープを35mm×35mmのサイズに裁断し、1250℃の温度で2時間焼成して固体電解質3の焼結体を得た。このときの焼結体の厚みは約46μmであり、29mm×29mmのサイズであった。
ついで、先に得られた正極および負極の生成形体で固体電解質の焼結体を挟持する形で積層して加圧熱処理を行い、正極2a−固体電解質3−負極2bの積層体を得た。加圧熱処理は、350℃の温度で3時間の脱バインダーを行った後、600℃の温度で20分、加圧荷重50MPaで行った。このときの積層体の厚みは約130μmであり、厚み方向のみの収縮が確認された。
積層体の正極2aに正極集電体4を接合すると共に、同様に負極2bに負極集電体5を接合してパッケージ1のアルミ製ラミネートに装着した。アルミ製ラミネートは35mm×35mmのサイズに切断したものを2枚準備し、集電体を接合した積層体を挟んでアルミ製ラミネートの外周部を熱圧着することで、図1に示した35mm×35mmの角型固体電解質電池を組み立てた。
[比較例1]正極活物質および負極活物質の合成は実施例1と同様に行なった。
電極の形成は以下の手順で行った。先に得られた正極および負極活物質とカーボンブラックをポリフッ化ビニリデンを溶解させたN−メチル−2−ピロリドンに各々分散させてスラリーを調整した。このとき、電極活物質、カーボンブラックおよびポリフッ化ビニリデンの混合比は重量比で85:12:7とした。
得られたスラリーをドクターブレード法でアルミ箔上に塗付して、N−メチル−2−ピロリドンを除去することで正極および負極の電極を得た。更に得られた電極活物質の紛体充填率を向上させる目的でロール加圧し、さらに得られた電極シートを25mm×25mmのサイズに裁断して電極を得た。得られた電極の厚みは各々40μmであった。
固体電解質は、電極と同様に、ポリフッ化ビニリデンを溶解させたN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリーを調整した。このとき、固体電解質とポリフッ化ビニリデンの混合比は重量比で93:7とした。
得られたスラリーを先に得られた正極上に塗付して、N−メチル−2−ピロリドンを除去することで正極−固体電解質の積層体を得た。さらに、この積層体の固体電解質側に、先に得られた負極を重ね、密着性を向上させる目的で160℃の温度で加圧した。このときの加圧荷重は80MPaとした。得られた正極−固体電解質−負極の積層体の厚みは、集電体となるアルミ箔の厚みを除くと105μmであった。
得られた積層体を用いて実施例1と同様にして角型の固体電解質電池を組み立てた。
[比較例2]正極活物質および負極活物質の合成は実施例1と同様に行なった。
電極の形成は以下の手順で行った。先に得られた正極および負極活物質と焼成助剤としてB23−SiO2−Li2O−ZnO2−Al23の組成で表わされる低融点ガラス(ガラス転移点約480℃)粉末とさらに電子伝導剤としてRuO2と共に、成形用助剤を溶解させた溶剤に分散させてスラリーを調整した。このとき、電極活物質、低融点ガラス、RuO2の混合比は、重量比で60:10:30とした。このスラリーをドクターブレード法でグリーンテープ状に成形した。
このときの厚みは約65μmであった。さらにこのグリーンテープを35mm×35mmのサイズに裁断して正極および負極の生成形体を得た。
また、固体電解質の焼結体の作製は実施例1と同様に行なった。ついで、先に得られた正極および負極の生成形体で固体電解質の焼結体を挟持する形で積層して熱処理を行い、正極2a−固体電解質3−負極2bの積層体を得た。熱処理は、350℃の温度で3時間の脱バインダーを行った後、580℃の温度で30分行い、正極−固体電解質−負極の積層体を得た。このときの積層体の厚みは約125μmであった。
得られた積層体を用いて実施例1と同様にして角型の固体電解質電池を組み立てた。
(評価)かくして得られた角型固体電解質電池を用いて、充放電装置により、充電条件として100μA/cm2、200μA/cm2、500μA/cm2の電流で前述の角型固体電解質電池に1.5Vまで充電を行い、電圧が1.5Vに到達後、充電を停止して5分間保持し、その後0.5Vの電圧まで充電時と同じ電流で放電し、次に再度1.5Vまで充電し、この電圧に到達後、充電を停止して5分間保持する充放電サイクル評価を行った。
その結果を表1に示す。なお、表中の数字は各放電電流に対する放電容量を示し、単位はmAhである。
以上のことから、本発明のリチウム電池は、充放電特性に優れていることがわかる。特に放電電流が大きくなっても放電容量の低下が小さいことが顕著である。
これは、正極および負極活物質の空隙にシロキサン結合を主骨格とする化合物を介在させることにより、電極と固体電解質の接合を可能とし、さらに界面の抵抗が低減されたためと考えられる。さらに、本発明によれば、熱処理の過程においてシロキサン結合を形成するため、電極活物質との反応が起こりにくく、電極活物質本来の特性を保ちつつ電極活物質粉末の接合および電極と固体電解質の接合を行なっていると考えられる。
1・・・パッケージ
2・・・一対の電極
2a・・・正極
2b・・・負極
3・・・固体電解質層
4・・・正極集電体
5・・・負極集電体

Claims (3)

  1. 主として活物質から成る正負一対の電極間に固体電解質を配設したリチウム電池において、
    前記電極が、シラン化合物を熱処理することにより形成された、シロキサン結合を主骨格とする無機化合物であるシリコン化合物を含有するとともに、前記電極の少なくとも一方は、RuO、SnOおよびInのうちのいずれか一種以上を含み、
    前記固体電解質が、リチウムイオン伝導性結晶化ガラスを主成分とするものであることを特徴とするリチウム電池。
  2. 前記RuO、SnOおよびInのうちのいずれか一種以上が、前記シリコン化合物中に分散されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池。
  3. 前記固体電解質は、前記リチウムイオン伝導性結晶化ガラスの焼結体からなることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム電池。
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