JP5130735B2 - 石英ガラス成形品の製造方法および石英ガラス成形品 - Google Patents

石英ガラス成形品の製造方法および石英ガラス成形品 Download PDF

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Description

本発明は、石英ガラス成形品の製造方法、および、該方法で得られる石英ガラス成形品に関する。
従来から、紫外線透過用の光学材料として、高純度石英ガラスが用いられている。
一方、近年においては、半導体製造技術の進展と共に、光洗浄や光エッチング等において、KrFからArF、更に、FレーザーやXe エキシマランプといった、短波長光源が使用される方向にある。
特に、157nmのFレーザーや、150nm付近から発光スペクトルの立ち上がるXe エキシマランプ用に石英ガラスを使用する場合には、Si−Oバンドギャップに起因する石英ガラスの紫外吸収端の精緻な制御と、163nmに吸収ピークを有するSi−Si型の酸素欠乏欠陥の制御が要求される。
フッ素添加石英ガラスは、フッ素が添加されていない石英ガラスよりも紫外吸収端が短波長側に制御されることが知られており、FレーザーやXe エキシマランプのように、石英ガラスの紫外吸収端の制御が重要となる光源に対する光学材料として注目されている。
このような紫外線透過特性を有する石英ガラスとその製造方法が、特許文献1に開示されている。
特開2005−306650号公報
しかしながら、これら特許文献に開示された方法によりフッ素含有石英ガラスの成形品を製造すると、ガラスの粘性が高くなるために加工速度が上がらないという問題が生じる。また、ガラスの粘性が高く、成形加工時に過度の力を加えることになるため、成形加工後のガラス内に大きな歪が残留し、冷却時や使用中にガラスが割れ易い等の問題があった。
このため、従来においては、成形加工後のガラス内に過度の歪が残留しないような加工速度で加熱成形加工を行うため生産効率が極めて緩慢であるという問題があり、場合によっては製造自体が非現実的であった。
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、優れた紫外線透過特性を有する合成石英ガラス成形品を、高い生産効率をもって製造することができる新規な方法を提供することにある。また、本発明は、本発明による高い生産効率を有する製造方法により製造される、紫外吸収端と酸素欠乏欠陥が制御された新規な合成石英ガラス成形品を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者等は鋭意研究を続け、以下の点に着目して本発明を完成するに至った。
一般に、石英ガラス成形品を得るための石英ガラス母材は大型であり、所望の最終形状に加工するために、加熱成形加工工程が必要となる
ガラスの組成が、Si、Oを主成分としこれに微量の添加剤等が含まれるだけの高純度石英ガラスを加熱成形する際には、通常1500℃以上、更には1700℃以上の高温条件下で加熱成形加工を行う。特に、加熱成形加工工程で熱源として多用する炭素系の炉を用いる場合には、加工雰囲気が強い還元雰囲気となるため、SiOのネットワークからO原子が脱離してSi−Si酸素欠乏欠陥が生じやすい。また酸水素火炎を用いて加工する場合も同様に、酸素欠乏欠陥が生じる。
本発明者等は、加熱成形加工工程時に生成する酸素欠乏欠陥がガラス表層部に集中することに着目し、高温下では酸素欠乏欠陥と酸素分子が反応してSi−O−Siというシリカガラスのネットワークに復元できるという新たな知見を得て、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る石英ガラス成形品の製造方法は、
加熱成形加工により石英ガラス母材を加熱溶融させて得た石英ガラス成形品を、酸素含有雰囲気下で、且つ石英ガラスが実質的に変形しない温度下で加熱処理し、石英ガラス表層に生じた酸素欠乏欠陥を修復する酸素処理工程と、
前記酸素処理された石英ガラス成形品を、酸素を含有しない雰囲気下で、且つ石英ガラスが実質的に変形しない温度下で加熱処理し、余分な酸素を除去する酸素除去工程と、
を有することを特徴とする。
本発明において、加熱成形加工により加熱溶融される前の石英ガラス母材は、Si−Si型の酸素欠乏欠陥に起因する163nmの吸収ピークが存在しないものであることが好ましい。また、該石英ガラス母材は、気相合成により加熱透明化されたものであることが好ましい。
また、本発明は、石英ガラス母材を加熱溶融させて石英ガラス成形品を得る加熱成形加工工程を含む場合と含まない場合の双方を包含するものである。
このような方法によれば、加熱成形加工によりガラス表層部においてSi−Si型の酸素欠乏欠陥が生じたとしても、酸素処理工程において酸素欠乏欠陥と酸素分子が反応し、Si−O−Siというシリカガラスのネットワークに復元させることができる。さらに、酸素除去工程において余分な酸素を除去することが出来る。
よって、石英ガラスによる優れた紫外線透過特性を有する成形品、詳しくは、Si−Si型の酸素欠乏欠陥に起因する163nmの吸収ピークが実質的に存在せず、且つ、溶存酸素分子によって生じる190nm以下の吸収損失が存在しない石英ガラス成形品を、効率よく製造することが可能になる。
ところで、石英ガラス中における酸素分子の拡散速度は非常に緩慢なため、前記酸素処理工程、前記酸素除去工程において、高温条件下で夫々の処理を行うことが好ましい。
具体的には、酸素処理工程、酸素除去工程における温度の下限が800℃未満であると、石英ガラスへの酸素浸透、石英ガラスからの酸素除去に多大な時間を要し、生産効率が大幅に低下するため現実的ではない。
一方、酸素処理工程および酸素除去工程における温度上限は、それぞれの工程において石英ガラス成形品が変形しないような温度領域の上限温度で与えられる。石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となる温度領域であれば、石英ガラス成形品の変形は実質的に無視できる。例えば、フッ素(F)を0.5〜2.5wt%含有する石英ガラスの場合には1250℃程度が、F、OHを殆ど含有しない純石英ガラスの場合には1450℃程度が、処理温度の上限となる。
よって、酸素処理工程および酸素除去工程における温度は、800℃以上で、且つ石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となる温度であると良い。
このような条件で酸素処理工程を行うことで、石英ガラス内に酸素分子を効果的に浸透させることが可能となる。また、酸素除去工程においては、熱による酸素欠乏欠陥を新たに生成させずに、石英ガラス内に浸透した酸素分子を効果的に除去することが可能となる。したがって、より高い生産効率をもって所期の目的を達成することが可能になる。
尚、処理温度の上限は、石英ガラス成形品の形状や加熱処理の際の保持方法などにも依存するため、得ようとする石英ガラス成形品に応じて該成形品が変形しない範囲で実験的に決定する。
本発明において、加熱成形加工前の石英ガラス母材として、フッ素添加石英ガラスを用いることが好ましい。このような石英ガラス母材を用いることにより、前述した紫外線透過特性効果に加え、フッ素が添加されていない石英ガラスよりも紫外吸収端が短波長側に制御された石英ガラス成形品を得ることができる。
本発明の方法で製造された石英ガラス成形品は、フッ素が添加されていない石英ガラスよりも紫外吸収端が短波長側に制御され、163nmに実質的な吸収ピークが存在しない、150−380nmの広範囲における透過特性に優れた石英ガラス成形品として提供することができる。
以上説明したように、本発明に係る製造方法によれば、石英ガラス母材を加熱溶融させて得た石英ガラス成形品に対し、酸素処理工程において、Si−Si型の酸素欠乏欠陥をSi−O−Siシリカガラスのネットワークに復元させ、さらに、酸素除去工程において、余分な酸素分子を除去するので、優れた紫外線透過特性を有する石英ガラス成形品を、効率よく製造することが出来る。また、フッ素添加石英ガラスを母材として用いた場合、紫外吸収端と酸素欠乏欠陥の双方が制御された石英ガラス成形品を、効率よく製造することが出来る。
また、本発明に係る石英ガラス成形品は、高い生産効率をもって製造可能であって、紫外吸収端と酸素欠乏欠陥の双方を制御し得る、優れた紫外線透過特性を発揮することができる。
よって、例えば、FレーザーやXe エキシマランプなどの紫外線透過用材料としての使用に適した石英ガラス成形品を低コストで提供し得、半導体製造技術の発展などに多大な貢献をもたらすなど、多くの効果を奏する。
以下、本発明の実施形態例について説明する。
本例においては、石英ガラス母材の製造工程と、この石英ガラス母材から石英ガラス成形品を得る加熱成形加工工程と、その石英ガラス成形品を所定の条件下で加熱処理する酸素処理工程と、該酸素処理された石英ガラス成形品を所定の条件下で加熱処理する酸素除去工程と、を経て石英ガラス成形品を製造する場合について説明する。
(石英ガラス母材の製造工程)
まず、SiCl、シロキサン等を火炎中で加水分解するスート法を用いてガラス微粒子堆積体を製造する。このガラス微粒子堆積体を均熱炉に挿入し、非還元性雰囲気下で加熱透明化して石英ガラス体を得る。フッ素添加石英ガラスを製造する場合には、均熱炉内をSiF含有雰囲気下としてガラス微粒子堆積体のフッ素(F)添加処理と透明化を行い、フッ素添加石英ガラス母材を得る。均熱炉内におけるSiF濃度、加熱条件等は、石英ガラス母材において所望のF添加量が得られるよう、適宜濃度、適宜温度に調整する。
(加熱成形加工工程)
このようにして得られた石英ガラス母材を加熱溶融させて、所望の形状に加熱成形する。例えば薄肉の石英ガラス管に加工する場合には、石英ガラス母材を機械的に穿孔したもの、またはターゲットロッドの外周にガラス微粒子を堆積させたガラス微粒子堆積体を加熱透明化するなどにより、もともと孔が開いている石英ガラスパイプ母材を加熱溶解し延伸することにより薄肉に加熱成形加工を施す。加熱成形加工工程は、炭素系の炉心管を有する装置で実施することができる。また必要に応じて、酸水素火炎やプラズマ火炎による成形加工を施しても良い。
(酸素処理工程)
加熱成形加工工程で得られた石英ガラス成形品を、石英製の炉心管を有する加熱炉内に保持する。炉心管内部には酸素含有ガスを流通させる。
酸素処理工程における処理時間は、石英ガラス表層部に存在する酸素欠乏欠陥の存在量、ガラス表面からの深さ方向における酸素欠乏欠陥の濃度分布、及び酸素分子の浸透量に基づいて決定する。これも、得ようとする石英ガラス成形品に応じて実験的に決定する。
(酸素除去工程)
酸素分子はおよそ190nm以下の紫外光を吸収する。したがって、このような波長領域で使用する場合には、酸素分子による紫外光の吸収を抑制するために、酸素処理工程で石英ガラス中に浸透したが酸素欠乏欠陥の除去に寄与しなかった余剰溶存酸素分子は除去する必要がある。溶存酸素分子によって透過率が実質的に低下しないようにするためには、溶存酸素の影響を90%程度まで除去することが好ましい。
その為に、前記した酸素処理工程が終了したら、炉心管内へ導入していたガスを酸素含有雰囲気からNに切り替える。雰囲気ガスは不活性ガスならばよく、N以外にHeやArを用いてもよい。不活性ガスは流通雰囲気として、石英ガラス内から脱離してきた酸素を炉外に放出する。真空中にて加熱しても酸素除去は可能である。
石英ガラス内における酸素分子の除去速度は非常に緩慢であるため、処理温度は高温である程好ましく、処理温度は800℃以上とする。処理温度の上限は酸素処理工程と同様の理由により決定され、石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となる温度とすることが好ましい。更に、処理温度の上限は石英ガラス成形品の形状や加熱処理の際の保持方法などにも依存するため、得ようとする石英ガラス成形品に応じて該成形品が変形しない範囲で処理温度を実験的に決定する点も、酸素処理工程と同様である。
処理時間は、前記酸素処理工程で石英ガラスに浸透した酸素分子の除去の進行度によって決定する。例えば、酸素処理工程と同程度の時間に設定する。
酸素除去工程終了時には、温度降下速度を制御することで、石英ガラス成形品の仮想温度を制御することも可能である。仮想温度の制御により、石英ガラスの紫外吸収端における透過特性をより精緻に制御することが可能になる。具体的には、温度降下速度を遅くすることが好ましい。
以下、より具体的な実施例に基づき本発明について詳述する。
(実施例1)
まず、SiClを火炎中で加水分解するスート法でガラス微粒子堆積体を製造し、このガラス微粒子堆積体をSiF含有雰囲気下で加熱、透明化して、フッ素添加石英ガラス母材を得た。得られた石英ガラス母材サンプルのOH濃度は1wtppm以下、F濃度は13000wtppmであった。またスート法では、高純度の原料を使用することで高純度の石英ガラスが得られる。前記石英ガラス母材サンプルの金属不純物濃度は、ICP−質量分析により評価したところ、Al,Ca,Fe,Cu,Ni,Cr,Mg,Mn,Co,Ti,Na,K,LiおよびZnそれぞれの濃度が5wtppb以下であった。
この石英ガラス母材を製管加工し、その後に延伸して、所定の内外径を有する管状の石英ガラス成形品サンプルを得た。延伸加工は、炭素系の炉心管を有する加熱炉を用い、石英ガラスの粘性が十分に下がり高い生産速度を実現できる1800−2000℃で実施した。
図1に、前記した石英ガラス母材サンプルと石英ガラス成形品サンプルの140−200nmにおける、厚み2mmとした場合の透過率(%)を示す。これによれば、加熱成形工程を経た石英ガラス成形品サンプルにおいて、163nmに吸収ピークが生成したことがわかる。すなわち、加熱成形加工前の石英ガラスには存在していなかった酸素欠乏欠陥が、加熱成形工程において生成したことを示す。
次に、得られた管状の石英ガラス成形品サンプルを、フッ酸水溶液により表層約0.025mmをエッチング除去し、その後に透過率測定を行うことを繰り返すことで、該石英ガラス成形品サンプルにおける表層部の酸素欠乏欠陥の濃度分布を測定した。結果を図2に示す。これにより、Si−Si型の酸素欠乏欠陥は、石英ガラス成形品サンプルの表層から約0.2mm程度の深さに局在していることが確認できた。
石英ガラス内における酸素の拡散係数は文献で開示されている(文献:Journal of Applied Physics 98, 013529 (2005), Koichi Kajihara, et al)。ヘリウムや水素に比べると拡散係数は非常に小さいが、図2に示したように酸素欠乏欠陥が石英ガラス成形品の表層部に局在していることから、現実的な時間での加熱処理により酸素欠乏欠陥の修復が可能となる。酸素処理工程、酸素除去工程における好適な処理条件は、該酸素の拡散係数、酸素欠乏欠陥と酸素分子存在量、酸素欠乏欠陥と酸素分子の反応速度などの各条件によって決定される。
加熱処理条件の一例を図3に示す。本図に示す加熱処理では、加熱炉を待機温度の800℃に保持した状態で石英ガラス成形品サンプル炉内に導入し、酸素濃度100%雰囲気とした後に温度を1000℃まで昇温し、この状態を5時間保持して酸素処理するという酸素処理工程を実施する。続く酸素除去工程においては、窒素100%雰囲気下、1000℃×5時間で酸素処理を行い、所定の降下速度をもって温度を降下させた後、加熱炉から成形品を取り出す。
このような加熱処理を処理温度のみを変化させて実施することで、各工程の好適な処理条件を明らかにすることができる。
(実施例2)
該石英ガラス成形品サンプルは前記したように、Si−Si型の酸素欠乏欠陥による163nm吸収が存在するもので、この石英ガラス成形品サンプルに対し、酸素濃度を100%、処理時間を5時間に固定し、処理温度を700℃、800℃、900℃、1000℃に変化させて酸素処理工程を行った。酸素処理後の各サンプルに対し、同一条件で酸素除去処理を施した後の石英ガラス成形品について、紫外透過率を測定した。結果を図4に示す。処理温度を高くするに従って、163nmの吸収が減少していることが確認できた。
この実験結果に基づき、酸素処理工程における前記各処理温度での163nm吸収の回復率を求めた。結果を図5に示す。
これによれば、処理温度が700℃では163nm吸収の回復は殆ど見られず、163nm吸収を酸素処理工程で効率よく回復させるためには、少なくとも800℃以上の温度が必要であることが確認できた。つまり、酸素処理工程の処理温度は高温である程好ましく、より具体的には800℃以上であることが好適であることがわかる。
尚、処理温度の上限は石英ガラスが実質的に変形しない温度であって、該温度は前述したように、石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となるような温度として規定することができる。
(実施例3)
次に、酸素除去工程における好適な条件について考える。定性的には、酸素除去工程の好適な条件は、「酸素処理工程において酸素分子が石英ガラス中へ拡散する以上に、酸素分子が拡散することのできる条件」であり、このような条件とすることで、酸素処理工程により侵入した溶存酸素分子の大部分を除去することが可能となる。よって、酸素除去工程における好適な条件は酸素処理工程と同様に、処理温度の好適な範囲は、800℃以上、処理する石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となるような温度以下となる。
より具体的には、石英ガラス成形品における透過率の、酸素除去工程前後の変化を検討することにより好適な処理温度及び処理時間を見出すことが可能である。本検討は解析的に行った。すなわち、石英ガラス中の溶存酸素の吸収断面積は前記文献で開示されている。この開示情報と図1に示したF添加石英ガラス母材の透過率より、溶存酸素分子が存在する状態における石英ガラスの透過率、及び溶存酸素分子による吸収スペクトルを計算することができる。一方で溶存酸素分子の分布は、前述した酸素分子の拡散係数に基づいて計算可能であることから、酸素除去工程における石英ガラス中の酸素分子の拡散を計算することにより、酸素除去工程における石英ガラス中の酸素分子の拡散を計算することにより、酸素除去工程において残留する溶存酸素分子に起因する吸収を数値的に求めた。
図6は、実施例1のフッ素添加石英ガラスを酸素濃度100%、処理温度1000℃、処理時間3時間、6時間、10時間の各条件で酸素処理した際の透過率である、図7は、図6の条件で酸素処理した後に酸素濃度0%(窒素100%)及び処理温度1000℃に固定し、処理時間のみ変化させた場合における、ガラス内に残留する溶存酸素分子に起因する吸収スペクトルの変化を示すものである。
この結果から、酸素除去工程における処理時間を、酸素処理工程と同条件とした場合に、溶存酸素の影響を90%まで除去し得ることが確認できた。つまり、酸素処理工程と酸素除去工程の処理温度が等しく、酸素除去工程の処理時間は、酸素処理工程の処理時間と同等以上とするのが良いことが分かる。
尚、酸素処理工程と酸素除去工程において、処理温度を変化させる場合も、石英ガラスに対する酸素分子の拡散侵入量を検討し、数値化することができる。
(実施例4)
前述した石英ガラス成形品サンプルを用いて、酸素処理工程と酸素除去工程を行う前後の透過率の変化を測定した。結果を図8に示す。
処理条件は、酸素処理工程では、温度1000℃ × O:100%雰囲気 × 10時間とし、酸素除去工程では、温度1000℃ × N:100%雰囲気 × 10時間とした。
この結果から、酸素処理工程と酸素除去工程を行った石英ガラス成形品において、163nmの吸収ピークが実質的に存在せず、且つ、200nm以下の吸収損失が存在しないことが確認できた。
(実施例5)
本発明の石英ガラス成形品の製造方法は、フッ素を添加しない石英ガラスに対しても有効である。図9には、実施例1と同様の製管、延伸加工を施す前後の石英ガラス成形品の透過率を示すものである。加熱成形加工によって酸素欠乏欠陥による吸収が163nmに発生する。図10は、この石英ガラス成形品の、実施例4と同様の加熱処理前後における透過率を示すものである。本発明の加熱処理を施すことにより、酸素欠乏欠陥による吸収損失を除去することが示される。
以上、本発明に係る実施形態例および実施例について説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
加熱成形加工前後のフッ素添加石英ガラスにおける140−200nmの透過率を示すグラフ。 加熱成形加工後のフッ素添加石英ガラスの表層部をエッチング除去した際の透過率の変化を示すグラフ。 酸素処理工程と酸素除去工程における加熱温度と時間の一例を示すグラフ。 酸素処理工程における各処理温度での163nm吸収の回復を示すグラフ。 酸素処理工程における各処理温度での163nm吸収の回復率を示すグラフ。 酸素除去工程の処理時間を変化させた場合における透過率の変化を示すグラフ。 窒素濃度100%、1000℃で酸素除去工程を行った場合の156nm近傍における透過率の回復量の酸素除去工程処理時間の依存性を示すグラフ。 加熱成形加工後のフッ素添加石英ガラスに対して酸素処理及び酸素除去を行う前後の透過率の変化を示すグラフ。 加熱成形加工前後のフッ素を含有しない石英ガラスにおける140−200nmの透過率を示すグラフ。 加熱成形加工後のフッ素を含有しない石英ガラスに対して酸素処理及び酸素除去を行う前後の透過率の変化を示すグラフ。

Claims (6)

  1. 加熱成形加工により石英ガラス母材を加熱溶融させて得た石英ガラス成形品を、酸素含有雰囲気下で、且つ石英ガラスが実質的に変形しない温度下で加熱処理し、石英ガラス表層に生じた酸素欠乏欠陥を修復する酸素処理工程と、
    前記酸素処理された石英ガラス成形品を、酸素を含有しない雰囲気下で、且つ石英ガラスが実質的に変形しない温度下で加熱処理し、余分な酸素分子を除去する酸素除去工程と、
    を有することを特徴とする石英ガラス成形品の製造方法。
  2. 前記酸素処理工程の温度が、800℃以上で、且つ石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となる温度であることを特徴とする請求項1記載の石英ガラス成形品の製造方法。
  3. 前記酸素除去工程の温度が、800℃以上で、且つ石英ガラスの粘度が1011Pa・s以上となる温度であることを特徴とする請求項1記載の石英ガラス成形品の製造方法。
  4. 前記加熱成形加工前の石英ガラス母材が、実質的に酸素欠乏欠陥を持たないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の石英ガラス成形品の製造方法。
  5. 前記加熱成形加工前の石英ガラス母材として、フッ素添加石英ガラスを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の石英ガラス成形品の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか記載の方法で製造された石英ガラス成形品であって、163nmに吸収ピークを実質的に有さない石英ガラス成形品。
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