JP6789011B2 - 紫外線led用石英ガラス部材の製造方法 - Google Patents
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Description
(成形工程)
平均粒径1.0μm((株)アドマテックス製アドマファインSO−E3)と平均粒径2.0μm((株)アドマテックス製アドマファインSO−E5)を重量比1:1で混合した混合粉79重量部と7.8%メチルセルロース(信越化学工業(株)製メトローズSM−4000)水溶液20重量部、1重量部の潤滑剤(日油(株)製ユニルーブ50MB−2)を混合した後、3本ロールミルで混練し、真空押出成形機を用いて脱泡を行い、0.1MPaの減圧下、混練押出を行った。
脱泡処理を施したシリカ粉およびバインダーの混合物を金属型内に120MPaの加圧で射出成形し、所定の形状を有する成形体を得た。ここで、金属型に関して、面内の面粗度はRa値で0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下で仕上られていることが必要である。
このようにして作成した成形体をクリーン度10,000程度の清浄な雰囲気で室温にて12時間程度風乾した。
乾燥後の成形体を底部が平坦な石英ガラス容器に入れ、容器ごと石英ガラス製の炉芯管を有する横型管状炉内で雰囲気・温度を変えて熱処理を施した。熱処理工程では下記(a)〜(c)の工程を行った。
炉内温度を室温から20℃/分の昇温速度にて800℃まで昇温し保持した。昇温時の雰囲気は窒素100%である。800℃に炉内温度が安定した後、窒素を停止し、酸素を100%で流しつつ1時間保持した。これにより成形体に含まれるメトローズ等の有機物を完全に酸化除去した。
酸素雰囲気による脱脂処理終了後、酸素を窒素100%に切り替え、再び昇温速度20℃/分にて炉内温度を1,200℃まで昇温し保持した。窒素を100%塩化水素に切り替え、1時間塩化水素による純化処理を行った。純化処理により石英ガラス中のアルカリ金属、銅、鉄等の金属不純物濃度が低減される。一方で塩化水素は石英ガラス中のSi−OHと反応してSi−Cl結合を生成するため、純化処理後の成形体はそのままガラス化すると2Si−Cl⇒Si=Si+Cl2の反応が生じる。Si=Si結合は酸素欠乏欠陥と呼ばれる構造欠陥で波長約250nmに吸収を持つと同時に紫外線に対する耐性が非常に弱く、本発明の目的に適さないため、これを治癒する必要が生じる。
純化処理後、雰囲気ガスである塩化水素を窒素100%に切り替え、20℃/分の降温速度で1,050℃まで降温し保持した。窒素を酸素100%に切り替え、1時間酸素による石英ガラス中の酸素欠乏欠陥の修復処理を行った。処理後、酸素を窒素100%に切り替え、室温まで冷却し取り出した。
取り出した成形体は平滑なカーボン板上に並べ、真空炉中に設置した。真空チャンバー内を真空度1×10−2Paに排気後、20℃/分の昇温速度で1,650℃まで昇温し、1,650℃に到達後窒素により真空破壊して0.1MPaに加圧しつつ10分間保持し、その後通電を切り炉冷した。10時間後に取出し、目的とする紫外線LED用石英ガラス部材を得た。
各物性値は次の測定方法に従った。
(1)Al濃度
得られた石英ガラス部材をフッ化水素酸にて分解し、ICP発光分光分析法により測定を行った。
(2)外観
得られた石英ガラス部材を目視により観察を行った。透明な石英ガラスの場合には「良好」、結晶化(失透)により不透明となったものは「結晶化」、目視にて確認可能な泡が含有しているものは「泡」とした。
(3)波長250nmの吸収
20×20×2mmの平板を作成し、UV−VIS分光光度計にて波長200nmから400nmの範囲において測定を行い、波長250nmの吸収の有無を確認した。波長250nmの吸収がないものには「なし」、吸収があるものには「あり」、結晶化して測定ができなかったものは「測定不能」とした。
各種条件および測定結果については、表1にまとめて示した。実施例1で得られた紫外線LED用石英ガラス部材の波長200nmから400nmにおける透過率測定結果を図1に示す。
酸素欠乏欠陥の修復処理の温度を1,050℃とし、30℃に保持した純水を酸素をキャリアとしたバブリング法にて水蒸気を含む雰囲気とした以外は実施例1と同様に行い紫外線LED用石英ガラス部材を得た。
実施例1で得た紫外線LED用石英ガラス部材に対して、400℃、0.8MPの水素雰囲気中にて水素処理(水素雰囲気による加熱処理)を行い、ガラス中に水素分子を導入した。このようにして、紫外線LED用石英ガラス部材を得た。
平均粒径0.25μm((株)アドマテックス製アドマファインSO−E1)、平均粒径1.0μm((株)アドマテックス製アドマファインSO−E3)、平均粒径2.0μm((株)アドマテックス製アドマファインSO−E5)を重量比1:1:2で混合した混合粉を原料としたこと以外は実施例1と同様の処理を行い紫外線LED用石英ガラス部材を得た。
酸素欠乏欠陥の修復を促す工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、石英ガラス部材を得た。比較例1で得られた石英ガラス部材の波長200nmから400nmにおける透過率測定結果を図2に示した。
熱処理工程における脱脂工程の脱脂温度を1,100℃とした以外は実施例1と同様に処理を行った。熱処理工程後の状態が実施例1のサンプルと特に変わらなかったため、ガラス化を行ったが、結晶化により不透明となってしまった。
熱処理工程における純化工程の純化温度を1,350℃としたこと以外は実施例1と同様に処理を行った。熱処理工程後の焼結体の体積が若干収縮していたが、そのままガラス化を行ったところ、非常に微細な泡が多数混入してしまった。
熱処理工程における酸素欠乏欠陥の修復を促す工程の酸素欠陥修復温度を1,200℃にしたこと以外は実施例1と同様に処理を行った。熱処理後の状態が実施例1のサンプルと特に変わらなかったため、ガラス化を行ったが、結晶化により不透明となってしまった。
比較例1で得たガラス部材を酸素雰囲気にて1,100℃、10時間保持した。得られたサンプルの透過率を測定したところ、波長250nmの吸収は若干改善していたが、熱処理による汚染の影響で200nmから400nmの全域の透過率が低下してしまった。
Claims (6)
- シリカ粉とバインダー成分を混合し、成形して所定形状の成形体を得る成形工程、
前記成形体を各種ガスにより加熱処理を行う熱処理工程、及び
前記熱処理工程後、熱処理された成形体を透明ガラス化するガラス化工程、
を含む紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法であって、
前記熱処理工程が、
酸素を含む雰囲気による1,000℃以下での有機物の脱脂工程、
前記脱脂工程後、塩化水素を含む雰囲気による1,200℃以下での金属不純物の純化工程、及び
前記純化工程後、酸化性雰囲気による950℃以上1,100℃以下での波長約250nmの酸素欠乏欠陥の修復を促す工程、
であり、
前記紫外線LEDが放出する紫外線の波長が200nm〜400nmである、紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法。 - 前記成形工程が金型による成形工程である、請求項1に記載の紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法。
- 前記酸化性雰囲気が酸素及び/または水蒸気を含む雰囲気である、請求項1又は2記載の紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法。
- 前記ガラス化工程が1,700℃以下で行われる、請求項1〜3のいずれか1項記載の紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法。
- 前記シリカ粉に少なくとも1種類以上の球状シリカを含み、シリカ粉のAl濃度が70ppm以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法。
- 前記ガラス化工程後に水素雰囲気による加熱処理を行う、請求項1〜5のいずれか1項記載の紫外線LED用石英ガラス部材の製造方法。
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