JP7289612B2 - 紫外線透過ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線透過ガラス及びその製造方法に関する。
現在、深紫外域(例えば、波長域200~350nm)において高い出力を有する光源が開発されており、紫外線ランプや磁気記録媒体への書き込み装置等に用いられている。このような光源やこれを用いた装置では、深紫外線の透過率の良い紫外線透過ガラス(例えば、特許文献1)が用いられている。
国際公開2017/057375号公報
紫外線透過ガラスの深紫外域の透過率が高い程、上述のような深紫外域において高い出力を有する光源やこれを用いた装置の性能を向上し得る。例えば、殺菌用途の紫外線ランプでは、より透過率の高い紫外線透過ガラスを外筒として用いることによって、より高い殺菌力を得られる。しかし、従来の紫外線透過ガラスには、その透過率、特に、波長200~250nmの深波長域の透過率が未だ不十分であり、改良の余地が残されていた。
本発明の紫外線透過ガラスは、厚み0.5mm、波長200nmにおける透過率(%)をT200とした場合、T200≧75であることを特徴とする。ここで、「波長200nmにおける透過率」は、市販の分光光度計(例えば、日立製作所製UV―3100)で測定可能である。
本発明の紫外線透過ガラスは、厚み0.5mm、波長250nmにおける透過率(%)をT250とした場合、 T200/T250≧0.75以上であることが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスは、厚み0.5mm、波長220nmにおける透過率(%)をT220とした場合、T220≧80であることが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスは、厚みが0.1~3.0mmの板状または管状であることが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 55~75%、Al 1~10%、B 10~30%、CaO 0~5 %、 BaO 0~5%、LiO+NaO+KO 1.0~15%、TiO 0~0.001%、Fe 0~0.001%、を含有することが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法は、上記何れかに記載の紫外線透過ガラスの製造方法であって、ガラス原料の少なくとも一部として合成シリカを用いることを特徴とする。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法は、合成シリカが気相反応法または液相反応法により精製された粒体シリカであることが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法は、前記合成シリカの平均粒径が100μm以下であり、前記ガラス原料の全シリカ源に占める前記合成シリカの割合が90~100質量%であることが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスおよびその製造方法によれば、深紫外波長域において従来品よりも高い透過率を有するガラスを得ることができる。
厚み0.5mmの試料No.1~3の透過率を示すグラフである。
本発明の紫外線透過ガラスにおいて、厚み0.5mm、波長200nmにおける透過率(%)をT200とした場合、T200≧75、好ましくはT200≧80、T200≧83である。厚み0.5mm、波長200nmにおける透過率が低過ぎると、紫外光が透過し難くなり、搭載される光源やデバイスの性能が低下し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスにおいて、厚み0.5mm、波長220nmにおける透過率(%)をT220とした場合、好ましくはT220≧80であり、より好ましくはT220≧85、T220≧87である。厚み0.5mm、波長220nmにおける透過率が低過ぎると、紫外光が透過し難くなり、搭載される光源やデバイスの性能が低下し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスにおいて、厚み0.5mm、波長250nmにおける透過率(%)をT250とした場合、好ましくはT250≧88であり、より好ましくはT250≧89、T250≧89.5である。厚み0.5mm、波長250nmにおける透過率が低過ぎると、紫外光が透過し難くなり、搭載される光源やデバイスの性能が低下し易くなる。
また、T200/T250の値は、好ましくは0.75以上、0.80以上、0.85以上、0.90以上、0.92以上である。T200/T250の値が小さ過ぎると、紫外光が透過し難くなり、搭載される光源やデバイスの性能が低下し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスの歪点は、好ましくは400℃以上、410℃以上、415℃以上である。紫外線透過ガラスの歪点が低過ぎる場合、例えば、表面に機能性膜を成膜する際に、高温の成膜工程においてガラスに意図しない変形が生じ易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスの軟化点は、好ましくは850℃以下、800℃以下、750℃以下、特に700℃以下である。軟化点が高過ぎると、ガラス溶融窯への負荷が大きくなり、ガラスの製造コストが高騰し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスの粘度102.5dPa・sにおける温度は、1540℃以下、1520℃以下、1500℃以下、特に1480℃以下である。102.5dPa・sにおける温度が高過ぎると、溶融性が低下して、ガラスの製造コストが高騰し易くなる。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。
本発明の紫外線透過ガラスの30~380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数は、好ましくは30×10-7/℃以上、特に35×10-7/℃以上であり、また95×10-7/℃以下、特に80×10-7/℃以下である。平均線熱膨張係数が低過ぎると、各種部材、特にガラスフリットの熱膨張係数に整合させ難くなる。結果として、ガラスフリットの低融点化が困難になるため、デバイスの工程温度の上昇を招き、デバイスの性能が劣化し易くなる。一方、平均線熱膨張係数が高過ぎると、熱衝撃により、ガラスが破損し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスの液相温度は、好ましくは1120℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1000℃以下、950℃以下、900℃以下、特に850℃以下である。液相温度における粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.3dPa・s以上、104.5dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.1dPa・s以上、105.3dPa・s以上、特に105.5dPa・s以上である。このようにすれば、耐失透性が向上し、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で成形し易くなるため、所望の形状のガラスを作製し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスのヤング率は、好ましくは40GPa以上、特に45GPa以上である。ヤング率が低過ぎると、デバイスの製造工程における搬送ラインでガラスが剛性を維持し難くなり、ガラスの変形、反り、破損が発生し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 55~75%、Al 1~10%、B 10~30%、CaO 0~5 %、 BaO 0~5%、LiO+NaO+KO 1.0~15%、TiO 0~0.001%、Fe 0~0.001%、F 0.5~2.0%を含有することが好ましい。
上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を表す。
SiOは、ガラスの骨格を形成する主成分である。SiOの含有量は、好ましくは50~80%、55~75%、58~70%、特に65~69%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ヤング率、耐酸性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなることに加えて、クリストバライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
AlとBは、耐失透性を高める成分である。Al+Bの含有量は、好ましくは2~40%、5~35%、10~30%、特に20~28%である。Al+Bの含有量が少な過ぎると、ガラスが失透し易くなる。一方、Al+Bの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
Alは、ヤング率を高める成分であると共に、分相、失透を抑制する成分である。Alの含有量は、好ましくは1~20%、2~15%、特に3~10%である。Alの含有量が少な過ぎると、ヤング率が低下し易くなり、またガラスが分相、失透し易くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなる。
は、溶融性、耐失透性を高める成分であり、また傷の付き易さを改善して、強度を高める成分である。Bの含有量は、好ましくは10~25%、13~28%、15~25%、である。Bの含有量が少な過ぎると、溶融性、耐失透性が低下し易くなり、またフッ酸系の薬液に対する耐性が低下し易くなる。一方、Bの含有量が多過ぎると、ヤング率、耐酸性が低下し易くなる。
LiO、NaO及びKOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与するアルカリ金属酸化物成分である。LiO+NaO+KOの含有量は、好ましくは1.5~15%、2~10%、特に3~6%である。LiO+NaO+KOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。一方、アルカリ金属酸化物の含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
LiOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。LiOの含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、特に0~1.2%、である。LiOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなることに加えて、熱膨張係数が不当に低くなる虞がある。一方、LiOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相し易くなる。
NaOは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。また熱膨張係数を調整するための成分である。NaOの含有量は、好ましくは0~10%、0~8%、1~5%、特に1~3%である。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなることに加えて、熱膨張係数が不当に低くなる虞がある。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
Oは、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高めると共に、ガラス原料の初期の溶融に寄与する成分である。また熱膨張係数を調整するための成分である。KOの含有量は、好ましくは0.1~10%、0.5~5%、特に1~3%である。KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
CaO、SrO及びBaOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。CaO+SrO+BaOの含有量は、好ましくは0~8%、0.1~5%である。CaO+SrO+BaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。
CaOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。またアルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉化する成分である。CaOの含有量は、好ましくは0~8%、0~5%、0.01~1%、0.1~0.8%である。CaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。なお、CaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。
SrOは、耐失透性を高める成分である。SrOの含有量は、好ましくは0~7%、0~5%、0~3%、特に0~1%である。SrOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。
BaOは、耐失透性を高める成分である。BaOの含有量は、好ましくは0~7%、0.1~5%、0.5~3%、1~1.5%である。BaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなる。
上記成分以外にも、250nm以下の波長帯における透過率を低下させない範囲において、任意の他の成分を導入してもよい。なお、上記成分以外の他の成分の含有量は、本発明の効果を的確に享受する観点から、合量で10%以下、5%以下、特に3%以下が好ましい。
ZrOは、耐酸性を高める成分であるが、ガラス組成中に多量に含有させると、ガラスが失透し易くなる。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.001~0.02%、特に0.0001~0.01%である。
FeとTiOは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。Fe+TiOの含有量は、好ましくは0.0010%(10ppm)以下、0.00001~0.0007%(0.1~7ppm)である。Fe+TiOの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下し易くなる。
Feは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。Feの含有量は、好ましくは0.0010%(10ppm)以下、0.00001~0.0009%(0.1~9ppm)、0.00001~0.0007%(0.1~7ppm)である。Feの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下し易くなる。
酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の状態で存在する。Fe2+の割合が少な過ぎると、深紫外線での透過率が低下し易くなる。よって、本発明の紫外線透過ガラスに含まれる酸化鉄中のFe2+/(Fe2++Fe3+)の質量割合は、好ましくは0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、特に0.5以上である。
TiOは、深紫外域での透過率を低下させる成分である。TiOの含有量は、好ましくは0.0010%(10ppm)以下、0.00030%(3ppm)以下、0.00001~0.00015%(0.1~1.5ppm)である。TiOの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、深紫外域での透過率が低下し易くなる。
Fは、粘性を下げて溶融性を高める成分である。Fの含有量は、好ましくは0~2%、0.1~1.5%、0.5~1.5%であることが好ましい。
清澄剤としては、他にもClを2000ppm以下、好ましくは1000ppm添加して良い。
本発明の紫外線透過ガラスの形状は任意に設定可能である。本発明の紫外線透過ガラスの形状は、例えば、平板状、曲板状、直管状、曲管状、棒状、球状、容器状、ブロック状とすることができる。
本発明の紫外線透過ガラスを平板状とする場合、例えば、主平面寸法は100mm×100mm以上、200mm×200mm以上、400mm×400mm以上、1000mm×1000mm以上、特に2000mm×2000mm以上とすることが好ましい。
また、本発明の紫外線透過ガラスの厚みは、例えば、0.1~3.0mmが好ましい。このような厚みであれば、紫外線ランプや磁気記録媒体への書き込み装置等に好適に用いることができる
特に、精密機器用途においては、本発明の紫外線透過ガラスの厚みは0.2~1.0mm、0.3~0.6mmとすることがより好ましい。一方、大型装置の用途においては、本発明の紫外線透過ガラスの厚みを0.5mm以上、より好ましくは0.5~2.0mmとすることが強度剛性を担保する観点から好ましい。なお、一般的に紫外線透過率はガラスの厚みが厚いほど低下するが、本発明の紫外線透過ガラスは250nm以下の波長領域において高い透過率を有するために、従来品に比べ厚みを増加させても同波長域において高い透過率を維持可能である。
本発明の紫外線透過ガラスの表面の表面粗さRaは好ましくは10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、特に1nm以下である。表面の表面粗さRaが大き過ぎると、深紫外線での透過率が減少する傾向がある。
本発明の紫外線透過ガラスは、例えば、各種ガラス原料を調合して、ガラスバッチを得た上で、このガラスバッチを溶融し、得られた溶融ガラスを清澄、均質化し、所定形状に成形することで作製することができる。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法では、ガラス原料の少なくとも一部として合成シリカを用いることを特徴とする。特に、気相反応法または液相反応法により生成された粒状合成シリカを用いることが好ましい。また、合成シリカの平均粒径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは5~90μmである。合成シリカは、例えば、不定形シリカや、球形シリカ、或いはこれらの混合である。また、ガラス原料の全シリカ源に占める上記合成シリカの割合は90~100質量%であることが好ましい。このような原料を用いることにより、ガラスの紫外線透過率を向上できる。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法において、ガラス原料の一部として、還元剤を用いることが好ましい。このようにすれば、ガラス中に含まれるFe3+が還元されて、深紫外線での透過率が向上する。還元剤として、木粉、カーボン粉末、金属アルミニウム、金属シリコン、フッ化アルミニウム等の材料が使用可能であるが、その中でも金属シリコン、フッ化アルミニウムが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法において、ガラス原料の一部として、金属シリコンを用いることが好ましく、その添加量は、ガラスバッチの全質量に対して0.001~3質量%、0.005~2質量%、0.01~1質量%、特に0.03~0.1質量%が好ましい。金属シリコンの添加量が少な過ぎると、ガラス中に含まれるFe3+が還元されず、深紫外線での透過率が低下し易くなる。一方、金属シリコンの添加量が多過ぎると、ガラスが茶色に着色する傾向がある。
ガラス原料の一部として、フッ化アルミニウム(AlF)を用いることも好ましく、その添加量は、ガラスバッチの全質量に対して、F換算で0.01~2質量%、0.05~1.5質量%、0.3~1.5質量%が好ましい。一方、フッ化アルミニウムの添加量が多過ぎると、Fガスがガラス中に泡として残存する虞がある。フッ化アルミニウムの添加量が少な過ぎると、ガラス中に含まれるFe3+が還元されず、深紫外線での透過率が低下し易くなる。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法において、紫外線透過ガラスを平板形状に成形する場合は、ダウンドロー法や、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性の樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下頂端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス板を成形する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、薄型のガラス板を作製し易くなると共に、表面を研磨しなくても、板厚ばらつきを低減することができる。結果として、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、樋状構造物の構造や材質は、所望の寸法や表面精度を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行う際に、力を印加する方法も特に限定されない。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラスに接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラスの端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法において、紫外線透過ガラスを管状に成形する場合は、ダウンドロー法や、ベロー法、ダンナー法等を用いて成形することが好ましい。ダンナー法は、傾斜配置された耐熱性のスリーブ状構造物の上方端側に溶融ガラスを流下して巻き付け、下方端側へ流下した溶融ガラスを延伸成形してガラス管を成形する方法である。
成形方法として、上記以外にも、例えば、スロットダウン法、リドロー法、フロート法等を採択することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、本発明の実施例(試料No.1~2)と比較例(試料No.3~4)を示している。
Figure 0007289612000001
まず、表中のガラス組成となるように、表に示すガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れ、1550℃で4時間溶融した。なお、合成シリカとしては気相反応法により生成された平均粒径30μmの合成シリカを用い、天然原料としてはガラス製造用途として一般的な精製済みの平均粒径100~120μmの天然シリカ原料を用いた。
得られた溶融ガラスについて、白金スターラーを用いて攪拌し、均質化を行った。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、平板形状に成形した後、徐冷点より20℃程度高い温度から室温まで3℃/分の速度で徐冷した。
得られた各試料について透過率を測定した。透過率は、ダブルビーム型分光光度計を用いて、厚み方向の分光透過率を測定した値である。測定試料としては、表1に記載の厚みで両面を光学研磨面(鏡面)に研磨したものを使用した。なお、AFMにより、これらの測定試料の表面の表面粗さRaを測定したところ、測定領域10μm×10μmで0.5~1.0nmであった。
図1は、波長200~400nmにおける厚さ0.5mmの試料No.1~3の透過率曲線である。表1および図1から明らかなように、実施例のガラスは250nm以下の波長域における紫外線透過率が比較例のガラスに比べて高かった。
なお、上記実施例では、溶融ガラスを流し出して平板形状に成形したが、工業的規模で生産する場合には、オーバーフローダウンドロー法等で平板形状に成形し、両表面が未研磨の状態で使用に供することが好ましい。また、管状に形成する場合は、ダウンドロー法やダンナー法等で管状に成形することが好ましい。
本発明の紫外線透過ガラスは、例えば、殺菌灯や、磁気記録媒体の読み書き装置、その他紫外線を用いた装置に備えられるガラス等として好適である。

Claims (7)

  1. ガラス組成として、質量%で、SiO 55~75%、Al 1~10%、B 10~30%、CaO 0.1~5%、BaO 0.1~5%、NaO 1~10%、LiO+NaO+KO 1.0~15%、TiO 0~0.001%、Fe 0~0.001%を含有し、
    厚み0.5mm、波長200nmにおける透過率(%)をT200とした場合、T200≧75であることを特徴とする紫外線透過ガラス。
  2. 厚み0.5mm、波長250nmにおける透過率(%)をT250とした場合、
    200/T250≧0.75以上である、請求項1に記載の紫外線透過ガラス。
  3. 厚み0.5mm、波長220nmにおける透過率(%)をT220とした場合、T220≧80である、請求項1または2に記載の紫外線透過ガラス。
  4. 厚みが0.1~3.0mmの板状または管状である、請求項1~3の何れかに記載の紫外線透過ガラス。
  5. 請求項1~4の何れかに記載の紫外線透過ガラスの製造方法であって、ガラス原料の少なくとも一部として合成シリカを用いることを特徴とする、紫外線透過ガラスの製造方法。
  6. 前記合成シリカが、気相反応法または液相反応法により生成された粒体シリカである、請求項5に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  7. 前記合成シリカの平均粒径が100μm以下であり、
    前記ガラス原料の全シリカ源に占める前記合成シリカの割合が90~100質量%である、請求項5または6に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
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