JP5406439B2 - 耐化学性シリカガラス及び耐化学性シリカガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
また上記の筒体は、石英ガラス製(以下、石英ガラスもシリカガラスも同一の意味である)の外筒と石英ガラス製の内筒から成る二重筒体であること、光触媒は酸化チタンが用いられること、光触媒の担体は活性炭、活性アルミナ、多孔質ガラスの他、シリカゲルが用いられることが示されている。励起光源としても殺菌ランプとブラックライトが用いられていることからランプチューブの材質は石英ガラスと考えられる。
このように、金属不純物濃度が、表面から30μmまでの部分及びそれよりも内側の部分のそれぞれにおいて、ともに、アルカリ金属元素Li、Na、Kの各濃度が100wt.ppb以下、アルカリ土類金属元素Mg、Caの各濃度が30wt.ppb以下、遷移金属元素Cr、Fe、Ni、Cu、Znの各濃度が10wt.ppb以下であれば、より確実に、耐化学性に優れたシリカガラスとすることができる。
本発明に係るシリカガラスにおいて、このような密度や屈折率であれば、より確実に耐化学性に優れたシリカガラスとすることができる。
このような、Alが1〜1000wt.ppmの濃度で均一に含有されているシリカガラスであれば、より耐化学性に優れたシリカガラスとすることができる。
このように、シリカ粉を、合成クリストバライト粉、合成シリカガラス粉、高純度化処理された天然石英粉、又はこれらにAlが1〜1000wt.ppmドープされたものの少なくともいずれか一種とすれば、より確実に、製造するシリカガラスを高純度のものとすることができる。また、Alがドープされたものとした場合、最終的に製造されるシリカガラスの耐化学性を、より向上させることができる。
このように、シリカ粉溶融工程における雰囲気を、圧力が104〜10Paの減圧下とし、少なくとも酸素、水素、水、ヘリウムの1種以上を含むものとすれば、より確実に、製造するシリカガラスに構造欠陥を含ませることなく、OH基濃度を適切な範囲とすることができる。
このように、白色スート体を合成する際に、該白色スート体が、Alを1〜1000wt.ppm含有するように合成すれば、製造されるシリカガラスの耐化学性を、より向上させることができる。
このように、スート体溶融工程における雰囲気を、圧力が104〜10Paの減圧下とし、少なくとも酸素、水素のいずれか一方を含むものとすれば、より確実に、製造するシリカガラスに構造欠陥を含ませることなく、OH基濃度を適切な範囲とすることができる。
上記したようなシリカガラスの製造方法であれば、このように、シリカガラスのOH基含有量を1〜50wt.ppmにして製造することができ、耐化学性に優れたシリカガラスとすることができる。
このように、本発明に係るシリカガラスの製造方法において、アニール工程と、低温域仮想温度設定処理とを、900℃以上の温度を保ちながら連続して行えば、製造にかかる時間を短縮できるとともに、より確実に工程汚染の低減をすることができる。
また、本発明に従うシリカガラスの製造方法であれば、上記のような、耐化学性に優れたシリカガラスを製造することができる。
前述のように、例えば、従来の化学反応装置、特に光触媒反応ユニットを長時間使用した場合、光触媒反応装置を構成する部材に使用されているシリカガラスが、紫外線照射下で、酸性ないしアルカリ性又は塩を含む被処理物によって腐食、変質されるなどして、光触媒反応装置の耐候性、耐久性が低下し、また、光触媒反応装置の処理効率が低下するなどの問題があった。
このように、化学反応装置において、反応性の液体などに接触して用いられるシリカガラスは、高い耐化学性(化学的耐久性、化学的安定性、耐薬品性などとも言う)が求められる。
従来、光触媒反応ユニットを構成する各種部材には、紫外線透過率が高いという観点から、シリカガラスを採用することが多々あった。
しかしながら、長期間の使用における、経時変化によるシリカガラスの劣化にはあまり注意が払われてこなかった。
例えば、前述の特許文献1や2には、光触媒反応装置を構成する部材のシリカガラス材料に求められる耐熱性、耐化学性(特に酸やアルカリや塩水溶液に対する耐エッチング性)は何も示されておらず、また特に、長時間にわたる紫外線照射下での耐候性、耐久性を達成するためのシリカガラスに必要な物性は何も示されていない。また、特許文献3にも、排ガス処理装置内の紫外線透過性筒体の材質、化学特性、物理特性は何も示されていない。また、特許文献4にも水浄化装置内の紫外線透過性とともに耐化学性を有するべき材料に必要な特性は何も示されていない。また長時間にわたる紫外線照射下での廃水の酸、アルカリ、塩によるシリカガラス表面のエッチング、強度低下、光透過率低下等の物性劣下は何も考えられていない。
またこれらの材料には、被処理物の気体、液体からの圧力による応力と同時に、上記の被処理物による腐蝕やエッチングが起こり、応力腐蝕割れ(ストレス・コロージョン・クラッキング、Stress Corrosion Cracking)が発生しやすくなるため、この対策が重要となる。
以下、上記3項目それぞれについて説明する。
シリカガラスはシリコンSiと酸素Oとの連続網目構造(ネットワークストラクチャー)より成るものであるが、OH基はこの網目構造の終端部(ネットワークターミネーター)となるものである。シリカガラス中にOH基が適量存在すると、Si−O−Siの結合角度が安定角度に近づき、シリカガラスの網目構造が安定し、耐化学性が向上するばかりではなく、紫外線照射のダメージ、例えば電離作用等によって引き起こされる強度低下や透過率低下を抑制することができる。
そのため、紫外線照射環境下で用いられるシリカガラス(例えば光触媒反応装置に用いられるシリカガラス材料)は、一般的には耐紫外線性を向上させるために、OH基含有量を高めることが望ましい。
しかしながら、OH基含有量が高すぎると、網目構造の終端部が多くなりすぎることなどの理由により、耐化学性が低下してしまう。
このような範囲のOH基含有量であれば、高い耐化学性を有するシリカガラスとすることができる。また、このような範囲であれば、耐紫外線照射性も高く保ったものとすることができる。
OH基濃度が50wt.ppmを超える値では、紫外線照射ダメージに対する耐性は良好ではあるが、耐化学性が低下し、特に酸やアルカリ、塩によるシリカガラス表面の溶解量やエッチング量が多くなってしまう。
一方、OH基濃度1wt.ppm未満であると、紫外線による電離作用等を受けやすく、材料劣化が起こりやすくなる。
参考文献1(R.Bruckner(1970)Properties and structure of vitreous silica I, Journal of Non−crystalline Solids, Vol.5,P.123−175)に示されるように、シリカガラスは各温度において各々異なったガラス構造を呈し、また各々異なった密度や屈折率を示すと考えられる。
一方、1100℃を超える仮想温度設定では、耐化学性が低下する。また、仮想温度を800℃未満に設定するためには、非常に長時間の加熱処理が必要となり、生産性が低くなってしまい、工業上好ましくない。また、長時間の加熱処理中の金属不純物による汚染がされやすくなってしまう。
本発明に係るシリカガラスは、高純度であることが必要であり、特に、表層部から内部に渡って全て高純度であることが望ましい。
シリカガラスにアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素が一定濃度以上に高濃度で含まれていると、シリカガラスが酸、アルカリ、塩を含む水溶液と接触するような場合、高純度シリカガラスに比較してシリカガラス自体の溶解量、エッチング量が増大することになってしまう。
本発明に係るシリカガラスでは、具体的には、Li、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、の各濃度を200wt.ppb以下とする。
さらに、シリカガラスの表面から30μmまでの部分(本明細書中ではシリカガラスの「表層部」とも呼ぶ)及びそれよりも内側の部分(本明細書中ではシリカガラスの「内部」とも呼ぶ)のそれぞれにおいて、アルカリ金属元素Li、Na、Kの各々が100wt.ppb以下、かつアルカリ土類金属元素Mg、Caの各々が30wt.ppb以下、かつ遷移金属元素Cr、Fe、Ni、Cu、Znの各々が10wt.ppb以下とすることが好ましい。また、アルカリ金属元素Li、Na、Kの各々を50wt.ppb以下、かつアルカリ土類金属元素Mg、Caの各々を10wt.ppb以下、かつ遷移金属元素Cr、Fe、Ni、Cu、Znの各々を5wt.ppb以下とすることがさらに好ましい。
このような本発明に係る耐化学性シリカガラスは、例えば、光触媒反応ユニット用シリカガラスに使用することができる。
本発明に係る耐化学性シリカガラスの製造方法は、基本的には、高純度のシリカ粉原料や、白色スート体から、OH基含有量が適切に制御された高純度の透明シリカガラスインゴット(透明シリカガラスの塊)を作製し、これに仮想温度を設定する処理を施す方法である。
(製造方法1)
図1に、本発明に係るシリカガラスの製造方法の一例として、透明シリカガラス母材(透明シリカガラスインゴット)の作製を、シリカ粉の溶融により行う方法を示した。
まず、図1(a)に示したように、シリカ粉を準備する(工程1−a)。
このときのシリカ粉としては、種々のものを使用することができるが、できるだけ高純度のものとすることが好ましい。
具体的には、高純度のシリカ原料から合成された合成シリカ粉及び合成クリストバライト粉や、高品質天然石英粉を塩化水素HClガス含有雰囲気等によって600〜1000℃程度で、高純度化処理を複数回行い、高純度化したシリカ粉等を用いることができる。
Alのドーピング方法は特に限定されない。例えば微量のアルミニウムイオンを含むアルコール溶液等をシリカ粉と混ぜ、加熱乾燥させることによって、Alを制御された濃度でシリカ粉に混入させることができる。
このように、Alをドープしたシリカ粉を原料とし、後続の工程を行ってシリカガラスを製造した場合、最終的にAlを均一に1〜1000wt.ppm程度含有したシリカガラスを得ることができる。このようなシリカガラスであれば、上述したように、より耐化学性を向上させることが可能となる。
このシリカ粉溶融の際の雰囲気は、減圧して圧力を104〜10Paとしたものとし、少なくとも酸素、水素、水、ヘリウムの1種以上を含むものとすることが好ましい。このような雰囲気であれば、より確実にOH基を透明シリカガラスインゴットに含有させ、上記範囲に制御することができる。OH基含有量の調節は、例えば、加熱溶融時の雰囲気圧力や、含有ガスの種類、特に水分量を変化させること等により可能である。
また、以上のようなシリカ粉溶融の方法によれば、透明シリカガラスインゴットの金属不純物濃度も低く抑制することもできる。
加工方法は、成型、切断、研削、溶接、接着、研磨、洗浄等で行い、特に限定されないが、工程汚染をできるだけ防止する。
なお、アニール処理による加工歪除去は、各種加工されたシリカガラスの強度向上に必須の工程である。
従って、ある仮想温度を設定する場合には、一定以上の時間が必要となり、より低温の仮想温度を設定する場合などは、より長時間の仮想域温度設定処理が必要となる。例えば、1100℃以下の仮想温度を設定するには、1100℃以下で10時間程度以上の熱処理を行う必要があり、1000℃以下の仮想温度を設定するには、1000℃以下で100時間程度以上の熱処理を行う必要がある。
また、仮想域温度設定処理の熱処理は必ずしも一定の温度で行う必要はなく、例えば、800〜1100℃の範囲で徐々に降温してもよい。
図2に、本発明に係るシリカガラスの製造方法の別の一例として、透明シリカガラス母材(透明シリカガラスインゴット)の作製を、一旦スート体を経由して行う方法を示した。
まず、図2(a)に示すように、ケイ素化合物を原料とする火炎加水分解法により白色スート体を合成する(工程2−a)。
原料とするケイ素化合物としては、高純度ケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素SiCl4を用い、酸水素ガス又はプロパンガス等を用いた火炎加水分解法により、比較的低温(500〜800℃程度)で白色不透明のスート体を作製する。
なお、このとき、酸素と水素の流量比率を調節するなどし、最終的に製造されるシリカガラスのOH基含有量が1〜50wt.ppmとなるようにする。
なお、この白色スート体合成工程において原料とするケイ素化合物はできるだけ高純度のものを用いることが好ましい。
このとき、雰囲気ガスは、圧力を104〜10Paの減圧下とし、少なくとも酸素、水素のいずれか一方を含むものとして行えば、シリカガラスに構造欠陥を含ませることなく、OH基の濃度を、より確実に上記適切な範囲内とすることができるので好ましい。
特に電気炉内加熱処理では長時間のアニール処理時の耐火材からシリカガラスへの不純物拡散が大きな影響を及ぼす。耐火材は一般に高純度アルミナセラミックスが用いられている。このアルミナセラミックスには成形時に有機系のバインダー剤が混合され、その後の高温焼成時において大部分が焼成放出してしまうが、数wt.ppmないし数十wt.ppmのLi、Na、K、Mg、Ca等が残留して含有されうる。その様な耐火材に囲まれた中でシリカガラスがアニール処理(加工歪除去のための高温熱処理)されると、表面から内部方向に不純物が拡散侵入することになる。特にLi、Na、Kは拡散速度が速く、シリカガラス中の汚染濃度が高い。
このシールド材としては、アルミニウムAlを10〜1000wt.ppm含有したシリカガラス板等が好ましい。Alの他、ジルコニウムZrを10〜1000wt.ppm程度含有してもよい。このようなAlドープシリカガラス板等をシールド材として用いれば、特許第3393063号公報に示されているように、熱処理されるシリカガラスへの金属不純物の混入を効果的に防止することができる。なお、シールド材は、Si単結晶板、Si多結晶板等でもよい。これらを用いることにより金属不純物の混入が防がれる理由は必ずしも明らかではないが、Alをドープしたシリカガラスの場合、シリカガラス網目構造におけるSi元素の一部がAlに置換されており、このAl元素がNa+、K+、Li+等の不純物陽イオンをイオン結合の形で固定、吸収するものと推定される。また、Si単結晶やSi多結晶の場合、Si元素が結晶構造として緻密に配列しているため不純物元素の拡散、侵入を防止しているものと推定される。
シールド材の形状はチューブ状、板状、ウエーハ状等が考えられる。
図3に示した熱処理炉(電気加熱炉)20は、ステンレス等からなるアニール炉カバー10と高純度アルミナボードのような保温材11とからなるチャンバー、2ケイ化モリブデンヒータ等のヒータ12を具備する。図3には、炉床材13として、シールド材の単結晶シリコンウエーハを、シールドチャンバー14として、シールド材のAl、Zrドープシリカガラスを用いた例を示した。
被熱処理体15は、シリカガラスである。
光触媒反応ユニット30として、シリカガラス製のランプチューブを有する紫外線ランプ31、紫外線反射板32を外側に具備し、光触媒体35が内部に充填された光触媒反応チャンバー33を内側に具備しているものを示した。また、図4には、光触媒反応チャンバー33がフランジ34で固定され、光触媒体35の他に、被処理物をフィルタリングするフィルター36を具備する例を示した。その他、光触媒反応チャンバー33内に排ガスを導入する排ガス導入管37、光触媒反応チャンバー33内から処理されたガスが排出される処理ガス排出管38等を具備する。
その他、優れた耐化学性を生かし、光触媒用以外の用途、例えば核燃料再処理用の容器等、酸性ないしアルカリ性又は塩を含む溶液を使用する化学反応装置内のガラス材料に用いることができる。
(実施例1、2)
図1に示したような、シリカ粉の溶融により透明シリカガラスインゴットを作製し、耐化学性シリカガラスを製造する方法(製造方法1)に従い、以下のように、シリカガラスを製造した。
まず、粒径50〜200μmの高品位天然石英粉を800〜1000℃の塩化水素ガスHCl含有雰囲気にて加熱処理することにより高純化を行った。このシリカ粉に硝酸アルミニウムを微量含むエタノール溶液を混合し、その後加熱して乾燥することによりアルミニウムがドープされたシリカ粉を作製し、原料シリカ粉とした。
まず、原料シリカ粉をタングステンW製のルツボ内に投入し、それをステンレススチール製ジャケット、タングステンメッシュヒーターの高純度真空炉内に設置し、炉内を室温25℃、大気中、相対湿度50%に調整した後、密閉し徐々に真空引きして104Paに設定した。次いで、電気抵抗加熱により1750℃にて1時間保持し、その後室温まで徐冷した。なお、昇温するのに伴い、雰囲気圧力を104Paに一定に保ち1750℃に達した時点で10Pa程度の圧力とした。その後真空炉から取り出し、寸法、直径300mm、高さ300mmの円柱状透明シリカガラスインゴット(母材)を得た。次いで、外表面部分の汚染を除去するため、フッ酸水溶液HFにてエッチング処理及び純水による洗浄を行った。
まず、透明シリカガラスインゴットを切断、研削、研磨、洗浄により、不純物元素濃度分析用サンプル(寸法30×30×30mm)、OH基濃度測定用サンプル(寸法30×30×t10mm)、耐酸性評価試験用サンプル(寸法50×50×t1mm)、耐アルカリ性評価試験用サンプル(寸法50×50×t1mm)、耐再結晶化試験用サンプル(寸法20×20×20mm)、その他の評価(密度分析、屈折率分析)用サンプルを各々必要数作製した。
電気炉20に、シールド材であるシリコン単結晶品ウエーハを炉床板13として敷き、次いで炉床板13の上に各評価用シリカガラスサンプルをのせ、次いでアルミニウムAlがドープされた、シールド材であるドーム状シリカガラス容器をかぶせた。
そして、1150℃で3時間保持し、加工歪除去を行った後、低温域仮想温度設定処理を行った。なお、低温域仮想温度設定処理は、実施例1では大気雰囲気にて高純度アルミナ保温材の電気炉内にて850℃、800時間保持した後、室温まで徐冷した。実施例2では、大気雰囲気にて高純度アルミナ保温材の電気炉内にて1000℃、100時間保持した後、室温まで徐冷した。
シリカガラス中のOH基含有量を、赤外線吸収分光光度法より行い、下記文献記載に従って濃度換算を行った。
D.M. Dodd and D.B Fraser, Optical determination of OH in fused silica, Journal of Applied Physics, Vol. 37 (1966)P.3911。
製造したシリカガラスサンプルの仮想温度を、前記の参考文献2に記載されている測定法に従って測定した。測定は10回繰り返して行い、算術平均値を求めた。
不純物金属元素濃度測定用サンプル30×30×30mmの表層30μm部分を、フッ化水素酸水溶液にてエッチング溶解処理を行った。次にこの溶液を乾燥し、硝酸の酸性溶液とし、分析溶液として調整した。その後、この溶液を、ICP発光分析法(ICP−AES)又はICP質量分析法(ICP−MS)によりLi、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、の10元素分析を行った。したがって、得られた分析値は表面から30μmの深さまでの部分(表層30μm部分)の平均濃度となっている。
不純物金属元素濃度測定用サンプル30×30×30mmの略中心部分から1g相当のガラス片を切り出し、フッ化水素酸水溶液によるエッチング及び純水洗浄を行った後、次いで、このガラス片をフッ化水素酸水溶液で全量溶解した。次にその溶液を乾燥し、硝酸の酸性溶液とし、分析溶液として調整した。その後、この溶液を、ICP−AES法及びICP−MS法により上記10元素分析を行った。
上記不純物濃度の内部バルクについての分析と同様の手法により、Al濃度を分析した。
全面鏡面研磨された30×30×30mmサンプルを用い室温25℃大気中にて、アルキメデス法により密度(g/cm3)の測定を行った。数値処理は、同様の測定を10回繰り返し行い、それらの算術平均値を求めた。
シリカガラスサンプルから、全面光学研磨の三角プリズムを作製し、室温25℃大気圧中にて屈折率計にて波長589nmの屈折率を求めた。測定は10回繰り返して行い、それらの算術平均値を求めた。
両面鏡面研磨された50×50×t1mmサンプルを10枚作製し、フッ素樹脂製容器に96%硫酸H2SO4水溶液を充分量満たし、その中にサンプルを10枚配置した。大気中25℃、100時間、硫酸溶液を撹拌しながらサンプルの溶解を行った。次いで、サンプルを取り出し精密重量計によりサンプル重量減を求め、面積当りの溶解量(重量ロス)(g/m2)を求めた。
両面鏡面研磨された50×50×t1mmサンプル10枚を作製し、フッ素樹脂製容器に10%水酸化ナトリウムNaOH水溶液を充分量満たし、その中にサンプル10枚を配置した。大気中25℃、100時間、水酸化ナトリウム溶液を撹拌しながらサンプル溶解を行った。その後サンプルを取り出し、重量減少を求め、面積当りの溶解量(重量ロス)(g/m2)を求めた。
全面鏡面研磨された20×20×20mmサンプルを、単結晶シリコンウエーハを炉床板とし高純度アルミナボードを保温材とする大気雰囲気電気加熱炉中に配置した。次いで、昇温し1200℃にて100時間保持し室温に戻した後、表面を実体顕微鏡により観察し、白色失透による再結晶化の有無を評価した。変化が検知されない時は○(良好)、若干白色失透が認められた時は△(やや不良)、表面の1割以上に白色失透が認められた時は×(不良)と評価した。
以下のように、図1に示した方法であり、合成クリストバライト粉を加水電気加熱溶融することにより透明シリカガラスインゴットを作製する方法により、シリカガラスを製造した。
以下のように、図2に示したような白色スート体を経由して透明シリカガラスインゴットを作製し、耐化学性シリカガラスを製造する方法によりシリカガラスを製造した。
この白色スート体を1500℃で再溶融し、OH基を10wt.ppm含有する透明シリカガラスインゴットを作製した。
このようにして作製した透明シリカガラスインゴットを、直径200mm、長さ500mmに調整した。
まず、高品質天然石英粉を準備し、次いで、このシリカ粉を酸水素火炎ベルヌイ法により溶融しOH基を200wt.ppm含有する寸法、直径200mm高さ200mmの透明シリカガラスインゴットを作製した。
まず、四塩化ケイ素SiCl4を原料とする酸水素火炎加水分解法によりOH基を350wt.ppm含有する透明合成シリカガラスインゴットを作製した。寸法は直径100mm、長さ500mmに調整した。
各種物性評価及び耐化学性、耐熱性評価試験の結果を下記の表1にまとめた。
一方、比較例1、2は、OH基濃度及び仮想温度が高すぎたため、良好な結果が得られなかったものと考えられる。
また、比較例2については、1200℃の熱処理の後、900℃まで降温する際に、100℃/時のような比較的ゆるやかな降温速度であったために、測定により求められた仮想温度は1200℃よりも低いものとなったと考えられる。
13…炉床材、 14…シールドチャンバー、 15…シリカガラス、
20…電気加熱炉
30…光触媒反応ユニット、
31…紫外線ランプ、 32…紫外線反射板、
33…光触媒反応チャンバー、 34…フランジ、 35…光触媒体、
36…フィルター、
37…排ガス導入管、 38…処理ガス排出管、
Claims (13)
- 化学反応装置に使用され、反応性の気体状または液体状の被処理物に接触するシリカガラスにおいて、少なくとも、OH基含有量が1〜50wt.ppmであり、仮想温度が800〜1100℃であり、Li、Na、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu、Znの各金属不純物濃度がそれぞれ200wt.ppb以下であり、室温25℃、大気圧中での密度が、2.1980〜2.2010g/cm3であり、室温25℃、大気圧中における波長589nmでの屈折率n D が、1.4578〜1.4583であることを特徴とする耐化学性シリカガラス。
- 前記金属不純物濃度は、表面から30μmまでの部分及びそれよりも内側の部分のそれぞれにおいて、ともに、アルカリ金属元素Li、Na、Kの各濃度が100wt.ppb以下、アルカリ土類金属元素Mg、Caの各濃度が30wt.ppb以下、遷移金属元素Cr、Fe、Ni、Cu、Znの各濃度が10wt.ppb以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐化学性シリカガラス。
- 前記シリカガラスは、Alが1〜1000wt.ppmの濃度で均一に含有されているものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐化学性シリカガラス。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の耐化学性シリカガラスであって、光触媒反応ユニットに使用されるものであることを特徴とする耐化学性シリカガラス。
- 請求項4に記載の耐化学性シリカガラスであって、前記シリカガラスは、前記光触媒反応ユニットを構成する部材のうち、光触媒材料を担持する担体、光触媒材料が担体に担持されたものである光触媒体の収納容器の少なくともいずれか1つに使用されるものであることを特徴とする耐化学性シリカガラス。
- 化学反応装置に使用され、反応性の気体状または液体状の被処理物に接触するシリカガラスを製造する方法であって、少なくとも、
シリカ粉を、1700〜1800℃の温度で溶融することにより、OH基を含有する透明シリカガラスインゴットを作製するシリカ粉溶融工程と、
該透明シリカガラスインゴットを所望の形状に加工する工程と、
該形状加工したシリカガラスに対し、1100〜1200℃の温度でアニール処理による加工歪除去を行うアニール工程と、
該アニール処理を行ったシリカガラスに対し、800〜1100℃の温度で熱処理することにより低温域仮想温度設定処理を行う工程と
を含み、室温25℃、大気圧中での密度が、2.1980〜2.2010g/cm3であり、室温25℃、大気圧中における波長589nmでの屈折率n D が、1.4578〜1.4583である耐化学性シリカガラスを製造することを特徴とする耐化学性シリカガラスの製造方法。 - 前記シリカ粉を、合成クリストバライト粉、合成シリカガラス粉、高純度化処理された天然石英粉、又はこれらにAlが1〜1000wt.ppmドープされたものの少なくともいずれか一種とすることを特徴とする請求項6に記載の耐化学性シリカガラスの製造方法。
- 前記シリカ粉溶融工程における雰囲気を、圧力が104〜10Paの減圧下とし、少なくとも酸素、水素、水、ヘリウムの1種以上を含むものとすることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の耐化学性シリカガラスの製造方法。
- 化学反応装置に使用され、反応性の気体状または液体状の被処理物に接触するシリカガラスを製造する方法であって、少なくとも、
ケイ素化合物を原料とする火炎加水分解法により白色スート体を合成する工程と、
該白色スート体を、1400〜1600℃で溶融して透明シリカガラスインゴットを作製するスート体溶融工程と、
該透明シリカガラスインゴットを所望の形状に加工する工程と、
該形状加工したシリカガラスに対し、1100〜1200℃の温度でアニール処理による加工歪除去を行うアニール工程と、
該アニール処理を行ったシリカガラスに対し、800〜1100℃の温度で熱処理することにより低温域仮想温度設定処理を行う工程と
を含み、室温25℃、大気圧中での密度が、2.1980〜2.2010g/cm3であり、室温25℃、大気圧中における波長589nmでの屈折率n D が、1.4578〜1.4583である耐化学性シリカガラスを製造することを特徴とする耐化学性シリカガラスの製造方法。 - 前記白色スート体を合成する際に、該白色スート体が、Alを1〜1000wt.ppm含有するように合成することを特徴とする請求項9に記載の耐化学性シリカガラスの製造方法。
- 前記スート体溶融工程における雰囲気を、圧力が104〜10Paの減圧下とし、少なくとも酸素、水素のいずれか一方を含むものとすることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の耐化学性シリカガラスの製造方法。
- 前記製造するシリカガラスのOH基含有量を1〜50wt.ppmとすることを特徴とする請求項6ないし請求項11のいずれか一項に記載の耐化学性シリカガラスの製造方法。
- 前記アニール工程と、前記低温域仮想温度設定処理とを、900℃以上の温度を保ちながら連続して行うことを特徴とする請求項6ないし請求項12のいずれか一項に記載の耐化学性シリカガラスの製造方法。
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