JP5124081B2 - フッ素化シクロペンタン環と芳香環との縮合化合物およびその製造方法 - Google Patents

フッ素化シクロペンタン環と芳香環との縮合化合物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素化シクロペンタン環と芳香環との縮合化合物およびその製造方法に関する。
フルオロアルキル基を導入したπ共役化合物は電子受容性が増加するため、有機n型半導体等の電子輸送性材料への展開が見込まれる化合物である。この観点から、近年、チオフェン環、特にオリゴチオフェンにフルオロアルキル基を導入した化合物の研究が盛んに行われている(特許文献1〜4等)。これらの化合物は、例えば、化学量論量の銅存在下、ブロモチオフェンと臭化フルオロアルキル、あるいは、ヨウ化フルオロアルキルとのカップリング反応により製造することができる。しかし、オリゴチオフェンの有効な共役を損なうことなくフルオロアルキル基を導入できる位置は限られている。
一方、シクロペンタン環が縮環したチオフェンを基本単位とするオリゴマーは、直鎖アルキル基を有するオリゴチオフェンより有効共役長が伸長する事が示された(非特許文献1)。
上記の観点から、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環、特にチオフェン環等との縮合環構造が注目されている。例えば、3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン構造を含む化合物は、フルオロシクロペンタン環導入によるLUMOレベルの低下だけでなく、有機溶媒に対する溶解度の向上、π共役平面性の保持等の観点から製造が期待される。しかし、従来技術では、このような化合物の製造を行なうことは不可能であった。
Izumi, T.; Kobashi, S.; Takimiya, K.; Aso, Y; Otsubo, T. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 5286. 米国特許出願公開第2004/186266号明細書 米国特許出願公開第2004/183068号明細書 国際公開第2003/010778号パンフレット 欧州特許出願公開第1279689号明細書
したがって、本発明は、電子材料等に有用なフッ素化シクロペンタン環と芳香環との縮合化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の化合物は、下記式(I)で表される化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩である。
Figure 0005124081
式(I)中、
Arは芳香環であり、1または複数の任意の置換基で置換されていても良く、
1、Y1、X2およびY2は、それぞれ独立に、フッ素もしくはアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、
1およびY1が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L1−S−、ただしL1はアルキレン基)を形成しても良く、X2およびY2が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L2−S−、ただしL2はアルキレン基)を形成しても良く、
1およびY1はそれらが結合する炭素原子とともにカルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成しても良く、X2およびY2はそれらが結合する炭素原子とともにカルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成しても良い。
本発明によれば、前記式(I)で表される通り、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環との縮合環構造を含む化合物およびその前駆体を提供することができる。前記式(I)で表される化合物のうち、特に、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環との縮合環構造を含む化合物は、電子材料等に有用である。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
前記式(I)で表される本発明の化合物の製造方法は特に限定されず、どのような方法により製造しても良いが、以下に説明する本発明の製造方法により製造することが好ましい。この本発明の製造方法を本発明者らが発明したことにより、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環との縮合環構造を含む化合物を、簡便に、高収率で製造できるようになった。
まず、本発明の製造方法の一例を、下記スキーム1に示す。ただし、下記スキーム1は単なる例示であり、本発明の製造方法はこれに限定されない。
Figure 0005124081
以下、本発明の製造方法について具体的に説明する。本発明の製造方法によれば、3工程のうち1つ、または2つ以上を含む製造方法により、前記式(I)で表される化合物を製造することができる。前記3工程とは、第1段階のフッ素化、チオエーテルまたはチオケトン化、および第2段階のフッ素化である。
まず、前記第2段階のフッ素化について説明する。すなわち、前記式(I)で表される本発明の化合物のうち、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環との縮合環構造を含む化合物、すなわちX1、Y1、X2およびY2が全てフッ素である化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩(以下、「ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物」と記すことがある)は、以下の方法により製造することができる。
すなわち、まず、前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物の前駆体としては、前記式(I)中、X1、Y1、X2およびY2が、同一もしくは異なるアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、X1およびY1が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L1−S−、ただしL1はアルキレン基)を形成しても良く、X2およびY2が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L2−S−、ただしL2はアルキレン基)を形成しても良く、X1およびY1はそれらが結合する炭素原子とともにチオカルボニル基を形成しても良く、X2およびY2はそれらが結合する炭素原子とともにチオカルボニル基を形成しても良い化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩(以下、「本発明のチオエーテルまたはチオケトン」等と記すことがある)を用いることができる。本発明の製造方法では、この本発明のチオエーテルまたはチオケトンを、ハロニウムイオン発生剤存在下、フッ化物イオン源と反応させる工程を含む製造方法により、前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物の製造が可能である。この反応工程(第2段階のフッ素化)の一例として、前記スキーム1に示した、化合物(71)から化合物(68)への変換工程が挙げられる。
前記反応工程における反応条件は特に限定されず、例えば、アルキルスルファニル基等からフルオロ基への公知の変換反応(特開平6−135869号公報等参照)における条件を参考にして適宜選択しても良い。以下、具体的に説明する。
まず、前記フッ化物イオン源としては、例えば、フッ化水素、フッ化水素とアミンとの錯体、フッ化水素とピリジンとの錯体、二水素三フッ化四級アンモニウム、または二水素三フッ化四級ホスホニウムが好ましく、これらは単独で用いても二種類以上併用しても良い。最適なフッ化物イオン源としては、例えば、(フッ化水素)9/ピリジン錯体が挙げられる。
なお、前記アミンとしては、例えば、ピリジン等の含窒素環式化合物、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアルキルアミン等が挙げられる。また、二水素三フッ化四級アンモニウムおよび二水素三フッ化四級ホスホニウムは特に限定されず、公知の化合物を適宜用いることができる。二水素三フッ化四級アンモニウムとしては、例えば下記式(V)で表される化合物が挙げられ、二水素三フッ化四級ホスホニウムとは、例えば下記式(VI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005124081
式(V)および(VI)中、R7〜R14は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ベンジル基等の炭化水素基である。式(V)で表される二水素三フッ化四級アンモニウムとしては、例えば、二水素三フッ化テトラメチルアンモニウム、二水素三フッ化テトラエチルアンモニウム、二水素三フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAH23)、二水素三フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、二水素三フッ化ベンジルトリエチルアンモニウム、二水素三フッ化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは、例えば、50%フッ酸、フッ化カリウムおよびフッ化四級アンモニウムから容易に合成できる(Bull. Soc. Chim. Fr., 910 (1986)等参照)。一般式(VI)で表される二水素三フッ化四級ホスホニウムとしては、例えば、二水素三フッ化テトラメチルホスホニウム、二水素三フッ化テトラエチルホスホニウム、二水素三フッ化テトラブチルホスホニウム、二水素三フッ化ベンジルトリメチルホスホニウム、二水素三フッ化ベンジルトリエチルホスホニウム、二水素三フッ化セチルトリメチルホスホニウムが挙げられる。
前記反応工程における前記フッ化物イオン源の使用量は、特に限定されないが、例えば、フッ化物イオン換算で3当量〜大過剰量の範囲であり、反応効率およびコストの観点から、例えば3〜5当量が好ましい。
次に、前記反応工程における前記ハロニウムイオン発生剤は、特に限定されず、公知のものを適宜用いることができるが、例えば、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ブロモアセトアミド(NBA)、2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサジエノン、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)等が挙げられる。前記ハロニウム発生剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、ハロニウムイオン換算で3当量〜大過剰量の範囲であり、反応効率およびコストの観点から、例えば3〜5当量が好ましい。
また、前記反応工程において、必要に応じ、溶媒を適宜用いても良い。前記溶媒は特に限定されないが、なるべく目的の反応を阻害しないことが好ましく、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、アセトニトリル等のニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化溶媒等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし二種類以上併用しても良い。最適な溶媒としては、例えばジクロロメタン(塩化メチレン)が挙げられる。
また、前記反応工程における反応温度および反応時間は、特に限定されず、基質(本発明のチオエーテルまたはチオケトン)の種類等を考慮して適宜選択することができる。前記反応温度は、例えば−100℃〜100℃の範囲であり、反応時間短縮および反応選択性向上の観点から、例えば0℃〜80℃である。
次に、前記チオエーテルまたはチオケトン化、すなわち前記本発明のチオエーテルまたはチオケトンの製造方法における一工程について説明する。
前記本発明のチオエーテルまたはチオケトンは、前記式(I)中、X1およびY1が、それらの結合する炭素原子とともにカルボニル基を形成し、かつ、X2およびY2が、それらの結合する炭素原子とともにカルボニル基を形成している化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩(以下、「本発明のジケトン」と記すことがある)を、含硫黄化合物と反応させる工程(チオエーテルまたはチオケトン化)を含む製造方法により製造できる。この反応工程の一例として、前記スキーム1に示した、化合物(74)から化合物(71)への変換工程が挙げられる。
前記含硫黄化合物との反応工程における反応条件は特に限定されず、例えば、公知のケトンと含硫黄化合物との反応条件を参考にして適宜選択することができる。以下、具体的に説明する。
前記含硫黄化合物との反応工程は、例えばルイス酸存在下で行なうことが好ましく、また、前記含硫黄化合物がチオールであることが好ましく、チオールとルイス酸を組み合わせて用いることがより好ましい。前記ルイス酸は特に限定されず、例えば、公知のルイス酸を適宜用いても良い。前記ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素またはその錯体が好ましく、例えば、三フッ化ホウ素・アンモニア錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体(例えば三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体等)、三フッ化ホウ素・エステル錯体、三フッ化ホウ素・カルボン酸錯体(例えば三フッ化ホウ素・酢酸錯体等)、三フッ化ホウ素・ホスフィン錯体等が挙げられる。最適なルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素・酢酸錯体が挙げられる。また、前記チオールの種類も特に限定されないが、例えば、目的とする本発明のチオエーテルの構造に対応するアルキルチオールまたはアルキレンジチオールを用いることができる。
また、前記含硫黄化合物としては、H2S、B2S3、PSBr3、P2S5、または下記式(VII)で表される化合物等を用いることもできる。
Figure 0005124081
上記式(VII)中、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基である。R15およびR16がメトキシ基である化合物は、特にLawesson試薬として知られている。Lawesson試薬またはその類縁体を用いた反応については、例えば、M. Yokoyama et al., Synthesis, 827 (1984), M. P. Cava and M. I. Levinson, Tetrahedron, 41, 5061 (1985), M. Yoshifuji et al., Tetrahedron, 35, 4379 (1994) および S. O. Lawesson et al., Tetrahedron, 35, 1339 (1979)等に記載されている。
次に、前記第1段階のフッ素化、すなわち前記本発明のジケトンの製造方法における一工程について説明する。
本発明のジケトンは、下記式(III)または(IV)で表される化合物をフッ素化剤と反応させる工程(第1段階のフッ素化)を含む製造方法により製造できる。この反応工程の一例として、前記スキーム1に示した、化合物(77)から化合物(74)への変換工程が挙げられる。
Figure 0005124081
式(III)中、Arは前記式(I)と同じであり、前記式(IV)中、Z、R1およびR2は、それぞれ前記式(II)と同じである。
前記反応工程における反応条件は特に限定されず、例えば、公知のフッ素化反応(J.Org.Chem.1995, 60, 6563.および特開平2001−354600号公報等参照)の条件を参考にして適宜選択することができる。以下、具体的に説明する。
前記フッ素化剤は、例えば、フルオロニウムイオン発生剤であることが好ましい。前記フッ素化剤としては、例えば、四フッ化ホウ酸 N-フルオロピリジニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸 N-フルオロピリジニウム塩、四フッ化ホウ酸 N-フルオロ-2,6-ジクロロピリジニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸 N-フルオロ-2,6-ジクロロピリジニウム塩、四フッ化ホウ酸 N-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸 N-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウム塩、ビス(四フッ化ホウ酸) N,N'-ジフルオロ-2,2'-ビピリジニウム塩、N-フルオロ-4,6-ジメチルピリジニウム-2-スルフォネート、N-フルオロ-4-メチルピリジニウム-2-スルフォネート、N-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジニウム-2-スルフォネート、N-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジニウム-2-スルフォネート、N-フルオロ-4,6-ビス(トリフルオロメチル)ピリジニウム-2-スルフォネート、N-フルオロピリジニウム ピリジン ヘプタフルオロジボラト等のフルオロピリジニウム塩類、ビス四フッ化ホウ酸 1-クロロメチル-4-フルオロ-1,2-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩等のフルオロトリアルキルアンモニウム塩類、N-フルオロベンゼンスルフォンアミド等のフルオロアミド類等が挙げられる。前記フッ素化剤として最適なものは、例えば、N-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジニウム-2-スルフォネート(MEC-04B)である。
また、前記フッ素化剤との反応工程には、溶媒を適宜用いても良い。前記溶媒は、特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等のベンゼン類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられ、単独で用いても二種類以上併用しても良い。最適な溶媒としては、例えば、酢酸エチルが挙げられる。
前記フッ素化剤との反応工程における反応温度は特に限定されず、基質(前記式(III)または(IV)で表される化合物)の種類等に応じて適宜選択できるが、例えば-20℃から200℃であり、好ましくは0℃から100℃である。また、必要に応じ、トリフルオロメタンスルホン酸等を添加して反応を促進させても良い。
なお、前記式(III)または(IV)で表される化合物は、公知の反応を適宜組み合わせて製造することができる。一例として、下記スキーム2の方法もしくはこれと同様の方法により製造しても良いし、または、全く異なる方法により製造しても良い。なお、下記スキーム2の反応については、Khanh, L. P.; Dallemagne, P.; Rault, S. Synlett, 1999, 9, 1450-1452.に記載されている。
Figure 0005124081
反応試薬:
a:SOCl2
b:AlCl3, CH2Cl2
c:HCl, エタノール
d:NaNO2, 酢酸/H2O(5/10, 体積/体積)
e:NaNO2, トリフルオロ酢酸/H2O(5/10, 体積/体積)
f:大気中に曝露
g:CrO3
h: NaNO2, 酢酸/H2O(2/10, 体積/体積)
また、ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物を本発明のジケトンから製造する方法については、本発明のチオエーテルまたはチオケトンを経て2段階で(チオエーテルまたはチオケトン化および第2段階のフッ素化を用いて)製造する方法を述べた。しかし、ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物は、本発明のジケトンをフッ素化剤と反応させる工程を含む製造方法により1段階で製造することもできる。反応条件は特に限定されず、例えば、公知のフッ素化反応(特開平2001−354600号公報等参照)の条件を参考にして適宜選択することができる。以下、具体的に説明する。
前記フッ素化剤は、例えば、三フッ化ジアルキルアミノ硫黄または四フッ化硫黄が好ましく、単独で用いても二種類以上併用しても良いが、安全性の観点から、三フッ化ジアルキルアミノ硫黄が好ましい。三フッ化ジアルキルアミノ硫黄としては、特に限定されないが、例えば、三フッ化ジエチルアミノ硫黄、三フッ化ジメチルアミノ硫黄、三フッ化ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄等が挙げられる。
また、必要に応じ、各種溶媒を用いて反応を行なっても良い。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族化合物、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられ、これらは単独で用いても二種類以上併用しても良い。前記溶媒のうち、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、およびジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテルが好ましい。また、反応温度も特に限定されないが、例えば-20℃から200℃、好ましくは0℃から100℃である。
本発明の製造方法によれば、上述の通り、シクロペンタン環構造形成後にフッ素原子を導入し、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環との縮合環構造を形成させることができる。これとは逆に、従来、芳香環にフルオロアルキル基を導入後、環化させてヘキサフルオロシクロペンタン環を形成させる試みはあったが、いずれも成功しなかった。しかし、本発明の製造方法により、従来は製造不可能であった、ヘキサフルオロシクロペンタン環と芳香環、特にチオフェン環等との縮合環構造を含む化合物を、簡便に、高収率で製造できるようになった。また、本発明の製造方法におけるフッ素化反応では、安価で取り扱いが容易なフッ素化試薬を用いてフッ素化を行なうこともできる。
以上、本発明の製造方法について説明したが、本発明の製造方法における反応条件、反応試薬等は、上記の例示以外にも適宜選択可能である。また、前記式(I)で表される本発明の化合物は、前述の通り、本発明の製造方法により製造することが好ましいが、これに限定されず、どのような方法により製造しても良い。
次に、前記式(I)で表される本発明の化合物について説明する。
前記式(I)で表される化合物に互変異性体、立体異性体、光学異性体等の異性体が存在する場合は、それら異性体も本発明の化合物に含まれる。さらに、前記式(I)の化合物またはその異性体が塩を形成し得る場合は、その塩も本発明の化合物に含まれる。前記塩は特に限定されず、例えば酸付加塩でも塩基付加塩でも良く、さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でも良い。前記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸および、ヨウ化水素酸等が挙げられる。前記有機酸も特に限定されないが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸等が挙げられる。前記無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩等が挙げられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウム等が挙げられる。前記有機塩基も特に限定されないが、例えば、エタノールアミン、トリエチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。
前記本発明の化合物の塩の製造方法も特に限定されず、例えば、本発明の化合物に、前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。
前記式(I)の化合物は、例えば、下記式(II)で表されることが好ましい。
Figure 0005124081
式(II)中、
1、Y1、X2およびY2は、それぞれ前記式(I)と同じであり、
Zは、下記式(i)〜(ix)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
Figure 0005124081
1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または任意の置換基であり、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに環を形成していても良い。
前記式(II)中、R1〜R6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、直鎖状もしくは分枝状の低分子もしくは高分子鎖(主鎖および側鎖中にヘテロ原子を含んでいてもいなくても良く、不飽和結合を含んでいてもいなくても良く、環状構造を含んでいてもいなくても良い)、炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)、電子供与基または電子求引基であることが好ましく、または、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)を形成しても良い。
前記式(II)中、R1〜R6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、直鎖状もしくは分枝状の低分子もしくは高分子鎖(主鎖および側鎖中にヘテロ原子を含んでいてもいなくても良く、不飽和結合を含んでいてもいなくても良く、環状構造を含んでいてもいなくても良い)、環構成原子数が3〜20である炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)、飽和もしくは不飽和炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、オキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、1個以上のハロゲンで置換されたアルキル基、アルコキシスルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、アルキルスルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、またはアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、または、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)を形成しても良い。
なお、本発明で「ハロゲン」とは、任意のハロゲン元素を指すが、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。また、アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基等が挙げられ、アルキル基をその構造中に含む基(例えば、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基等)についても同様である。不飽和炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、プロパルギル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基および2−ブテニル基等が挙げられる。アルカノイル基としては、特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基およびイソバレリル基等が挙げられ、アルカノイル基をその構造中に含む基(アルカノイルオキシ基、アルカノイルアミノ基等)についても同様である。また、炭素数1のアルカノイル基とはホルミル基を指すものとし、アルカノイル基をその構造中に含む基についても同様とする。
前記式(II)中、R1〜R6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換基を有するか有しない飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝炭化水素鎖、共役系高分子鎖もしくはオリゴマー鎖、環構成原子数が3〜20である炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数2〜18の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルカノイルオキシ基、アミノ基、オキシアミノ基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、そのアルキル基は炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキル基である)、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルカノイルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、1個以上のハロゲンで置換された炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルコキシスルホニル基(そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い)、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキルスルホニル基(そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、スルファモイル基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、カルバモイル基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキルカルバモイル基、炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、または炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルコキシカルボニル基であることがさらに好ましく、または、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)を形成しても良い。
前記式(II)中、R1〜R6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換基を有するか有しない飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝炭化水素鎖、共役系高分子鎖もしくはオリゴマー鎖、環構成原子数が3〜20である炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイルオキシ基、アミノ基、オキシアミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、そのアルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基である)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、1個以上のハロゲンで置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシスルホニル基(そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルスルホニル基(そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、スルファモイル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、カルバモイル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルカルバモイル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシカルボニル基であることが一層好ましく、または、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)を形成しても良い。
前記式(II)中、R1〜R6が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜3000の直鎖状炭化水素基(主鎖中の結合はそれぞれ飽和結合でも不飽和結合でも良く、主鎖上の水素原子は任意にハロゲン、またはメチル基で置換されていても良い)、共役系高分子鎖もしくはオリゴマー鎖、下記式(1)〜(67)のいずれかの化合物から任意の1個の水素を除いた構造を有する環状置換基(前記環状置換基は、1個または複数の置換基でさらに置換されていても良く、それらの置換基は、それぞれ独立に、ハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、オキソ基、またはアミノ基である)、
Figure 0005124081
Figure 0005124081
Figure 0005124081
ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイルオキシ基、アミノ基、オキシアミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、そのアルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基である)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、1個以上のハロゲンで置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシスルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルスルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、スルファモイル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、カルバモイル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルカルバモイル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシカルボニル基であることが特に好ましく、または、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)を形成しても良い。
前記共役系高分子鎖またはオリゴマー鎖は、ポリフェニレン、オリゴフェニレン、ポリフェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、ポリエン、オリゴビニレン、ポリアセチレン、オリゴアセチレン、ポリピロール、オリゴピロール、ポリチオフェン、オリゴチオフェン、ポリアニリンおよびオリゴアニリン(ただし、これらは1個以上の置換基で置換されていても良いし、置換されていなくても良い)からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましく、前記置換基が、ハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、オキソ基、およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも一つであることがより好ましい。また、前記共役系高分子鎖またはオリゴマー鎖の式量が30〜30000の範囲であることがより好ましい。
また、前記式(II)中、R1〜R6のうち2つ以上が一体となってZとともに環を形成する場合、前記環は、例えば、構成原子数3〜20の炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基を有していてもいなくても良い)であり、前記置換基が、ハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、オキソ基、およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
また、前記式(II)中、Zは、例えば、前記式(i)〜(iii)のいずれかで表されることが好ましい。チオフェン環、フラン環およびピロール環、特にチオフェン環は、特徴的な電気的性質を示し、ヘキサフルオロシクロペンタン環等を縮合させることにより、従来にない新たな電気的性質の発現も期待できる。
前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物、すなわち、前記式(I)または(II)中、X1、Y1、X2およびY2が全てフッ素である化合物は、電子材料または半導体の製造等への応用に特に適している。特に、チオフェン構造等を含む化合物は、フルオロシクロペンタン環導入によるLUMOレベルの低下だけでなく、有機溶媒に対する溶解度の向上、π共役平面性の保持等の観点から、半導体等の電子材料の性能向上および製造コスト低下への寄与が期待できる。本発明の電子材料または半導体は、前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物を含むことにより、高性能である。
前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物は、例えば、Zが硫黄原子(前記式(i))であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基であることがより好ましい。前述の通り、チオフェン環は特徴的な電気的性質を示し、ヘキサフルオロシクロペンタン環等を縮合させることにより、従来にない新たな電気的性質の発現も期待できる。また、このような化合物のうち、例えば、下記式(68)〜(70)のいずれかで表される化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩が特に好ましい。
Figure 0005124081
前記本発明のチオエーテルまたはチオケトン、すなわち、
前記式(I)または(II)中、
1、Y1、X2およびY2は、同一もしくは異なるアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、
1およびY1が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L1−S−、ただしL1はアルキレン基)を形成しても良く、X2およびY2が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L2−S−、ただしL2はアルキレン基)を形成しても良く、
1およびY1はそれらが結合する炭素原子とともにチオカルボニル基を形成しても良く、X2およびY2はそれらが結合する炭素原子とともにチオカルボニル基を形成しても良い化合物は、
前述の通り、前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物の前駆体として適している。
前記本発明のチオエーテルまたはチオケトンは、例えば、前記アルキルスルファニル基(アルキルチオ基)が、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であり、L1およびL2が、それぞれ独立に、炭素数2〜12の直鎖または分枝アルキレン基であることが好ましく、X1およびY1が一体となってエチレンジチオ基(−SCH2CH2S−)を形成し、かつ、X2およびY2が一体となってエチレンジチオ基(−SCH2CH2S−)を形成していることがより好ましい。また、例えば、前記式(I)または(II)中、Zが硫黄原子(前記式(i))であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基であることが好ましい。前記本発明のチオエーテルまたはチオケトン中、例えば、下記式(71)〜(73)のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩が特に好ましい。
Figure 0005124081
前記本発明のジケトン、すなわち、前記式(I)または(II)中、X1およびY1が、それらの結合する炭素原子とともにカルボニル基を形成し、かつ、X2およびY2が、それらの結合する炭素原子とともにカルボニル基を形成している化合物は、前述の通り、前記本発明のチオエーテルもしくはチオケトンまたは前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物の前駆体として適している。前記本発明のジケトンは、例えば、前記式(I)または(II)中、Zが硫黄原子(前記式(i))であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基であることが好ましい。前記本発明のジケトンのうち、例えば、下記式(74)〜(76)のいずれかで表される化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩が特に好ましい。
Figure 0005124081
前記本発明のジケトン、チオエーテルまたはチオケトンは、前記ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物の前駆体として用いるのみならず、それ自体を電子材料または半導体の製造等に用いることもできる。本発明の電子材料または半導体は、前記本発明のジケトン、チオエーテルまたはチオケトンを含むことにより、高性能である。
本発明の化合物の用途は、電子材料または半導体に限定されず、あらゆる用途への適用が可能である。また、本発明の化合物を重合させてオリゴマーまたはポリマーとし、例えばオリゴチオフェン構造等を形成させることにより、新規な電子受容性オリゴマーまたはポリマーとなることが期待される。このようなオリゴマーまたはポリマーは、例えば、有機n型半導体への適用、分子エレクトロニクス素子の開発に必要不可欠な分子ワイヤへの適用等も期待できる。
次に、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、前記スキーム1に従い、化合物(77)を出発原料に用い、2段階のフッ素化反応等により、前記化合物(74)、(71)および(68)で表される本発明の化合物を製造した。すなわち、まず、MEC-04Bを用いて化合物(77)のフッ素化を行い、化合物(74)を製造した。次に、化合物(74)のジチオアセタール化を行い化合物(71)を得た。さらに、dibromatin(1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン)存在下、HF・Pyを用いて脱硫化およびフッ素化を行い、ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェンのジブロモ誘導体(68)を得た。また、得られた化合物(68)から、前記化合物(69)および(70)で表される本発明の化合物も製造した。なお、前記スキーム1を下に再掲する。
Figure 0005124081
(測定条件等)
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL(日本電子株式会社)製の商品名JMN-270(1H測定時270MHz)、または同社製の商品名JMNLA-600(19F測定時600MHz)を用いて測定した。ケミカルシフトは百万分率(ppm)で表している。内部標準0ppmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。結合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d、t、q、mおよびbrは、それぞれ、一重線(singlet)、二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quartet)、多重線(multiplet)および広幅線(broad)を表す。質量分析(MS)は、株式会社島津製作所製GCMS-QP5050A(商品名)を用い、電子イオン化(EI)法、直接試料導入(DI)法により測定した。カラムクロマトグラフィー分離におけるシリカゲルは、関東化学株式会社製の商品名Silica gel 60N(40〜50μm)を用いた。全ての化学物質は、試薬級であり、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社、関東化学株式会社、ナカライテスク株式会社、シグマアルドリッチジャパン株式会社、またはダイキン化成品販売株式会社より購入した。前記スキーム1の出発原料である1,3-ジブロモ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(77)は、Khanh, L. P.; Dallemagne, P.; Rault, S. Synlett, 1999, 9, 1450-1452.の記載を参照し、前記スキーム2に従って製造した。
(化合物の製造)
以下、前記式(74)、(71)、(68)、(69)および(70)で表される本発明の化合物の製造(合成)について詳細に説明する。
[1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(74)の合成]
まず、1,3-ジブロモ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン (1.00g, 3.25mmol)とN-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジニウム-2-スルフォネート(MEC-04B) (1.75g, 7.14mmol) の酢酸エチル溶液(5mL)を調製した。次に、この溶液を85℃で4時間撹拌した。このようにして得られた反応液を室温まで冷却し、水にあけ、酢酸エチルで抽出した。抽出後の有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物を濾過して除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/クロロホルム (1:1))で単離精製し、目的の1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(74)を薄黄色固体として得た(収量1.53g, 収率75%)。以下に、この化合物の機器分析データを示す。
1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(74):
19F NMR(CDCl3-CFCl3) : δ -50.67 (s). MS (m/z) 346 (M+)
[化合物(71)の合成]
まず、1,3-ジブロモ-5,5-ジフルオロ-4H-シクロペンタ[c]チオフェン-4,6(5H)-ジオン(74) (1.53g, 4.42mmol)と1,2-エタンジチオール (1.25g, 13.27mmol)と三フッ化ホウ素・酢酸錯体 (2.50g, 13.27mmol)のクロロホルム溶液(10mL)を調製した。次に、この溶液を60℃で4時間撹拌した。このようにして得られた反応液を室温まで冷却し、水にあけ、クロロホルムで抽出した。抽出後の有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、不溶物を濾過して除いた後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/クロロホルム (1:1))で単離精製し、目的の化合物(71)を薄紫色固体として得た(収量1.80g, 収率82%)。以下に、この化合物の機器分析データを示す。
化合物(71):
1H NMR(CDCl3-TMS) : δ 3.43-3.63 (m). MS (m/z) 498(M+)
[1,6-ジブロモ-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(68)の合成]
まず、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(10.32g, 36.10mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)を調製し、これを-78℃に冷却した。次に、前記溶液の温度を-78℃に保ったまま、(フッ化水素)9/ピリジン(18mL)を滴下し、10分間撹拌した。さらに、温度を-78℃に保ったまま、化合物(71) (1.80g, 3.61mmol) の塩化メチレン溶液(30mL)を滴下し、3時間撹拌した。続いて、反応系の温度を室温まで昇温させた後、さらに一晩撹拌を行った。このようにして得られた反応液を塩基性アルミナで濾過し、濾液(有機層)を、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて飽和食塩水で洗浄した。さらに、前記濾液(有機層)を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して不溶物を除去し、溶媒を減圧留去した。このようにして得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン)で単離精製し、1,6-ジブロモ-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(68)を無色液体として得た(収量1.80g, 収率82%)。以下に、この化合物の機器分析データを示す。
1,6-ジブロモ-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(68):
19F NMR(CDCl3-CFCl3) : δ -110.71 (m), -126.08 (m). MS (m/z) 390 (M+)
[1−ブロモ−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(69)および3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(70)の合成]
まず、1,3,ジブロモ−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(68)(100mg,0,257mmol)とテトラメチルエチレンジアミン(47mg, O.405mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2mL)を調製した。次に、この溶液を−78℃に冷却し、その温度を保ったまま、n−ブチルリチウム(0.17mL、0.270mmol)を滴下し、1時間攪拌した。その後、水1mLを加えて反応を停止させ、ヘキサンで抽出した。抽出後の有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して不溶物を除去し、溶媒を減圧留去した。このようにして得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン)で単離精製し、1−ブロモ−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(69)を無色液体として得た(収量50mg,収率64%)。以下に、この化合物(69)の機器分析データを示す。
1−ブロモ−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(69):
1HNMR(CDCl3-TMS):δ7,75(s),MS(m/z)312(M+)
また、上記反応において、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンタ[c]チオフェン(70)もシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン)で単離し、機器分析により生成を確認した。
本実施例において上記の通り製造した本発明の化合物の電気的性質を測定したところ、いずれの化合物も、電子材料または半導体、特に有機n型半導体への適用に適した特徴的な性質を示した。
以上説明した通り、本発明によれば、電子材料等に有用なフッ素化シクロペンタン環と芳香環との縮合化合物およびその製造方法を提供することができる。ヘキサフルオロシクロペンタン環を含む本発明の化合物は、電子材料または半導体等への応用に特に適している。特に、チオフェン構造等を含む化合物は、特徴的な電気的性質を示し、ヘキサフルオロシクロペンタン環等を縮合させることにより、従来にない新たな電気的性質の発現も期待できる。また、本発明の化合物の用途は、電子材料または半導体に限定されず、あらゆる用途への適用が可能である。さらに、本発明の化合物を重合させてオリゴマーまたはポリマーとし、例えばオリゴチオフェン構造等を形成させることにより、π電子共役が拡張され、新規な電子受容性オリゴマーまたはポリマーとなることが期待される。このようなオリゴマーまたはポリマーは、例えば、有機n型半導体への適用、分子エレクトロニクス素子の開発に必要不可欠な分子ワイヤへの適用等も期待できる。

Claims (23)

  1. 下記式(II)で表される化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
    Figure 0005124081
    式(II)中、
    1およびY1は、それぞれ独立に、フッ素もしくはアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、
    1およびY1が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L1−S−、ただしL1はアルキレン基)を形成するか、または、
    1およびY1はそれらが結合する炭素原子とともにカルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成し、
    2およびY2は、それぞれ独立に、フッ素もしくはアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、
    2およびY2が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L2−S−、ただしL2はアルキレン基)を形成するか、または、
    2およびY2はそれらが結合する炭素原子とともにカルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成し、
    Zは、下記式(i)〜(iii)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
    Figure 0005124081
    1〜R3が、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、環構成原子数が3〜20である炭素環もしくはヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基としてハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、オキソ基、またはアミノ基を有していてもいなくても良い)、飽和もしくは不飽和炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、オキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、1個以上のハロゲンで置換されたアルキル基、アルコキシスルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、アルキルスルホニル基(ただし、そのアルキル基は1個以上のハロゲンで置換されていても良い。)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、またはアルコキシカルボニル基であるか、または、R1〜R3のうち2つ以上が一体となってZとともにヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基としてハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、オキソ基、またはアミノ基を有していてもいなくても良い)を形成する。
  2. 1〜R3のうち2つ以上が一体となってZとともに環を形成する場合、前記環は、構成原子数3〜20のヘテロ環(単環でも縮合環でも、飽和でも不飽和でも良く、置換基としてハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、オキソ基、またはアミノ基を有していてもいなくても良い)である、請求項1に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  3. 1、Y1、X2およびY2が全てフッ素である、請求項1または2に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  4. Zが硫黄原子(前記式(i))であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基である、請求項3に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  5. 下記式(68)〜(70)のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
    Figure 0005124081
  6. 1およびY1は、同一もしくは異なるアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、
    1およびY1が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L1−S−、ただしL1はアルキレン基)を形成するか、または、
    1およびY1はそれらが結合する炭素原子とともにチオカルボニル基を形成し、
    2およびY2は、同一もしくは異なるアルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であるか、または、
    2およびY2が一体となってアルキレンジチオ基(−S−L2−S−、ただしL2はアルキレン基)を形成するか、または、
    2およびY2はそれらが結合する炭素原子とともにチオカルボニル基を形成する
    請求項1または2に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  7. 前記アルキルスルファニル基(アルキルチオ基)が、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルスルファニル基(アルキルチオ基)であり、L1およびL2が、それぞれ独立に、炭素数2〜12の直鎖または分枝アルキレン基である、請求項6に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  8. 1およびY1が一体となってエチレンジチオ基(−SCH2CH2S−)を形成し、かつ、X2およびY2が一体となってエチレンジチオ基(−SCH2CH2S−)を形成している、請求項1または2に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  9. Zが硫黄原子(前記式(i))であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基である、請求項6〜8のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  10. 下記式(71)〜(73)のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
    Figure 0005124081
  11. 1およびY1が、それらの結合する炭素原子とともにカルボニル基を形成し、かつ、X2およびY2が、それらの結合する炭素原子とともにカルボニル基を形成している、請求項1または2に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  12. Zが硫黄原子(前記式(i))であり、R1およびR2が、それぞれ独立に、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝不飽和炭化水素基である、請求項11に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  13. 下記式(74)〜(76)のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
    Figure 0005124081
  14. 請求項3〜5のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を製造する方法であり、請求項6〜10のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ブロモアセトアミド(NBA)、2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサジエノンおよびN−ヨードコハク酸イミド(NIS)からなる群から選択される一つのハロニウムイオン発生剤の存在下、フッ化水素、フッ化水素とアミンとの錯体、フッ化水素とピリジンとの錯体、二水素三フッ化四級アンモニウムおよび二水素三フッ化四級ホスホニウムからなる群から選択される一つのフッ化物イオン源と反応させる工程を含む製造方法。
  15. 請求項6〜10のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を製造する方法であり、請求項11〜13のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を、チオール、H2S、B23、PSBr3、P25、および式(VII)で表される化合物からなる群から選択される含硫黄化合物と反応させる工程を含む製造方法。
  16. 前記含硫黄化合物との反応工程を、ルイス酸存在下で行なう、請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記ルイス酸が三フッ化ホウ素またはその錯体である、請求項16に記載の製造方法。
  18. 請求項11〜13のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を製造する方法であり、下記(IV)で表される化合物をフッ素化剤と反応させる工程を含む製造方法。
    Figure 0005124081
    前記式(IV)中、Z、R1およびR2は、それぞれ前記式(II)と同じである。
  19. 前記フッ素化剤がフルオロニウムイオン発生剤である、請求項18に記載の製造方法。
  20. 前記フッ素化剤が、N−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルフォネート(MEC−04B)である、請求項18に記載の製造方法。
  21. 電子材料または半導体の製造に用いる、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
  22. 請求項1〜13のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含む電子材料。
  23. 請求項1〜13のいずれかに記載の化合物、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含む半導体。
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