JP2822216B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アルミニウム、タンタル等の弁作用金属表
面の陽極酸化膜上に、ポリマー固体電解質層を形成した
固体電解コンデンサの製造方法に関する。
(従来の技術) 従来、アルミニウム、タンタル等の弁作用のある金属
を陽極体とする固体電解コンデンサにおいて、固体電解
質として二酸化マンガン(MnO2)やテトラシアノキノジ
メタン(TCNQ)錯塩を用いたものがよく知られている。
これらの固体電解質は、被覆成分の浸漬、過熱固化の繰
り返しによって行なわれるが、工程が複雑であり、固体
電解質の膜厚の制御も難しい。複雑な工程で生産性が低
いので、小容量のコンデンサの製作には不適であり、逆
に大容量のコンデンサの製作には高温加熱を行うため熱
歪の影響が大きくなる。これらの固体電解質は、浸漬
し、相当な高温で加熱固化するものであるから、陽極体
表面に絶縁体部材でパターンを設け、局所的に電解質層
を形成するようなプロセスは困難であり、また固体電解
質は粒状体で、固体電解質その他のチップ形成後チップ
に切断するようなプロセスの実行もできない。したがっ
てこれら技術は中容量のコンデンサしか実現できないの
が現状である。
近年このような欠点を補うものとして、固体電解質と
してチオフェンポリマーなどの導電性のポリマー層を有
する固体電解コンデンサの提供が試みられている。
この技術を用いれば上記問題点はほとんど解決され、
プロセス選択の自由度が大きく適当なプロセスによりチ
ップ型の小容量コンデンサから大容量のコンデンサまで
幅広く製品を製作することが可能となる。
(発明が解決しようとする課題) ポリマー固体電解質層は、アルミニウム、タンタル等
の弁作用金属表面の酸化アルムニウム(Al2O3)や酸化
タンタル(Ta2O5)等の陽極酸化膜上にチオフェン等の
複素環式化合物を電解酸化重合して形成させるが、電解
酸化重合ポリマーは金や白金などの金属表面にはよく形
成できるが陽極酸化膜上への形成は良くない。その理由
の1つとして、例えばチオフェンの電解酸化電位は約2.
0V VS SCEであってかなり高いため、酸化アルミニウム
や酸化タンタル等の陽極酸化膜上での電解重合が困難と
なることが挙げられる。本発明の目的は上記欠点を除去
し表面を陽極酸化した弁作用のある金属の陽極体上に、
コンデンサとして良好な特性を与えるポリマー固体電解
質層を形成した固体電解コンデンサを容易に製造し得る
方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明はかかる課題を解決するためになされたもので
あり、弁作用金属表面の陽極酸化膜上に固体電解質層を
形成した固体電解コンデンサの製造において、ポリマー
で固体電解コンデンサとして良好な特性を与えるポリマ
ー固体電解質に導くことができるモノマーであって、か
つ陽極酸化電位の低いモノマー複素環式化合物を原料と
して選択することにより、電気的特性の優れた固体電解
コンデンサを容易に製造することができるようにしたも
のである。
本発明において、重合原料として使用される複素環式
化合物は式(I)で表される化合物である。
(Yは−S−、NH及び−CH=CH−を示す。) 代表的な化合物としては、1,4−ジチオペンタレン、
ベンゾ[b]チオフェン、チエノ[3,2−b]ピロール
などが挙げられる。
上記複素環式化合物を重合させる方法としては通常の
電解反応における陽極酸化による方法が用いられ、例え
ば電流密度0.01〜100mA/cm2、電解電圧1〜300V、定電
流法、定電圧法及びそれ以外のいかなる方法も用いるこ
とができる。
この方法においては支持電解質を使用することができ
る。支持電解質としては、ボロジサリチル酸テトラアル
キルアンモニウム塩、ボロジサリチル酸ジアルキルアン
モニウム塩等のボロジサリチル酸の塩、ベンゼンスルホ
ン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン
酸またはその塩、シュウ酸、アジピン酸などが挙げられ
る。これらは混合して用いることも可能である。
複素環式化合物の電解酸化重合は、該化合物を支持電
解質と共に溶解し得る溶媒を使用して実施することが好
ましい。
これらの溶媒としては、脂肪族ニトリル類、脂肪族ケ
トン類、脂肪族エーテル類、脂肪族又は芳香族炭化水素
類、エステル類、アルコール類、水等が挙げられるが、
特にアセトニトリル、プロピレンカーボネート等が好ま
しい。
(実施例) 以下に実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発
明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1 あらかじめエッチング処理した高純度アルミニウムを
陽極酸化し、表面に酸化アルミニウムの誘電体層を形成
した1cm×1cm寸法の化成箔を陽極としアルミニウム板を
陰極として、1,4−ジチオペンタレン濃度0.1モル/、
テトラエチルアンモニウムボロジサリチル酸 濃度0.1
モル/のアセトニトリル溶液を用いて、電解槽中、電
流密度2.5mA/cm2で1時間電解酸化重合を行い化成箔に
ポリマー固体電解質層を形成した。この化成箔を取り出
し洗浄、乾燥した後、カーボンペーストと銀ペーストで
陰極を取り出し樹脂封口した。
実施例2〜3 実施例1で使用した複素環式化合物モノマーの種類を
変えた以外は実施例1と同様に処理し、各々相当するポ
リマー固体電解質層を有するコンデンサを作成した。
各実施例で使用したモノマーは、第1表に示すとおり
である。
また、各実施例で得られた電解コンデンサの電解的特
性を、使用した複素環式化合物の酸化電位及び酸化アル
ミニウム電極電解電位と共に第2表に示す。
これらの実施例の結果からみて、本発明の方法では酸
化電位が低いモノマーの電解酸化重合を行うので、弁作
用金属表面の陽極酸化膜上へ重合が進行し易く、また本
発明の方法で作成した固体電解コンデンサは高周波での
等価直列抵抗値が低く、かつ単位面積当たりの容量が高
いなどの優れた電気的特性を示すことが伴る。
(発明の効果) 以上詳細に説明した通り、本発明の方法によれば電解
酸化重合原料として前記式(I)で表される特定の複素
環式化合物を使用するのでAl2O3等の陽極酸化膜上での
重合が容易となり、そして優れた電気的特性を有する固
体電解コンデンサを得ることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁作用金属表面の陽極酸化膜上に固体電解
    質層を形成した固体電解コンデンサの製造方法におい
    て、下記の式(I) (Yは−S−、NH及び−CH=CH−を示す) で表される複素環式化合物群から選択された化合物の電
    解酸化重合を行い固体電解質層を形成することを特徴と
    する固体電解コンデンサの製造方法。
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