JP5122911B2 - 半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板の表面に格子状に形成された複数のストリートによって区画された領域にデバイスが形成されたウエーハにおける半導体基板の裏面に金属層を形成するとともに、ウエーハを該複数のストリートに沿って切断することにより個々のデバイスに分割する半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域に、IC,LSI、IBGT(絶縁ゲートバイボーラトランジスタ)等のデバイスを形成する。絶縁ゲートバイボーラトランジスタ等の個別半導体デバイスの裏面には電極となる金属層が積層されている。半導体基板の表面に絶縁ゲートバイボーラトランジスタ等が形成された半導体ウエーハは、半導体基板の裏面に金属膜を積層した後に、ストリートに沿って切断し個々のデバイスに分割している。
このような半導体ウエーハのストリートに沿った分割は、通常、ダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置は、被加工物である半導体ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された半導体ウエーハを切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる移動手段とを具備している。切削手段は、高速回転せしめられる回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードを含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって固定して形成されている。(例えば、特許文献1参照。)
特開2002−359212号公報
而して、半導体基板の裏面に金属層が積層された半導体ウエーハを切削装置の切削ブレードによって切削して個々のデバイスに分割すると、次のような問題が発生することがわかった。即ち、金属層が積層されたウエーハを切削装置の切削ブレードによって切削して分割したデバイスの金属層側を電極フレームに接合してパッケージングし、例えば180℃の温度範囲において繰り返し昇降実験すると、半導体基板における金属層から数μm内部に雲母のような割れが発生し、半導体基板が電極フレームに接合された金属層から剥離するという問題がある。
上述した問題は、半導体基板の裏面に積層された金属層の厚みが厚いか、電極フレームにデバイスの金属層を接合するロー材の厚みが厚い場合には、電極フレームと半導体基板の熱膨張率の相違による熱歪を金属層やロー材が吸収して半導体基板に割れが生ずることはない。しかるに、半導体パッケージの軽量化やコスト低減等の理由から金属層やロー材の厚みを例えばそれぞれ1〜2μm程度に薄くすると、電極フレームと半導体基板の熱膨張率の相違による熱歪を金属層やロー材によって吸収できなくなる。このとき、デバイスの切断面に切削ブレードの切断による加工歪が残留している場合に、半導体基板に割れが発生すると考えられる。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、半導体基板の裏面に積層される金属層の厚みを薄くしても、電極フレームに金属層を接合したデバイスの半導体基板に割れが発生することを防止できる半導体デバイスの製造方法を提供することである。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、半導体基板の表面に格子状に形成された複数のストリートによって区画された領域にデバイスが形成されたウエーハにおける該半導体基板の裏面に金属層を形成するとともに、ウエーハを該複数のストリートに沿って切断することにより個々のデバイスに分割する半導体デバイスの製造方法であって、
切削装置のチャックテーブルにウエーハの表面側を保持し、断面形状がV字状を有する切削ブレードにより該半導体基板の裏面側から該複数のストリートに沿ってV字状の切削溝を形成するV溝形成工程と、
該V溝形成工程が実施されウエーハの該半導体基板に形成されたV字状の切削溝の露出面に残留する加工歪を除去する加工歪除去工程と、
該加工歪除去工程が実施されたウエーハの該半導体基板の裏面に金属層を積層する金属層形成工程と、
該金属層形成工程が実施されたウエーハを該ストリートに沿ってV字状の切削溝の底部と該半導体基板の表面間を切断することによってウエーハを個々のデバイスに分割する切断工程と、を含み、
該切断工程は、該V字状の切削溝の幅より小さい幅の切れ刃を有する切削ブレードによって実施する、
ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法が提供される。
上記加工歪除去工程は、プラズマエッチングによって実施される。
本発明による半導体デバイスの製造方法によれば、分割されたデバイスを構成する半導体基板の裏面側周辺は面取りされた状態の傾斜面に形成さ、この傾斜面は上記加工歪除去工程によって加工歪除去されているとともに、上記金属層形成工程によって金属層積層されている。従って、デバイスを構成する半導体基板の裏面に積層された金属層が1μm程度に薄い場合であっても、金属層側を電極フレームに接合してパッケージングし、熱負荷を繰り返し作用しても半導体基板に割れが生ずることはない。
以下、本発明による半導体デバイスの製造方法について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1には、ウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、例えば厚さが300μmのシリコンからなる半導体基板20の表面20aに格子状に形成されて複数のストリート21によって区画された複数の矩形領域が形成され、この複数の矩形領域に絶縁ゲートバイボーラトランジスタ等のデバイス22が形成されている。
上述した半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aには、デバイス22を保護するために図2に示すように保護テープ3を貼着する(保護テープ貼着工程)。
次に、切削装置のチャックテーブルに半導体ウエーハ2の表面側を保持し、断面がV字状を有する切削ブレードにより半導体基板20の裏面側から複数のストリート21に沿ってV字状の切削溝を形成するV溝形成工程を実施する。このV溝形成工程は、図3に示す切削装置4を用いて実施する。図3に示す切削装置4は、被加工物を保持するチャックテーブル41と、該チャックテーブル41上に保持された被加工物を切削する切削ブレード421を備えた切削手段42と、チャックテーブル41上に保持された被加工物を撮像する撮像手段43を具備している。チャックテーブル41は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図3において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。切削ブレード421は円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃421aからなっており、切れ刃421aは例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって固定して形成され、断面形状は角度が90度のV字状に形成されている。なお、環状の切れ刃421aの幅は、図示の実施形態においては200μmに設定されている。上記撮像手段43は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
このように構成された切削装置4を用いてV溝形成工程を実施するには、図3に示すように上述したように半導体基板20の表面20aに貼着された保護テープ3側を載置し、図示しない吸引手段を作動して半導体ウエーハ2をチャックテーブル41上に吸引保持する。従って、チャックテーブル41上に吸引保持された半導体ウエーハ2は、半導体基板20の裏面20b側が上側となる。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル41は、図示しない切削送り機構によって撮像手段43の直下に位置付けられる。チャックテーブル41が撮像手段43の直下に位置付けられると、撮像手段43および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2の切削すべき領域を検出するアライメント工程を実行する。即ち、撮像手段43および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに所定方向に形成されているストリート21と切削ブレード421との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、切削領域のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに形成されている上記所定方向に対して直交して延びるストリート21に対しても、同様に切削領域のアライメントが遂行される。このとき、ストリート21が形成されている半導体基板20の表面20aは下側に位置しているが、撮像手段43が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、半導体基板20の裏面20b側から透かしてストリート21を撮像することができる。
上述したように半導体ウエーハ2に形成された21と切削ブレード421との位置合わせを行うアライメントを実施したならば、半導体ウエーハ2を保持したチャックテーブル41を切削領域の切削開始位置に移動する。このとき、図4に示すように半導体ウエーハ2は切削すべきストリート21の一端(図4において左端)が切削ブレード421の直下より所定量右側に位置するように位置付けられる。そして、切削ブレード421を図4において矢印420で示す方向に所定の回転速度で回転し、2点鎖線で示す待機位置から図示しない切り込み送り機構によって図4において実線で示すように下方に所定量切り込み送りする。この切り込み送り位置は、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20b(上面)から例えば80μm下方位置に設定されている。
上述したように切削ブレード421の切り込み送りを実施したならば、切削ブレード421を図4において矢印420で示す方向に所定の回転速度で回転しつつ、チャックテーブル41を図4において矢印X1で示す方向に所定の切削送り速度で切削送りする。そして、チャックテーブル41に保持された半導体ウエーハ2の右端が切削ブレード421の直下を通過したらチャックテーブル41の移動を停止する。この結果、半導体ウエーハ2は、図5に示すように半導体基板20の裏面20bにストリート21に沿ってV字状の切削溝23が形成される。以後、順次複数のストリート21の間隔に対応する距離だけチャックテーブル41を矢印Yで示す方向に割り出し送りし、隣接する第1のストリート21に沿って半導体基板20の裏面20bにV字状の切削溝23を形成する。なお、半導体基板20の裏面20bに形成されるV字状の切削溝23は、図示の実施形態においては深さHが80μm、幅Lが160μmに設定されている。
なお、上記V溝形成工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
切削ブレード :外径52mm、幅200μm(断面形状:V字状)
切削ブレードの回転速度:40000rpm
切削送り速度 :10mm/秒
上述したように半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20bに複数のストリート21に沿ってV字状の切削溝23を形成したらならば、半導体ウエーハ2を保持するチャックテーブル41を90度回動する。そして、上記所定方向に対して直交する方向に延びる各ストリート21に沿って上記V溝形成工程を実施する。このようにして、半導体基板20の裏面20bに複数のストリート21に沿ってV字状の切削溝23を形成すると、V字状の切削溝23の表面23aには切削によって生ずる加工歪が残留する。
上述したようにV溝形成工程を実施したならば、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20bに形成されたV字状の切削溝23の露出面23aに残留する加工歪を除去する加工歪除去工程を実施する。この加工歪除去工程は、図示の実施形態においては図6に示すプラズマエッチング装置5を用いて実施する。図6に示すプラズマエッチング装置5は、ハウジング51と、該ハウジング51内に上下方向に対向して配設された下部電極52と、上部電極53を具備している。下部電極52は、円盤状の被加工物保持部521と、該被加工物保持部521の下面中央部から突出して形成された円柱状の支持部522とからなっている。被加工物保持部521の上面には多孔質セラミックス材によって形成された吸着チャック521aが配設されており、この吸着チャック521a上に上記V溝形成工程が実施された半導体ウエーハ2が載置され、図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持される。また、支持部522には、高周波電圧印加手段54に接続されている。
上記上部電極53は、円盤状のガス噴出部531と、該ガス噴出部531の上面中央部から突出して形成された円柱状の支持部532とからなっている。このようにガス噴出部531と円柱状の支持部532とからなる上部電極53は、ガス噴出部531が下部電極52を構成する被加工物保持部521と対向して配設されている。上部電極53を構成する円盤状のガス噴出部531には、下面に開口する複数の噴出口531aが設けられている。この複数の噴出口531aは、ガス噴出部531に形成された連通路531bおよび支持部532に形成された連通路532aを介してガス供給手段55に連通されている。ガス供給手段55は、六フッ化イオウ(SF6)等のフッ素系ガスを主体とするプラズマ発生用の混合ガスを供給するようになっている。
以上のよう構成されたプラズマエッチング装置5を用いて加工歪除去工程を実施するには、下部電極52を構成する被加工物保持部521上に上記V溝形成工程が実施された半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに貼着された保護テープ3側を載置し、図示しない吸引手段を作動して半導体ウエーハ2を被加工物保持部521上に吸引保持する。従って、被加工物保持部521上に吸引保持された半導体ウエーハ2は、半導体基板20の裏面20bが上側となる。
次に、ガス供給手段55を作動してプラズマ発生用ガスを上部電極53に供給する。ガス供給手段55から供給されたプラズマ発生用ガスは、上部電極53の支持部532に形成された連通路532aおよびガス噴出部531に形成された連通路531bを通して複数の噴出口531aから下部電極52の吸着保持部材521上に保持された半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20b(上面)に向けて噴出される。このように、プラズマ発生用ガスを供給した状態で、高周波電圧印加手段54から下部電極52と上部電極53との間に高周波電圧を印加する。これにより、下部電極52と上部電極53との間の空間にプラズマが発生し、このプラズマにより生じる活性物質が半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20bに作用する。この結果、シリコンからなる半導体基板20の裏面20bおよびV字状の切削溝23の露出面23aがエッチングされる。従って、半導体基板20の裏面20bに形成されたV字状の切削溝23の露出面23aに残留する加工歪が除去される。なお、半導体基板20の裏面20bが全面に渡ってエッチングされるので、裏面20bが研削されている場合には残存する研削歪も除去される。
なお、上述した加工歪除去工程においてはフッ素系ガスを主体とするプラズマ発生用ガスを用いたプラズマエッチングによって実施した例を示したが、加工歪除去工程は硝酸とフッ酸との混合液からなるエッチング液を用いたウエットエッチングによって実施してもよい。
上述した加工歪除去工程を実施したならば、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20bに金属層を積層する金属層形成工程を実施する。この金属層形成工程は、図7に示すスパッタ装置6を用いて実施する。図7に示すスパッタ装置6は、スパッタチャンバー61を形成するハウジング62と、該ハウジング62のスパッタチャンバー61内に配設され被加工物を保持する陽極となる静電吸着式の保持テーブル63と、該保持テーブル63と対向して配設され被覆する金属からなるターゲット64を取り付ける陰極65と、ターゲット64を例示する励磁手段66と、陰極65に高周波電圧を印加する高周波電源67とからなっている。なお、ハウジング62には、スパッタチャンバー61内を図示しない減圧手段に連通する減圧口621と、スパッタチャンバー61内を図示しないスパッタガス供給手段に連通する導入口622が設けられている。
上記のように構成されたスパッタ装置6を用いて金属層形成工程を実施するには、保持テーブル63上に上述した加工歪除去工程が実施された半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに貼着された保護テープ3側を載置し、静電吸着保持する。従って、保持テーブル63上に静電吸着保持された半導体ウエーハ2は、半導体基板20の裏面20bが上側となる。次に、励磁手段66を作動してターゲット64を励磁するとともに、陰極65に高周波電源67から例えば40kHzの高周波電圧を印加する。そして、図示しない減圧手段を作動してスパッタチャンバー61内を10−2Pa〜10−4Pa程度に減圧するとともに、図示しないスパッタガス供給手段を作動してスパッタチャンバー61内にアルゴンガスを導入してプラズマを発生させる。この結果、プラズマ中のアルゴンガスが陰極65に取り付けられた金属からなるターゲット64に衝突し、この衝突によって飛散する金属粒子は半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20bに堆積して、図8に示すようにV字状の切削溝23の露出面23aを含む半導体基板20の裏面20bに金属層24が積層される。
上述した金属層形成工程を実施したならば、半導体ウエーハ2をストリート21に沿ってV字状の切削溝23の底部と半導体基板20の表面間を切断する切断工程を実施する。この切断工程は、上記図3に示す切削装置4を用いて実施することができる。なお、この切断工程を実施する際には、図9に示すように切削ブレード422の切れ刃422aが半導体基板20の裏面20bに形成されたV字状の切削溝23の幅Lより小さい幅の切削ブレードを用いることが重要であり、図示の実施形態においては切れ刃422aは幅が30μmに形成されている。
図3に示す切削装置4を用いて切断工程を実施するには、図10に示すように上記金属層形成工程が実施された半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の裏面20bを環状のフレームFの内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープTの表面に貼着する(ウエーハ支持工程)。そして、半導体基板20の表面20aに貼着されている保護テープ3を剥離する。
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、図9に示すように切削装置4のチャックテーブル41上に上述したウエーハ支持工程において半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープTを載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープTを介して半導体ウエーハ2をチャックテーブル41上に保持する。なお、図9においてはダイシングテープTが装着された環状のフレームFを省いて示しているが、環状のフレームFはチャックテーブル41に配設された図示しないクランプによって固定される。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル41は、図示しない切削送り機構によって撮像手段43の直下に位置付けられる。
チャックテーブル41が撮像手段43の直下に位置付けられると、撮像手段43および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2の切削すべき領域を検出するアライメント工程を実行する。即ち、撮像手段43および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに形成された所定方向に延びるストリート21と、切削ブレード421との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、切削領域のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに形成されている上記所定方向と直交する方向に延びるストリート21に対しても、同様に切削領域のアライメントが遂行される。
以上のようにしてチャックテーブル41上に保持された半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに形成されているストリート21を検出し、切削領域のアライメントが行われたならば、半導体ウエーハ2を保持したチャックテーブル41を切削領域の切削開始位置に移動する。このとき、図11の(a)に示すように半導体ウエーハ2は切削すべき所定のストリート21の一端(図11の(a)において左端)が切削ブレード422の直下より所定量右側に位置するように位置付けられる。そして、切削ブレード421を図11の(a)において矢印420で示す方向に所定の回転速度で回転し、2点鎖線で示す待機位置から図示しない切り込み送り機構によって図11の(a)において実線で示すように下方に所定量切り込み送りする。この切り込み送り位置は、図示の実施形態においては図11の(b)に示すように切れ刃421aの下端が半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20a(上面)から半導体基板20の裏面20bに形成されたV字状の切削溝23に達する位置に設定されている。
上述したように切削ブレード421の切り込み送りを実施したならば、切削ブレード422を図11の(a)において矢印420で示す方向に所定の回転速度で回転しつつ、チャックテーブル41を図11の(a)において矢印X1で示す方向に所定の切削送り速度で移動せしめる。そして、チャックテーブル41に保持された半導体ウエーハ2の右端が切削ブレード422の直下を通過したらチャックテーブル41の移動を停止する。この結果、半導体ウエーハ2は、第1のストリート21aに沿って半導体基板20の表面20aからV字状の切削溝23まで切削される。この結果、半導体ウエーハ2はストリート21に沿って切断されることになる。以後、順次複数のストリート21の間隔に対応する距離だけチャックテーブル41を矢印Yで示す方向に割り出し送りし、隣接するストリート21に沿って半導体ウエーハ2を切断する。
なお、上記切断工程は、上記基準線形成工程と同様に以下の加工条件で行われる。
切削ブレード :外径52mm、幅30μm
切削ブレードの回転速度:40000rpm
切削送り速度 :10mm/秒
上述したように半導体ウエーハ2を構成する半導体基板20の表面20aに形成された複数のストリート21に沿って切断工程を実施したならば、半導体ウエーハ2を保持するチャックテーブル41を90度回動する。そして、半導体基板20の表面20aに形成された上記所定方向と直交する方向に延びる全てのストリート21に沿って上記切断工程を実施する。この結果、半導体ウエーハ2は、図12に示すように裏面に金属層24が積層された個々のデバイス200に分割される。このようにして分割されたデバイス200を構成する半導体基板20の裏面20b側周辺は面取りされた状態の傾斜面に形成され。この傾斜面は上述したように加工歪除去工程によって加工歪が除去されているとともに、上記金属層形成工程によって金属層24が積層されている。従って、デバイス200を構成する半導体基板20の裏面に積層された金属層24が1μm程度に薄い場合であっても、金属層24側を図示しない電極フレームに接合してパッケージングし、熱負荷を繰り返し作用しても半導体基板20に割れが生ずることはない。
本発明による半導体デバイスの製造方法によって分割されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。 図1に示す半導体ウエーハの裏面に保護テープを貼着した状態を示す斜視図。 本発明による半導体デバイスの製造方法におけるV溝形成工程を実施するための切削装置の要部斜視図。 本発明による半導体デバイスの製造方法におけるV溝形成工程の説明図。 図4に示すV溝形成工程が実施された半導体ウエーハの断面拡大図。 本発明による半導体デバイスの製造方法における加工歪除去工程を実施するためのプラズマエッチング装置の要部断面図。 本発明による半導体デバイスの製造方法における金属層形成工程を実施するためのスパッタ装置の要部断面図。 本発明による半導体デバイスの製造方法における金属層形成工程が実施された半導体ウエーハの断面拡大図。 本発明による半導体デバイスの製造方法における切断工程を実施するための切削装置の要部斜視図。 本発明による半導体デバイスの製造方法におけるウエーハ支持工程の説明図。 本発明による半導体デバイスの製造方法における切断工程の説明図。 本発明による半導体デバイスの製造方法によって分割されたデバイスの斜視図。
符号の説明
2:半導体ウエーハ
20:半導体基板
21:ストリート
22:デバイス
23: V字状の切削溝
24:金属層
3:保護テープ
4:切削装置
41:切削装置のチャックテーブル
42:切削手段
421:切削ブレード
422:切削ブレード
43:撮像手段
5:プラズマエッチング装置
51:ハウジング
52:下部電極
53:上部電極
54:高周波電圧印加手段
55:ガス供給手段
6:スパッタ装置
61:スパッタチャンバー
62:ハウジング
63:保持テーブル
64:金属からなるターゲット
65:陰極
66:励磁手段
67:高周波電源
F:環状のフレーム
T:ダイシングテープ

Claims (2)

  1. 半導体基板の表面に格子状に形成された複数のストリートによって区画された領域にデバイスが形成されたウエーハにおける該半導体基板の裏面に金属層を形成するとともに、ウエーハを該複数のストリートに沿って切断することにより個々のデバイスに分割する半導体デバイスの製造方法であって、
    切削装置のチャックテーブルにウエーハの表面側を保持し、断面形状がV字状を有する切削ブレードにより該半導体基板の裏面側から該複数のストリートに沿ってV字状の切削溝を形成するV溝形成工程と、
    該V溝形成工程が実施されウエーハの該半導体基板に形成されたV字状の切削溝の露出面に残留する加工歪を除去する加工歪除去工程と、
    該加工歪除去工程が実施されたウエーハの該半導体基板の裏面に金属層を積層する金属層形成工程と、
    該金属層形成工程が実施されたウエーハを該ストリートに沿ってV字状の切削溝の底部と該半導体基板の表面間を切断することによってウエーハを個々のデバイスに分割する切断工程と、を含み、
    該切断工程は、該V字状の切削溝の幅より小さい幅の切れ刃を有する切削ブレードによって実施する、
    ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  2. 該加工歪除去工程は、プラズマエッチングによって実施される、請求項1記載の半導体デバイスの製造方法。
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