JP5120540B2 - 光学素子、上記光学素子を用いた液晶表示装置用部材、上記液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置、上記光学素子の製造方法及び複屈折率機能層の評価方法 - Google Patents

光学素子、上記光学素子を用いた液晶表示装置用部材、上記液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置、上記光学素子の製造方法及び複屈折率機能層の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、複屈折率機能層を有する光学素子に関し、より詳しくは、重合性液晶モノマーを配向させ固定化させてなる複屈折率機能層を備える光学素子に関する。また上記光学素子を備える液晶表示装置用部材及び液晶表示装置、及び上記光学素子の製造方法、上記複屈折率層の評価方法に関する。
液晶表示装置は、薄型化や軽量化が容易である点や、消費電力を低減できる点、フリッカーを生じ難い点などの利点があることから、テレビや医療機器など様々な分野に用いられている。これらの液晶表示装置は、駆動液晶材料の複屈折性を利用して光のスイッチングを行っている。したがって、液晶表示装置は駆動液晶材料の複屈折性に由来する視野角依存性を有する。そしてその一方で、使用者が液晶表示画面を見る角度によっては光漏れや階調反転現象を生じる問題、即ち視野角が狭くなるという問題を抱えていた。
上記問題を解決するため、液晶セルからの出射光や液晶セルへの入射光を制御する位相差制御機能を有する複屈折率機能層形成用フィルムが開発されている。この複屈折率機能層形成用フィルムは、通常、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のフィルムの延伸によって作製される。そして上記フィルムは、2枚の基板で駆動用液晶材料を挟み込んでなる液晶セルの外側に設置される。このとき上記複屈折率機能層形成用フィルムは、通常、粘着剤を用いて基板へ貼り付けて用いられる。しかし、基板に塗布された上記粘着剤の屈折率が、複屈折率機能層形成用フィルムの屈折率とは異なるため、ディスプレー表示面に乱反射が生じるという問題があった。また該複屈折率機能層形成用フィルムを基板外側に貼り付けると、露出する該フィルムが湿気を吸って膨張してしまうという問題があった。またさらに複屈折率機能層形成用フィルムでは、ディスプレーの画素サイズに併せたパターンニングができず、加えて耐熱性が低いため、経時的な収縮による光学特性の変化等の問題があった。
上記問題に対して、最近では重合性液晶や高分子液晶等の液晶材料を用いて位相差制御機能を有する複屈折率機能層を形成する方法、及びこれを駆動用液晶材料を挟持する二枚の基板の内側に設けた所謂インセル型として使用することが提案されている(例えば、特許文献1)。上記重合性液晶材料等を用いて複屈折率機能層を形成するには、該重合性液晶材料等を所定の基材上に塗布した後、所望の配向を促し、ついでこの配向を固定化させる必要がある。上記特許文献1には、重合可能な液晶材料等をホメオトロピック配向させて形成される位相差制御機能を有する整列層の発明が開示されている。該整列層において三次元ポリマーネットワークを形成させるにあたり、ポリマーの架橋密度を増加させるための方法として、2つまたは3つ以上の重合可能な官能基を有する非メソゲン性化合物を、重合可能な材料に添加する方法が開示されている。
上記インセル型として用いられる複屈折率機能層は、上述した基板外側に貼り付けるタイプの複屈折率機能層形成用フィルムの有する問題を解決することのできる点で優れている。
特表2004−524385号公報
通常、上記複屈折率機能層は、光学素子内に形成された際には良好に所望の配向を示す。しかしながら、さらに上記光学素子に異なる層を積層して液晶装置用部材を形成すると、複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料の配向が乱れ、あるいは該複屈折率機能層の性状が乱れて問題であった。またその結果、かかる複屈折率機能層を備える光学素子では、高品質の位相差制御機能を提供できず、問題であった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、光学素子における複屈折率機能層が、該複屈折率機能層形成後に行われる他の層の形成工程に影響されることなく、その配向及び性状を良好に維持することを可能とする。
本発明は、複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料において残存する二重結合量に着目するものである。より詳しくは、本発明は、一定の熱処理前後において求められる残存二重結合量の減少度が0.25未満である複屈折率機能層であれば、該複屈折率機能層形成後に行われる他の層の形成工程に影響を受けることなく、その結果、複屈折率機能層形成後の配向及びその性状が良好に維持されるという知見に基づき完成されたものである。
即ち本発明は、
(1)光透過性を有する基板と、重合性液晶材料より構成される複屈折率機能層とを少なくとも備える光学素子であって、上記複屈折率機能層が、少なくとも一方の末端に重合性基を有する重合性液晶モノマーを配向させ、次いで固定化させることによって形成されており、250℃1hrの熱処理前後における上記複屈折率機能層における、以下に示す残存二重結合減少度が0.25未満であることを特徴とする光学素子。
Attenuated Total. Reflectance法による測定を行い、250℃1hrの熱処理前の上記光学素子における複屈折率機能層の赤外スペクトルを検出し、810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(初期P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(初期P2)で割った値(初期P1/初期P2)を初期残存二重結合量とし、
次いで、上記光学素子を、上記250℃1hrの熱処理として、予め250℃に加熱されたオーブン内に設置し、その状態で1時間熱処理を行い、常温になるまで放置した後、
上述と同様に光学素子の赤外スペクトルを測定し、これにより求められる810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(熱処理後P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(熱処理後P2)で割った値(熱処理後P1/熱処理後P2)を熱処理後残存二重結合量とし、以下の計算式より算出された値を残存二重結合量減少度とする。
Figure 0005120540
(2)上記複屈折率機能層が、基材上面に直接または間接に、重合性液晶モノマーを含有する複屈折率機能層組成液を塗布して塗膜を形成し、次いで上記重合性液晶モノマーを所望の方向に配向させた後、上記塗膜上面に光を照射して上記重合性液晶モノマー間において重合反応を起こすことにより形成されることを特徴とする上記(1)に記載の光学素子、
(3)上記複屈折率機能層が、上記重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させた状態で重合させ固定化させることによって形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光学素子、
(4)上記基材と上記複屈折率機能層との間、又は上記複屈折率機能層の上面に直接若しくは間接に、着色層が形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の光学素子、
(5)上記基材上に、着色層、複屈折率機能層がこの順に形成され、さらに上記複屈折率機能層の上面に直接または間接に駆動用液晶材料を配向させるための配向膜が形成されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の光学素子、
(6)光透過性を有する基板を備えた2つの積層構造体の間に駆動用液晶材料の封入された液晶層を備える液晶表示装置用部材であって、少なくとも1つの積層構造体として、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の光学素子が用いられていることを特徴とする液晶表示装置用部材、
(7)上記光学素子における複屈折率機能層が、上記液晶表示装置用部材における液晶層側に位置するように用いられていることを特徴とする上記(6)に記載の液晶表示装置用部材、
(8)上記液晶層を挟む両基板の外側に偏光板を備えるとともに、電圧を負荷して液晶層の配向を変化させる電極部材からなる層とを備える多層構造の液晶表示装置において、上記(6)または(7)に記載の液晶表示装置用部材が用いられていることを特徴とする液晶表示装置、
(9)上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載される光学素子における複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、次いで250℃1hrの熱処理を行ない、上記光学素子が常温になるまで放置した後、熱処理後の複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、熱処理前後に測定された上記残存二重結合量の差を算出することにより残存二重結合減少度を求めることを特徴とする複屈折率機能層の評価方法、
(10)光透過性を有する基板と、重合性液晶材料より構成される複屈折率機能層とを少なくとも備える光学素子の製造方法であって、上記基板に直接又は間接に、少なくとも一方の末端に重合性基を有する重合性液晶モノマーを配向させ、次いで固定化させることによって上記複屈折率機能層を形成して光学素子を形成し、さらに、上記複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、次いで250℃1hrの熱処理を行ない、上記光学素子が常温になるまで放置した後、熱処理後の複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、熱処理前後に測定された上記残存二重結合量の差を算出し、以下に示す残存二重結合減少度として算出される上記残存二重結合量の差が、0.25未満であるものを選択することを特徴とする光学素子の製造方法。
Attenuated Total. Reflectance法による測定を行い、250℃1hrの熱処理前の上記光学素子における複屈折率機能層の赤外スペクトルを検出し、810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(初期P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(初期P2)で割った値(初期P1/初期P2)を初期残存二重結合量とし、
次いで、上記光学素子を、上記250℃1hrの熱処理として、予め250℃に加熱されたオーブン内に設置し、その状態で1時間熱処理を行い、常温になるまで放置した後、
上述と同様に光学素子の赤外スペクトルを測定し、これにより求められる810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(熱処理後P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(熱処理後P2)で割った値(熱処理後P1/熱処理後P2)を熱処理後残存二重結合量とし、以下の計算式より算出された値を残存二重結合量減少度とする。
Figure 0005120540
(11)基板に直接または間接に、重合性液晶モノマーを含有する複屈折率機能層組成液を塗布して塗膜を形成し、次いで上記重合性液晶モノマーを所望の方向に配向させた後、上記塗膜上面に光を照射して上記重合性液晶モノマー間において重合反応を起こすことにより上記複屈折率機能層を形成することを特徴とする上記(10)に記載の光学素子の製造方法、
(12)上記基板と上記複屈折率機能層との間、又は上記複屈折率機能層の上面に直接若しくは間接に、着色層を形成することを特徴とする上記(10)に記載の光学素子の製造方法、
を要旨とするものである。
「複屈折率機能層」とは、光の位相差(リタデーション)変化に対して光学補償することができる位相差制御機能を有する層を意味する。
「ホメオトロピック配向」とは、複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料の光軸が基板面に対して垂直または略垂直に立ち上がっている配向状態をいう。また「複屈折率機能層がホメオトロピック配向している」とは、複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料が、ホメオトロピック配向していることを意味する。尚、本発明において、重合性液晶材料の理想的なホメオトロピック配向とは、複屈折率機能層の厚さ方向をz軸にしてxyz直交座標を想定したとき、x軸方向の屈折率nxとy軸方向の屈折率nyがほぼ同じ値になり、かつ測定角度が0°の時の位相差値が4nm以下の場合をいう。上記位相差値は、好ましくは3.5nm以下であり、より好ましくは3nm以下である。
「二重結合」とは、重合性液晶モノマーの末端に位置する重合性基において、重合に寄与する炭素間二重結合を指す。
「重合性液晶材料」というときは、重合性液晶モノマー、重合性液晶モノマーから構成されるオリゴマーまたはポリマーのいずれか、あるいは組み合わせ、あるいは全てを意味する。また特に「重合性液晶モノマー」というときは、単量体である重合性液晶材料のみを指す。
本発明の光学素子によれば、複屈折率機能層形成後に行われる他の層の形成工程(以下、単に「後工程」ともいう)において、複屈折率機能層が溶媒に晒され、あるいは高温に加熱された場合であっても、該複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料の配向を実質的に乱す虞がなく、また複屈折率機能層の性状を実質的に乱す虞がない。従って、例えば、本発明の光学素子において形成された複屈折率機能層の上面に直接に、着色層や、駆動用液晶材料の配向を促すポリイミド配向膜などが形成される場合であっても、その形成工程によって、複屈折率機能層の配向あるいは性状が乱れることがない。尚、上記後工程には、本発明の光学素子を備える液晶表示装置用部材を構成する任意の層の形成工程も含まれる。
また本発明における複屈折率機能層は、重合性液晶性材料より構成されて光学素子内に設けられるものである。そのため、基板の外側表面に貼り付けて設けられる従来の複屈折率機能層形成用フィルムとは異なり、耐熱性が高く、複屈折特性が熱による影響を受け難い。したがって、本発明の光学素子は、例えば車内のように比較的高温になり易い環境下で使用される光学機器にも好適に用いることができる。更に、本発明の光学素子は、耐熱性が比較的高いので、光学機器に設置される液晶パネル中に設けることも可能である。特に、上記重合性液晶材料が架橋構造を示す複屈折率機能層を有する本発明であれば、上述の効果をより顕著に得ることができる。
特に、上記複屈折率機能層を構成する重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させた状態で固定化してなる本発明の光学素子では、液晶ディスプレーの各種表示モードのうち、特にIn Plane Switchingモード(IPSモード)において適切な複屈折率機能を発揮する光学素子を提供することができる。
さらにまた、本発明の液晶表示装置用部材は液晶パネルを構成する部材に一体的に光学素子を積層形成することができる。したがって、上記複屈折率機能層形成用フィルムのような位相差を制御するフィルム材などの部材を別途設けることなく光学機器を設計することが可能となる。別体で上記部材を設けるには、上述のとおり、粘着剤などを用いてこれを基板などに貼り付ける必要がある。これに対し、本発明の光学素子を備える液晶表示装置用部材によれば、このような粘着剤を不要とすることができるため、粘着剤による光の散乱などの虞を低減することができる。
従って、上記光学素子を備える本発明の液晶表示装置用部材、及び該部材を備える液晶表示装置では、高品質の位相差制御機能を提供することが可能である。
本発明の光学素子は、末端に重合性基を有する重合性液晶モノマーを、光透過性を有する基板に直接または間接に塗布し、所望の配向を促した後、該配向した状態で固定化させて形成される複屈折率機能層を備えるものである。そして本発明の光学素子は、形成後、250度1hrの熱処理前後において上記複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料の二重結合の残存量を測定した際に、該残存量の変化割合が0.25未満である。以下に、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。尚、「基材」というときは、基板そのもの、あるいは基板上に他の層が形成されているものを意味する。
(光学素子について)
図1は、本発明における光学素子の一実施態様を示す。
この光学素子1は、まず基板2表面上に、ブラックマトリクス5(BM)、赤のサブ画素6、緑のサブ画素7、青のサブ画素8を備える着色層3が形成され、次に着色層3の表面に、複屈折率機能層4が積層され、さらに、複屈折率機能層4の上面に任意の間隔で配列される複数のスペーサ9が形成されて構成されている。
(基板について)
基板2は、光透過性を有する透明で光学的に等方性のものであることが好ましいが、必要に応じて光学的に異方性を備えた領域や遮光性を備えた領域を局所的に有していてもよい。また光透過率は液晶表示装置用部材の用途に応じて適宜選定可能である。
基板としては、ガラス基板、フィルム等を任意に用いることが可能である。液晶ディスプレー用として用いる場合には、基板には無アルカリガラスを用いることが好ましい。フィルムとしては、1軸延伸または2軸延伸したフィルムを用いることが可能であり、また面内にリタデーションを有さないTACフィルムなどを用いることも可能である。
基板2は、具体的には、ガラス、シリコン、もしくは石英等といった無機物質に基づく材料の他、有機物質に基づく材料(有機基材)を用いることができる。有機基材としては例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができる。また基板として、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。基板2は、用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度の厚さのものが使用される。
(着色層について)
基板2上に着色層3が形成された本発明の光学素子1であれば、位相差制御機能を有する部材として用いると同時に、液晶表示装置用のカラーフィルタとしても用いることができる。この場合、光学素子に着色層を備える別部材を積層する場合と比較して、層全体の厚さを小さく抑えることができるため、液晶表示用装置の薄型化を図ることができる。
ブラックマトリクス(以下、単に「BM」ともいう)5は、基板2面上に各色のサブ画素(着色サブ画素)6、7、8の配置される位置に対応する領域を、平面視上、個々の着色サブ画素6、7、8ごとに区画化するように形成される。
上記BM5は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を所定形状に基板2面にパターニングすることにより形成される。あるいは、スピンコート法などで樹脂BM組成物溶液を基材面に塗布し、90℃前後の温度条件において、数分間プリベークし、所定のパターンを露光した後、KOH水溶液などを用いて現像を行い、最後に200℃、60分程度の条件でポストベークすることで形成する方法が例示される。また、BM5は、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することにより形成されてもよい。
着色層3を構成する赤のサブ画素6、緑のサブ画素7、青のサブ画素8は、赤色、緑色、青色各々についての着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液の塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、所定形状にパターニングすることで形成される。具体的には、BM5上面(BMを設けない場合には、ガラス基板あるいは複屈折率機能層などのほかの基材上面)に、赤色または緑色または青色の顔料分散型フォトレジストをスピンコート法などで塗布し、80℃前後の温度条件において、数分間プリベークし、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて、アライメント露光し、KOH水溶液などを用いて現像を行い、200℃、60分程度の条件でポストベークすることにより形成する方法が例示される。
また別の方法として、着色サブ画素の各色に対応する着色材料を分散させた着色材料分散液を所定形状に塗布することによってもパターニングできる。この着色材料分散液の塗布のパターニング形態としては、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型等種々なパターンを適宜選択することができる。
本発明においては、光学素子1の用途や光学的な仕様によってはBM5を不要とする場合もある。またBM5を形成する場合は、BM5のパターンを矩形格子状にするほか、ストライプ状や三角格子状などに形成することもできる。
また着色層3を構成する色パターンについても、上述するRGB方式の3色の場合のほか、その補色系であるCMY方式とすることも可能であり、さらに単色もしくは二色のパターン、または四色以上のパターンも可能である。
(複屈折率機能層について)
複屈折率機能層4は、少なくとも重合性液晶モノマーを含有する複屈折率機能層組成液を用い、該組成液を基材面である着色層3の上面に直接塗布し、上記重合性液晶モノマーを所定の方向に配向させた後、重合性液晶モノマー同士で重合反応を生じせさせることによって形成される。以下に、さらに詳しく、説明する。
(重合性液晶モノマーについて)
上記複屈折率機能層組成液に用いられる重合性液晶モノマーとしては、架橋重合可能なネマチック液晶材料(架橋性ネマチック液晶材料)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶材料としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマーが挙げられる。また、このような重合性液晶材料として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
Figure 0005120540
Figure 0005120540
Figure 0005120540
Figure 0005120540
化1に示す一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、重合性液晶モノマーが液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR1及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環と間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)またはd=e=0である一般式(2)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、結晶性が高い。また、aおよびbあるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)または一般式(2)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、上記複屈折率機能層組成液に用いるには好ましくない。
かかる複屈折率を達成することで、一般的な塗布装置による複屈折率機能層組成液の塗工及び該組成液中の液晶モノマーの配向により、波長λの可視光を透過させた場合にλ/4やλ/2などの所望の位相制御がなされる複屈折率機能層が形成される。
複屈折率機能層の特性を示すリタデーション量及び配向特性は、重合性液晶モノマーの複屈折Δnと、複屈折率機能層の膜厚により決定される。例えば、重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させた複屈折率機能層を有する光学素子、いわゆる正のCプレートを形成する場合、重合性液晶モノマーのΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。
上記複屈折率機能層組成液を用いて複屈折率機能層を作成する場合においては、該組成液における重合性液晶モノマー以外の配合物成分は、対配合物換算値で30重量%未満となるように添加することが望ましい。重合性液晶モノマー以外の配合物成分が、対配合物換算値で30重量%以上添加されると、重合性液晶モノマーの配向性が悪化する虞がある。ただし、このことは、後述するカイラル剤を添加して構成される複屈折率機能層組成液を用いて所謂負のCプレートを作成するような場合について、重合性液晶モノマー以外の配合物成分が対配合物換算値で30重量%以上添加されて重合性液晶モノマーの添加量が70重量%未満になることを本発明から除外するものではない。尚、上記対配合物換算値とは、上記複屈折率機能層組成液が混合物である場合には、該混合物を構成する物質として配合される各配合物の総重量を100としたときの各配合物の重量比を意味する。また上記複屈折率機能層組成液が上記配合物を溶媒で溶解あるいは混合した溶液である場合には、溶液の重量から溶媒の重量を引いた重量(即ち、溶媒に溶解或いは懸濁する前の各配合物の総重量)を100としたときの各配合物の重量比を意味する。以下に記載の対配合物換算値についても同様である。
(複屈折率機能層組成液に用いられる溶媒について)
上記複屈折率機能層は、上述する重合性液晶モノマーを、透明基板、あるいはさらに基板上に作成される着色層などの基材上面に塗布して形成されるものである。したがって、重合性液晶モノマーを基材面に塗布し易くするために、該重合性液晶モノマーを少なくとも含有する複屈折率機能層組成液を調製し、かかる組成液を基材上面に塗布することが好ましい。
上記溶媒としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性液晶モノマー等の配合物成分の溶解性が不充分である場合や、塗布する相手方の素材が侵される虞がある場合等には、2種以上の溶媒を混合使用することにより、これらの不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいものは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類とを混合した混合系溶媒である。複屈折率機能層組成液の配合物成分の濃度は、複屈折率機能層組成液に用いる配合物成分の溶媒への溶解性や複屈折率機能層に望まれる層厚み等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲である。
(重合開始剤について)
複屈折率機能層組成液には、通常は、光重合開始剤などの重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717((株)ADEKA製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる重合開始剤を組み合わせるのが好ましい。
上記重合開始剤は、複屈折率機能層組成液中の重合性液晶モノマーの配向性能を損なわない範囲で添加することが必要であり、一般的には、対配合物換算値で0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、より好ましくは0.5〜10重量%となるように添加される。
尚、複屈折率機能層組成液には、重合禁止剤も添加されることがあるが、これにより複屈折率機能層組成液の保存安定性をより向上させることができる。また、複屈折率機能層組成液には、本発明の目的が損なわれない範囲で光重合開始剤の他に、増感剤、界面活性剤なども適宜添加することができる。
(重合性液晶モノマーの配向について)
上記複屈折率機能層組成液は、基材上に直接塗布し、該複屈折率機能層組成液中に含有される重合性液晶モノマーを重合させることによって、複屈折率の制御機能を有する複屈折率機能層を形成することができる。上記基材の塗布面側は、光透過性を有する基板面であってもよいし、あるいは他の構成層、例えば着色層面、あるいは配向膜面などであってもよい。そして、光透過性を有する基板上に少なくとも複屈折率機能層が形成され、あるいは少なくとも着色層と複屈折率機能層とがこの順あるいは逆順で形成されることによって、本発明の光学素子が形成される。上記着色層を備える光学素子は、液晶表示装置においてカラー化を可能とするとともに、複屈折率の制御機能を発揮する光学素子として用いることができる。尚、上記説明は、上記光学素子を備える本発明の液晶表示装置用部材として、基板、複屈折率機能層、着色層以外の層が、更に積層されることを除外するものではない。
複屈折率機能層組成液を用いて、該複屈折率機能層組成液に含有される重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させて固定化することにより、液晶分子の光軸が複屈折率機能層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を複屈折率機能層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートを形成することができる。かかる場合には、該組成物を公知の垂直配向膜を基材面に予め設けて組成物中の重合性液晶モノマーを垂直配向させることができる。また重合性液晶モノマーの垂直配向状態をより安定、確実なものにするため、上記垂直配向膜と組み合わせて、あるいは単独で、複屈折率機能層組成液に更に垂直配向助剤が配合されていてもよい。
上記垂直配向助剤は、重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させる場合に、重合性液晶モノマーの配向状態をより安定、確実なものにする効果を奏するものである。上記垂直配向助剤としては、垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、例えばレシチンまたは第四級アンモニウム界面活性剤、例えばHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)またはN−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、シランポリマー、長鎖アルキルアルコールなどを具体的に挙げることができる。
垂直配向助剤は、対配合物換算値で0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%となるように配合される。特に好ましい垂直配向助剤の配合量は、対配合物換算値で0.8〜2重量%となる量である。垂直配向助剤の含有率が0.1重量%未満の場合、複屈折率機能層組成液に含まれる重合性液晶モノマーに対するホメオトロピック配向性の付与に該垂直配向助剤が充分に寄与しない場合がある。また垂直配向助剤の含有率が10重量%を超える場合は、複屈折率機能層組成液における重合性液晶モノマーの配向性能がむしろ阻害され、重合性液晶モノマー同士を架橋重合させて複屈折率機能層組成液を硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題が生じる虞がある。
また上記複屈折率機能層組成液を用いて形成される複屈折率機能層を、重合性液晶モノマーの光軸が複屈折率機能層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を複屈折率機能層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートとして形成することができる。かかる場合、ラビング処理などを施した水平配向膜による配向規制力を重合性液晶モノマーに負荷するか、または空気界面に対する重合性液晶モノマーの表面自由エネルギーを抑制するためのレベリング剤を複屈折率機能層組成液に添加することで該組成液に含まれる重合性液晶モノマーを水平配向させることができる。
さらにまた上記複屈折率機能層組成液を用いて、重合性液晶モノマーの光軸が複屈折率機能層と並行するとともに常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を複屈折率機能層の法線方向に有する、いわゆる負のCプレートを作成することができる。上記負のCプレートは、該複屈折率機能層組成液に含有される重合性液晶モノマーにコレステリック規則性を付与してカイラルネマチック液晶を実現させた複屈折率機能層を意味する。具体的には、上記正のAプレートと同様に重合性液晶モノマーを水平配向させた上に、公知のカイラル剤を添加するとよい。尚、本発明で用いられるカイラル剤は、特に架橋性を有することを必須とするものではない。ただし得られる複屈折率機能層の熱安定性等を考慮すると、架橋性を有するカイラル剤を用いることが好ましい。架橋性を有するカイラル剤と複屈折率機能層組成液に含まれる重合性液晶モノマーとを重合させることによって、重合性液晶モノマーにコレステリック規則性を付与した状態を固定化することが可能となる。特に、その分子構造の両末端に重合性官能基を有するものが、複屈折率機能層の耐熱性を向上させる上でより好ましい。
上記カイラル剤としては、分子内に光学活性な部位を有する低分子量化合物で、分子量1500以下の化合物であることが好ましい。また上記カイラル剤は、化1の一般式として示す化合物、化2の一般式として示す化合物、あるいは化3、化4に示す化合物と溶液状態或いは溶融状態において相溶性を有し、かつ架橋性ネマチック液晶材料の液晶性を損なうことなく螺旋ピッチを誘起できるものが好ましい。
本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招く虞がある。特に非重合性のカイラル剤の場合には、重合性液晶モノマーの重合による硬化性能を低下させる場合があり、加えて複屈折率機能層組成液を用いて形成される複屈折率機能層の電気的信頼性を低下させる事態を招く虞がある。更に光学活性な部位を有するカイラル剤を多量に使用することはコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、少量でも重合性液晶モノマーの配向に螺旋ピッチを誘発させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましい。特に分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。なお、カイラル剤としては、より具体的には、例えばMerck社製S−811等の市販のものを用いることができる。
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力、あるいは最終的に得ようとする複屈折率機能層に含まれる重合性液晶モノマーのコレステリック規則性の程度などを考慮して適宜決めることができる。複屈折率機能層組成液におけるカイラル剤の配合量は、重合性液晶モノマーの種類等により大きく異なるが、一般的に、対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合される。特に好ましいカイラル剤の配合量は、対配合物換算値で1〜15重量%である。カイラル剤の配合量が0.01重量%未満の場合、複屈折率機能層組成液に含まれる重合性液晶モノマーに対して充分にコレステリック規則性を付与できない場合がある。またカイラル剤の配合量が30重量%を超える場合は、複屈折率機能層組成液における重合性液晶モノマーの配向性能が阻害される結果、重合性液晶モノマー同士を架橋重合させて複屈折率機能層組成液を硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題を生じる虞がある。
上記複屈折率機能層組成液は、これを構成する重合性液晶モノマーなどの各成分を混合することによって形成されてもよいし、適宜、溶媒に懸濁や溶解させることによって形成されてもよい。複屈折率機能層組成液は、各成分が溶媒に溶解した溶液の状態であると、基材面に対する塗布性が良好である。この場合、溶媒としては上述した重合性液晶モノマー等の配合物成分を溶解することが可能であり、かつ塗布する相手側素材の性能を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。
複屈折率機能層4は、上記複屈折率機能層組成液を用いて次のように製膜して形成される。
(複屈折率機能層組成液の塗布方法について)
まず、着色層3の表面上に、上記複屈折率機能層組成液を塗布して液晶塗布膜を形成する。複屈折率機能層組成液の塗布には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法、スリットコート法などの各種塗工方法、あるいはこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。
この液晶塗布膜の形成にあたり、予め着色層3の表面に対して紫外線を照射する処理(UV洗浄処理)や、コロナ放電を作用させる処理(コロナ処理)などが施されると、着色層3の濡れ性が向上し、着色層3と液晶塗布膜との接触をより緊密にすることができて好ましい。
着色層3上に液晶塗布膜を形成後、該液晶塗布膜に含まれる重合性液晶モノマーに所望の配向性を付与して重合性液晶モノマーを架橋重合させる。
例えば、正のCプレートとしての機能を有する複屈折率機能層4を形成する場合には、液晶塗布膜中の重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させ、次いで重合性液晶モノマー同士を重合させる。重合性液晶モノマーにホメオトロピック配向を付与するには、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる重合性液晶モノマーが液晶相となる温度(液晶相転移温度)以上であって、重合性液晶モノマーが等方相(液体相)となる温度(等方相転移温度)未満にすることで実施することができる。
また、液晶塗布膜中で配向を付与された重合性液晶モノマー同士の重合(架橋重合)は、複屈折率機能層組成液に含まれる重合性液晶材料や光重合開始剤などの感光波長の光を液晶塗布膜の表面に照射することで進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、複屈折率機能層組成液の吸収波長に応じて適宜選択されるが、一般的には200〜500nm程度である。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、光重合開始剤の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。
複屈折率機能層組成液を塗布した後、加熱して溶媒を除去するが、このときの熱を利用して複屈折率機能層組成液中の重合性液晶モノマーを一定方向に配向させることが可能である。加熱温度は複屈折率機能層組成液中に含まれる各材料の違いにより異なるが、通常70〜120℃であり、加熱時間は2分〜30分程度である。例えば、溶媒除去時に重合性液晶モノマーにホメオトロピック配向を付与するには、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる重合性液晶モノマーが液晶相となる温度(液晶相転移温度)以上、重合性液晶が等方相(液体相)となる温度(等方相転移温度)未満にすることで実施できる。
また複屈折率機能層組成液中の溶媒を気化させ、同時に該複屈折率機能層組成液中に含まれる重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させる別な方法として、密閉容器内で圧力を約1.5×10-1Torr以下に下げ減圧乾燥処理してもよい。上記減圧乾燥処理において、液晶塗布膜を減圧状態とすることで液晶塗布膜を過冷却状態にすることができ、液晶塗布膜中に含まれる重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させることができる。次いでホメオトロピック配向した状態を保持したままこの液晶塗布膜を有する基材の温度を室温程度にする。これにより重合性液晶モノマーを、以後の工程で架橋反応させるまで、重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させた状態で効率よく維持することができる。さらに残存する溶媒を除去するとともに塗布層に含まれる重合性液晶モノマーの配向を確実にするために液晶塗布膜を有する基材を焼成してもよい。焼成方法は、特に限定されるものではないが、例えばホットプレート上に液晶塗布膜を有する基材を設置し、70℃〜120℃の温度で、2分間〜30分間焼成することができる。
次に複屈折率機能層組成液に含まれる重合性液晶分子や光重合開始剤などの感光波長の光を液晶塗布膜に照射することによって、液晶塗布膜中で所望の方向に配向された重合性液晶モノマー同士の重合(架橋重合)を進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、複屈折率機能層組成液に含まれる重合性液晶モノマーの種類及び添加される光重合開始剤の種類に応じて適宜選択される。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、複屈折率機能層組成液の感光波長を含む波長域を持った光であってもよい。より具体的には、複屈折率機能層組成液に含まれる光重合開始剤の吸収波長に応じて適宜選択される。例えば、紫外線などの活性放射線を照射して重合性液晶モノマーを架橋重合させた状態で硬化させることができる。紫外線としては、波長200〜500nm程度のものが照射される。また紫外線源としては高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。照射光量は重合性液晶モノマーの種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によっても異なるが、通常、10〜3000mJ/cm2程度である。紫外線照射後、更に加熱処理して光重合では硬化しきれなかった、未反応の重合性液晶モノマーを所望の方向に配列した状態で架橋重合させて複屈折率機能層3を形成する。紫外線照射後に加熱処理する際の温度、時間は、重合性液晶材料の種類や組成に依存するが、通常、150℃〜260℃で10分〜60分間程度の条件で行われる。塗布した複屈折率機能層組成液を架橋重合させて、次いで硬化させて得られる複屈折率機能層3の厚みは所望の位相差制御が可能である限り特に制限はないが、生産性等を考慮して通常、0.5〜10μm程度が好ましい。
このように、液晶塗布膜に含まれる重合性液晶モノマーを架橋重合させることによって、この液晶塗布膜が複屈折率機能層4をなし、光学素子1が製造される。
図1に示す光学素子1においては、着色層3上面に複屈折率機能層4が形成された態様を用いて本発明を説明した。しかしながら上記態様は本発明の光学素子を制限するものではなく、例えば基板上面に、まず複屈折率機能層を形成し、さらに該複屈折率機能層上面に着色層を形成してもよい。
なお、液晶塗布膜により複屈折率機能層4を形成するにあたり、液晶塗布膜に光を照射して重合性液晶モノマーの架橋重合反応を進行させたうえ、さらに、オーブンなどを用いて液晶塗布膜の焼成が行われてもよい。このような焼成を行うことで、複屈折率機能層4をより硬化させることができ、複屈折率機能層4を充分に硬化させた光学素子1を得ることができる。
(配向膜について)
透明基板上に直接又は間接に、複屈折率機能層組成液を塗布して複屈折率機能層を形成するに先だって、該複屈折率機能層組成液を塗布する基材面に配向膜を設けるこができる。例えば、図示は省略するが、図1における着色層3の上面に配向膜を形成してもよい。尚、上記配向膜は、駆動用液晶材料を配向させるための配向膜とは区別される。
上記配向膜は必ずしも必須ではないが、配向膜を設けることにより液晶塗布膜中に存在する重合性液晶モノマーの配向方向の制御が容易となるという観点から、配向膜を設けることは好ましい。配向膜は、複屈折率機能層組成液を塗布する基材面上に、ポリイミド等の配向性樹脂を塗布し、次いで乾燥させた後、ラビング処理や光配向処理することにより形成することができる。ただし上記ラビング処理や光配向処理は必ずしも行わなくても良い。また透明基板2上に酸化ケイ素を斜め蒸着することで配向膜を形成することもできる。本発明で用いられる配向膜材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
上記複屈折率機能層組成液によれば、これを基材に塗布して複屈折率機能層を形成して光学素子を形成することができる。この光学素子は、液晶表示装置に組み込まれて視野角を調整するための位相差制御機能を発揮することができる光学素子として使用することができる。
また、上記複屈折率機能層組成液によれば、液晶表示装置を構成する基材面に直接に複屈折率機能層を形成することができる。例えば複屈折率機能層は、液晶表示装置を構成する液晶表示装置用部材に設けることができる。このようにしても、複屈折率機能層は、液晶表示装置において視野角を調整するための位相差制御機能を発揮することができる。
(スペーサについて)
上記スペーサ9は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系又はエステル系ポリマー等の材料からなる光硬化性の感光性塗料を、駆動用液晶層に面することが予定される層(図1においては複屈折率機能層4)の上面に塗布してこれを乾燥させ、さらにスペーサ9の形成予定位置に対応したマスクパターンを介して露光し上記塗料中の樹脂を硬化させた後、未硬化部分をエッチング除去し、さらに全体を焼成することにより形成される。
尚、本発明の光学素子において、スペーサ9は、必須の構成の構造ではなく、スペーサ9を省略した別の態様の光学素子の実施も可能である。また、スペーサ9は、図1に示す複屈折率機能層4の上面に形成されるだけではなく、基板、複屈折率機能層、着色層の順に積層される光学素子においては、該着色層の上面、あるいは、複屈折率機能層4の上面にさらに積層される層(例えば保護層など)の上面に形成することができる。
尚、上記保護層としては、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂材料、または多官能エポキシを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂材料を基材の表面に塗布し、さらにこれを乾燥させ、次いで硬化させて形成することができる。保護層の硬化には、透明樹脂材料の性質に応じて例えばUV光を照射するなどの方法を採用することができる。
(ポリイミド配向膜形成方法について)
光学素子1における複屈折率機能層4の上面に、さらに駆動用液晶材料を所望の方向に配向させるための配向膜を形成してもよい。上記配向膜の例としては、例えばポリイミド配向膜などが挙げられる。
上記ポリイミド配向膜は、ポリイミドをγ―ブチロラクトン溶媒に溶解せしめた配向膜組成液を複屈折率機能層などの基材上面に、スピンコーターなどで塗布してポリイミド塗膜を形成し、該ポリイミド塗膜表面をラビング処理等することによって、これに接する駆動用液晶材料の配向を方向付けるための溝を形成し、最後に、250℃、1時間程度の熱処理を行うことによって、上記溶媒を蒸発せしめて形成することができる。
(残存二重結合減少度について)
上述のとおり形成される本発明の光学素子において、特に光学素子における複屈折率機能層の残存二重結合減少度が0.25未満であることが重要である。
本発明者は、複屈折率機能層形成後の該複屈折率機能層の配向あるいはその性状が、良好に維持されないという上記課題について詳細に検討した。その結果、複屈折率機能層形成後、他の層を形成する工程(後工程)に影響を受け、該複屈折率機能層の配向あるいはその性状に乱れが生じているということがわかった。また、複屈折率機能層の配向或いは性状を乱す上記後工程としては、大別すると以下の2つがあることがわかった。
複屈折率機能層の配向あるいは性状を乱す後工程の第一としては、溶剤を用いた工程(溶剤処理工程)の影響が挙げられる。具体的には、例えば複屈折率機能層の上面に駆動用液晶材料の配向を促すためのポリイミド配向膜を形成する工程の後において、複屈折率機能層の配向あるいは性状の乱れが生じることが確認された。
複屈折率機能層の配向あるいは性状を乱す後工程の第二としては、複屈折率機能層上に、さらなる別の層を形成する際の高温で処理する工程(熱処理工程)が挙げられる。具体的には、複屈折率機能層上に上記ポリイミド膜が形成される工程、あるいは着色層が形成される工程などにおいて、200℃以上の熱処理工程が行われた後に、複屈折率機能層の配向あるいは性状の乱れが生じることが確認された。
上記溶剤処理工程あるいは熱処理工程により、複屈折率機能層の配向あるいは性状に乱れが生じるメカニズムについては明らかではない。しかしながら複屈折率機能層を構成する重合性液晶材料のうち、未反応の末端二重結合を有する重合性液晶材料の存在が関与していることが推察された。そこで本発明者は、鋭意努力の末、形成された光学素子における複屈折率機能層の残存二重結合減少度が0.25未満であれば、上記後工程によっても、複屈折率機能層の配向あるいは性状を乱すことがないことを見出した。
以下に、残存二重結合減少度の測定方法について詳細に説明する。
まず上述のとおり形成される光学素子を用い、フーリエ変換型赤外分光装置(日本分光株式会社製、FT/IR-610)を用いて、FT-IR ATR (Attenuated Total. Reflectance:全反射)法による測定を行い、該光学素子における複屈折率機能層の赤外スペクトルを検出する。検出器はTGSを用い、試験は室温下で実施する。得られた赤外スペクトルのうち、810cm-1付近に見られるビニル基のIRピーク面積(初期P1)を1725cm-1付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(初期P2)で割った値(初期P1/初期P2)を初期残存二重結合量とする。
次いで、上記光学素子を、予め250℃に加熱されたオーブン内に設置し、その状態で1時間熱処理を行う。上記熱処理後、光学素子をオーブンの外に取り出し、常温になるまで放置した後、再度、上述に記載の方法で、光学素子の赤外スペクトルを測定し、これにより求められる810cm-1付近に見られるビニル基のIRピーク面積(熱処理後P1)を1725cm-1付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(熱処理後P2)で割った値(熱処理後P1/熱処理後P2)を熱処理後残存二重結合量とし、以下の計算式より算出された値を残存二重結合量減少度とする。
(式1)
残存二重結合量減少度 = (初期残存二重結合量 − 熱処理後残存二重結合量)
初期残存二重結合量

(初期P1/初期P2)−(熱処理後P1/熱処理後P2)
(初期P1/初期P2)
上記残存二重結合減少度は、光学素子の最表面に複屈折率機能層が位置している態様だけでなく、複屈折率機能層上にさらなる他の層が形成されている場合であっても、そのままの状態で測定することが可能である。あるいは複屈折率機能層上に形成される他の層を削り取って該複屈折率機能層を最表面に露出させて、上記残存二重結合減少度を測定することも可能である。
上記残存二重結合減少度は、0.25未満、好ましくは0.20未満、より好ましくは0.15未満である。残存二重結合減少度は、上述するとおり後工程においても複屈折率機能層の配向あるいは性状を良好に維持するという点では小さいほどよい。しかし残存二重結合減少度を0あるいは、限りなく0に近づけようとした結果、複屈折率機能層の成形条件が厳しくなり、これによって該複屈折率機能層が黄変するなど他の不具合が出る場合がある。したがってこれらの事情を総合的に勘案すると残存二重結合減少度は、0.01以上であることが好ましい。
上述のとおり、熱処理前後における複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、その差を算出し、残存二重結合減少度が0.25未満のものを選択することによって、本発明の趣旨とする光学素子を得ることができる。
換言すると、上記基板に直接又は間接に、少なくとも一方の末端に重合性基を有する重合性液晶モノマーを配向させ、次いで固定化させることによって上記複屈折率機能層を形成して得られた光学素子に対し、さらに、上記複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、次いで250℃1hrの熱処理を行ない、上記光学素子が常温になるまで放置した後、熱処理後の複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、熱処理前後に測定された上記残存二重結合量の差を上記式1を用いて算出し、上記残存二重結合量の差が、0.25未満であるものを選択するという選択工程を備える光学素子の製造方法であれば、本発明の趣旨とする光学素子を容易に得ることができる。
上記残存二重結合減少度を指標とする選択工程を備える本発明の光学素子の製造方法において、さらに着色層などの他の構成層を基板と複屈折率機能層との間、あるいは複屈折率機能層のさらに上面に設けることができる。
また、上述する残存二重結合量の算出は、複屈折率機能層の評価方法としても、用いることができる。即ち、本発明の複屈折率機能層の評価方法であれば、複屈折率機能層を構成する重合性液晶モノマーがいかなるものか特定できず、架橋密度の理論値と測定値とを対比不可能な場合であっても、該複屈折率機能層の架橋密度を評価することができる。したがって上述する残存二重結合量減少度を求める方法は、光学素子における複屈折率機能層の評価方法として非常に優れている。上記評価方法は、該複屈折率機能層を構成するために用いられた重合性液晶モノマーが不明であっても、光学素子を供与することにより、上述するような後工程においても実質的に影響を受けない優れた複屈折率機能層を評価することが可能である。
残存二重結合減少度が0.25未満である複屈折率機能層を得るためには、例えば、複屈折率機能層を形成する工程において、重合性液晶モノマーを重合させるために行われる紫外線照射などの光照射の際に、露光量を多くすることは従来から知られている。さらに本発明者は、以下のように照度と時間の積で表される露光量において、照射時間の増加よりも照度を強くする方が残存二重結合量が少なくなる傾向があるという知見を得た。具体的には、露光量(mJ/cm2) = 照度(mW/cm2) × 時間(s)という関係において、露光量は、好ましくは100mJ/cm2以上であり、且つこのときの照度は10mW/cm2を超えることが好ましい。
上記のように照度を強くする方法により、従来と同じ露光量の光照射の条件よりも、重合性液晶モノマー同士の重合反応を良好に進行させることができる。その結果、複屈折率機能層における重合性液晶モノマーの残存二重結合量が減少し、熱処理などの後工程においても、さらなる重合反応が進行し難いことが示唆される。
また本発明者は、液晶塗布膜に対し光照射を行った後、次いで行われる加熱処理において昇温・降温工程をゆっくり行うことによっても、残存二重結合減少度が0.25未満である複屈折率機能層を良好に形成することができるという知見を得た。具体的には昇温・降温工程ともに1分間における温度変化が1度以上20度以下であることが好ましく、上記温度変化が1度以上10度以下であることがより好ましい。
上記加熱処理は、具体的には、複屈折率機能層を形成するための液晶塗布膜が形成された基材を、オーブン装置などの焼成装置に設置し、大気圧、空気雰囲気の条件下で焼成することによって実施することができる。その他、上記加熱処理は、赤外線照射やオイルバスを用いる方法でも実施することができる。
但し、本発明において、残存二重結合減少度が0.25未満の複屈折率機能層を備える光学素子の形成方法は、上述に例示する方法に限定されるものではない。
本発明の光学素子1は、図2に示すように、液晶表示装置11の観察者側(図中上方に相当)に設置される表示側基板12として用いることができる。即ち、対向する表示側基板12と駆動液晶側基板たる駆動用回路側基板13との間に駆動用液晶材料14を封入して駆動用液晶層を形成することにより得られる液晶表示装置用部材15に直線偏向板23、32などを適宜設けて形成される液晶表示装置11において、表示側基板12として光学素子1を用いることができる。図2の例の場合、光学素子1の複屈折率機能層4は、重合性液晶モノマーが光透過性の基板2に対してホメオトロピック配向した状態で固定化された正のCプレートを構成している。
駆動用回路側基板13には、透明基板31のインセル側(駆動用液晶材料14の封入される側)に駆動用回路33と、これにより電圧の負荷量を制御される駆動用電極34とが設けられている。
なお、液晶表示装置11がIPSモードの場合には、表示側基板12側の直線偏光板23と、駆動用回路側基板13側の直線偏光板32とは、互いの透過軸が直交するように配される。
また図示はしないが、液晶表示装置11には、必要に応じて、表示側基板12と直線偏向板23に挟まれるように、透明導電膜21や、正のAプレート22のような位相差フィルム20を介在させてもよく、さらに負のCプレートを介在させてもよい。
本発明の光学素子1によれば、複屈折率機能層4は光学素子1における光透過性の基板2と、駆動用回路側基板13を構成する透明な基板31との間に挟まれるように、液晶セル内に配置され、いわゆるインセル型の複屈折率機能層4を備えた液晶表示装置を形成することができる。
実施例1
下記化5に示す化合物(a)〜(d)の混合物を重合性液晶モノマーとして用い、重合禁止剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)、重合開始剤としてイルガキュアー907、そのほか添加剤としてドデカノールを用い、これらを混合して下記組成の複屈折率機能層組成液を作製した。複屈折率機能層組成液は、特表2004−524385号公報の記載に準じて作製した。尚、以下に示す組成物Aにおける各物質の重量比は、組成物Aの総重量に対する各物質の重量比である。
Figure 0005120540
<組成物A>
化合物(a) 32.67重量%
化合物(b) 18.67重量%
化合物(c) 21.00重量%
化合物(d) 21.00重量%
ドデカノール 1.02重量%
BHT 0.04重量%
イルガキュアー907 5.60重量%
上記組成物Aをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解し、濃度20重量%の複屈折率機能層組成液を得た。
次に、ガラス基板(コーニング社製、型番1737ガラス、厚み0.7mm)をスピンコーター(MIKASA社製、「商品名1H-360S」)に設置して、予め調製した上記複屈折率機能層組成液を、乾燥後の膜厚が1.5μm程度となるように上記ガラス基板上にスピンコーティングした。尚、本実施例では、複屈折率機能層組成液を塗布する方法としてスピンコーティング法を採用したが、複屈折率機能層組成液の基材面に対する塗布方法はこれに限定されず、例えばダイコーティング、スリットコーティング及びこれらを組み合わせた手法を適宜選択することができる。以下に記載する実施例においても同様である。次に、複屈折率機能層組成液が塗布された基板をホットプレート上で100℃、3分間加熱し、残存溶剤を除去するとともに複屈折率機能層組成液に含有される液晶性モノマーを基板面に対して垂直方向に配向させるよう処理した。そして複屈折率機能層組成液により形成された膜が白色から透明となる液晶転移点を目視にて確認することによって液晶分子が垂直に配向したことを確認した。
続いて空気雰囲気下において、ガラス基板上に配向された液晶層に超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「商品名TOSCURE 751」)により20mW/cm2の紫外線を10秒照射し、液晶層を構成する液晶性モノマーを架橋重合させて、複屈折率機能層を備える基材を形成した。
その後、上記基材に180℃で1時間焼成処理を施し本発明の光学素子を製造し実施例1とした。
(評価1)
実施例1の光学素子における複屈折率機能層面を目視観察により色味を観察し、色味の変化のないものを○、色味の変化の認められたものを×として評価した。結果を表1に示す。
(評価2)
実施例1における複屈折率機能層が、後工程に耐えうるものか否かについて評価するために、後工程における溶媒侵食を想定し、γ―ブチロラクトン浸漬テストを以下のとおり行った。結果は表1に示す。
上記γ―ブチロラクトン浸漬テストでは、まず、γ―ブチロラクトン(純正化学社製)を予め試験温度である40℃に加温しておき、次いで、上述のとおり作成した実施例1の光学素子を、その全体が浸るように上記γ―ブチロラクトン中に40分間浸漬させた。その後、上記光学素子をγ―ブチロラクトンから引き上げ、エアーブローにて乾燥させた後、投光器を用いて目視で剥離の有無を観察した。目視により剥離の確認されなかったものを○、剥離の確認されたものを×として、評価した。
(評価3)
実施例1における複屈折率機能層の残存二重結合減少度を上述する方法により算出した。結果は表1に示す。
実施例2
上記基材に対する焼成処理を、180℃1時間から200℃1時間へ変更した以外は、実施例1と同様に複屈折率機能層を備える光学素子を製造し実施例2とした。実施例2について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
実施例3
上記基材に対する焼成処理を、180℃1時間から230℃1時間へ変更した以外は、実施例1と同様に複屈折率機能層を備える光学素子を製造し実施例3とした。実施例3について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
実施例4
上記基材に対する焼成処理を、180℃1時間から250℃1時間へ変更した以外は、実施例1と同様に複屈折率機能層を備える光学素子を製造し実施例4とした。実施例4について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
実施例5
実施例1で用いたガラス基板の上面に以下に記載の方法で着色層を形成し、該着色層の上面に、実施例2と同様の方法で複屈折率機能層を形成して光学素子を製造し、実施例5とした。尚、ブラックマトリックスおよび赤色(R)、緑色(G)、青色(B)各画素部の着色材料には顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、顔料、分散剤、および溶剤を含有する分散液組成物にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤が含有される)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
上記着色層を形成するために、まずガラス基板上面に、上述で調製したBM用フォトレジストをスピンコート法で1.2μmの厚さに塗布し、80℃、3分間の条件でプリベークし、所定のパターンに形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm2)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を50秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、BM基板を作製した。
次に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストを、上記ブラックマトリックス基板上にスピンコート法で塗布し、80℃、5分間の条件でプリベークし、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて、アライメント露光(300mJ/cm2)し、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、60分間ポストベークすることで、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの赤色(R)画素パターンを形成した。
同様に、緑色(G)の顔料分散型フォトレジストを用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの緑色(G)画素パターンを形成した。
さらに、青色(B)の顔料分散型フォトレジストを用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの青色(B)画素パターンを形成し、着色層を有するカラーフィルタを作製した。
ブラックマトリックス用フォトレジスト
・黒顔料(大日精化工業(株)製TMブラック#9550)…14.0重量部
・分散剤(ビックケミー(株)製Disperbyk111)…1.2重量部
・ポリマー(昭和高分子(株)製VR60)…2.8重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…3.5重量部
・添加剤(綜研化学(株)製L−20)…0.7重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)…1.6重量部
・開始剤(4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン)…0.3重量部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)…0.1重量部
溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)…75.8重量部
赤色(R)画素用レジスト
・赤顔料(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))…3.5重量部
・黄顔料(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))…0.6重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)…3.0重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…4.0重量部
・ポリマー1…5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)…0.6重量部
溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…81.9重量部
緑色(G)画素用レジスト
・緑顔料(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))…3.7重量部
・黄顔料(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))…2.3重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)…3.0重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…4.0重量部
・ポリマー1…5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…80.0重量部
青色(B)画素用レジスト
・青顔料(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))…4.6重量部
・紫顔料(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL-NF))…1.4重量部
・顔料誘導体(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)…0.6重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)…2.4重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…4.0重量部
・ポリマー1…5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…80.0重量部
尚、上記のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
実施例5について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
比較例1
上記基材に対する焼成処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様に複屈折率機能層を備える光学素子を製造し比較例1とした。比較例1について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
比較例2
基材に対する焼成処理を、180℃1時間から150℃1時間へ変更した以外は、実施例1と同様に複屈折率機能層を備える光学素子を製造し、比較例2とした。比較例2について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
参考例1
基材に対する焼成処理を、180℃1時間から280℃1時間へ変更した以外は、実施例1と同様に複屈折率機能層を備える光学素子を製造し参考例1とした。参考例1について、実施例1と同様に評価1〜3について、評価した。結果は表1に示す。
表1に示す結果のとおり、実施例1〜5における残存二重結合減少度は、いずれも0.25未満であり、評価1及び評価2の結果がともに良好であった。一方、比較例1及び2は、残存二重結合減少度が0.25以上であり、後工程において複屈折率機能層の性状が不良になることが評価2において示された。また参考例1は、残存二重結合減少度が0であったが、製造条件が厳しく、光学素子の色味の評価(評価1)において好ましくない結果が示された。
Figure 0005120540
本発明の光学素子の一実施例を説明するための概略縦断面図である。 本発明における液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置の一実施例を説明するための概略縦断面図である。
符号の説明
1 光学素子
2 基板
3 着色層
4 複屈折率機能層
5 ブラックマトリクス
6、7、8 サブ画素

Claims (12)

  1. 光透過性を有する基板と、重合性液晶材料より構成される複屈折率機能層とを少なくとも備える光学素子であって、上記複屈折率機能層が、少なくとも一方の末端に重合性基を有する重合性液晶モノマーを配向させ、次いで固定化させることによって形成されており、250℃1hrの熱処理前後における上記複屈折率機能層における、以下に示す残存二重結合減少度が0.25未満であることを特徴とする光学素子。
    Attenuated Total. Reflectance法による測定を行い、250℃1hrの熱処理前の上記光学素子における複屈折率機能層の赤外スペクトルを検出し、810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(初期P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(初期P2)で割った値(初期P1/初期P2)を初期残存二重結合量とし、
    次いで、上記光学素子を、上記250℃1hrの熱処理として、予め250℃に加熱されたオーブン内に設置し、その状態で1時間熱処理を行い、常温になるまで放置した後、
    上述と同様に光学素子の赤外スペクトルを測定し、これにより求められる810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(熱処理後P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(熱処理後P2)で割った値(熱処理後P1/熱処理後P2)を熱処理後残存二重結合量とし、以下の計算式より算出された値を残存二重結合量減少度とする。
    Figure 0005120540
  2. 上記複屈折率機能層が、基材上面に直接または間接に、重合性液晶モノマーを含有する複屈折率機能層組成液を塗布して塗膜を形成し、次いで上記重合性液晶モノマーを所望の方向に配向させた後、上記塗膜上面に光を照射して上記重合性液晶モノマー間において重合反応を起こすことにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 上記複屈折率機能層が、上記重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させた状態で重合させ固定化させることによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 上記基材と上記複屈折率機能層との間、又は上記複屈折率機能層の上面に直接若しくは間接に、着色層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 上記基材上に、着色層、複屈折率機能層がこの順に形成され、さらに上記複屈折率機能層の上面に直接または間接に駆動用液晶材料を配向させるための配向膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 光透過性を有する基板を備えた2つの積層構造体の間に駆動用液晶材料の封入された液晶層を備える液晶表示装置用部材であって、少なくとも1つの積層構造体として、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子が用いられていることを特徴とする液晶表示装置用部材。
  7. 上記光学素子における複屈折率機能層が、上記液晶表示装置用部材における液晶層側に位置するように用いられていることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置用部材。
  8. 上記液晶層を挟む両基板の外側に偏光板を備えるとともに、電圧を負荷して液晶層の配向を変化させる電極部材からなる層とを備える多層構造の液晶表示装置において、請求項6または7に記載の液晶表示装置用部材が用いられていることを特徴とする液晶表示装置。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載される光学素子における複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、次いで250℃1hrの熱処理を行ない、上記光学素子が常温になるまで放置した後、熱処理後の複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、熱処理前後に測定された上記残存二重結合量の差を算出することにより残存二重結合減少度を求めることを特徴とする複屈折率機能層の評価方法。
  10. 光透過性を有する基板と、重合性液晶材料より構成される複屈折率機能層とを少なくとも備える光学素子の製造方法であって、上記基板に直接又は間接に、少なくとも一方の末端に重合性基を有する重合性液晶モノマーを配向させ、次いで固定化させることによって上記複屈折率機能層を形成して光学素子を形成し、さらに、上記複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、次いで250℃1hrの熱処理を行ない、上記光学素子が常温になるまで放置した後、熱処理後の複屈折率機能層の残存二重結合量を測定し、熱処理前後に測定された上記残存二重結合量の差を算出し、以下に示す残存二重結合減少度として算出される上記残存二重結合量の差が、0.25未満であるものを選択することを特徴とする光学素子の製造方法。
    Attenuated Total. Reflectance法による測定を行い、250℃1hrの熱処理前の上記光学素子における複屈折率機能層の赤外スペクトルを検出し、810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(初期P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(初期P2)で割った値(初期P1/初期P2)を初期残存二重結合量とし、
    次いで、上記光学素子を、上記250℃1hrの熱処理として、予め250℃に加熱されたオーブン内に設置し、その状態で1時間熱処理を行い、常温になるまで放置した後、
    上述と同様に光学素子の赤外スペクトルを測定し、これにより求められる810cm -1 付近に見られるビニル基のIRピーク面積(熱処理後P1)を1725cm -1 付近に見られるカルボニル基のIRピーク面積(熱処理後P2)で割った値(熱処理後P1/熱処理後P2)を熱処理後残存二重結合量とし、以下の計算式より算出された値を残存二重結合量減少度とする。
    Figure 0005120540
  11. 基板に直接または間接に、重合性液晶モノマーを含有する複屈折率機能層組成液を塗布して塗膜を形成し、次いで上記重合性液晶モノマーを所望の方向に配向させた後、上記塗膜上面に光を照射して上記重合性液晶モノマー間において重合反応を起こすことにより上記複屈折率機能層を形成することを特徴とする請求項10に記載の光学素子の製造方法。
  12. 上記基板と上記複屈折率機能層との間、又は上記複屈折率機能層の上面に直接若しくは間接に、着色層を形成することを特徴とする請求項10に記載の光学素子の製造方法。
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