JP2009244738A - カラーフィルタ用マザー基板、カラーフィルタ、カラーフィルタを組み込んだ液晶表示装置。 - Google Patents

カラーフィルタ用マザー基板、カラーフィルタ、カラーフィルタを組み込んだ液晶表示装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】インセルタイプの位相差層を有するカラーフィルタを製造するにあたり、カラーフィルタ用マザー基板に形成されたカラーフィルタとなる部分における位相差層にて生じる位相差の測定容易性の点で実用性に耐えるカラーフィルタ用マザー基板等を提供する。
【解決手段】光透過性を有する基材3の所定領域をカラーフィルタ形成用領域6となすとともに、該カラーフィルタ形成用領域6内の1箇所若しくは複数個所の所定領域に定められた、基材のカラーフィルタ予定領域5に所定波長の可視光を透過させて該可視光を分光可能な色パターン形成層を備えた着色層と、所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Aを有する位相差層を備えたカラーフィルタ予定部4を形成してなるカラーフィルタ用マザー基板1であって、カラーフィルタ予定部4に備えられる位相差層は、層Aをカラーフィルタ予定領域の面内方向に部分的に形成して構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差層を備えるカラーフィルタを形成するカラーフィルタ用マザー基板、このカラーフィルタ用マザー基板より切り出されたカラーフィルタ、および、カラーフィルタを組み込んだ液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、対面する一対の基板(第1の基板、第2の基板)の間に駆動用の液晶を封入して駆動液晶層を形成してなる液晶セルを備えるとともに、液晶セルの外側に偏光板を配置し、必要に応じてバックライトを配置して構成される。ここに、第1の基板は、一対の基板のうち液晶画面を見る者との距離が近いほうの基板を示すものとし、第2の基板は、その第1の基板に対面する基板であるものとする。通常、第1の基板は、着色層を備えたカラーフィルタであり、第2の基板は、TFT(thin film transistor)など配置したアレイ基板となっている。
液晶表示装置については、入射された光に位相差を生じさせる機能を有する層を備える位相差層を、液晶セル内部側(インセル側)に造り込んだ構成(インセルタイプの位相差層を形成する構成)を組み込む技術が提案されており、この技術は、半透過半反射型液晶表示装置に用いられている(特許文献1)。
ここで、半透過半反射型液晶表示装置では、第2の基板におけるインセル側に、面内方向所定の領域に金属膜などといった光を反射させる反射膜が配設されており、また、第2の基板において反射膜の配設されない領域は、バックライトから入射された光を駆動液晶層に向けて透過可能な領域として構成される。そして、半透過半反射型液晶表示装置は、外光を取り入れて反射膜で反射させその反射光を用いて液晶表示を行う機能と、バックライトから入射された光を用いて液晶表示を行う機能を兼ね備える。半透過半反射型液晶表示装置において、外光を取り入れて反射膜で反射させその反射光を用いて液晶表示を行う機能を発揮させる部分を反射部、バックライトから入射された光を用いて液晶表示を行う機能を発揮させる部分を透過部とする。
半透過半反射型液晶表示装置においては、透過部と反射部における光の進行経路と光路長の違いに由来して、透過部を通る光と反射部を通る光とで位相差が調整される必要がある。そこで、特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置では、インセルタイプの位相差層を反射部に設けることで、それらの光の位相差が調整される。すると、そのような場合、位相差層は、光に生じさせる位相差量を厳密に制御された層構造をなす必要がある。
したがって、半透過半反射型液晶表示装置を製造するにあたっては、そのような位相差層が、入射光に適切な位相差量を生じさせる層となっているか否かについて管理がなされている必要があり、それには、位相差層によって生じる位相差量につき適宜測定できる必要がある。
位相差層により光に生じる位相差量の測定については、顕微鏡(あるいはレンズ)と位相差計を合わせた微小領域位相差測定装置により測定することができるほか、一般的に位相差層を透過する光量の変化を測定することで算出することができる。例えば、回転検光法では、二枚の偏光板の吸収軸を平行に設置し、二枚の偏光板の間にサンプルを設置し、光を垂直に入射させ、偏光板の吸収軸を平行なまま回転させて透過光量が最小になる偏光板の角度を求め、その角度から偏光板の吸収軸を平行なまま45°回転させ光量を測り、更に片方の偏光板だけを90°回転させ透過光量を測り、両者の光量の比から位相差を算出することができる。回転検光法に限らず、一般に、二枚の偏光板の間にサンプルを設置し、それら光学素子を異なる状態で配置させた場合の透過光量を測定することで位相差を算出することができる。
ところが、半透過半反射型液晶表示装置においては、液晶表示画面を構成する画素ごとに1組の反射部と透過部が形成されるのが通常であるので、インセルタイプの位相差層は、1画素領域の中に少なくとも1つ形成され、反射部の形成パターンに応じて形成されるのが通常である。
すなわち、個々の半透過半反射型液晶表示装置にインセルタイプの位相差層を設けるにあたって、位相差層をなす層構造として入射光に生じさせる位相差量を厳密に制御されたものが1画素内という微小な領域にパターン形成される。
一方で、半透過半反射液晶表示装置を製造する場合には、巨大なガラス基板などのマザー基板を用いてカラーフィルタやアレイ基板が1面取りもしくは多面取りにて作製される。すなわち、ガラス基板などからなるマザー基板の所定領域をカラーフィルタ形成用領域とするとともに、カラーフィルタ形成用領域内の1箇所あるいは複数個所に定められた所定領域をカラーフィルタとなることを予定された領域(カラーフィルタ予定領域)とし、そのカラーフィルタ予定領域にカラーフィルタを構成する各種の層構造が順次積層されてカラーフィルタとなる部分(カラーフィルタ予定部)が1個(1箇所にカラーフィルタを構成する層が形成される場合)あるいは複数個(複数箇所にカラーフィルタを構成する層が形成される場合)形成される。また、マザー基板には、所定領域内にアレイ基板となる部分が1面取りあるいは多面取りにて形成される。
したがって、上記に示すような方法によって位相差量を測定しようとすれば、逐一、巨大なマザー基板の所定領域に形成されるカラーフィルタとなる部分の中の極小さな1画素の更に内部の所定の領域にある位相差層を構成する1つの層構造の位置が、位相差量の測定のターゲットとして、正確に特定されなければない。しかも、液晶表示装置の設計に応じてカラーフィルタ内における位相差層の形成位置に変更が生じた場合、その変更に応じて、逐一、位相差量の測定のターゲットとなる位相差層の位置を特定しなければならない。このように、上記したような位相差層の位相差の測定方法は、実用性に耐えるものではない。
特開2004−4494号公報
本発明は、インセルタイプの位相差層を有するカラーフィルタを製造するにあたり、カラーフィルタ用マザー基板に形成されたカラーフィルタとなる部分における位相差層にて生じる位相差の測定容易性の点(測定領域への移動位置精度について過度な高精度が要求されない点、測定時間の増大を抑制できる点)で実用性に耐えるカラーフィルタ用マザー基板、および該カラーフィルタ用マザー基板より得られるカラーフィルタ、液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、
(1) 光透過性を有する基材の所定領域をカラーフィルタ形成用領域となすとともに、該カラーフィルタ形成用領域内の1箇所若しくは複数個所の所定領域にカラーフィルタ予定領域を定められ、基材のカラーフィルタ予定領域に所定波長の可視光を透過させて該可視光を分光可能な色パターン形成層を備えた着色層と、所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Aを有する位相差層を備えたカラーフィルタ予定部を形成してなるカラーフィルタ用マザー基板であって、
カラーフィルタ予定部に備えられる位相差層は、層Aをカラーフィルタ予定領域の面内方向に部分的に形成して構成されるものであり、
カラーフィルタ予定領域の外側領域に、少なくとも層Aと同一の工程にて形成された層構造を備えてなる測定用位相差層が形成されている、ことを特徴とするカラーフィルタ用マザー基板、
(2) カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aのみからなるものである、上記(1)記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(3) カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aと、層Aの非形成部分に形成され且つ所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Bと、でなるものであり、層Aと層Bは、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを互いに異にしている、上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(4) 層Bは、複数設けられており、且つ、該複数の層Bには、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを異にする複数種類が存在している、上記(3)記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(5) カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aと、層Aの非形成部分に形成され且つ光学等方性を有する層Cと、でなるものである、上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(6) カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aと、層Aの非形成部分に形成され且つ所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Dと、でなるものであり、層Aの光軸の向きと層Dの光軸の向きが互いに異なる、上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(7) 層Dは、複数設けられており、且つ、該複数の層Dには、光軸の向きを異にする複数種類が存在している、上記(6)記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(8) 測定用位相差層の形成領域は、平面視上、該測定用位相差層の形成領域の最小幅寸法のほうが、カラーフィルタ予定部に部分的に形成された層Aの最小幅寸法よりも大きくなっているような大きさにて形成されている、上記(1)から(7)のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(9) 測定用位相差層の形成された領域の周囲には、遮光性を有するブラックマトリクスが配置されている上記(1)から(8)のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(10) 位相差層を構成する層Aは、液晶化合物を含む液晶組成物を基材に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させて固定することによって形成されるものである、上記(1)から(9)のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(11) 位相差層を構成する層Aは、重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物を基材に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させ、液晶化合物を重合させて固定することによって形成されるものである、上記(1)から(10)のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板、
(12) 上記(1)から(11)のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板から切り出されてなるカラーフィルタ、
(13) 上記(12)に記載のカラーフィルタが組み込まれてなることを特徴とする液晶表示装置、
を要旨とする。
本発明によれば、光に位相差を生じさせる層Aを有する位相差層を備えるカラーフィルタを作製可能なカラーフィルタ用マザー基板において、カラーフィルタとなることを予定された部分の領域の外側の領域に、少なくとも光に位相差を生じさせる層Aと同一の工程にて作成される層構造を備えた測定用位相差層を形成することで、測定用位相差層にて位相差を測定することにて位相差層をなす層Aが光に適切な位相差を生じさせるものであるか否かを測定でき、位相差層の管理を容易に実施することが可能となる。特に、測定用位相差層を位相差量測定のターゲットとするので、カラーフィルタの位相差層の形成位置の設計に変更が生じても、新たに位相差量測定のターゲットとする位相差層の位置を特定する必要をなくすることができる。
本発明によれば、平面視上、測定用位相差層の最小幅寸法が、カラーフィルタの部分的に形成された層Aの最小幅寸法よりも大きいことにより、測定用位相差層の形成領域の大きさが、位相差測定機器の測定スポットの大きさよりも大きい状態となりやすく、位相差層を構成する層Aの位相差量に対応する値としての測定用位相差層の位相差量の値がより一層容易に且つ正しく測定される。
本発明によれば、測定用位相差層の形成される領域の周囲に、遮光性を有するブラックマトリクスを配置されることで、ブラックマトリクスにて測定用位相差層の形成領域の輪郭が形成されるのみならず、測定用位相差層の形成領域よりも位相差層を測定するための位相差測定装置によって測定される位相差層の領域(測定スポット)が大きい場合にあっても、測定用位相差層以外の領域からの光が位相差測定装置の測定スポット内に入り込む虞を低減し、測定用位相差層を通る光以外の光により位相差量の測定値が影響をうけることを抑えることが可能となる。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第1の形態)>
カラーフィルタ用マザー基板1(単に、マザー基板1ということがある)は、図1(a)(b)に示すように、基材3に対して所定の領域(カラーフィルタ形成用領域6)内(図1(a)中、符合6にて示す破線内領域)に1箇所もしくは複数個所、カラーフィルタをなす各層構造を形成することを予定された領域(カラーフィルタ予定領域5)(図1(a)中、符合5にて示す破線内領域)を定められるとともに、カラーフィルタ予定領域5にカラーフィルタをなす各層を設けてカラーフィルタとなることを予定された部分(カラーフィルタ予定部4)を形成しており、カラーフィルタ予定領域5の周囲の所定領域(図1(a)中、符合7にて示す破線内領域)に測定用位相差層2を形成してなる。ここに基材3のカラーフィルタ形成用領域6は、基材3に対してなんらかの層構造を積層するための領域として指定される領域に対応する。たとえば、製造工程上、層構造を形成可能な領域に限界がなければ、カラーフィルタ形成用領域6は基材3全面領域であり、層構造の形成を禁止される領域があればその領域を除かれる。
図1(a)(b)の例では、マザー基板1を形成する基材3の一方の上面にカラーフィルタを構成する各層を設けてなるカラーフィルタ予定部4が、カラーフィルタ形成用領域6内に平面視上マトリクス状に整列されたカラーフィルタ予定領域5上に、複数配置形成されている。各カラーフィルタ予定部4は矩形状に形成されており、1つのカラーフィルタ予定部4に対応して1つの測定用位相差層2が、カラーフィルタ予定部4に対して間隔をあけて隣接する領域に、帯状に形成され、長手方向をカラーフィルタ予定部4の4辺のうちの一辺に対して平行に形成されている。マザー基板1において、カラーフィルタ形成用領域6とカラーフィルタ予定領域5の大きさなどの諸条件は、得ようとするカラーフィルタの寸法やマザー基板1の寸法などの諸条件に応じて定められる。
マザー基板1を形成する基材3には、カラーフィルタを形成する基材として使用可能なもの(透明基板など)が用いられる。このとき、マザー基板1からカラーフィルタ予定部4が切り出されて、マザー基板1からカラーフィルタが作製される場合に、マザー基板1の基材が、そのままカラーフィルタの基材をなす。
<基材3の構成>
マザー基板1の基材3については、一種類の部材を単層あるいは多層備えて構成されても、複数種類の部材を多層に備えて構成されてもよい。基材3の光線透過率は、適宜選定可能である。
基材3は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましい。基材3としては、ガラス基板などのガラス材の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどからなるプラスチック基板であってもよいし、またさらにポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロプレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどのフィルムを用いることもできる。ただし、特にカラーフィルタ用マザー基板1を液晶表示装置の製造に用いる場合には、基板3は無アルカリガラスであることが好ましい。
マザー基板1を形成する基材3上に形成されるカラーフィルタ予定部4を構成する各層としては、少なくとも着色層13と位相差層9が含まれる。
<着色層13の構成>
着色層13は、光を遮断する遮光層をなすブラックマトリクスや光のうち所定範囲の波長の可視光を通過させる色パターン形成層を有する構成を備えている。
基材3の表面上のカラーフィルタ予定部4に、色パターン形成層とブラックマトリクスとを有する着色層が形成されている場合を一例として説明する(図2、3)。図2、3は、基材3に着色層13を設けた層構造の実施例の一つを説明するための概略断面図、概略平面図である。
マザー基板1を形成する基材3の一方の表面上のカラーフィルタ予定領域5に、遮光性のブラックマトリクス15が縦横に格子状(格子縞状)に塗工形成され、これによりブラックマトリクス15の非形成領域が開口部20として平面視上格子点状に多数形成される。このとき、ブラックマトリクス15の形成領域が光を遮断する遮光部に相当し、開口部20が所定波長の光を透過させる部分に相当する。
ブラックマトリクス15は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を基材3面にパターニングすることにより、形成することができる。また、ブラックマトリクス15は、黒色顔料を含む樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することにより形成することも可能である。
ブラックマトリクス15を配置した基材3の上には、開口部20を覆うように三色の色パターン形成層16,17,18が短冊状に配列されて、これら色パターン形成層16,17,18とブラックマトリクス15とで着色層13が形成されている(図2)。色パターン形成層16,17,18は光透過性を有しており、透過する可視光を分光してそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光となす。このとき、RGBの三色の色パターン形成層(赤色(R)の色パターン形成層16、緑色(G)の色パターン形成層17、青色(B)の色パターン形成層18)それぞれによって被覆された開口部の部分が、それぞれ画素22をなし、そして三色の色パターン形成層16,17,18によって被覆された開口部の部分である三つの画素があわさって、一つの絵素21が形成される。
色パターン形成層16,17,18は、色種ごとに、各色種に対応する顔料と樹脂などを配合してなる着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液を基材3に塗布して形成される塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、例えば短冊状などといった所定形状にパターニングすることで形成されるほか、着色材料分散液を所定形状に基材3に塗布することによっても形成できる。
着色層13においてブラックマトリクス15が形成される場合、このブラックマトリクス15は、遮光部としての機能として、おおよそ短冊状に塗工される色パターン形成層16,17,18の混色を防止する機能と、開口部を平面視上区画化して、絵素21の輪郭を鮮明化する機能、さらにまた、カラーフィルタ用マザー基板1から切り出されたカラーフィルタが液晶表示装置に組み込まれた際に、基板に通常配置され液晶を駆動させるために用いられるTFTなどといった駆動回路などを、透過光から隠蔽する機能を併せもつ。
マザー基板1において、着色層13は、色パターン形成層16,17,18とブラックマトリクス15とで、マザー基板1を形成する基材3表面におけるカラーフィルタ予定領域5を被覆している。
ブラックマトリクス15の配置形状は矩形格子状である場合に限定されず、ストライプ状や三角格子状などに形成してもよい。また着色層13を構成する色パターン形成層についても、RGB方式の三色の場合のほか、その補色系であるCMY方式とすることも可能であり、さらに単色もしくは二色の場合、または四色以上の場合なども採りうる。また色パターン形成層の形状も、短冊状にパターン形成する場合のほか、矩形状や三角形状などの微細パターンを基材3上に多数分散配置するパターンの場合など、目的に応じて種々のパターンを採りうる。
<位相差層9の構成>
カラーフィルタ用マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5に形成されるカラーフィルタ予定部4の位相差層9は、層A(図2,3中、符合90)を有して構成される。図2,3の例では、位相差層9は、層Aのみを有して構成される。
<層Aの構成>
位相差層9における層A90は、次のように構成されている層である。
位相差層9を構成する層A90は、液晶化合物を含む液晶組成物を基材3に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させて固定することによって形成されるものである。より具体的には、位相差層9を構成する層Aは、重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物を基材3に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させ、液晶化合物を重合させて固定することによって形成されるものである。
位相差層9を構成する層A90は、層A90に対して所定の方向から入射される光を複屈折させる光学機能を有する層である。
層A90は、その光学機能に応じた屈折率nx、ny、nzを有する層である。例えば、位層A90が、入射する光に1/4波長分の位相のずれ(いわゆる1/4波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層である場合、入射する光に1/2波長分の位相のずれ(いわゆる1/2波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層である場合など、その光学機能に応じたnx、ny、nzとなっている。なお、層A90の屈折率nx、ny、nzにつき、層A90の厚み方向(層A90の法線方向)にz軸をとり、層A90の面内方向(層A90の厚み方向に法線を有するような面(平面)についての面内方向(その平面に平行する方向))にx軸、y軸を相互に直交するようにとってxyz空間を想定した場合、x軸、y軸、z軸方向の光の屈折率がそれぞれnx、ny、nzであるものとする。
層A90の膜厚は、必要に応じて適宜調整され、通常、0.5〜10μm程度が好ましく採用される。
層A90の膜厚みは、ET4000A(ミカサ社製)等の触針式段差計等の市販の装置を用いて具体的に測定される。
層A90の複屈折の値は、位相差層9に要請される光学機能に応じて設定される。
層A90は、分子構造中に重合性官能基を有する液晶化合物をなす液晶分子(重合性液晶分子という)を重合反応させてなる高分子構造を形成している。
ところで、液晶分子は、その分子構造に応じた光軸を有し、その光軸の状態に応じて定まる複屈折特性を備えている。そこで、特定の方向に液晶分子を配向させて固定することで、その配向状態に応じた複屈折特性を有する層構造を構成することができる。そして層A90は、液晶分子を特定の方向に配向させた状態にて形成されているので、層A90全体として所定の光軸を有する層をなしており、所定の光学機能を発揮することができる。
「層A90に含まれる液晶化合物」
層A90に含まれる液晶化合物は、層A90に要請される光学機能に応じで適宜選択できる。そのような液晶化合物をなす液晶分子としては、ネマチック液晶相を形成可能な液晶分子やスメクチック液晶相を形成可能な液晶分子を用いることができる。
層A90に含まれる液晶化合物をなす液晶分子は、その液晶分子の構造中に不飽和2重結合を重合性官能基として有する重合性液晶分子が好ましい。また、重合性液晶分子には、耐熱性の点から液晶相状態で架橋重合反応可能な重合性液晶分子(架橋重合性液晶分子、あるいは架橋性液晶分子という)がより好ましく用いられ、架橋重合性液晶分子としては分子構造の両末端に不飽和2重結合を有するもの(不飽和2重結合を2以上有するもの)が好ましい。なお、架橋重合性液晶分子を用いて層A90が形成される場合、層A90には、架橋重合性液晶分子を相互に架橋させてなる架橋高分子構造が形成されることになる。
層A90を得るために用いられる架橋性液晶分子としては、架橋性を有するネマチック液晶分子(架橋性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶分子としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、重合性液晶モノマーとして、下記式(1)〜式(11)に示すようなものをあげることができる。
層A90においては、液晶分子の重合度(架橋重合性液晶分子の場合は、架橋重合度)が80以上程度であることが好ましく、90以上程度であることがより好ましい。層A90を構成する液晶分子の重合度が80より小さいと、均一な配向性を十分に維持できない虞がある。なお、上記重合度、架橋重合度は、液晶分子の重合性官能基のうち液晶分子の重合反応に消費された割合を示す。
また、層A90の光学機能に応じて、層A90にはカイラル剤が含まれていてもよい。層A90にカイラル剤が含まれると、層A90が液晶化合物をなす液晶分子をねじれ配向させた構造をとり、見かけ上、nx=ny≠nzの複屈折を持った位相差層を形成することができる。このとき、カイラルピッチは可視波長より小さくする必要がある。
「カイラル剤について」
カイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。なお、カイラル剤としては、より具体的には、例えばMerck社製S−811等の市販のものを用いることができる。また、重合性カイラル剤としては、下記式(12)〜式(14)に示すようなものを好ましく例示することができる。
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力、あるいは最終的に得ようとする位相差層に含まれる重合性液晶モノマーのコレステリック規則性の程度などを考慮して適宜決めることができる。液晶組成物におけるカイラル剤の配合量は、重合性液晶モノマーの種類等により大きく異なるが、一般的に、対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合される。液晶組成物の各配合物についての対配合物換算値とは、液晶組成物が各配合物(液晶化合物など)を混合したもので構成される態様である場合には、液晶組成物の総重量を100とした場合において液晶組成物を構成する成分として配合される各配合物(固形物)の重量%を示すものとし、液晶組成物が液晶組成物を構成する各配合物を混合した混合物を溶媒に溶解もしくは懸濁させてなる液体にて構成される態様である場合には、液晶組成物の総重量から溶媒の重量を差し引いた量(すなわち溶媒に溶解もしくは懸濁させる前の混合物の総重量)を100とした場合において液晶組成物を構成する成分として配合される各配合物(固形物)の重量%を示す。
Figure 2009244738
・・・(1)
Figure 2009244738
・・・(2)
Figure 2009244738
・・・(3)
Figure 2009244738
・・・(4)
Figure 2009244738
・・・(5)
Figure 2009244738
・・・(6)
Figure 2009244738
・・・(7)
Figure 2009244738
・・・(8)
Figure 2009244738
・・・(9)
Figure 2009244738
・・・(10)
Figure 2009244738
・・・(11)
Figure 2009244738
・・・(12)
Figure 2009244738
・・・(13)
Figure 2009244738

・・・(14)
上記各式の表記において、「式11」〜「式14」中のいずれもメチレン基の数(アルキレン基の鎖長)を示すa〜eはいずれも整数であって、まず、a、bが、各々個別に2〜12であり、より好ましくは4〜10、特に好ましくは6〜9であり、c、dはいずれも2〜12であり、より好ましくは4〜10であり、特に好ましくは6〜9であり、さらにeは2〜5である。
層A90を作製する工程について次に詳細に説明する。
<層A90の作製工程>
マザー基板1におけるカラーフィルタ予定領域5に、液晶化合物の重合構造を形成して層A90となす方法を例として説明する。
<液晶組成物の調整>
層A90を構成する重合性液晶化合物が、上記に例示したような液晶化合物から適宜選択され液晶組成物が調整される。このとき、液晶組成物には、必要とされる位相差層の光学機能と、選択された液晶化合物の種類および配向性に応じて、上記したようなカイラル剤が適宜含まれる。
なお、液晶組成物には、液晶化合物の重合効率を向上させる助剤となる光重合開始剤、が含まれることが好ましい。また、液晶組成物には、液晶化合物の塗布にあたり塗布特性を向上させる助剤となる界面活性剤が含まれていてもよい。
「光重合開始剤について」
位相差層を形成する場合には、液晶化合物の配向を大きく損なわない範囲で光重合開始剤が液晶組成物に添加される。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は、例えば紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするのがよい。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することもできる。
「界面活性剤について」
液晶組成物には、液晶組成物を透明基板に塗布する際の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤が好ましく添加される。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
<液晶塗布膜の作製>
上記のような液晶組成物は、溶剤に溶解されて、液晶組成液の状態にされ、その液晶組成液が、マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5上に塗布される。これにより、カラーフィルタ予定領域5に塗布膜(液晶塗布膜)が作製される。なお、液晶組成物には、溶剤に溶かす前の状態と、溶剤に溶かした後の溶液の状態のいずれも含まれるが、溶液の状態となった液晶組成物を、便宜上、液晶組成液と呼ぶ。
「溶剤について」
液晶組成液に含まれるは溶剤としては、液晶化合物等を溶解することが可能な溶剤であり、かつ配向膜など配向性材料を設けた基材3上の配向性能を阻害しない溶剤であれば特に限定されるものではない。
溶剤として、具体的に、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。
液晶組成液に使用される溶剤として単一種の溶剤が使用されただけでは、液晶化合物等の溶剤に対する溶解性が不充分である場合や、配向膜を有する基材そのものが侵食される場合がある。しかし、液晶組成液に使用される溶剤として2種以上の溶剤を混合してなる混合溶剤が使用されることにより、この不都合を回避することができる場合がある。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。溶剤の濃度は、液晶性組成物の溶解性や所望する位相差層の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
液晶組成液の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スライドコート法、印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
なお、液晶塗布膜を作製するにあたり、基材3には着色層13のほか、予め配向膜などが形成されていてもよい。配向膜は、液晶化合物を所定の方向に方向付ける機能を発揮可能な構造体である。なお、基材3や着色層、配向膜などが撥水性又は撥油性の高いものである場合には、液晶組成液を塗布する前に、液晶分子を配向可能な範囲内でUV洗浄やプラズマ処理を施して、液晶組成液を塗布しようとする面の濡れ性を予め高めておいてもよい。
液晶塗布膜が形成されると、次いで、液晶塗布膜はプリベーク(prebake;予備焼成)され、液晶塗布膜に含まれる溶剤が除去される。このとき、プリベークの加熱による流動性を利用して、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物が一定方向に配列される。プリベークの温度と時間は、液晶組成物に含まれる液晶化合物の特性に応じて変動しうるが、通常、70℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。
<露光工程>
一定方向に配向した状態となった液晶化合物を含む液晶塗布膜に向けて、一定方向に液晶化合物を配列させた状態を維持しつつ、活性放射線が照射される(露光工程)。ここに、活性放射線は、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む概念である。この露光工程により、重合性液晶分子の末端基同士が架橋重合反応して重合部を形成し、この反応により液晶塗布膜の硬化が生じる。なお、露光処理においては、活性放射線として紫外線が好ましく用いられる。紫外線としては、波長300〜500nm程度の照射光で、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。また、紫外線の照射光量は、重合性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲である。
<焼成工程>
露光処理の後、液晶塗布膜を備えるマザー基板1は焼成される(焼成工程)。焼成工程において、焼成温度、焼成時間は、重合性液晶化合物の種類や組成等に依存して変動するが、通常、150℃〜260℃で10分〜60分間程度の範囲で行われる。この焼成処理において、重合性液晶化合物をなす液晶分子の重合がより確実に進行する。そして、液晶塗布膜の所定部分は、光に位相差を生じさせる層A90となる。
本発明において、層A90は、カラーフィルタ予定領域5においてカラーフィルタ予定部4の面内方向に部分的に、形成される。
ところで、図3の例では、位相差層9は、カラーフィルタ予定部4の面内方向に微細なパターン単位をなす層(図3中、符合90a)がパターン形成されることで層A90を形成してなる。この例では、層A90を構成するためのパターン単位をなす層90a同士間には間隔が設けられており、層A90は、平面視上、全体として不連続面にて形成され、層Aの形成部分と層Aの非形成部分91とが存在している。
層A90を部分的に形成する方法としては、例えば各種印刷方法やフォトリソグラフィー法を用いて、カラーフィルタ予定領域上にパターニング形成する方法などを例示することができる。印刷方法による場合、カラーフィルタ予定領域上に液晶組成液を所定のパターンで塗布することにより、カラーフィルタ予定領域5上に部分的に液晶塗布膜を作製し、これを硬化させて層A90となすことで具体的に実現できる。また、フォトリソグラフィー法による場合、次のように層A90を部分的に作製することができる。
カラーフィルタ予定領域5上に一面に液晶塗布膜を作製し、所定のパターンにてパターン形成されたフォトマスクを介して活性放射線を照射し、液晶化合物の重合反応が十分に進んだ部分と、液晶化合物の重合反応が不十分な部分とを作製する。その後、液晶分子の重合反応が不十分で未硬化な状態にある液晶組成物を溶解可能な溶液に浸漬することにより、液晶塗布膜において液晶分子の重合反応が進まなかった部分を基材面から除去する(現像処理)。こうして、カラーフィルタ予定領域上に液晶相の液晶分子を含む層構造を所定のパターンで形成する(パターニングする)ことが具体的に実現可能である。
こうして、カラーフィルタ予定領域5内に予め所定の領域の部分を定めて、その領域の部分を狙って層A90を所定のパターンにてパターン形成することが可能となり、カラーフィルタ予定領域上に層A90を部分的に形成することが可能となる。
そして、図3に示す本発明のマザー基板1の例において、位相差層9は、層A90を構成するパターン単位をなす層90aの形成されていない部分(すなわち層A90の非形成部分(図3中符合91))に、層構造を存在させずに構成される。すなわち、本発明において、カラーフィルタ予定部4に形成される位相差層9は、層A90のみからなるもの、となっている。
このようにマザー基板1のカラーフィルタ形成用領域6内における所定のカラーフィルタ予定領域5上に、カラーフィルタを構成する各層として着色層13や位相差層9が設けられ、カラーフィルタ予定部4が形成される。
上記のカラーフィルタ用マザー基板1では、カラーフィルタ予定部4を構成する層構造として基材3上に形成される層が位相差層9と着色層13である例について詳細に説明したが、カラーフィルタ予定部4を構成する層構造は、これに限られず、進行経路を異にする2種類の光の間の光路差を調整する位相差調整層、露出面を保護するための保護層、配向膜、ITO膜であってもよい。
<測定用位相差層2について>
カラーフィルタ用マザー基板1において、測定用位相差層2の形成位置は、カラーフィルタ予定領域5の外側領域における所定の位置となっている。すなわち、測定用位相差層2は、カラーフィルタ予定部4が所定のカラーフィルタ形成用領域6内に1箇所形成されている場合には、カラーフィルタ予定領域5の外側にあたるカラーフィルタ形成用領域6の外側の領域における所定の位置に形成される。また、測定用位相差層2は、カラーフィルタ予定部4が所定のカラーフィルタ形成用領域6内に複数個所形成されている場合には、カラーフィルタ形成用領域6の外側領域、もしくは、隣り合うカラーフィルタ予定部4の間の領域における所定の位置に形成される。このとき、測定用位相差層2を形成する所定の位置は、個々のカラーフィルタ予定部4に応じて定められる。
測定用位相差層2の形成領域(図1中、符合7)の大きさは、マザー基板1のカラーフィルタ4の位相差層9の状態を管理するにあたって使用される位相差測定装置において位相差の測定対象に用いられる領域(スポット)の大きさ以上となっている。
測定用位相差層2の形成領域の形状は、特に限定されず、図1の例のように、矩形状でも、円形状であってもよい。
また、測定用位相差層2の形成領域は、平面視上、該測定用位相差層2の形成領域の最小幅寸法のほうが、カラーフィルタ予定部4に部分的に形成された層A90の最小幅寸法よりも大きくなっているような大きさにて形成されている。ただし、本明細書において、最小幅寸法とは、測定用位相差層2が、短手方向と長手方向のある形状(矩形状、条状、帯状、曲線状、折れ線状、これらの組み合わせでなる形状)に形成されている場合には、測定用位相差層2の短手方向あるいは長手方向の幅寸法のうちの最小値であり、測定用位相差層2が、短手方向と長手方向のない形状(多角形状、円形状、直線状の輪郭部分と曲線状の輪郭部分を併せ持つ形状(扇形状など)のいずれかの形状)に形成されている場合には、測定用位相差層2の周縁位置にとった2点間の線分のうち測定用位相差層2の重心位置を通る線分の距離の最小値であるものとする。したがって、例えば、測定用位相差層2が円形状である場合、測定用位相差層2の最小幅寸法は、測定用位相差層2を構成する円の直径となる。この定義は、位相差層9を構成する層構造(層A90など)についても同じであるものとする。
なお、測定用位相差層2の形成領域の形状は、位相差測定装置のスポットの形状に合わせた形状であることが好ましく、また、測定用位相差層2の形成領域の大きさは、位相差測定装置のスポットを重ね合わせてみた場合に、測定用位相差層2の形成領域の内部にスポットが入り込むような大きさであることが好ましい。
測定用位相差層2は、その測定用位相差層2に対して対応付けられたカラーフィルタ予定部4の位相差層9と同一の種類の層を備えて構成される。測定用位相差層2は、位相差層9が層A90一種類からなる場合には、層A90に対して層内部の構造と組成を同一にして構成される。測定用位相差層2は、位相差層9が層A90と後述のような層A90以外の層構造(層B、層C、層D)も備えて複数種類からなる場合には、層A90の層構造に対して層内部の構造と組成を同一にして構成される層と、必要に応じて層A90以外の層構造に対して層内部の構造と組成を同一にして構成される層を備えて構成されて構成される。すなわち、測定用位相差層2は、少なくとも層A90の層構造に対して層内部の構造と組成を同一にして構成される層を備えて構成される。
<測定用位相差層2の作製方法について>
測定用位相差層2の形成領域7には、所定のカラーフィルタ予定部4の位相差層9と同一の工程を実施することで測定用位相差層2が形成される。具体的には、測定用位相差層2は、次のように形成される。
すなわち、マザー基板1上にカラーフィルタ予定部4を形成するにあたって層A90を作製する際、上記したように位相差層9を形成するための組成物(液晶組成物)が塗布されるが、その際、その液晶組成物は、測定用位相差層2の形成領域7にも塗布されて、そこにも塗布膜が作製される。そして、カラーフィルタ予定部4の露光工程を行う際、測定用位相差層2の形成領域7に形成された塗布膜に対しても露光が行われる。具体的には、露光工程が、位相差層9の層A90のパターンのほかに測定用位相差層2の形成領域7に対応する部分にもパターン形成してなるフォトマスクを介して、マザー基板1に活性放射線を照射することにて実施される。さらに、位相差層9の層A90の形成の際に行われる焼成工程が、測定用位相差層9の形成領域7に形成された塗布膜に対しても実施され、その塗布膜が、カラーフィルタ予定部4の位相差層9と同じ種類の層を備える測定用位相差層2となる。
こうして、所定の基板3の所定の位置に、カラーフィルタ予定部4が形成されるとともに、測定用位相差層2が形成され、本発明のマザー基板1が形成される。
このマザー基板1においては、層Aが、複数設けられ、且つ、それら複数の層Aにつき、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを異にする複数種類が存在していてもよい。このとき、測定用位相差層2は、位相差層9と同じ種類の層を備えてなるものであるから、全種類の層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されている。各種類の層Aの間の位相差量の相違量が予め判明している場合には、測定用位相差層2は、全種類の層Aのうちの一部に対して組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されることも可能である。
なお、測定用位相差層2の形成領域7には、測定用位相差層2が形成される前に、着色層を構成する色パターン形成層と同一の層が予め形成されていてもよい。
上記した第1の形態のカラーフィルタ用マザー基板1では、位相差層9が、層A90のみをパターン形成して構成されている場合、すなわち位相差層9が層A90の非形成部分91に層構造を形成されずに構成されている場合を例として説明したが、位相差層9の構成はこれに限定されず、例えば、次のように構成されていてもよい。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第2の形態)>
本発明において、カラーフィルタ形成用マザー基板1に形成されるカラーフィルタ予定部4の位相差層9は、層A90と、層A90の非形成部分91に形成され且つ所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Bと、でなるものであってもよい。
この位相差層9において、層Aと層Bは、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを互いに異にしているように構成されている。
このとき、測定用位相差層2は、図8に示すように、位相差層9と同じ種類の層を備えてなるものであるから、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層(図8中、符合T1で示す領域部分の層)、および、層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層(図8中、符合T2で示す領域部分の層)を備えて形成されている。この測定用位相差層2の形成領域7は、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層の形成領域の大きさ、および、層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層の形成領域の大きさそれぞれについて、位相差測定装置にて位相差の測定対象に用いられる領域(スポット)の大きさ以上であるような大きさ(スポットを覆い隠せる大きさ)である。
このような層Aと層Bを備える位相差層9と、測定用位相差層2とを備えるマザー基板1は、具体的に次のようにして形成することができる。
層Aを構成するために調整された液晶組成物(組成物A)を、マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5と測定用位相差層2の形成領域上に塗布して液晶塗布膜(塗布膜A)を作製する。次に、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を配向させ、さらに液晶塗布膜に対して、層Aのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して、紫外線などの活性放射線を照射して露光して、液晶塗布膜において層Aを形成しようとする領域に対応する部分を硬化させるとともに、測定用位相差層2において層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層を形成しようとする部分とを硬化させる。そして、液晶塗布膜において未硬化の状態にある部分が現像処理にて除去される。現像処理は、MEK(メチルエチルケトン)などの溶剤を適宜用いて液晶塗布膜の未硬化部分を取り除くことによって実施される。
次に、層Bを構成するために液晶組成物(組成物B)を調整する。この組成物Bとしては、層Aを構成するために調整された組成物Aと同一の組成のものを使用することができるほか、適宜調整されたものが用いられる。ついで、層Aを作製する工程と同様に、マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5と測定用位相差層2の形成領域7上に組成物Bを塗布して液晶塗布膜(塗布膜B)を作製する。次に塗布膜Bに含まれる液晶化合物を配向させる。そして、さらに塗布膜Bに対して、層Bのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域(層Aと同じ組成及び内部構造を有する層の形成領域とは重ならない領域)に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して、紫外線などの活性放射線を照射して露光して、液晶塗布膜において層Bを形成しようとする領域に対応する部分を硬化させるとともに、測定用位相差層2において層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層を形成しようとする部分とを硬化させる。ただし、塗布膜Bに対する露光量は、塗布膜Aに対する露光量に対して異なる量にされている。そして、液晶塗布膜において未硬化の状態にある部分が現像処理にて除去される。
こうして、層Aと層Bを備える位相差層9と、測定用位相差層2とを備えるマザー基板1が形成できる。
上記ではマザー基板1については、層Aと層Bとを別々に形成してなる層構造の位相差層9が備えられる場合について説明したが、これに限定されず、このマザー基板1については、層Aと層Bとを一体的に形成して、位相差層9と測定用位相差層2とを形成してもよい。すなわち、このマザー基板1については、マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5と測定用位相差層2の形成領域7上に層Aを構成するために調整された組成物を塗布し、層Aのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して露光し(露光処理1)、さらに層Bのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域(層Aと同じ組成及び内部構造を有する層の形成領域とは重ならない領域)に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して露光し(露光処理2)、層Aと層Bとを一体的に形成して、位相差層9と測定用位相差層2とを形成してもよい。なお、露光処理1と露光処理2では、照射線量を異にする光が照射される。
なお、このマザー基板1においては、層Bが、複数設けられ、且つ、それら複数の層Bにつき、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを異にする複数種類が存在していてもよい。このとき、測定用位相差層2は、位相差層9と同じ種類の層を備えてなるものであるから、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層、および、全種類の層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されている。
また、このマザー基板1においては、層Aと層Bとの間の位相差量の相違量が予め判明している場合には、測定用位相差層2は、位相差層9と同じ種類の層を備えてなるものであるから、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層、もしくは、層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されることも可能である。さらに、マザー基板1においては、層Bが、複数設けられ、且つ、それら複数の層Bにつき、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを異にする複数種類が存在している場合であって、
各種類の層B間の位相差量の相違量が予め判明している場合であり、且つ、測定用位相差層2が、層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層を備える場合には、その「層Bに対して組成と層内部構造を同じくする層」について、全種類の層Bのうちの一部の種類に対してその組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されることも可能である。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第3の形態)>
本発明において、カラーフィルタ形成用マザー基板1に形成されるカラーフィルタ予定部4の位相差層9は、層A90と、層A90の非形成部分91に形成され且つ光学等方性を有する層Cと、でなるものであってもよい。
このとき、測定用位相差層2は、位相差層9と同じ種類の層を備えてなるものであるから、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層、および、層Cに対して組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されている。この測定用位相差層の形成領域は、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層の形成領域の大きさ、および、層Cに対して組成と層内部構造を同じくする層の形成領域の大きさそれぞれについて、位相差測定装置にて位相差の測定対象に用いられる領域(スポット)の大きさ以上であるような大きさである。
このような層Aと層Cを備える位相差層9と、測定用位相差層2とを備えるマザー基板1は、具体的に次のようにして形成することができる。
層Aを構成するために調整された液晶組成物を、マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5と測定用位相差層2の形成領域7上に塗布して液晶塗布膜を作製する。次に、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を配向させ、さらに液晶塗布膜に対して、層Aのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して、紫外線などの活性放射線を照射して露光して、液晶塗布膜において層Aを形成しようとする領域に対応する部分を硬化させるとともに、測定用位相差層において層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層を形成しようとする部分とを硬化させる。そして、マザー基板1に熱を加えて、マザー基板1のカラーフィルタ予定領域5と測定用位相差層2の形成領域7において未硬化の状態にある液晶塗布膜の部分に含まれる液晶分子を等方相の状態となし、未硬化の状態にある液晶塗布膜の部分に対して、紫外線などの光を照射し、若しくは、熱を加えることで、未硬化の状態にある液晶塗布膜の部分を硬化させる。
こうして、層Aと層Cを備える位相差層9と、測定用位相差層2とを備えるマザー基板1が形成できる。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第4の形態)>
本発明において、カラーフィルタ形成用マザー基板1に形成されるカラーフィルタ予定部4の位相差層9は、層A90と、層A90の非形成部分91に形成され且つ所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Dと、でなるものであってもよい。
この位相差層は、層Aと層Dにつき、層Aの光軸の向きと層Dの光軸の向きが互いに異にしているように構成されている。
このとき、測定用位相差層は、位相差層9と同じ種類の層を備えてなるものであるから、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層、および、層Dに対して組成と層内部構造を同じくする層を備えて形成されている。このような測定用位相差層2は、例えば、図8に示す例において図8の符合T1で示す領域には、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層を形成するものの、図8の符合T2で示す領域については、層Bに対して組成と層内構造を同じくする層を形成するかわりに層Dに対して組成と層内部構造を同じくする層を形成することで実現できる。この測定用位相差層2の形成領域は、層Aに対して組成と層内部構造を同じくする層の形成領域の大きさ、および、層Dに対して組成と層内部構造を同じくする層の形成領域の大きさそれぞれについて、位相差測定装置にて位相差の測定対象に用いられる領域(スポット)の大きさ以上であるような大きさである。
このような層Aと層Dを備える位相差層9と、測定用位相差層とを備えるマザー基板1は、具体的に次のようにして形成することができる。
マザー基板1として、カラーフィルタ予定領域5と測定用位相差層2の形成領域上に予め配向膜を形成し、その配向膜を最表面に露出させた状態にしたものを調整しておく。ただし、その配向膜としては、光配向膜が用いられる。この光配向膜は、偏光露光によって配向方向を制御できるものである。そこで、光配向膜を形成可能な材料にてなる配向膜を形成したマザー基板1における配向膜面上に、層Aのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域(層Aと同じ層構成を有する層部分の領域)に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して偏光を照射することで偏光露光し(偏光露光処理1)、さらに、層Dのパターンに対応するパターンにてなる開口パターンと測定用位相差層2の形成領域7内の所定領域(層Dと同じ層構成を有する層部分の領域)に対応する大きさの開口部とを形成したフォトマスクを介して偏光を照射することにて偏光露光する(偏光露光処理1)。ここに、偏光露光処理1と偏光露光処理2では、偏光面の異なる偏光が配向膜面上に照射される。これにより、マザー基板1面上に光配向膜が形成される。この光配向膜は、層A90の層構造の形成を予定する領域に対応する領域については、その層A90の光軸に対応して液晶化合物を配向させる膜構造となり、層Dの層構造の形成を予定する領域に対応する領域については、その層Dの光軸に対応して液晶化合物を配向させる膜構造となっている。
つぎに、その光配向膜面上に、層Aを構成するために調整された液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を作製する。液晶塗布膜に対して(マスクを介さずに)露光し、露光された領域について硬化されることで層Aと層Dとが一体的に形成され、位相差層9と測定用位相差層2が形成される。
こうして、層Aと層Dを備える位相差層9と、測定用位相差層とを備えるマザー基板1が形成できる。
なお、このマザー基板1においては、層Dが、複数設けられ、且つ、それら複数の層Dにつき、光軸(層構造全体として有する光軸)の向きを異にする複数種類が存在していてもよい。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第5の形態)>
上記第1から第4の形態のカラーフィルタ用マザー基板1では、測定用位相差層2の形成領域が、カラーフィルタ予定領域5の一辺に平行帯状に形成され、1つのカラーフィルタ予定部4に対応して1つの測定用位相差層2が形成される例について説明したが、測定用位相差層2の形成領域7はこれに限定されない。例えば、カラーフィルタ用マザー基板1は、測定用位相差層2の形成領域7を、図4に示すように、カラーフィルタ予定領域5の輪郭の各頂点を形成している位置(角部の位置)に、カラーフィルタ予定領域5の位置から外側方向に向かう領域に形成されていてもよい(第5の形態)。図4の例では、1つのカラーフィルタ予定部4の4つの頂点のそれぞれに対応して測定用位相差層2が計4つ形成され、マザー基板1全体における測定用位相差層2の配置パターンを見た場合に、測定用位相差層2がマトリクス状のパターンに配置される。
このマザー基板1によれば、測定用位相差層2が、カラーフィルタ予定部4の角部の位置に設けられることで、カラーフィルタ予定部4の配置に制限なく、測定用位相差層2を作成することができる。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第6の形態)>
上記第1から第4の形態のカラーフィルタ用マザー基板1では、カラーフィルタ予定部4に対応して定められる所定の領域に、測定用位相差層2が形成される場合を例として説明したが、カラーフィルタ用マザー基板1は、マザー基板1に形成されるカラーフィルタ予定部4の位相差層9が1つのパターンであれば、カラーフィルタ予定領域5の外側領域全体を、測定用位相差層2の形成領域7として、その形成領域7全体に測定用位相差層2を形成して構成されていてもよい(図5)(第6の形態)。
このマザー基板1によれば、測定用位相差層2の形成領域7が、カラーフィルタ予定部4の周囲の領域とされることで、第5の形態のマザー基板1と同様に、カラーフィルタ予定部4の配置に制限なく、測定用位相差層2を作成することができる。
<カラーフィルタ用マザー基板1の構成(第7の形態)>
上記第1から第6の形態のカラーフィルタ用マザー基板1では、測定用位相差層2の形成領域7の大きさは、位相差測定装置にて位相差の測定対象に用いられる領域(スポット)の大きさ以上となっている場合を例として説明したが、カラーフィルタ用マザー基板1では、測定用位相差層2の形成領域7の大きさが、スポットの大きさ未満であっても、測定用位相差層2以外に光が通過可能な層構造がスポットの内側に形成されていなければ、光が透過する領域においては位相差が一定であるため、測定用位相差層2の位相差が正確に測定することが可能である。そこで、本発明のカラーフィルタ用マザー基板1は、測定用位相差層2の周囲の部分に、ブラックマトリクス8を形成して、測定用位相差層2の周囲の部分では光の透過が遮断されているように構成されていてもよい(図6)。
<カラーフィルタの形成>
第1から7の形態のカラーフィルタ用マザー基板1は、いずれについても、カラーフィルタ予定領域5の輪郭に沿ってカラーフィルタ予定部4を切り出すことで、カラーフィルタを得ることができるものである。
<カラーフィルタを組み込んだ液晶表示装置について>
次に、本発明のマザー基板を用いた液晶表示装置(半透過半反射型液晶表示装置)について、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例として説明する(図7)。
半透過半反射型液晶表示装置30は、対面する一対の基板25(第1の基板22、第2の基板23)の間に、印加電圧に応じて液晶44の光軸の向きを可変に液晶材料24(駆動用の液晶)を封入してなる駆動液晶層28を形成しており、基板25の外側にバックライト(図示せず)を備えてなる。ここに、一対の基板25のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板22とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板23とする。また、第1の基板、第2の基板から駆動液晶層28に向かう方向が内側方向(インセル側)であり、駆動液晶層28から第1の基板22、第2の基板23に向かう方向が外側方向であるものとする。半透過半反射型液晶表示装置30のバックライトは、第2の基板23のさらに外側の位置に、第2の基板23に向かって光を入射するように備えられる。
第1の基板22、第2の基板23は、それぞれガラス基板たる基材3、11を備えており、第1の基板22は、ガラス基板たる基材3上に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が形成されている。さらに、この透明電極を覆うように、ブラックマトリクス15と色パターン形成層16,17,18を備えた着色層13を積層し、さらにその着色層13上に配向膜(図示せず)を積層している。さらに、第1の基板22には、基材3に着色層13を積層して得られる積層体を見た場合に、画素をなす領域のうち所定の領域に対して重なりあうように、配向膜上に層Aがパターン形成されて位相差層9が形成されて、カラーフィルタ10を形成している。この位相差層9は、光に1/4波長の位相差を生じさせる光学機能を発揮する層である。そして、第1の基板22には、さらにその内側方向に向かって、柱体50が、その基底部(図7において上方側の部分)を、位相差層9表面上所定の位置(柱体形成予定位置)にフォトリソグラフィー法などの公知方法を用いて分散配置されている。柱体形成予定位置は、位相差層9において画素とする部分に対応する部分を除いた部分(非画素部)内に、適宜定められる。柱体50は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、及びアミド系又はエステル系ポリマー等の光硬化可能な感光性を有する樹脂材料から構成されている。柱体50の高さは、第1の基板22と第2の基板23の間隔に応じて設定される。
また、第1の基板22において、ガラス基板たる基材3には、外側方向に向かって、偏光板19が配置されている。
第2の基板23は、ガラス基板たる基材11と駆動液晶層28との間に、所定領域に光を反射させる反射膜34を備えるとともに、反射膜34の非設置領域を光が透過できる部分となしており、さらに駆動液晶層28の液晶44に対する電圧の印加有無のスイッチング駆動する駆動用回路をなすTFTやITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が積層され、そしてその透明電極を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。ここに、第2の基板23において、反射膜34の設置領域は、第1の基板22と第2の基板23を対面させた際に第1の基板22の位相差層9の形成されている領域に対して対面するような領域に形成され、反射膜34の非設置領域は、第1の基板22と第2の基板23を対面させた際に第1の基板22の位相差層9の形成されていない領域(非形成領域)に対して対面するような領域に、形成されている。また、第2の基板23において、ガラス基板たる基材11には外側方向に向かって、偏光板19が設けられている。
第1の基板22と第2の基板23は、第1の基板22の厚み方向に見た場合に、第1の基板22の位相差層9の非形成領域と第2の基板23の反射膜34の非設置領域とを対面させつつ、柱体50の突出先端を第2の基板23に当接させて配置される。このとき、第1の基板22と第2の基板23との間には所定の間隔が生じており、第1の基板22の位相差層9の形成領域と第2の基板23との間隔については、所定の基準光として選択された光の1/4波長分に相当する値となっており、第1の基板22の位相差層9の非形成領域と第2の基板23との間隔については、所定の基準光として選択された光の1/2波長分に相当する値となっている。
なお、この液晶表示装置30は、マザー基板1を用いて次のように組み立てられる。
第1の基板用のマザー基板であるカラーフィルタ用マザー基板1を、次のように作製する。まず、ガラス基板たる基材3のカラーフィルタ形成用領域6内の所定部分にブラックマトリクスと色パターン形成層を設けて着色層13を形成し、着色層13上に配向膜を形成し、カラーフィルタ予定領域5における配向膜上および測定用位相差層2の形成領域7上の所定の領域に層A90を形成して、位相差層9と測定用位相差層2を形成し、さらにカラーフィルタ予定領域5内の所定位置に柱体を形成する。こうして、カラーフィルタ用マザー基板1が作製される。
他方、第2の基板用のマザー基板として、ガラス基板たる基材11の所定領域に上記した第2の基板を構成する反射膜や透明電極などといった各構造を形成したものを作製しておく。
第1の基板用のマザー基板と第2の基板用のマザー基板を、所定間隔を隔てつつ所定の相対的位置に配置させて重ね合わせ、第1の基板用のマザー基板と第2の基板用のマザー基板の間に駆動用の液晶を封入して駆動液晶層を形成し、第1の基板用のマザー基板の厚み方向に、カラーフィルタ予定領域5の輪郭に沿ってカラーフィルタ予定部4と平面視上そのカラーフィルタ予定部に重なりあう部分を切り出し、第1の基板と第2の基板との間に駆動液晶層を形成してなる構造物(液晶セル)が得られる。この液晶セルに偏光板を配置して、半透過半反射型液晶表示装置30が作製される。
なお、この液晶表示装置30には、必要に応じて、偏光板19とガラス基板1の間に位相差フィルム31を介在させて、その位相差フィルム31にて視野角補償を行うように構成してもよい。位相差フィルムとしては、フィルム面に対して法線方向をz軸とし面内方向にx軸とy軸を有してxyz3次元空間を張った場合に、xy軸のいずれか屈折率が他の軸方向の屈折率よりも大きいもの(いわゆる、正のAプレート)など適宜用いることができる。まお、符合101は、屈折率楕円体を示す。
本明細書において、光学素子10を組み込む半透過半反射液晶表示装置30が駆動液晶層の駆動方式をVAモードとする場合について説明したが、これに限定されるものではない。
実施例1
[配向膜の作成]
マザー基板を形成するための基材として、洗浄処理をしたガラス基板(コーニング社製、7059ガラス)(寸法;400cm×500cm)を準備した。
このガラス基板において、カラーフィルタ形成用領域は基板面全面であり、その領域中、カラーフィルタ予定領域として、縦×横=45cm×60cmの矩形状の領域を、5行×5列のマトリクス状に25箇所定めた。そして、各箇所に対して1箇所測定用位相差層を形成しようとする領域(縦×横=1cm×1cm)を定めた。
次に、ガラス基板のカラーフィルタ予定領域に、ブラックマトリックス層と色パターン形成層にてなる着色層を形成した。
ブラックマトリクス層、色パターン形成層は、それぞれ、以下のように調製した各色の着色レジストを用いて、フォトリソグラフィー法によりベース基材の一面側に、パターン形成されることで作製された。
(着色レジストの調製)
ブラックマトリクス層及び赤色(R)、緑色(G)、青色(B)着色画素をなす色パターン形成層の着色材料には顔料分散型フォトレジストを用いた。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)着色画素をなす色パターン形成層は、それぞれRGB各色についての可視光線を分光可能な層を構成するものである。
顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いた。
(ブラックマトリクス用フォトレジスト)
・黒顔料・・・・・14.0重量部
(大日精化工業(株)製TMブラック♯9550)
・分散剤・・・・・1.2重量部
(ビックケミー(株)製Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部
(昭和高分子(株)製VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部
(サートマー(株)製SR399)
・添加剤・・・・・0.7重量部
(綜研化学(株)製L−20)
・開始剤・・・・・1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤・・・・・0.3重量部
(4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・開始剤・・・・・0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
(赤色(R)着色画素用フォトレジスト)
・赤顔料・・・・・4.8重量部
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・1.2重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(緑色(G)着色画素用フォトレジスト)
・緑顔料・・・・・3.7重量部
(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・2.3重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(青色(B)着色画素用フォトレジスト)
・青顔料・・・・・4.6重量部
(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・1.4重量部
(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・・0.6重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・2.4重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(色パターン形成層の形成)
洗浄したガラス基材面上に、調製しされブラックマトリクス用フォトレジスト(以下、BM用フォトレジストとも記す)をスピンコート法で1.2μmの厚さに塗布し、80℃、3分間の条件でプリベークし、所定のパターンに形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を50秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、縦横格子状にブラックマトリクス層を形成してなるガラス基板(BM基板)を作製した。
次に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストを上記BM基板上にスピンコート法で塗布し、90℃、3分間の条件でプリベークし、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて、アライメント露光(100mJ/cm)した。引き続き0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を50秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、BMパターンに対して所定の位置に膜厚1.2μmの赤色(R)着色画素をなす色パターン形成層を短冊状に形成した。
続いて、上記赤色(R)着色画素をなす色パターン形成層の形成方法と同様の方法及び条件で、膜厚1.2μmの緑色(G)着色をなす色画素パターン形成層を短冊状に形成した。
さらに、上記赤色(R)着色画素をなす色パターン形成層の形成方法と同様の方法及び条件で、膜厚1.2μmの青色(B)着色画素をなす色パターン形成層を形成した。以上により、基板上に、赤色着色画素、緑色着色画素、及び青色着色画素に対応する各色着色画素を形成させる色パターン形成層と、ブラックマトリクス層から構成される着色層を短冊状に形成した。色パターン形成層は、ブラックマトリクス層の非形成部分を覆って配置されており、その覆われる個々の部分が、個々に画素をなす。
次に、着色層の露出面上には、配向膜が形成された。配向膜は、配向膜を構成する組成物をフレキソ印刷方法にて塗工することで作製された塗工膜を200℃で1時間の焼成後、ラビング処理を施して塗工膜を配向膜となすことによって形成された。なお、配向膜を構成する組成物には、JSR社製のAL−1254が用いられた。
さらに、次のように位相差層と測定用位相差層が作製された。実施例では、位相差層として、層Aからなるものが作成された。
<液晶組成物の調整>
ネマチック液晶相を示す重合可能な液晶分子(重合性液晶分子)として上記化学式(化11)に示される化合物(22重量部)と、光重合開始剤(チバガイギー社製、Irg907)(1.3重量部)とからなる液晶組成物に、溶媒としてのクロロベンゼン(75重量部)を混合して液晶組成液が作製された。
<位相差層を構成する層Aと測定用位相差層の形成>
[液晶塗布膜の作製]
ガラス基板の配向膜面上に液晶組成液をスピンコーティングすることにより、液晶組成液を塗布して、マザー基板を構成するガラス基板全面に液晶塗布膜を一面形成した。
[液晶塗布膜に含まれる液晶分子を液晶相にした状態の形成]
ガラス基板に液晶塗布膜を形成したもの(液晶塗布膜形成基材)を、ホットプレート上で80℃、3分間加熱して、溶媒を除去させるとともに液晶塗布膜中に含まれる液晶分子を液晶相に転移させた。この液晶相への転移の確認は、液晶塗布膜が白濁状態から透明状態となったことを目視にて確認することで行われた。
[液晶分子の架橋重合反応(硬化処理)]
窒素雰囲気下で、目視にてほぼ透明状態の液晶塗布膜に向けて、紫外線照射装置を用いて、フォトマスクを介して、出力が50mW/cmの紫外線(365nm)を 4秒間照射して、液晶塗布膜中の液晶分子を架橋重合反応させることで、部分的に、液晶分子の配向を固定する硬化処理を施し、液晶塗布膜を層Aと測定用位相差層となした。なお、フォトマスクとしては、カラーフィルタ予定領域において色パターン形成層にて画素を形成することを予定された領域におけるその半分の面積の領域で定められるパターンに対応する部分と、測定用位相差層として指定された領域部分に対応する部分を光透過可能に開口させてなるものが用いられた。
[未硬化液晶塗布膜の除去(現像処理)]
液晶塗布膜に対して、10秒間現像処理を行い、液晶塗布膜における未硬化の状態の部分が除去された。現像処理は、ガラス基板ごと溶剤(MEK(メチルエチルケトン))に浸漬した後、リンス液で洗浄することで実施された。
[焼成処理]
液晶塗布膜を形成したガラス基板は、上記現像処理の後、焼成装置(タバイエスペック製、PVHC−231)を用いて230℃で30分間焼成された(焼成処理)。これにより、液晶塗布膜を、位相差層と測定用位相差層となした。なお、焼成処理後、位相差層と測定用位相差層の膜厚が測定された、この膜厚は、いずれも約1.0μmであった。
こうして、カラーフィルタ用マザー基板が得られた。
得られたカラーフィルタ用マザー基板について、次のように位相差測定を行った。
[位相差測定]
位相差の測定は、測定用位相差層および層Aの2箇所について試みられた。位相差の測定は、位相差測定装置(大塚電子製、RETS)を用いた回転検光子法にて実施された。この位相差測定装置は、測定に使用される光のスポット径が5mmであり、その光のスポット径内において、位相差を測定しようとする対象領域に対して均一な位相差を要請するものである。層Aについて、位相差の測定を試みたところ、安定した正しい位相差が測定できなかった。一方、位相差測定用の領域である1cm×1cmの領域において、特に、中心部分の1cm×1cmの領域で安定的に正しい位相差が測定され、予め目標として設定した位相差の値であることが確認された。
(a) 本発明のマザー基板を説明するための概略平面図である。(b)図1(a)のA−A線断面図である。 本発明において着色層を備えるカラーフィルタ予定部の例を説明するための概略断面図である。 本発明において着色層を備えるカラーフィルタ予定部の例を説明するための概略平面図である。 本発明のマザー基板の他の例を説明するための概略平面図である。 本発明のマザー基板の他の例を説明するための概略平面図である。 本発明のマザー基板の他の例を説明するための概略平面図である。 本発明のマザー基板を用いて得られる半透過半反射型液晶表示装置の例を説明するための概略分解斜視図である。 本発明のマザー基板の他の例を説明するための部分平面図である。
符号の説明
1 カラーフィルタ用マザー基板(マザー基板)
2 測定用位相差層
3 基材
4 カラーフィルタ予定部
5 カラーフィルタ予定領域
6 カラーフィルタ形成用領域
7 測定用位相差層の形成領域
9 位相差層
10 カラーフィルタ
13 着色層
8、15 ブラックマトリクス
16,17,18 色パターン形成層
30 液晶表示装置
90 層A
91 層Aの非形成部分

Claims (13)

  1. 光透過性を有する基材の所定領域をカラーフィルタ形成用領域となすとともに、該カラーフィルタ形成用領域内の1箇所若しくは複数個所の所定領域にカラーフィルタ予定領域を定められ、基材のカラーフィルタ予定領域に、所定波長の可視光を透過させて該可視光を分光可能な色パターン形成層を備えた着色層と、所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Aを有する位相差層を備えたカラーフィルタ予定部を形成してなるカラーフィルタ用マザー基板であって、
    カラーフィルタ予定部に備えられる位相差層は、層Aをカラーフィルタ予定領域の面内方向に部分的に形成して構成されるものであり、
    カラーフィルタ予定領域の外側領域に、少なくとも層Aと同一の工程にて形成された層構造を備えてなる測定用位相差層が形成されている、ことを特徴とするカラーフィルタ用マザー基板。
  2. カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aのみからなるものである、請求項1記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  3. カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aと、層Aの非形成部分に形成され且つ所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Bと、でなるものであり、
    層Aと層Bは、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを互いに異にしている、請求項1または2に記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  4. 層Bは、複数設けられており、且つ、該複数の層Bには、所定方向を進行する光に対して生じる位相差の大きさを異にする複数種類が存在している、請求項3記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  5. カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aと、層Aの非形成部分に形成され且つ光学等方性を有する層Cと、でなるものである、請求項1または2に記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  6. カラーフィルタ形成用マザー基板に形成されるカラーフィルタの位相差層は、層Aと、層Aの非形成部分に形成され且つ所定方向から入射される光に対して位相差を生じさせる層Dと、でなるものであり、
    層Aの光軸の向きと層Dの光軸の向きが互いに異なる、請求項1または2に記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  7. 層Dは、複数設けられており、且つ、該複数の層Dには、光軸の向きを異にする複数種類が存在している、請求項6記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  8. 測定用位相差層の形成領域は、平面視上、該測定用位相差層の形成領域の最小幅寸法のほうが、カラーフィルタ予定部に部分的に形成された層Aの最小幅寸法よりも大きくなっているような大きさにて形成されている、請求項1から7のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  9. 測定用位相差層の形成された領域の周囲には、遮光性を有するブラックマトリクスが配置されている請求項1から8のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  10. 位相差層を構成する層Aは、液晶化合物を含む液晶組成物を基材に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させて固定することによって形成されるものである、請求項1から9のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  11. 位相差層を構成する層Aは、重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物を基材に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させ、液晶化合物を重合させて固定することによって形成されるものである、請求項1から10のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載のカラーフィルタ用マザー基板から切り出されてなるカラーフィルタ。
  13. 請求項12に記載のカラーフィルタが組み込まれてなることを特徴とする液晶表示装置。
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