JP2010204221A - 光学素子及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる2種以上の着色層を有する光学素子の着色層と重なる位置に、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層毎に異なる位相差となるように位相差層を設け、光学素子の黒表示性能を向上することが行われているが、黒表示は未だ充分とは言えなかった。本発明は更に黒表示を改良した光学素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光学素子は、基材上に設けられた異なる2種以上の色の着色層と、各着色層と重なる位置に設けられた位相差層とを有する光学素子において、異なる色の着色層毎に、波長:λxの光に対する着色層の分光透過率:T(λx)の二乗と、当該波長:λxにおける2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)曲線の値との積が最大となる波長:λmaxに対し、位相差層が、λmax/4±15nmの位相差を有していることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性液晶により形成された位相差層を有するカラーフィルター等の光学素子及びこの光学素子を用いた液晶表示装置に関する。
薄型軽量、低消費電力という大きな利点を有する液晶表示装置は、近年、パーソナルコンピューター、携帯電話、電子手帳等の表示装置に積極的に利用されている。液晶表示装置は2枚の基板間に駆動用液晶材料を封入して構成された液晶セルを搭載し、駆動用液晶材料の複屈折機能を利用して液晶セルを透過する光のスイッチングを行っている。液晶表示装置には、偏光板を斜めから見ることによるクロスニコル状態の破れや、駆動用液晶材料の複屈折性に由来する視野角依存性が存在し、この問題を解決するために、液晶セルに位相差層を設けている。また、反射表示と透過表示を両立させた半透過半反射型液晶表示装置においては、透過光と反射光の位相差を合わせるために、反射表示部に位相差層を設けている。近年、主流となっているカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に対応した着色層を有しており、半透過半反射型液晶表示装置用のカラーフィルターでは、各着色層の反射表示部に相当する箇所に位相差層が設けられている。
従来、カラーフィルターに設けられている位相差層は、視感度の最も大きい緑色の中心波長である550nm付近の波長に対して1/4波長の位相差を有するように設計されていた。しかしながらこのような位相差層を設けたカラーフィルターは、緑の着色層部分では、ほぼ十分な位相差を得ることができるが、赤や青の着色層部分では位相差が不十分となったり、過剰となり、満足な黒表示ができないという問題がある。このような問題を解決するため、R、G、Bの各着色層毎に、それらの着色層の中心波長である650nm、550nm、450nmの1/4波長の位相差となるように位相層を設けたカラーフィルターが用いられるようになっている(特許文献1〜3)。
特開2007−101645号公報 特開2004−205801号公報 特開2006−221189号公報
各着色層毎に着色層の中心波長の1/4波長の位相差となるように位相差層を設けたカラーフィルターでは、R、G、Bの各着色層に対応する位相差層は、それぞれの着色層の中心波長である650nm、550nm、450nmの波長の光に対しては1/4波長の位相差を有するため、それぞれの中心波長の光に対しては十分な黒表示が可能であるが、Rの着色層やBの着色層は、Gの着色層の中心波長である550nm付近の光も多少透過するため、RやBの着色層に設けられた位相差層は、550nm付近の光の反射光の量を逆に増大させてしまう。RやBの着色層における550nm付近の光透過量は少ないものの、人間の視感度は550nm付近にピークがあるため、550nm付近の光の漏れによって、RやBの着色層に設けた位相差層による効果が減少されてしまい、特にVAモードでは満足な黒表示ができないという問題があった。
反射型液晶表示装置や半反射半透過型液晶表示装置に用いられるカラーフィルターの反射表示部における入射光は、偏光板、着色層、位相差層、駆動液晶層透過して反射板で反射され、再び駆動液晶層、位相差層、着色層、偏光板の順に透過して出射される。ここで、偏光板と反射板の間にある位相差層、着色層、駆動液晶層の順番は、異なる順序であっても良い。
VAモードの液晶表示装置の黒表示状態では、正面から見て駆動液晶は位相差を持たないため、無視して考えることができる。このときの出射光の、波長:λxにおける分光放射輝度:Eo(λx)は、反射層の反射率を100%とすると、
(数1)
Eo(λx)=Ei(λx)×{T(λx)}×L(λx)・・・・(1)
但し、Ei(λx)は、波長:λxにおける入射光の分光放射輝度、T(λx)は、波長:λxの光に対するカラーフィルターの分光透過率、L(λx)は、波長:λxの光が、偏光板、位相差層を透過して反射板で反射される際の分光反射率で、偏光板、位相差層、位相差層、偏光板を透過する際の分光透過率に等価である。この値はジョーンズマトリックスを用いて計算できる。
反射部の輝度(視感反射率):Yは、出射光の分光放射輝度:Eo、2°視野XYZ表色系の等色関数:y(λx)を用いて、
(数2)
Y=k∫Eo(λx)×y(λx)dλx・・・(2)
で表され、上記(1)式より、
(数3)
Y=k∫Ei(λx)×{T(λx)}×y(λx)×L(λx)・・・・(3)
となる。ここで、kは入射光による規格化係数で
k=100×∫Ei(λx)×y(λx)dλx・・・(4)
から算出され、Ei(λ)=Eo(λ)の場合は、Y=100となる。
反射部における黒表示の性能を向上させるためには、(3)式で示される輝度:Yの値が最も小さくなるようにすればよい。上記(3)式におけるy(λx)は、550nmに極大値を有する凸状曲線であるため、T(λx)×y(λx)の値も、極大値を有する凸状曲線となる。一方、位相差層は特定の波長の光の透過率は最小にできるが、その特定の波長から外れる波長の光ほど透過率は増加するため、L(λx)の値は、特定の波長において極小値を有する凹状曲線となる。本発明者は上記従来の課題を解決すべく鋭意研究した結果、輝度:Yの上記(3)式において、T(λx)×y(λx)の値が最大となる波長:λmaxにおいて、L(λx)の値が最小となるように各着色層毎に位相差層の位相差を設定すれば、最も輝度:Yを低減することができることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)基材上に設けられた異なる2種以上の色の着色層と、各着色層と重なる位置に設けられた位相差層とを有する光学素子において、異なる色の着色層毎に、波長:λxの光に対する着色層の分光透過率:T(λx)の二乗と、当該波長:λxにおける2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)曲線の値との積が最大となる波長:λmaxに対し、位相差層が、λmax/4±15nmの位相差を有していることを特徴とする光学素子。
(2)着色層が半透過半反射液晶表示装置用のカラーフィルター層を形成している上記(1)の光学素子、
(3)位相差層が半透過半反射液晶表示装置の反射表示部に相当する箇所の着色層と重なるように形成されている上記(2)の光学素子、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学素子を表示側基板に組み込んでなる液晶表示装置、
を要旨とするものである。
本発明の光学素子は、色の異なる着色層毎に分光透過率の二乗と、2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)曲線の値との積が最大となる波長の1/4波長の位相差となるように位相差層を設けたため、各着色層において優れた黒表示を行うことができ、コントラストの高い液晶表示装置を提供することができる効果を奏する。
本発明の光学素子としてのカラーフィルターの一例を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿う縦断面図である。 図1のIII−III線に沿う縦断面図である。 カラーフィルターの異なる態様を示す縦断面図である。 2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)曲線のグラフである。 着色層の波長と透過率との関係を示すグラフである。 液晶表示装置の一例を示す縦断面図である。
図1は、本発明の光学素子としてのカラーフィルター1の一例を示し、2は基材、6はカラーフィルター層で、カラーフィルター層6は基材2上に設けた、赤色着色層R、青色着色層B、緑色着色層Gの異なる3種の着色層6R、6B、6Gが繰り返し複数設けられて構成されている。カラーフィルター層6における各着色層6R、6B、6Gは、透過領域と反射領域を有し、反射領域には位相差層4が設けられる。図2は、一例として赤色着色層6Rが設けられた部分の縦断面図を示し、透過領域の赤色着色層6R1と反射領域の赤色着色層6R2との間にはブラックマトリックス層3が設けられ、反射領域の着色層6R2表面側に位相差層4Rが設けられている。図3に示すように、各着色層6R、6B、6Gの反射領域6R2、6B2、6G2には、それぞれ異なる位相差を有する位相差層4R、4B、4Gが形成されている。カラーフィルター1は、図4に示すように、カラーフィルター層6の表面にオーバーコート層5を有していても良い。尚、図4は、赤色着色層6Rの表面にオーバーコート層5が設けられている状態を示しているが、オーバーコート層5は、緑色着色層6G、青色着色層6Bの表面にも同様に設けられている。また特に図示しないが、基材2表面やカラーフィルター層6の表面側に配向膜を有していても良い。
本発明において上記各着色層6R、6B、6Gに対応した位相差層4R、4B、4Gは、それぞれ波長:λxの光に対する各着色層6R、6B、6Gの分光透過率:T(λx)の二乗と、当該波長:λxにおける2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)曲線の値との積が最大となる波長:λmaxに対し、λmaxの1/4波長の位相差を有するように設けられる。図5は2°視野XYZ表色系の等色関数の波長380nmから780nmの範囲におけるy(λx)曲線を示し、図6は波長380nmから780nmの範囲における波長(nm)と透過率との関係を示し、曲線Rは赤色着色層6Rの透過率曲線、曲線Bは青色着色層6Bの透過率曲線、曲線Gは緑色着色層6Gの透過率曲線である。
赤色着色層6Rに対応した位相差層4Rの位相差は、以下のようにして決めることができる。まず図6の赤色着色層の透過率曲線Rに示される波長と透過率との関係において、ある波長:λ1における透過率:T(λ1)を求める。一方、図5に示すy(λx)曲線において、同じ波長:λ1の時のy(λ1)を求める。T(λ1)の二乗と、y(λ1)との積を求め、この積が波長380nmから780nmの範囲において最大となる波長:λmax(R)を求める。赤色着色層6Rに対応した位相差層4Rは、λmax(R)の1/4波長±15nmの位相差を有するように設けられる。同様に、青色着色層6Bに対応した位相差層4Bは、青色着色層の透過率の二乗と、y(λx)の値との積が最大となる波長:λmax(B)より、λmax(B)の1/4波長±15nmの位相差を有するように設けられ、緑色着色層6Gに対応した位相差層4Gは、緑色着色層の透過率の二乗と、y(λx)の値との積が最大となる波長:λmax(G)より、λmax(G)の1/4波長±15nmの位相差を有するように設けられる。
一般に位相差層の位相差及び配向特性は、位相差層を構成する液晶化合物の複屈折率:△nと、位相差層の膜厚:hとにより決定され、位相差は福屈折率:△nと位相差層の膜厚:hの積として定義される。位相差の値は、RETS−1250VA(大塚電子社製)やKOBRA−21(王子計測機器社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。本発明において各着色層6R、6B、6Gに対応した位相差層4R、4B、4Gは、位相差層を形成するために用いる液晶化合物の福屈折率:Δnと、位相差層の厚み:hとの積が、それぞれ各着色層毎に求められる上記最大波長:λmax(R)、λmax(B)、λmax(G)の1/4±15nmの位相差となるように厚み:hを調整して設けられる。
(基材)
上記カラーフィルター1における基材2としては、ガラス、シリコン、もしく石英等の無機基材か、次に列挙するような有機基材を挙げることができる。即ち、有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロースもしくはトリアセチルセルロースまたはそれらの部分鹸化物、エポキシ、フェノール、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。上記の有機基材は一軸延伸されたか、もしくは二軸延伸されたものであってもよく、また、任意に2種以上が積層された積層体であってもよい。基材2の厚みには、特に限定は無いが、用途に応じ、例えば、5μm〜1mm程度のものが使用される。また基材としては、複屈折を持たないものが望ましい。
(ブラックマトリックス層)
ブラックマトリックス層3は、黒色着色剤を含有する塗料タイプの樹脂組成物を一面に塗布して、一旦固化させた後、フォトレジストを行なうか、もしくは、黒色着色剤を含有する塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、塗布、露光および現像を行なって形成することができる。ブラックマトリックス層3としては、酸化クロム層と、クロム層との積層構造からなる2層クロムブラックマトリックス、さらに反射率を低減させた酸化クロム層、窒化クロム層及び、クロム層の3層クロムブラックマトリックス等も用いられる。2層クロムブラックマトリックスや3層クロムブラックマトリックスは、クロム金属、酸化クロム、窒化クロムの薄膜を、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等によって形成した後、フォトリソグラフィー法を利用してパターン化する方法により形成することができる。また無電界メッキ法や黒色のインキ組成物を用いた印刷法等を利用しても形成することができる。ブラックマトリックス層3の厚みは通常、0.2〜0.4μm程度であるが、黒色インキ組成物を用いた印刷法により形成する場合には、0.5〜2μm程度である。
(着色層)
各着色層6R、6B、6Gは、それぞれ赤、青、緑の透明な樹脂組成物により構成される。各着色層6R、6B、6Gは、着色剤、好ましくは着色顔料が分散された透明着色インキにより、各着色層毎にシルクスクリーン印刷等の印刷によってストライプ状等のパターンに形成するか、着色剤を含有する感光性樹脂組成物を塗布し、フォトリソグラフィー法等によってパターン状に形成することができる。着色層は、一般に1〜5μm程度の厚みに形成される。各着色層6R、6G、6Bは透過部(赤の着色層では6R1)と、反射部(赤の着色層では6R2)で厚みが同じであっても異なっていても良く、例えば透過部の着色層の膜厚を、反射部の着色層の膜厚の2倍の厚みとすることもできる。
(オーバーコート層)
オーバーコート層5は平坦性、耐薬品性、耐熱性等を向上させるために必要に応じて設けられる。オーバーコート層5は、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド等の、種々の光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂や、二液型硬化樹脂等を用いて形成することができる。オーバーコート層5は、スピンコート、印刷、フォトリソグラフィー法等の方法により上記硬化性樹脂の層を形成することにより設けることができる。オーバーコート層5は、0.3〜5.0μm程度の厚みで形成することができるが、オーバーコート層5の強度を保ちながら全体を薄型化する観点から、厚み0.5〜3.0μm程度に形成することが好ましい。
本発明において位相差層を形成するために用いる感光性液晶組成物は、重合性官能基を有する重合性液晶と、重合開始剤とを溶剤に溶解させたものであり、更に必要に応じてカイラル剤、界面活性剤等を含んでいても良い。
(重合性液晶)
感光性液晶組成物に用いられる重合性液晶としては、棒状の分子構造を有する棒状重合性液晶、あるいは円盤状の分子構造を有する、所謂ディスコティック重合性液晶を用いることができる。特には、棒状重合性液晶化合物を好ましく用いることができる。より具体的な棒状重合性液晶の例としては、架橋性のネマチック液晶を用いることができ、架橋性ネマチック液晶としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような棒状重合性液晶化合物としては、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物や、化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物等を用いることができる。特に、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリル基を有する架橋性ネマチック液晶の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2010204221
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上記一般式(1)において、RおよびRはそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲をより広くするために、RまたはRが水素であることが好ましい。また一般式(1)におけるX、一般式(2)におけるYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両末端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物や、d=e=0である一般式(2)の化合物は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物、一般式(2)の化合物は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなるた、光学機能層としての位相差制御層を形成するための重合性液晶組成物に用いるのは好ましくない。上記した化1〜化4では重合性液晶のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等も、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。
重合性液晶としては、架橋性ネマチック液晶にカイラル剤を添加した、コレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶も好適に用いることができる。カイラル剤は、負のCプレートを形成する際に用いられる。カイラル剤は光学活性な部位を有する低分子量化合物で、分子量1500以下の化合物が好ましい。カイラル剤は、正の一軸ネマチック規則性に、螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。カイラル剤は分子内に光学活性な部位を有する化合物であり、架橋性ネマチック液晶と溶液状態或いは溶融状態で相溶性を有し、かつ架橋性ネマチック液晶の液晶性を損なうことなく螺旋ピッチを誘起できる化合物であれば使用可能である。しかしながら分子の両末端に架橋性官能基を有するものが、耐熱性の良い光学素子を得る上で好ましい。本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。例えば市販のカイラルネマチック液晶、より具体的にはMerck社製S−811等を用いることができる。
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力や最終的に得られる位相差層のコレステリック性を考慮して決められる。具体的な配合量の範囲は、架橋性液晶の種類等により大きく異なるものではあるが、一般に感光性組成物の固形分中における含有量が0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%、更に好ましくは5〜30重量%となるように配合する。特に好ましいカイラル剤の配合量は、固形物中の含有率が1〜20重量%となる量である。カイラル剤の固形物中の含有量が0.01重量%未満の場合、感光性液晶組成物に十分なコレステリック性を付与できない場合があり、また60重量%を超える場合は、架橋性液晶分子の配向が阻害され、硬化させる際に硬化速度の低下や架橋密度の低下といった悪影響を及ぼす虞がある。
尚、カイラル剤は、特に架橋性を有することを必須とするものではないが、得られる位相差層の熱安定性等を考慮すると、上述した架橋性液晶と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な架橋性カイラル剤を用いることが好ましい。特に、分子の両末端に架橋性官能基があることが、耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。
感光性液晶組成物は、上記重合性液晶を対配合物換算値で70重量%(組成物中の溶剤以外の配合物中の重量)以上、好ましくは75重量%(対配合物換算値)以上含有することが好ましい。重合性液晶の配合量を70重量%(対配合物換算値)以上とすることにより液晶性が向上し、位相差層における重合性液晶の配向不良の発生を無視し得る程度に低減することができる。重合性液晶の割合が70重量%(対配合物換算値)以上では、液晶分子の配向性の観点から特に問題になることはないので、液晶組成物における他の添加剤の配合量とのバランスで、添加量を適宜決定することができる。
(重合開始剤)
重合開始剤としては通常光重合開始剤が用いられ、光重合開始剤としてラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる重合開始剤を組み合わせるのが好ましい。
(界面活性剤)
位相差層を形成する際の感光性液晶組成物の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤は、一般的に重合性液晶100重量部当たり、0.01〜10重量部用いることが好ましい。0.01重量部未満であると、排除体積効果が不十分となる虞があり、10重量部を超えると液晶の配向不良を引き起こす虞がある。
(溶剤)
溶剤としては、上記重合性液晶、重合開始剤、重合禁止剤、更には界面活性剤、シランカップリング剤等を溶解することが可能な溶剤であり、かつ重合性液晶組成物における重合性液晶の配向性能を阻害したり、感光性液晶組成物を基板に塗布した際に基板を浸食する虞のない溶剤であれば特に限定されるものではない。
具体的な溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、△−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。
単一種の溶剤を使用しただけでは、重合性液晶等の溶解性が不充分であったり、感光性液晶組成物を、配向性能を有する基板に塗布した際に、基板が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶剤を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、液晶組成物の溶解性や所望する光学機能層の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
感光性液晶組成物中には、光学機能層の△nを低下させる目的で、液晶の配向を大きく損なわない範囲で多官能モノマーを添加しても構わない。具体的な多官能モノマーとしては、1分子中に2個以上の不飽和結合を含むモノマーであり(したがって、多官能は二官能を包含する)、好ましい例としては、エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エスエル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エスエル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、もしくはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル等の多価(メタ)アクリル酸エステルを用いることができるが。配向を乱さないものならば、これに限定されない。また、その他のポリマーや無機微粒子を添加しても構わない。
位相差層4R、4B、4Gは、感光性液晶組成物をスピンコーティング法、ダイコーティング法、スリットコーティング法、もしくは他の適当な塗布方法により基材2上に塗布して形成した塗布層を、所定のパターンを有するマスクで被覆して露光し、現像して形成することができる。露光には、通常紫外線が用いられ紫外線源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、もしくは高圧水銀灯等の水銀励起光源、またはキセノン光源等を用いることができる。紫外線源は、感光性液晶組成物中に含まれる光重合開始剤からラジカルを発生させ易い波長帯域に強いピークを有するものを用いることが好ましい。尚、紫外線の代わりに電子放射線を照射して露光することもできる。マスクを用いて露光した後、有機溶媒やアルカリ溶液で現像して感光性液晶組成物塗布層の未硬化部分を溶解除去することにより、パターン状の位相差層4R、4B、4Gが形成される。
(配向膜)
配向膜は、位相差層4R、4B、4Gを構成する液晶高分子や、駆動用の液晶層を構成する液晶高分子を所定の方向に配列させるためのもので、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、もしくはポリビニルアルコール樹脂等の樹脂の被膜を、これらの樹脂を溶解した樹脂組成物を塗布し、乾燥させることにより形成した後、レーヨン、綿、ポリアミド、もしくはポリメチルメタクリレート等の布を巻き付けた金属ローラ等により所定の方向に摩擦するラビングを施すことにより形成することができる。配向膜は、SiO等、もしくは有機材料等の斜方蒸着膜等、さらには、有機シラン等の有機材料の垂直配向層やその垂直配向層にラビングを施したもの等も利用できる。また光配向膜に偏光照射して偏光方向に配向制御機能を付加して配向膜とすることもできる。
図7は、液晶表示装置7の一例を示し、カラーフィルター1として、基板2の表面にカラーフィルター層6、配向膜8、位相差層4を順次設けて形成したものを用いた例を示す。この液晶表示装置7は、カラーフィルター1と下側基板9との間に駆動用液晶を挟み込んで形成した液晶層10を有している。カラーフィルター1の基板2の表面側には偏光板11が積層され、カラーフィルター1の位相差層4側には、オーバーコート層5と同様の樹脂を用いて形成された平坦化層18を介して透明電極12、配向膜13が順次積層されており、下側基板9の液晶層10側表面には、例えばTFTからなる電極層14および配向膜15が積層され、下側基板の反対側の表面には偏光板16が積層されている。この液晶表示素子7は、画面全体を照明するバックライト17が偏光板16の下方に配置されて構成されている。この液晶表示装置7を構成する下側基板9、液晶層10、偏光板11、16、透明電極12、配向膜13、15、電極層14は、従来の液晶表示装置に用いられていると同様の素材により構成することができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ガラス基板(コーニング社製、7059ガラス)表面に、下記ブラックマトリックス用フォトレジストインキを用いてフォトリソグラフィー法により、パターン状にブラックマトリックス層を形成した。ついでブラックマトリックス層を形成した表面側に、赤色フォトレジストインキ、緑色フォトレジストインキ、青色フォトレジストインキを用いてフォトリソグラフィー法により、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層を形成した。各着色層は、透過部分の厚み2μm、反射部分の厚み1μmとなるようにし、各着色層の面積比が、赤色着色層:緑色着色層:青色着色層=1:1:1となるように形成した。
ブラックマトリックス層形成用フォトレジストインキ組成
・黒顔料 14.0重量部
(大日精化工業社製:TMブラック#9550)
・分散剤 1.2重量部
(ビックケミー社製:Disperbyk111)
・ポリマー 2.8重量部
(昭和高分子社製:VR60)
・モノマー 3.5重量部
(サートマー社製:SR399)
・添加剤 0.7重量部
(総研化学社製:L−20)
・重合開始剤 1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1)
・重合開始剤 0.3重量部
(4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・重合開始剤 0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤 75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
赤色フォトレジストインキ組成
・赤顔料 4.8重量部
(C.I.PY254、チバスペシャリティケミカルズ社製:クロモフタールDPP Red BP)
・黄顔料 1.2重量部
(C.I.PY139、BASF社製:パリオトールイエローD1819)
・分散剤 3.0重量部
(ゼネカ社製:ソルスパース24000)
・モノマー 4.0重量部
(サートマー社製:SR399)
・ポリマー1(※1) 5.0重量部
・重合開始剤 1.4重量部
(チバガイギー社製:イルガキュア907)
・重合開始剤 0.6重量部
(2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)
・溶剤 80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
緑色フォトレジストインキ組成
・緑顔料 3.7重量部
(C.I.PG7、大日精化社製:セイカファストグリーン5316P)
・黄顔料 2.3重量部
(C.I.PY139、BASF社製:パリオトールイエローD1819)
・分散剤 3.0重量部
(ゼネカ社製:ソルスパース24000)
・モノマー 4.0重量部
(サートマー社製:SR399)
・ポリマー1(※1) 5.0重量部
・重合開始剤 1.4重量部
(チバガイギー社製:イルガキュア907)
・重合開始剤 0.6重量部
(2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)
・溶剤 80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
青色フォトレジストインキ組成
・青顔料 4.6重量部
(C.I.PB15:6、BASF社製:ヘリオゲンブルーL6700F)
・紫顔料 1.4重量部
(C.I.PV23、クラリアント社製:フォスタパームRL−NF)
・顔料誘導体 0.6重量部
(ゼネカ社製:ソルスパース12000)
・分散剤 2.4重量部
(ゼネカ社製:ソルスパース24000)
・モノマー 4.0重量部
(サートマー社製:SR399)
・ポリマー1(※1) 5.0重量部
・重合開始剤 1.4重量部
(チバガイギー社製:イルガキュア907)
・重合開始剤 0.6重量部
(2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)
・溶剤 80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
※1 ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加した重量平均分子量42500のポリマーを用いた。
赤色着色層、緑色着色層、青色着色層の各着色層の分光透過率:T(λx)の二乗と、2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)の値の積とが最大となる波長を求めたところ、赤色着色層で601nm、緑色着色層で546nm、青色着色層で511nmであったため、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層の各着色層の反射層となる部分に形成する位相差層が、各々上記の最大波長の1/4波長である、150.3nm、136.5nm、127.8nmの位相差を有するように、位相差層の厚みがそれぞれ1.16μm、1.05μm、0.98μmとなるように下記重合性液晶組成物により位相差層を形成した。各着色層の反射部分に設けられる位相差層毎に所定のパターンに形成し、着色層毎に異なる厚みの位相差層を形成した。
位相差層形成用重合性液晶組成物組成
・重合性液晶 22.0重量部
(一般式(2)におけるYがメチル基、d=e=6である、下記、化5の化合物)
・光重合開始剤 1.3重量部
(チバガイギー社製:イルガキュア907)
・溶剤 75.0重量部
(クロロベンゼン)
Figure 2010204221
カラーフィルターにおける位相差層の上面からオプトマーNN803(JSR社製)を塗布して、厚み1μmのオーバーコート層を形成し、この上に酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明共通電極を形成した。一方、ガラス基板上に所定の複数の箇所に薄膜トランジスタ(TFT))を形成し、各TFTのドレイン電極に接続するように反射画素電極をクロム(Cr)により形成して対向電極基板を作製した。
次に、上記透明共通電極面と反射画素電極面それぞれを覆うように垂直配向膜溶液(JALS−20210−R2)をγ−ブチロラクトンで50%に希釈した溶液を塗布し乾燥して配向膜(厚み0.07μm)を形成した。次いで、これらの配向膜が向かい合うようにして両基板を対向させ、両基板間をシール部材で封止し、封止された空間に液晶(メルクジャパン社製:MLC−6608)を注入し、注入口を封止して、反射型液晶表示装置を作製した。
この反射型表示装置に入射光として蛍光灯を用い、上記反射型液晶表示装置の反射輝度を分光放射計(TOPCON製SR−3)によって測定した。この反射型液晶表示装置の輝度Yは、入射光を100とすると、0.19であった。
比較例1
位相差層を、緑色着色層の中心波長である550nmの1/4波長の位相差となるように設定し、各着色層上の位相差層の厚みを1.06nmの一定厚みに形成した他は、実施例1と同様にして反射型液晶表示装置を形成した。この反射型液晶表示装置の輝度は0.42であった。
比較例2
赤色着色層の位置に設ける位相差層の位相差が660nmの1/4波長(位相差層の厚み1.27μm)、緑色着色層の位置に設ける位相差層の位相差が550nmの1/4波長(位相差層の厚み1.06μm)、青色着色層の位置に設ける位相差層の位相差が450nmの1/4波長(位相差層の厚み0.87μm)となるように各位相差層を設けた他は実施例1と同様にして反射型液晶表示装置を形成した。この反射型液晶表示装置の輝度は、0.39であった。
1 カラーフィルター
2 基材
4 位相差層
4R 赤色着色層に対応した位相差層
4G 緑色着色層に対応した位相差層
4B 青色着色層に対応した位相差層
6 着色層
6R 赤色着色層
6G 緑色着色層
6B 青色着色層

Claims (4)

  1. 基材上に設けられた異なる2種以上の色の着色層と、各着色層と重なる位置に設けられた位相差層とを有する光学素子において、異なる色の着色層毎に、波長:λxの光に対する着色層の分光透過率:T(λx)の二乗と、当該波長:λxにおける2°視野XYZ表色系の等色関数のy(λx)曲線の値との積が最大となる波長:λmaxに対し、位相差層が、λmax/4±15nmの位相差を有していることを特徴とする光学素子。
  2. 着色層が半透過半反射液晶表示装置用のカラーフィルター層を形成している請求項1記載の光学素子。
  3. 位相差層が半透過半反射液晶表示装置の反射表示部に相当する箇所の着色層と重なるように形成されている請求項2記載の光学素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子を表示側基板に組み込んでなる液晶表示装置。
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