JP4803363B2 - 位相差制御機能を有する光学素子およびこれを備える液晶表示装置 - Google Patents

位相差制御機能を有する光学素子およびこれを備える液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶分子を光透過性の基材上にて固定してなる位相差制御層を有する光学素子、およびこれを備える液晶表示装置に関する。
カラー液晶表示装置(以下、液晶表示装置をLCDと称することがある。)は、薄型、軽量、低消費電力、フリッカーレスといった特徴から、ノートパソコンを中心にその市場が急速に拡大してきた。最近になって、こうしたパソコン用表示装置の一環として、ノートパソコンに比べてより大型のデスクトップ用モニターの需要が拡大している。さらに、パソコン用のみならず、従来はCRTが主流であったテレビ向けにも、LCDが広く利用されるようになってきた。
ここで、LCDの問題点として、その狭い視野角度の問題がある。これは、斜め方向からLCDを観察した場合、本来黒色を表示すべき画素からの光漏れが生じ、これが原因でコントラストの低下や反転が生じ、正しい表示ができなくなるためである。かかる問題点に鑑み、水平配向したネマチック液晶分子に電界をかけてこれを90度立たせることで光の透過と遮断とを切り換える方式の、いわゆるハイブリッドネマチック配向型の従来のLCDでは、光学補償用の位相差補償フィルムを貼付することにより、黒色表示すべき画素において視野角度が増大した場合でも光漏れを低減することのできる、広視野角のものが考案されている。
例えば、下記特許文献1には、液晶層を封入した一対の基板と一方の偏光板との間に位相差補償フィルムを配設した液晶パネルの発明が記載されている。また下記特許文献2には、液晶パネルと偏光板との間の少なくとも一方に位相差補償フィルムを備えるVA方式の液晶パネルの発明が記載されている。
特開平10−153802号公報 特開平11−258605号公報
しかし、上記特許文献に記載のLCDは、位相差補償フィルムを用いたことにより表示のコントラストが低下したり、画面が歪んだりするという問題が生じていた。これは、従来のLCDでは粘着剤を用いて位相差補償フィルムを基板の外側に貼り付ける方式をとっていたことに起因する。すなわち位相差補償フィルムは、通常、その光軸と偏光板の光軸(吸収軸)とがある特定の角度をなすようにして重ね合わせることが必要であるため、これをLCDに貼り付けるにあたっては、ベースとなる基板の向きを基準にして両者をそれぞれ角度あわせして固定することが必要となる。一方、位相差補償フィルムはそのベースフィルムの耐熱性が高くないため、液晶パネルの内部に配置することは困難であり、基板の外側に設けることが必要である。このため、それ自身に貼着力のない位相差補償フィルムは、間に粘着剤を塗布して基板の外表面に貼り合せる方式によってLCDに組みつけられていた。
しかし、粘着剤の屈折率は偏光板や位相差補償フィルムのそれと比較して低いため、粘着剤の位相差補償フィルム側界面および基材側界面では光の反射が生じ、LCDの表示コントラストを低下させ、さらにはこれを反転させるに至る原因となっていた。また、位相差補償フィルムは吸湿によりそのフィルム基材が膨張し、透過光に与える位相差量に変化が生じることでLCDの画面が歪むという欠点がある。この傾向は、位相差補償フィルムの面積が大きくなるほど顕著になり、近年応用が進んでいる大型の液晶テレビにおいて特に問題となっている。さらに、近年特に薄型化の要求の高まりつつあるLCDにおいては、粘着剤の層厚さはLCD全体の厚さに対し無視できない。特に対向する基板のそれぞれ両外側に位相差補償フィルムを複数枚ずつ設けて視野角の向上を図る場合、粘着剤の合計厚さは相当なものとなり、LCDの薄型化を阻害する大きな要因となっている。
一方、一般にTN方式やECB方式と呼ばれるタイプの、水平配向したネマチック液晶分子に電界をかけてこれを立たせるハイブリッドネマチック配向型のLCDにおいては、駆動用液晶を水平配向させるための配向膜のアンカリングエネルギーにより、電界負荷時にも配向膜界面側の液晶分子が90度までは立ち上がることができず、これにより光漏れが生じることが問題となっている。
本発明は従来のLCDにみられるこれらの課題に鑑みてなされたものであり、界面での光の反射や吸湿変形を生じることがなく、薄型化が可能であり、さらに、ハイブリッドネマチック配向型のLCDにおいて配向膜界面側における駆動用液晶分子の立ち上がりの不足を光学補償することのできる位相差制御層を有する光学素子、およびこれを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる光学素子は、
(1)光透過性を有する基材と、該基材面上に配向膜材料(日産化学社製、商品名SE−5291(商標))からなる配向膜を介して形成され重合性液晶モノマーがハイブリッド配向した状態で重合して固定されてなる構造を有する位相差制御層と、を有し、
重合した重合性液晶モノマーの配向した状態が、基材界面側から空気界面側に向かって立ち上がるハイブリッド配向であって、
前記基材界面側の重合性液晶モノマーの光軸と基材界面とのなすプレチルト角が5度であり、前記空気界面側の重合性液晶モノマーの光軸と空気界面とのなすチルト角が20度乃至90度であり、
重合性液晶モノマーが、下記一般式(1)で表される重合性ネマチック液晶モノマーである、ことを特徴とする光学素子、を要旨とする。
Figure 0004803363
(ただし、Y とY のいずれかまたは両方は、この基を介して重合を引き起こすことのできる反応性不飽和二重結合を含む基であり、X およびX は、直接結合、エーテル基、エステル基もしくはカーボネート基、またはこれらの少なくとも一つを含む基である。)
また、本発明にかかる光学素子は、
(2)位相差制御層がλ/4板の機能を有する上記(1)に記載の光学素子;
(3)色パターンを配列した着色層を有する上記(1)または(2)に記載の光学素子;
を要旨とし、また、本発明にかかる液晶表示装置は、
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の光学素子と、駆動用液晶層とを有する液晶表示装置;
(5)駆動用液晶層の両面側にそれぞれ前記光学素子を備えることを特徴とする上記(4)に記載の液晶表示装置;
を要旨とする。さらに、本発明にかかる光学素子は、
(6)重合型のネマチック液晶モノマーが、紫外線重合型のサーモトロピック型液晶モノマーである上記(1)に記載の光学素子;
であっても本発明の目的を達成することができる。
本発明にかかる光学素子は、液晶分子を、その光軸の傾きが膜厚方向に変化するようハイブリッド配向させた位相差制御層を有するため、液晶分子の光軸に平行な振動面を有する異常光と、該光軸に垂直な振動面を有する常光との間に所定の位相差を与えることができる。かかる光学素子をTN方式やECB方式などのハイブリッドネマチック配向型のLCDと組み合わせることにより、電界をかけた駆動用のネマチック液晶分子が配向膜界面側で立ち上がりが不足することに基づく光漏れを補償し、斜め方向から見た場合のコントラストの低下、色調の変化および階調の反転などを抑制し、LCDの視野角を拡大することができる。
また本発明にかかる光学素子の位相差制御層は、ガラス基板などの光透過性の基材の上に液晶分子を固定してなるものであるため、基材の外側に粘着剤により貼り付ける従来の位相差補償フィルムと異なり、粘着剤の界面での光の反射の問題が生じることがなく、かつLCD全体の薄型化が可能である。さらに、本発明の位相差制御層は従来の位相差補償フィルムのようにフィルム基材をもたないため、耐熱性に優れ、吸湿による膨潤変形が発生せず、また長期間の使用によっても透過光に与える位相差量が変化するという問題は生じない。
また本発明にかかる光学素子の位相差制御層は、重合性液晶モノマーを重合させて得ることができるため、高分子液晶材料を固定化させて位相差制御層を得る方式に比べて液晶分子の配向が均一であり、またハイブリッド配向のチルト角や、基材界面側のプレチルト角を自在に調整することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の光学素子10を示す概念図である。光学素子10は、光透過性を有するガラス基板12などの基材と、その一方の面に形成された配向膜13と、配向膜13の上に塗工された重合性液晶モノマー(以下、液晶モノマーと略記することがある。)14が重合固定された位相差制御層15とからなる。配向膜13には、液晶モノマー14が塗工される側にラビング処理16が施されている。また、配向膜13に塗工された液晶モノマー14は、位相差制御層15の厚さ方向にその光軸の傾きが徐々に変化するハイブリッド配向をなしている。同図では厚さ方向に5層の液晶モノマーがハイブリッド配向した状態を図示しているが、当然これに限られるものではない。
位相差制御層15を構成する液晶モノマー14の光軸と基材表面とのなす角をチルト角という。また特に基材界面側の液晶モノマー14のチルト角(αB)をプレチルト角といい、基材と反対側の最表面に位置する液晶モノマー14のチルト角(αA)を空気界面側チルト角という。
ガラス基板12に例示される基材には、透明無機材料または透明有機材料により形成された板、シートまたはフィルムを用いることができる。中でも熱膨張性が小さく寸法安定性が良好であり、また高温加熱処理における作業性が優れる点から透明無機材料が好ましい。透明無機材料としては、ガラス、シリコン、もしくは石英等を用いることができる。また特にLCD用に適用する本発明のカラーフィルタ用としては、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスを用いることが好ましい。
一方、上記透明有機材料としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロへキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特に、フィルムとしては、1軸延伸または2軸延伸したフィルムや、面内にリタデーションを有さないTACフィルム等を用いることができる。基材の厚みは特に限定されないが、用途に応じ5μm〜3mm程度とすることが一般的である。
位相差制御層15を構成する液晶材料は、電離放射線照射により液晶状態が固定化されたものであり、詳しくは分子構造中に不飽和結合基を有する液晶分子を、液晶状態で三次元架橋させ、その液晶構造の配向特性を保持したまま、これを紫外線等の照射により固定化してなる高分子である。本発明においては、液晶分子の配向が均一であり、またハイブリッド配向のチルト角や、基材界面側のプレチルト角を自在に調整することができるという観点から、重合性液晶モノマーを用いることが好適である。
さらに、本発明にかかる光学素子をLCDに組み合わせた場合、視野角に対するグレースケールの表示安定性に優れ、カラー表示の色味の変化が少ないという観点から、ネマチック型の液晶モノマーを用いることが好適である。
かかる重合性ネマチック液晶性モノマーとしては、例えば特開平7−258638号公報や、特表平10−508882号公報で開示されているものが好適に用いられる。このような重合性ネマチック液晶性モノマーの一例としては、例えば下記[化3]に示す一般式(1)で表される化合物(I)や、下記[化4]に示す一般式(2)で表される化合物(II)が挙げられる。また、一般式(1)で表される化合物(I)の具体例としては、[化5]に例示する化合物(III)を挙げることができる。本発明にかかる位相差制御層15には、化合物(I)〜(III)のうちの1種の化合物または2種以上の混合物を用いることができる。
Figure 0004803363
Figure 0004803363
Figure 0004803363
上記化合物(I)を表す一般式(1)において、Y1とY2のいずれかまたは両方は、この基を介して重合を引き起こすことのできる反応性不飽和二重結合を含む基である。重合性の観点から、特にビニル基、アクリレート基、アクリロイル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、1−クロロエテニル基、エポキシ基、シアネート基またはイソシアネート基が好ましい。またY1とY2は互いに同一でも相違してもよい。
1およびX2は、直接結合のほか、エーテル基、エステル基もしくはカーボネート基、またはこれらの少なくとも一つを含む基であり、互いに同一でも相違してもよい。
また、一般式(1)の中央部のメソゲンを構成する各ベンゼン環には、3個以下の同一または相違する以下の置換基を有していてもよい。該置換基としては、C1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシ基、C1〜C20のアルコキシカルボニル基、C1〜C20のモノアルキルアミノカルボニル基、C1〜C20のアルキルカルボニル基、C1〜C20のアルキルカルボニルオキシ基、C1〜C20のアルキルカルボニルアミノ基、ホルミル基、フッ素基、塩素基、臭素基、シアノ基、ヒドロキシ基またはニトロ基を挙げることができる。
上記化合物(II)を表す一般式(2)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1およびR2は共に水素であることが好ましい。Zは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(II)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。一般式(2)の化合物において、aおよびbがともに0である場合は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびbがそれぞれ13以上である一般式(2)の化合物は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭くなり好ましくない。
本発明における位相差制御層15は、上述した三次元架橋可能な液晶モノマーが液晶状態においてハイブリッド配向した状態を保持したまま互いに重合し、その配向組織を固定化された液晶性材料からなるものである。本発明においては、かかるハイブリッド配向状態の液晶性材料からなる位相差制御層15を「Oプレート」と呼ぶことがある。また、液晶性材料からなる位相差制御層の光軸が基材に垂直で負の複屈折異方性を有する位相差制御層を「負のCプレート」、同じく位相差制御層の光軸が基材に垂直で正の複屈折異方性を有する位相差制御層を「正のCプレート」、同じく位相差制御層の光軸が基材に水平で正の複屈折異方性を有する位相差制御層を「正のAプレート」という。なお、本発明において単に「Cプレート」と言うときは、「負のCプレート」及び「正のCプレート」両方を含んだ意味で用いられる。また本発明において単に「Aプレート」というときは、「正のAプレート」と同様な意味で用いられる。
本発明にかかるOプレートは、位相差制御層15を構成する液晶モノマー14を、基材界面側においてはこれと水平となるようネマチック配向させ、空気界面側においてはこれが所定の空気界面側チルト角となるよう立ち上がらせることにより得られる。ただしここでいう「水平」とは、液晶モノマー14が所定のプレチルト角をもつ状態をいうものであり、必ずしもその光軸と基材とのなす角度が0度であることを意味するものではない。
具体的には、まずガラス基板12などの基材の上面に水平方向の配向を促す水平配向膜13を形成し、該水平配向膜の上面に三次元架橋可能な紫外線重合型の重合性ネマチック液晶モノマー14を含有する樹脂組成物を塗工して液晶相温度に加熱し該液晶モノマーの配向を促す。
樹脂組成物は、上述で例示した化合物(I)乃至(III)を1種または2種以上、および必要に応じて光重合開始剤や重合禁止剤を有機溶媒に溶解させて調製する。
ここで、上記化合物(I)乃至(III)に例示される液晶モノマーを水平配向させてAプレートを得る場合は、樹脂組成物に陰イオン性界面活性剤やシリコーン系界面活性剤などのレベリング剤を混合することで液晶モノマーを均一に水平配向させることが一般的であるが、本発明においては、かかるレベリング剤の添加をしない、または添加をする場合もこれを微量に調整することにより、空気界面における表面自由エネルギーの影響を液晶モノマーに与え、配向膜側と空気界面側の表面自由エネルギーの差によってこれを立ち上がらせ、大きな空気界面側チルト角が得られるという知見に想到した。
したがって、水平配向膜13に塗工された液晶モノマー14は、液晶相温度に加熱されることにより、基材界面側においては水平配向膜により所定のプレチルト角をなし、空気界面側においてはこれよりも大きな所定の空気界面側チルト角をなすハイブリッド配向状態を得ることができる。なお、樹脂組成物を水平配向膜13に塗工する手法としては、たとえばインクジェット法や、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、スピンコート法などが用いられる。
本発明においては、液晶モノマーのプレチルト角を5乃至15度とし、空気界面側チルト角を20乃至90度とすることが好適である。
プレチルト角が5度を下回る場合、後述のように、基材から液晶モノマーの立ち上がる向きが逆転するリバースドメインの発生する虞がある。またプレチルト角が15度を上回る場合、かかる大きなプレチルト角にて液晶モノマーを均一にハイブリッド配向させることが困難となる場合がある。
また上記範囲の空気界面側チルト角をもつことにより、ハイブリッドネマチック配向型LCDの駆動液晶分子の立ち上がりの不足に起因する光漏れを好適に光学補償することができる。
ハイブリッド配向した位相差制御層15において、液晶モノマー14のチルト角は、例えば以下の二通りの方法により求めることができる。第一はシミュレーション、第二は実測による方法である。
まず、第一のシミュレーションによる方法を以下に説明する。ハイブリッド位相差制御層の断面模式図を図2に示す。同図で、上方が空気界面、下方が水平配向膜13の設けられた基材界面である。ここで、同一のチルト角を有する多数の層に分割し、各層におけるチルト角αnと位相差Renとを算出し、これらを合計した位相差量Reを実測値と一致させることにより、未定のパラメータであるプレチルト角と空気界面側チルト角とを求めることができる。
具体的には、図2でハイブリッド位相差制御層の分割数nを例えば100とし、空気界面側チルト角をα1、基材界面側のプレチルト角をα100とすると、上からk番目の層では、チルト角α=α1−(k−1)×(α1−α100)/(100−1)と書ける。なお、かかる式は、チルト角α(rad)が連続弾性体理論に基づき、プレチルト角α100から空気界面側チルト角α1まで連続的かつ均一な角度差で変化すると考えられることに基づく。
かかるチルト角αをもつk番目の層では、下記(数1)にて表されるSchefferの式に基づき、位相差Rek(nm)が発生する。位相差Rekは上記αと、入射角ψ(rad)の関数である。
Figure 0004803363
ただし、λは波長(nm),n0は常光屈折率,neは異常光屈折率,dは膜厚(nm)である。なお、n0とneとは位相差制御層15を構成する液晶モノマーに固有の値である。
各層で発生する位相差Rekをk=1〜100まで合計することで位相差制御層15全体の位相差量Reがチルト角αと入射角ψの関数として求まる。この状態から、入射角ψを基材の法線方向から±45度で変化させて、入射角ψと位相差量Reのプロファイルが実測値のそれと良好に一致するものを選び出すことにより、未定のパラメータであったプレチルト角α100と空気界面側チルト角α1を決定することができる。
次に、実測によりプレチルト角と空気界面側チルト角を算出する第二の方法について説明する。これは、位相差制御層15を上層または下層から表面を薄く削り取り、位相差制御層15全体の位相差量Reの変化量を求めることによってプレチルト角と空気界面側チルト角を算出する方法である。すなわち、ハイブリッド配向した位相差制御層15に対して基材の法線方向から±45度で入射角ψを変化させて入射角ψと位相差量Reの初期プロファイルを求めておく。次に位相差制御層15の基材界面側を、例えば同層の全体に対して1/100の厚さ分だけ除去した状態で同様に位相差量のプロファイルを求める。これにより、両者の差分から求めた位相差量を上記(数1)の左辺に代入することで、基材界面側の液晶モノマーのチルト角α、すなわちプレチルト角を求めることができる。また位相差制御層15の空気界面側を薄く除去して位相差量の変化を求めることで空気界面側チルト角を算出することができる。ここで、位相差制御層15の表面を削り取る厚さを例えば全体の1/100程度まで薄くすることにより、かかる薄層の内部においては液晶モノマーのチルト角を一定と近似することができる。
以下、本実施の形態に用いることのできる他の材料について順に説明する。
(有機溶媒)
有機溶媒としては、上記の重合性液晶モノマーを溶解可能であり、基材の配向性能を阻害しない材料であれば特に限定せずに用いることができる。
具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリンなどの炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン系溶剤;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類、などが1種、または2種以上を混合して使用可能である。
(光重合開始剤)
紫外線重合型の液晶モノマーを紫外線照射により固定化するに際しては、液晶の配向を大きく損なわない範囲で光重合開始剤を添加するとよい。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は、たとえば紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体またはそれらのエステルなどの誘導体;キサントンまたはチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物またはクロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれもチバスペシャリティケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)などのケトン類またはビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。
これらの開始剤を1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするとよい。なお、光重合開始剤のほかに増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することもできる。
このような光重合開始剤の添加量としては、一般的に液晶モノマーの重量に対して0.01〜15重量%(wt%)、好ましくは0.1〜12wt%、より好ましくは0.5〜10wt%の範囲で添加することができる。
(重合禁止剤)
重合禁止剤には、例えばp−ベンゾキノン、ナフトキノン、パラ−キシロキノン、パラ−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアエロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル・パラクレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、アセトアニジンアセテートなどを用いることができる。
重合禁止剤の添加量は、液晶モノマーの重量に対して好ましくは0.001〜3wt%、より好ましくは0.01〜2wt%である。上記範囲を下回ると、光散乱等による低い露光量でも硬化してしまい、またこれを超えると紫外線露光感度が低下する。
(配向膜)
なお、上記水平配向膜13は、ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の樹脂を溶解した溶液を基材上に塗布し、これを乾燥させて塗膜形成し、次いで上記塗膜の上面から布を巻き付けたローラ等により所定の方向に摩擦するラビング処理を行うことにより形成することができる。このほか、基材に塗工した樹脂表面を光配向処理する方法や、基板に酸化ケイ素を斜め蒸着する方法などによっても配向膜を得ることができる。上記水平配向膜13の厚みは特に限定されるものではないが、0.01μm〜0.08μmとすることが一般的である。
具体的には、例えば日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
(レベリング剤)
空気界面側チルト角の小さなハイブリッド配向状態を得るために微量添加するレベリング剤には、非イオン性またはイオン性の界面活性剤を用いることができる。具体的には、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、または脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボンサン型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
<プレチルト角の調整>
ハイブリッド配向した位相差制御層15のプレチルト角を上記5乃至15度の範囲で任意に調整するにあたっては、水平配向膜13の配向特性や液晶モノマーに対するアンカリングエネルギーを変化させるか、または水平配向膜13に紫外線重合型の液晶モノマーを塗布した後に所定の温度および時間にてプリベイクすることでこれを好適に行うことができる。
すなわち水平配向膜13のアンカリングエネルギーを小さくすることにより、配向膜界面側の液晶モノマーの一端が表面自由エネルギーによって液晶層内に引き込まれ、より大きなプレチルト角にて立ち上がろうとする。また、液晶モノマーを常温以上に加熱することでその分子運動が活性化されるため、アンカリングエネルギーに抗ってより大きなプレチルト角にて分子が立ち上がることを可能にする。
具体的には、配向膜材料をアンカリングエネルギーの大きいものまたは小さいものに適宜選択したり、水平配向膜13材料へのフッ素原子の導入を行ったりすることでアンカリングエネルギーを調整することができる。
またプリベイクを行う温度については、液晶相温度または等方相温度の中から選択可能である。プレチルト角を5乃至15度の範囲内でより大きなものとする場合、等方相転移温度以上かつ重合温度以下の温度、さらに具体的には90℃乃至150℃にてプリベイクするとよい。一方、プレチルト角を上記範囲内で小さくする場合は、液晶相温度、さらに具体的には50℃乃至90℃でプリベイクするとよい。
またプリベイクを行う時間を十分に長くとることにより、配向膜界面側の表面自由エネルギーによって液晶層内に引き込まれる液晶モノマーの立ち上がりを十分に促すことができ、液晶モノマーのプレチルト角をより大きくすることができる。したがって同一温度に加熱してプリベイクする場合も、その時間を調整することでプレチルト角を所定の範囲内で増減させることができる。
また、ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の塗膜を搬送装置に載置し、これをラビングロールにて摩擦して水平配向膜13を得る場合、基板とラビングロールとの距離(ギャップ)を小さくすることで、塗膜表面により深くかつ水平に近いにラビングの溝が形成されるため、プレチルト角をより小さくすることができる。また、ラビングロールの回転速度を速くすることにより、同様にプレチルト角を小さくすることができる。
この他、樹脂の塗膜に対する光配向処理や基材への酸化ケイ素の蒸着によって水平配向膜13を得る場合は、照射光の角度や蒸着の角度を調整することにより、液晶モノマーのプレチルト角を増減させることができる。
以上のように、水平配向膜13の配向特性やアンカリングエネルギー、および/またはプリベイクの温度や時間を適宜選択または調整することにより、当業者であれば、得られた位相差制御層15のプレチルト角を容易に増大または減少させ、所望の値に調整することができる。
<空気界面側チルト角の調整>
ハイブリッド配向した位相差制御層15の空気界面側チルト角を20乃至90度の範囲で任意に調整するにあたっては、重合性液晶組成物に対する後述のレベリング剤の添加量(添加しない場合を含む)、または、重合性液晶組成物を基材に塗工した後に、これを液晶モノマーの液晶相温度乃至等方相温度でプリベイクする時間(プリベイクしない場合を含む)によってこれを行うことができる。さらに、上記に例示する重合性ネマチック液晶モノマーのうち、分子量のより小さなものを選択することにより、空気界面側チルト角をより大きなものとすることができる。
具体的には、レベリング剤を添加することなく、かつ、等方相転移温度以上かつ重合温度以下の温度にてプリベイクすることで、空気界面側の液晶モノマーを80乃至90度のチルト角で配向させることができる。このようにして空気界面側の液晶モノマーを十分に立たせた後、これを液晶相温度まで冷却し、連続弾性体理論に基づいて空気界面側から基材界面側まで液晶モノマーをハイブリッド配向させる。さらに紫外線照射により、空気界面側チルト角の大きなハイブリッド配向状態を固定化することができる。
なお、一般に紫外線重合型の液晶モノマーの反応性不飽和二重結合は、熱によっても重合する。したがって、プリベイクを行う際は液晶モノマーの重合温度以下で行うことが好ましい。
本発明においては、プリベイク温度を等方相転移温度プラス40℃乃至プラス80℃、かつ重合温度マイナス70℃乃至マイナス10℃の範囲から選択することで、特に大きな空気界面側チルト角を得ることができる。
一方、液晶モノマーの重量に対して0.01乃至1wt%のレベリング剤を添加し、樹脂組成物を液晶相温度にて維持することにより、空気界面側の液晶モノマーのチルト角を20乃至80度のチルト角で配向させることができる。レベリング剤の添加量を上記範囲内で増加させることにより、空気界面側チルト角を上記範囲のうち20度に近づけることができる。レベリング剤の添加量を上記範囲内で増加させることにより、空気界面側チルト角はより小さなものとなる。かかる状態で紫外線照射を行うことにより、空気界面側チルト角の小さなハイブリッド配向状態を重合固定することができる。
以上のように、レベリング剤の添加量、プリベイクの温度および時間、重合性ネマチック液晶モノマーの分子量の各パラメータを適宜選択または調整することにより、当業者であれば、得られた位相差制御層15の空気界面側チルト角を容易に増大または減少させ、所望の値に調整することができる。
なお、本発明でいう「液晶相温度」とは、樹脂組成物が液晶相を示す温度範囲をいい、液晶相転移温度から等方相転移温度までの温度範囲のほか、樹脂組成物が液晶相を示す限り過冷却状態や過加熱状態の温度範囲も含むものとする。樹脂組成物が等方相を示す温度範囲を意味する「等方相温度」についても同様とする。
また、チルト角が厚さ方向に連続的に変化するハイブリッド配向状態の上方および/または下方に、チルト角が不変の配向領域を形成するには、上方に形成する場合は上記の方法によりハイブリッド配向した位相差制御層を作製し、その上にポリイミド樹脂等を成膜してこれをラビング処理して配向膜を形成し、さらにその上方に紫外線重合型の液晶モノマーを成膜して、積層構造として得ることができる。下方に形成する場合は上方に形成する場合とは逆の積層構造とすることで得られる。
このようにして所望のプレチルト角および空気界面側チルト角をもつハイブリッド配向をさせた液晶モノマーを、次いで紫外線等の活性放射線を照射するか、または加熱することによって光重合または熱重合する。また活性放射線の照射と加熱とを併用してもよい。これにより、液晶モノマーを基材に対して所望のハイブリッド配向をさせた状態でこれを固定してなる位相差制御層15を得ることができる。
紫外線照射により固定化した位相差制御層については、紫外線のみの硬化では硬化度が不十分である場合は露光後に併せて加熱処理を行い、完全に重合反応を終了させることが好ましい。ここで生産において実質的な反応速度を得るためには、170℃以上に加熱することが好ましい。またかかる温度は液晶モノマーが片端または両端に有する該不飽和二重結合が開環する温度でもある。このため、170℃以上のポストベイクを行っていない場合、位相差制御層15の形成後に例えば駆動用液晶層のための配向膜などを高温で焼成すると、あらかじめ紫外線照射により固定化した位相差制御層15において、重合反応が不完全であった液晶分子のハイブリッド配向がこの熱によって変化してしまい、位相差量が変動するという問題が生じる。したがって、位相差制御層15をポストベイクする際にはこれらの温度まで加熱し、他の層を焼成する前に十分に液晶モノマーを重合させておくことが好ましい。
一方、加熱温度が高いほど液晶モノマーの重合反応速度は速くなるが、260℃を超える領域では液晶モノマー自身の分解反応が生じ、位相差制御層自体の劣化が顕著となる。特に両端に反応性不飽和二重結合を有する液晶モノマーの場合、260℃を超える温度に加熱すると、重合した液晶モノマーが熱摂動により配向変化して位相差量が変動し、また重合した位相差制御層15が分解する虞がある。このため本発明においては、ポストベイクの温度は液晶モノマーの種類によらず170℃以上260℃以下の範囲で設定することが好ましい。
図3は、上述したOプレートよりなる位相差制御層15を用いた本発明の光学素子の一例として、色パターン(R,G,B)を配列した着色層17を有するカラーフィルタ18を説明する分解斜視図である。カラーフィルタ18は、例えばLCDの液晶配向基板の構成部材である光学素子に用いられ、ガラス基板12などの光透過性基材に光吸収型の着色層17を積層したものである。
着色層17は、これを構成するマイクロカラーフィルタ(着色画素)の色、サイズまたは配置形態によって各種を採り得る。マイクロカラーフィルタは、色毎にパターニングして配置され、各色の色パターンを形成する。マイクロカラーフィルタが透過する色については、赤(R)、緑(G)、青(B)からなる3原色系が一般的であるが、必ずしもこれらに限るものではなく、減色(CMY)系、または2色以上のマイクロカラーフィルタからなるものであればそれらの色は限定されない。マイクロカラーフィルタの配置形態については、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型などが代表的である。
また、マイクロカラーフィルタ同士の境界には、画素間からの光の漏れ(漏れ光)を防止し、またアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置に対してはアクティブ素子の光劣化等を避けるために設けられる遮光層として、ブラックマトリックス(同図では図示せず。)を設けるとよい。ブラックマトリックスは、例えば黒色着色剤を含有する塗料タイプの樹脂組成物をガラス基板12の全面に塗布し、固化後に感光性樹脂組成物を適用してパターニングを行うなどの方法により形成することができる。ブラックマトリックスの厚みは、クロム酸化物等の薄膜で形成する場合には、0.2μm〜0.4μm程度であり、印刷法によるときは0.5μm〜2μm程度である。
着色層17の色パターン(R,G,B)は、ブラックマトリックスの開口部毎に設けたものであってもよいが、便宜的にはブラックマトリックスと重なる部分があってもよく、図3における手前側から奥側の方向にストライプ状に設けることができる。その形成方法については、所定の色に着色したインキ組成物を調製し色パターン毎にシルクスクリーン印刷等の印刷をしてもよいが、所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物にてガラス基板12をコーティングし、フォトリソグラフィー法によってパターニングする方法が、着色層17の膜厚を精度よく調整することができるため好ましい。着色層17の厚さは1μm〜5μm程度とするのが一般的である。
着色層17の上面には、ラビング処理16を施した水平配向膜13を被覆形成する。水平配向膜13の上面に重合性ネマチック液晶モノマー14を塗工し、これをハイブリッド配向させた状態で重合固定してOプレートの機能を有する位相差制御層15を得る手段は上記の通りである。
図4は、図3に示したカラーフィルタ18を有する半透過半反射型液晶表示装置(LCD)の構成を示す断面模式図である。図の上側が液晶表示の観察側である。かかるLCD40は、観察側より、上側直線偏光板21、上側ガラス基板12、色パターン(R,G,B)とブラックマトリックス19を配列した着色層17、水平配向膜13a、液晶モノマーがハイブリッド配向した上側位相差制御層15、上側透明電極層20、水平配向膜13b、駆動用液晶層22、水平配向膜13c、下側透明電極層20’、下側ガラス基板12’、水平配向膜13d、下側位相差制御層15’、下側直線偏光板21’およびバックライト30が順に積層された構造を有している。
このうち、上側ガラス基板12、着色層17、水平配向膜13a、上側位相差制御層15の四層がこの順に積層された積層体が、図3に示したカラーフィルタ18に相当する。
駆動用液晶層22は、駆動用のネマチック型液晶分子(駆動用液晶分子)24が水平配向して構成されている。駆動用液晶分子24は、上側/下側透明電極層20,20’に電圧が印加されることによって、その電場を受けて立ち上がるよう駆動される。
上側/下側透明電極層20,20’は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:以下「ITO」と略記する。)などを焼成してなる。
また上記構造において、駆動用液晶層22には、水平配向膜13cおよび下側透明電極層20’が部分的に上に凸に形成されてその下にアルミニウムなどの金属膜からなる反射板23が設けられた反射表示領域22aと、光透過性の透過表示領域22bとが繰り返し形成されている。上記凸の高さは駆動用液晶層22の厚さの半分に調整されている。これにより、駆動用液晶分子24が駆動した場合に、例えば反射表示領域22aではλ/4、透過表示領域22bではλ/2の位相差量が得られることとなり、LCD40の明表示と暗表示の切り換えがなされる。
LCD40を製造するに際し、各層の積層順は特に限定されるものではない。一例を以下に示す。まず、上側ガラス基板12を基材として、その上(図4における下方)に着色層17と水平配向膜13aとをこの順に形成する。次に水平配向膜13aの上に液晶性樹脂組成物を塗工して液晶相温度にて所望のプレチルト角および空気界面側チルト角を発現させたハイブリッド配向を形成し、さらにこれを重合固定して上側位相差制御層15を設け、カラーフィルタ18を得る。上側位相差制御層15をポストベイクして十分に硬化した後、その空気界面側には平坦性、耐薬品性、耐熱性、耐ITO性等を向上させるための保護膜(図示せず)を設けてもよい。
カラーフィルタ18の表面には、ITOを焼成して上側透明電極層20を形成し、その表面にポリイミド樹脂等をラビング処理した水平配向膜13bを形成しておく。
一方、下側ガラス基板12’には、アクリル系樹脂等からなるスペーサー25および反射板23をマスキングにより積層形成し、その上にITOを焼成して下側透明電極層20’を形成する。さらにその表面に水平配向膜13cを形成し、水平配向膜13bと13cとの間に駆動用液晶分子24を封入することで駆動用液晶層22を得る。なお、下側ガラス基板12’には、駆動用液晶層22の反対側に水平配向膜13dと、液晶モノマーをハイブリッド配向させてなる下側位相差制御層15’とを形成しておく。これにより、駆動用液晶層22を含む積層体が得られる。
さらに、上記積層体の上下面に上側直線偏光板21と下側直線偏光板21’とをそれぞれ接着接合し、バックライト30とあわせることで、本実施の形態にかかるLCD40を得ることができる。
なお、上記保護膜は、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド等、種々の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、または二液硬化型樹脂を用いるとともに、その材料に応じてスピンコート法、各種印刷法、フォトリソグラフィー等の方法により形成することができる。保護膜の膜厚は0.3〜5.0μm程度の範囲内で適宜選定可能であり、0.5〜3.0μm程度の範囲内で選定することが、保護膜の強度、およびカラーフィルタ18やLCD40全体の薄型化の観点から好ましい。
ハイブリッド配向した位相差制御層をLCDに組み合わせた場合に発揮される光学補償機能の原理を以下に説明する。図5は重合性のネマチック液晶モノマー14をハイブリッド配向させた状態で重合固定してなる位相差制御層15と、対向する水平配向膜13にネマチック型の駆動用液晶分子24を封入してなる駆動用液晶層22とを表す模式図である。
位相差制御層15のネマチック液晶モノマー14は、図中下方がプレチルト角αBの基材界面側、上方がチルト角αAの空気界面側であり、その光軸はいずれも紙面前後方向に伸びる立面と平行である。
一方、駆動用液晶分子24は図中上下方向に電圧を負荷され、立ち上がる方向に駆動された状態にある。駆動用液晶分子24の光軸はいずれも紙面と平行である。駆動用液晶層22の厚さ方向の中央近傍においては、駆動用液晶分子24は水平配向膜13に対して垂直に立ち上がっている。これに対し、水平配向膜13の近傍では、配向膜とのアンカリングエネルギーにより、駆動用液晶分子24は十分に立ち上がることができない。すなわち、電圧負荷時の駆動用液晶分子24は、基材界面側では水平に近い状態に寝て、厚さ方向の中央部に向かって次第に立ち上がるハイブリッド配向状態となる。このハイブリッド配向状態が、視野角をゼロ度から変化させた場合にリターデーションを発生させる原因となる。
駆動用液晶分子24がハイブリッド配向した駆動用液晶層22に、液晶モノマー14がハイブリッド配向した位相差制御層15を組み合わせることにより、上記リターデーションを光学補償し、LCDの視野角を拡大することができる。すなわち、駆動用液晶層22の上方にてハイブリッド配向した駆動用液晶分子24と、位相差制御層15にてハイブリッド配向した液晶モノマー14とは互いに直交することから、両者をあわせた屈折率楕円体は円盤状となる。さらにこれと駆動用液晶層22の中央で垂直に立ち上がっている駆動用液晶分子24とをあわせることで屈折率楕円体が球となるため、視野角をゼロ度から正負に変化させた場合の光漏れが抑えられる。これにより、LCDにおいて駆動用液晶分子24の立ち上がりの不足に起因するリターデーションが位相差制御層15により補償され、LCDの視野角の拡大が実現する。
なお、空気界面側チルト角を20度乃至90度とすることにより、ハイブリッドネマチック配向型LCDの駆動液晶分子の立ち上がりの不足に起因する光漏れを実用的なレベルで十分に光学補償することができる。
図5においては、位相差制御層15はチルト角の大きい空気界面側が駆動用液晶層22と当接する向きに積層されているが、位相差制御層15の上下を逆転させても同様の光学補償をすることができる。
また、上下二枚の水平配向膜13の間に駆動用液晶分子24を封入してなる駆動用液晶層22では、両配向膜の近傍において駆動用液晶分子24の立ち上がりの不足が発生する。したがって、本発明にかかるLCD40においては、駆動用液晶分子24の上下両面に位相差制御層15(15’)を設けることが好適である。
液晶モノマーがハイブリッド配向した位相差制御層15においては、基材界面側のチルト角(プレチルト角)から空気界面側チルト角までが連続的に変化する純粋なハイブリッド配向状態のほか、かかるハイブリッド配向状態の上および/または下に、チルト角が不変である配向領域を有していてもよい。具体的には、例えば液晶モノマー14の重量に対してレベリング剤を2wt%混合することにより、基材界面側において液晶モノマーの光軸が基材に水平に寝た領域を所定の厚さにわたって形成し、その上方に、空気界面側にかけて液晶モノマーが立ち上がるハイブリッド配向状態を形成することができる。
これにより、位相差制御層15においては駆動用液晶層22の光学補償の機能とともに、例えばλ/4位相差板の機能を同時に実現することができる。
さらに、レベリング剤の混合を行わず、かつ液晶モノマー14を塗布した後に150℃程度の温度で十分な時間にわたってプリベイクを行い、空気界面側チルト角を90度に近づけることで、位相差制御層15において同時に正のCプレートの機能を実現することもできる。
位相差制御層15のこれらの機能は、本発明にかかる光学素子が、重合性ネマチック液晶モノマーを自在に選択した上でこれをハイブリッド配向させ、さらにかかる配向状態を重合固定して位相差制御層15を形成してなることによってもたらされるものである。
本発明にかかる光学素子においては、位相差制御層においてハイブリッド配向させる液晶モノマーのプレチルト角を5度以上とすることにより、液晶モノマーの立ち上がる向きが局所的に逆転してなるリバースドメインの発生を抑制し、該リバースドメインの境界にあたるディスクリネーションライン(線欠損)において光学補償機能が不十分となる現象を回避可能である。
すなわち、図6に示すように、水平配向膜上のネマチック液晶モノマーのもつプレチルト角が0度の場合、該モノマーの光軸は基材に対して完全に水平となるため、液晶分子の両端のいずれを上にして空気界面側にかけて立ち上がるかはランダムとなる。このため、立ち上がり方の逆転する液晶モノマー同士の間には、位相差制御機能の不十分なディスクリネーションライン50が形成される。これに対し、上述のように配向膜の材料の選択やフッ素原子の導入等によるアンカリングエネルギーの調整や、ラビング時のラビングロールの回転速度またはラビングロールと基板とのギャップの制御、および/または塗工後の液晶モノマーに対する所定のプリベイク処理などによってプレチルト角を5度以上に調整することができる。かかる大きなプレチルト角をとることにより、水平配向膜上に塗工された液晶モノマーはあらかじめ一端が立ち上がった状態にあることから、水平配向膜上の場所によらず均一な向きで空気界面にかけて立ち上がることとなる。
プレチルト角を所定以上、特に5度以上とすることによりリバースドメインの発生が抑えられるというかかる現象の発生は、液晶モノマーがハイブリッド配向により立ち上がろうとする向きを物理的に揃えるという技術に基づくものであり、特定の液晶モノマーまたは配向膜の選択により発現するものではない。
プレチルト角を5度以上と設定することによりリバースドメインの発生を劇的に抑えることができる上記の効果は、以下の実施例および参考例を対比することにより明らかとなろう。
(実施例)
(1)基板の前処理
適当な洗浄処理を施し、清浄とした基板として、100mm四方、0.7mm厚さのガラス基板(1737材、コーニング社製)を用意した。
(2)着色レジストの調整
ブラックマトリクス及び赤色(R)、緑色(G)、青色(B)着色画素の着色材料には顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
各フォトレジストの組成を以下に示す。
(ブラックマトリクス用フォトレジスト)
・黒顔料・・・・・14.0重量部
(大日精化工業(株)製TMブラック#9550)
・分散剤・・・・・1.2重量部
(ビックケミー(株)製Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部
(昭和高分子(株)製VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部
(サートマー(株)製SR399)
・添加剤・・・・・0.7重量部
(綜研化学(株)製L−20)
・開始剤・・・・・1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤・・・・・0.3重量部
(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・開始剤・・・・・0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
(赤色(R)着色画素用フォトレジスト)
・赤顔料・・・・・3.5重量部
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・0.6重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・81.9重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(緑色(G)着色画素用フォトレジスト)
・緑顔料・・・・・3.7重量部
(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・2.3重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(青色(B)着色画素用フォトレジスト)
・青顔料・・・・・4.6重量部
(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・1.4重量部
(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・・0.6重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・2.4重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
なお、上記ポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
(3)着色層の作製
前処理により洗浄したガラス基板上面に、上述で調製したBM用フォトレジストをスピンコート法で1.2μmの厚さに塗布し、90℃、3分間の条件でプリベイクし、所定のパターンに形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm2)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベイクし、線幅6μmのBMを有するBM基板を作製した。
次に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストを上記BM基板上にスピンコート法で塗布し、80℃、5分間の条件でプリベイクし、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて、アライメント露光(300mJ/cm2)した。露光には大日本科研製アライナーMA6700を利用した。この際、赤色着色画素の端部が隣り合うBMに乗り上げる量を1.5μmとなるように予め設計したフォトマスクを用いた。引き続き0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、60分間ポストベイクし、BMパターンに対して所定の位置に膜厚2.8μmの赤色(R)着色画素パターンを形成した。
続いて、上記赤色(R)着色画素パターンの形成方法と同様の方法及び条件で、膜厚2.6μmの緑色(G)着色画素パターンを形成した。
さらに、上記赤色(R)着色画素パターンの形成方法と同様の方法及び条件で、膜厚2.3μmの青色(B)着色画素パターンを形成した。
以上により、基板上に、BM、赤色着色画素、緑色着色画素、及び青色着色画素から構成される着色層を形成した。上記着色層では、赤色着色画素、緑色着色画素及び青色着色画素の端部がBM上に乗り上げて形成されており、且つ該BM上で隣り合う各着色画素が、オーバーラップすることなく形成されていた。従って着色層上面において、BM上における各着色画素のオーバーラップに起因する段差は発生していなかった。
(4)位相差制御層インキの構成
Oプレートを構成する重合性ネマチック液晶モノマー(メルク社製:商品名「RMM34」)を49重量部、光重合開始剤としてイルガキュアIrg184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を1重量部、溶剤としてトルエン50重量部を混合して樹脂組成物を調製した。
(5)位相差制御層の作製
上記基板上に積層形成された着色層の上に、Oプレートの機能を有する位相差制御機能層を作製した。まず配向膜材料としてSE−5291(日産化学社製)を用い、上記着色層の上面に、これをスピンコート法により塗布し、80℃で15分、さらに180℃で60分加熱し、厚さ700Åの配向膜を形成した。次いでこの配向膜にラビング処理を施して水平配向膜を得た。次に、上記配向膜上面に、上記調整した樹脂組成物をスピンコート法により厚さ2.4μmとなるように塗布した。続いて、樹脂組成物が塗布された基板をホットプレート上で100℃、5分間加熱し、残存溶剤を除去するとともに樹脂組成物に含有される液晶モノマーをハイブリッド配向させた。かかる条件で得られる液晶モノマーのハイブリッド配向は、プレチルト角が5度、空気界面側チルト角が40度であった。
続いて、10J/cm2、365nmの条件で紫外線照射を行い、上記ハイブリッド配向した液晶モノマーを重合固定化して位相差制御層を作製した。さらに180℃のホットプレート上で60分間加熱して完全に硬化反応を終了させ、本実施例にかかるカラーフィルタを得た。
このカラーフィルタをクロスニコル下にて顕微鏡で観察した結果を図7(a)に示す。
(参考例)
上記実施例にて用いた配向膜材料をSE−7992(日産化学社製)に替え、同一の条件によりカラーフィルタを得た。かかる条件で得られる液晶モノマーのハイブリッド配向は、プレチルト角が4.5度、空気界面側チルト角が40度であった。かかるカラーフィルタをクロスニコル下にて顕微鏡で観察した結果を図7(b)に示す。
上記実施例と参考例とを比較すると、参考例にかかるカラーフィルタでは液晶分子の立ち上がる向きが局所的に逆転してなるリバースドメインの境界にあたるディスクリネーションライン(線欠損)50が認められたのに対し、実施例にかかるカラーフィルタではこれがまったく認められず、ハイブリッド配向の向きが全体に均一であることが分かった。
これにより、0.5度というわずかなプレチルト角の相違によりリバースドメインの発生が劇的に抑えられ、プレチルト角を5度とする本実施例にかかるカラーフィルタでは参考例に比してさらに高い光学補償機能が得られることがわかる。
本発明にかかる光学素子の概念図である。 ハイブリッド配向した位相差制御層の断面模式図である。 本発明にかかるカラーフィルタの分解図である。 本発明にかかるLCDの断面模式図である。 ハイブリッド配向した位相差制御層の機能説明図である。 リバースドメインの発生の原理を示す説明図である。 (a)本発明の実施例にかかるカラーフィルタの顕微鏡写真である。(b)参考例にかかる顕微鏡写真である。
符号の説明
10 光学素子
12、12’ ガラス基板
13 配向膜
14 液晶モノマー
15、15’ 位相差制御層
16 ラビング処理
17 着色層
18 カラーフィルタ
19 ブラックマトリックス
20、20’ 透明電極層
21、21’ 直線偏光板
22 駆動用液晶層
24 駆動用液晶分子
40 LCD
50 ディスクリネーションライン

Claims (5)

  1. 光透過性を有する基材と、該基材面上に配向膜材料(日産化学社製、商品名SE−5291(商標))からなる配向膜を介して形成され重合性液晶モノマーがハイブリッド配向した状態で重合して固定されてなる構造を有する位相差制御層と、を有し、
    重合した重合性液晶モノマーの配向した状態が、基材界面側から空気界面側に向かって立ち上がるハイブリッド配向であって、
    前記基材界面側の重合性液晶モノマーの光軸と基材界面とのなすプレチルト角が5度であり、前記空気界面側の重合性液晶モノマーの光軸と空気界面とのなすチルト角が20度乃至90度であり、
    重合性液晶モノマーが、下記一般式(1)で表される重合性ネマチック液晶モノマーである、ことを特徴とする光学素子。
    Figure 0004803363

    (ただし、YとYのいずれかまたは両方は、この基を介して重合を引き起こすことのできる反応性不飽和二重結合を含む基であり、XおよびXは、直接結合、エーテル基、エステル基もしくはカーボネート基、またはこれらの少なくとも一つを含む基である。)
  2. 位相差制御層がλ/4板の機能を有する請求項1に記載の光学素子。
  3. 色パターンを配列した着色層を有する請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の光学素子と、駆動用液晶層とを有する液晶表示装置。
  5. 駆動用液晶層の両面側にそれぞれ前記光学素子を備えることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
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