JP2010008547A - カラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パターニングされた位相差層により位相差制御を可能とするカラーフィルタにおいて、ブラックマトリクス輪郭周辺において光漏れがないカラーフィルタ、およびこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】開口部を区画するブラックマトリクスと、パターン化された位相差層を備えるカラーフィルタにおいて、光透過性基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した際に、位相差層とブラックマトリクスとが重なる領域において、該位相差層のテーパー状側面部を実質的に遮光領域であるブラックマトリクスに包含させる。
【選択図】図5
【解決手段】開口部を区画するブラックマトリクスと、パターン化された位相差層を備えるカラーフィルタにおいて、光透過性基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した際に、位相差層とブラックマトリクスとが重なる領域において、該位相差層のテーパー状側面部を実質的に遮光領域であるブラックマトリクスに包含させる。
【選択図】図5
Description
本発明は、液晶表示装置など表示装置における光学部材として用いることのできるカラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置に関し、より具体的にはカラーフィルタ内において、開口領域を区画するブラックマトリクスと、重合性液晶材料よりなる位相差層とを備えるカラーフィルタに関する。
近年、液晶表示装置などの表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて、光の位相差を調整するための位相差制御機能を有する位相差フィルムに代わり、重合性液晶材料を基材面に塗布して所望の方向に配向させた後、その状態で重合させ固定化されて形成される、所謂インセルタイプの位相差層が開発されている(特許文献1)。
上記位相差層は、基材面において実質的に全面に設けることもできるし、フォトリソグラフィ法などの手法により所望の位置にパターニング形成することも可能である。
ところで液晶表示装置は、その軽量化、薄型化などの小型化技術の進歩により、近年、携帯電話やPDA等にも幅広く用いられるようになってきている。このような小型の液晶表示装置は、特に、省電力化、高輝度化や高コントラスト化、太陽光などの外光環境下での視認性といった課題を有している。そしてこれらの課題に対応するために、反射型あるいは半透過半反射型の液晶表示装置が開発され、またさらなる改善のために、これに用いられるカラーフィルタの開発が種々行われている。
たとえば、半透過半反射型液晶表示装置の一形態として、アルミニウム等の金属膜に光が透過できる開口部を形成し、反射部と透過部とを設けた金属膜を半透過半反射膜として機能させた液晶表示装置が提案されている。このような半透過半反射型の液晶表示装置の具体的な構成は、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例とすると以下のとおりである。
半透過半反射型液晶表示装置は、対面する一対の基板(第1の基板、第2の基板)の間に、印加電圧に応じて液晶の光軸の向きを可変に液晶を封入してなる駆動用液晶層を形成しており、基板の外側にバックライトを備えてなる。そして、一対の基板のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板とした場合に、第1の基板は、ガラス基板と駆動用液晶層との間に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極が形成され、この透明電極を覆うように配向膜が形成されており、さらにガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が配置されている。一方、第2の基板は、ガラス基板と駆動用液晶層との間に、金属膜の所定領域に開口部を形成してなる反射膜、および、インジウム錫酸化物(ITO;Indium tin oxide)等の透明導電膜からなる透明電極が積層され、さらに、その透明電極を覆うように配向膜が形成されている。また、第2の基板において、ガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が設けられている。なお、1/4波長板は、ある波長帯域において、直線偏光を略円偏光に変換することができる機能を有する光学部材である。
尚、本明細書において、第1の基板、第2の基板から駆動用液晶層に向かう方向が内側方向であり、駆動用液晶層から第1の基板、第2の基板に向かう方向が外側方向であるものとする。上記半透過半反射型液晶表示装置のバックライトは、第2の基板のさらに外側の位置に、第2の基板に向かって光を入射するように備えられる。
上記駆動用液晶層は、封入されている液晶の複屈折に応じた厚み(セルギャップ)を備えて形成されている。セルギャップは、電圧無印加時においてその駆動用液晶層内をその厚み方向に進行する光の位相のずれが1/4波長となるように定められることが一般的である。
ここで、上述のような半透過半反射型液晶表示装置は、外光からの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(反射部)により液晶表示を行うのみならず、バックライトからの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(透過部)によっても液晶表示を行うという特殊性から、特に透過部において液晶表示が行われる場合に、つぎのような問題がある。
すなわち、この半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光のうち、一部は反射膜に設けられた開口部の周囲の金属膜にて反射されて反射光となる。反射光は、反射層よりも外側(バックライト側)に配置された1/4波長板を通過するが、その際にその偏光軸が変化し、1/4波長板よりも外側(バックライト側)に設置された偏光板に吸収されてしまう。そのため、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、反射光がリサイクルできず、バックライトからの光を十分効率的に使用することができないという問題がある。また、バックライトからの光のうち開口部を通過した光についてみても、その光は、駆動用液晶層を通過すると直線偏光となってしまい、第1の基板の外側(表示画面側)に配置された1/4波長板にて円偏光となって、その円偏光の光量の半分は、第1の基板の外側(表示画面側)に設けられた偏光板で吸収され、結局、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光を十分に効果的に用いることができないという問題があった。
こうした問題に対して、半透過半反射型液晶表示装置において、駆動用液晶層の厚み(セルギャップ)を透過部と反射部についてそれぞれに適した厚みに調整するとともに、1/4波長の位相制御機能を反射部にのみ付与するよう、上述するインセルの位相差層が反射部を選択的に覆うようパターニングされた構造を有する半透過半反射型液晶表示装置が提案されている。
例えば、半透過半反射型液晶表示装置として、電圧無印加時において、駆動用液晶層のうち透過部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/2波長で、駆動用液晶層のうち反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/4波長となるように、透過部と反射部のセルギャップを調整し、更に、反射部にのみ1/4波長の位相制御機能を有する位相差層を設けることにより、明度およびコントラストに優れる半透過半反射型液晶表示装置が提案されている(非特許文献1)。そして非特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置における上記位相差板の構成は、フォトマスクを介した光照射により、一部の樹脂を硬化させて位相差層のパターニングを行い、その後、未硬化部分の樹脂を光照射により硬化させることで得られることが開示されている。
また、半透過半反射型液晶表示装置として、反射部の形状に応じてパターニングされた反射層を形成するとともに、その反射部の領域にのみ1/4波長の位相制御機能を有する位相差層がパターン形成されたものが提案されている(特許文献2)。この液晶表示装置によれば、反射層で反射されたバックライトからの光を偏光板に吸収させないようにすることができ、バックライトからの光のリサイクルが可能になる。なお、特許文献2の半透過半反射型液晶表示装置についても、電圧無印加時における、駆動用液晶層のうち透過部、反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように、透過部と反射部でのセルギャップが調整されることで、良好な明度とコントラストが実現される。
非特許文献1や特許文献2の半透過半反射型液晶表示装置によれば、従来の半透過半反射型液晶表示装置と異なり、バックライト側と表示側との一対の位相差板を省略できるので、高輝度化に加え、装置の薄型化を実現することができる。しかも、装置内に設けられる上記位相差層が、対面する一対の基板のうちの一方の基板と駆動用液晶層との間に設けられる所謂インセルタイプの位相差層であることにより、該位相差層は、1/4波長の位相制御機能を発揮するのみならず、駆動用液晶層における透過部のセルギャップと反射部のセルギャップを調節する機能を有する層としても利用可能である。
ところで、半透過反射型液晶表示装置は、画素を反射部と透過部に分割するため、画面の輝度が低下する問題があり、画素の開口率を上げる要求が高まっている。開口率を上げるための手段としては、開口部を区画するブラックマトリクスの線幅を細くし、反射用開口部および/または透過用開口部の面積を拡大せしめることが挙げられる。
ここで、上述のように、パターニングされたインセルの位相差層を備えるカラーフィルタにおいて、ブラックマトリクスの輪郭周辺において光漏れが観察される場合があり問題であった。このような光漏れは、かかるカラーフィルタを用いて作製される液晶表示装置において、画質の劣化の要因となるため、排除する必要があった。
上記ブラックマトリクスの輪郭周辺における光漏れについて本発明者が鋭意研究したところ、開口部のうち、特に位相差層に覆われる開口部とブラックマトリクスとの境界領域において光漏れが生じていることがわかった。すなわち、カラーフィルタを、光透過性基板に対し垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、任意の開口部を覆うようパターニング形成される位相差層は、その下底部の一部または全部が、遮光領域であるブラックマトリクスにわずかに重複するよう形成されているが、このようにブラックマトリクスの輪郭周辺であって、位相差層に覆われる開口部において光漏れが生じる傾向にあることがわかた。
より詳細に検討するために、パターニングされた位相差層について、該位相差層のパターンの伸長方向に対し垂直な方向において位相差層を切断し、その断面形状を観察してみると、光透過性基板を下にして、上記断面形状が上すぼみのテーパー形状に形成されている場合があることがわかった。すなわち、上記断面形状は、略平坦な上底部と、テーパー状の側面部と、下底部とから構成されるテーパー形状であることがわかった。そして上述のように断面がテーパー形状であると認められる位相差層を備えるカラーフィルタにおいて、ブラックマトリクスの輪郭周辺であって位相差層に覆われる開口部において、上記光漏れの問題が発生し得ることがわかった。尚、本明細書においてカラーフィルタあるいはカラーフィルタの上下方向に言及する場合には、特に断りがない場合には、光透過性基板を下面として理解される上下方向を意味する。
ここで位相差層の位相差は、位相差層の膜厚によって規定されるものである。したがってパターニングされた位相差層の断面が略直方体であれば、該断面において上下方向の距離が均一であるため、これを透過する光は均一な位相差制御を受けると理解される。しかしながら、位相差層の側面がテーパー状に形成される場合、該テーパー状の側面部が遮光領域からはみ出て開口部(画素)内にかかると、テーパー部分においては上下方向の距離が一定ではないため、当該開口部を透過する光の位相差制御にも差異が生じる結果となり、これが上記光漏れの原因となることがわかった。
特に、小型の半透過半反射型の表示装置において開口率を上げる等のために、開口部を区画するブラックマトリクスの線幅を細く設計すると、パターニングされた位相差層のテーパー部が開口部にかかり易く、その結果、ブラックマトリクスと、位相差層に覆われる開口部との境界において上記光漏れの問題が顕著になることを本発明者は突き止めた。
本発明は上記光漏れの問題を鑑みなされたものであって、パターニングされた位相差層により位相差制御を可能とするカラーフィルタにおいて、ブラックマトリクス輪郭周辺において光漏れがないカラーフィルタ、およびこれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は、開口部を区画するブラックマトリクスと、パターン化された位相差層を備えるカラーフィルタにおいて、光透過性基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した際に、位相差層とブラックマトリクスとが重なる領域において、該位相差層のテーパー状側面部を実質的に遮光領域であるブラックマトリクスに包含させることにより上記ブラックマトリクス輪郭周辺の光漏れの問題を解決し得ることを見出し本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)光透過性基板上に、少なくとも開口部を区画するブラックマトリクスと、1色または2色以上の透明着色部から構成される着色層と、上記着色層上に直接または間接に、重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布し、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させた状態で固定化させてなる位相差層とを備えるカラーフィルタであって、
上記位相差層が、任意のパターンでパターニングされており、且つ、上記位相差層を、該位相差層のパターンの伸長方向に対して垂直な方向に切断した際の位相差層の断面形状が、断面形状の略中央領域の高さを100%としたときに該略中央領域の高さに対して90%以上110%以下の高さである上底部と、上記光透過性基板を下側として、上側に凸となる方向に傾斜するテーパー状側面部と、下底部とから構成される形状を示し、上記光透過性基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した際に、上記位相差層の下底部の輪郭線の少なくとも一部が、ブラックマトリクス領域に重なっており、上記ブラックマトリクス領域に重なる該輪郭線に連続するテーパー状側面部が、実質的にブラックマトリクス領域に包含されていることを特徴とするカラーフィルタ、 (2)上記位相差層を基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、
位相差層の上底部の輪郭線が直線状に形成されている場合には、該輪郭線に対し垂直な線を垂線Xとし、上記上底部の輪郭線と上記垂線Xとが交わる点を点Aとし、上記位相差層の下底部の輪郭線と上記垂線Xとが重なる点を点Bとしたときの点Aと点Bとの距離が10μm以内であるか、あるいは、位相差層の上底部の輪郭線が曲線状である場合には、曲線状の輪郭線の任意の点Zにおける接線に対し垂直且つ上記点Zを通る線を垂線Yとし、位相差層の下底部の輪郭線と上記垂線Yとが重なる点を点Cとしたときの点Zと点Cとの距離が10μm以内であることを特徴とする上記(1)に記載のカラーフィルタ、
(3)光透過性基板面に対して垂直方向上面側から観察した際に、上記位相差層の下底部の輪郭線の90%以上が上記ブラックマトリクス領域に重なっていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ、
(4)上記位相差層の位相差がλ/2であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(5)上記位相差層の位相差がλ/4であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ、
(6)上記ブラックマトリクスが、透過部である開口領域と反射部である開口領域とをそれぞれ区画し、上記位相差層が上記反射表示領域を覆うようパターニングされていることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(7)上記位相差層が設けられる基材面に配向膜形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、上記塗膜の表面をラビング処理あるいは光配向処理することにより、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させるための配向膜が形成されていることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(8)上記位相差層の上面又は下面に等方相の段差調整層を備えることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(9)2枚の基板間に駆動用液晶材料が封入されることにより形成される液晶表示装置であって、一方の基板として、上記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載のカラーフィルタを備え、対向する他方の基板との間に所望のセルギャップが確保されており、上記セルギャップにより形成される2つの基板間のスペースに駆動用液晶材料が封入されており、且つ、対向する2枚の基板それぞれの外側面に偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置、
(10)上記液晶表示装置が半透過半反射型の表示方式であることを特徴とする上記(9)に記載の液晶表示装置、
を要旨とするものである。
(1)光透過性基板上に、少なくとも開口部を区画するブラックマトリクスと、1色または2色以上の透明着色部から構成される着色層と、上記着色層上に直接または間接に、重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布し、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させた状態で固定化させてなる位相差層とを備えるカラーフィルタであって、
上記位相差層が、任意のパターンでパターニングされており、且つ、上記位相差層を、該位相差層のパターンの伸長方向に対して垂直な方向に切断した際の位相差層の断面形状が、断面形状の略中央領域の高さを100%としたときに該略中央領域の高さに対して90%以上110%以下の高さである上底部と、上記光透過性基板を下側として、上側に凸となる方向に傾斜するテーパー状側面部と、下底部とから構成される形状を示し、上記光透過性基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した際に、上記位相差層の下底部の輪郭線の少なくとも一部が、ブラックマトリクス領域に重なっており、上記ブラックマトリクス領域に重なる該輪郭線に連続するテーパー状側面部が、実質的にブラックマトリクス領域に包含されていることを特徴とするカラーフィルタ、 (2)上記位相差層を基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、
位相差層の上底部の輪郭線が直線状に形成されている場合には、該輪郭線に対し垂直な線を垂線Xとし、上記上底部の輪郭線と上記垂線Xとが交わる点を点Aとし、上記位相差層の下底部の輪郭線と上記垂線Xとが重なる点を点Bとしたときの点Aと点Bとの距離が10μm以内であるか、あるいは、位相差層の上底部の輪郭線が曲線状である場合には、曲線状の輪郭線の任意の点Zにおける接線に対し垂直且つ上記点Zを通る線を垂線Yとし、位相差層の下底部の輪郭線と上記垂線Yとが重なる点を点Cとしたときの点Zと点Cとの距離が10μm以内であることを特徴とする上記(1)に記載のカラーフィルタ、
(3)光透過性基板面に対して垂直方向上面側から観察した際に、上記位相差層の下底部の輪郭線の90%以上が上記ブラックマトリクス領域に重なっていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ、
(4)上記位相差層の位相差がλ/2であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(5)上記位相差層の位相差がλ/4であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ、
(6)上記ブラックマトリクスが、透過部である開口領域と反射部である開口領域とをそれぞれ区画し、上記位相差層が上記反射表示領域を覆うようパターニングされていることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(7)上記位相差層が設けられる基材面に配向膜形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、上記塗膜の表面をラビング処理あるいは光配向処理することにより、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させるための配向膜が形成されていることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(8)上記位相差層の上面又は下面に等方相の段差調整層を備えることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ、
(9)2枚の基板間に駆動用液晶材料が封入されることにより形成される液晶表示装置であって、一方の基板として、上記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載のカラーフィルタを備え、対向する他方の基板との間に所望のセルギャップが確保されており、上記セルギャップにより形成される2つの基板間のスペースに駆動用液晶材料が封入されており、且つ、対向する2枚の基板それぞれの外側面に偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置、
(10)上記液晶表示装置が半透過半反射型の表示方式であることを特徴とする上記(9)に記載の液晶表示装置、
を要旨とするものである。
尚、本発明において、位相差層の断面形状における「下底部」とは、位相差層が形成される基材面と、該位相差層とが接する部分をいい、「上底部」とは、位相差層の略中央領域の高さを100%としたときに、これに対して90%以上110%以下の高さが示される部分を意味し、「テーパー状側面部」とは、上記位相差層の略中央領域の高さを100%としたときに、これに対して90%未満の高さが示される側面部分を意味する。
本発明のカラーフィルタは、光透過性基板に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、ブラックマトリクスと位相差層とが隣接する部分において、位相差層の下底部の輪郭線が、遮光領域である該ブラックマトリクス領域に重なっており、且つ上記遮光領域に重なる上記下底部の輪郭線に連続するテーパー状側面部は、実質的にブラックマトリクス領域に包含されるよう構成されている。この結果、ブラックマトリクス輪郭周辺において、位相差層のテーパー状側面部が開口部にかかることに起因する光漏れが生じる恐れがない。
本発明のカラーフィルタは、半透過半反射型の液晶表示装置用のカラーフィルタとして利用することができ、かかる場合には、特に反射部用開口部を覆うよう位相差層を設けることによって、従来の半透過半反射型液晶表示装置において使用されていた一対の1/4波長板を省略することによって薄型化が図られるとともに、反射部と透過部のセルギャップを異ならしめることが可能である。その上、反射部を覆う位相差層と、これに隣接するブラックマトリクスとにおいて、該位相差層のテーパー状側面部がブラックマトリクス領域に実質的に包含されているため、上記反射部領域内であって且つブラックマトリクス周辺領域においては光漏れが生じる恐れがない。
特に、光透過性基板面に対して垂直方向上面側から観察した際に、位相差層の下底部の輪郭の90%以上が上記遮光領域に重なっている本発明では、位相差層に覆われる開口部において、該位相差層のテーパー状側面部が開口部にかかることによる光漏れが該開口部内から実質的に排除されるため好ましい。たとえば、半透過半反射型液晶表示用の本発明のカラーフィルタにおいて、反射部である開口部と透過部である開口部とがブラックマトリクスで区画されており、上記反射部を覆うようパターニングされた位相差層を備える態様においては、該位相差層の下底部の輪郭線が実質的に全てブラックマトリクスと重なっており、その結果、該位相差層のテーパー状側面部が実質的に全て該マトリックス領域に包含されていることとなり、ブラックマトリクスの輪郭周辺において光漏れがなく、且つ反射部である開口部領域内においても光漏れが生じないため好ましい。
そして本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、ブラックマトリクス輪郭周辺で発生していた光漏れの恐れがなく良好な光学補償が可能であるため、高品質な画質を提供することができる。特に、反射部と透過部とがブラックトリクスで区画されたカラーフィルタを用いた本発明の半透過反射液晶表示装置では、上記カラーフィルタにおいて、反射部を覆うように設置されるパターン化された位相差層のテーパー状側面部が反射部へ入り込むことがないため、光学補償のズレが小さく、高輝度高品質が画像を提供することが出来る。
以下に、図面を用い、本発明の最良の形態について説明する。図1は、半透過半反射型表示装置に用いられることを予定する本発明のカラーフィルタ1の部分上面図である。カラーフィルタ1は、光透過性基板上において、長方形の開口部5を区画するよう格子状にパターニングされたブラックマトリクス2(以下、「BM2」ともいう)を形成し、次いで、赤色透明着色部3R、青色透明着色部3B、緑色透明着色部3Gを順にストライプ状にパターニング形成して着色層を形成し、次いで、各透明着色部のパターンに対し垂直の方向であって、開口部5の略半分を覆う位置にストライプ状にパターニングされた位相差層4を設けて作製されている。そして位相差層4を設けたことにより、開口部5は、位相差層4に覆われた反射部6と位相差層4に覆われていない透過部7とに分割されている。尚、図1中、位相差層4を示す実線は、位相差層4の下底部の輪郭線を示すものである。
図2に、図1のX−X断面図を示す。図2に示すとおりカラーフィルタ1は、光透過性基板8の上面に開口部5を区画するようBM2が設けられており、その上面に着色層を構成する緑色透明着色部3Gが設けられており、次いで、位相差層4が反射部6を覆う位置に設けられて構成されている。位相差層4は、断面形状において略中央の高さを100%としたときに高低差±10%以内である略平坦な上底部9と、略中央の高さに対し90%未満の高さであるテーパー状側面部10と、着色層に当接する下底部11とから構成されている。
図3に、カラーフィルタ1の部分拡大図を示す。図3Aは、図1に示すカラーフィルタ1のX−X断面図の部分拡大図であり、図3Bは、図3Aを上面から観察した部分上面図を示す説明図である。本発明のカラーフィルタ1は、図3Aに示すとおり、下底部11の輪郭線のうち、紙面に向かって左側の輪郭線とBM2とが、基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、重なる関係にあり、且つ該輪郭線に連続するテーパー状側面部10がBM2領域(即ち遮光領域)に包含されている。より詳しく述べると、図3Bにおいて拡大された上面図を用いて位相差層4とBM2との関係を説明すると、位相差層4の上底部9の輪郭線12と下底部11の輪郭線13とが観察され、輪郭線12に対する垂線15と輪郭線13との交点を点Bとしたときに点Aから点Bまでが、BM2の輪郭線を示す破線14間内に存在している。この結果、BM2輪郭周辺において、反射部中央領域と同等の位相差制御機能が発揮されるため、光漏れが発生しないのである。尚、本発明において、上記点Aから点Bまでの距離は、テーパー状側面部10の幅寸法と理解される。
本発明において、テーパー状側面部10は、完全にBM2領域に包含されていることが最も望ましいが、本発明者の研究により、テーパー状側面部10の幅寸法において、90%以上、より望ましくは93%以上が、BM2領域に包含されるよう位相差層4が形成されていれば、BM2の輪郭周辺において肉眼で観察される程度の光漏れは発生しないことが確認されている。
また上述のとおり、テーパー状側面部10の幅寸法において、90%以上、より好ましくは93%以上、特に望ましくは100%以上がBM2領域に包含される位相差層4をより容易に形成するためには、上述する点Aから点Bまでの距離が10μm以内であることが望ましい。
特に、本発明においてテーパー状側面部の幅寸法は、半透過半反射型液晶表示用のカラーフィルタなどにおいて、ブラックマトリクスの線幅をなるべく細くし、開口率を高くするよう設計される場合に有効である。即ち、ブラックマトリクスの線幅が細いと、位相差層とブラックマトリクスとの重なりを充分大きく設計することが困難であるため、テーパー状側面部をブラックマトリクスに実質的に包含されるようカラーフィルタを形成することは容易ではない。しかしながら、位相差層の形状において、特にテーパー状側面部の幅寸法を10μm以内に設計する場合には、例えば、ブラックマトリクスの線幅を20μm以内、あるいはさらに細く10μm程度に設計した場合であっても、テーパー状側面部をブラックマトリクスに包含させることが可能であり好ましい。
次に、異なる態様の本発明についてさらに図面を用いて説明する。図4に本発明の別の態様であるカラーフィルタ21の上面図を示す。カラーフィルタ21は、反射部6と透過部7との境界を区画するよう格子状にパターニングされたブラックマトリクス22(以下、「BM22」ともいう)を形成したこと以外は、図1に示すカラーフィルタ1と同様に形成されたものである。
図4に示すカラーフィルタ21のX−X断面図を、図5に示す。図5に示される断面図から理解されるように、カラーフィルタ21の位相差層4は、隣り合うBM22間を跨いで、開口部である反射部6を覆って設けられている。そして、下底部11の輪郭線がBM22に重なっており、且つ該輪郭線に連続するテーパー状側面部10は、両端のBM22領域に包含されていることが理解される。かかる態様により、BM22の輪郭周辺における光漏れが良好に防止される。
カラーフィルタ21についてより詳しく説明するために、図6を示す。図6は、カラーフィルタ21のX−X断面の部分拡大図である。図6Aは、図4に示すカラーフィルタ21のX−X断面図の部分拡大図であり、図6Bは、図6Aを上面から観察した部分上面図である。本発明のカラーフィルタ21は、図6Aに示すとおり、下底部11の輪郭線のうち、紙面に向かって左右端部に確認される輪郭線と、BM22がそれぞれ重なる関係にあり、且つ該輪郭線に連続するテーパー状側面部10がBM22領域(即ち遮光領域)に包含されている。より詳しく述べると、図6Bにおいて拡大された上面図を用いて位相差層4とBM22との関係を光透過性基板に対し垂直方向から平面視上に観察したときに、位相差層4の上底部9の輪郭線12と下底部11の輪郭線13とが観察され、輪郭線12に対する垂線15と輪郭線12との交点を点Aとし、垂線15と輪郭線13との交点を点Bとしたときに点Aから点Bまでが、BM22の輪郭を示す破線14間内に存在しており、テーパー状側面部10がBM22領域に包含されていることが理解される。この結果、BM22輪郭周辺において、反射部中央領域と同等の位相差制御機能が発揮されるため、光漏れが発生しないのである。またカラーフィルタ21では、基板に対し垂直方向上面側から観察した場合に、位相差層4の下底部11の輪郭線13は実質的に全てBM22と重なっており、且つ、該輪郭線13に連続するテーパー状側面部10が実質的に全てBM22領域に包含されているため、開口部5全体を観察した場合にも、テーパー状側面部10に起因する光漏れが発生しない。
以上に示すように、基板に対し垂直方向上面側から観察したときに、本願発明のカラーフィルタにおいて位相差層の下底部の輪郭線とブラックマトリクスとが重なって形成されている部分については、該輪郭線に連続するテーパー状側面部がブラックマトリクス領域に包含されていることが重要である。
本発明において、光透過性基板面に対し垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、必ずしも、位相差層の下底部の輪郭線の全てがブラックマトリクスと重なる必要はなく、例えば、図1に示すとおり、ストライプ状にパターニングされた位相差層の下底部の片側の輪郭線のみがブラックマトリクスに重なっている態様であってもよい。尚、図1に示すカラーフィルタ1のように、半透過半反射型液晶表示用に使用が予定されるカラーフィルタであって、透過部と反射部とがブラックマトリクスで区画されていないタイプは、開口率をより高くすることができるという点で望ましい。ただし、反射部を覆う位相差層のテーパー状側面部が反射部と透過部の境界に存在することによって、該境界部分で光漏れが発生する恐れがある。したがって、かかるタイプのカラーフィルタを半透過半反射型液晶表示装置に使用するには、基板に面に対し垂直方向上面側から観察した場合に、表示装置の設計上、実質的に遮光部となる領域(例えば、対向基板においてスイッチ素子である薄膜トランジスタが設けられる領域など)及び、透過部と反射部との境界部分が重なるよう設計する等の手段によって対応することができる。
また本発明において位相差層の下底部の輪郭線が90%以上、望ましくは実質的に100%、ブラックマトリクスと重なっており、該輪郭線に連続するテーパー状側面部がブラックマトリクス領域に包含されている場合には、ブラックマトリクスの輪郭周辺だけではなく、開口部全体においても、何ら特別の考慮を払わずとも該テーパー状側面部に起因する光漏れが防止されるため好ましい。
(カラーフィルタの評価)
本発明のカラーフィルタがブラックマトリクスの輪郭周辺において光漏れするか否かの評価は、カラーフィルタを偏光板に挟み、基板に対し光を照射し、この状態を光学顕微鏡で観察し、ブラックマトリクスの輪郭周辺を観察することにより、光学顕微鏡を介して肉眼にて光漏れの有無を確認することにより実施することができる。
本発明のカラーフィルタがブラックマトリクスの輪郭周辺において光漏れするか否かの評価は、カラーフィルタを偏光板に挟み、基板に対し光を照射し、この状態を光学顕微鏡で観察し、ブラックマトリクスの輪郭周辺を観察することにより、光学顕微鏡を介して肉眼にて光漏れの有無を確認することにより実施することができる。
以下に本発明のカラーフィルタを構成する部材に関し、詳しく説明する。
[位相差層形性用液晶材料]
上記位相差層を形成するための感光性樹脂組成物に含有される、重合性官能基を有する液晶材料(以下、重合性液晶という)としては、棒状の分子構造を有する棒状重合性液晶材料、あるいは円盤状の分子構造を有する、所謂ディスコティック重合性液晶材料を用いることができる。特には架橋性のネマチック液晶であって、棒状重合性液晶材料を好ましく用いることができ、具体的には、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような棒状重合性液晶材料としては、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物や、化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物等を用いることができる。特に本発明における重合性液晶は、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリル基を有する架橋性ネマチック液晶の少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記位相差層を形成するための感光性樹脂組成物に含有される、重合性官能基を有する液晶材料(以下、重合性液晶という)としては、棒状の分子構造を有する棒状重合性液晶材料、あるいは円盤状の分子構造を有する、所謂ディスコティック重合性液晶材料を用いることができる。特には架橋性のネマチック液晶であって、棒状重合性液晶材料を好ましく用いることができ、具体的には、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような棒状重合性液晶材料としては、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物や、化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物等を用いることができる。特に本発明における重合性液晶は、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリル基を有する架橋性ネマチック液晶の少なくとも1種を含有することが好ましい。
化1に示す一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲をより広くするために、R1またはR2が水素であることが好ましい。また一般式(1)におけるX、一般式(2)におけるYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両末端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物や、d=e=0である一般式(2)の化合物は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物、一般式(2)の化合物は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなるため、位相差層を形成するための感光性樹脂組成物に用いるのは好ましくない。
上記した化1〜化4では重合性液晶のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等も、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。一般に位相制御機能層のリタデーション量及び配向特性は、位相差層を構成する重合性液晶の複屈折Δnと、位相差層の膜厚とにより決定される。例えば、架橋性液晶材料をホメオトロピック配向させてなる位相差層、所謂正のCプレートを形成する場合、重合性液晶材料のΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。
上記した化1〜化4では重合性液晶のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等も、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。一般に位相制御機能層のリタデーション量及び配向特性は、位相差層を構成する重合性液晶の複屈折Δnと、位相差層の膜厚とにより決定される。例えば、架橋性液晶材料をホメオトロピック配向させてなる位相差層、所謂正のCプレートを形成する場合、重合性液晶材料のΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。
本発明における位相差層を形成するための感光性樹脂組成物は、上記重合性液晶を対配合物換算値で70重量%(組成物中の溶剤以外の配合物中の重量)以上、好ましくは75重量%(対配合物換算値)以上含有することが好ましい。重合性液晶の配合量を70重量%(対配合物換算値)以上とすることにより液晶性が向上し、位相差層における重合性液晶の配向不良の発生を無視し得る程度に低減することができる。重合性液晶の添加が70重量%(対配合物換算値)以上では、液晶分子の配向性の観点から特に問題になることはないので、感光性樹脂組成物における他の添加剤の配合量とのバランスで、添加量を適宜決定することができる。尚、本明細書において「対配合物換算値」とは、感光性樹脂組成物において、溶剤中に分散または溶解される溶質成分の全重量に対する配合重量比率を意味する。
[重合開始剤]
上記感光性樹脂組成物には、重合開始剤を添加することができる。重合開始剤としては、通常、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(株式会社ADEKA製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる重合開始剤を組み合わせるのが好ましい。
上記感光性樹脂組成物には、重合開始剤を添加することができる。重合開始剤としては、通常、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(株式会社ADEKA製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる重合開始剤を組み合わせるのが好ましい。
[溶剤]
上記位相差層形成用の感光性樹脂組成物に用いる溶剤としては、上記重合性液晶、重合開始剤、更には必要に応じて添加するカイラル剤、界面活性剤等を溶解または分散することが可能な溶剤であり、かつ感光性樹脂組成物における重合性液晶の配向性能を阻害したり、感光性樹脂組成物を基板に塗布した際に基板を浸食する虞のない溶剤であれば特に限定されるものではない。
上記位相差層形成用の感光性樹脂組成物に用いる溶剤としては、上記重合性液晶、重合開始剤、更には必要に応じて添加するカイラル剤、界面活性剤等を溶解または分散することが可能な溶剤であり、かつ感光性樹脂組成物における重合性液晶の配向性能を阻害したり、感光性樹脂組成物を基板に塗布した際に基板を浸食する虞のない溶剤であれば特に限定されるものではない。
本発明において用いる具体的な溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。
単一種の溶剤を使用しただけでは、重合性液晶等の溶解性が不充分であったり、上述したように配向性能を有する基板が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶剤を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、液晶性組成物の溶解性や所望する光学機能層の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
[カイラル剤]
本発明の位相差層を形成するために用いられる感光性樹脂組成物には、必要に応じてカイラル剤を添加することができる。上記感光性樹脂組成物に添加使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招く虞がある。特に非重合性のカイラル剤の場合には、重合性液晶材料の重合による硬化性能を低下させる場合があり、加えて位相差層の電気的信頼性を低下させる事態を招く虞がある。更に光学活性な部位を有するカイラル剤を多量に使用することはコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、少量でも重合性液晶材料の配向に螺旋ピッチを誘発させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましい。特に分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。なお、カイラル剤としては、より具体的には、例えばMerck社製S−811等の市販のものを用いることができる。
本発明の位相差層を形成するために用いられる感光性樹脂組成物には、必要に応じてカイラル剤を添加することができる。上記感光性樹脂組成物に添加使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招く虞がある。特に非重合性のカイラル剤の場合には、重合性液晶材料の重合による硬化性能を低下させる場合があり、加えて位相差層の電気的信頼性を低下させる事態を招く虞がある。更に光学活性な部位を有するカイラル剤を多量に使用することはコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、少量でも重合性液晶材料の配向に螺旋ピッチを誘発させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましい。特に分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。なお、カイラル剤としては、より具体的には、例えばMerck社製S−811等の市販のものを用いることができる。
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力、あるいは最終的に得ようとする位相差層に含まれる重合性液晶材料のコレステリック規則性の程度などを考慮して適宜決めることができる。感光性樹脂組成物におけるカイラル剤の配合量は、重合性液晶の種類等により大きく異なるが、一般的に、対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合される。特に好ましいカイラル剤の配合量は、対配合物換算値で1〜15重量%である。カイラル剤の配合量が0.01重量%未満の場合、感光性樹脂組成物中に含まれる重合性液晶に対して充分にコレステリック規則性を付与できない場合がある。またカイラル剤の配合量が30重量%を超える場合は、感光性樹脂組成物における重合性液晶の配向性能が阻害される結果、重合性液晶同士を架橋重合させて感光性樹脂組成物を硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題を生じる虞がある。
[界面活性剤]
位相差層を形成する場合には、感光性樹脂組成物の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤の添加量としては、一般的に感光性樹脂組成物中の割合が0.01〜1重量%(対配合物換算値)、好ましくは0.05〜0.5重量%(対配合物換算値)の範囲で感光性樹脂組成物に添加することができる。
位相差層を形成する場合には、感光性樹脂組成物の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤の添加量としては、一般的に感光性樹脂組成物中の割合が0.01〜1重量%(対配合物換算値)、好ましくは0.05〜0.5重量%(対配合物換算値)の範囲で感光性樹脂組成物に添加することができる。
本発明のカラーフィルタは、少なくとも光透過性基板とブラックマトリクスを備える支持材と、その支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる位相差層とを有するカラーフィルタであって、位相差層が、上記の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであり、配向膜を有さないカラーフィルタであっても、配向膜を有するカラーフィルタであっても良い。
[光透過性基板]
本発明のカラーフィルタに用いられる光透過性の基板としては、一つの基板形成材により単層で構成されているもの、あるいは複数種類の基板形成材にて多層に構成されているもののいずれを用いてもよい。また上記光透過性基板には、部分的に遮光領域等が設けられてもよい。光透過性基板の光線透過率は、適宜選定可能である。
本発明のカラーフィルタに用いられる光透過性の基板としては、一つの基板形成材により単層で構成されているもの、あるいは複数種類の基板形成材にて多層に構成されているもののいずれを用いてもよい。また上記光透過性基板には、部分的に遮光領域等が設けられてもよい。光透過性基板の光線透過率は、適宜選定可能である。
上記光透過性基板の具体例としては、ガラス、シリコン、もしくは石英等の無機基材で構成することが好ましいが、次に列挙するような有機基材から構成することもできる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特にカラーフィルタを液晶表示用パネルの一方側の基板として用いる場合には、光透過性基板の材質が無アルカリガラスであることが好ましい。上記光透過性基板の厚みには、特に限定は無いが、用途に応じ、例えば、50μm〜数mm程度のものが使用されることが一般的である。
[ブラックマトリクス]
BMは、黒色着色剤を含有する樹脂組成物を用いて、対象面である光透過性基板の表面に直接又は間接に所定形状に印刷する転写方式により形成することができる。あるいは、黒色着色剤を含有する塗料タイプの感光性組成物を用いて、塗布、パターン状露光および現像を行うことにより形成することができる。上記いずれかの方法により形成されるBMの形成パターンは、一般的には矩形格子状あるいはストライプ状が採用されるが、特に限定されるものではなく、設計変更により適宜決定することができる。尚、BMの厚みは、0.5μm〜2μm程度であることが一般的である。
BMは、黒色着色剤を含有する樹脂組成物を用いて、対象面である光透過性基板の表面に直接又は間接に所定形状に印刷する転写方式により形成することができる。あるいは、黒色着色剤を含有する塗料タイプの感光性組成物を用いて、塗布、パターン状露光および現像を行うことにより形成することができる。上記いずれかの方法により形成されるBMの形成パターンは、一般的には矩形格子状あるいはストライプ状が採用されるが、特に限定されるものではなく、設計変更により適宜決定することができる。尚、BMの厚みは、0.5μm〜2μm程度であることが一般的である。
[着色層]
本発明において形成される着色層は、1色または2色以上の有色透明な透明着色部から構成される。例えば、赤色透明着色部、緑色透明着色部、青色透明着色部の3色の透明着色部により着色層を構成し、フルカラー可能なカラーフィルタとすることができる。上記透明着色部は、開口部毎にモザイク型、トライアングル型など種々の配置パターンにより形成されるか、あるいは該開口部を覆って色毎に配列する帯状に形成することもできる。上記透明着色部は、それぞれ適用される着色剤が溶解もしくは分散された、好ましくは微細顔料が分散された着色画素用組成物を用いてパターン形成される。より詳しくは、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、各色パターン毎に印刷することによって形成されるか、あるいは所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成される。着色層の厚みは、1μm〜5μm程度の範囲内において略均一の厚みに形成されることが一般的である。
本発明において形成される着色層は、1色または2色以上の有色透明な透明着色部から構成される。例えば、赤色透明着色部、緑色透明着色部、青色透明着色部の3色の透明着色部により着色層を構成し、フルカラー可能なカラーフィルタとすることができる。上記透明着色部は、開口部毎にモザイク型、トライアングル型など種々の配置パターンにより形成されるか、あるいは該開口部を覆って色毎に配列する帯状に形成することもできる。上記透明着色部は、それぞれ適用される着色剤が溶解もしくは分散された、好ましくは微細顔料が分散された着色画素用組成物を用いてパターン形成される。より詳しくは、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、各色パターン毎に印刷することによって形成されるか、あるいは所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成される。着色層の厚みは、1μm〜5μm程度の範囲内において略均一の厚みに形成されることが一般的である。
[等方性層]
また本発明のカラーフィルタには、光学的に等方相である等方性層をさらに設けることができる。上記等方性層は、少なくとも光透過性の硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を用いて形成することができる。上記光透過性の硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系やウレタン系の樹脂や、アクリル系やウレタン系のモノマーを混合した材料を用いることができる。また上記樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤などのほかの添加物を適宜添加させることができる。また上記樹脂を含有する市販の組成物に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMA)、酢酸3−メトキシブチル(MBA)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)などの溶媒を一種あるいは2種以上を用いて溶液状態とし、これを等方相部位4及び液晶相部位5を上面に塗布することができる。
市販の樹脂組成物としては、例えば、ザ・インクテック社製IT−MP408、IT−MP406、IT−MP412SC−1、IT−MP412SC−7などを用いることができる。
また本発明のカラーフィルタには、光学的に等方相である等方性層をさらに設けることができる。上記等方性層は、少なくとも光透過性の硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を用いて形成することができる。上記光透過性の硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系やウレタン系の樹脂や、アクリル系やウレタン系のモノマーを混合した材料を用いることができる。また上記樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤などのほかの添加物を適宜添加させることができる。また上記樹脂を含有する市販の組成物に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMA)、酢酸3−メトキシブチル(MBA)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)などの溶媒を一種あるいは2種以上を用いて溶液状態とし、これを等方相部位4及び液晶相部位5を上面に塗布することができる。
市販の樹脂組成物としては、例えば、ザ・インクテック社製IT−MP408、IT−MP406、IT−MP412SC−1、IT−MP412SC−7などを用いることができる。
上記等方性層の一態様としては、例えば、上記着色層の上面全体に等方性層を設けることにより、着色層の上面を平坦化させることができる平坦化層として機能させることができる。またさらに別の態様としては、半透過半反射型液晶表示装置用に用いられるカラーフィルタにおいて、反射部を覆う位置に適当な高さの等方性層を設けることにより、液晶表示装置において反射部と透過部とにおけるセルギャップに差をもたせる段差調整層として機能させることができる。即ち、上記等方性層は、電圧無印加時における、透過部と反射部とにおいてそれぞれ通過する光に生じる位相差を、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように調整することが可能な等方性の段差調整層として機能させることが可能である。このとき、段差調整層である等方性層の上に、選択的にパターニングされた位相差層が設けられるか、あるいは反射部を覆う位置にまず位相差層を形成し、次いで、該位相差層の上面に直接、段差調整層である等方性層を設けることができる。すなわち、位相差層の上面または下面に段差調整層を設けることによって、セルギャップを調整することができる。
[配向膜]
またさらに、位相差層を形成する支持材面には、適宜、位相差層を構成する重合性液晶材料を所望の方向に配向させるための配向膜を設けることができる。上記配向膜としては、従来公知の配向膜材料であるポリイミド等が用いられ、支持材上に配向膜材料を積層した後、ラビング処理や光配向処理して配向させることにより得られる。あるいは、基板上に酸化ケイ素を斜め蒸着して配向膜としてもよい。本発明で用いられる配向膜材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
またさらに、位相差層を形成する支持材面には、適宜、位相差層を構成する重合性液晶材料を所望の方向に配向させるための配向膜を設けることができる。上記配向膜としては、従来公知の配向膜材料であるポリイミド等が用いられ、支持材上に配向膜材料を積層した後、ラビング処理や光配向処理して配向させることにより得られる。あるいは、基板上に酸化ケイ素を斜め蒸着して配向膜としてもよい。本発明で用いられる配向膜材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
次に、本発明のカラーフィルタを用いて形成される液晶表示装置について、図7を用い半透過半反射型液晶表示装置を例に説明する。
図7は、本発明のカラーフィルタ42を用いた半透過半反射型液晶表示装置41を構成する各層の相対的な位置関係を示すための分解斜視図である。したがって、各層が図7に示すように離れているものではない。
半透過半反射型液晶表示装置41は、表示側基板43と、これに対向する対向基板44とこれら両基板間に設けられる駆動用液晶層54とから構成される駆動方式をVAモードとする液晶表示装置の一例である。
上記表示側基板43には、光透過性基板46上に、反射部47と透過部48とを区画する矩形格子状のブラックマトリクス49と、赤色透明着色部50R、青色透明着色部50R、緑色透明着色部50Gがストライプ状に設けられた着色層50と、反射部47を覆うようにパターニングされた位相差層51とをこの順にそなえたカラーフィルタ42が利用されている。そしてさらにカラーフィルタ42の光透過性基板46の着色層50とは反対側の面に、図面の手前から奥に向かう方向に対して反時計回りに135°の方向に光の吸収軸がある偏光板53aを備えて、表側基板43が形成されている。尚、図示はしないが、VAモードの液晶表示装置の場合には、着色層50と後述する駆動用液晶層54との間にさらに透明電極膜が設けられることが一般的であり、また位相差層51と着色層50との間、あるいは位相差層51と駆動用液晶層54との間には、対向する2つの基板間において一定のセルギャップを確保するための、柱状体が設けられることが一般的である。
一方、対向基板44は、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられるとともに(TFTについては図示せず)、光透過性基板55の表示側基板43側面において、反射部47の位置に併せて設けられた反射板56を有し、反射板56の非設置領域が透過部48に対応している。さらに一般的には、反射板56の駆動用液晶層54側面には、ITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が積層され、そしてその透明電極を覆うように配向膜(図示せず)が形成される。また光透過性基板55の反射板56と反対側の面には、光の吸収軸が図面の手前から奥に向かう方向に対して反時計回りに45°の方向である偏光板53bを備えてなる。また対向基板44の外側には、透過部48を透過する光を与えるためのバックライト(図示せず)が備えられる。
ここで、カラーフィルタ42における位相差層51のごとき、半透過半反射型液晶表示装置における反射部上にパターニングされる位相差層は、光軸が位相差層51と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層51の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートとして形成されることが一般的である。
また本発明において位相差層51は、上述する正のAプレートである以外にも、光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートとして形成することができ、あるいは別の態様として、光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる負のCプレートとして形成することもできる。さらに、本発明における位相差層を正のAプレート、正のCプレート、及び負のCプレートを任意の組合せで積層させることも可能である。位相差層は、所望の光学補償や光学機能、表示装置の種類などによって、正のAプレート、正のCプレート、及び負のCプレートあるいはこれらの2層の組合せの中から適宜選択して決定される。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
以下に示すとおり、光透過性基板上に、ストライプ状にパターニングしたブラックマトリクスを形成することによって遮光部と開口部とを備えるブラックマトリクス基板を作成し、次いで、該ブラックマトリクス基板上面に、赤色透明着色部単色からなる着色層を形成し、最後に、開口部を覆ってブラックマトリクスを跨ぐ位置にストライプ状パターンの位相差層を形成し、カラーフィルタを得て、これを実施例1とした。
以下に示すとおり、光透過性基板上に、ストライプ状にパターニングしたブラックマトリクスを形成することによって遮光部と開口部とを備えるブラックマトリクス基板を作成し、次いで、該ブラックマトリクス基板上面に、赤色透明着色部単色からなる着色層を形成し、最後に、開口部を覆ってブラックマトリクスを跨ぐ位置にストライプ状パターンの位相差層を形成し、カラーフィルタを得て、これを実施例1とした。
図8Aに実施例1であるカラーフィルタ61の上面図を、図8Bに図8AのX−X断面図を示す。図8A中、符号62は位相差層を、符号63はブラックマトリクスを、w11はブラックマトリクス63の線幅を、w12はブラックマトリクス63間に存在する開口部64の線幅をそれぞれ示し、位相差層62を示す実線は、位相差層の下底面の輪郭線を表すものである。また図8Bに示すとおり、実施例1であるカラーフィルタ61は、光透過性基板65の上面にブラックマトリクス63を形成し、次いで、赤色透明着色部からなる着色層66を形成し、その上面に位相差層62を形成することによって作製した。図8Bに示すとおり位相差層62は、略平坦な上底部67と、テーパー状側面部68と、下底部69とから構成されている。
図8B中、w13は、テーパー状側面部68の幅寸法を、w14は、テーパー状側面部68のうちブラックマトリクス63に包含される量を示す。より具体的には、実施例1は、w11は45μm、w12は30μm、w13は8μm、w14は7.5μmとなるよう作製した。尚、位相差層62の略中央領域の高さを1.0μmとして作製し、それに対して、90%以上110%以下の高さ部分を上底部67とし、90%未満の部分をテーパー状層面部68とした。
(ブラックマトリックス基板の作製)
まず、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合し、ブラックマトリックス用フォトレジストを調整した。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
次に、光透過性基板としてガラス基板(NHテクノグラス社製NA35)を用い、上述のとおり調製したブラックマトリックス用フォトレジストを、定法にしたがって予め洗浄した上記ガラス基板上に、スピンコート法で塗布した。膜厚は、1.2μmの厚さとなるよう塗布した。90℃、3分間の条件でプリベーク、所定のパターンを露光(100mJ/cm2)、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベークすることで、ブラックマトリックス をガラス基板上に形成し、ブラックマトリクス基板を得た。
まず、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合し、ブラックマトリックス用フォトレジストを調整した。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
次に、光透過性基板としてガラス基板(NHテクノグラス社製NA35)を用い、上述のとおり調製したブラックマトリックス用フォトレジストを、定法にしたがって予め洗浄した上記ガラス基板上に、スピンコート法で塗布した。膜厚は、1.2μmの厚さとなるよう塗布した。90℃、3分間の条件でプリベーク、所定のパターンを露光(100mJ/cm2)、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベークすることで、ブラックマトリックス をガラス基板上に形成し、ブラックマトリクス基板を得た。
<ブラックマトリックス用フォトレジスト>
・黒顔料(大日精化工業(株)製TMブラック#9550)・・・14.0重量部
・分散剤(ビックケミー(株)製Disperbyk111)・・・1.2重量部
・ポリマー(昭和高分子(株)製VR60)・・・2.8重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)・・・3.5重量部
・添加剤(綜研化学(株)製L−20)・・・0.7重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)・・・1.6重量部
・開始剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)・・・0.3重量部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)・・・0.1重量部
・溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)・・・75.8重量部
・黒顔料(大日精化工業(株)製TMブラック#9550)・・・14.0重量部
・分散剤(ビックケミー(株)製Disperbyk111)・・・1.2重量部
・ポリマー(昭和高分子(株)製VR60)・・・2.8重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)・・・3.5重量部
・添加剤(綜研化学(株)製L−20)・・・0.7重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)・・・1.6重量部
・開始剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)・・・0.3重量部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)・・・0.1重量部
・溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)・・・75.8重量部
次に、上記ブラックマトリクス基板上に、着色層66を積層した。着色層66は下記に示す赤色顔料分散型フォトレジストを用い、赤色透明着色部単色で形成した。上記赤色顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。次に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストを、上記ブラックマトリックス基板上にスピンコート法で塗布、80℃、3分間の条件でプリベーク、所定のパターンを露光(100mJ/cm2)、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベークすることで、膜厚2.6μmの赤色透明着色部からなる着色層66を形成した。
<赤色(R)画素用レジスト>
・赤顔料(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))・・・3.5重量部
・黄顔料(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))・・・0.6重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)・・・3.0重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)・・・4.0重量部
・ポリマー1・・・5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)・・・1.4重量部
・開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)・・・80.0重量部
・赤顔料(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))・・・3.5重量部
・黄顔料(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))・・・0.6重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)・・・3.0重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)・・・4.0重量部
・ポリマー1・・・5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)・・・1.4重量部
・開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)・・・80.0重量部
(配向膜の作製)
次に、着色層66の上面に正のAプレートである位相差層62を形成するために、予め配向膜を形成した。上記配向膜は、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)を、スピンコーターを用いて塗布して膜厚約0.1μmの塗布膜を形成し、次いで230℃のオーブン内で30分焼成し、その後、ラビング装置を用いて塗布膜面にラビング処理を施して配向処理することによって形成した。尚、図中、配向膜は図示省略した。
次に、着色層66の上面に正のAプレートである位相差層62を形成するために、予め配向膜を形成した。上記配向膜は、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)を、スピンコーターを用いて塗布して膜厚約0.1μmの塗布膜を形成し、次いで230℃のオーブン内で30分焼成し、その後、ラビング装置を用いて塗布膜面にラビング処理を施して配向処理することによって形成した。尚、図中、配向膜は図示省略した。
(位相差層の作製)
そして、上記配向膜上に、下記感光性樹脂組成物を、波長589nm位相差が露光直後に165nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布した後、減圧乾燥し、100℃で3分間プリベークを行い、残留溶剤を除去すると共に、塗膜を等方相に転移させた。次に室温で3分間静置した後、塗膜中の液晶材料の配向が上記配向膜に従い所望の方向を向いた状態で、所定のマスクを用い、ブラックマトリックス基板上の開口部64を主として露光した。次に未露光部を液晶組成物の良溶媒を用いて現像し、更に、純水/イソプロピルアルコール=30/70の混合溶液をリンス液に用い、現像残渣を洗い流した後、200℃のオーブンで30分間焼成し、目的とするカラーフィルタ61を得て実施例1とした。
そして、上記配向膜上に、下記感光性樹脂組成物を、波長589nm位相差が露光直後に165nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布した後、減圧乾燥し、100℃で3分間プリベークを行い、残留溶剤を除去すると共に、塗膜を等方相に転移させた。次に室温で3分間静置した後、塗膜中の液晶材料の配向が上記配向膜に従い所望の方向を向いた状態で、所定のマスクを用い、ブラックマトリックス基板上の開口部64を主として露光した。次に未露光部を液晶組成物の良溶媒を用いて現像し、更に、純水/イソプロピルアルコール=30/70の混合溶液をリンス液に用い、現像残渣を洗い流した後、200℃のオーブンで30分間焼成し、目的とするカラーフィルタ61を得て実施例1とした。
<感光性樹脂組成物>
・液晶材料(メルク社製RMM34)・・・24.0重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)・・・1.0重量部
・溶剤(トルエン)・・・75.0重量部
・液晶材料(メルク社製RMM34)・・・24.0重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)・・・1.0重量部
・溶剤(トルエン)・・・75.0重量部
(光漏れ評価)
実施例1において、ブラックマトリクス63の輪郭周辺に光漏れが生じるか否かについて、以下のとおり試験し評価した。まず、光透過性基板65のブラックマトリクス63とは反対側面に、正のAプレートとして機能する、位相差フィルムを光軸が合った状態で貼りつけて、試験体1を得た。そして試験体1を、パラレルニコルに設置した2枚の偏光板の間に、光軸が偏光板の吸収軸に対して45°となるように挿入し、擬似的な反射部黒表示状態として、光学顕微鏡の透過光にて光漏れの有無を肉眼観察した。その結果、ブラックマトリクス63の輪郭周辺には光漏れが確認されなかった。
実施例1において、ブラックマトリクス63の輪郭周辺に光漏れが生じるか否かについて、以下のとおり試験し評価した。まず、光透過性基板65のブラックマトリクス63とは反対側面に、正のAプレートとして機能する、位相差フィルムを光軸が合った状態で貼りつけて、試験体1を得た。そして試験体1を、パラレルニコルに設置した2枚の偏光板の間に、光軸が偏光板の吸収軸に対して45°となるように挿入し、擬似的な反射部黒表示状態として、光学顕微鏡の透過光にて光漏れの有無を肉眼観察した。その結果、ブラックマトリクス63の輪郭周辺には光漏れが確認されなかった。
[比較例1]
w11を35μm、w12を40μm、w14を2.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを作製し、比較例1とした。
w11を35μm、w12を40μm、w14を2.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを作製し、比較例1とした。
そして実施例1と同様に、正のAプレートを比較例1の光透過性基板65に貼り付け、試験体2を作製し、これを用いて、実施例1と同様に光漏れ評価を行った。その結果、ブラックマトリクス63の輪郭に沿って明らかに光漏れが発生していることが確認された。
[比較例2]
w11を40μm、w12を35μm、w14を5μmとしたこと以外には、実施例1と同様にカラーフィルタを作製し、比較例2とした。
w11を40μm、w12を35μm、w14を5μmとしたこと以外には、実施例1と同様にカラーフィルタを作製し、比較例2とした。
そして実施例1と同様に、正のAプレートを比較例2の光透過性基板65に貼り付け、試験体3を作製し、これを用いて、実施例1と同様に光漏れ評価を行った。その結果、ブラックマトリクス63の輪郭に沿ってうっすらと光漏れが発生していることが確認された。
上記実施例1および比較例1、2によって明らかなとおり、位相差層62はテーパー形状にて形成されおり、位相差層62の下底部69の輪郭線がブラックマトリクス63(すなわち遮光領域)に包含されていても、テーパー状側面部68が実質的にブラックマトリクス63に包含されている場合には、肉眼で観察可能なほどの光漏れは生じず、一方、テーパー状側面部68が有意に開口部領域にはみ出して存在することにより光漏れが生じることが確認された。
尚、本実施例および比較例では光漏れの発生の有無を確認するために、位相差層62の形状および寸法を共通のものとし、ブラックマトリクス63および開口部64の幅寸法を変化させて、テーパー状側面部68がブラックマトリクス63に包含される量を調整した。しかし、上記実施例1および比較例1、2は、カラーフィルタにおいて光漏れを防止するために、ブラックマトリクスおよび開口部の幅寸法を固定のものとし、これに望ましく適合させるよう位相差層の寸法を適宜設計して形成された光漏れのないカラーフィルタを本発明から除外するものではない。
1、21、42、61 カラーフィルタ
2、22、49、63 ブラックマトリクス
3、50、66 着色層
3R 赤色透明着色部
3B 青色透明着色部
3G 緑色透明着色部
4、51、62 位相差層
5、64 開口部
6、47 反射部
7、48 透過部
8、46、55、65 光透過性基板
9、67 上底部
10、68 テーパー状側面部
11、69 下底部
12 位相差層の上底部の輪郭線
13 位相差層の下底部の輪郭線
14 ブラックマトリクスの輪郭線
15 垂線
41 半透過半反射型液晶表示装置
43 表示側基板
44 対向基板
45 駆動用液晶層
53a、53b 偏光板
54 駆動用液晶層
56 反射板
2、22、49、63 ブラックマトリクス
3、50、66 着色層
3R 赤色透明着色部
3B 青色透明着色部
3G 緑色透明着色部
4、51、62 位相差層
5、64 開口部
6、47 反射部
7、48 透過部
8、46、55、65 光透過性基板
9、67 上底部
10、68 テーパー状側面部
11、69 下底部
12 位相差層の上底部の輪郭線
13 位相差層の下底部の輪郭線
14 ブラックマトリクスの輪郭線
15 垂線
41 半透過半反射型液晶表示装置
43 表示側基板
44 対向基板
45 駆動用液晶層
53a、53b 偏光板
54 駆動用液晶層
56 反射板
Claims (10)
- 光透過性基板上に、少なくとも開口部を区画するブラックマトリクスと、1色または2色以上の透明着色部から構成される着色層と、上記着色層上に直接または間接に、重合性液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布し、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させた状態で固定化させてなる位相差層とを備えるカラーフィルタであって、
上記位相差層が、任意のパターンでパターニングされており、且つ、
上記位相差層を、該位相差層のパターンの伸長方向に対して垂直な方向に切断した際の位相差層の断面形状が、断面形状の略中央領域の高さを100%としたときに該略中央領域の高さに対して90%以上110%以下の高さである上底部と、上記光透過性基板を下側として、上側に凸となる方向に傾斜するテーパー状側面部と、下底部とから構成される形状を示し、
上記光透過性基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した際に、上記位相差層の下底部の輪郭線の少なくとも一部が、ブラックマトリクス領域に重なっており、
上記ブラックマトリクス領域に重なる該輪郭線に連続するテーパー状側面部が、実質的にブラックマトリクス領域に包含されていることを特徴とするカラーフィルタ。 - 上記位相差層を基板面に対して垂直方向上面側から平面視上に観察した場合に、
位相差層の上底部の輪郭線が直線状に形成されている場合には、該輪郭線に対し垂直な線を垂線Xとし、上記上底部の輪郭線と上記垂線Xとが交わる点を点Aとし、上記位相差層の下底部の輪郭線と上記垂線Xとが重なる点を点Bとしたときの点Aと点Bとの距離が10μm以内であるか、あるいは、
位相差層の上底部の輪郭線が曲線状である場合には、曲線状の輪郭線の任意の点Zにおける接線に対し垂直且つ上記点Zを通る線を垂線Yとし、位相差層の下底部の輪郭線と上記垂線Yとが重なる点を点Cとしたときの点Zと点Cとの距離が10μm以内であること
を特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。 - 光透過性基板面に対して垂直方向上面側から観察した際に、上記位相差層の下底部の輪郭線の90%以上が上記ブラックマトリクス領域に重なっていることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
- 上記位相差層の位相差がλ/2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
- 上記位相差層の位相差がλ/4であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
- 上記ブラックマトリクスが、透過部である開口領域と反射部である開口領域とをそれぞれ区画し、上記位相差層が上記反射表示領域を覆うようパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
- 上記位相差層が設けられる基材面に配向膜形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、上記塗膜の表面をラビング処理あるいは光配向処理することにより、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させるための配向膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
- 上記位相差層の上面又は下面に等方相の段差調整層を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
- 2枚の基板間に駆動用液晶材料が封入されることにより形成される液晶表示装置であって、一方の基板として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備え、対向する他方の基板との間に所望のセルギャップが確保されており、上記セルギャップにより形成される2つの基板間のスペースに駆動用液晶材料が封入されており、且つ、対向する2枚の基板それぞれの外側面に偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置。
- 上記液晶表示装置が半透過半反射型の表示方式であることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
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---|---|---|---|
JP2008165633A JP2010008547A (ja) | 2008-06-25 | 2008-06-25 | カラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置 |
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JP2008165633A JP2010008547A (ja) | 2008-06-25 | 2008-06-25 | カラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016065894A (ja) * | 2014-09-22 | 2016-04-28 | 大日本印刷株式会社 | 調光装置、設置方法および区画部材 |
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2008
- 2008-06-25 JP JP2008165633A patent/JP2010008547A/ja not_active Withdrawn
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