JP2009244356A - 光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置 - Google Patents

光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009244356A
JP2009244356A JP2008088167A JP2008088167A JP2009244356A JP 2009244356 A JP2009244356 A JP 2009244356A JP 2008088167 A JP2008088167 A JP 2008088167A JP 2008088167 A JP2008088167 A JP 2008088167A JP 2009244356 A JP2009244356 A JP 2009244356A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
layer
optical element
retardation layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008088167A
Other languages
English (en)
Inventor
Kaori Kawasaki
夏織 川崎
Shinji Hayashi
慎二 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2008088167A priority Critical patent/JP2009244356A/ja
Publication of JP2009244356A publication Critical patent/JP2009244356A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、半透過半反射液晶表示装置の様々な装置設計に適応して、1/4波長または1/2波長の位相差を光に付与する位相差層を備えた光学素子、及び半透過半反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 光透過性を有する基材1を備える支持体3に、重合性官能基を有する液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなる構造を備える位相差層9を設けてなる光学素子10であって、位相差層9の複屈折率(Δn)の値が、0.05以上0.20以下の範囲内の値であり、且つ、液晶化合物の固有の複屈折率と異なる値になっている、ことを特徴とする光学素子10により、半透過半反射液晶表示装置の様々な装置設計に適応した光学素子などを提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、直線偏光を円偏光または光の振動面を異にする直線偏光に変換できる光学素子の製造方法、光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の小型化により、携帯電話やPDA等に液晶表示装置が幅広く用いられるようになってきている。小型の液晶表示装置においては、省電力化、高輝度化や高コントラスト化が重要な課題となる。このような課題につき、省電力化の要請に応えるための反射型または半透過型半反射の液晶表示装置が開発され、さらに、そうした液晶表示装置について、その輝度及びコントラストを改善するため、様々な光学素子が開発されている。
半透過半反射型液晶表示装置の一形態としては、アルミニウム等の金属膜に光が透過できる開口部を形成した反射膜を光半透過膜として機能させた液晶表示装置が提案されている。このような半透過半反射型の液晶表示装置の具体的な構成は、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例とすると、次のようになっている。
半透過半反射型液晶表示装置は、対面する一対の基板(第1の基板、第2の基板)の間に、印加電圧に応じて液晶の光軸の向きを可変に液晶を封入してなる駆動用液晶層を形成しており、基板の外側にバックライトを備えてなる。ここに、一対の基板のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板とする。また、第1の基板、第2の基板から駆動用液晶層に向かう方向が内側方向であり、駆動用液晶層から第1の基板、第2の基板に向かう方向が外側方向であるものとする。半透過半反射型液晶表示装置のバックライトは、第2の基板のさらに外側の位置に、第2の基板に向かって光を入射するように備えられる。
第1の基板、第2の基板は、いずれもガラス基板を備えており、第1の基板は、ガラス基板と駆動用液晶層との間に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極が形成され、この透明電極を覆うように配向膜が形成されており、さらにガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が配置されている。
第2の基板は、ガラス基板と駆動用液晶層との間に、金属膜の所定領域に開口部を形成してなる反射膜、および、インジウム錫酸化物(ITO;Indium tin oxide)等の透明導電膜からなる透明電極が積層され、さらに、その透明電極を覆うように配向膜が形成されている。また、第2の基板において、ガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が設けられている。なお、1/4波長板は、ある波長帯域において、直線偏光を略円偏光に変換することができる機能を有する光学素子である。
駆動用液晶層は、封入されている液晶の複屈折に応じた厚み(セルギャップ)を備えて形成されている。セルギャップは、電圧無印加時においてその駆動用液晶層内をその厚み方向に進行する光の位相のずれが1/4波長となるように定められる。
上記のような半透過半反射型液晶表示装置は、外光からの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(反射部)により液晶表示を行うのみならず、バックライトからの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(透過部)によっても液晶表示を行うものであるが、透過部にて液晶表示が行われる場合に、つぎのような問題がある。
この半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光のうち、一部は反射膜を構成する開口部の周囲の金属膜にて反射されて反射光となる。反射光は、反射層よりも外側(バックライト側)に配置された1/4波長板を通過するが、その際にその偏光軸が変化し、1/4波長板よりも外側(バックライト側)に設置された偏光板に吸収されてしまう。そのため、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、反射光がリサイクルできず、バックライトからの光を十分効率的に使用することができないという問題がある。また、バックライトからの光のうち反射層の開口部を通過した光についてみても、その光は、駆動用液晶層を通過すると直線偏光となってしまい、第1の基板の外側(表示画面側)に配置された1/4波長板にて円偏光となって、その円偏光の光量の半分は、第1の基板の外側(表示画面側)に設けられた偏光板で吸収され、結局、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光を十分に効果的に用いることができないという問題があった。
こうした問題に対して、半透過半反射型液晶表示装置において、駆動用液晶層の厚み(セルギャップ)を透過部と反射部についてそれぞれに適した厚みに調整するとともに、1/4波長板を、反射膜の部分にのみ設けた構造の半透過半反射型液晶表示装置が提案されている。
例えば、半透過半反射型液晶表示装置として、電圧無印加時において、駆動用液晶層のうち透過部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/2波長で、駆動用液晶層のうち反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/4波長となるように、透過部と反射部のセルギャップを調整し、更に、反射部にのみ1/4波長の位相差を生じさせる位相差層をパターン形成することにより、明度およびコントラストに優れる半透過半反射型液晶表示装置が提案されている(特許文献1)。
また、この液晶表示装置によれば、反射層で反射されたバックライトからの光を偏光板に吸収させないようにすることができ、バックライトからの光のリサイクルが可能になる。なお、特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置についても、電圧無印加時における、駆動用液晶層のうち透過部、反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように、透過部と反射部でのセルギャップが調整されることで、良好な明度とコントラストが実現される。
特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置によれば、従来の半透過半反射型液晶表示装置と異なり、バックライト側と表示側との一対の位相差層を省略できるので、高輝度化に加え、装置の薄型化を実現することができる。
特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置を作製するにあたっては、反射部のみに位相差層を設けるために、位相差層は、反射部に応じて定められる形状とパターンにてパターニングされた反射層に対応した形状になるように、パターンニング形成される。すなわち、特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置では、反射部に、1/4波長板と同じ機能を発揮させる位相差層がパターニング形成される。
そして、特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置において、位相差層が、対面する基板の一方と駆動用液晶層との間(インセル)に設けられる(インセルタイプの位相差層とされる)ことで、位相差層を、1/4波長板としての機能を有する層のみならず、駆動用液晶層における透過部のセルギャップと反射部のセルギャップを調節する機能を有する層となすことができ、装置自体の一層の薄型化が可能となる。
ところで、インセルタイプの位相差層を設けた液晶表示装置としては、液晶材料を利用してインセルの位相差層を形成することが提案されている。例えば、ガラス転移点を有し、ガラス転移温度以下でその液晶構造を凍結することのできる液晶性高分子や、その分子構造中に不飽和結合などの反応性基を有し、該不飽和結合が液晶層状態で架橋することにより、同じく液晶構造を凍結することができる重合性液晶を用いることにより、インセル位相差層を設けることができる。重合性液晶化合物としては種々の材料が提案されている。
こうしたことから、特に、液晶化合物を用いた位相差層をインセルに形成したインセルタイプの位相差層を備える半透過半反射型液晶表示装置に期待が集まっており、その汎用性をより高めることが望まれている。
半透過半反射型液晶表示装置の汎用性を高めるには、さまざまな装置設計に応えて多様に半透過半反射型液晶表示装置を製造可能とする必要があり、駆動用液晶層のギャップとしても様々な値が求められる。すると、インセルの位相差層として位相差量を維持して光学機能を保ちつつも、さまざまな厚みの位相差層を作成できることが要請される。しかしながら、位相差層を構成する液晶化合物は液晶分子の構造に応じて固有の複屈折の値(複屈折率)を有することから、液晶化合物を所定の方向に配向させた場合には位相差層の複屈折の値(Δn)としてとりうる値の範囲が極めて限定的となる。
そこで、反射部と透過部の位相差層のみならず、光透過性と光学等方性を有する層構造(セルギャップ調整層)をも用いて、透過部のセルギャップと反射部のセルギャップを調節することが検討されている。
特開2004−4494号公報
しかしながら、液晶化合物を所定の方向に配向させた位相差層に加えてさらにセルギャップ調整層を設けることには、製造工程数が増え、製造コストが高くなるという問題が存在する。さらに、位相差層が反射部に対してパターニング形成された上に、反射部もしくは透過部に対してセルギャップ調整層もパターニング形成しなくてはならず、反射部と透過部の境界領域の形状に一層の層構造の乱れが生じやすくなるとなる問題や、位相差層が力学的に不安定化するという問題もあった。したがって、多種多様な装置設計に応じた半透過半反射型液晶表示装置を容易に得ることができないという問題があった。
本発明者らは、液晶化合物の配向性を保ちつつも位相差層のΔnを液晶化合物の固有の複屈折率と異なる値に変更できることを見出し、すなわち位相差層を形成する材料として重合性官能基を有する液晶化合物(重合性液晶)と多官能化合物とを含む液晶組成物を用いた液晶膜に光を照射して重合性液晶の一部を硬化させ、次いで熱処理により未硬化部分を硬化させることにより、位相差層の複屈折率(Δn)を変更できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、半透過半反射液晶表示装置の様々な装置設計に適応して、1/4波長または1/2波長の位相差を光に付与する位相差層を備えた光学素子、及び半透過半反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、(1) 光透過性を有する基材を備える支持体に、重合性官能基を有する液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなる構造を備える位相差層を設けてなる光学素子であって、
位相差層の複屈折率(Δn)の値が、0.05以上0.20以下の範囲内の値であり、且つ、液晶化合物の固有の複屈折率と異なる値になっている、ことを特徴とする光学素子、
(2) 位相差層は、重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物を支持体に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなるものである、ことを特徴とする上記(1)記載の光学素子、
(3) 位相差層には、多官能化合物が含まれており、該位相差層に含まれる多官能化合物は、比重が1.10以上(25℃)であり、且つ、粘度が50cps以上600cps以下(25℃)であるものである、上記(1)または(2)に記載の光学素子、
(4) 位相差層は、多官能分子を対配合物換算値で1〜30重量%含む液晶組成液を支持体に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなるものである、ことを特徴とする上記(3)に記載の光学素子、
(5) 多官能化合物は、多官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする、上記(3)または(4)に記載の光学素子、
(6) 多官能(メタ)アクリレートは、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群より選ばれている、上記(5)に記載の光学素子、
(7) 支持体には、所定の可視光を分光透過可能な色パターン形成層を有する着色層が設けられている、上記(1)から(6)のいずれかに記載の光学素子、
(8) 対面する第1の基板と第2の基板の間に、液晶を駆動可能に封入してなる駆動用液晶層を形成し、第2の基板の外側に該第2の基板に向かって光を照射するバックライトを設けるとともに、第2の基板の面内方向所定領域に反射膜を設け、駆動用液晶層を進行した光のうち該反射膜で反射した光にて液晶画面表示を行う反射部と、バックライトから入射された光にて液晶画面表示を行う透過部とを備えてなる半透過半反射型液晶表示装置において、
第1の基板に、上記(1)から(7)のいずれかに記載の光学素子が組み込まれてなる半透過半反射型液晶表示装置、
を要旨とする。
なお、本明細書において、液晶組成物は、これを構成する各配合物(液晶化合物など)を混合したもので構成される態様(第1の態様)、および、液晶組成物を構成する各配合物を混合した混合物を溶媒に溶解もしくは懸濁させてなる液体にて構成される態様(第2の態様)のいずれも含まれるものとする。
また、本明細書において、液晶組成物の各配合物についての対配合物換算値とは、液晶組成物が第1の態様である場合には、液晶組成物の総重量を100とした場合において液晶組成物を構成する成分として配合される各配合物(固形物)の重量%を示すものとし、液晶組成物が第2の態様である場合には、本発明の液晶組成物の総重量から溶媒の重量を差し引いた量(すなわち溶媒に溶解もしくは懸濁させる前の混合物の総重量)を100とした場合において液晶組成物を構成する成分として配合される各配合物(固形物)の重量%を示すものとする。
本発明によれば、位相差層として、液晶化合物自体の配向性ができるだけ保持されつつも複屈折の値(Δn)を様々に制御されたものを得ることが可能となり、多様な半透過半反射型液晶表示装置を得ることができる。
本発明によれば、重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物にてなる液晶塗布膜を位相差層となして光学素子を作製するにあたり、液晶塗布膜に多官能化合物が含まれることで、複屈折率を様々に調整された位相差層が得られる。
すなわち、本発明によれば、液晶化合物を所定の方向に配向させた状態にして固定してなる位相差層を備えた光学素子として、液晶化合物の種類を同じくし且つ液晶化合物の配向性に大きな相違を生じさせずに、位相差層としての複屈折の値(Δn)を大きく異ならせた光学素子を得ることが容易になる。特に、本発明によれば、Δnの値を下げられた位相差層を備えた光学素子を得ることが容易になる。したがって、位相差層に求められる複屈折の値のバリエーションに応じて液晶化合物を特別なものに変更せずとも、求められる位相差層を備える光学素子を作成することが可能となる。
本発明では、使用される多官能化合物としては、比重が1.10以上(25℃)であり、且つ、粘度が50cps以上600cps以下(25℃)であるものが好ましく、また、多官能化合物は多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。その場合、本発明によれば、より効果的に、位相差層に含まれる液晶化合物の配向性を乱すことなく多様な複屈折の値を有する位相差層を作製することが可能となり、複屈折の値を有する位相差層を備えた光学素子を様々に作製することが可能となる。
<光学素子10の構成>
本発明の光学素子10は、光透過性を有する支持体3の表面に位相差層9が積層されて構成される(図1)。
本発明の光学素子10は、支持体3上に重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物にて作製される液晶塗布膜に含まれる液晶分子の光軸を所定の向きに規則的に配向させ、その光軸の向きを保持しつつ液晶分子同士を重合することでその規則性を固定することで位相差層9を形成してなるものである。
<支持体3の構成>
「基材1について」
支持体3は、光透過性を有する基材1を備えてなり、一種類の基材1にて単層に構成されても、複数種類の基材1を備えて多層に構成されてもよい。基材1の光線透過率は、適宜選定可能である。
基材1は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましい。基材1としては、ガラス基板などのガラス材の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどからなるプラスチック基板であってもよいし、またさらにポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロプレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどのフィルムを用いることもできる。ただし、特に光学素子を液晶ディスプレイ用に用いる場合には、基板は無アルカリガラスであることが好ましい。
支持体3が複数の層でなる多層構造にて構成される場合、支持体3は、基材1のほかに、基材1とは異なる様々な層構造(位相差層を除く)を備えてなる多層構造をなしている。このとき、その基材1と異なる様々な層構造(位相差層を除く)は、位相差層9を積層される際の下地をなす層(下地層2)をなす。
下地層2としては、基材1表面上に積層形成可能な層構造を挙げることができ、具体的には、液晶の分子を所定方向に配向させることを可能にする配向膜によって形成される層のほか、光学素子10の厚み方向に進行する光を遮断する遮光層をなすブラックマトリクスや光学素子10の厚み方向に進行する光のうち所定範囲の波長の可視光を通過させる層を有する着色層などといった各種層構造を挙げることができる。
そのほかにも、下地層2は、TFTなどのスイッチング素子、ITO膜などの透明電極で構成される層構造を挙げることができる。なお、透明電極は、スパッタリング法など公知の手段を適宜選択して基材1表面上に適宜パターニングすることで形成できる。
なお、支持体3において、下地層2は、上記に挙げた各種の層構造が複数積層されてなる層構造であってもよい。すなわち、基材1に、着色層と配向膜との積層構造が下地層2として設けられて、支持体3が形成されてもよい。
次に、下地層2が着色層を備える場合と、下地層2が配向膜を備える場合について説明する。
「支持体3が下地層2として着色層を備える場合の例」
支持体3において、下地層2が着色層13である場合について説明する。特に、支持体3につき、基材1の表面上に、色パターン形成層とブラックマトリクスとを有する着色層が形成されている場合を一例として説明する(図2)。図2は、下地層2が着色層13である場合の支持体3の実施例の一つを説明するための概略断面図である。
支持体3は、基材1の一方の表面に遮光性のブラックマトリクス15が縦横に格子状(格子縞状)に塗工形成され、これによりブラックマトリクス15の非形成領域が開口部として平面視上格子点状に多数形成される。このとき、ブラックマトリクス15の形成領域が光を遮断する遮光部に相当し、開口部が所定波長の光を透過させる部分に相当する。
ブラックマトリクス15は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を基材面にパターニングすることにより、形成することができる。また、ブラックマトリクス15は、黒色顔料を含む樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することにより形成することも可能である。
ブラックマトリクス15を配置した基材1の上には、開口部を覆うように三色の色パターン形成層16,17,18が短冊状に配列されて、これら色パターン形成層16,17,18とブラックマトリクス15とで着色層13が形成されている(図2)。色パターン形成層16,17,18は光透過性を有しており、透過する可視光を分光してそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光となす。このとき、RGBの三色の色パターン形成層(赤色(R)の色パターン形成層16、緑色(G)の色パターン形成層17、青色(B)の色パターン形成層18)それぞれによって被覆された開口部の部分が、それぞれ画素をなし、そして三色の色パターン形成層16,17,18によって被覆された開口部の部分である三つの画素があわさって、一つの絵素が形成される。
色パターン形成層16,17,18は、色種ごとに、各色種に対応する顔料と樹脂などを配合してなる着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液を基材1に塗布して形成される塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、例えば短冊状などといった所定形状にパターニングすることで形成されるほか、着色材料分散液を所定形状に基材1に塗布することによっても形成できる。
着色層13においてブラックマトリクス15が形成される場合、このブラックマトリクス15は、遮光部としての機能として、おおよそ短冊状に塗工される色パターン形成層16,17,18の混色を防止する機能と、開口部を平面視上区画化して、絵素の輪郭を鮮明化する機能、さらにまた、光学素子10が液晶ディスプレイに組み込まれる際に、基板に通常配置され液晶を駆動させるために用いられるTFTなどといった駆動回路などを、透過光から隠蔽する機能を併せもつ。
支持体3において、着色層13は、色パターン形成層16,17,18とブラックマトリクス15とで基材1表面を被覆している。
支持体3においては、ブラックマトリクス15の配置形状は矩形格子状である場合に限定されず、ストライプ状や三角格子状などに形成してもよい。また着色層13を構成する色パターン形成層についても、RGB方式の三色の場合のほか、その補色系であるCMY方式とすることも可能であり、さらに単色もしくは二色の場合、または四色以上の場合なども採りうる。また色パターン形成層の形状も、短冊状にパターン形成する場合のほか、矩形状や三角形状などの微細パターンを基材1上に多数分散配置するパターンの場合など、目的に応じて種々のパターンを採りうる。
「支持体3が下地層2として配向膜を備える場合の例」
支持体3において、基材1に下地層2として配向膜が設けられる場合、配向膜としては、水平配向膜、垂直配向膜などを適宜用いることができる。
支持体3に設けられる配向膜は、従来公知のポリイミド等の材料を適宜用いて構成される。具体的に配向膜の材料としては、市販の配向膜材料を用いることができ、例えば、日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
配向膜は次のように形成することができる。ここでは配向膜が水平配向膜である場合を例とする。まず、配向膜を構成する材料を選択し、配向膜を形成するための組成物(水平配向膜形成用組成物)を調整する。その水平配向膜形成用組成物を、基材1に塗布して塗布膜を作製し、塗布膜を乾燥させる。さらに、塗布膜の露出面に対してラビング布など従前より公知方法にてラビング処理が施される。こうして、その塗布膜が配向膜をなす。
なお、配向膜としては、上記のような配向膜材料などの材料組成物の塗布にて作製される場合に限定されない。例えば、配向膜は、基材1に対して酸化ケイ素を蒸着して形成される酸化ケイ素の膜であってもよい。
次に、配向膜が垂直配向膜である場合については、垂直配向膜を構成する成分を含んだ垂直配向膜組成液(日産化学社製のSE−7511やSE−1211、あるいはJSR社製のJALS−2021−R2等のポリイミドを含む溶液など)をフレキソ印刷やスピンコート等の方法で基材1上に塗布して垂直配向膜形成用塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることで形成することができる。
<位相差層9の構成>
位相差層9は、それに対して所定の方向から入射される光を複屈折させる光学機能を有する層である。
位相差層9は、その光学機能に応じた屈折率nx、ny、nzを有する層である。例えば、位相差層9が、入射する光に1/4波長分の位相のずれ(いわゆる1/4波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層である場合、入射する光に1/2波長分の位相のずれ(いわゆる1/2波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層である場合など、その光学機能に応じたnx、ny、nzとなっている。なお、位相差層9の屈折率nx、ny、nzにつき、位相差層9の厚み方向(位相差層9の法線方向)にz軸をとり、位相差層9の面内方向(位相差層9の厚み方向に法線を有するような面(平面)についての面内方向(その平面に平行する方向))にx軸、y軸を相互に直交するようにとってxyz空間を想定した場合、x軸、y軸、z軸方向の光の屈折率がそれぞれnx、ny、nzであるものとする。
位相差層9の複屈折の値(複屈折率)(Δn)は、0.05以上0.20以下の範囲で、位相差層9に要請される光学機能に応じて設定される。Δnが0.05以上であることで、所望のリタデーション量を得るために必要とされる膜厚を満たすために膜厚を過度に厚くする必要性が抑制されるうえ、位相差層9を構成する液晶化合物の配向性を良好に保ちやすくなり、Δnが0.20以下であることで、所望のリタデーション量を得るために必要とされる膜厚を満たすために膜厚を過度に薄くする必要性が抑制され、膜厚を制御することが容易になる。
位相差層9の複屈折率の測定については、リタデーション(Re)と膜厚(d)の測定より行なうことができ、リタデーションの測定としては、KOBRA−21シリーズ(王子計測機器)等の市販の装置を用いることが可能であり、測定波長は可視光域(380〜780nm)であることが好ましく、比視感度の最も大きい550nm付近で測定することが好ましい。また膜厚の測定については、上記した触針式段差計等の市販の装置を適宜用いて実施される。そして、Reをdで除することで位相差層の複屈折率(Δn)が算出される
位相差層9の膜厚は特に制限されず、必要に応じて適宜調整可能であるが、製造コストを考慮して、通常、0.5〜10μm程度が好ましい。
位相差層9の膜厚みは、ET4000A(ミカサ社製)等の触針式段差計等の市販の装置を用いて具体的にされる。
位相差層9は、液晶化合物と所定の多官能基化合物を含んでなる。ここで、位相差層9は、分子構造中に重合性官能基を有する液晶化合物(重合性液晶化合物)をなす液晶分子(重合性液晶分子という)を重合反応させてなる高分子構造を形成している。
ところで、液晶分子は、その分子構造に応じた光軸を有し、その光軸の状態に応じて定まる複屈折特性を備えており、特定の方向に液晶分子を配向させて固定することで、その配向状態に応じた複屈折特性を有する層構造を構成することができる。位相差層9は、液晶分子を特定の方向に配向させた状態にて形成されているので、位相差層9という層全体として所定の光軸を有する層をなしており、所定の光学機能を発揮することができる。
「位相差層9に含まれる液晶化合物」
位相差層9に含まれる液晶化合物は、位相差層9に要請される光学機能に応じで適宜選択できる。そのような液晶化合物をなす液晶分子としては、ネマチック液晶相を形成可能な液晶分子やスメクチック液晶相を形成可能な液晶分子を用いることができる。
位相差層9に含まれる液晶化合物をなす液晶分子は、その液晶分子の構造中に不飽和2重結合を重合性官能基として有する重合性液晶分子が好ましい。また、重合性液晶分子には、耐熱性の点から液晶相状態で架橋重合反応可能な重合性液晶分子(架橋重合性液晶分子、あるいは架橋性液晶分子という)がより好ましく用いられ、架橋重合性液晶分子としては分子構造の両末端に不飽和2重結合を有するもの(不飽和2重結合を2以上有するもの)が好ましい。なお、架橋重合性液晶分子を用いて位相差層9が形成される場合、位相差層9には、架橋重合性液晶分子を相互に架橋させてなる架橋高分子構造が形成されることになる。
位相差層9を得るために用いられる架橋性液晶分子としては、架橋性を有するネマチック液晶分子(架橋性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶分子としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))もしくは2種以上の混合物、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(II))もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
Figure 2009244356
Figure 2009244356
Figure 2009244356
Figure 2009244356
化1に示す一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR1及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環と間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に1〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aやb、あるいはdやeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶分子が液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、位相差層9に用いるには好ましくない。
架橋性液晶分子として、上記した化1、化2、化3、化4では重合性を備える液晶(重合性液晶)のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等を用いてもよく、これらについても、上記した化1、化2、化3、化4などのオリゴマーやポリマーなどといった公知なものを適宜選択して用いることができる。
位相差層9においては、液晶分子の重合度(架橋重合性液晶分子の場合は、架橋重合度)が80以上程度であることが好ましく、90以上程度であることがより好ましい。位相差層9を構成する液晶分子の重合度が80より小さいと、均一な配向性を十分に維持できない虞がある。なお、上記重合度、架橋重合度は、液晶分子の重合性官能基のうち液晶分子の重合反応に消費された割合を示す。
「多官能化合物について」
多官能化合物は、分子構造内に反応性官能基を複数有する化合物を示しており、位相差層9に含まれる多官能化合物は、比重が1.10以上(25℃)(25℃の試験条件下でJIIS K 0061「化学製品の密度及び比重測定方法」に準拠して測定される値による)であり、かつその粘度は50cps以上600cps以下(25℃)(25℃の試験条件下でJIIS Z 8803「液体の粘度−測定方法」に準拠して測定される値による)である。
また、位相差層9に含まれる多官能化合物は、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。ここに多官能(メタ)アクリレートは、多官能アクリレートもしくは多官能メタクリレートを示す。
位相差層9に含まれる多官能(メタ)アクリレートは、パラクミルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシドオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを挙げることができる。
なお、位相差層9に含まれる多官能(メタ)アクリレートは、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群より選ばれていることが好ましい。
なお、位相差層9の光学機能に応じて、位相差層9にはカイラル剤が含まれていてもよい。位相差層9にカイラル剤が含まれると、位相差層9が液晶化合物をなす液晶分子をねじれ配向させた構造をとることが容易になり、位相差層9のnxとnyの比率を容易に変化させるでき、位相差層9を、入射する光に1/4波長分の位相のずれ(いわゆる1/4波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層とすることが容易となる
「カイラル剤について」
本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招く虞がある。特に非重合性のカイラル剤の場合には、重合性液晶モノマーの重合による硬化性能を低下させる場合があり、加えて液晶組成物を用いて形成される位相差層9の電気的信頼性を低下させる事態を招く虞がある。更に光学活性な部位を有するカイラル剤を多量に使用することはコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、少量でも重合性液晶モノマーの配向に螺旋ピッチを誘発させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましい。特に分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。なお、カイラル剤としては、より具体的には、例えばMerck社製S−811等の市販のものを用いることができる。
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力、あるいは最終的に得ようとする位相差層9に含まれる重合性液晶モノマーのコレステリック規則性の程度などを考慮して適宜決めることができる。液晶組成物におけるカイラル剤の配合量は、重合性液晶モノマーの種類等により大きく異なるが、一般的に、対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合される。特に好ましいカイラル剤の配合量は、対配合物換算値で1〜15重量%である。カイラル剤の配合量が0.01重量%未満の場合、液晶組成物に含まれる重合性液晶モノマーに対して充分にコレステリック規則性を付与できない場合がある。またカイラル剤の配合量が30重量%を超える場合は、液晶組成物における重合性液晶モノマーの配向性能が阻害される結果、液晶組成物にてなる液晶塗布膜を重合性液晶モノマー同士の架橋重合により硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題を生じる虞がある。
光学素子10の製造方法について次に詳細に説明する。
<光学素子10の製造方法>
光透過性を有するとしての透明基板上に下地層2を設けてなるものを支持体3として用い、その支持体3における配向膜の露出面上に位相差層9をパターン形成する光学素子10の製造方法を例として説明する。
<支持体の調整>
基材1として透明基板を準備する。透明基板としては、従前よりカラーフィルタなどに用いられているガラス基板(無アルカリガラスなど)や耐熱性の透明樹脂基板が用いられる。次に、この透明基板面上に配向膜が形成される。配向膜を構成する材料としては、上記に例示したような配向膜に使用可能なポリイミド等の材料(配向膜形成用材料)が選択される。選択された配向膜形成用材料を透明基板上に塗布して塗布膜を作製する。その塗布膜の作成方法は、従前より公知な方法(印刷法、スピンコーティング法等)を適宜採用される。塗布膜が作成されると、その塗布膜にラビング処理が施され、塗布膜が配向膜となる。このとき、配向膜は、ラビング方向に液晶分子を配向させる配向性能を付与されている。こうして、透明基板に配向膜を設けた支持体3が調整される。
<液晶組成物の調整>
まず、液晶組成物をなす重合性液晶化合物が選択される。これらについては、上記に例示したような液晶化合物から適宜選択され、さらに、上記に例示したような多官能化合物が選択されて液晶組成物が調整される。このとき、液晶組成物には、必要とされる位相差層9の光学機能と、選択された液晶化合物の種類および配向性に応じて、上記したようなカイラル剤が適宜含まれる。
液晶組成物は、対配合物換算値で、液晶化合物を、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、多官能化合物を、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%含んでいる。
なお、液晶組成物には、液晶化合物の重合効率を向上させる助剤となる光重合開始剤が含まれることが好ましい。また、液晶組成物には、液晶化合物の塗布にあたり塗布特性を向上させる助剤となる界面活性剤が含まれていてもよい。
「光重合開始剤について」
位相差層9を形成する場合には、液晶化合物の配向を大きく損なわない範囲で液晶組成物に光重合開始剤が添加される。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は、例えば紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするのがよい。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することもできる。
このような光重合開始剤の添加量としては、対配合物換算値で、一般的に0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲で液晶組成物に添加することができる。
「界面活性剤について」
液晶組成物には、液晶組成物を透明基板に塗布する際の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤が好ましく添加される。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤の添加量としては、対配合物換算値で、一般的に0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲で液晶組成物に添加することができる。
上記にて調整された液晶組成物は、溶剤に溶解されて、溶液の状態にされる。
「溶剤について」
液晶組成液に含まれるは溶剤としては、液晶化合物等を溶解することが可能な溶剤であり、かつ配向性材料を設けた基材上の配向性能を阻害しない溶剤であれば特に限定されるものではない。
溶剤として、具体的に、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。
液晶組成液に使用される溶剤として単一種の溶剤が使用されただけでは、重合性液晶化合物等の溶剤に対する溶解性が不充分である場合や、配向膜を有する基板でなる支持体そのものが侵食される場合がある。しかし、液晶組成液に使用される溶剤として2種以上の溶剤を混合してなる混合溶剤が使用されることにより、この不都合を回避することができる場合がある。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。溶剤の濃度は、液晶性組成物の溶解性や所望する位相差層9の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
<液晶塗布膜の作製>
上記のような液晶組成物は、液晶組成液の状態にされ、その液晶組成液が、先に調整された支持体3の配向膜の露出面上に塗布される。これにより、支持体3の配向膜面上に塗布膜(液晶塗布膜)が作製される。なお、液晶組成物には、溶剤に溶かす前の状態と、溶剤に溶かした後の溶液の状態のいずれも含まれるが、溶液の状態となった液晶組成物を、便宜上、液晶組成液と呼ぶ。
液晶組成液の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スライドコート法、印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
なお、液晶塗布膜を作製するにあたり、配向膜が撥水性又は撥油性の高いものである場合には、配向膜上に液晶組成物を塗布する前に、液晶分子を配向可能な範囲内でUV洗浄やプラズマ処理を施して、液晶組成液を塗布しようとする配向膜表面の濡れ性を予め高めておいてもよい。
支持体3に液晶塗布膜が形成されると、次いで、液晶塗布膜を有する支持体3はプリベーク(pre-exposure bake)され、液晶塗布膜に含まれる溶剤が除去される。このとき、プリベークの加熱による流動性を利用して、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物が一定方向に配列される。プリベーク温度、時間は、液晶組成物に含まれる液晶化合物の特性に応じて変動しうるが、通常は、70℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。なお、本例に用いる支持体3のように、ラビング処理された配向膜上に液晶塗布膜が形成される場合には、通常、液晶塗布膜は、ラビング方向に沿って液晶化合物をなす液晶分子が配向された状態となっている。
<露光工程>
一定方向に配向した状態となった液晶化合物を含む液晶塗布膜に向けて、一定方向に液晶化合物を配列させた状態を維持しつつ、活性放射線が照射される(露光工程)。この露光工程により、重合性液晶分子の末端基同士が架橋重合反応して重合部を形成し、この反応により液晶塗布膜の硬化が生じる。なお、活性放射線は、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む概念である。この露光工程においては、活性放射線として紫外線が好ましく用いられる。紫外線としては、波長300〜500nm程度の照射光で、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。また、紫外線の照射光量は、重合性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm 程度の範囲である。
<焼成工程>
露光処理の後、液晶塗布膜を備える支持体3は焼成される(焼成工程)。焼成工程において、焼成温度、焼成時間は、重合性液晶4の種類や組成等に依存して変動するが、通常では、150℃〜260℃で10分〜60分間程度の範囲で行われる。この焼成処理により、液晶塗布膜は、一定方向に液晶化合物を配列させた状態をより強化されて、位相差層9となる。こうして、支持体3上に位相差層9を形成してなる光学素子10が作製される。
本発明の光学素子の1つの例を示す図1では、支持体3上に位相差層9が全体に形成されているが、これに限定されず、支持体3上に位相差層9が部分的に形成されていてもよい。
具体的に位相差層9を部分的に形成する方法としては、例えば各種印刷方法やフォトリソグラフィー法を用いて、支持体3上にパターニング形成する方法などを例示することができる。印刷方法による場合、支持体3上に液晶組成液を所定のパターンで塗布することにより、支持体3上に部分的に液晶塗布膜を作製し、これを硬化させて位相差層9となすことで具体的に実現できる。また、フォトリソグラフィー法による場合、次のように位相差層9を部分的に作製することができる。
支持体3上に一面に液晶塗布膜を作製し、所定のパターンにてパターン形成されたフォトマスクを介して活性放射線を照射し、液晶化合物の重合反応が十分に進んだ部分と、液晶化合物の重合反応が不十分な部分とを作出する。その後、液晶分子の重合反応が不十分で未硬化な状態にある液晶組成物を溶解可能な溶液に浸漬することにより、液晶塗布膜において液晶分子の重合反応が進まなかった部分を支持体3面から除去する(現像処理)。こうして、支持体3上に液晶相の液晶分子を含む層構造を所定のパターンで形成する(パターニングする)ことが具体的に実現可能である。
これによれば、光学素子10において予め所定の領域を定めて、その領域を狙って位相差層9を所定のパターンにてパターン形成することが可能となる。
上記の例で作製された光学素子10は、位相差層9の上にブラックマトリックスと色パターン形成層を有する着色層が設けられてもよい。そのように着色層を設けた光学素子10が液晶表示装置に組み込まれた場合、インセルタイプの位相差層9を設けた液晶表示装置が容易に得られる。
なお、上記に詳述した光学素子10の製造方法の例では、支持体3は、透明基板1に下地層2として配向膜を形成したものであったが、下地層2は、着色層であってもよいし、着色層と配向膜などを積層した多層構造を備えてなるものであってもよい。
<位相差層9の複屈折率の調整について>
本発明において、光学素子10の位相差層9の複屈折率は、位相差層9に含まれる多官能化合物の配合割合に応じて、位相差層9に含まれる液晶化合物の配向を維持されつつ、変化する。したがって、液晶組成物に含まれる多官能化合物の配合量を適宜変更することで、多種多様な複屈折率の要請に対応して、位相差層9の複屈折率を調整することができる。
<光学素子10の他の構成について>
上記では、本発明の光学素子10が、光透過性を有する支持体3の表面に位相差層9が積層されて構成される場合について説明したが、光学素子10は、着色層などといった所定の層構造を保護するための保護層を更に備えるものであってもよい。
<光学素子10を組み込んだ液晶表示装置について>
次に、本発明の製造方法にて作製された光学素子10を用いた液晶表示装置(半透過半反射型液晶表示装置)について、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例として説明する。
半透過半反射型液晶表示装置30は、図3に示すように、対面する一対の基板25(第1の基板22、第2の基板23)の間に、印加電圧に応じて液晶44の光軸の向きを可変に液晶材料24を封入してなる駆動用液晶層28を形成しており、基板25の外側にバックライト(図示せず)を備えてなる。ここに、一対の基板25のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板22とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板23とする。また、第1の基板、第2の基板から駆動用液晶層28に向かう方向が内側方向であり、駆動用液晶層28から第1の基板22、第2の基板23に向かう方向が外側方向であるものとする。半透過半反射型液晶表示装置30のバックライトは、第2の基板23のさらに外側の位置に、第2の基板23に向かって光を入射するように備えられる。
第1の基板22、第2の基板23は、それぞれガラス基板である基材1、11を備えており、第1の基板22は、ガラス基板1上に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が形成され、この透明電極を覆うように、ブラックマトリクス15と色パターン形成層16,17,18を備えた着色層13を積層し、さらにその着色層13上に配向膜(図示せず)を積層している。さらに、第1の基板22には、基材1に着色層13を積層して得られる積層体を見た場合に、画素をなす領域のうち所定の領域に対して重なりあうように、配向膜上に位相差層9がパターン形成されている。この位相差層9は、光に1/4波長の位相差を生じさせる光学機能を発揮する層である。そして、第1の基板22には、さらにその内側方向に向かって、柱体50が、その基底部(図3において上方側の部分)を、位相差層9表面上所定の位置(柱体形成予定位置)にフォトリソグラフィー法などの公知方法を用いて分散配置されている。柱体形成予定位置は、位相差層9において画素とする部分に対応する部分を除いた部分(非画素部)内に、適宜定められる。柱体50は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、及びアミド系又はエステル系ポリマー等の光硬化可能な感光性を有する樹脂材料から構成されている。柱体50の高さは、第1の基板22と第2の基板23の間隔に応じて設定される。
また、第1の基板22において、ガラス基板である基材1には、外側方向に向かって、偏光板19が配置されている。
第2の基板23は、ガラス基板である基材11と駆動用液晶層28との間に、所定領域に光を反射させる反射膜34を備えるとともに、反射膜34の非設置領域を光が透過できる部分となしており、さらに駆動用液晶層28の液晶44に対する電圧の印加有無のスイッチング駆動する駆動用回路をなすTFTやITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が積層され、そしてその透明電極を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。ここに、第2の基板23において、反射膜34の設置領域は、第1の基板22と第2の基板23を対面させた際に第1の基板22の位相差層9の形成されている領域に対して対面するような領域に形成され、反射膜34の非設置領域は、第1の基板22と第2の基板23を対面させた際に第1の基板22の位相差層9の形成されていない領域(非形成領域)に対して対面するような領域に、形成されている。また、第2の基板23において、ガラス基板11には外側方向に向かって、偏光板19が設けられている。
第1の基板22と第2の基板23は、第1の基板22の厚み方向に見た場合に、第1の基板22の位相差層9の非形成領域と第2の基板23の反射膜34の非設置領域とを対面させつつ、柱体50の突出先端を第2の基板23に当接させて配置される。このとき、第1の基板22と第2の基板23との間には所定の間隔が生じており、第1の基板22の位相差層9の形成領域と第2の基板23との間隔については、所定の基準光として選択された光の1/4波長分に相当する値となっており、第1の基板22の位相差層9の非形成領域と第2の基板23との間隔については、所定の基準光として選択された光の1/2波長分に相当する値となっている。
なお、この液晶表示装置30では、第1の基板22において、基材1とITOと着色層13と配向膜を積層した積層体に対して、位相差層9が積層されている。すなわち、基材1とITOと着色層13と配向膜を積層した支持体に、上記に示す位相差層9が積層される。すなわち、液晶表示装置は、支持体上に位相差層9を積層してなる光学素子10が組み込まれて構成されている。
この液晶表示装置30には、必要に応じて、偏光板19とガラス基板1の間に位相差フィルム31を介在させて、その位相差フィルム31にて視野角補償を行うように構成してもよい。位相差フィルムとしては、フィルム面に対して法線方向をz軸とし面内方向にx軸とy軸を有してxyz3次元空間を張った場合に、xy軸のいずれか屈折率が他の軸方向の屈折率よりも大きいもの(いわゆる、正のAプレート)など適宜用いることができる。まお、符合101は、屈折率楕円体を示す。
なお、本明細書において、光学素子10を組み込む半透過半反射液晶表示装置30が駆動用液晶層の駆動方式をVAモードとする場合について説明したが、これに限定されるものではない。
まず、光学素子として、実施例の位相差層の位相差の値を評価する際の基準となる光学素子(基準光学素子)を、次のように作製した。
<基準光学素子の作成>
<支持体の調整>
100×100mmのガラス基板(NHテクノグラス社製NA35)に、配向膜を形成可能な組成物(JSR(株)製、AL1254)を、スピンコーターを用い塗布して塗布膜(膜厚0.065μm)を作製し、塗布膜を作製したガラス基板を230℃のオーブンにて1時間焼成した。そして、塗布膜面に対してラビング装置(常陽工学社製、装置名JRシリーズ)を用いてラビング処理を施して、塗布膜を配向膜となした。このガラス基板に配向膜を形成したものを支持体とした。
<位相差層の作成>
次にネマチック液晶相を示す重合性液晶化合物としてRMM34(メルク社製;23.75重量部)、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製;1.25重量部)、界面活性剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル(75重量部)からなる液晶組成物Aを調整し、その液晶組成物Aに、それをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解し、配合物固形成分濃度が20重量%の液晶組成液を得た。ここに、この配合物固形成分濃度とは、「液晶組成液の全重量」に対する「液晶組成物Aにおける固形配合物成分全体」の重量比率を示している。
そして、先に作製しておいた支持体をスピンコーターにセットし、調整された液晶組成液をスピンコーティングして、液晶塗布膜を作製した。液晶塗布膜の厚みは、0.8μm程度の膜厚(焼成後)であった。
次に、液晶塗布膜を80℃で3分間加熱(プリベーク)することで配向処理し、白濁状態が透明状態となる液晶転移点を目視にて確認した。そして、そのまま液晶塗布膜に向けて超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置により紫外線を20mW/cmで5秒照射した。これにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合反応させた。次いで、支持体に液晶塗布膜を形成した積層体を、230℃のオーブンを用いて30分焼成した(焼成工程)。この焼成工程により、支持体上に位相差層を積層した光学素子が得られた。
この光学素子について、位相差層の位相差量(Re)(波長580nmの光に対する位相差)を、王子計測機器社製KOBRA−21を用いて測定したところ、Re=100(nm)であった。さらに、位相差層の膜厚(d)をミカサ社製ET4000Aで測定したところ、d=0.80(μm)であり、位相差層の複屈折率(Δn)(位相差量/膜厚)は、Δn=0.125であった。この値を、Δn1とする。また、クロスニコルに対面配置した偏光板の間に光学素子を介在させるとともに、一方の偏光板の外側から光を照射した場合の他方の偏光板からの光漏れ有無を偏光顕微鏡にて観察した。観察は、光学素子を偏光板に平行な面内方向に回転させながら行われた。光学素子を介在させたとき偏光板から光漏れは観察されなかった。一様に位相差を生じさせる基準光学素子が作製されていることが確認された。なお、光漏れは次のように確認された。すなわち、光学素子を回転させて偏向板を通過する光量が最も少なくなるように光学素子を配置して、その状態において、偏向板を通過する光量に局所的に大きい箇所が存在するか否かを観察し、光量に局所的に大きい箇所が認められる場合に、光漏れが認められる。
実施例1
基準光学素子を作製する場合と同様にして、支持体を調製した。
<位相差層の作成>
次にネマチック液晶相を示す重合性液晶化合物としてRMM34(メルク社製;23.75重量部)、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製;1.25重量部)、界面活性剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル(75重量部)からなる液晶組成物Aを調整し、その液晶組成物Aに、多官能化合物として表1に示す粘度(cps(25℃))と比重(25℃)のビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート(東亞合成社製、M−208)を、対配合物換算値で10重量%となる量添加し、さらにそれをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解し、配合物固形成分濃度が20重量%の液晶組成液を得た。
そして、この実施例1の液晶組成液を用いて、基準光学素子を作成した場合と同じ条件と工程にて、支持体に位相差層を作製して光学素子を得るとともに、基準光学素子を用いた測定・観察と同様に、得られた光学素子を用いて、位相差層の膜厚(d)と位相差量(Δn)の測定と、光漏れ有無の観察を行った。また、実施例1の光学素子における位相差層の位相差量(Δn)と基準光学素子の位相差層の位相差量(Δn1)との差の値((ΔnーΔn1)の絶対値(この値をUとする))を算出した。結果は表2に示されるとおりである。なお、表2中、光漏れ有無の観察結果は、「光漏れ」欄に記載されており、光漏れが確認されない場合、「光漏れ」欄には「無」と記載され、光漏れが確認された場合、「有」と記載された。
実施例2から5、比較例1から3
表1の各欄に示す多官能化合物を用いたほかは実施例1と同様にして、光学素子を作製した。得られた光学素子を用いて、位相差層の膜厚み(d)および位相差量(Δn)の測定と、光漏れ有無の観察を行い、さらに光学素子における位相差層の位相差量と基準光学素子の位相差層の位相差量との差の値(U)を算出した。結果は表2に示されるとおりである。なお、比較例1から3については、光学素子に白色光を照射した条件で、光学素子の位相差層を観察した場合に、位相差層が白濁していることが認められた。
(表1)
Figure 2009244356
なお、表1において、粘度、比重は、それぞれJIS Z 8803(試験条件25℃)、JIS K 0061(試験条件25℃)に準拠して測定された値である。
(表2)
Figure 2009244356
実施例6、7
液晶組成液が次のように調整されたほかは実施例1と同様にして、光学素子を作製した。すなわち、実施例6,7については、液晶組成物Aに対して、実施例3に用いた多官能化合物(東亞合成社製、M−315)を、対配合物換算値で、実施例6については5重量%、実施例7については2重量%となる量添加して、さらにそれをそれぞれPGMEAで溶解することで、配合物固形成分濃度が20重量%の液晶組成液がそれぞれ調整された。
そして、実施例6,7で得られた光学素子について、実施例1と同様に、光学素子の位相差層の膜厚み(d)および位相差量(Δn)の測定と、光漏れ有無の観察を行い、さらに光学素子における位相差層の位相差量と基準光学素子の位相差層の位相差量との差の値(U)を算出した。結果は表3に示されるとおりである。
(表3)
Figure 2009244356
これらの実施例により、本発明の液晶組成物によれば、この液晶組成物を用いて形成された位相差層につき、重合性官能基を有する液晶化合物を1種類用いて、位相差層に含まれる液晶化合物の配向性を保持しつつ、所望のΔnを有する位相差層を作製できることが判る。
本発明において光学素子の例を説明するための概略断面図である。 本発明において下地層として着色層を備える支持体の例を説明するための概略断面図である。 本発明の製造方法にて得られる光学素子を組み込んだ半透過半反射型液晶表示装置の例を説明するための概略分解斜視図である。
符号の説明
1 基材
2 下地層
3 支持体
9 位相差層
10 光学素子
13 着色層
15 ブラックマトリクス
16,17,18 色パターン形成層
30 液晶表示装置

Claims (8)

  1. 光透過性を有する基材を備える支持体に、重合性官能基を有する液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなる構造を備える位相差層を設けてなる光学素子であって、
    位相差層の複屈折率(Δn)の値が、0.05以上0.20以下の範囲内の値であり、且つ、液晶化合物の固有の複屈折率と異なる値になっている、ことを特徴とする光学素子。
  2. 位相差層は、重合性官能基を有する液晶化合物を含む液晶組成物を支持体に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなるものである、ことを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 位相差層には、多官能化合物が含まれており、該位相差層に含まれる多官能化合物は、比重が1.10以上(25℃)であり、且つ、粘度が50cps以上600cps以下(25℃)であるものである、請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 位相差層は、多官能化合物を対配合物換算値で1〜30重量%含む液晶組成液を支持体に塗布して作製された液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定方向に配向させて重合してなるものである、ことを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  5. 多官能化合物は、多官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項3または4に記載の光学素子。
  6. 多官能(メタ)アクリレートは、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群より選ばれている、請求項5に記載の光学素子。
  7. 支持体には、所定の可視光を分光透過可能な色パターン形成層を有する着色層が設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 対面する第1の基板と第2の基板の間に、液晶を駆動可能に封入してなる駆動用液晶層を形成し、第2の基板の外側に該第2の基板に向かって光を照射するバックライトを設けるとともに、第2の基板の面内方向所定領域に反射膜を設け、駆動用液晶層を進行した光のうち該反射膜で反射した光にて液晶画面表示を行う反射部と、バックライトから入射された光にて液晶画面表示を行う透過部とを備えてなる半透過半反射型液晶表示装置において、
    第1の基板に、請求項1から7のいずれかに記載の光学素子が組み込まれてなる半透過半反射型液晶表示装置。
JP2008088167A 2008-03-28 2008-03-28 光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置 Withdrawn JP2009244356A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008088167A JP2009244356A (ja) 2008-03-28 2008-03-28 光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008088167A JP2009244356A (ja) 2008-03-28 2008-03-28 光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009244356A true JP2009244356A (ja) 2009-10-22

Family

ID=41306354

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008088167A Withdrawn JP2009244356A (ja) 2008-03-28 2008-03-28 光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009244356A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011095514A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Nippon Kayaku Co Ltd 位相差素子
JP2014502371A (ja) * 2010-11-10 2014-01-30 エルジー・ケム・リミテッド 光学素子
JP2017146616A (ja) * 2017-04-28 2017-08-24 大日本印刷株式会社 光学フィルム用転写体、光学フィルム、光学フィルム用転写体の製造方法、光学フィルムの製造方法
KR20200019233A (ko) * 2017-06-23 2020-02-21 레이저 포인트 에스.알.엘. 전자기 방사선 검출기
JPWO2021210359A1 (ja) * 2020-04-14 2021-10-21
US11906828B2 (en) 2020-09-30 2024-02-20 Sioptica Gmbh Switchable light filter and use thereof
US12019336B2 (en) 2020-04-14 2024-06-25 Fujifilm Corporation Optical laminate comprising a twisted angle of a refractive index anisotropic layer having a twisted structure, image display device, and glass composite

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011095514A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Nippon Kayaku Co Ltd 位相差素子
JP2014502371A (ja) * 2010-11-10 2014-01-30 エルジー・ケム・リミテッド 光学素子
JP2017146616A (ja) * 2017-04-28 2017-08-24 大日本印刷株式会社 光学フィルム用転写体、光学フィルム、光学フィルム用転写体の製造方法、光学フィルムの製造方法
KR20200019233A (ko) * 2017-06-23 2020-02-21 레이저 포인트 에스.알.엘. 전자기 방사선 검출기
KR102613786B1 (ko) * 2017-06-23 2023-12-13 레이저 포인트 에스.알.엘. 전자기 방사선 검출기
JPWO2021210359A1 (ja) * 2020-04-14 2021-10-21
WO2021210359A1 (ja) * 2020-04-14 2021-10-21 富士フイルム株式会社 光学積層体、画像表示装置及びガラス複合体
US12019336B2 (en) 2020-04-14 2024-06-25 Fujifilm Corporation Optical laminate comprising a twisted angle of a refractive index anisotropic layer having a twisted structure, image display device, and glass composite
US11906828B2 (en) 2020-09-30 2024-02-20 Sioptica Gmbh Switchable light filter and use thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006276397A (ja) 光学素子の製造方法
US8027014B2 (en) Optical element, liquid crystal display device member with the optical element, liquid crystal display device with the liquid crystal display device member, method of producing the optical element and method of evaluating birefringence functional layer
US7704571B2 (en) Liquid crystal composition, color filter and liquid crystal display apparatus, and method of forming phase difference layer
JP2009040984A (ja) 液晶組成物、該液晶組成物を用いた位相差制御部材、及び、液晶表示装置
JP4911297B2 (ja) 光学素子および液晶表示装置、ならびに光学素子の製造方法
JP2009244356A (ja) 光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置
JP2007121740A (ja) 光学素子
JP2009051992A (ja) 液晶組成物、光学素子、およびこれを用いた液晶表示装置
JP4900592B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP4605711B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP4803363B2 (ja) 位相差制御機能を有する光学素子およびこれを備える液晶表示装置
JP2006274093A (ja) 感光性組成物、及びそれを用いた光学素子とその製造方法
JP2009086160A (ja) 位相差制御部材、および位相差制御部材を用いた液晶ディスプレイ、位相差制御部材を形成するための液晶材料組成物
JP5120540B2 (ja) 光学素子、上記光学素子を用いた液晶表示装置用部材、上記液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置、上記光学素子の製造方法及び複屈折率機能層の評価方法
JP4900585B2 (ja) 光学素子、光学素子の製造方法、および液晶表示装置
JP2009244452A (ja) 光学素子の製造方法、光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置
JP5263467B2 (ja) 液晶表示装置
JP2009237459A (ja) 光学素子の製造方法、光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置
JP2008242001A (ja) 位相差制御機能を有する光学部材、半透過半反射型用液晶装置及び位相差制御機能を有する光学部材の製造方法
JP2009227870A (ja) 感光性組成物、該感光性組成物を用いた光学素子及び光学素子の製造方法
JP2009227871A (ja) 感光性組成物、該感光性組成物を用いた光学素子及び光学素子の製造方法
JP2010204221A (ja) 光学素子及び液晶表示装置
JP5114942B2 (ja) 位相差制御部材、および位相差制御部材を用いた液晶ディスプレイ
JP2010054780A (ja) 光学素子及び光学素子の製造方法
JP2011133904A (ja) 位相差層の形成方法、位相差層形成用液晶組成物、カラーフィルタおよび液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110119

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20120507