JP2009244452A - 光学素子の製造方法、光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半透過半反射液晶表示装置の様々な装置設計に適応して様々な複屈折の値の位相差層を容易に得ることができる、1/4波長または1/2波長の位相差を光に付与する位相差層を備えた光学素子の製造方法、及びその製造方法にて得られた光学素子、半透過半反射型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶化合物の分子構造中のメソゲン基に反応して液晶分子間を架橋させるための炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物を含むとともに液晶化合物と光重合開始剤と酸発生剤とを含む液晶組成物を、光透過性を有する基材を備える支持体に塗布して液晶塗布膜を作製し、該液晶塗布膜に向けて活性放射線を照射した後、液晶塗布膜を150℃以上240℃以下の温度範囲且つ30分以上240分以下の時間範囲にて焼成して、該液晶塗布膜を、複屈折の値(Δn)が0.05以上0.28以下である位相差層を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、直線偏光を円偏光または光の振動面を異にする直線偏光に変換できる光学素子の製造方法、光学素子、および、該光学素子を備えた半透過半反射型液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の小型化により、携帯電話やPDA等に液晶表示装置が幅広く用いられるようになってきている。小型の液晶表示装置においては、省電力化、高輝度化や高コントラスト化が重要な課題となる。このような課題につき、省電力化の要請に応えるための反射型または半透過型半反射の液晶表示装置が開発され、さらに、そうした液晶表示装置について、その輝度及びコントラストを改善するため、様々な光学素子が開発されている。
半透過半反射型液晶表示装置の一形態としては、アルミニウム等の金属膜に光が透過できる開口部を形成した反射膜を光半透過膜として機能させた液晶表示装置が提案されている。このような半透過半反射型の液晶表示装置の具体的な構成は、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例とすると、次のようになっている。
半透過半反射型液晶表示装置は、対面する一対の基板(第1の基板、第2の基板)の間に、印加電圧に応じて液晶の光軸の向きを可変に液晶を封入してなる駆動用液晶層を形成しており、基板の外側にバックライトを備えてなる。ここに、一対の基板のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板とする。また、第1の基板、第2の基板から駆動液晶層に向かう方向が内側方向であり、駆動液晶層から第1の基板、第2の基板に向かう方向が外側方向であるものとする。半透過半反射型液晶表示装置のバックライトは、第2の基板のさらに外側の位置に、第2の基板に向かって光を入射するように備えられる。
第1の基板、第2の基板は、いずれもガラス基板を備えており、第1の基板は、ガラス基板と駆動液晶層との間に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極が形成され、この透明電極を覆うように配向膜が形成されており、さらにガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が配置されている。
第2の基板は、ガラス基板と駆動液晶層との間に、金属膜の所定領域に開口部を形成してなる反射膜、および、インジウム錫酸化物(ITO;Indium tin oxide)等の透明導電膜からなる透明電極が積層され、さらに、その透明電極を覆うように配向膜が形成されている。また、第2の基板において、ガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が設けられている。なお、1/4波長板は、ある波長帯域において、直線偏光を略円偏光に変換することができる機能を有する光学素子である。
駆動液晶層は、封入されている液晶の複屈折に応じた厚み(セルギャップ)を備えて形成されている。セルギャップは、電圧無印加時においてその駆動液晶層内をその厚み方向に進行する光の位相のずれが1/4波長となるように定められる。
上記のような半透過半反射型液晶表示装置は、外光からの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(反射部)により液晶表示を行うのみならず、バックライトからの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(透過部)によっても液晶表示を行うものであるが、透過表示部にて液晶表示が行われる場合に、つぎのような問題がある。
この半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光のうち、一部は反射膜を構成する開口部の周囲の金属膜にて反射されて反射光となる。反射光は、反射層よりも外側(バックライト側)に配置された1/4波長板を通過するが、その際にその偏光軸が変化し、1/4波長板よりも外側(バックライト側)に設置された偏光板に吸収されてしまう。そのため、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、反射光がリサイクルできず、バックライトからの光を十分効率的に使用することができないという問題がある。また、バックライトからの光のうち反射層の開口部を通過した光についてみても、その光は、駆動用液晶層を通過すると直線偏光となってしまい、第1の基板の外側(表示画面側)に配置された1/4波長板にて円偏光となって、その円偏光の光量の半分は、第1の基板の外側(表示画面側)に設けられた偏光板で吸収され、結局、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光を十分に効果的に用いることができないという問題があった。
こうした問題に対して、半透過半反射型液晶表示装置において、駆動用液晶層の厚み(セルギャップ)を透過部と反射部についてそれぞれに適した厚みに調整するとともに、1/4波長板を、反射膜の部分にのみ設けた構造の半透過半反射型液晶表示装置が提案されている。
例えば、半透過半反射型液晶表示装置として、電圧無印加時において、駆動液晶層のうち透過部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/2波長で、駆動液晶層のうち反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/4波長となるように、透過部と反射部のセルギャップを調整し、更に、反射部にのみ位相差板(1/4波長板)を設けることにより、明度およびコントラストに優れる半透過半反射型液晶表示装置が提案されている(非特許文献1)。
また、半透過半反射型液晶表示装置として、反射部に、反射部の形状に応じてパターニングされた反射層を形成するとともに、その反射部の領域にのみ位相差層として、1/4波長板としての機能を有する層、を設けたものが提案されている(特許文献1)。この液晶表示装置によれば、反射層で反射されたバックライトからの光を偏光板に吸収させないようにすることができ、バックライトからの光のリサイクルが可能になる。なお、特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置についても、電圧無印加時における、駆動液晶層のうち透過部、反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように、透過部と反射部でのセルギャップが調整されることで、良好な明度とコントラストが実現される。
非特許文献1や特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置によれば、従来の半透過半反射型液晶表示装置と異なり、バックライト側と表示側との一対の位相差層を省略できるので、高輝度化に加え、装置の薄型化を実現することができる。
こうした非特許文献1や特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置を作製するにあたっては、反射部のみに位相差層を設けることが必要であることから、位相差層は、反射部に応じて定められる形状とパターンにてパターニングされた反射層に対応した形状になるように、パターンニング形成される必要がある。非特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置については、位相差板の構成は、フォトマスクを介した光照射により、一部の樹脂を硬化させて位相差層のパターニングを行い、その後、未硬化部分の樹脂を光照射により硬化させることで得られるものである。特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置は、反射部に、1/4波長板と同じ機能を発揮させる位相差層をパターニング形成した液晶表示装置である。
そして、非特許文献1や特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置において、位相差層が、対面する基板の一方と駆動用液晶層との間(インセル)に設けられる(インセルタイプの位相差層とされる)ことで、位相差層を、1/4波長板としての機能を有する層のみならず、駆動液晶層における透過部のセルギャップと反射部のセルギャップを調節する機能を有する層となすことができ、装置自体の一層の薄型化が可能となる。
ところで、インセルタイプの位相差層を設けた液晶表示装置としては、液晶材料を利用してインセルの位相差層を形成することが提案されている。例えば、ガラス転移点を有し、ガラス転移温度以下でその液晶構造を凍結することのできる液晶性高分子や、その分子構造中に不飽和結合などの反応性基を有し、該不飽和結合が液晶層状態で架橋することにより、同じく液晶構造を凍結することができる重合性液晶を用いることにより、インセル位相差層を設けることができる。重合性液晶材料としては種々の材料が提案されている。
こうしたことから、特に、液晶化合物を用いた位相差層をインセルに形成したインセルタイプの位相差層を備える半透過半反射型液晶表示装置に期待が集まっており、その汎用性をより大きくすることが望まれている。
C.Doornkamo et. al., SDI2004 Digest, 670 (2004) 特開2004−4494号公報
つまり、近年携帯電話やPDA等に使用される半透過半反射型液晶表示装置では輝度向上や駆動速度向上と言った改良検討がより活発化している。そして液晶表示装置には、様々な装置設計に対応した駆動用液晶が開発されており、それに合わせて駆動用液晶層のセルギャップが種々設定されている。そうした状況の上で、液晶表示装置の光学特性改善を目的とし、液晶セルの外側に設置されていた光学補償用の位相差層を、液晶セルの内側、いわゆるインセルに設置する試みも検討され、このようなインセル型の位相差層には重合性の液晶化合物が使われているのである。
ところが、インセル型の位相差層では、位相差性能を安定化させるため、使用される液晶化合物をなす液晶分子には、分子末端に分子間を架橋・固定化させるための架橋性基が導入されており、その液晶分子の分子設計には、駆動用液晶に使用可能な液晶分子に比べて自由度が著しく低い。また、位相差層を構成する液晶化合物の複屈折は液晶分子に固有の値であることから、位相差層の複屈折の値としてとりうる値の範囲が極めて限定的となり、位相差層の複屈折を様々な値とするには位相差層を構成する液晶化合物として様々なものを用意する必要があり、求められる複屈折の値によっては極めて特殊な液晶化合物を選択する必要に迫られてしまい、様々な複屈折の値の位相差層を容易に得ることができず、半透過半反射型液晶表示装置を多様化ができないという問題があった。
本発明者らは、位相差層を形成する材料として重合性液晶化合物と炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物とを含む感光性組成物を用い、光照射により重合性液晶化合物の一部を硬化させ、次いで熱処理により未硬化部分を硬化させることにより、位相差層のΔnを変更することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、半透過半反射液晶表示装置の様々な装置設計に適応して、1/4波長または1/2波長の位相差を光に付与する位相差層を備えた光学素子を提供することを可能とする光学素子の製造方法、及びその製造方法にて得られた光学素子、半透過半反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)光透過性を有する基材を備える支持体に、重合性官能基を有する液晶化合物を重合してなる構造を備える位相差層を設けてなる光学素子の製造方法であって、液晶化合物の分子構造中のメソゲン基に反応して液晶分子間を架橋させるための炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物を含むとともに液晶化合物と光重合開始剤と酸発生剤とを含む液晶組成物を、支持体に塗布して液晶塗布膜を作製し、該液晶塗布膜に向けて活性放射線を照射した後、液晶塗布膜を150℃以上240℃以下の温度範囲且つ30分以上240分以下の時間範囲にて焼成して、該液晶塗布膜を、複屈折の値(Δn)が0.05以上0.28以下である位相差層となす、ことを特徴とする光学素子の製造方法、
(2)液晶塗布膜は、基材と配向膜を備える支持体に対して液晶組成物が塗布されることで作製される、上記(1)に記載の光学素子の製造方法、
(3)液晶塗布膜は、基材と着色層を備える支持体に対して液晶組成物が塗布されることで作製される、上記(1)または(2)のいずれかに記載の光学素子の製造方法、
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の製造方法にて作製された光学素子、
(5)対面する第1の基板と第2の基板の間に、液晶を駆動可能に封入してなる駆動用液晶層を形成し、第2の基板の外側に該第2の基板に向かって光を照射するバックライトを設けるとともに、第2の基板の面内方向所定領域に反射膜を設け、駆動用液晶層を進行した光のうち該反射膜で反射した光にて液晶画面表示を行う反射部と、バックライトから入射された光にて液晶画面表示を行う透過部とを備えてなる半透過半反射型液晶表示装置において、第1の基板に、上記(4)記載の光学素子が組み込まれてなる半透過半反射型液晶表示装置、を要旨とする。
本発明の製造方法によれば、液晶塗布膜を位相差層となして光学素子を形成するにあたり、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物をなす液晶分子のメソゲン基が、所定の温度と時間下において炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物の存在により架橋反応し、架橋構造を液晶塗布膜中に形成させることで、位相差層として、液晶化合物自体の配向性ができるだけ保持されつつも複屈折の値(Δn)を様々な値に制御されたものを作製することが可能となる。
すなわち、本発明の製造方法によれば、液晶化合物を所定の方向に配向させた状態にして固定してなる位相差層を備えた光学素子として、液晶化合物の種類を同じくし且つ液晶化合物の配向性に大きな相違を生じさせずに、位相差層としての複屈折(Δn)の値を大きく異ならせた光学素子を得ることが容易になる。したがって、位相差層に求められる複屈折の値のバリエーションに応じて液晶化合物を特別なものに変更せずとも、求められる位相差層を備える光学素子を作成することが可能となる。
本発明の製造方法では、上述のとおり、炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物が用いられ、その結果、効果的に位相差層に含まれる液晶化合物の配向性を乱すことなく多様な複屈折の値を有する位相差層を作製することが可能となり、多様な光学素子を作製することが可能となる。
本発明の製造方法によれば、多様な複屈折の光学素子を形成できるので、同一の液晶化合物にてなり同一の厚みを有する位相差層であって、光に異なる位相差量を生じさせるものを作製することが容易となる。したがって、インセルタイプの位相差層を組み込んだ半透過半反射型液晶表示装置を形成するにあたり、様々なセルギャップのものに対応してさまざまな位相差層を形成することが容易となる。
<光学素子10の構成>
本発明の製造方法にて製造される光学素子10は、光透過性を有する支持体3の表面に位相差層9が積層されて構成される(図1(f))。
本発明の光学素子10は、支持体3上に重合性官能基を有する液晶化合物(以下、単に「重合性液晶化合物」ともいう)を含む液晶組成物にて作製される液晶塗布膜に含まれる液晶分子4の光軸を所定の向きに規則的に配向させ、その光軸の向きを保持しつつ液晶分子4同士を重合することでその規則性を固定する重合部7を形成しさらに炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物5にて液晶分子間に架橋部8を形成することで強く硬化される位相差層9を形成してなるものである。
<支持体3の構成>
「基材について」
支持体3は、光透過性を有する基材1を備えてなり(図1(a)(b))、一種類の基材1にて単層に構成されても、複数種類の基材1を備えて多層に構成されてもよい。基材1の光線透過率は、適宜選定可能である。
基材1は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましい。基材1としては、ガラス基板などのガラス材の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどからなるプラスチック基板であってもよいし、またさらにポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロプレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどのフィルムを用いることもできる。ただし、特に位相差制御部材を液晶ディスプレイ用に用いる場合には、基板は無アルカリガラスであることが好ましい。
支持体3が複数の層でなる多層構造にて構成される場合、支持体3は、基材1のほかに、基材1とは異なる様々な層構造(位相差層を除く)を備えてなる多層構造をなしている。このとき、その基材1と異なる様々な層構造(位相差層を除く)は、位相差層9を積層される際の下地をなす層(下地層2)をなす(図1(b))。
下地層2としては、基材1表面上に積層形成可能な層構造を挙げることができ、具体的には、液晶の分子を所定方向に配向させることを可能にする配向膜によって形成される層のほか、光学素子10の厚み方向に進行する光を遮断する遮光層をなすブラックマトリクスや光学素子10の厚み方向に進行する光のうち所定範囲の波長の可視光を通過させる層を有する着色層などといった各種層構造を挙げることができる。
そのほかにも、下地層2は、TFTなどのスイッチング素子、ITO膜などの透明電極で構成される層構造を挙げることができる。なお、透明電極は、スパッタリング法など公知の手段を適宜選択して基材1表面上に適宜パターニングすることで形成できる。
なお、支持体3において、下地層2は、上記に挙げた各種の層構造が複数積層されてなる層構造であってもよい。すなわち、基材1に、着色層と配向膜との積層構造が下地層2として設けられて、支持体3が形成されてもよい。
次に、下地層2が着色層を備える場合と、下地層2が配向膜を備える場合、下地層2が保護層を備える場合について説明する。
「支持体3が下地層2として着色層を備える場合の例」
支持体3において、下地層2が着色層である場合について説明する。特に、支持体3につき、基材1の表面上に、色パターン形成層とブラックマトリクスとを有する着色層が形成されている場合を一例として説明する(図2)。図2は、下地層2が着色層13である場合の支持体3の実施例の一つを説明するための概略断面図である。
支持体3は、基材1の一方の表面に遮光性のブラックマトリクス15が縦横に格子状(格子縞状)に塗工形成され、これによりブラックマトリクス15の非形成領域が開口部として平面視上格子点状に多数形成される。このとき、ブラックマトリクス15の形成領域が光を遮断する遮光部に相当し、開口部が所定波長の光を透過させる部分に相当する。
ブラックマトリクス15は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を基材面にパターニングすることにより、形成することができる。また、ブラックマトリクス15は、黒色顔料を含む樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することにより形成することも可能である。
ブラックマトリクス15を配置した基材1の上には、開口部を覆うように三色の色パターン形成層16、17、18が短冊状に配列されて、これら色パターン形成層16、17、18とブラックマトリクス15とで着色層13が形成されている(図2)。色パターン形成層16、17、18は光透過性を有しており、透過する可視光を分光してそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光となす。このとき、RGBの三色の色パターン形成層(赤色(R)の色パターン形成層16、緑色(G)の色パターン形成層17、青色(B)の色パターン形成層18)それぞれによって被覆された開口部の部分が、それぞれ画素をなし、そして三色の色パターン形成層16、17、18によって被覆された開口部の部分である三つの画素があわさって、一つの絵素が形成される。
色パターン形成層16、17、18は、色種ごとに、各色種に対応する顔料と樹脂などを配合してなる着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液を基材1に塗布して形成される塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、例えば短冊状などといった所定形状にパターニングすることで形成されるほか、着色材料分散液を所定形状に基材1に塗布することによっても形成できる。
着色層13においてブラックマトリクス15が形成される場合、このブラックマトリクス15は、遮光部としての機能として、おおよそ短冊状に塗工される色パターン形成層16、17、18の混色を防止する機能と、開口部を平面視上区画化して、絵素の輪郭を鮮明化する機能、さらにまた、光学素子10が液晶ディスプレイに組み込まれる際に、基板に通常配置され液晶を駆動させるために用いられるTFTなどといった駆動回路などを、透過光から隠蔽する機能を併せもつ。
支持体3において、着色層13は、色パターン形成層16、17、18とブラックマトリクス15とで基材1表面を被覆している。
支持体3においては、ブラックマトリクス15の配置形状は矩形格子状である場合に限定されず、ストライプ状や三角格子状などに形成してもよい。また着色層13を構成する色パターン形成層についても、RGB方式の三色の場合のほか、その補色系であるCMY方式とすることも可能であり、さらに単色もしくは二色の場合、または四色以上の場合なども採りうる。また色パターン形成層の形状も、短冊状にパターン形成する場合のほか、矩形状や三角形状などの微細パターンを基材1上に多数分散配置するパターンの場合など、目的に応じて種々のパターンを採りうる。
「支持体3が下地層2として配向膜を備える場合の例」
支持体3において、基材1に下地層2として配向膜が設けられる場合、配向膜としては、水平配向膜、垂直配向膜などを適宜用いることができる。
支持体3に設けられる配向膜は、従来公知のポリイミド等の材料を適宜用いて構成される。具体的に配向膜の材料としては、市販の配向膜材料を用いることができ、例えば、日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
配向膜は次のように形成することができる。ここでは配向膜が水平配向膜である場合を例とする。まず、配向膜を構成する材料を選択し、配向膜を形成するための組成物(水平配向膜形成用組成物)を調整する。その水平配向膜形成用組成物を、基材に塗布して塗布膜を作製し、塗布膜を乾燥させる。さらに、塗布膜の露出面に対してラビング布など従前より公知方法にてラビング処理が施される。こうして、その塗布膜が配向膜をなす。
なお、配向膜としては、上記のように材料にてなる材料組成物の塗布にて作製される場合に限定されない。例えば、配向膜は、基材に対して酸化ケイ素を蒸着して形成される酸化ケイ素の膜であってもよい。
次に、配向膜が垂直配向膜である場合については、垂直配向膜を構成する成分を含んだ垂直配向膜組成液(日産化学社製のSE−7511やSE−1211、あるいはJSR社製のJALS−2021−R2等のポリイミドを含む溶液など)をフレキソ印刷やスピンコート等の方法で基材1上に塗布して垂直配向膜形成用塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることで形成することができる。
「支持体3が下地層2として保護層を備える場合の例」
保護層は、光透過性を有する樹脂にてなる層である。この保護層は、支持体3の表面を保護するため、あるいは、支持体3に上記着色層13などの層が積層されている場合において、その着色層13等の露出面を保護するためなどの目的で、基材1に積層される。支持体3は、このように基材1上に直接または間接に保護層を下地層2として積層して構成されていてもよい。
保護層は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂材料、または多官能エポキシを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂塗料を位相差層4の表面に塗布し、さらにこれを乾燥および硬化させて形成することができる。保護層の硬化には、透明樹脂材料の性質に応じて、例えばUV光を照射するなどの方法を採ることができる。
<位相差層9の構成>
位相差層9は、それに対して所定の方向から入射される光を複屈折させる光学機能を有する層である。
位相差層9は、その光学機能に応じた屈折率nx、ny、nzを有する層である。例えば、位相差層9が、入射する光に1/4波長分の位相のずれ(いわゆる1/4波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層である場合、入射する光に1/2波長分の位相のずれ(いわゆる1/2波長分の位相差)を生じさせるという光学機能を有する層である場合など、その光学機能に応じたnx、ny、nzとなっている。なお、位相差層9の屈折率nx、ny、nzにつき、位相差層9の厚み方向(位相差層9の法線方向)にz軸をとり、位相差層9の面内方向(位相差層9の厚み方向に法線を有するような面(平面)についての面内方向(その平面に平行する方向))にx軸、y軸を相互に直交するようにとってxyz空間を想定した場合、x軸、y軸、z軸方向の光の屈折率がそれぞれnx、ny、nzであるものとする。
位相差層9の膜厚は特に制限されず、必要に応じて適宜調整可能であるが、製造コストを考慮して、通常、0.5〜10μm程度が好ましい。
位相差層9の膜厚みは、ET4000A(ミカサ社製)等の触針式段差計等の市販の装置を用いて具体的にされる。
位相差層9の複屈折の値は、位相差層に要請される光学機能に応じて設定される。
位相差層9の複屈折(Δn)の測定については、リタデーション(Re)と膜厚(d)の測定より行なうことができ、リタデーションの測定としては、KOBRA−21シリーズ(王子計測機器)等の市販の装置を用いることが可能であり、測定波長は可視光域(380〜780nm)であることが好ましく、比視感度の最も大きい550nm付近で測定することが好ましい。また膜厚の測定については、上記した触針式段差計等の市販の装置を適宜用いて実施される。そして、Reをdで除することで位相差層のΔnが算出される
位相差層9は、液晶化合物と所定の炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物5を含んでなる。ここで、位相差層9は、分子構造中に重合性官能基を有する液晶化合物をなす液晶分子4(重合性液晶分子ともいう)を重合反応させてなる高分子構造を形成している。さらに、位相差層9は、それを構成する液晶分子4が、液晶分子4の末端基同士で重合するとともに、炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物5を介して、液晶分子4のメソゲン基間で架橋されてなる構造を備えている。
ところで、液晶分子は、その分子構造に応じた光軸を有し、その光軸の状態に応じて定まる複屈折特性を備えており、特定の方向に液晶分子を配向させて固定することで、その配向状態に応じた複屈折特性を有する層構造を構成することができる。位相差層9は、液晶分子を特定の方向に配向させた状態にて形成されているので、位相差層という層全体として所定の光軸を有する層をなしており、所定の光学機能を発揮することができる。
「位相差層9に含まれる液晶化合物」
位相差層9に含まれる液晶化合物は、位相差層9に要請される光学機能に応じで適宜選択できる。そのような液晶化合物をなす液晶分子としては、ネマチック液晶相を形成可能な液晶分子やスメクチック液晶相を形成可能な液晶分子を用いることができる。
位相差層9に含まれる液晶化合物をなす液晶分子は、その液晶分子の構造中に不飽和二重結合を重合性官能基として有する重合性液晶分子が好ましい。また、重合性液晶分子には、耐熱性の点から液晶相状態で架橋重合反応可能な重合性液晶分子(架橋重合性液晶分子、あるいは架橋性液晶分子という)がより好ましく用いられ、架橋重合性液晶分子としては分子構造の両末端に不飽和二重結合を有するもの(不飽和二重結合を2以上有するもの)が好ましい。なお、架橋重合性液晶分子を用いて位相差層9が形成される場合、位相差層9には、架橋重合性液晶分子を相互に架橋させてなる架橋高分子構造が形成されることになる。
位相差層9を得るために用いられる架橋性液晶分子としては、架橋性を有するネマチック液晶分子(架橋性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶分子としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))もしくは2種以上の混合物、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(II))もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
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化1に示す一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR1及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環と間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に1〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aやb、あるいはdやeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶分子が液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、位相差層9に用いるには好ましくない。
架橋性液晶分子として、上記した化1、化2、化3、化4では重合性を備える液晶(重合性液晶)のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等を用いてもよく、これらについても、上記した化1、化2、化3、化4などのオリゴマーやポリマーなどといった公知なものを適宜選択して用いることができる。
位相差層9においては、液晶分子の重合度(架橋重合性液晶分子の場合は、架橋重合度)が80以上程度であることが好ましく、90以上程度であることがより好ましい。位相差層9を構成する液晶分子の重合度が80より小さいと、均一な配向性を十分に維持できない虞がある。なお、上記重合度、架橋重合度は、液晶分子の重合性官能基のうち液晶分子の重合反応に消費された割合を示す。
「炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物について」
位相差層9に含まれるアルコキシ化合物としては、炭化水素環あるいはヘテロ環を有し且つ1つ以上のアルコキシ基を有する化合物を用いるものである。より具体的な例としては、1,4−ジメトキシメチルベンゼン、1,3,5−トリメトキシメチルベンゼン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリ(ジメトキシメチルアミン)、1,3,5−トリアジン−2−メトキシメチルアミン−4,6−ジ(ジメトキシメチルアミン)、1,4−ビス(メトキシフェノキシ)ベンゼン、トリメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、N,N’−ジメトキシメチル−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジオン等を挙げることができる。上記アルコキシ化合物の添加量は、液晶組成物において、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で添加することができる。尚、以下、上述する炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物のことを単に「アルコキシ化合物」という場合がある
光学素子10の製造方法について次に詳細に説明する。
<光学素子10の製造方法>
光透過性を有するとしての透明基板(基材1)上に下地層2を設けてなるものを支持体3として用い、その支持体3における配向膜の露出面上に位相差層9をパターン形成する光学素子10の製造方法を例として説明する。図1は本発明の光学素子の製造方法の一例を示す工程断面図であり下地層2が配向膜である場合の例を示す。次に、この図1を用いて本発明の光学素子の製造方法について説明する。
<支持体の調整>
基材1として透明基板を準備する(図1(a))。透明基板としては、従前よりカラーフィルタなどに用いられているガラス基板(無アルカリガラスなど)や耐熱性の透明樹脂基板が用いられる。次に、この透明基板面上に配向膜が形成される。配向膜を構成する材料としては、上記に例示したような配向膜に使用可能なポリイミド等の材料(配向膜形成用材料)が選択される。選択された配向膜形成用材料を透明基板上に塗布して塗布膜を作製する。その塗布膜の作成方法は、従前より公知な方法(印刷法、スピンコーティング法等)を適宜採用される。塗布膜が作成されると、その塗布膜にラビング処理が施され、塗布膜が配向膜となる。このとき、下地層2である配向膜は、ラビング方向に液晶分子を配向させる配向性能を付与されている。こうして、透明基板に配向膜を設けた支持体3が調整される(図1(b))。
<液晶組成物の調整>
まず、液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物とアルコキシ化合物が選択される。これらについては、上記に例示したような液晶化合物やアルコキシ化合物から適宜選択される。重合性液晶化合物にアルコキシ化合物が添加されることで液晶組成物が調整される。
液晶化合物とアルコキシ化合物は、液晶化合物70重量部に対して、炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物が1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部の範囲で添加することができる。
なお、液晶組成物には、液晶化合物の重合効率を向上させる助剤となる光重合開始剤、液晶化合物の分子構造中のメソゲン基間の架橋反応を促進させる触媒となる酸発生剤が含まれることが好ましい。また、液晶組成物には、液晶化合物の塗布にあたり塗布特性を向上させる助剤となる界面活性剤が含まれていてもよい。
「光重合開始剤について」
位相差層を形成する場合には、液晶化合物の配向を大きく損なわない範囲で液晶組成物に光重合開始剤が添加される。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は、例えば紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするのがよい。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することもできる。
このような光重合開始剤の添加量としては、液晶化合物70重量部に対して、一般的に0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜12重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲で液晶組成物に添加することができる。
「酸発生剤について」
酸発生剤としては、光又は熱により直接もしくは間接的に酸を発生するものであれば特に限定されないが、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、トリアリールセレニウム塩等の各種オニウム塩系化合物、スルフォン酸エステル、ハロゲン化合物等があげられる。
具体例として、酸発生剤として使用可能な芳香族ジアゾニウム塩の例としては、クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジメチルアミノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ナフチルジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジメチルアミノナフチルジアゾニウムテトラフルオロボレート等があげられる。
酸発生剤として使用可能なジアリールヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4’−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムトヘキサフルオロフォスフェイト等があげられる。
酸発生剤として使用可能なトリアリールスルフォニウム塩の例としては、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルトリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト等があげられる。
酸発生剤として使用可能なトリアリールセレニウム塩の例としては、トリアリールセレニウムテトラフルオロボレート、トリアリールセレニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリアリールセレニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムテトラフルオロボレート、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネート等があげられる。
酸発生剤として使用可能なスルフォン酸エステルの例としては、ベンゾイントシレート、p−ニトロベンジル−9,10−エトキシアントラセン−2−スルフォネート、2−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート等があげられる。
酸発生剤として使用可能なハロゲン化合物の例としては、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン、2,2’,4’−トリクロロアセトフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(クロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス−2−(4−クロロフェニル)−1,1,1−トリクロロエタン、ビス−1−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール、ビス−2−(4−メトキシフェニル)−1,1,1−トリクロロエタン等があげられる。
「界面活性剤について」
液晶組成物には、液晶組成物を透明基板に塗布する際の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤が好ましく添加される。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤の添加量としては、液晶化合物70重量部に対して、一般的に0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲で重合性液晶材料に添加することができる。
上記にて調整された液晶組成物は、溶剤に溶解されて、溶液の状態にされる。
「溶剤について」
液晶組成物を溶解するために用いられる溶剤としては、重合性液晶化合物等を溶解することが可能な溶剤であり、かつ配向性材料を設けた基材上の配向性能を阻害しない溶剤であれば特に限定されるものではない。なお、液晶組成物には、溶剤に溶かす前の状態と、溶剤に溶かした後の溶液状態のいずれも含まれるが、溶液状態となった液晶組成物を、便宜上、液晶組成液と呼ぶ場合がある。
溶剤として、具体的に、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。
液晶組成液に使用される溶剤として単一種の溶剤が使用されただけでは、重合性液晶化合物等の溶剤に対する溶解性が不充分である場合や、配向膜を有する基板でなる支持体そのものが侵食される場合がある。しかし、液晶組成液に使用される溶剤として2種以上の溶剤を混合してなる混合溶剤が使用されることにより、この不都合を回避することができる場合がある。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。溶剤の濃度は、液晶性組成物の溶解性や所望する位相差層の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
<液晶塗布膜の作製>
上記のような液晶組成物は、液晶組成液の状態にされ、その液晶組成液が、先に調整された支持体3の配向膜の露出面上に塗布される。これにより、支持体の配向膜面上に塗布膜(液晶塗布膜)が作製される(図1(c))。
液晶組成液の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スライドコート法、印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
なお、液晶塗布膜を作製するにあたり、配向膜が撥水性又は撥油性の高いものである場合には、配向膜上に液晶組成物を塗布する前に、液晶分子4を配向可能な範囲内でUV洗浄やプラズマ処理を施して、液晶組成液を塗布しようとする配向膜表面の濡れ性を予め高めておいてもよい。
支持体3に液晶塗布膜が形成されると、次いで、液晶塗布膜を有する支持体はプリベーク(pre-baking)され、液晶塗布膜に含まれる溶剤が除去される。このとき、プリベークの加熱による流動性を利用して、液晶塗布膜に含まれる液晶分子4が一定方向に配列される(図1(d))。プリベーク温度、時間は、液晶組成物に含まれる液晶化合物の特性に応じて変動しうるが、通常、70℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。なお、本例に用いる支持体のように、ラビング処理された配向膜上に液晶塗布膜が形成される場合には、通常、液晶塗布膜は、ラビング方向に沿って液晶化合物をなす液晶分子4が配向された状態となっている。
<露光工程>
一定方向に配向した状態となった液晶分子4を含む液晶塗布膜に向けて、一定方向に液晶分子4を配列させた状態を維持しつつ、活性放射線6が照射される(露光工程)。この露光工程により、液晶分子4の末端基同士が架橋重合反応して重合部7を形成し、この反応により液晶塗布膜の硬化が生じる(図1(e))。なお、活性放射線6は、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む概念である。この露光工程においては、活性放射線6として紫外線が好ましく用いられる。紫外線としては、波長300〜500nm程度の照射光で、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。また、紫外線の照射光量は、重合性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲である。
<焼成工程>
露光処理の後、液晶塗布膜を備える支持体は焼成される(焼成工程)。焼成工程において、焼成温度、焼成時間は、液晶分子4の種類や組成、アルコキシ化合物5の反応開始温度等に依存して変動する。この焼成処理において、重合した重合性液晶化合物をなす液晶分子4のメソゲン基同士がアルコキシ化合物5の存在により架橋される。このとき、アルコキシ化合物5の分子が液晶分子4のメソゲン基の間に配置されて、架橋部8が形成されているものと推察される。そして、この焼成処理により、液晶塗布膜は、一定方向に液晶分子4を配列させた状態をなすとともに架橋部8を形成して全体として3次元構造を形成した状態をなし、位相差層9となる。こうして、支持体3上に位相差層9を形成してなる光学素子10が作製される(図1(f))。
本発明の光学素子の製造方法の1つの例を示す図1では、支持体3上に位相差層9が全体に形成されているが、これに限定されず、支持体3上に位相差層9が部分的に形成されていてもよい。
具体的に位相差層9を部分的に形成する方法としては、例えば各種印刷方法やフォトリソグラフィー法を用いて、支持体3上にパターニング形成する方法などを例示することができる。印刷方法による場合、支持体3上に液晶組成液を所定のパターンで塗布することにより、支持体3上に部分的に液晶塗布膜を作製し、これを硬化させて位相差層9となすことで具体的に実現できる。また、フォトリソグラフィー法による場合、次のように位相差層9を部分的に作製することができる。
支持体3上に一面に液晶塗布膜を作製し、所定のパターンにてパターン形成されたフォトマスクを介して活性放射線を照射し、液晶分子末端間の重合反応が十分に進んだ部分と、当該部分の重合反応が不十分な部分とを作出する。その後、液晶分子の重合反応が不十分で未硬化な状態にある液晶塗布膜を溶解可能な溶液に浸漬することにより、液晶塗布膜において液晶分子の重合反応が進まなかった部分を基材面から除去する(現像処理)。こうして、基材上に液晶相の液晶分子を含む層構造を所定のパターンで形成する(パターニングする)ことが具体的に実現可能である。
これによれば、光学素子10において予め所定の領域を定めて、その領域を狙って位相差層9を所定のパターンにてパターン形成することが可能となる。
上記の例で作製された光学素子10は、支持体3の上面に位相差層9を設けた後、さらにブラックマトリックスと色パターンを有する着色層が設けられてもよい。そのように着色層を設けた光学素子10が液晶表示装置に組み込まれた場合、インセルタイプの位相差層を設けた液晶表示装置が容易に得られる。
なお、図1を用いて上記に詳述した光学素子10の製造方法の例では、支持体3は、透明基板である基材1に下地層2として配向膜を形成したものであったが、下地層2は、着色層や保護層などであってもよいし、着色層と配向膜などを積層した多層構造を備えてなるものであってもよい。
<本発明の光学素子の製造方法にて得られた光学素子の特性>
本発明の製造方法にて得られた光学素子では、位相差層は、重合性液晶化合物が一定方向に配向した状態にて重合反応してなる構造を有するとともに、アルコキシ化合物により液晶化合物のメソゲン基間が架橋されて3次元構造を形成している。
特に、焼成工程で、温度条件を150℃以上240℃以下、及び時間を30分以上240分以下の範囲で変化させることで、位相差層のΔnを100%〜10%の範囲(焼成工程直前の位相差層のΔnを100%とした場合)で変化させることができる。
そして、アルコキシ化合物および焼成工程の温度や時間の条件の制御にて、位相差層のΔnを0.05以上0.28以下の範囲で変化させることが可能である。なお、上記Δnの「0.05以上0.28以下の範囲」は、透過部と反射部とのセルギャップを調整する位相差層に求められる厚みの範囲から想定されるΔnの範囲をカバーできる。なお、透過部と反射部とのセルギャップは、半透過半反射型液晶表示装置において、セルギャップの最大部分におけるそのセルギャップの値(通常、2から6μmの範囲にある)から検討される。
<光学素子10を組み込んだ液晶表示装置について>
次に、本発明の製造方法にて作製された光学素子10を用いた液晶表示装置(半透過半反射型液晶表示装置)について、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例として説明する。
半透過半反射型液晶表示装置30は、対面する一対の基板25(第1の基板22、第2の基板23)の間に、印加電圧に応じて液晶44の光軸の向きを可変に液晶材料24を封入してなる駆動用液晶層28を形成しており、基板25の外側にバックライト(図示せず)を備えてなる。ここに、一対の基板25のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板22とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板23とする。また、第1の基板、第2の基板から駆動用液晶層28に向かう方向が内側方向であり、駆動用液晶層28から第1の基板22、第2の基板23に向かう方向が外側方向であるものとする。半透過半反射型液晶表示装置30のバックライトは、第2の基板23のさらに外側の位置に、第2の基板23に向かって光を入射するように備えられる。
第1の基板22、第2の基板23は、それぞれガラス基板である基材1、11を備えており、第1の基板22は、ガラス基板である基材1上に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が形成され、この透明電極を覆うように、ブラックマトリクス15と色パターン16、17、18を備えた着色層13を積層し、さらにその着色層13上に配向膜(図示せず)を積層している。さらに、第1の基板22には、基材1に着色層13を積層して得られる積層体を見た場合に、画素をなす領域のうち所定の領域に対して重なりあうように、配向膜上に位相差層9がパターン形成されている。この位相差層9は、光に1/4波長の位相差を生じさせる光学機能を発揮する層である。そして、第1の基板22には、さらにその内側方向に向かって、柱体50が、その基底部(図3において上方側の部分)を、位相差層9表面上所定の位置(柱体形成予定位置)にフォトリソグラフィー法などの公知方法を用いて分散配置されている。柱体形成予定位置は、位相差層9において画素とする部分に対応する部分を除いた部分(非画素部)内に、適宜定められる。柱体50は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、及びアミド系又はエステル系ポリマー等の光硬化可能な感光性を有する樹脂材料から構成されている。柱体50の高さは、第1の基板22と第2の基板23の間隔に応じて設定される。
また、第1の基板22において、ガラス基板である基材1には、外側方向に向かって、偏光板19が配置されている。
第2の基板23は、ガラス基板である基材11と駆動用液晶層28との間に、所定領域に光を反射させる反射膜34を備えるとともに、反射膜34の非設置領域を光が透過できる部分となしており、さらに駆動用液晶層28の液晶44に対する電圧の印加有無のスイッチング駆動する駆動用回路をなすTFTやITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が積層され、そしてその透明電極を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。ここに、第2の基板23において、反射膜34の設置領域は、第1の基板22と第2の基板23を対面させた際に第1の基板22の位相差層9の形成されている領域に対して対面するような領域に形成され、反射膜34の非設置領域は、第1の基板22と第2の基板23を対面させた際に第1の基板22の位相差層9の形成されていない領域(非形成領域)に対して対面するような領域に、形成されている。また、第2の基板23において、ガラス基板11には外側方向に向かって、偏光板19が基板22における偏光板19とはクロスニコルの方向で設けられている。
第1の基板22と第2の基板23は、第1の基板22の厚み方向に見た場合に、第1の基板22の位相差層9の非形成領域と第2の基板23の反射膜34の非設置領域とを対面させつつ、柱体50の突出先端を第2の基板23に当接させて配置される。このとき、第1の基板22と第2の基板23との間には所定の間隔が生じており、第1の基板22の位相差層9の形成領域と第2の基板23との間隔については、所定の基準光として選択された光の1/4波長分に相当する値となっており、第1の基板22の位相差層9の非形成領域と第2の基板23との間隔については、所定の基準光として選択された光の1/2波長分に相当する値となっている。
なお、この液晶表示装置30では、第1の基板22において、基材1とITOと着色層13と配向膜を積層した積層体に対して、上記に示すような液晶化合物のメソゲン基をアルコキシ化合物にて架橋してなる構造を備えた位相差層9が、積層されている。すなわち、基材1とITOと着色層13と配向膜を積層した支持体に、上記に示す位相差層9が積層される。すなわち、液晶表示装置は、支持体上に位相差層9を積層してなる光学素子10が組み込まれて構成されている。
この液晶表示装置30には、必要に応じて、偏光板19とガラス基板である基材1の間に位相差フィルム31を介在させて、その位相差フィルム31にて視野角補償を行うように構成してもよい。位相差フィルムとしては、フィルム面に対して法線方向をz軸とし面内方向にx軸とy軸を有してxyz3次元空間を張った場合に、xy軸のいずれか屈折率が他の軸方向の屈折率よりも大きいもの(いわゆる、正のAプレート)など適宜用いることができる。
なお、本明細書において、光学素子10を組み込む半透過半反射液晶表示装置30が駆動用液晶層の駆動方式をVAモードとする場合について説明したが、これに限定されるものではない。
実施例1
<支持体の調整>
100×100mmのガラス基板(NHテクノグラス社製NA35)に、配向膜を形成可能な組成物(JSR(株)製、AL1254)を、スピンコーターを用い塗布して塗布膜(膜厚0.065μm)を作製し、塗布膜を作製したガラス基板を230℃のオーブンにて1時間焼成した。そして、塗布膜面に対してラビング装置(飯沼ゲージ社製、装置名RLYY−3)を用いてラビング処理を施して、塗布膜を配向膜となした。このガラス基板に配向膜を形成したものを支持体とした。
<位相差層の作成>
次にネマチック液晶相を示す重合性液晶としてRMM34(メルク社製;18.75重量部)、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製;1.25重量部)、アルコキシ化合物として1,4−ジメトキシメチルベンゼン(関東化学製;2.5重量部)、酸発生剤としてMP−トリアジン(三和ケミカル社製;2.5重量部)を添加した後、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル(75重量部)で希釈し、溶液状の液晶組成物(液晶組成液)を調整した。
そして、先に作製しておいた支持体をスピンコーター(ミカサ社製MS―A100)にセットし、調整された液晶組成液をスピンコーティングして、液晶塗布膜を作製した。液晶塗布膜の厚みは、1.5μm程度の膜厚(焼成後)であった。
次に、液晶塗布膜を80℃で3分間加熱(プリベーク)することで配向処理し、白濁状態が透明状態となる液晶転移点を目視にて確認した。そして、そのまま液晶塗布膜に向けて超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置により紫外線を20mW/cmで5秒照射した。これにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合反応させた。次いで、支持体に液晶塗布膜を形成した積層体を、230℃のオーブンを用いて30分焼成した(焼成工程)。この焼成工程のとき、アルコキシ化合物である1,4−ジメトキシメチルベンゼンによる液晶塗布膜に含まれる液晶化合物のメソゲン基間の架橋構造の形成が進行し、液晶塗布膜は位相差層である硬化膜となる。これにより、支持体上に位相差層を積層した光学素子が得られた。この光学素子について、位相差層の位相差量(波長580nmの光に対する位相差)を、王子計測機器社製KOBRA−21を用いて測定したところ、151nmであった。さらに、位相差層の膜厚をミカサ社製ET4000Aで測定したところ、1.52μmであり、位相差層の複屈折率Δn(位相差量/膜厚;複屈折の値)は0.10であった。液晶塗布膜を位相差層となすまでの処理の過程で、液晶塗布膜が白化せず、また、位相差層の面質が良好であった。以上、実施例1において用いられたアルコキシ化合物、実施した焼成温度及び焼成時間、測定された位相差、膜厚、複屈折率については、表1にまとめて示す。後述するその他の実施例及び比較例についても同様である。
尚、上記「白化」とは蛍光灯下に光学素子を置いたとき、「光学素子の位相差層が明らかに白く濁った状態になっている」と目視確認される状態を示す。また、上記「面質」とは、ナトリウムD線を光学素子に照射したときに観察される位相差層の状態を示しており、「面質が良好」とは、位相差層を反射する光にムラが見られない状態を示す。
実施例2
焼成工程の焼成温度を240℃にした以外は実施例1と同様に位相差層を成膜して光学素子を得たところ、位相差層の位相差は104nmであった。さらに、膜厚は1.49μmであり、複屈折率Δnは0.07であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例3
焼成工程の焼成時間を120分にした以外は実施例1と同様に位相差層を成膜して光学素子を得たところ、位相差層の位相差は104nmであった。さらに、膜厚は1.49μmであり、複屈折率Δnは0.07であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例4
焼成工程の焼成時間を240分にした以外は実施例1と同様に位相差層を成膜して光学素子を得たところ、位相差層の位相差は73nmであった。さらに、膜厚は1.46μmであり、複屈折率Δnは0.05であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例5
焼成工程の焼成温度を150℃にした以外は実施例4と同様に位相差層を成膜して光学素子を得たところ、位相差層の位相差は168nmであった。さらに、膜厚は1.53μmであり、複屈折率Δnは0.11であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例6
本実施例では、アルコキシ化合物としてニカラック MX−750LM(三和ケミカル社製;2.5重量部)を用いた以外は実施例1と同様に位相差層を成膜して光学素子を作製した。光学素子の位相差層の位相差は169nmであった。さらに、膜厚は1.54μmであり、複屈折率Δnは0.11であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例7
本実施例では、焼成工程の焼成温度を240℃にした以外は実施例6と同様に位相差層を成膜して光学素子を得た。光学素子の位相差層の位相差は104nmであった。さらに、膜厚は1.49μmであり、複屈折率Δnは0.07であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例8
本実施例では、焼成工程の焼成時間を120分にした以外は実施例6と同様に位相差層を成膜して光学素子を得た。光学素子の位相差層の位相差は105nmであった。さらに、膜厚は1.50μmであり、複屈折率Δnは0.07であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例9
焼成工程の焼成時間を240分にした以外は実施例6と同様に位相差層を成膜して光学素子を得たところ、位相差層の位相差は72nmであった。さらに、膜厚は1.45μmであり、複屈折率Δnは0.05であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例10
焼成工程の焼成温度を150℃にした以外は実施例9と同様に位相差層を成膜して光学素子を得たところ、位相差層の位相差は166nmであった。さらに、膜厚は1.51μmであり、複屈折率Δnは0.11であった。また、液晶塗布膜の白化も起こらず、良好な面質であった。
比較例1
実施例1のアルコキシ化合物を用いなかった以外は実施例1と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は194nmであった。さらに、膜厚は1.49μmであり、複屈折率Δnは0.13であった。
比較例2
比較例1の焼成工程の焼成温度を240℃にした以外は比較例1と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は188nmであった。さらに、膜厚は1.47μmであり、複屈折率Δnは0.13であった。
比較例3
比較例1の焼成工程の焼成時間を120分にした以外は比較例1と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は190nmであった。さらに、膜厚は1.48μmであり、複屈折率Δnは0.13であった。
比較例4
焼成工程の焼成時間を240分にした以外は比較例1と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は185nmであった。さらに、膜厚は1.42μmであり、複屈折率Δnは0.13であった。
比較例5
焼成工程の焼成温度を150℃にした以外は比較例4と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は194nmであった。さらに、膜厚は1.49μmであり、複屈折率Δnは0.13であった。
比較例6
実施例1のアルコキシ化合物である1,4−ジメトキシメチルベンゼンの代わりにニカラック MX−290(三和ケミカル社製;2.5重量部)を用いた以外は実施例1と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は178nmであった。さらに、膜厚は1.48μmであり、複屈折率Δnは0.12であった。
比較例7
焼成温度を240℃にした以外は比較例6と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は170nmであった。さらに、膜厚は1.42μmであり、複屈折率Δnは0.12であった。
比較例8
焼成時間を120分にした以外は比較例6と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は173nmであった。さらに、膜厚は1.46μmであり、複屈折率Δnは0.12であった。
比較例9
焼成工程の焼成時間を240分にした以外は比較例6と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は173nmであった。さらに、膜厚は1.44μmであり、複屈折率Δnは0.12であった。
比較例10
焼成工程の焼成温度を150℃にした以外は比較例9と同様に支持体に位相差層を成膜したところ、位相差層の位相差は178nmであった。さらに、膜厚は1.48μmであり、複屈折率Δnは0.12であった。
実施例1〜10と、比較例1〜10とを比べることにより、実施例はいずれも、比較例〜5の場合に比べ、液晶化合物の配向の乱れに伴う白化が抑制された状態を保ちつつ、特定のアルコキシ化合物が含まれると焼成工程の条件に応じて、膜厚を大きく変動させずに様々な位相差量を得ることができることが確認された。
また、実施例はいずれも炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物が添加された液晶組成物が用いられることで、比較例6〜10の場合に比べ、液晶化合物の配向の乱れに伴う白化が抑制された状態を保ちつつ、膜厚を大きく変動させずに様々な位相差量を得ることができることが確認された。
Figure 2009244452

(a)から(e) 本発明の製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明において下地層として着色層を備える支持体の例を説明するための概略断面図である。 本発明の製造方法にて得られる光学素子を組み込んだ半透過半反射型液晶表示装置の例を説明するための概略分解斜視図である。
符号の説明
1 基材
2 下地層
3 支持体
4 液晶分子
5 炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物
6 活性放射線
7 重合部(液晶分子同士の重合部)
8 架橋部(液晶分子間の架橋部)
9 位相差層
10 光学素子
13 着色層
15 ブラックマトリクス
16、17、18 色パターン形成層
30 液晶表示装置

Claims (5)

  1. 光透過性を有する基材を備える支持体に、重合性官能基を有する液晶化合物を重合してなる構造を備える位相差層を設けてなる光学素子の製造方法であって、
    液晶化合物の分子構造中のメソゲン基に反応して液晶分子間を架橋させるための炭化水素環またはヘテロ環を有するアルコキシ化合物を含むとともに液晶化合物と光重合開始剤と酸発生剤とを含む液晶組成物を、支持体に塗布して液晶塗布膜を作製し、
    該液晶塗布膜に向けて活性放射線を照射した後、液晶塗布膜を150℃以上240℃以下の温度範囲且つ30分以上240分以下の時間範囲にて焼成して、該液晶塗布膜を、複屈折の値(Δn)が0.05以上0.28以下である位相差層となす、ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 液晶塗布膜は、基材と配向膜を備える支持体に対して液晶組成物が塗布されることで作製される、請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 液晶塗布膜は、基材と着色層を備える支持体に対して液晶組成物が塗布されることで作製される、請求項1または2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法にて作製された光学素子。
  5. 対面する第1の基板と第2の基板の間に、液晶を駆動可能に封入してなる駆動用液晶層を形成し、第2の基板の外側に該第2の基板に向かって光を照射するバックライトを設けるとともに、第2の基板の面内方向所定領域に反射膜を設け、駆動用液晶層を進行した光のうち該反射膜で反射した光にて液晶画面表示を行う反射部と、バックライトから入射された光にて液晶画面表示を行う透過部とを備えてなる半透過半反射型液晶表示装置において、
    第1の基板に、請求項4記載の光学素子が組み込まれてなる半透過半反射型液晶表示装置。
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