JP5316739B2 - 光学素子、およびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
重合性液晶化合物と、黄変防止剤とを含有する液晶組成物を用いて形成された位相差層を備える光学素子であり、上記黄変防止剤には、酸化防止剤が用いられており、加えて、上記液晶組成物には光重合開始剤などのほかの化合物が配合されている。
光透過性を有する基板に直接または間接に位相差層が形成された光学素子であり、上記位相差層が、99.8〜80重量%(対固形物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有重合性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対固形物換算値)の黄変防止剤をなす酸化防止剤と、0.1〜10重量%(対固形物換算値)の光重合開始剤とを含有してなる液晶組成物を、基板上に塗布し硬化させて形成したものであり、
位相差層に含まれる(メタ)アクリロイル基含有重合性液晶化合物がホメオトロピック配向しており、
前記光学素子における位相差層を除いた構成層からなる基板をリファレンスとし、光源としてD65を用いて測定される上記位相差層の黄変度YI 0 が1以下であり、且つ、該位相差層表面に対して遠紫外線を1000mJ/cm 2 照射した後、測定された黄色度YIと上記YI 0 とから求められた黄変度△YIが、JIS K 7373の評価基準で1.5以下である、ことを特徴とする光学素子、
を要旨とするものである。
「液晶組成物」とは、少なくとも重合性液晶化合物と黄変防止剤とを含み、さらに位相差層を形成するために用いられる他の物質が必要に応じて配合された混合物である組成物、及び上記混合物を溶媒に溶解もしくは懸濁させて調製した溶液状態である組成物の両方を意味する。ここで、黄変防止剤としては酸化防止剤を用いることができるほか、紫外線吸収剤及び酸化防止剤を混合して用いることもできる。また本明細書中、特に上述した「溶液状態である組成物」であり本発明の光学素子に備えられる位相差層の形成に用いられる液晶組成物のことを、便宜上「液晶組成物溶液」とも呼ぶ。
本発明の液晶組成物は、上述のとおり、重合性液晶化合物と、黄変防止剤とを少なくとも含有するものである。黄変防止剤は、より具体的には、後述する紫外線吸収剤、あるいは酸化防止剤が挙げられる。
尚、重合性液晶化合物により構成される位相差層が、黄変するメカニズムは明らかではないが、本発明者は以下のとおり推察する。
第一のメカニズムとして、活性酸素(フリーラジカル)の発生による有機物の酸化が生じていることが推察される。即ち、酸素分子が182nmの遠紫外線(deep UV)を吸収してオゾンになり、さらにこのオゾンが254nmの遠紫外線(deep UV)を吸収して活性酸素を発生することが知られているが、光学素子の製造工程中においても位相差層表面の紫外線洗浄工程などで使用する紫外線によって上記反応が起こり、結果として発生する活性酸素によって、位相差層の内部まで酸化する事により位相差層が黄変することが推察される。
また第二のメカニズムとしては、重合性液晶化合物のうち、分子内に芳香環を有する液晶化合物を使用する場合に、上記芳香環が遠紫外線を吸収し、励起された後、分子構造が変異することにより、液晶分子の吸収波長がシフトし、位相差層に黄変が生じると言う事が推察される。
本発明の液晶組成物に用いる重合性液晶化合物としては、架橋性のネマチック液晶を用いることができ、架橋性ネマチック液晶としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような重合性液晶化合物としては、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物および下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。特に、本発明における重合性液晶化合物を構成する架橋性ネマチック液晶分子の少なくとも1種が1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
上記した化1〜化4では重合性液晶化合物のモノマーを例示したが、重合性液晶化合物のオリゴマーや重合性液晶化合物のポリマー等も、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。一般に、位相差層のリタデーション量及び配向特性は、重合性液晶化合物の複屈折Δnと、位相差層の膜厚により決定される。例えば、重合性液晶モノマーをホメオトロピック配向させてなる位相差層、いわゆる正のCプレートを形成する場合、重合性液晶モノマーのΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。
本発明の液晶組成物には黄変防止剤が配合されるが、該黄変防止剤としては、例えば紫外線吸収剤、あるいは酸化防止剤が挙げられる。重合性液晶化合物を含有する液晶組成物に、さらに黄変防止剤を添加することにより、該液晶組成物を用いて形成された位相差層では、紫外線が照射され、あるいは太陽光に長時間晒された場合であっても、黄変することがない。かかる黄変防止のメカニズムについては明らかではないが、上述で推察する黄変のメカニズムにおいて、紫外線の吸収や酸化反応を上記黄変防止剤が有効に阻止するためであると考えられる。
本発明の液晶組成物に用いられる重合性液晶化合物と黄変防止剤との配合比は、100:5〜100:3であることが好ましい。上記黄変防止剤としては、紫外線吸収剤または酸化防止剤のどちらか、あるいは紫外線吸収剤及び酸化防止剤を混合して用いることができる。紫外線吸収剤及び酸化防止剤を混合して用いる場合には、これらの総和量が、上述する黄変防止剤の配合比の好ましい範囲にあればよい。
本発明に用いられる重合性液晶化合物が光重合性である場合には、本発明の液晶組成物にさらに光重合開始剤を配合することができる。
上記光重合開始剤は、基板上に本発明の液晶組成物を塗布して位相差層を形成する際に、塗布された液晶組成物に紫外線等を照射し、該組成物中に含まれる重合性液晶化合物を重合させるための開始剤として働くものである。上記光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。より具体的な光重合開始剤の例としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましく用いられる。これらの光重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる開始剤を組み合わせることが好ましい。
上記光重合開始剤が配合された本発明の液晶組成物を基材上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜中に存在する重合性液晶化合物を配向させた後、該光重合開始剤の感光波長の光を該塗膜に照射することによって、配向した重合性液晶化合物同士を良好に架橋重合させることができる。
本発明の液晶組成物は、基材上に直接塗布し配向させ硬化させることによって位相差層を形成するために用いることができる。かかる場合には、塗布性を向上させるために、本発明の液晶組成物のうち、特に、重合性液晶化合物や黄変防止剤などの配合物を溶媒で溶解せしめた液晶組成物溶液を用いることが好ましい。
尚、本発明の液晶組成物には光重合開始剤のほか、その目的が損なわれない範囲で重合速度を制御可能に抑制する重合禁止剤を添加してもよく、また紫外線などの電磁波の吸収を補助するための増感剤を添加することもできる。重合禁止剤の例としては、p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチル・パラクレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトールまたはアセトアニジンアセテートなどを用いることができる。また界面活性剤、あるいは垂直配向助剤なども適宜添加することができる。
上記垂直配向助剤の添加は、本発明の液晶組成物を用いて、特に基材上面に直接または間接にホメオトロピック配向した位相差層を形成する際に有効である。即ち上記垂直配向助剤の存在により、配向膜の存在なしに、液晶組成物を基材上面に直接塗布し、該液晶組成物中に含有される重合性液晶化合物を垂直配向(ホメオトロピック配向)させることが可能である。このように、垂直配向した液晶化合物を架橋重合させ固定化させることにより、液晶分子の光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートを形成することができる。
本発明の液晶組成物は、上述のとおり紫外線を照射され、焼成工程に供され、あるいは太陽光に長時間晒されても黄変することのない位相差層を形成することが可能である。したがって該位相差層を有する本発明の光学素子は、設計どおりの優れた色度を得ることができ高品質の画像を提供することが可能であって、且つその品質が維持される。そして本発明の光学素子を備える液晶表示装置は、優れた視野角改善効果を発揮する。以下、位相差層を設けた光学素子について図面に基づき例示的に説明する。
尚、図1に示す光学素子1には保護層を形成していないが、本発明において、着色層3と位相差層4との間、或いは位相差層4の上面などの任意の位置に保護層を形成してもよい。また液晶表示装置に用いられる駆動用液晶材料の種類などを勘案し、一般的に知られる液晶表示装置の表示側基板に用いられる機能層を、適宜、本発明の光学素子内に形成してよい。下記に、図1に示す本発明の光学素子1を用いて、各層の構成及び形成方法について説明する。
本発明に用いられる基板2は光透過性を有し、光学的に等方性のものが好ましいが、必要に応じて局所的に光学的異方性または遮光性の領域を設けることもできる。また光透過率は光学素子の用途に応じて適宜選定可能である。具体的には、無機材料又は有機材料により形成された板、シート又はフィルムを用いることができる。上記無機材料としては、ガラス、シリコン、もしくは石英等が挙げられる。中でも液晶ディスプレー用として本発明の光学素子を用いる場合には、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスを基板として用いることが好ましい。また熱膨張性が小さく寸法安定性が良好であり、高温加熱処理における作業性が優れるという観点からは石英が好ましい。一方、上記有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。光透過性の基板2の厚さについても、用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
着色層3は、光透過性の基板2上に所定波長領域の可視光を遮光するブラックマトリクス5を形成し、次いで所定波長領域の可視光を透過する着色画素である赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8を順次設けて形成される。
ブラックマトリクス5は、着色画素である赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8(以下、単に「着色画素6、7、8」ともいう)同士の重なり合いを防止するとともに、着色画素間の隙間を埋めて、近接する着色画素間からの光の漏れ(漏れ光)を抑制する等の働きを有する。したがって、ブラックマトリクス5は、光透過性の基板2上において着色画素6、7、8の配置が予定される位置に対応する領域を、各着色画素毎に平面視上区画化するように形成される。そして、着色画素6、7、8は、それぞれ、ブラックマトリクス5により区画化された領域を平面視上被覆するようにして配置される。
ブラックマトリクス5は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を所定形状に光透過性の基板2面上にパターニングすることにより形成することができる。また、ブラックマトリクス5は、インクジェット方式等により、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
尚、本発明における着色層3は、上述で例示した3色のサブ画素を備える場合に限定されるものではない。例えば4色以上の着色画素から構成されていてもよいし、あるいは単色または2色備えて構成されてもよい。またこれにあわせて、ブラックマトリクス5を省略することも可能である。
次に、位相差層4について説明する。本発明の光学素子1における位相差層4は、着色層3上面に本発明の液晶組成物を塗布し、液晶組成物中の重合性液晶化合物をホメオトロピック配向させ、架橋重合させることによって上記重合性液晶化合物をホメオトロピック配向した状態で固定化させて形成することができる。このとき液晶組成物を着色層3表面に塗布しやすいように、溶液状態の液晶組成物、即ち液晶組成物溶液を用いることが望ましい。
そして液晶組成物溶液が塗布された塗布基板(以下、単に「塗布基板」ともいう。また塗布された基板の表面に形成された層を「塗膜」ともいう。)を乾燥させる。乾燥は、大気圧下で自然乾燥してもよいが、特に密閉容器内で圧力約1.5×10−1Torr以下に下げ減圧乾燥処理することにより液晶組成物溶液中の溶媒を気化させることが望ましい。
尚、上述は、本発明の液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物をホメオトロピック配向させる配向処理を限定するものではない。重合性液晶化合物をホメオトロピック配向させる配向処理として一般的に知られる方法、例えば、上記塗膜に対し所定方向から電場や磁場を負荷する方法等を適宜選択して使用することもできる。
上述のとおり位相差層4を形成した後、位相差層4の表面を遠紫外線洗浄処理することが一般的である。紫外線洗浄処理により、位相差層4の表面を清浄にし、且つ後工程において位相差層4の表面に塗布されるスペーサー9形成用組成物の濡れ性を向上させることができる。
上記遠紫外線洗浄処理を行う場合、紫外線照射量は500mJ/cm2〜3000mJ/cm2、より好ましくは900mJ/cm2〜3000mJ/cm2の範囲で行われる。500mJ/cm2以下の照射量では、基板表面に十分な濡れ性を付与する事ができず、3000mJ/cm2以上の照射量では、表面粗度が悪化し、平坦性に問題を生じる恐れがある。
従来、上記紫外線処理を行うことによって、位相差層の黄変が生じる場合があったが、本発明は、黄変防止剤の含有する液晶組成物によって位相差層を形成しているため、該黄変防止剤の作用によって位相差層の黄変が防止される。
スペーサー9は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系又はエステル系ポリマー等の材料からなる光硬化性の感光性塗料を、位相差層4の上に塗布してこれを乾燥させ、さらにスペーサー9の形成予定位置に対応したマスクパターンを介して該塗料を露光硬化させた後、未硬化部分をエッチング除去し、さらに全体を焼成することにより形成される。
尚、上述では本発明の一実施形態である光学素子1について説明したが、本発明の光学素子は必ずしも着色層及びスペーサーを備える必要はない。また本発明の光学素子を液晶表示装置における表示側基板として用いた際に必要とされる部材、例えば透明導電膜などを備えることを否定するものではない。本発明の光学素子は、少なくとも透明基板と位相差層とを有することが必要であり、特に、位相差層中に黄変防止剤が含有されており、この結果、該位相差層の黄変が防止されていることが重要である。
本発明の液晶組成物により形成される位相差層は、紫外線や太陽光の影響により黄変しないことが重要であり、また位相差層の機能が充分発揮されるために良好な配向性が実現されていることが重要である。したがって本発明の液晶組成物を用いて形成された位相差層は、配向性評価、色度の測定、及び黄変の評価によって総合的に評価される。
本発明において、液晶組成物の黄変評価試験を行う場合には、ガラス基板上に直接、試験に供される液晶組成物を塗布し、所望の方向に配向させた後、紫外線を20mW/cm2で10秒照射して上記液晶組成物溶液に含有される重合性液晶化合物を架橋重合させ、次いで230℃のオーブン内において30分焼成して膜厚1.0μmの位相差層を有する積層体を光学素子のサンプルとし、上記ガラス基板をリファレンスとして、後述する方法と同様に黄色度YI0及び黄変度△YIを算出することにより評価することができる。
本発明の光学素子1における位相差層が良好に垂直配向しているか否かは、光学素子の光漏れの有無により評価することができる。具体的には、以下の光透過試験を行い、その透過光の有無を肉眼で観察することにより評価することができる。
本発明の液晶組成物を用いて形成された位相差層、及び本発明の光学素子における位相差層の黄色度は、光学素子における位相差層以外の構成層をリファレンスとして測定することができる。より具体的には、ガラス基板と位相差層とからなる光学素子においては該ガラス基板をリファレンスとし、またガラス基板と着色層と位相差層とからなる光学素子では、ガラス基板と着色層とからなる積層体をリファレンスとして、位相差層の黄色度を求めることができる。
まず、ガラス基板上に少なくとも位相差層を有する光学素子をサンプルとし、該光学素子における位相差層を除いたものをリファレンスとして該位相差層の色度を、光源としてD65を用い、測色機(オリンパス光学工業社製、商品名「OSP−SP200」)で測定する。上記測定により得られた三刺激値X、Y、Z値から下記式(式1)を用いて黄色度(YI0)を算出する。
YI0=100(1.2985X−1.1335Z)/Y (式1)
次に、位相差層に対して遠紫外線を1000mJ/cm2照射した後、位相差層の色度を光源としてD65を用い、測色機(オリンパス光学工業社製、商品名「OSP−SP200」)で測定する。得られたX、Y、Z値から下記式(式2)を用いて黄色度(YI)を算出し、更に黄変度(ΔYI)を下記式(3)によって算出する。
YI=100(1.2985X−1.1335Z)/Y (式2)
ΔYI=YI−YI0 (式3)
上記位相差層の黄変度評価において、黄変がない、あるいは黄変が無視し得る程度であるという状態は、JIS K 7373の黄変度評価方法において、黄変度が1.5以下で有る状態にあることをいう。
本発明の光学素子1は液晶表示装置の表示側基板として用いることができる。図4に示す液晶表示装置12は、観察者側(図中上方に相当)に設置される表示側基板13に本発明の光学素子1を用い、表示側基板13と液晶駆動側基板14とがスペーサー9を介して対向しており、両基板の間に駆動用液晶材料15を封入して駆動用液晶層16が構成されている。ここで、位相差層4は光学素子1の光透過性の基板2と、液晶駆動側基板14を構成する透明基板31との間に挟まれるよう配置され、いわゆるインセル型をなす。また光透過性の基板2の着色層3とは反対側面には、透明導電膜21及び正のAプレート22が順に積層された機能層20が形成されている。そして表示側基板13の外側面には直線偏光板23が、液晶駆動側基板14の外側面には直線偏光板32が積層されている。
実施例1
上記化4に示す化合物(a)〜(d)を用い、下記組成の組成物Aを調製した。組成物Aは、特表2004−524385号公報の記載に準じ、以下に掲げる材料を混合することにより調製した。尚、以下に示す組成物Aにおける各物質の重量比は、組成物Aの総重量に対する各物質の重量比である。
化合物(a) 32.67重量%
化合物(b) 18.67重量%
化合物(c) 21.00重量%
化合物(d) 21.00重量%
ドデカノール 1.02重量%
BHT 0.04重量%
イルガキュアー907 5.60重量%
次いで、上記液晶組成物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解し、濃度20%の液晶組成物溶液を得た。
次に適当な洗浄処理を施し、清浄とした透明基板として100×100mm、厚み0.7mmのガラス板(コーニング社製1737ガラス)を用意した。次に、スピンコーター(ミカサ社製 商品名1H−360S)を用いて上記液晶組成物溶液を透明基板上にスピンコーティングした後、減圧乾燥した。続いて空気雰囲気下において、超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「商品名TOSCURE 751」)により紫外線を20mW/cm2で10秒照射して上記液晶組成物溶液に含有される重合性液晶化合物を架橋させた。最後に230℃のオーブン内に、上記架橋処理が終了した基材を設置し、30分焼成して膜厚1.0μmの位相差層を有する本発明の光学素子を形成した。得られた位相差層の配向状態は、偏光顕微鏡の直交ニコル観察により確認し、問題なく配向している事が確認された。
黄色度YI0の測定及び黄変度評価
実施例1で得られた光学素子の黄色度YI0及び黄変度△YIを、上記「位相差層の黄色度の測定及び黄変度の評価」に記載の方法に基づき測定した。尚、黄色度YI0を測定する際には、実施例1に用いたガラス板(コーニング社製1737ガラス)をレファレンスとして使用した。
添加する紫外線吸収剤を2’,4‘−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成社製SEESORB712)に変えた以外は、実施例1と同様に光学素子を作製した。得られた位相差層の配向状態は、偏光顕微鏡の直交ニコル観察により確認し、問題なく配向している事が確認された。尚、2’,4’−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成社製SEESORB712)の最大吸収波長は約270nmであり、本発明における紫外線吸収剤の最大吸収波長として好ましい254nm付近に相当し、254nmの紫外線を良好に吸収可能である。
添加する黄変防止剤を紫外線吸収剤から酸化防止剤4,4’−ブチリデンビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)(エーピーアイコーポレーション社製ヨシノックスBB)に変えた以外は、実施例1と同様に光学素子を作製した。得られた位相差層の配向状態は、偏光顕微鏡の直交ニコル観察により確認し、問題なく配向している事が確認された。
添加する酸化防止剤を、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール(エーピーアイコーポレーション社製250)に変えた以外は、実施例1と同様に光学素子を作製した。得られた位相差層の配向状態は、偏光顕微鏡の直交ニコル観察により確認し、問題なく配向している事が確認された。
黄変防止剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして光学素子を作製し比較例1とした。得られた位相差層の配向状態は、偏光顕微鏡の直交ニコル観察により確認し、問題なく配向している事が確認された。
2 透明基板
3 着色層
4 位相差層
5 ブラックマトリクス
6 赤のサブ画素
7 緑のサブ画素
8 青のサブ画素
9 スペーサー
Claims (2)
- 光透過性を有する基板に直接または間接に位相差層が形成された構造を有する光学素子であって、
上記位相差層が、99.8〜80重量%(対固形物換算値)の(メタ)アクリロイル基含有重合性液晶化合物と、0.1〜10重量%(対固形物換算値)の黄変防止剤をなす酸化防止剤と、0.1〜10重量%(対固形物換算値)の光重合開始剤とを含有してなる液晶組成物を、基板上に塗布し硬化させて形成したものであり、
位相差層に含まれる(メタ)アクリロイル基含有重合性液晶化合物がホメオトロピック配向しており、
前記光学素子における位相差層を除いた構成層からなる基板をリファレンスとし、光源としてD65を用いて測定される上記位相差層の黄変度YI 0 が1以下であり、且つ、該位相差層表面に対して遠紫外線を1000mJ/cm 2 照射した後、測定された黄色度YIと上記YI 0 とから求められた黄変度△YIが、JIS K 7373の評価基準で1.5以下である、ことを特徴とする光学素子。 - 表示側基板と、これに対向する駆動液晶側基板と、これら基板間に駆動用液晶材料を封入して形成される駆動用液晶層とを備える液晶表示装置であって、上記表示側基板として請求項1に記載の光学素子が用いられていることを特徴とする液晶表示装置。
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